Coolier - 新生・東方創想話

「Sleeping Cutie ~小さなお姫さま~」

2008/09/21 11:51:16
最終更新
サイズ
5.54KB
ページ数
1
閲覧数
2421
評価数
8/48
POINT
2610
Rate
10.76

分類タグ


ーーーーーーーーー!!注意!!ーーーーーーーーー
この先、オリキャラがいます。
「○○×○○の娘」という重度のオリキャラであるため
嫌気・寒気を覚えた人はすぐに引き返してください。
ーーーーーーーーー!!注意!!ーーーーーーーーー


























 紅魔館のとある一室。
 そこは館の使用人の部屋であるのだが、一般的なメイド用のそれと比べてかなり広い。調度
品の類も良質な物が三人分も揃えてあり、その内の一人分はやや小さめだが真新しい。唯一、
ベッドのみ一基しかないのだが、それもキングサイズのダブルベッドで大人3人が並んで寝て
も、よほど寝相が悪くない限りは転げ落ちるような心配のない大きさである。
 そのベッドで部屋の住人――美鈴と咲夜は、薄手のタオルケットを腹ぐらいまでかけ、各々
翠と蒼の寝間着を着込み、向かい合うようにして横たわっている。二人の間はちょうど人が一
人分開いていて、そこには――
「…こうして、山の悪い巫女は博麗の巫女に退治されたのでした。その後、博麗の巫女は山の
神様と話し合って…」
「美鈴、もういいわ」
 咲夜は唇の前にそっと人差し指を立て、その指で咲夜と美鈴の間を指し示す。つられてそち
らを見た美鈴はジェスチャーの意味を理解し、顔に柔らかな微笑を浮かべた。
 桃色の寝間着を纏い、短く整えられた髪が見せる緩やかなクセは片方の母親のように、少し
薄まった紅の色はもう片方の母親から引き継いだように。深く結ばれた愛の結晶とも言うべき
小さな女の子――美咲は、美鈴と咲夜より頭一つ分くらい下がった位置で静かに寝息を立てて
いた。
「今日はちょっと、寝付くまで時間がかかりましたねぇ」
「美鈴が盛り上がるような話を聞かせるからよ」
 物語を聞かせていた時よりもトーンを落として囁きあう。
「やっぱり、咲夜さんが子守唄を歌ってあげた方がいいんじゃないですか?」
「そ…それは…うぅん…」
「咲夜さんの歌声、とってもきれいですしね。初めて聞いた時は本当に驚きました」
「やめてよ、もう…恥ずかしいじゃない…」
 咲夜は少し紅潮しながら視線を逸らすが、美鈴は期待をありったけ込めてまっすぐに咲夜を
見つめる。すぐそばで美咲が寝ているので大きく体を動かすわけにもいかず、どうしても美鈴
を視界の外にやれない咲夜は、それでも3分間努力をした後でようやく諦めた。
「…美鈴も一緒に歌ってくれるなら、考えてもいいわ」
「いいですよ。あとで教えてくださいね」
 美鈴は、まるで何を言うかがわかっていたかのようにさらりと返答した。
 一連のやり取りを完全に読まれていたと悟った咲夜が非難の声を上げようとした、その直前
だった。
「ん…ん~…」
 不意に美咲が声を発し、小さく寝返りを打つ。はっと身を強ばらせた二人の、咲夜側に転がっ
た美咲の頭は、そのまま咲夜の胸に軽くうずまった。くんくん、と匂いをかぐように鼻で呼吸
し、頭を軽くゆすった後、
「…まま…」
 ぽつりと寝言を呟いた。それからしばらく、美咲が再び愛らしい寝息を立てるまでは咲夜も
美鈴も無言のままだった。
「…胸だけで、わかるんですね…」
 美鈴が、からかったりするでもなく素直な感想を述べると、咲夜も無言でうなずく。
「おっぱいの味まで覚えてたりして…」
「それはそれで嬉しいじゃない」
 美咲の髪を優しくなで、梳きあげながら目を細める。
「あなたもそう思うでしょ、美鈴?」
「…そうですね」
 美鈴は自分の胸に手をあて、軽く揉んでみる。
 それは美咲を産んだ咲夜が、初めて美咲に授乳した日のこと。美鈴はたまたまその場に立ち
会っていただけだったのだが、美咲が咲夜の乳を吸い上げ、喉を鳴らしているのを見ていると、
自分まで胸が張ってくるような不思議な感覚を覚えた。それが美鈴の内で確信に変わった瞬間、
美鈴の胸の先端からも母乳が零れ始めたのだった。すぐに事態を理解した咲夜から美咲を渡さ
れ、胸を美咲に差し出した時に受けた、柔らかい唇と舌と、幼くも力強い吸い付き。
「あの時から…本当に大きくなりましたね」
 目を瞑れば去来する思い出に、美鈴は今の美咲を重ねてしんみりと呟いた。
「えぇ。もう少ししたら白沢の寺子屋に通ってる子供たちと同じぐらいになるのかしらね。美
鈴の…妖怪の血のせいなのか、成長も意外に早いし」
 既に髪から手を離した咲夜が相槌を打つ。その中のある単語に美鈴の眉がぴくりと跳ねた。
「寺子屋、かぁ…そうですね…」
「何? 通わせる気でいるの?」
「いえ、そういうわけでは…」
 要領を得ない返事に咲夜は少し顔をしかめた。
「教養はあるにこした事はないけれど、アイツの教えることはいまいちパッとしないのよね」
「知ってるんですか」
「私もソレを考えたことがあるのよ。その時、買い出しついでに見学したんだけど…ね」
 ふぅ、と静かにため息を吐く。しかし、美鈴はそれを特に気にとめた風でもなく話を続ける。
「寺子屋と聞いて、教えるなら早い時期から、それこそ今ぐらいからがいいかなぁ、って何と
なく思ったんです」
「何を教えるのよ?」
「お仕事ですよ。ウチの」
 美鈴の言葉に最初は目が点となった咲夜だが、それほど間をおかずに賛同した。
「あぁ…そうね、お嬢様の下にいる以上は必要なことね」
 美咲の寝顔に二人の視線が集まる。
「でもちょっと…かなり大変だけど、きちんと仕事をこなせるようになれるかしら」
「少しづつ、簡単なことから教えてあげればいいんですよ。大丈夫、きっと上手くやるように
なりますよ。なんたって、私と咲夜さんの娘なんですから」
「だといいわね。そして、いつかは…」
「門番副長に」「メイド副長に」
 同時に声を発し、思わず二人は目を合わせる。そして数秒ほどして二人は同時に噴き出した。
 しかしこの時、噴き出すのに反応したかのごとく、タイミングよく美咲が再び寝返りを打ち
「起こしてしまったか」と美鈴と咲夜は完全に固まった。だが美咲は咲夜から美鈴へと埋まる
胸を変えたのち、
「…おかあさん…」
 と、言葉を漏らしただけでそれ以上動くことはなかった。
 その様子を見て二人は胸をなでおろす。
「…寝ない?」
「そうですね」
 美咲がくっついてて動けない美鈴の代わりに、咲夜が美鈴の方ににじり寄り、顔を寄せる。
「おやすみ、美鈴」
「おやすみなさい、咲夜さん」
 互いの唇を軽く、だが吐息が混ざり合う程度に長く重ね合わせ、ゆっくり離したのを最後に
美鈴と咲夜は目を閉じる。

 窓から差し込む紅い月の光が、身を寄せ合う3人を見守り続けていた。



「おねーさま、私にも子守唄を歌って!」
「よしよし、それじゃぁ今度『魔王』を歌ってあげるわ」
「レミィったら本当に悪魔ね、眠らせる気はないらしい」
「子守どころか看取りですね~」
 原案:ttp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=1623839
 スペシャルサンクス:美鈴スレ住人
 ネタ元とさせていただいた方及び住人の皆様へ、ありがとうございます。

 ネタ元の方の記述では「美夜(めーや)」ということですが、自分的には「美咲」の方が
馴染みがありますので勝手ながら「美咲」で統一させていただいています。

 美鈴&咲夜さんの愛し合う姿が美しいことは言うまでもありませんが、二人の愛の結晶と
して「娘」がいたら…と考えたら鼻血を噴きそうになりました。エチぃ意味も否定しません
が、それ以上になんと言いますか、純愛の究極形としてこれほどのものはないだろう、と。
いやもちろん、子供の作り方を知らぬわけではないですが、それに一番大切なのは愛ですし、
そもそも妖怪×人間なんだから多少、過程が違うところで子供ができても不思議ではない、
なんてことでどうでしょうか。ダメですね。

 とはいえ、どれだけ私個人が愛の結晶だの究極の美だの叫んでみても、やはりオリキャラ
である事は事実ですので、快く思わない方も多いでしょう。ここまで読んでくださっている
方なら概ね心配ないとは思いますが、配慮として冒頭に注意文を掲載しました。

 ちなみに美鈴は「お母さん」、咲夜さんは「ママ」と呼ばれてるとかいないとか呼ばせて
いるんだとか。肝っ玉お母さんに教育ママでしょうか。修飾語はいらないですね。美鈴お母
さんに咲夜ママ、これで十分です。

 さて、美咲ちゃんを耳にしてから前述のような思惑がドンスタップザミュジトゥナイッな
日々だったのですが、なかなか創作にまでこぎつけられるようないいネタが浮かびません。
そうして悶々としているときに突如、スレで紹介された元ネタの絵。あまりの美しさに閃き
ました。いつも通りの他人頼み。んでもって生来の遅筆っぷりも手伝い今頃になって投下。
アホゥの極みですね。
 しかしながら、本当に元ネタの絵は素晴らしいですね。愛が駄々漏れ過ぎです。愛の神を
この絵に見ました。大げさなようですが真実はいつも一つです。

 ついにフランが加わりました。でも今回だけになる可能性も否定できません。というか、
フランに覗きは似合わない気がします。悪いコトは悪いヤツに任せておきましょう。良いコ
はお部屋でおねむです。

 いずれ美咲ちゃんは中学生ぐらいまで成長する頃には、美鈴と並んで門番したり、咲夜さん
(何故か若いまま)と一緒に雑務に追われる日常を過ごすようになるのでしょう。何ですか
この未来予想図。夢も希望も無限大。インフィニット。両親のバカップルぶりがインフィニッ
ト過ぎて呆れたり冷めたりしてしまう美咲ちゃんもいいですが。

 今回は男前美鈴×女の子咲夜さんレベルが低めなので、次回はそんなのが浮かんだらいい
なぁ、などと思いつつ。

 幻想郷は美しいですね。それはもう、他の言葉が当てはまらないくらい。
ママンズ命
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.1900簡易評価
1.70煉獄削除
あ~・・・・・美鈴と咲夜さんの娘・・・ですか。
どうやって子作りしたんでしょ?
永遠亭か、もしくはパチュリーに頼んだとか?
私としてはこれアリかなぁ。
なかなか微笑ましい雰囲気でした。
6.90ぴぴん@削除
読む人を選ぶ題材だと思うが俺は好きだ
7.70名前が無い程度の能力削除
まあバンコランとマライヒの間にも子供が生まれるくらいだし無問題!
9.100しがない美鈴スレ住人削除
まさか文にしてくださるとは、本当にお互いと美咲を大切に思っている感じがして
たまらんです。
10.100名前が無い程度の能力削除
ありがとう素晴らしい家族をありがとう。
最後の四行の。
15.無評価ママンズ命削除
>どうやって子作りしたんでしょ?
ここには書けないような事をしていると考えられます。ピンクでムフフ。
ただし永遠亭やパチュリーなど第三者の力は借りていない、というのが私の中の通説です。
何にせよ、お互いの愛が深く結び付いたら「娘」という結果になった、ということでこの場はひとまず。

>読む人を選ぶ題材
書こうと思い立った時点でその事は考えましたが、愛と美しさの力で大人の事情を押し切りました。決まり手。
書き上げてみればこうして読んでくれる人もいたことですし、結果オルラァイですね。

>バンコランとマライヒ
いやはやこれまた古いネタですね。残念ながらリアルタイム世代ではないですが。
他にも、同性同士だけど子供ができた、という何かを見た記憶がありますが…さて、なんだったでしょうか。

>本当にお互いと美咲を大切に思っている感じ
そうですね、そういうところを重視するようにして書きましたので、そこで共感していただけるのは
冥利に尽きるというヤツです。何分、元ネタの絵もそういう雰囲気が湧きまくりですからね。
外してはいけないパートといえるでしょう。

>最後の四行の。
しまった! そっちですか! しかし想定の範囲内! 外じゃないの? 外かもしれません。
この場合の、覗き趣味な方々として登場している分については、いわゆる冷やかしというか野次担当というかなんですが、
紅魔館が一つのファミリーという考え方はよくわかります。

皆様には喜んでいただけたようでなによりです。ありがとうございます。
26.100名前が無い程度の能力削除
pixivから飛んでまいりました。
ニヤニヤしながら読ませてもらいました。(赤く染まったキーボードを拭きながら
これは良い家族だb。
33.100例の奴削除
ピンクでムフフだと!?            よし、すぐに夜伽d(ピチューン
36.80名前が無い程度の能力削除
純粋によかった。
ただ贅沢を言うと、少し短い。
個人的には甘々な話はそれなりに長めに浸りたい。と言っても
ずっと甘いと飽きるから中篇くらいが丁度いいと思うのだけど、
他の人はどう思うんだろう。
37.無評価ママンズ命削除
>これは良い家族だb。
それはもう、良い家族です。悪い家族などを書いて何になりましょう。
そもそも美鈴と咲夜さん、その子供なら良い家族以外に成り得ないのは自明ですけどね。
愛溢れる素晴らしい家族、それがこの3人です。

>よし、すぐに夜伽d(ピチューン
すみません、書こうとしてるけどなかなか筆が進まz(ピチューン
そういう話は、普通のお話を書くよりもとっても難しい事に気付いた今日この頃でした。
でも頑張りますよ!愛の結晶を成すには必要な行為ですから!

>ただ贅沢を言うと、少し短い。
ワンシーン、ワンシーンを書く事に没頭し続けていたら、長い話が書けなくなっていました。
頑張って長い話を書くと、今度は話そのものが破綻してしまい目も当てられなくなる始末。
単純に、私の力量不足の故ですので、何とかして改善したいなぁ、とは思いつつ。
個人的に短編が好き、というのもあるのですが。