Coolier - 新生・東方創想話

寝顔いただき幻想列車(前)

2008/10/19 17:51:49
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「藍。起きてちょうだい」


……………………。


「藍。ら~ん。起きなさい」


……う、う~ん。

……紫様?
すみません。まだ寝たばかりなのです。
今しばらく寝かせてください。


「起きないと悪戯しちゃうわよ」


そこで私は覚醒した。

両目をぱちりと開ける。



視界が、主の顔面で占められていた。



「のわああああああ!」


情けない悲鳴を上げながら、私はロケット花火のように、布団から水平に飛び出した。
そのまま、壁際に激突する寸前で急停止する。
普通に起き上がれば、紫様にパッチギをかますところだった。
とっさの判断だったが、我ながら見事な選択だった。

寝間着姿で居住まいを正す私に対し、紫様はいつもの服装で、胡散臭い笑みを浮かべながら見下ろしてくる。

「落ち着きなさい藍」
「はっ、失礼しました。……しかしながら、起きたら目の前に主人の顔がどアップ。これで驚かない方がおかしいのではないでしょうか」
「口答えをするんじゃないの」
「はい。申し訳ありません」
「まあ、私の美しい顔が、寝起きの藍に刺激的すぎたのはわかるけど」
「はい。例え間近でゴジラが笑っていても、ああはなりません」
「…………藍?」
「失礼しました。それだけ紫様の美貌が素晴らしいということです」

そして、それ以上に恐ろしいということでもあるんですが。

そこまで言う前に、紫様はぐりぐりと私の頭をゲンコツで畳に押し込む。
まさか、起きてすぐに土下座することになるとは思わなんだ。

とそこで、私は違和感に気がついた。

ここはマヨヒガにある、私と橙の寝室である。
まだ布団に入ってからそれほど経っていない。
時刻は……丑三つ時だろうか。
この深夜の時間に紫様に起こされるのは、たまにある程度だが、驚くほどのことでもない。

問題は外の気配だ。

「これは……幻想郷が……眠っている?」
「……さすがね。気がついた」
「紫様。これはいったい?」

違和感の原因は、外の気配が生きていないことだった。
この幻想郷に住む妖怪達は、夜に活動するものが多い。
それなのに、あらゆる生き物が寝静まったようになっているのが知覚できる。

まさか、異変か?

「紫様。これは一大事です」
「ようやく目が覚めたようね」
「はい。申し訳ありませんでした。
 すぐさま神社へと向かい、霊夢を起こして、異変解決に向かいましょう」
「いらないわ。私の仕業だから」
「ぬなっ!?」

さらりと犯行を認める主に、私は驚愕した。

「紫様の仕業だったんですか!」
「そうよ。幻想郷に住むもの全てを眠らせる術式。結構大変だったんだから」

開いた口がふさがらない。
それほど強力かつ凶悪な術を、結構大変だった、で済ませるとは。

「しかし、なぜこのようなことを」
「寝顔を見に行くのよ」
「…………おやすみなさい」
「起きなさい藍。悪戯しちゃうわよ」
「だあああああ! 本気で何を考えているんですか!」

跳ね起きた勢いで飛んでいった布団を、主はべしっと払った。
心外だという顔つきで、嘆息してくる。

「藍……。私が酔狂でこんなことすると思うの?」
「む……。と言いますと?」
「これは幻想郷を守るためでもあるの。いくら私でも、この地で一日に起きる全ての出来事を把握することはできないわ。
 何物かが異変を起こそうと画策していても気がつかず、たとえ気がついたとしても、それは手遅れなこともある。
 だから、そうした事態を予防するために、こうして時間を作って見回ることにしているのよ」
「なるほど。そういうことでしたか」
「わかってくれた?」
「はい。…………で、本心は?」
「みんなの寝顔が見たーい♪」
「やっぱりですか!」

ついでに、手元にあった枕も投げつけてやる。
紫様は常人には不可能な態勢で、のけぞりながらそれをかわした。
エージェントもびっくりな身のこなしだ。

「『オペレーションゆかりん――幻想郷の生意気な人妖の寝顔を愛でる作戦』ということよ」
「付き合っていられませんよ、本当に」
「あら、冷たいのね。特別に貴方も誘ってあげようと思ったのに」
「……私も?」
「そうよ。私の他には、貴方だけが起きている。それが不自然だとは思わなかったの?」

そこで気が付いた。
私の式の橙は、横の布団で、すやすやと眠ったままだ。
これだけ騒いでいても、起きる気配が無い。

「ほら。可愛いでしょ。こんな寝顔を見に行きたくない?」
「そりゃあ橙は可愛いですけど……。やっぱり寝顔をのぞくなんて悪趣味ですよ」
「あらそう。じゃあ、私一人で楽しんでくるわ」
「いえ、私もついていきます」

あっさり背を向ける主に対して、私は立ち上がった。

「紫様が暴走したときのために、抑える役が必要でしょうから」
「素直じゃない式ね」

何をおっしゃる紫さん。
私は別に、いつも威張っていて強力な人妖たちの寝顔が見てみたい、なんて思っていない。
ないったらない。

「では早速、乗り物を準備しますか」
「え、乗り物? スキマで移動するのではないのですか?」
「それじゃあ面白くないでしょ」

ぱちん、と主が指をはじくと、寝室に巨大なスキマが現れた。
その向こうに、赤く光る眼玉が二つ。

突如、その巨大な存在は、私に向って突進してきた!

「どわああああ!!」

慌てて、寝ている橙を抱えて、私は横に跳んだ。

スキマから出現したのは電車の車両だった。
銀のフォルムに、色褪せた赤のライン。
すでに外界では廃線となった木島線の3500系だ。

っつーか、こんなもの室内でぶっ放すんじゃない!

「危ないじゃないですか!」
「私の式なら、これくらいかわせて当然でしょ」
「あれ? 紫様、その服装は」

なぜか主の服装が変わっていた。
平らに潰れた帽子、紺色の制服、白い手袋。
車掌さんの格好である。

「似合うかしら? お客さん」
「正直コスプレにしか見えません。ってお客さんって私のことですか」
「そうよメーテル。胸に抱いている鉄郎は置いて行きなさい。その子には機械の体はまだ早いわ」
「誰がメーテルですか」

とりあえず言われた通り、私は抱きかかえていた橙を、元の布団の場所へと運んだ。
優しく毛布をかけてあげる。むにゃむにゃと眠る橙は、天使のようだった。
一人で寝かせて放っておくのは可哀想だが、紫様の暴挙を見張るためだ。仕方がない。

「ごめんね橙。寂しいけど、夜明けまでには帰ってくるよ。それまで留守番していてね」
「早く行くわよ親バカ狐」
「…………」

そっけない紫様の一言に、私は橙を残して列車へと乗り込んだ。




車両の中は、はっきり言ってボロかった。
ぶら下がったつり革はくたびれていたし、窓ガラスも薄汚れている。車両は二つ連結しており、結構な広さだったが、後ろに行くほど埃がひどかった。運転席は客席と別れていたが、その間を分かつ扉は取り外されていた。
……運転席だけやたら豪華で少女チックに改装されているのは、この方の好みだろう。
しかも通常の操縦桿ではなく、スポーツカーのようなハンドルに変えられていた。
一体どんな動きをするんだか。

「お客さん。運転席には入っては駄目よ」
「はいはい」

それにしても、まさかこの幻想郷で、起きて五分も経たずに夜行列車に乗ることになるとはな。
この方の式をやっていると、たまに常識では考えられない事態に遭遇する。

「というか私、寝間着のまんまなんですが」
「心配無用。後部車両に用意してるわよ。後ろで着替えてきなさい」
「わかりました」
「それでは出発進行」

合図と共に、列車が音も無く動き出す。
紫様の念動力で動かしているのだろう。あるいは、何かの術式だろうか。
いずれにせよ、無駄に凄い力だった。

私は後ろの方に移動して、いそいそと服を着替えた。

なんか恥ずかしいな。
もし誰かがこの光景を見ていたら、いかがわしい移動式ストリップバーと勘違いしかねないし。

ふと、窓の外を見た。

マヨヒガの庭の向こうに、幻想郷が見える。
住人達は一人残らず眠っているのだろう。
彼らは今、どんな寝顔でどんな夢を見ているのだろうか。

レールの無い空中を、列車が走りだす。

私と主の『寝顔の旅』が始まった。




※※※※※




「到着~」

最初に着いた場所は、広大な敷地を持つ日本家屋。
八雲一家にとってはお馴染みの白玉楼だった。
列車から降りた私は、ふむと腕を組んだ。

「つまり、幽々子様と妖夢の寝顔を見るわけですか」
「合っているけど、中正解ね」
「?」

そこで、館の門が開く。
予想外の人物が、我々を出迎えた。

「いらっしゃい。紫に藍ちゃん」

白玉楼の当主、西行寺幽々子である。

「お邪魔するわ、幽々子」
「……お邪魔します」

不思議に思って、紫様に聞いてみることに。

「幽々子様には、術をおかけにならなかったのですか?」
「あらあら。私だけ仲間外れはひどいわ、藍ちゃん」

仔犬を叱るような目つきをして、開いた扇子の向こうで微笑む幽々子。

「藍。幽々子は寝ているわ」
「寝ている?」
「ただし、普通の者と違って、起きている時と見分けがつかないだけよ」
「……………………」
「どう? 藍ちゃん。私の寝顔は?」
「はあ……いい寝顔ですね」
「ふふふ。ありがとう」

……正直いつもと変わらんのですが。
まあ、あまり深く考えると戻ってこれそうにないのでやめよう。
この、にこにこと笑う亡霊も、紫様に劣らず、わからん存在だということだな。

「妖夢はぐっすり眠っているわ」
「それじゃあ見せてもらおうかしら」
「どうぞどうぞ」

私たちは、白玉楼の主人手ずから、館の中へと案内された。




白玉楼内部は一年を通して涼しい。
しかし、半人半霊である妖夢の寝室だけは、少し暖かくなるように設計されているようだった。
だだっ広い畳部屋の中央で、妖夢は一人で眠っていた。

「ふふふ。本当にぐっすり眠っているわね」

紫様はその寝顔を堪能しているようだ。
妖夢をマヨヒガに泊めたことは何度かあるけど、私も寝顔をじっくり見たことはなかったなー。
普段の生真面目一辺倒な顔とは大違いだ。
半霊を抱き枕にしているのが、何とも可愛らしい。

とはいえ……用心のためか、枕元に二本の刀を置いているのが、らしくもあった。

「いいものでしょう」

自慢げに言いながら、寝顔をのぞきこむ幽々子は実に嬉しそうだ。

「妖夢のこんな顔を見るのも久しぶりね~」
「え? 普段から、ご覧になっているのでは?」
「なかなか熟睡できないのよ。この子。いつも、少々の物音で起きちゃうから」

なるほど。
寝ている時でも隙を見せぬよう、常に気を張り詰めているわけか。
低級霊が庭の木を揺らしただけで、「侵入者か!」と刀を持って飛び出す妖夢の姿を想像するのは難くない。
ただし、今の彼女は、三人で布団を囲んでも起きる様子はなかった。

「幸せそうな顔でしょ?」
「ええ。本当に」
「藍ちゃんもね」
「はい?」
「藍ちゃんも幸せそうな顔してるわよ」
「私が、ですか」

意外な一言だったが、確かに、誰かが幸せそうに寝ている姿を見ると、荒ぶっていた心も落ち着くようだ。
紫様もこれが楽しみでやっているのかな。
よい趣味とは言えないが、確かに楽しくなってくる。


「さて……」

と、幽々子が立ち上がった。

「じゃあ早速、紫と藍ちゃんに選んでもらうわ」
「ええ。見せてもらいますわ」

突然、主らがわけのわからない会話をしだした。

「選ぶ? なにをですか」
「今幽々子が持ってくるわ」
「どうぞ、ご覧あれ」

奥から戻ってきた幽々子は、畳の上に様々な長物を並べ始めた。

箒、物干し竿、ハエ叩き、つるはし、ハリセン、ピコピコハンマー。きらびやかな魔法スティックまである。

「なんですかこれ」
「寝ている間に、妖夢の大事な剣を、このどれかと取り替えちゃおうと思って」
「………………」

絶句する。
何を言い出すんだこいつは。正気か?
妖夢が起きたら血相を変えるぞ。
見れば、私の故郷の武具である、オッタやウルミまである。
こんなマニアックなもん、どっから持ってきたんだ。

「私も持ってきたのよ。青龍偃月刀」
「って紫様! それは私の蔵のものでしょう!」
「別にいいでしょ、使ってないんだから。他には、この蝋燭と鞭なんてどうかしら」
「あらあら妖夢にピッタリね」

絶対に似合わんよ。
というか幽々子さん。間違っても妖夢を、そんなものが似合うような剣士に育てないでくださいね。妖忌がキレますから。

紫様は興味深そうに、幽々子の用意したひとつひとつを手に取って確かめている。

「これは便器ブラシかしら」
「ええ。これは世界一長い爪楊枝」

頭が痛くなってきた。
そんなもんで庭の手入れさせたら桜が枯れるわい。

「さあさあ。じゃあこの中から決めてちょうだい。藍ちゃん」
「私がですか!」
「藍。貴方のセンスに期待してるわよ」
「紫様まで!」

二人に見つめられる。
さあ大変なことになってきた。
妖夢の心を傷つけないよう、慎重に選ばなくては。

とりあえず武器から選ぶのが無難だろう。
しかし、青龍刀は妖夢には迫力がありすぎる。トライデントにも驚いてしまうだろう。
釘バットも倫理的に駄目だ。はりせんは馬鹿にしているようだし、チキンナイフは妖夢に向いていない。
これは何だ、先に岩のついた剣だと? 抜けないからって土台ごと持ってくるか普通。

「えーと、えーと」

もしかしたら、逆にウケを狙った方が、単なる悪戯と思ってくれるかもしれない。
かといって、便器ブラシは絶対にダメだ。ナウマン象の牙も却下。
トロンボーンも武器というより楽器だし、2メートルある爪楊枝なんて嫌がらせにしかならない。
宇宙人のへその緒なんて本物ですかこれは。彼らもへその緒があるんですか。
あ、今度永遠亭に行って聞いてみようか。
ってそうじゃない。

ピコハンもダメ、トーテムポールもダメ、自由の女神像もダメ、ロードローラーもダメ。

えーと…………。


「ダメです!決められません!」

膨大な計算を重ねた結果、私は諦めた。

「私には、選ぶことができません。どうぞお仕置きを」

深々と頭を下げる。
妖夢の大事な剣を取り替えてしまうなど、どうしてもできなかった。
幽々子に幻滅されてもいい。紫様から罵倒されてもいい。
私は妖夢のピュアなハートを守りたいのだ、同じ苦労性の従者として。

恐る恐る顔を上げると、二人はそっくりな笑顔を浮かべていた。

「じゃあ仕方ないわね、紫」
「じゃあ仕方ないわね、幽々子」


お二人とも、分かってくれたんですね。


「これ全部を、部屋中に並べておくことにするわ」
「そうね。妖夢の驚く顔が楽しみだわ」


頭の中で超新星爆発が起きた。
その向こうで、ケプラーとニーチェが手を振っている。
悦びは人生の要素であり、人生の欲求であり、人生の力であり、人生の価値であるけど、そのせいで神は死んだ。
モウダメダ。

「妖夢にはちゃんと言っておくわ。これは全て妖夢のために、藍ちゃんが選んでくれたって」

酷すぎる。
寝起きに出会った最悪な光景に、血の涙を流して主に食って掛かり、真相を知る妖夢。
彼女に幻滅され、罵倒される九尾の狐の姿が目に浮かぶようだ。

「じゃあ早速並べるとするわ」
「いいわよ、式にやらせるから。藍、さっさとやりなさい」

本物の鬼かあんたは。
これ以上私に罪を犯させるというのか。
だが逆らうすべはない。

私は涙をこらえて、トロンボーンが一番映える位置を考えた。

ああ萃香様。鬼は確かに幻想郷にいましたよ。
私が自信を持って推薦します。
だからマヨヒガから持っていってください、頼みます。

しかし、私は意外な人物に救われた。

「だめよ。これは私の楽しみなんだから。藍ちゃんには渡せないわ」

自由の女神像を抱きながら、幽々子がウィンクしてくる。

助かった。
ありがとうございます幽々子大明神様。貴方が女神に見えます。
そして妖夢、いや妖夢様、本当にごめんなさい。
実は全然解決になっていません。

「そう。じゃあ目的は済んだし、次の寝顔に行くわ」
「行ってらっしゃ~い」
「…………幽々子様、お邪魔しました」

一礼して、私は主とともに去ることにする。

早速犠牲者が一人か……。
起きた妖夢がショックのあまり、全霊化しないことを祈る。
こんなことが、あとどれくらい続くのだろうか。

幽々子に見送られながら、私は陸のセイウチよりも重い足取りで、スキマへと入った。




※※※※※




電車は進む。
星が綺麗だ。あの星座は、妖夢の顔に似ているな。うるうる。

「お客さん。悲しみは時が癒してくれますよ」
「………………」
「愛しい~狐が~すごい目で~睨んでくる~♪」
「……その愛しい狐にもう少し優しくしてもいいんじゃないでしょうか」
「私は車掌さんなんでわかりませんわ」

うわ。今宵は都合の悪いときだけ車掌さんになるつもりですね、わかります。

「それじゃあお客さん。次はどこにします?」
「どこでもいいです。でも、できるだけ、胃が痛まない場所にしてくださいよ……」
「わかったわ。それでは、次の停車駅は紅魔館。一名様ご案内~♪」

私の話を聞いていたんですか貴方は。
やがて、星明りに薄紅色に輝く、大きな屋敷が見えてきた。




※※※※※




吸血鬼の住まう館、紅魔館。
そして吸血鬼といえば夜行性。
つまり、そのお屋敷が賑やかになるのは、大抵は夜だということだ。

ただし、今夜は例外。
紫様のかけた術によって、住人は全て眠っている。
明かりはついていても、静かだ。

西洋風の立派な正門の前に、3500系が音を立てずに停車した。

「着いたわよ藍」

主と共に、列車から降りる。
ふうむ、この館に門から入るのは、初めてかもしれない。
今回も招かれざる客ではあるけれども。
冷えた空気の匂いを嗅ぎながら、私は辺りを見回した。

「門番はいませんね。てっきり門の前で眠っているのかと思ったのですが」
「寝所にいるのよ、きっと」
「今夜は当直じゃなかった、ということですか」
「大間違い。今回仕掛けた術は、強制的に睡眠状態へと移行させるものではないのよ」
「え、そうだったんですか?」
「言わば、睡眠へと誘う術。かけられたものは、いつもの寝所で眠りたくてたまらなくなるの」

なるほど。考えてみれば、もし術にかかってすぐに意識が消えるのであれば、そこら中にぶっ倒れている妖怪がいてもおかしくはない。
高所を飛んでいた妖怪は、墜落して大怪我することになるだろう。
この方はそこまで考えた上で、術をかけていたのか。
……その用意周到さが、悪戯のため、というのが困った話だが。

「だから、術を感知し、それに対して強い精神力でのぞめば、防げないこともないのよ。
 まあ、そんじょそこらの妖怪には無理な芸当でしょうけど。ここの住人もダウンしたみたいね」

あらためて、我が主の凄さを思い知った。

「じゃあ、中に入りましょうか」

先導する主に付き従って、私は眠りについた紅魔館へと足を踏み入れた。




※※※※※




赤い絨緞の敷かれた廊下を二人で歩く。
左右に並んだ蝋燭が、おぼろげに揺れる。

前を行く主は寄り道せずに、館の奥へと向かっていた。
この方のことだから、館中に悪戯書きをする可能性も考慮に入れていたのだが。
ふむ。寝顔を見るという目的に絞っているらしい。

やがて、ある扉で紫様は立ち止まった。
私も立ち止まって、ふと気がついた。
主の顔に愉しげな笑みが浮かんでいる。

「……素晴らしい逸材ね」
「…………ですね」
「じゃ、藍」
「ええ」

私はそのドアを開けた。

すかさず、千を超えるナイフが飛んでくる。
あらかじめ障壁を用意していた私は、銀の刃を全て受け止め、そのまま擬似空間へと葬り去った。
横の主は微動だにしなかった。

「………………」

奥からは何の物音もしない。
起きている気配も無い。
私は主に、待つように手で合図して、先に部屋へと入った。

必要最低限の家具しか置いていない、簡素な部屋だった。
赤を基調とした紅魔館の内装と違い、壁やカーテンの色も白い。
塵ひとつ落ちていない床は、部屋の主の性格をよく表していた。

薄い水色のベッドの上に、紅魔館のメイド長が眠っていた。

「眠る寸前にトラップを仕掛けていたのね。人間にしては…………」

ヒュン。

主の喉に向かって飛んできたナイフを、私は指で摘まんで止めた

「……上出来」

主は低く笑った。

私は感嘆していた。
最初のトラップは囮で、本命はこの一撃。
いや、このメイドのことだから、他にも罠が仕掛けられている可能性がある。
まどろみへと落ちるわずかな時間で、これほどの手を打つとは。
明らかに、普通の人間のレベルを超えている。

「でも、こういう趣味は普通なのね」
「クマのぬいぐるみですか」

枕元にあったその黄褐色のぬいぐるみは、所々色がはげていた。
子供の頃から大切にしていたクマさん、とかかな。

「よくやったで賞、ということで、このクマに眉毛を書いてあげましょう」
「やめましょう。ズバリありがた迷惑でしょう」

油性サインペンを取り出した主の腕を、私は必死に摑んで止めた。

「わかったわよ。海苔の眉毛なら問題ないでしょ」
「まあ、それなら。って変わりませんよ!」

浅草海苔を取り出した主の腕を、私は必死に摑んで止めた。

「仕方ないわね。それじゃ悪戯はやめて、隣の部屋に行くわよ」

メイド長の隣の部屋、というと……。

「……たぶん、この部屋の数倍凶悪なトラップが仕掛けられているんじゃないでしょうか」
「完全で瀟洒な従者。お手並み拝見といったところですわね」




まさしく、隣の部屋で味わった罠は、凶悪なものばかりであった。

ドアの取っ手には電気ショック。
落ちてくるシャンデリア。
四方八方から迫るナイフ。
壁からはポマードまで飛んできた。

「失礼ね。私は口裂け女じゃないわよ」
「対応したのは全部私ですが」

立ったまま何もしない紫様に、軽く愚痴を言ってみた。
残念ながら、ポマードはかわせず、袖にちょびっとついたのだ。

「くんくん。ちょっと鼻にきますね、これは」
「少し動きが鈍ったんじゃないの?」
「いやいや。大した物ですよあの娘は」
「ここのお嬢様も幸せ者ね。あんな従者に守られて」

その赤くて大きな部屋は、従者とはいかなる点でも対照的な部屋だった。
数々のアンティークが部屋のインテリアを絢爛なものにしている。
天蓋つきのベッドで、永遠に幼き赤い月、レミリア・スカーレットが眠っていた。

「まったく。可愛い顔して。それでいて、起きて暴れられると厄介なんだから困るわね」

主はレミリアの頬を指でこねくりまわしている。
吸血鬼異変の時のいざこざのことを言ってるのだろう。

「暗い部屋ね。明かり取りの窓をいくつかつけてあげましょう」
「そういう悪戯はやめてください」
「起きたら気分爽快ハイになってるんじゃない?」
「灰になってますよ」
「まあ、寒いわね藍」

あんたが言わせるんでしょーが。言わなきゃスネるだろうし。

「壁に八雲藍参上って書こうかしら」
「どうぞご自由に」
「あら止めないの?」
「たぶん怒りの矛先は紫様に向かうでしょうし、私は疑われないかと。日頃の行いというやつですよ」
「冷たいのねぇ」

冷たくもなりますよ。
今夜は貴方に叩き起こされてから、現在進行形で幻想郷の平和を守ろうと必死なんですから。
これで温かくなれたらアルティメットブッダです。

「でも、本当の目当ては、この吸血鬼ではないのよ」
「え?」
「藍。こっちへいらっしゃい」

紫様に誘われるまま、私はレミリアの寝室を出た。




「ここは……」

そこは紅魔館の地下深くだった。
階段を覆う湿った岩の壁には、不思議なことにカビや苔の臭いが無い。
そこを降りた先、目の前には巨大な金属製の扉があった。
暗い中でも分かる緑色がかった白さは……銀が使われているのだろうか。
私はそれに触れずに、手をかざしてみた。

「……む」

すぐに手を離す。
恐ろしく強力な封印がかかっている。
許されざるものは入るべからず、という古典的なものだ。
だが、これほどの力でかけられたものは、見たことが無い。

「藍。貴方にこれが開けられるかしら?」

横の主に問われて、私は冷静に分析した。

「かなり厄介ですが……全力で取り組んで丸一日。……いや、二日でしょうか」
「そんなものね。ただし、他の事には気がついてる?」
「はい。二日で開けられるのは、ここが『外側』だから。
 しかしこの扉には、中の者を閉じこめるための封印もかかっている。
 そちらの方がずっと強い。『内側』からなら、もっと手間がかかるでしょう」
「お見事。ここには、レミリア・スカーレットのジョーカーが眠っているのよ」
「ああ……」

それは噂には聞いていた。
悪魔の妹、フランドール・スカーレット。
姉をはるかに凌ぐ力を持ち、少々気のふれた危険な存在だとか。

「では、レミリアの妹君が、この扉の向こうに?」
「ええ。紅魔館の最奥で、孤独に過ごしている」
「…………」
「はい、開いた。」
「え?」

いつの間にか、紫様は扉に手をやって引っ張っていた。

「じゃあ、寝顔を拝見しに行きましょうか」
「な!? もう開けてしまったのですか! というか、入っていいんですか!?」
「おじゃましまーす」
「ちょっと、紫様!」

ギギギと音をたてて動きだした扉から光が漏れ出した。


その部屋は意外なほど明るく、そして広かった。
ランプは高い位置に並んでいる、天井はそれよりももっと高く、三階分はありそうだ。

部屋の奥のベッドで、吸血鬼は眠っていた。
姉に比べると、寝具自体は比較的地味なものだったが、その上で寝る存在は際立っていた。
背中の羽が歪な形を描いて、七色の宝石のような輝きを見せている。
薄い色の金髪の下に、血の気の無い白さの寝顔がある。

彼女がフランドール・スカーレットか。
一見普通の少女だが、毒々しい色の羽がどうしても目立つ。
それが、隣に転がっている腹が破けたぬいぐるみと合わさって、うす気味悪い雰囲気を出していた。

「綺麗な羽ね」
「…………」
「ぷにぷに」
「頬をつつくのはおやめください」
「可愛い顔しているじゃない。姉より趣味のいい部屋だし」

確かに、部屋の中は特に赤や白で統一されているわけではないし、家具もいたって普通のものだ。
どことなく子供の秘密部屋のようだった。

「空調も効いていて、家具もそろってますし。意外に快適だったりするんでしょうか」
「ただ住む、ということと、閉じこめられる、ということは違うわよ」
「そうですね……」

小さな丸テーブルに置かれた、一つしかないティーカップが寂しげだった。
どんなに広くて快適でも、彼女にとってここは牢獄なのだろう。
私は彼女の人生に思いを馳せた。

「さて、どうやって出ましょうか」
「は?」

信じられない一言に、私は振り向いた。

「だって、入るのと違って、ここから出るのは、とっても難しいのよ。困ったわね」
「いやいやいや!」

私はパニックに陥った。
すでに扉は閉まっているのだ。

「どうするんですか! 朝になって、誰かが入ってきたりしたら言い逃れできませんよ!」
「この子のお布団に入らせてもらって、隠れていればいいんじゃない? こんな風に」
「ふざけないでください! バレバレですよ! レミリアに見られたら戦争が起きます!」

ベッドで安らかに眠っているフラン嬢の布団に、上半身を突っ込んでいるスキマ妖怪。
なんて醜い姿だ。姉ならずとも、殲滅したくなる光景だ。

「う、う~ん」

とそこで、フランドールが寝返りをうった。

「しまった! 起こしてしまう!」
「大丈夫。まだ術の効果は続いているわ。ただの寝言よ」
「そ、そうですか」
「……お」
「お?」


「お姉様……」


フランが目を閉じたまま呟いた。
その言葉に、私も紫様も絶句した。


「行かないで……お姉様……」


細く透き通るような声だった。
彼女はどんな夢を見ているのだろうか。
その手にシーツが握り締められている。

「紫様」
「……あのお嬢さんは、どんな意図で彼女を封じているのかしら」

主の表情から笑みが消えていた。

「………………」
「一度逃がしてみるか」
「え?」
「まあ、それはまた今度の話かしら。今やったら大騒ぎになるし」

くるりと背を向けて、主はスキマを開いた。

「じゃあ、次へ行きますか」
「え。出られないんじゃなかったんですか?」
「冗談に決まっているでしょ。……ああ、さっきの開錠のこと? あんなもの一瞬ですんだわ。
入ってからの出口を作るのに、ちょっと時間がかかったのよ」

化け物やないか。
ちょっとって、二分もかかってなかったやんか。

「ほら。次に行くわよ」
「…………はい」

橙、ごめんよ。私が主に追いつくには、まだかなり時間がかかりそうだ。

あまりの実力差にがっくりと肩を落として、私は主人の後をついて、フランドール・スカーレットの部屋を出た。




※※※※※




紅魔館を去っていく列車の中で、私は窓の外をぼんやりと見ていた。
あそこの住人たちの不思議な関係を思い浮かべながら。

人生の殆どを牢獄の中で過ごす吸血鬼。
式とはいえ、外の世界を飛び回る機会の多かった私からすれば、想像も出来ない人生だ。
ただ、あの時呟いたあの一言。
彼女は姉に、家族として認めてもらいたがっているのだろうか。
その気持ちなら分かるし、想像できる気がする。
なぜなら……。

「じゃあ、次はどこがいいですか、お客さん」

問い掛けられて、私は思考を止めた。

「そうですねぇ。白玉楼、紅魔館とくれば……」
「永遠亭ね。もう向かっているわ」

紫様は私の言葉の後を継いだ。
このお方のことだから、最初から途中駅の一つに決めていたのだろう。
永遠亭は迷いの竹林の奥にある。
列車はその竹林の上を飛びながら、目的地へ向かっていた。

ぴくり、と私の耳が動いた。
顔を上げて、前方を見やる。

「紫様。様子が変です」
「………………」

主は無言。
だが車両は、永遠亭に着かないまま、空中に停車した。

遠くの竹林が妙に明るい。
そして騒がしい声が聞こえてくる。

「藍、降りて隠行で近づくわよ」
「わかりました」

私達は列車を飛び降りながら、姿を消す。
そのまま、永遠亭と向かった。



竹林の中でひっそりとたたずむ永遠亭……のはずが、今夜は叫び声が絶えなかった。
いくつも篝火が焚かれており、鐘を打ち鳴らす音が聞こえる。
その明かりの下で、百を超える兎が駆け回っていた。

「うおー! どっからでもかかって来なさい!」
「休まず動き続けろー!敵は必ず今夜やってくるぞ!」
「寝るなー! 絶えず燃料を補給しろ!」
「手ぇ空いてる人はこっち手伝ってー!」



「これは……どういうことですか?」
「さあね」

私の疑問に、主は興味の無さげな声で返してくる。
先ほどの紅魔館と違って、ここはまるで戦場だ。
寝ている兎の姿が見えないのはどういうことだろう。
紫様の術が効かなかったということか。

…………だがいずれにせよ、

「私たちを迎え撃とうとしているんでしょうね」
「そうね。じゃあ藍。姿を見せてあげましょうか」

私たちは隠行の術を解いて、空から庭へと降り立った。
すかさず、兎のうちの一匹に見つかり、続々と叫び声が上がる。

「き、来たー! 出たぞー! ここだ!」
「ひるむな! ここは絶対に死守するんだ!」
「おのれえ! お前たちのせいで眠れないんだぞ!」
「早く永琳様と鈴仙に!」

ギャーギャー

「………………」


まあ、起きていれば当然こんな反応だよね。もろ不法侵入だし。
百匹を越える兎の叫び声。やかましいこと、この上ない。
主は車掌服姿に似合わない扇子を開いて、その様子をのんびりと眺めていた。

「どうしますか? 紫様」
「まずは親玉と話すわ」
「親玉。なるほど」

やがて、騒ぎが小さくなっていく。
兎の群れが二つに分かれる。
その向こうから、件の親玉が現れた。

「こんな時間に何のご用かしら。胡散臭い妖怪と怖い顔の妖怪さん」

永遠亭の頭脳、天才薬師こと八意永琳である。
私の横に立つ主は、扇子をパチンと鳴らして閉じた。

「さすがは月の天才。自らだけではなく、これだけの兎を術から遠ざけるとはね」
「貴方ほど誉め言葉が似合わない存在もいないわね」
「師匠にかかれば、こんなもの何でもないわよ」

永琳の後ろから、彼女の助手である鈴仙・優曇華院・イナバも現れた。

ん? 何だか様子がおかしいぞ。
身にまとう気配がたたものではないし、表情も凄みを増している。
あの兎って、あんなに怖かったっけ。

そして……ああ!?
耳がへにょりどころか螺旋状になっているし!

「これぞ、師匠が開発した不眠薬! 『えーりんZうどんげ印』よ!」

妖しげな栄養ドリンクを手にポーズを決める鈴仙。

「すっぽん、うなぎ、マムシ、朝鮮人参、マタタビ、その他あらゆる精力剤を調合し、飲んでは死ぬまで走り続けるほどの一品。
 試しに実験用のカメに飲ませたら、回転しながら宇宙の彼方に飛んでいったわ! ハァハァ」

どこの怪獣製造薬だそれは。
鈴仙の息も何か荒いし。
清純派の彼女をここまで貶めるとは、何て恐るべき薬だろうか。
マッドサイエンティストの永琳の方は落ち着いた表情だが。

「これほどの術をしかけたからには、何か良からぬことを考えているんでしょ妖怪さん」
「寝顔を拝見しにきただけよ」
「やはりね……。予想通りだわ」

予想通りだったのか。
さすがは天才だ。
私は全然分からんかったぞ。

「さて、二人ほど姿が見えないようだけど」

主の言葉に、私は兎の群れを見渡した。
いや、別にこれだけの数の兎を覚えているわけではないけど。

あれ? 
あの詐欺兎と姫の姿がいないな。

「私達の目的は、寝顔を拝見すること。たかがそれだけのことに、これほど警戒するとは」
「………………」
「これは絶対に見逃せませんわね。貴方の姫様の寝顔を」
「…………!」

永琳の体から殺気が噴きだす。
それに感化されたのか、兎達も再び騒ぎ出す。
スパイラル鈴仙が、指で銃の構えを取って、主に向ける。
私はそれを庇える位置に移動した。
紫様が扇子を広げて、無情に笑う。

「抵抗なんて無駄よ。痛い目にあいたくなければ、道を開けなさいな」
「その言葉、そっくり返すわ。泣こうが喚こうが、まともな姿で帰れるとは思わないことね」
「それは残酷な話ですわね。…………藍。やってしまいなさい」
「かしこまりました」


主の言葉に、私は前に出た。
永遠亭の面々が身構える。
私はそれらをギロリと睨み渡し、大音声を放った。




「本当にごめんなさい! うちの紫がご迷惑をおかけしました!」

私を除く全員がコケた。

「ちょっと藍!! 何で謝るのよ! やっつけなさいって言ったでしょ!」
「だって紫様。どう考えたって悪いのはこっちですよ」
「ああもう、考えが甘いわね藍。寝顔ごときにこの警戒態勢よ。異変の臭いがするでしょ」
「異変って、どんな異変ですか」
「もちろん寝顔異変よ。略して顔変。つまり顔が変。恐らく永遠亭の存続に関わるほどの寝顔に違いないわ。
 もしくはそれ自体が強力な兵器かもしれない。幻想郷の危機よ」
「どんな寝顔ですか!」
「だから、それを見にいくのよ!」
「攻撃開始! 殺しても構わないわ!」
「うわっ」

本当に攻撃してきたし!
まさか、姫の寝顔が見られたくない、というのは本当なのか?
てっきり侵入者に対するレベルの警戒だと思ったのだが。
しかし、こうなった以上、不本意ながら戦闘は避けられない。

「藍。道を開けるわ。行きなさい」
「……わかりました。はあっ!」

迫り来る弾幕をかいくぐって、私は主の援護を背に切り込んだ。
殺気立って飛び掛ってくる兎共を、次々となぎ払う。
もちろん、手加減はしている。たかが寝顔ざたで、怪我させてしまうのも気の毒だ。

そのまま縁側から館内に飛びこもうとしたとき、

「たあっ!」

鈴仙が弾を撃ちながら、突っ込んできた。
宙を蹴りながら、移動しつつそれをかわす。

「ここは通さないわ!」
「悪いが、通らせてもらう!」

私も防御用に弾幕を放ちつつ、一度地面に降り立った。

向こうでは、紫様と永琳が対峙している。
頭がくらくらするほどの頭脳戦……ではなく、つかみ合いのキャットファイトだった。
気が合いそうね、あの二人。

と、鈴仙も格闘戦をしかけてきた。
伸びてくる拳は、私からみれば未熟そのもの。
軽くその手を払うだけで、倒そうとする。
しかし無謀にも、体ごと勢いのまま、飛び込んでくる鈴仙の顔は……。

渦を巻いた赤い目。

「!?」

しまった!
すぐに目を閉じて、気配だけでつかんだ鈴仙を思いっきり投げ飛ばした。
しかし、一瞬だったが、狂気の瞳をまともに見てしまった。
謎のドリンク効果なのか、予想以上の威力だ。

「ぐっ!」

いかん、狂ってしまう……!
足元がふらつく。
体が重くなる。

ここまでか。
紫様、ごめんなさい……。


…………。


「エート。アナタハ、オヘソガアリマスカー?」
「藍! しっかりしなさい!」
「はっ、紫様!」

式を通した主からの渇に、瞬時に私の意識が戻る。
押さえつけようと武器を手に詰め寄っていた兎共の前で、私は体を一転させた。
九つの尾を真っ直ぐに伸ばし、的確に兎たちの鳩尾を突いて気絶させる。
そのまま、廊下を駆け抜けようとしたところで、スキマが目の前に開いた。
迷わず飛び込んだ。




スキマを抜けると、そこはどこまでも続く廊下、永遠亭内部だ。
はるか彼方まで、同じ襖が左右に並んでいる。
侵入者を惑わすための造りだろう。
ただし、目の前の襖だけは色が違った。

「ここか……」

この向こうに、件の姫君がいるのだろう。

襖に手をかけて……。
私は思いとどまった。

果たしてここで素直に寝顔を覗いてしまっていいものか。
永遠亭との繋がりは、修復不能になるほど険悪な関係になるだろう。

しかし、幻想郷の危機に関係するとなれば、見逃すわけにはいかない。

覚悟を決めて、一気に引き開けようとしたとしたとき、

「むっ」

私は後ろに跳んだ。
その前を、手裏剣が過ぎていく。
飛んできた方向に目をやると、外にはいなかった兎が一人立っていた。
永遠亭の参謀。詐欺兎の因幡てゐ。
ここで待ち受けていたのか。

「最後の砦がお前だったとは意外だな」
「ふん。この仕事は、間抜けな鈴仙には務まらないからね」
「大した自信だ」

だが、私から見れば、どちらも小物でしかない。とりあえず眠ってもらおうか。

私は間を詰めようと一歩進んだ。

そして、

「ぐわあああああ!!」

突然、てゐが悲鳴を上げて倒れた。

「ど、どうしたんだ!?」
「うぐぐぐぐ」

てゐの苦悶の声はやまない。
胸をかきむしりながら白目になっている。
私は慌てて駆け寄り、仰向けにして状態を見た。

「大丈夫!? しっかりしなさい!」
「って、心配してどうするのよ。そんな怖い顔で」

いきなり真顔に戻って指摘してくるてゐ。

「は? 苦しんでいたんじゃ」
「ぐああああああ!!」

再び苦しみ出すてゐ。

「おのれ鈴仙めええええええ」
「………………」
「手裏剣に毒を塗っていたとはああああ」
「………………」
「ああいけない、これでは姫様の寝顔が見られてしまうううううう」
「………………はぁ」


私はため息をついた。
ようやく、こいつが何を考えているのかが分かったのだ。

「もう演技はいいよ」
「あっそ」

苦しんでいたはずのてゐは、ぴょこんと立ち上がった。

「じゃあ、さっさと見ていったら?」
「お前は永遠亭の味方じゃないのか?」
「いやあ、そうだけど、あれはやっぱり見てみた方がいいって。お代はお一人様五千円で」
「高いね」
「それだけの価値はあるんじゃないかな」
「ふうむ」

少し考えて、私は懐から財布を取り出し、壱万円札を兎に差し出した。
てゐはその紙幣を引ったくり、透かしてみたり、指でこすってみたり、念を送ったりしている。
やがて、眉をひそめて、こちらを見てくる。

「これって本物なの?」
「ふふ。いい木の葉が手に入らなかったんでね」
「少しは値段交渉してみたりしない?」
「いや、あの迫真の演技には参った。その値段も入れてある」
「あれくらい見破ってよ。鈴仙はいつも騙されてるけどね。じゃ、どうぞ」

てゐが腰を低くして部屋を勧めてくる。
それに従って、私は襖を開け……

……かけてやめた。


「………………」
「どうしたのよ」
「どうやら、お前さんの裏切りはバレていたようね」
「…………なっ!」

襖が開く。
途端に部屋の中から、白い煙が爆散する
泡を食ったてゐを抱えて、私は廊下を走り出した。
後ろから煙が、廊下を満たしながら襲いかかってくる。

「なかなか厄介だな」
「むむむ、師匠は騙されなかったか」
「どうやら壱万円は返してもらうことになりそうだ」
「ちょっと! 一度払ったんだからダメだよ!」
「煙に投げ込まれる方がお望み?」
「……あー、今はそんなことを話している時じゃないでしょ。……そこ右行って!」

急な指示にも落ち着いて、私は右へと飛ぶ。
どのような仕掛けだろうか、煙は私達を追い続けている。
結構な速度で飛んでいるのだが、追いつかれそうな勢いだ。

「マズいな。姫の居場所に心当たりはないのか?」
「えーと、師匠のことだから、たぶん私の考えもしないところ」
「おっ、それなら何とかなりそうね」
「そこの角を左で」
「わかった。右だな」

私は再び右折する。

「その階段を上がって!」
「つまり、この階段は無視して真っ直ぐね」
「…………何かムカついてきた」
「我慢してくれ」

長い廊下が続く。
方向感覚がおかしくなってくる。
今はとりあえず、脇に抱えたこの兎が頼りだ。

と、遠くの突き当たりにも煙が現れた。
このままじゃ挟み撃ちだ。

「むむ、どうする?」
「あ! そこの部屋! 絶対姫はいないよ!」
「そこか!」

私はすかさず急停止。
襖を開けて飛び込み、後ろ手に閉める。
手早く御札を貼って、煙が入ってこないように封印した。
てゐは息をついて座り込んだ。

「はーっ、助かった」
「ここで間違いないのかな」
「うん。姫様の部屋よ。いつの間に場所を移動したのかな~。全然気がつかなかった」
「だが……姫の姿が見えないようだが」

部屋の中央には白い敷布団だけがあった。
てゐはニヒヒと笑って、部屋の隅を指差した。

そこには、赤い刺繍の入った豪華なかけ布団が丸まっていた。

「なるほど。寝相が悪いようね」
「実はそれだけじゃないんだなー♪」
「…………?」

私は不思議に思って近付き、その布団をそっと持ち上げてみた。

「うわっ!」

そこには死体があった。
目と口をくわっと開き、身体全体が硬直している。
蓬莱山輝夜その人だった。

「どういうことだ?」
「あはは、死んでないよ。姫様は死なないもん。眠っているだけ」
「死んだように眠っているというわけか?」
「そう。ずっと前に、『ついに知った! このポーズが、一番疲れが取れるわ!』って」
「……………………」
「妹紅との殺し合いで、死に慣れしちゃってからかなー、やり出したのは」
「……………………」

蓬莱人の考えることは分からない。
だが、永琳と慧音殿が、二人の殺し合いを止める理由が分かる気がした。

と、

「すでにたどり着いていたのね。さすが藍。」
「やっぱり裏切ったのね。さすがてゐ」
「紫様」
「げっ、師匠」

私たちが振り向くと、そこには服や髪が乱れて、顔にひっかき傷を負った二人の賢人がいた。

「まあ……知られてしまっては、もう戦う理由がないわね」
「ふふふ。いい寝顔じゃないの」

その言葉に、永琳が苦々しい顔になる。
確かに、永遠亭の当主がこんな寝顔だったら隠したくもなるか。

「さ、もう用は済んだから、帰りましょ。藍」

主は何事もなかったかのように、スキマを開く。
だが、私は黙っていられなかった。

「八意永琳」
「何かしら狐さん」

私はすうっと息を吸い込んで、

「この程度で恥だと思うなうつけ者! 寝相がなんだ!目を開けて眠るのがなんだ! 
 まだ常識的なほうだ!私の主なんて、庭で寝てたりするんだぞ!」

一同はぽかんとしている。

「それだけじゃない!イビキでモーツァルトを奏でたり、歯ぎしりで窓ガラスを割ってみたり。
 たまに寝言がホーミーになってたり! おまけに起こそうとすれば数々の伝説の柔道技で返してくるし! 
 大人しいときも尻尾を枕に貸せばよだれをつけるし、毛をむしってしまうし! 
 それに比べれば可愛いもんじゃないか! 日頃の私の苦労を少しはわかって……いだだだだ!?」
「さあ藍。次に行くわよ」
「耳を掴まないで!ちぎれますって!」

呆然とする永琳とてゐを残して、私達は輝夜姫の寝室を後にした。




※※※※※




列車の中で、運転席の紫様は不機嫌だった。

「まったく、失礼な式ね。私がいつ、いびきをかいたのよ」
「そうですね。失礼しました」

確かに、普通の人が聞けば、あれはいびきに聞こえませんよね。
むしろ『フィガロの結婚』に聴こえます、はい。

「じゃ、次はどこにする?」
「う~ん。あ……」

そう言えば、この近くの竹林に藤原妹紅殿が住んでいたな。
しかし、彼女にはこの前、橙がお世話になったという礼がある。

「……思いつきません」

とりあえず、私は誤魔化した。
あそこは停車駅には避けたいところだ。

「そう。じゃあ、あの蓬莱人の家にでも行きましょうか」

くそう。わかってましたよ、私の願いなんて届かないことくらい。
無事に終わってくれればいいけど。


妹紅殿の家は、一人暮らしなこともあってか、藁ぶき屋根の簡素な家。
以前来たときは、少し覗くだけで、中には入らなかったので、内装については知らない。

「あまり悪いことはしないでくださいよ」
「あら。何か借りでもあるの?」

あると言えばありますけど。

「彼女がいい人間だということは保証しますよ」
「いつから仲良くなったのかしら?」
「この前のイワナの件ですよ。実をいうと、次に釣りに行く約束もしているんです。
 できれば、このまま友好な関係を築きたいのです」
「あら、そうなの」
「はい、そうです。ですから、厄介事は避けたいというか」
「すでに、とんでもない事態になっているようだけど」
「はい?」
「気づかないの? 気配を嗅いでごらんなさい」

言われて私は、家の気配を探ってみた。
中からは当然、寝ている妹紅殿の気配が……。

あれ? 

「二人いる? しかも、これは……」
「ワーハクタクも一緒のようね」
「はあ……そのようで」

まあ、あの二人は友人同士なので、どちらかの家に泊まることもあるだろう。

「今二人は、同じ屋根の下で寝ているということね」
「………………」
「…………ニヤリ」
「…………って! 紫様!?」

主の言わんとするところに気がついて、私は慌てた。

「ふふふ。何だか怪しいわね、この雰囲気」
「いやいやいや、まさか! あの二人はただの友人の関係だと」
「友人以上の甘い関係だとしたら?」
「そんな馬鹿な! 女同士ですよ!」
「幻想郷は全てを受け入れるの。それはそれは素敵なことですわ」
「えっ? 嘘。ちょっ。本当に?」
「じゃあ、ちょっと確かめてみましょうか」

ゆらりと戸口へ向かう主の前に、動転した私は両腕を広げて立ちはだかった。

「お待ちください! ここの寝顔はやめましょう!」
「同じお布団で寝ていたらどうする?」
「何だっていいじゃないですか! 馬に蹴られて死ぬよりはマシです!」
「突撃、隣の床事情~♪」
「だめですって! これじゃ、ただの出歯亀です!」
「……………………」
「ほら。もうここはいいでしょ! 早く行きましょうよ!」
「…………藍」
「まったく紫様はこれだから……」
「ら~ん」
「ぐいぐい……なんですか?」
「貴方、何してるの?」

何って……紫様の腕を引っ張って……。



げっ!?

「私のおつむとおめめが確かならば、貴方は車両じゃなくて、その家に私を連れ込もうとしているようだけど」
「ち、ちがっ」

あ、あれ? おかしいな。何でこんなことに。

「へえ、藍も興味津々だったのね」
「そ、そんなわけないじゃないですか!」
「や~い、エロ狐~」

わ、罠だ! 陰謀だ! 紫様が境界を操るか何かして、行く方向を変えてしまったのだ!
そうに決まってる!

「まあ、藍がそこまで見たがるなら、しょうがないわね。入るわよ」
「あわわわわ」

ドキドキワクワク。
緊張にとらわれつつ、私はその家に入った。



こじんまりとした室内は、どうにか敷き布団を二つ並べられるほどの広さであり、実際に布団の数は二つだった。
それぞれの布団で、妹紅殿と慧音殿は眠っていた。
特にその……色事の様子は見られない。

ふう。ホッとしたような、がっかりしたような。

「どうです紫様。この狭い部屋に布団は二つ。彼女らが、ただの友人であるという何よりの証拠でしょう」
「そうね。別に何もなかったわね」
「じゃあ、帰りましょう。寝顔も見れたことですし」
「ええ」

その返事に満足して、私は外へと戻ろうとした。
その時、

「だが見破った!」
「何ぃ!?」

突然。
主は気合の声と共に、並んで眠る二人の布団を同時に剥ぎ取った。

「なっ、こ、これは!」

私は仰天した。

かけ布団の下の彼女達は、色さえ違えど、同じ柄のパジャマだったのだ!

つまり……ペアルック。

「うそぉ…………」
「いい眺めね。昼間は違う服装、けれども夜は互いに同じ服装。これはどういうことかしらねぇ」
「………………こん」

私はひとつ咳をした。

「えーと、『とても』仲が良い友人ということではないでしょうか」
「そうね。『念友』ということね、女同士の。他にも色々な言い方が……」
「い、言わなくていいですってば」

頬が熱くなってしまう。

何という事だ。
この二人は本当に恋人同士だったのだろうか。
この前、お邪魔したときは、本当にお邪魔だったんだろうか。
となれば、妹紅殿と二人で釣りに行くのは、まずいのかもしれない。
やはり、慧音殿も誘った方がいいのか。
いや、いっそ気持ちよく二人を送り出して留守番していた方がいいのか。
ううむ、悩みはつきない。
こんなときは橙を数えて落ち着くんだ。
橙は私と自分以外では割り切れない式。
私に勇気と落ち着きを与えてくれる。
橙、橙、橙、ちぇん、ちぇん、ちぇん、ちぇーん。

「じゃあ、もっと仲良くしてみましょう」
「なっ! なにをする気ですか」
「別に大したことはしないわよ。ただ、こうやって……」

紫様はしゃがんで、慧音殿の右手と妹紅殿の左手を手にとった。
眠ったままの二人は為すがままになっている。
主は含み笑いをしながら、互いの指をからませる。

「あっ、あっ、あっ」

私は思わず口に手を当てた。
ただし、目をそらすことはできない。

紫様はそのまま、そっと二人の布団の真ん中に手を置き、優しく布団をかけ直した。

「一見、分けられた二つの布団。だが、その実、見えない部分では、しっかりと繋がりあっている二人。どうかしら?」

こ、これは凄い……。
本来は、性のうえでも、種族のうえでも結ばれるはずの無い二人が。
他の者の前では、別世界の存在だと避けあう二人が。
心の底では、ぎこちなくも、互いの温もりを求めている。
なんて切なくも美しい光景だろうか。

「素晴らしいです……紫様」
「ええ。この二人を祝福したいわね」
「本当に。私は祈ります。二人に幸あらんことを」
「じゃあ、戻りましょうか。これ以上、邪魔しちゃ悪いから」
「ええ。きっと夢の中で、二人は結ばれていることでしょう」

こうして私たちは、実にいい笑顔で藤原妹紅宅を後にしたのだった。



外に出て頭が冷めた。
これって、本当にただの友人関係だったら、余計なお世話以外の何物でもないな。




(続く)
長いので分けました。
後半に続きます。


旧名:PNS
このはずく
http://yabu9.blog67.fc2.com/
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コメント



0.5400簡易評価
6.90名前が無い程度の能力削除
>>こんな時は橙を数えて落ち着くんだ。
>>橙、橙、橙、ちぇん、ちぇん、ちぇん、ちぇーん。

いや、どうみても逆効果だしwwwwww
後編行ってきまーすノシ
8.80名前が無い程度の能力削除
すごく面白かったです!ニーチェに吹いたww
10.90名前が無い程度の能力削除
続きを見に行くぜ行くぜ。

それと誤字発見。
冷仙→鈴仙
13.100名前が無い程度の能力削除
>目と口をくわっと開き、身体全体が硬直している。
>蓬莱山輝夜その人だった。

幻視して吹いたw
17.100名前が無い程度の能力削除
輝夜がやばすぎるwww

さて、後編行きの切符を買ってくるか。
26.100名前が無い程度の能力削除
楽しませていただきました
28.100名前が無い程度の能力削除
「オッタ 武器」でググると2番目で素敵なとこにつながりました
どこでこんなネタをwwww
30.100名前が無い程度の能力削除
あんた天才だよwwww
39.100名前が無い程度の能力削除
前編だけでテンション上がってきたんだがwwwww
おもしろい、次はどこに行くんだ!wktkしながら後編にいってきますw
41.100名前が無い程度の能力削除
>先に岩のついた剣
エクス○リバー持ってくるなw
後編もさっそく読むとします。
46.無評価PNS削除
>コメント10様
修正しました。ご指摘ありがとうございます。
53.100名前が無い程度の能力削除
先に岩のついた剣と聞いて真っ先にマスター○ードが思い浮かんだ
63.90名前が無い程度の能力削除
パチェの寝顔が無いのが残念。
たぶん誤字ありました
穏行→隠行
64.無評価PNS削除
>コメント63様
あ、こっちの方が正しいですね、お恥ずかしい(笑)。修正しておきます。ご指摘ありがとうございます。
70.80名前が無い程度の能力削除
>先に岩のついた剣
妖夢だったら抜けなくもなさそうだが・・・。
抜けたら三刀流、妖夢の完成。
幻視できるぜ・・・「鬼切り!!」
72.70名前が無い程度の能力削除
 「…さすがね。気がついた」

 >>「…さすがね。気がついた?」では?
 本来のものが仕様ならすみません。
74.90名前が無い程度の能力削除
藍様なぜトロンボーンにこだわるww
75.無評価PNS削除
>コメント72様
お答えします。
この台詞は藍への問いかけではなく、賞賛ですので仕様でございます。
後編のある箇所をお読みいただければ、納得してもらえるかもしれません……と、余計な話でした、失礼(汗)
80.70名前が無い程度の能力削除
姫様が見せられないのは寝るとき全裸だからだよ! っていうのを期待していたのに……ッ
クソッ、なんて時代だ。
86.90名前が無い程度の能力削除
輝夜でダディのうわあああああAAがふと浮かんできたw
後半も期待させて読ませていただきます
99.100名前が無い程度の能力削除
105.90名前が無い程度の能力削除
久しぶりに読んで、今更ながら「寝言がホーミー」に吹いた。
聞きてぇ。
106.100名前が無い程度の能力削除
>>橙、橙、橙、ちぇん、ちぇん、ちぇん、ちぇーん。
ひどくなってるじゃねぇかwww
108.100名前が無い程度の能力削除
薬の実験だいになった亀……まさか玄爺?
111.100名前が無い程度の能力削除
色々とひどいw

誤字報告です
>常人には不可能な態勢
体勢
116.100名前が無い程度の能力削除
ガメラワロタww
128.100名前が無い程度の能力削除
何気に藍様もイイ性格してるw
しかも後編読んでからだと余計に破壊力がw

>身にまとう気配がたたものではないし、表情も凄みを増している。
ただものかと。