Coolier - 新生・東方創想話

さくやわん

2008/09/18 04:44:51
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「ん、朝ですか。」
季節が冬に差し掛かった頃
美鈴は朝番の仕事に着くために目を覚ました
「う~さむい。」
体を震わせて寒さをこらえる
春眠暁を覚えずなんていう言葉があるがベッドからの出づらさから言えば今の方が厳しい気がする
だからと言って仕事をサボるわけにも行かないので体を起こす
と、体の上に重さを感じた
目をやると布団の一部がぴょこっと膨らんでいる
ふむ、と首をかしげる
昨日湯たんぽを抱いて寝た記憶はない
ということは寝てる間に妖精の誰かがいたずらに何か放り込んだか
あるいは寒いからと潜り込んだのかもしれない
ただとりあえず今そんなことは関係ないか
なんにせよ見れば分かることだし
まだ完全におきてない頭で適当に結論を出して布団をめくった
と、そこには
「く~す~。」
犬耳があった
いや、犬耳自体はおかしくはない
ここは幻想郷なのだ犬の変化の妖怪だっている
聞屋の助手だとか

「くしゅんっ。」
「おや、風邪ですか?」
「いえそんなわけではないのですが。」

まぁそんなことはどうだっていい
耳が問題ではないのだ
耳を持っているその先の存在
「きゅふ~。」
気持ちよさそうに自分の体の上で眠っている小さいのは自分の記憶が正しければ
「咲夜さん?」
昨日まで同僚だったはずの咲夜だった


「……はっ。」
あまりの驚きで美鈴は暫く機能停止状態にあった
そりゃ昨日普通だったのにいきなり小さくなって犬耳で自分のベッドで眠ってれば驚かないほうがおかしい
幸いだったことは驚きすぎて声すら出なかったことか
おかげでまだ咲夜(?)は気持ちよさそうに眠っている
「咲夜さん…ですよね?」
いまいち信じ切れない美鈴は頭に触ろうと手を伸ばす
クシャ
ぴこっ
クシャ
ぴこっ
(クスッ、かわいい)
頭を撫でるたびにくすぐったそうに動く耳に美鈴は可愛く思った
そのまま頭を撫でていると不意に咲夜が目を覚ました
「ん~。」
目をこすりながら体を起こし寝ぼけ眼で辺りを見回す
美鈴と目が合う
「おはようございます、咲夜さん。」
「わうっ。」
美鈴が挨拶すると元気に鳴いて返してきた
「めーりん。」
ぽふっすりすり
そして美鈴の胸に顔をうずめ擦り寄った
その頭を撫でてやると布団がぼふぼふ暴れだした
うれしくて尻尾を振ってるらしい
「でもどうしてこんな姿になってるんです?」
撫で終わった後に腋に手を入れて抱えて目線を合わせ訊いて見た
「わう?」
しかし咲夜は首を傾げるだけだった
言葉は通じてるみたいだけど解ってる訳ではないみたい
「とりあえずお嬢様に相談かな。」
何をするか決めた美鈴はそのまま咲夜をベッドから下ろし自分も着替えにかかった
着替えてる途中ふと咲夜のほうを見る
彼女は隣で美鈴を見上げるように見ながらずっと動かない
服は昨日の体のサイズのシャツ一枚だけだった
「咲夜さん、着替えはあります?」 
なんとなーく答えはわかってはいたが一応訊いて見た
ふるふる
案の定服の代えはないらしい、当たり前ではあるが
「あーっと、何よりまず着る物の調達か。」
ぱぱっと着替えた美鈴は屈んで咲夜と目を合わせてから言う
「ちょっと待っててくださいね、服持ってきますから。」
「わたしもいくー。」
「んーそのままだとちょっと無理かな。」
「やだ、ついていくもん。」
咲夜は美鈴の袖を掴んで抗議してくる
「すぐ戻ってくるから、ね?」
ちょっと困ったように笑いながら美鈴はなだめる
「きゅ~ん。」
尻尾をたらして寂しそうにしはしたが納得してくれたらしく袖を離してくれた
その頭を一度撫でて美鈴は部屋を出て行った

数分後部屋に戻ってきた美鈴に咲夜はぎゅっと抱きついた
美鈴もその頭を優しく撫でてあげた

「うん、これでオッケィ。」
咲夜に着せてあげた服を調えながら言う
ふかふかのセーターやスカート
暖かくて似合いそうなものを適当に見繕ってきた
お嬢様たちの服は使うわけにはいかったので妖精たちのものを借りた
「わんっ。」
喜んでくれたらしい
「それじゃあ行きましょうか、咲夜さん。」
「…う~。」
と、急に不機嫌になってきた
「咲夜さん?」
「……。」
「?…ん。あー、えーっと、咲夜?」
「わうっ。」
呼びかたが気に食わなかったらしい
変えると嬉しそうに着いてきてくれた
(甘えん坊になっちゃってますね)
おかしそうに微笑みながら美鈴は咲夜と部屋を出た





「えーっと?このこが咲夜なの?」
「らしいですね、美鈴さんによると。」
「咲夜かわい~。」
順にレミリア、小悪魔、フランで感想を言った
主もまたこの状況に困惑してるらしい
「それで、第一発見者のメイリンは?」
「それがですね…
「今回の件について一番の原因と思われる、もとい重要参考人の確保のため出ていました。」
小悪魔の言葉を引き継いで美鈴が続ける
肩で息をしている所を見ると館の中を駆けずり回ったようだ
「おかえりー。」
「め~りんめ~りん。」
咲夜が尻尾を振りながらパタパタと美鈴に引っ付きに行く
「なるほど、で、その参考人てのは…ってあたりまえか。」
「ですねー。」
レミリアの少し呆れた視線の先には猫のようにつままれてむきゅ~んな状態にあるパチュリーがいた
美鈴がそのままパチュリーを椅子の上におろす
「では話を聞きましょうか、パチュリー様。」
「わ、私は悪くないもん。咲夜に何もしてないもん。」
「それじゃ怪しさ抜群よ、パチェ。」
追いかけられ、捕まったせいか動揺して何もしなくてもぼろを出す策士なはずの魔法使い様
これでは私が犯人ですとプラカード持って歩いているのとほぼ一緒である
あまりの墓穴の掘りように親友であるレミリアも汗を頭に貼り付けている
「でもなんでこんなことしたの?」
椅子に座った咲夜の頬を突っつきながらフランが言う
当の咲夜はそれをくすぐったそうにしながらおとなしく座っている
「え~っとこれには深いわけがあってね。」
パチュリーが目を泳がせる
「なんですか?その深いわけってのは。」
部屋にいた全員が注目する
「語りつくすと日がまた昇るくらい長いのよ。」
目を完全にそらしあさっての方向を見るパチュリー
「あまりに長すぎるのも問題ですがかまいませんよ。」
「……。」
「……。」
「…最近対魔理沙トラップの開発がうまく行かないのよ。」
「?魔理沙は基本スルーでいいんじゃなかったでしたっけ?」
魔理沙は紅魔館に入ることにおいては許可されている
とめればフランが不貞腐れるしパチュリーも不機嫌なようになるからだ
このことについてはレミリア自身も認めている公認の許可である
だから美鈴も適当に流して通してるのだ
「門はね、でも私の本となったら話は別だわ。」
「あぁ。」
納得した
あの魔法使いは入るだけでなく図書館から勝手に本を持っていくことでパチュリーを悩ませてることも良く知られていることだ
それに対し試行錯誤で色々撃退方法を考えるのが最近の彼女の研究内容だったりする
今の言葉から最近それの開発が壁にぶつかっているのだろう
「それでイライラしてる所にちょうど咲夜が来て小言を言うもんだから…。」
「なにやったのよ?」
「設置式のトラップ魔方陣のテストも兼ねてつい…。」
「えっと、つまり…。」

「八つ当たりね。」
「八つ当たりですね。」
「八つ当たりだね。」
「八つ当たりですねぇ。」
「わんっ!」
誰がどう聞いても八つ当たりである
皆口々にその結論を口にする
咲夜も不機嫌そうに鳴いて非難した
「むきゅ~。」
全員に攻められて凹む魔法使いさん
のの字を書き始めた
「で、本題に入るけど咲夜は元に戻せるの?」
ため息をついてレミリアが話を進める
「そこまで強いものではないから時間がたては自然に解けるわ。」
「いますぐには?」
「それは無理ね。」
「なんで?」
「わふ?」
フランが首をかしげて聞いてくる
咲夜も一緒に首を傾げていてその様子は見ていてとても可愛い
「こういうのを解くにはその魔法を打ち消すために反対の力を用意する必要があるの。それには…
「過程や方法などどうでもいいです。結論を、パチュリー様。」
美鈴が若干威圧感を増しながらパチュリーを見ていた
「わかったわよぅ。えっとね、解除する魔法を用意するのと自然に解けるのを待つのとではあまり時間に大差はないのよ。」
「そう…。咲夜はちゃんと仕事はできそうなの?」
レミリアがまたため息をつきながら訊く
「記憶はちゃんと大きかった頃のが残ってるみたいだけど体と精神が幼くなってるから難しいのは無理ね。」
「わかったわ……。メイリン?」
「はい、なんでしょうかお嬢様?」
「悪いけど臨時のメイド長の役について頂戴。」
「わかりました。」
「仕事が増えるけど悪いわね、咲夜はこのままじゃ戦力として期待できそうにないから。」
「大丈夫ですよ。じゃあ着替えてきますね。」
「頼むわ。」
美鈴が部屋を出るために椅子を立つと咲夜もぴょんと椅子から降りて付いて行った
「咲夜も来る?」
「わうっ。」
美鈴が振り返って微笑むと咲夜はその胸に飛び込んだ
それを受け止めて抱きながら頭を撫でてあげる
「きゅ~ん。」
目を細めて気持ちよさそうに咲夜は擦り寄った
尻尾の振れ具合で喜んでるのは良くわかる
そのまま二人は仲良く出て行った
「仲いいわね~。」
「ですね~。」
「そうね。」
「……。」
びきっ
「…?」
何かが壊れる音に気づいた子悪魔が辺りを見回す
そしてフランの紅茶のカップにひびが入っているのとその持ち主に浮かび上がった井形を見て全力で見なかったことにした
レミリアとパチュリーははなから意識から切り離しているらしい
すごく素敵な顔で談笑を続けていた


メイド服に着替えた美鈴は各部署の妖精メイドたちに指示を出していった
咲夜が来る以前までは一番上の立場として動いていたのでそこは慣れていた
最初はみんな戸惑っていたが隣でこちらも体にあったメイド服に着替えた咲夜が立っているのを見て納得してくれた
どっちかっていうとメイド服を着た美鈴に衝撃を受けてあまり咲夜の変化に気が行ってない様だったが
その証拠にいくらかのメイドたちが
「隊長がメイド服を!!こいつぁみなぎってきたぜ!!」
とか
「だれか!!誰かカメラ持ってきて!美鈴さんのメイド姿なんてそう見られるもんじゃないわよ!!」
とか
「血が、鼻血が止まらない!ティッシュを誰か!!」
などとかなり混乱の渦に陥ってたりした

「ふう、これであらかた終わりですね。」
汗をぬぐいながら掃除した場所を確認する
ここまで掃除をするのにだいぶ時間がたってしまった
「やっぱり大変ですね、館の掃除は。咲夜はいつも良くやりますね。」
「わん。」
美鈴の賞賛を咲夜はふふんと自慢げに胸を張った
可愛らしかったのでいーこいーこしてあげるとその格好のまま尻尾をパタパタ振った
「後は他の子たちに任せても大丈夫でしょう、休憩にしましょうか?」
「わーいっ。」
さっきまでの掃除に使っていたモップとバケツを片付けて部屋に向かう
「め~りん。」
「なんですか、咲夜?」
「のせて~。」
咲夜が美鈴のスカートのすそを引っ張りながらおねだりしてくる
抱っこと言ってないので肩車のことだろう
「はいはい、暴れちゃ駄目ですよ。」
「わんっ。」

「ふ~ん。」
二人が歩き去った近くの角の所
フランがその様子を見ていた
特に何かあるわけではないが無表情な顔で掴んでいた曲がり角の部分に指をめり込ませてるあたりかなり不機嫌だ
その更に後ろで
「ちょっとあれ何とかしてきてよ!」
「無茶言わないでよ、普段の妹様でもきついのに何いってんよ!」
妖精たちがその負のフィールドに一歩も進めずに困り果てていた


日の仕事を全て終えた後レミリアの自室にて
「今日はお疲れ様、疲れたでしょう。そろそろ上がっていいわよ。」
「よろしいのですか?まだお眠りになるには早いと思いますが。」
「かまわないわ、今日はもう特に何も来そうにないし。問題ないでしょう。それに」
チラッと隣に目をやる
咲夜がこっくりこっくりと舟をこいでいた
かろうじて立ってはいるものの美鈴の服のすそを掴んでなければバランスを崩してしまうだろう
それを見て笑いながらレミリアが続ける
「咲夜がもう限界みたいだしね。寝かしてあげて頂戴。」
「そうですね、わかりました。では失礼します。」
「きゅ~ん。」
頭を下げ咲夜を抱っこして美鈴が出て行く
抱っこされながら咲夜も小さく頭を下げて挨拶をした
バタン
「まぁ、たまにはいいわね。」
二人が出て行くのを見届けた後レミリアはまたクスリと笑って残った紅茶を飲み干した

「はい、それじゃ寝ましょう。」
「わふぅ。」
部屋に戻って眠ってしまいそうな昨夜を着替えさせてベッドに入る
咲夜は咲夜自身の部屋で寝かせようとしたが
「や~。」
と言って離してくれなかったので仕方ないかと一緒に寝ることにした
「め~りん~。」
布団をかぶると咲夜が擦り寄ってきた
「ん、おやすみなさい咲夜。」
「ん~。」
頭を撫でてあげると耳をぴくぴくさせた後そのまま寝てしまった
美鈴もそれを確認すると眼を閉じてゆっくり休むことにした



次の日
外で庭の手入れをしてると急に影がさした
見上げてみるとそこには箒に乗った人影が見えた
「ありゃま、ほんとにちっちゃくなってるぜ。」
人影はそのまま二人の近くに降りてきて言った
「おや、魔理沙さん。」
「わんっ!」
美鈴は普通に、咲夜は若干の警戒心を見せながら挨拶した
この姿になっても魔理沙が要注意人物だと認識してるらしい
「パチュリー様ならいつもどおり中ですよ。」
「あぁ、いや今日は図書館に行くきできたわけじゃないんだよ。」
「じゃあなぜ?」
「紅魔館のメイド長がちっちゃくなって犬になったて聞いたからそれを見に来たんだ。」
「え、誰からです?」
咲夜がこうなったのは昨日からだし昨日は外に出てないからその情報がもれることはないはずだ
「文からだぜ。新聞に書いてあった。ほら。」
「あぁ。」
渡された新聞を受け取りながら納得する
確認すると写真付きで載っていた
いつの間に撮ったのやら
「新聞に載っててあなたが知っているということは…。」
「まぁかなりのやつが知ってるだろうな。」
ため息をつく
こういうことはトラブルになりやすいというのに
「何事もなければいいんですけどねぇ。」
美鈴は花に水をやっている咲夜を見ながらそう言った

その後
「やっぱりパチュリーのところに行ってくるぜ。」
と館に入っていった魔理沙を見送り暫らく後
ガシャ-ン
という音と共に出て行った人影が見えたが放置しておくことにした
今は咲夜と一緒に仕事をするほうが大切だ

むきゅ~

アーアーキコエナーイ




その日の夜
食事の後にみんなで揃ってお茶を飲むことになって談笑していた
それぞれテーブルを囲って座り咲夜は美鈴の膝の上に座ってモフモフされている
「くぅ~ん♪」
気持ちよさそうにして尻尾を振っている
ご満悦のようだ
「…ねぇ、咲夜。何でそこなの?」
フランがじとーっと咲夜を見ながら言った
「わぅ?」
「こっちにちゃんと咲夜の椅子あるじゃん。何で美鈴の膝の上にいるの?」
フランの隣にある空いてる椅子をぺしぺしたたきながら言う
「…きゅ~ん♪」
少し考えた後咲夜は美鈴にスリスリしだした
こっちのほうがいいと思ったらしい
「ちょ、なにやってんの!?離れなさいよー!」
フランがバンとテーブルを叩いて立ち上がって咲夜を引き離そうと引っ張り出す
「やだー!!」
咲夜も必死で美鈴にしがみ付いて離れようとしない
「え、ちょ、ちょっと二人とも。」
美鈴が抑えようとするが急にどたばたしだしてしまったので焦って止められない

「何やってるのよフラン。」
咲夜を引き離したと思ったら頬をうにーんと引っ張られて負けじとうにーんと頬を引っ張り返していたフランを見ながらレミリアは言った
美鈴もたはははと苦笑いしている
パチュリーも同様になだめる側に回る
「妹様、その子は咲夜とは言っても幼い子と同じですよ。」
「む~、でも~。」
「それに動物としての感覚に引っ張られてるみたいですし。」
「どういうこと?」
「動物というのは基本的に警戒心が高いんです。ですから休む時などは自分にとって一番安心できる所に行くんです。」
「ふーん。」
咲夜のほうを見る
彼女は美鈴のほうにトテトテと戻り甘えている
「…やっぱり納得いかない。」
「まぁ、気持ちはわかるけどね。」
ジト目でそれを見ているフランを笑いながらレミリアが言う



「あ、ちょっと出てきますね。」
ゆっくりとした時間が流れていた部屋で美鈴が立ち上がり言った
「えぇ、わかったわ。」
レミリアがそれに答えると咲夜も付いて行こうと立ち上がった
「咲夜は待っててくださいね。」
でもそれを美鈴は止めた
「く~ん?」
なんで?と首をかしげる咲夜
「ちょっと難しい仕事をしてきますから咲夜は待ってて下さいね。」
屈んで頭を撫でながら説明すると少し残念そうにはしたが分かってくれてレミリア達の方に戻ってくれた
「行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
部屋のみんなに見送られて美鈴は出て行った
「ねぇお姉様、メイリンは何の仕事に行ったの?」
「メイリンの本来の仕事よ。」
「門番?」
「そ、どっかの馬鹿天狗が咲夜が幼くなったのを言いふらしたからね。頭の悪い妖怪が集まってきたんでしょ。」
「それって大丈夫なのレミィ?」
一応魔法で何かが集まってきているのを感じていて黙っていたパチュリーが口を挟む
「なにが?」
「なにがって、美鈴一人で大丈夫なのかって事よ。連中は咲夜が弱くなったと知ってきたんでしょう?」
「大丈夫よ、少なくとも今のメイリンなら。」
二人の懸念を全く気にもせずにレミリアが席を立ち窓のほうへ行く
「心配する理由がないもの。」




同時刻門前
「やたらと数が多いなぁ。」
「だねぇ。」
門番隊の二人の妖精はそんな愚痴をこぼしながら仕事をしていた
門の前に立って弾幕を張って寄ってくる妖怪を牽制する
しかし襲ってきている妖怪の数が多くじりじりと追い詰められていく
『先行部隊そろそろ限界です!撤退しますがいいですか!?』
「了解、怪我した子はなるべく連れて帰ってあげて。まだ大丈夫な子は戻ったらこっちの防衛線に入って。」
『了解です。』
「そろそろきついかな。」
「隊長が来るまでの辛抱でしょ。」
「まぁね。」
前線は下げられてはいるものの向こうへの打撃はちゃんと与えている
隊長が来ればもう後は何とかなるだろうと少し肩の力を抜いた


ズズッ
「あっ。」
迫ってきている妖怪たちの向こうに一際強い気配を出している妖怪がいた
「かなりやばいわ、あれ。」
長く門番隊として前線にいた存在としての勘
どれが要かどれを叩けばいいのかというのが見ていると理解できるようになっていた
それが告げているのは
「私達じゃ無理、隊長でも厳しいか。」
彼我の完全な実力差
「ど、どうしようか。」
「どうするったってやるしかないじゃない。」
少し逃げたくなる気持ちを押さえつける
私達はこの門を守るためにいるんだから
逃げるわけにはいかない
「そりゃそうだけど、でもどうやって…

「おまたせ。」

急に掛けられた声に振り返るとそこにはいつもの服装に戻った美鈴がいた
「た、隊長!」
「状況は?」
「あ、えっと先行隊は撤退。今そこを前線にしている所です。」
「被害は?」
「今の所そこまでは出てません。でも…。」
門番隊の一人がそこで言いよどむ
その視線の先には先ほど見つけたリーダーであろう妖怪がいる
「そう、あれが大将ね。わかった、じゃあみんなは引き続きここで妖怪たちを抑えて。怪我した子は館に送ってあげて。」
「隊長は?」
「アレを倒してくる。」
「え、ちょっと、た、隊長!?」
一瞬何を言っているのかわからなかった
美鈴もあの妖怪の力はわかっているはずだ
なのに何の策も鳴く倒してくると言い出したので焦った
「隊長!たいちょっ…。」
止めようと見たその背中を見て何も言えなくなった
いつもと同じようでどこか違った背中
その妖精がボーっとしていた間に美鈴は行ってしまった

ザッ
「お前がこの連中を率いているやつだな?」
「ナンダキサマハ?」
対峙した妖怪は美鈴より一回り大きかった
話せる事から知能もあるらしい
「この館が何方のものと心得る、命が惜しいなら即刻立ち去れ。」
「ダレデアロウトシッタコトカ、アノニクキニンゲンヲコロシニキタノダカラナ。」
「ほう?」
美鈴が目を細めて睨みつける
それを気にもせずに妖怪は大笑いしながら続ける
「ヤツニハコロサレタナカマノカタキモアル。イマナラヨワッテイルラシイジャナイカ。ナラバイマガコウキトイウモノ。ニクヲヒキサイテクッテヤル。」
一頻り笑った後妖怪は美鈴を見下ろして高圧的に言った
そこからは美鈴の顔は見えていない
「ダガオレモソコマデヒドイヤツデハナイ。オマエノヨウナザコハミノ「黙れ。」ン?」
「黙れといったんだ、この低脳。」
「ナンダト、キサマ…。」
「話せるから少しは聞き分けがいいかと思えば、口から出るのはどこにでもあるような三下の台詞ばかり。そんなものは聞き飽きているんだ。」
美鈴が顔を上げる
「御託はいい。潰してやるからさっさと来い。」
その目からは先ほどとは比べられないほどの殺気が出ていた



「ねぇ、ホントに心配ないの、お姉様?」
椅子の背もたれにひじを突いてフランが訊いた
「そうね、今外にいるのは美鈴じゃちょっと持て余すんじゃない?レミィ。」
パチュリーも賛同している
「きゅ~ん。」
それらを聞いて咲夜も心配になっている
「全く心配しすぎよ貴方達。大丈夫って言ってるのに。」
「だからなんでー?」
「咲夜がいるからよ。」
「?」
「正確には咲夜が幼くなっているからかしらね。」
「それがどう関係あんの?」
「フラン、動物であれ妖怪であれ人間であれ基本的にどんな存在であっても自ら進んで危険に飛び込んだりしたりしないわ。」
「魔理沙は?」
「魔理沙は別、例外よ。で、わかる?」
「うん。」
「でもね、ある特定の状況だとそれは逆になるわ。それはね…

ズダァァン!!

あら、派手にやってるわね。地雷でも踏んだ奴でもいるのかしら。」
「お姉様。」
「あ、ごめんごめん。それは親が子供を守る時、誰かが本当に大切なものを守る時と言ってもいいわね。」
窓から外を見下ろしながらレミリアは答えた
「そんな時、親は相手が誰であろうと立ち向かうわ。たとえそれが自分より強くても。」
「あぁ、なるほど。」
パチュリーが理解して咲夜を見る
咲夜はいつの間にか窓辺に言って外を見ていた
「普段は咲夜が後ろにいるし、もし負けても何とかしてくれると思ってるのかしらね。弾幕ごっこというルールもあまり得意ではないみたいだし。」
「レミィたちは美鈴よりもずっと強いしね。」
「でも今は違うわ。咲夜はただの子供になってしまっている。私達はともかく、咲夜は館に妖怪を入れるととても危険になる。」
「だけど、いつもより大分強くない?普段は手を抜いてるのかしら。」
「まぁそういうことはないんじゃない?どちらもやる時は本気でしょう。ただ火がついてるかついてないかだと思うわ。今は肉弾戦だし。」
「ふーん。」
「ただいつもこれくらいであってはくれないものかしらね。」
「クスッ、それは無理じゃない?美鈴だし。」
「そうね。」
「わうっ。」


ズダァァァン!!
「どうした、雑魚の私に何を手間取っている?」
妖怪を殴って地面に叩きつけて美鈴が言う
「ガ…グ、クソガァァ!!」
ビシッ ドスッ!
殴りかかってきた拳を弾いて蹴り上げる
ガッ ズガン!!
浮いた足を掴んで再び地面に叩きつける
ゴキィ!
追撃に足を振り下ろし骨を叩き折る
「ガッハッ…!」
畳み掛けてくる連撃に妖怪は動けなくなった

「終いだ。」
ズドン!


大将がやられたせいか他の妖怪たちは蜘蛛の子を散らすように逃げていってしまった
「ふぅ~、やれやれ。」
たった今倒した妖怪を片付け緊張をほぐす
「ったぁ、あらら血が出てる。」
痛みが走った部分を確認すると皮が破れて血が出ていた
「何か巻いてからにすればよかった。」
フゥとため息をついて館に戻る
「咲夜が心配しなければいいけど。」
取り合えずは怪我の治療かな



ガチャ
「ただいまもどりましたー。」
「わぅっ。」
レミリアの部屋に戻ると咲夜が飛びついてきた
美鈴はそれを受け止めて抱っこをしてあげる
「お帰りメイリン。片付いたようね。」
「はい。」
「普段からこれ位してくれると嬉しいんだけどねぇ。」
「えー、あー、そこは鋭意努力という方向で。」
目を細めながら見てくるレミリアに汗を貼り付けて美鈴は苦笑いした
「あれ、メイリン、手大丈夫?」
手の怪我に気づいたフランが尋ねてくる
「あ、はい。ただのかすり傷ですから。」
「くぅん?」
「咲夜も、大丈夫だよ。」
心配してくる咲夜に美鈴は微笑んで撫でてあげる
「……。」
やっぱりそれを不機嫌そうに見るフラン
その様子を見てレミリアは苦笑いした
「それじゃ、お茶をまた頼もうかしら。」




美鈴と咲夜が寝る時間になって出て行った後
「お姉さまとパチュリーはああいってたけどやっぱりヤダ。」
フランは不機嫌なまま館を散歩していた
(あそこは前まで私の場所だったのに、咲夜のバーカ)
むくれたまま歩き続け図書館の中にさしかかった頃
「ん?あれ?まだパチュリーおきてたの?」
「あら、妹様。ええ、咲夜の魔法を解く術式を製作していたんです。」
「え、でもそれってあんまり意味ないんじゃ。」
「まぁ一応ということで。それにこれはいい研究にもなりますし。」
「前に言ってたトラップのこと?」
「はい、今回はこうなっちゃいましたけど実験としてはうまくいったんです。ですからこれを応用して利用しようかと。」
「(ピーン!)今度はどんな動物にするの?」
「まぁまだ完全とはいえない実験段階ですから、適当に猫なんかに。」
「ふ~~ん。」
研究に熱中しているパチュリーの後ろでフランはニヤリと笑った




そんで次の日
「ん~あさですね~。」
目が覚めた美鈴はふと体の上に重さを感じた
見ると布団がぴょこっと膨らんでいる
「咲夜。ちょっと苦しいから上に乗って寝るのはやめてください。」
美鈴が言うと
「くぅん?」
隣から咲夜の鳴き声がした
隣?
あれ?と思って横を見ると気持ちよさそうに寝ている咲夜がいる
「てことはこれは?」
若干の嫌な予感を胸に布団をめくる
「く~す~。」
猫耳が見えた
その先には綺麗な金髪も
「………。」



感染は拡大したらしい
おひさしぶりです(てか覚えてる人がいるかどうか
犬でございます
暫らく書く気が全くおきなかったという超個人的な理由で続きを書くといった作品を放置したまま今に至ります(ホントスイマセン
一応久しぶりなのでリハビリ作ということで書きました
咲夜さん+犬耳+ロリ化=マーベラス
といことです
作中美鈴がなんかすっごく強くなってますがお母さん補正だと思ってください
ですがここで謝らないといけない事があります
犬は咲夜さんを書いておきながら瀟洒という字が全く読めませんでした
最初見たとき「ごうしゃ?いやちがうよなってかよめねーYO!!」な状態でした。いやほんとすいません
これからまたちまちま書いていこうと思いますので
誤字脱字があれば情け無用にいってくださると嬉しいです
では
犬にほえられる程度の能力
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コメント



0.1870簡易評価
1.100名前が無い程度の能力削除
脱字らしきもの
>「参考人確保の為出ていました」→「出て行きました」
ではないかと。
取り敢えずさくわんこ、ではなく興奮してた妖精メイドに「まぁーべらすにときめくぜっ!」
パッチュさんも何処の「小さな漢の大きな話」級の言い訳をしようとしているんですか。
しかも美鈴に対してちょっと幼いし。GJ。
何にせよお世話する獣耳幼女が二体になって美鈴の母性愛も更に倍と言う事ですね。
もし次回があれば嬉しいなぁと思ったりしました。
7.90煉獄削除
咲夜さんがさくやわんに・・・。
可愛い・・・・最後にはフランも猫化してるし。
あああああ・・・どっちも愛でたい!
あ、あと私としては門番の戦闘での親玉のセリフがベタすぎ
だったかなぁ・・・・と思ったり。
8.100名前が無い程度の能力削除
犬化した咲夜さんに母性を遺憾なく発揮する美鈴に嫉妬する妹様はすばらしい
10.90ぴぴん@削除
美鈴おかあさん!美鈴おかあさんじゃないか!
こういうおっとりしてるけど、やるときゃやる美鈴は大好きですw
敵大将の台詞のチープさがちと気になりましたが面白かったです
続き期待
18.70RYO削除
咲夜さんが可愛いのになぜフランに萌えてしまったのだろう。
この続きが読みたい・・・・・・時間の流れ的には、咲夜さんが元に戻って
妹様の様子に驚くんだろうな、きっと。
19.100名前が無い程度の能力削除
「いぬさくや」を持ってる俺惨状(間違いに非ず)
最後のネコミミフランちゃんも気になるぜぃGJ!
20.90Unknown削除
>>井形→異形かな?多分誤字ではないかと

私も真っ先にシム東方のいぬさくやをイメージしましたw

この魔法が手違いで拡散して美鈴以外がカオスになったVerが見たいかも(笑)
24.100名前が無い程度の能力削除
くっ!やってくれたな…!!
25.80名前が無い程度の能力削除
低脳→低能?

何故かさくやわんが脳内で二等身に変換された
26.80名前が無い程度の能力削除
いぬになっちゃった咲夜さん可愛すぎる、その耳さわらせて。
ねこになったフランちゃんも気になるので、続きをお願いしますw
30.90GUNモドキ削除
え?、なんですかこの天国は・・・ああ、パト○ッシュ、天使が見えるヨ。
あと、美鈴かっこいいよ美鈴。
33.80名前が無い程度の能力削除
シム東方の犬咲夜が脳内で飛び回りました。

>猫耳が見えた
>その先には綺麗な金髪も
ふにゃん!?ふにゃんですか!?!?!?
フォーオブアカインドで四匹とか想像するだけで死ぬね?

続編を期待してこの点数で
35.100名前が無い程度の能力削除
個人的には咲夜に嫉妬する妹様が最高ということで。
36.90名前を思い出せない程度の能力削除
ぬこフランで続きを是非。
-10点分はそのときに補完します。

・・・最終的には紅魔ペット館になってそうだな
39.80名前が無い程度の能力削除
1点誤字というか使い間違いを
」には「。」と同じなんで、直した方が良いかと
かなり目立ちますよ

作品自体は面白かったのでこの点数を
47.90名前が無い程度の能力削除
小悪魔が一カ所だけ子悪魔になってました。

咲夜さんはともかくとして、妹様が可愛いなぁ。
48.100名前が無い程度の能力削除
かわいらしい咲夜とフランに萌えました。
美鈴も本来(死合いという意味では)これくらい強いと思っていたので、強い美鈴は大歓迎です。
米1の方の
>「参考人確保の為出ていました」→「出て行きました」
ではないかと。
何ですが、よく読むとこの台詞は美鈴の台詞なので問題ないと思います
50.100名前が無い程度の能力削除
このSSを読んだときに、某動画サイトに上がっていた咲夜さんの動画を思い出したw
かわいいよ、咲夜かわいいよ
誤字報告
>部屋に戻って眠ってしまいそうな昨夜を着替えさせてベッドに入る
 昨夜ではなく、咲夜では?