Coolier - 新生・東方創想話

幻想郷文明向上大作戦#2

2008/10/31 05:55:57
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*こちらは後編です。前編をご覧になってからどうぞ。
前編見ないと訳分からない展開なので・・・。



















・・・風がそよぐ午後の幻想郷で、霊夢とシビックは出会った。

霊夢から見たシビック
「妖怪かしら?」

シビックから見た霊夢
「・・・・・・(腋!腋出てるよお嬢さん!)」


#2「動け、鉄の馬車(後)」


・・・未だシビックからはノイズ音が聞こえてくる。霊夢はそれすら気にせず、ただ、目の前のシビックを眺めていた。
これだけ眺めていても攻撃しない事は、恐らくは敵意をもった妖怪ではないと霊夢は思っていた。ただ、普通の妖怪とは
全く異なるデザインと、物言わぬその姿に、霊夢は少々戸惑っていた。

「(この子妖怪よね・・・それにしては何にも言わないし、見た事もない物が沢山ついてるし・・・)」

霊夢もまた文と同じように、シビックの中へと入っていく。まず目に入ったのは、床に散乱した複数の本であった。
文が慌てて脱出した際、元の場所に戻さなかったのだろう。霊夢はその中から適当に1冊を選び、何ページか読んでみた。

「・・・なぁんだ。この子は妖怪じゃなくて『車』っていう物体なのね」

その本を読み、霊夢はそこで初めてシビックが妖怪ではない事に気がついた。妖怪でなければ怖くはない。
霊夢はその本を読みながら、ノイズ音の原因であるカーステレオのボリュームつまみを左へ回した。
すると、さっきまで奏でられていたノイズ音がピタリと止み、辺りは随分と静かになった。

さらにページを読み進めていく霊夢。そこには、このシビックを操作する為の方法が事細かく書かれ、車の持ち主が
加筆したであろう、重要な部分には赤い線まで引かれていた。これなら霊夢にだって操作は可能である。・・・多分。

「えっと、『車を発進させるには、ブレーキを踏んだままサイドブレーキを外し、ギアをDに合わせて下さい』
・・・サイドブレーキ?ギアをD?何の事かしら・・・」

一瞬戸惑ったが、本にはしっかり図が載っていた為、迷う事はなかった。左足でブレーキを踏み、左手でサイドブレーキを
外す。レバーの先のボタンを押すと、サイドブレーキはいとも簡単に解除された。それを確認し、ギアをDに入れる。

「後は『ゆっくりとブレーキから足を離し、アクセルを少しずつ踏んで下さい』ね。・・・これで動くのかしら?」

左足をブレーキから離していくと、シビックは動き出した。非常にゆっくりだが、確かに動き出した。この瞬間、幻想郷に
車が走った瞬間である。ただ、霊夢にはそんな感動を味わう余裕などなかった。いや、そんな事は霊夢にとってどうだっていい。
今は、この物体を動かす事だけを重視していた。

「本当に動いたわ!自分で動くなんて、外の世界の文明って相当進んでいるのね」

今まで幻想郷での車輪の付いた乗り物は、全て人力か動物の力を借りなければまともに進まなかった。それが外の世界では、
自分で人を乗せて動かせるレベルまで来たのだ。・・・霊夢にはそのありがたみがイマイチ解っていないようだが。

霊夢を乗せたシビックは、霧の湖から人里へ向けて走り出す。時速約15キロ。非常にノロノロした動きだが、今の霊夢は
本片手に操作しているので、これが精一杯だった。ちなみに霊夢が今見ている内容は『カーステレオの扱い方』。実際、
幻想郷にラジオ局はないのでFM、AMラジオは聞く事が出来ない。だが、このステレオはカセットテープが使える上に、
車の持ち主がある程度カセットを残していた。ちなみにカセットは霊夢が色々な場所をガサゴソと漁っている時に発見した
(無論サイドブレーキをかけた状態で)。複数発見した物の中から、霊夢は『君がいるだけで/米米クラブ』と書かれたカセットを
入れ、ボリュームつまみを上げた状態で再生ボタンを押した。スピーカーから軽快なリズムの音楽が流れ、男性歌手の歌声が
車の中に響いた。全体的に明るい歌だろうと、霊夢はAメロの部分だけでそう感じていた。音楽の影響もあってか、徐々に
シビックはスピードを上げ始め、時速30キロにまで速度を上げていた。気がつくと、車の周りには歌につられた妖精や妖怪達が
集まってきていた。霊夢も気がついてはいたが、別に攻撃は仕掛けてこないだろうと判断し、手は下さなかった。

・・・車は本当に速い。霧の湖から人里まで徒歩1時間かかっていた道のりが、シビックはその半分以下で済んだ。おまけに
妖怪に襲われる事も一度もない。始めは車に対して分からない事だらけだった霊夢も、たった数分で車という物に惚れ込んでいた。

「これ、なかなかいいわね。他に欲しい人がいなかったら、私が貰おうかしら?・・・なんてね」

人里は、突然現れた鉄の馬車に沸き立った。シビックの周りには野次馬達が集まり、寺子屋の授業から抜け出した子供達の姿も
見えた。霊夢はその群集に向けてクラクションを鳴らしたり、ライトを点灯させたり、車の中にあったカセットで音楽を聴かせたり。
シビックの一つ一つの行動に、人妖は外の世界の技術力の高さを改めて実感していた。

やがて日も沈み始め、霊夢は神社に戻ろうとする。だが、ここで一つ問題が生じた。神社に戻る為には、石段を登らなければ
ならない。しかし、この車で石段を登ろうとした所、どう頑張っても登れないのだ。石段の下に止めるしかないと考えた霊夢は、
できるだけ雨に濡れないように、草木が生い茂った場所にシビックを停車した。ギアをPに入れ、サイドブレーキを掛け、
鍵を左に回してエンジンを止める。シビックから音が消えた。眠りについたのだろうか。霊夢は鍵を抜き、車から降りる。
と、石段の上の方からドタドタドタと騒がしい音を立てて誰かが降りてきた。伊吹萃香だ。目を輝かせ、シビックを眺める様子は、
人里での野次馬と何ら変わりはない。

「これが車って奴かー!霊夢、私も運転したいー!」

「これ動かすの面倒なのよ。それに、萃香は角が邪魔で運転しづらいでしょうし、飲酒運転は禁止って書いてあるわよ」

霊夢が取り出したのは、小物入れから見つけた小さなステッカー。そこには『飲んだら乗るな!飲むなら乗るな!』という文字と、
ビールジョッキに×印が描かれていた。外の世界では、お酒を飲んで運転する事は禁止されているのだろう。常にお酒を飲んでいる
萃香では、お酒を飲まない限り運転は出来ないのだ。

「え~。別にいいじゃん飲酒ぐらい~」

「駄目。ほら、さっさと神社に戻るわよ」

顔を膨らまして抗議する萃香だったが、神社に戻る霊夢を見て、渋々自分も神社に戻る事にした。
すっかり日も落ち、月明かりに照らされるシビックは、異国の地で一体どんな夢を見ているのやら・・・。
というわけで、シビック編終了です。
慣れない車も数分でマスターし、軽々乗りこなしてみせる霊夢。さすが天賦の才!

ちなみにカセットのテープの曲は、90年代前半に合わせるようにしました。

残念ながらシビックがフューチャーされるのは今回限り。次回は、違う物が幻想入りするみたいです・・・。

*追記*
うーん・・・。二つに分けるのはあまりよくなかったようです。
次回からは前後編と分けずに1本で行きたいと思います。
コメントしてくれた皆様、有難うございました。
もう・・・ニートしてもいいよね・・・?
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コメント



0.520簡易評価
2.100名前が無い程度の能力削除
面白かったです。
しかし、いきなり乗りこなすなんて天賦の才すぎる。
霊夢、恐ろしい子!!
次回、幻想郷入りする物は『ダンスダンスレボリューション』なんかどうですか?
もちろんアーケード版。あぁ、霊夢が華麗に踊る姿が目に浮かぶ!!
4.100名前が無い程度の能力削除
翌朝、そこにはある河童の手によりネジ一本にまで分解されたシビックの憐れな姿がwwwww
5.60名前が無い程度の能力削除
まあ、それが幻想入りするのはいいとしても。
内容がちと薄いかな。
せっかく車を出したのならもう少し何か起きても良いと思いましたね。
話は面白かったかと。
9.80名前が無い程度の能力削除
こういう話が好きなので楽しめました。
身近な存在の凄さや在りがたさを再認識できます。

これぐらいの長さなら前編後編に分けなくても良いと思います。
10.60名前が無い程度の能力削除
新鮮味のある内容で面白かったです。
ただ分量的には分ける必要がなかったと思います。
11.20名前が無い程度の能力削除
90年代前半の車が幻想入りするなら、ヒストリックカーの類が既に入っていてもおかしくないのでは?
というツッコミはともかく、発想は面白いと思います。
ただ内容を要約すると、「霊夢が自動車を運転した」の一言で終わってしまうのが残念なところ。
物語になっていないような……。
他の方も指摘されている通り、この文量の作品を2つに分けて投稿した意図も解りません。
13.20名前が無い程度の能力削除
空を飛ぶのが当たり前の幻想郷で車が必要かね?
16.無評価名前が無い程度の能力削除
多分誤字。

飲まない限り→飲む限りかな、と

続きの内容次第。故にまだ点数は入れません。
ただ、このシビック編位は1本にまとめても良かったんじゃないかな。
17.80名前が無い程度の能力削除
普通に面白いじゃまいか、これで終わりならちと寂しいが続くらしいし期待してるぜ。
21.60名前が無い程度の能力削除
こういうあっさりなのもまたいい
23.無評価名前が無い程度の能力削除
こんな内容が薄いんなら2つに分けて投稿しなくてもいいんじゃ……
25.80名前が無い程度の能力削除
あっさりしてて、なおかつ楽しめました!
後は長さが欲しいかな?と思ったけど分割されていて続きがあるんですね。