Coolier - 新生・東方創想話

東方童話 『裸の王様』

2004/08/12 14:54:31
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むか~し、とある国のお城。
ここには当然のごとく、王様がおりました。
この王様、実は三度の飯よりも、凝った衣装が好きで、

    幽々子「ねえねえ、右大臣。この扇子を背負ったら、カリスマがアップするかな?」
     妖夢「当たり判定が大きくなるだけですよ。」

・・・もとい、カリスマアップするのが大好きでした。
周りのヒトも、それに振り回されてばっかりです。

     妖夢「そも、右大臣って、左大臣は何処にいるんですか?」
    幽々子「あなたの半分。」
     妖夢「・・・・・・・・あわせて大臣にしてください。」

そんなある日、お城に二人の詐欺師がやってきました。
この二人、世にも珍しい衣装を作れるとのことで、お城に呼ばれたのです。
もちろん、それは二人が流した嘘なのですが。

    魔理沙「はっはっは。私たちにかかれば、あんたのカリスマアップなんざ、夢のまた夢だぜ。」
    アリス「ちょっとちょっと。夢のまた夢じゃ、駄目じゃないの。」
    魔理沙「何言ってるんだ。他の奴にかかれば、夢のまた夢のまた夢かける4くらいだ。」
    アリス「・・・まあ、そんなわけですわ。」
    幽々子「よろしい。お任せするわ。」

二人は王様を騙すことに成功しました。

    魔理沙「さて、がんばれ。」
    アリス「何を?」
    魔理沙「衣装作りだ。得意だろ?」
    アリス「得意だけど、流石の私でも、出来ることと出来ないことがあるわ。」
    魔理沙「人間、やって出来ないことは無いんだぜ。」
    アリス「じゃあ、あんたがやりなさいよ。」
    魔理沙「人間、諦めが肝心だぜ。」
    アリス「どっちなのよ。」

過去に例の無い大仕事です。
詐欺師の二人は、いろいろ話し合っています。

    魔理沙「よし、こうするか。耳貸せ。」
    アリス「すぐ返してよ。」

黒い方の詐欺師が、何か思いついたようです。
悪党らしく、ヒソヒソ話で、作戦を伝えようとします。

    魔理沙「うむ。で・・・・・。」
    アリス「・・・・・・。」

辺りには誰も居ませんが、こういう雰囲気が重要なのでしょう。
そして、

    魔理沙「わ!!!!」

突然、黒い方が大声で叫びました。

    アリス「・・・・・・。」

 ゴン!!

    魔理沙「痛ッ!」
    アリス「真面目にやりなさいよ。」

青い方は、動じません。
黒い方に、拳骨をくれてやりました。

    魔理沙「ふん、ちょっとしたお茶目じゃないか。」
    アリス「さっさと進める。」
    魔理沙「わかったぜ。」

再び、ヒソヒソ話の体勢に入ります。
そして、

    魔理沙「ひそひそごにょごにょ・・・・・・・。」
    アリス「ふんふん、ふむふむ・・・・・・・。」
    魔理沙「#=¥%&#&’!・・・・・・・・。」
    アリス「ほうほう・・・・。」

何やら、よくわかりません。

    アリス「なるほど。つまり、新衣装によるカリスマアップは不可能。
        ならば、今の衣装を借りて、それを改造したように思わせるのね。」

そういうことらしいです。

    魔理沙「ヒソヒソ話を台無しにしてくれる説明、感謝するぜ。」
    アリス「どういたしまして。」
    魔理沙「誤魔化す方法は、幾らでもある。そこは任せてもらおうか。」
    アリス「それじゃあ、私は衣装を改造する振りをしていればいいのね。」
    魔理沙「そういうことだぜ。」
    アリス「でも、これって『裸の王様』よね?」 
    魔理沙「ああ。」
    アリス「王様を裸にしなくていいの?いろんなところから、文句言われるわよ。」
    魔理沙「ふん。お色気満載の話なんか望まないさ。」
    アリス「だと、いいんだけど。」

違った意味で、青い方は不安のようです。

    魔理沙「なら、それの解決方法。実行してみるか?」
    アリス「解決方法?」
    魔理沙「ああ。これなら、誰も文句言わないぜ、多分。」
    アリス「ふぅん。」
    魔理沙「と、言うわけで、耳貸せ。」
    アリス「レンタル料は、高いわよ。」

三度、ヒソヒソ話の体勢に入ります。
そして、

    魔理沙「ふぅ~・・・・・・・。」
    アリス「(ぞくぞく・・・・・!!!)ひ・・・・・・!」

黒い方が、青い方の耳の裏に、ふっと息を吹きかけました。
これは、効いたようです。

    アリス「魔操『リターンイナニメトネス』!!!!」

 ぎゅいいいいいいいいいん!!!

 ずどばぁぁぁ~~~~ん!!!!

    魔理沙「どわぁ~~~!!!」

青い方は、喰らいボム改めラストスペルで、黒い方をぶっ飛ばしました。

    魔理沙「痛たたた・・・。おい、何てことするんだ!」
    アリス「き、き、気持ち悪いことするんじゃないわよ!!」
    魔理沙「おいおい。これは、『裸の王様』だぜ?」
    アリス「あ~?」
    魔理沙「ところが、王様を裸にする気はゼロ。読者納得しない。そう言ったのは、あんただ。」
    アリス「そこまで明るみには言ってない!」
    魔理沙「そこで、ちょっとした読者サービスをしてやったわけで・・・・・。」
    アリス「こんなもん、サービスになるか~~!!!」

 どか~ん!

 どか~ん!

詐欺師の二人は、しばらくの間、喧嘩をしていました。

 ・
 ・
 ・

次の日、二人は王様のところに向かいました。

    幽々子「・・・・・・。」
     妖夢「・・・・・・どうしたのよ?その姿は。」
    魔理沙「あ~、一晩中、殴り合ってたんだ。」
    アリス「ええ、一晩中、スペルカードの浪費大会。」
     妖夢「なんで、そんな大変なことに?」
    魔理沙「あ~、お互いの友情を、確かめ合っていたんだ。」
    アリス「ええ、お互いの憎悪を、むき出しにして殺し合っていたのよ。」

ずっと喧嘩してたらしく、二人はボロボロでした。

     妖夢「で、何の用?」
    魔理沙「ああ、そうだった。実は、無理だと言うことがわかった。」
     妖夢「無理?」
    魔理沙「王様の膨大なカリスマ。それをさらに引き出すなど、手前供には到底無理な話でごぜえました。」
    幽々子「うむ、苦しゅうないぞ。」
    魔理沙「されど、このままでは職人の名折れ。そこで、王様にお願いがあったりするぜ。」
    幽々子「言うてみい。」
    魔理沙「衣装を一つ、拝借願いたい。」
    幽々子「ほほう?」
    魔理沙「それを改造して、カリスマが引き立つ衣装に変えてみせる。どうだ?」
    幽々子「よろしい。大臣、衣装を一つ持ってきて。」
     妖夢「はっ。」

 ととととと・・・・・

大臣は、奥へ引っ込んでいきました。
少しして、戻ってきました。

     妖夢「はい、どうぞ。」
    幽々子「良い衣装に、仕上げるがよいぞ。」
    魔理沙「へへ~。」
    アリス「承知しましたわ。」

衣装を受け取った詐欺師二人は、王様の前から立ち去りました。

     妖夢「幽々子様。」
    幽々子「何じゃ。」
     妖夢「先程からの、その口調は何なんですか?」
    幽々子「うむ、口調を変えることによって、カリスマを引き出そうと思うてのう。」
     妖夢「・・・唯のおふざけに見られますから、やめてください。」
    幽々子「そうかなあ?いいと思ったのに。」

 ・
 ・
 ・

そして、数日後。

    幽々子「まだ出来ないのかな~。」
     妖夢「ちょっと、様子を見てきましょうか?」
    幽々子「お願いね。」

大臣は、二人の様子を見に行きました。

 コンコン

     妖夢「仕事は進んでるの~?」
 コンコン

    アリス「・・・来たわよ。」
    魔理沙「それじゃ、この場は任せてもらおうか。」
    アリス「お手並みは意見、させていただくわ。」
    魔理沙「見物料は高いぜ?」
    アリス「耳のレンタル料、チャラにしてあげる。」
    魔理沙「ふん、何時までも過去のことにこだわるのは、良くないぜ。」

 コンコン

     妖夢「居ないの~?」
    魔理沙『あ~、悪い悪い。ちょっとやんごとなき事情があってな』
     妖夢「衣装は出来たの?」
    魔理沙『あ~、中々いいところまで進んだぜ。見るか?』
     妖夢「邪魔するわよ。」

 がちゃ

二人は大臣を、作業場に入れました。

    魔理沙「ようこそ、我らの友情と憎悪の巣へ。」
     妖夢「嫌な巣ね。で、衣装は?」
    アリス「これ。」
     妖夢「・・・・・・・?」

衣装を見て大臣は、呆気にとられました。

     妖夢「何も変わってないじゃない。」

二人に与えた衣装は、どこも変わっていませんでした。
ところが、詐欺師の黒い方が言いました。

    魔理沙「ふふん。それじゃあ、あんたはその程度の奴だったってことだ。」
     妖夢「どういうこと?」
    魔理沙「これはな、『馬鹿』には変化がわからない魔法を施してあってな。」
    アリス「つまるところ、『馬鹿』には違いが分からないってことね。」
     妖夢「な・・・・・?」

その言葉に、大臣は戸惑いました。

     妖夢「(い、いやいや、嘘でしょ?そんな魔法があるなんて、聞いたことも無い・・・・)。」

もちろん、あるはずもありませんが。

     妖夢「(でも、こいつらならやりかねない・・・)。」

という思いも捨てきれず、

     妖夢「(何より、これを知った幽々子様に、またぼろくそ言われるに違いない・・・・)。」

やはり、一番はそれのようです。
王様は、三度の飯よりカリスマアップが好きでした。
で、カリスマアップの次に、三度の飯が好きでした。
そして三度の飯の次ぐらいに、大臣苛めが好きなのでした。
    
    魔理沙「いやあ、大臣殿に見えないはずがないんだがなあ。」
     妖夢「い、いやいやいや・・・。よく見ると、溢れんばかりのカリスマを感じるわ。」
    魔理沙「お、そうか?」
     妖夢「こ、これを王様が着たら、愚民供はその威光の前に、ただただひれ伏すに違いない・・・。」
    魔理沙「そこまで言われると、くすぐったいぜ。」
     妖夢「引き続き、お仕事がんばってね・・・・。」

 ばたん

大臣は、足早に部屋を出て行きました。

     妖夢「は~、は~・・・・・。」

その大臣の顔は、すごく疲れていました。
一方、詐欺師の二人は、

    魔理沙「うまくいったぜ。」
    アリス「ほんと、あなたはこういうことが得意よね。」
    魔理沙「あ~?何か文句があるのか?」
    アリス「褒めてるのよ。」
    魔理沙「ともあれ、これなら王様も一発で騙せるぜ。」

大臣をうまく騙し通せたことに、安心していました。

 ・
 ・
 ・

そうこうしているうちに、数日後・・・。

    幽々子「衣装が出来たって?」

詐欺師二人は、王様に会いに行きました。

    魔理沙「ああ、完璧だ。」
    アリス「どうぞ。」
    幽々子「うむ。」

王様は、二人から衣装を受け取ります。

    幽々子「・・・・・・?」

案の定、王様は疑問符を頭の上に浮かべました。

    幽々子「何も変わってないじゃ・・・・・・。」
     妖夢「わ~~~~!!!!!」

突如、大臣が大声で叫びました。

    幽々子「何よ?」
     妖夢「ひそひそ・・・・(こ、これはですね、『馬鹿』には違いが分からない魔法がかけられていてですね・・・・)。」
    幽々子「でも、変わってない・・・・。」
     妖夢「わ~~~~~!!!!!!」

また、大声で叫びました。

     妖夢「ひそひそ・・・(そんなこと言ったら、ご自分が『馬鹿』だって認めることになってしまいますよ!)。」
    幽々子「ほほう。それじゃあ大臣は、私が『馬鹿』だと言いたいのね。」
     妖夢「え!?な、何でそんな方向に話が進むんですか!?」
    幽々子「酷いわ・・・・。信じていたのに・・・・。」
     妖夢「違いますってば!」
    幽々子「・・・・・後でお仕置きね。」
     妖夢「そんな~・・・・・。」

大臣は、何故か罰を言い渡されてしまいました。

    魔理沙「騒がしい主従だな。」
    アリス「その原因は、あんたにあるんだけどね。」
    魔理沙「あ~?あんたも共犯だろ。死なばもろともだ。」
    アリス「やだわよ。あんたと心中するなんて。」

詐欺師の二人が話していると、気を取り直した王様が、二人に話しかけてきました。

    幽々子「さて、この衣装だけど、何の変化も見当たらないわよ?」
    魔理沙「あ~・・・・・。」
    アリス「(まずいわね・・・・)。」

どうやら王様は、只者ではなかったようです。

    魔理沙「あ~、その、なんだ。その衣装はだな・・・・。」
    幽々子「この衣装は・・・?」
    魔理沙「王様のような偉大なヒトは、かえって馬鹿と認識してしまうらしいな。」
    アリス「な、なんて無茶な言い訳を・・・・・。」
    魔理沙「つまり王様は、人智を超えた存在であり、一般的な奴らと同じカテゴリーには当てはまるはずもなく・・・。」
    幽々子「・・・・・。」

詐欺師の黒い方は、必死に言い訳をします。
王様は、黙ってしまいました。

    魔理沙「(ち・・・・。駄目か・・・?)。」

ちょっと焦る詐欺師。
しかし・・・・。

    幽々子「・・・・やっぱりそうよね~。」
    魔理沙「お。」
    幽々子「私のカリスマは、その辺のヒト達には到底理解出来ないものなのよねぇ。」
    魔理沙「そうそう。私にもさっぱりわからないぜ。」
    アリス「そこで、一般人にもわかるように改造したのが、この衣装。」
    幽々子「なるほど、なるほど。」

詐欺師達の口八丁手八丁に、王様はノリノリです。

    幽々子「よろしい。さっそく着てみましょう。」

王様は衣装を持って、奥へ引っ込んでいきました。
そして、新衣装を着て、戻ってきました。

    幽々子「どうかしら?」

もちろん、いつもと変わりはありませんが・・・。

    魔理沙「おお、眩しくて直視できないぜ。」
    アリス「まったく、素晴らしいですわ。」

詐欺師二人は、ここぞとばかりに王様を褒めちぎります。
          
    幽々子「よしよし。それじゃあ、この衣装を着て、大名行列でもしようかしら。」
    魔理沙「大名か?」
    アリス「王様じゃないの?」
    幽々子「大臣。早速準備を。」
     妖夢「ははっ!」

慌しく、準備が始まりました。

    アリス「ちょっとちょっと、大丈夫なの?」
    魔理沙「何がだ?」
    アリス「沢山のヒトに見られたら、嘘がばれるんじゃないの?」
    魔理沙「なに。もう、噂話として流しておいたぜ。」
    アリス「・・・馬鹿には違いがわからないっていうやつ?」
    魔理沙「ああ。だから、誰も口を開かんだろう。」
    アリス「・・・・ほんとに、大丈夫かしら?」
    魔理沙「心配か?」
    アリス「自分の身が、ね。」
   
 ・
 ・
 ・


 わいわい・・・・

 がやがや・・・・

さて、お城の前です。
お城に続く道の両端に、沢山の人々がいます。
王様の新衣装を一目見ようと集まってきた野次馬の皆さんです。
と、その群集のどこからともなく、声が聞こえてきます。

    ルナサ「・・・・また、新衣装のお披露目か。」
   メルラン「あの王様も、懲りないわね~。」
    リリカ「でも、今回の衣装は、すごいらしいよ~。」
    ルナサ「どういう風に?」
    リリカ「一見いつもの衣装に見えるけど、どっかに違いがあるって。」
   メルラン「そうなの?」
    リリカ「それがわからないヒトは、『馬鹿』のレッテルを貼られるみたいだよ~。」

話題は、王様の衣装のことです。

    ルナサ「またそんな、噂話を信じて・・・・。」
   メルラン「あら、王様のお出ましよ。」

ふと、道の方に目をやると、

    幽々子「ご苦労、ご苦労。」

上機嫌の王様が、道のド真ん中を歩いています。
そして後ろには大臣と、詐欺師の二人がいます。
さらに後ろにはその他大勢の家来がいます。
立派な行進です。

    ルナサ「・・・・・・・・・・。」
    リリカ「すごいね~。今回の衣装は。」
   メルラン「そうね。眩しくて直視できないわ。」
    ルナサ「・・・・・・・・・・。」
    リリカ「あれ~?姉さんどうしたの?」
   メルラン「ひょっとして、わからないの?」
    ルナサ「・・・・・・・・(どうしよう)。」

噂を聞いていた野次馬の皆さんの反応は、様々です。
あるヒトは褒めちぎり、あるヒトは戸惑います。
みんな、自分は『馬鹿』だと思われたくないようです。

    幽々子「ふふん。今回ばかりは、みんな私のカリスマの前に、ひれ伏すしかないようね。」
     妖夢「ははっ。まったくその通りで・・・・。」

王様は大満足です。

    魔理沙「くくく・・・・。うまくいったぜ。」
    アリス「ふん。あんたの手腕、今回は認めてあげるわ。」
    魔理沙「正直じゃないな。私の弟子にしてほしいなら、そう言え。」
    アリス「そんな心にも無いこと、死んでも言わないわ。」

詐欺師の二人も、全てがうまく行ったと思いました。
が、そのときです。

      ?「なによ、いつもの衣装と変わらないじゃない。」

群衆の中から、とんでもない発言が聞こえてきました。

    幽々子「?」
     妖夢「!?」
    魔理沙「!?」
    アリス「!?」

お城の一行とか、野次馬の皆さんは、一瞬静まりかえりました。
そして、一斉に声のした方を向くと・・・。

    チルノ「つまんないわね~。折角見に来たのに。」

子供が、愚痴っていました。

    幽々子「な、なんですって・・・・・・。」

王様は、愕然としています。

    アリス「まずいわね・・・・。」
    魔理沙「あ~?」
    アリス「子供っていうのは、純粋かつ正直なものなのよ。」
    魔理沙「それで?」
    アリス「つまり、思ったことを正直に喋る。あんたが流した嘘なんか、無効だってことよ。」
    魔理沙「・・・・だろうな。」
    アリス「これで、年貢の納め時。捕まるわね。」
    魔理沙「ああ。」

詐欺師の二人は、ひそひそと話し合っています。
そんなことしているうちに、王様が大臣に命じました。

    幽々子「捕まえて、牢屋に放り込みなさい!」
     妖夢「ははっ!」

大臣が動きました。
    
    魔理沙「南無阿弥陀仏。」
    アリス「南無妙法蓮華経。」

二人は、何かに祈り始めました。
そして・・・・。

     妖夢「捕まえた!神妙にしなさい!」

大臣は素早く、捕らえました。

    チルノ「は、放して~~~!!!!」

子供を。

    魔理沙「あ~あ。」
    アリス「居るのよね~。言っちゃいけないことを、ポロっと言ってしまうお馬鹿さんが。」

どうやら詐欺師二人は、子供のために祈りを捧げていたようです。

     妖夢「あんた、自分がしたことわかってるの!?」
    チルノ「何よ!ほんとのこと、言っただけじゃない!」
     妖夢「国家反逆罪及び、カリスマ侮辱罪で、死刑ものよ!」
    チルノ「横暴よ~!この独裁者~!!」
     妖夢「さあ、大人しくついて来なさい。」
    チルノ「ちょ、ちょっとちょっと!あの衣装、どう見たって普通よね!?ね、みんな!?」

子供は、野次馬の皆さんに弁護を求めます。
ところが・・・・。

    リリカ「え~。すごい衣装だよね~。」
   メルラン「ほんと。私の笑顔も曇るくらい。」
    ルナサ「ん。まことに素晴らしい。」

みんな、口をそろえて衣装を褒め称えています。

    チルノ「そ、そこの黒いの!あんた、衣装が普通に見えたから、最初困ってたんじゃなかったの!?」
    ルナサ「知らない。」
    リリカ「ひど~い。姉さんに罪を着せようなんて。」
   メルラン「罪状、一つ追加ね。」
    チルノ「ええ!?」

だ~れも、子供について弁護してやるヒトは居ませんでした。

    幽々子「此度の罪、許しがたし!」
     妖夢「あんたは死刑のあと、白玉楼で未来永劫庭掃除の刑。」
    チルノ「こんな季節に庭掃除なんかいやだ~~~!!!」
    幽々子「引っ立てい!」

子供は、お城の牢屋に連れて行かれました。

    幽々子「皆の衆、お騒がせしたわね。引き続き、衣装のお披露目会を楽しんで行ってね。」

そして何事も無かったかのように、行進を再開しました。

   メルラン「それにしても姉さん。」
    ルナサ「ん?」
   メルラン「あの衣装、ほんとにすごいと思った?」
    ルナサ「うん。」
    リリカ「ほんとに~?」
    ルナサ「うん。」
    リリカ「さっきの子供と一緒にされるのは嫌だから、あんなこと言ったんじゃないの~?」
    ルナサ「そんなこと、ない。」
   メルラン「まぁ、いいけどね。」
    ルナサ「(・・・流石に、アイシクルフォールEasyと一緒にされたくない)。」

先程の子供、実は、この国で1、2を争うほどの『馬鹿』だったのです。
具体的には、自分から喧嘩を挑んでおいて、隙だらけの攻撃をかましてみるとか。
よって、誰もがあいつと一緒にされたくないという一心で、王様の衣装を褒め称えたのです。

    魔理沙「はっはっは。実にうまくいったぜ。」
    アリス「ほんと。変にうまくいったわね。」
    魔理沙「これも、私の日頃の行いが良いからに違いない。」
    アリス「あんたが良い行いをしてるなんて、初耳よ。」
    魔理沙「因果応報ってやつだ。良い行いには、良い報いが来るもんだ。」
    アリス「で、その良い行いっていうの、具体的に説明すると?」
    魔理沙「夢を与えたじゃないか。」
    アリス「はぁ?」
    魔理沙「王様に、強大なカリスマを得たという夢をな・・・・。」
    アリス「なんか、言葉綺麗に締めくくろうとしてない?」
    魔理沙「お客様に夢を売る。それが、詐欺師という仕事だ。」
    アリス「犯罪を正当化しないの。」

こうしてお披露目会は無事に終了しました。
詐欺師の二人は、遂に詐欺師と疑われること無く、沢山の礼金を貰って帰りましたとさ。

 めでたし めでたし



 キャスト

詐欺師(黒い方)  ・・・ 霧雨 魔理沙
詐欺師(青い方)  ・・・ アリス・マーガトロイド
王様       ・・・ 西行寺 幽々子
大臣       ・・・ 魂魄 妖夢
野次馬の皆さん  ・・・ プリズムリバー三姉妹
子供       ・・・ チルノ



 
さて、どれほどの方が、王様役が裸になると思われたことやら。期待してしまった方、ゴメンナサイ・・・。

今回は、魔法組を主役に置いてみました。ボケが魔理沙でツッコミがアリス、かつ、二人は仲が悪いという部分を出して、話を進めて行きました。でも、本当は仲がいいのでは?と思う部分があったり、どうにも微妙な関係に。

しかしながら、ここまで完璧に原作を壊してしまったのも珍しいかもしれんです。ゆゆ様は裸にならないし(期待してた方、度々ゴメンナサイ・・・。)、捕まえられるの子供だし(チルノファンの皆さん、ゴメンナサイ・・・。)、詐欺師はめでたしめでたしだし・・・。

最早、『裸の王様』ではないです。タイトル変更で、『虚栄のカリスマ様』?
Piko
[email protected]
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コメント



0.2350簡易評価
11.70名前が無い程度の能力削除
ルナサさんがようやくひどい目に会わなかった気がする・・・(TT
19.40いち読者削除
冒頭、ゆゆ様の名前が出た時点で吹いた私は、pikochuさんにかなり毒されてるんだろうなぁ。
まあ、何をやっても幽々子は幽々子。カリスマアップなんてしょせんは儚い幻想ですよね(ヒデェ)。
しかしルナサよ、悪いコになってしまって……。
44.50思想の狼削除
タイトル見た瞬間、香霖を期待してしまった私って…OTL
59.100⑨なす削除
チルノが〜つれて〜いかれる〜