Coolier - 新生・東方創想話

○○×霖之助 後編

2008/09/09 22:11:43
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 この話はキャラが崩れている可能性が大です。それでもいいと言うなら、お読みください。













 幻想郷の東の端の端。外の世界との境界に位置する場所。その名は博麗神社。
 そこは、妖怪の溜り場でもある。故に人里では、妖怪神社とも呼ばれている。
 だがしかし、今回の盛り上がりに誰もこのことを頭の隅にも思わなかった。毎度のことではあるが。
 いつもは宴会などで使われて騒がしいのだが、今回は別の意味で騒がしい。
 まるで、サーカスを開かれるのを今か今かと待っている子供のような騒がしさだ。
 まぁ、ほとんどが、互いに顔見知りな人と、子供と呼べない妖怪ばかりなのだが。
 博麗神社の庭には、電光パネルがある。
 今、超妖怪弾頭、川城にとりがせっせと、万歩計モドキとそれを中継している機械を接続している。
 そのパネルにぱっと光の文字が表示された。にとりの顔を見るに、どうやら準備完了のようである。
 その上に見える看板には何か書かれている。
 それは、

『第一回 ドキッ!?女だらけのお色気大会!賞品もあるよ!』

 と書き殴られていた。

「あぁ、準備完了したみたいですね。ではっ!」

 文が大きく息を吸う。

「れでぃいいす&れでぃいいいいす!!!これから『霖之助は私のもの大会』を始めます!!!」

 全然違うのだが、皆そんなことは関係ないらしく、歓声が上がる。

「さて司会者はこの私、射命丸文と!楽園の最高裁判所、四季映姫さんが務めさせて頂きます。では、主催者兼参加者の八雲紫さん!開催演説をどうぞ!」

 不意に壇上にスキマが現れた。
 そこから、仰々しく紫が出てきた。
 そして、もう一つスキマを開け霖之助を出す。
 椅子に座っているので、香霖堂から連れてきたようだ。
 語りかけるかのようにゆっくりと話す。
 ざわめきも止まった。

「諸君、私は霖之助が好きだ。
 諸君、私は香霖が好きだ。
 諸君、私は森近霖之助が大好きだ。

 ゆかりんが好きだ。魔理霖が好きだ。霊霖が好きだ。レミ霖が好きだ。美霖が好きだ。チル霖が好きだ。みょん霖が好きだ。慧霖が好きだ。幽香霖が好きだ。

 私の屋敷で。魔法の森で。神社で。紅魔館で。門で。湖で。白玉楼で。人里で。太陽の畑で。香霖堂で。

 この地上で行われるありとあらゆる総受け霖之助が大好きだ。

 私が香霖堂にそっと来たとき、霖之助が驚くのを見るのが好きだ。
 後ろから手を回し、霖之助の頭を胸でやさしく包むときなど心が躍る。
 魔理沙が霖之助にミニ八卦炉を修理させようとするのが好きだ。
 何かにかこつけて気を引こうとしているのに、気づかない霖之助の顔を見るときなど胸がすくような思いだった。
 霊夢が霖之助と一緒にお茶を飲もうとするのが好きだ。
 霊夢が一生懸命何度も何度も話しかけてくるのに、本を読みながら聞き流してる霖之助を見るのは感動すら覚える。
 レミリアが香霖堂に来るときなどもうたまらない。
 店主の目を引こうと慣れない化粧や服を着たりしているのに、霖之助が『綺麗だね。服が。』と言うのも最高だ。
 哀れな幼夢が気づかれないように人魂灯を手に入れようと健気にも立ち上がったのを、すぐさま見破られ香霖堂の屋根の上を雪かきさせている霖之助がSの顔になっているのは絶頂すら覚える。
 慧音が香霖堂に来たときが好きだ。
 霖之助が『久しぶりの常識客だ』と言ったときに、私に見せてくれない安堵の表情を慧音に向けるときは、とてもとても悲しいものだ。
 幽香が香霖堂に来たときも好きだ。
 あまつさえも私と似たような傘を持ち、私と同じ行動をする腐れ妖怪を見るのは屈辱の極みだ。

 諸君。私は霖之助を、私だけを見てくれる霖之助を望んでいる。
 諸君。私に対抗する幻想郷諸君。君たちはいったい何を望んでいる?
 更なる霖萌えを望むか?
 情け容赦のないSな霖之助を望むか?
 鉄風雷火の限りを尽くし、三千世界の鴉天狗をも萌え殺す神のような霖之助を望むか?」
「「「「「霖之助!!」」」」」 「「「「「香霖堂!!」」」」」 「「射命丸!!」」
「よろしい。ならばお色気だ。
 我々は満身の力をこめて、今まさに襲い掛かろうとする一匹の獣だ。
 だが、この暗い妄想の中で生きている間、耐え続けて来た我々にただのお色気ではもはや足りない!!

 色仕掛けを!!一心不乱の色仕掛けを!!

 我らはただの分隊程度。百人にも満たぬ妄想兵に過ぎない。
 だが、諸君は一騎当千の古強者だと私は信仰している。
 ならば我らは私と諸君で、総兵力百万と三十人強の軍集団となる。

 我々を忘却の彼方へと追いやり、眠りこけている霖之助を叩き起こそう。
 服を掴んで押し倒し、眼を開けさせ感じさせよう。
 霖之助に快感の味を感じさせてやる。霖之助に我々の淫靡の音を感じさせてやる。
 天と地の狭間には霖之助の想像では思いもよらないことを感じさせてやる。
 幻想郷の女性陣の愛で、霖之助を萌やし尽くしてやる。
 そして私の隣に居るものは?」
「「「「「霖之助だ!我々の賞品だ!!我々のものだ!!!」」」」」
「そうだ。それが、遂に我々が待ちに望んだ奇跡の産物だ。私は諸君らの約束通りに連れて来たぞ。
 あの素晴らしき霖之助を。あの素晴らしき香霖堂を。」
「「「「「「「「「「紫殿!大妖怪殿!!紫!加齢臭!!隙間妖怪殿!!ババァ!紫!!!靴下!!引き篭もり!!幻想郷の守護者殿!!!」」」」」」」」」」
「そして…我々の思いは遂に妄想を超え、現実へと化す…
 幻想郷大会参加者に伝達!!主催者命令である!!
 さぁ、諸君…天国を作るぞ。」

 祭りが…始まる…

「え、えぇ~…主催者兼参加者の八雲紫さんありがとうございました。さっさと戻ってください。あの状況で本しか読んでない霖之助さんには感動すら覚えますね。では、賞品の霖之助さん。言いたいことがあったらどうぞ。」

 霖之助が鬱陶しいように本を閉じる。

「聞きたいことがあるのだが、この大会に僕にはメリットがあるのかい?」
「特別参加賞として、緋緋色金をプレゼントしましょう。」
「乗った!」

 先ほどのテンションからうって変わって食いついてきた。
 このところ、魔理沙のミニ八卦炉の整備で余剰がなかったと見える。
 それだけでなく、いろいろなものに使えるという特性もあるのも嬉しい。
 その嬉しそうな様子がありありと霖之助から見えた。
 単純なところは魔理沙と似ている。本人たちにとっては心外かもしれないが。

「本人たちの話も決まったようですし、ちゃっちゃと始めましょう。それでは、映姫さん。お願いします。」

 映姫は重々しく頷き、凛とした言葉で言い放った。

「エントリーNo'1!博麗霊夢!出て来なさい!」

 すぐさま参加者の席から出てきた。
 その格好は、いつもの腋出しルックだが、顔は軽めの化粧をしてある。
 その様子が着飾っていない少女の感じがして、とても好感が持てる。

「ルールの確認をします。特殊な道具や薬、能力を使わないで霖之助を、制限時間十分以内に堕としなさい。その他の方法なら何でも使っても構いません。もし、堕とせなかった場合にはそこに表示されている点数の最高点で順位を競います。あなたが今積める善行は不正を行わないこと、霖之助を堕とすこと。良いですね?」
「愚問よ。そんなことしなくても私には簡単すぎるわ。」
「おおっと!?ここで霊夢選手の大胆発言が!!では、やってもらいましょう!試合開始です!」

 別に試合ではない気がするが、あまりの盛り上がりに気にする者は誰もいなかった。

「さて、解説の映姫さん。予想をお願いします。というかなぜこの大会の解説を引き受けたのですか?」
「質問を先にお答えします。まず、八雲紫にお願いされたこと。次に、殿方をもらい、子を作るということは罪ではなくむしろ、素晴らしいことであること。最後に霖之助が私に対して説教をしたことです。苦しむがいい。
 そして、予想ですが霊夢と霖之助は昔馴染みですからね。霖之助が好きなものとはとっくの昔に分かっていることでしょう。もしかしたら、すぐにヤられるかもしれないですね。」
「特におかしいとこはないですね。適切な解説ありがとうございます。」

 なにやら気になることを話していたが、文はさほど気にせずに試合に目を向ける。
 パネルを見てみると、数字が十三になっていた。
 文がにとりから借りた本によると、
 零が死亡。
 一から十までが危篤。
 十一から三十が平常。
 三十一から七十までが緊張、もしくは感情の揺らぎ。
 七十一から九十までが興奮、もしくは異常あり、と書いてある。
 緋緋色金という餌で十三とはあまりにも低すぎる。低血圧なのか興味がないからなのか、それともその両方なのだろうか。
 霊夢の様子を見てみると、決意を固めた眼をしている。いつもこの様子で異変に取り掛かってくれたら、すぐに解決するだろうが。

「霖之助さん!私を霖之助さんのお嫁にしてください!何でもやりますから!」
「なんということでしょう!霊夢選手、まさかの正攻法っ!!」
「いやぁ、いい判断ですね。朴念仁の霖之助には右ストレートがちょうどいいかもしれません。」

 そして、霊夢は霖之助の手を取り、自分の胸に押し当てた。
 観客のほうから黄色い悲鳴が聞こえる。

「ほら…霖之助さん…聞こえる?私の心臓、とても鼓動が速いでしょう?霖之助さんだけよ。こんなことするの…」
「霊夢…」
 霊夢と霖之助の目が細くなり、見つめ合う。

「まさかの二段構え!これは効きますねぇ~。」
「さて、パネルを見てみましょうか…って!?え?どうして!?」

 文の驚きに、観客がざわめきながらパネルを見る。
 すると、そこには十五と表示されていた。
 普通の殿方ならあれだけでも、六十は到達するだろう。特殊な趣味を持つ変人なら九十と表示されてもおかしくはない。
 だが、霖之助は平常値。しかも、低め。
 あまりの精神力の高さに観客全員が驚愕した。
 霖之助が口を開く。

「霊夢…服を脱ぎなさい。」
「へっ?」

 突然の変態発言に、霊夢とその他の観客は固まった。

「早く脱ぎなさい。」
「いいいいいやっここここんなことは初夜にやるんじゃないの!?」
「脱ぐんだ。」
「…はい。」

 霊夢の顔が茹でダコのようになっている。
 無理もない。観客が見ている前で脱げと言われているのだ。
 それは誰だって赤くなる。
 霊夢は服を脱ぐと、さらしで巻いているところ以外肌が露出している。
 陶磁器のような白い肌に、朱色が混じっている。
 幼い体に、膨れ始めた胸。まだ硬さが残る尻。
 完成というには、月日が足りないが、しかしそれだけでも扇情的に映る。
 それなのに、パネルは非情にも十四を指していた。
 霖之助はその服を霊夢から受け取り、そして、

 服を縫い始めた。

 奇怪な行動に皆驚きを隠せない。
 司会者、解説者なども呆けたようにそれを見ている。

「よし。縫い終わった。霊夢、着てごらん。」

 霖之助は修繕が終わった服を霊夢に着るように促す。
 霊夢は人形のような動きをしながら、ぎこちなく服を着る。

「やっぱり、服が綻びてたんだ。さっきから気になってね。
それと、霊夢。勝つためだとはいえ、冗談でも男の人にそう言ってはいけない。もし僕が襲ったらどうなる?君はお嫁に行けなくなるんだよ?僕は君に淑女になってもらいたいからね。
 いいかい?次からは絶対にしてはいけないよ。」

 霊夢がプルプルと震えている。

「…さんの…」
「…霊夢?」
「霖之助さんの馬鹿っー!!」

 霖之助に夢想天生しながら、どこかに走り去って行った。

「うわあああぁぁぁぁん!!」

 霊夢の鳴き声が木霊する。
 観客、司会者、解説者は戦慄した。
 霊夢を泣かしたということ。それでも生きている霖之助がいること。そして、あまりにも朴念仁だということ。
 最初、あれで堕ちると思っていた観客。しかし、予想以上の強さに、自分らの頭の中のデータを上書きしないといけないようだ。
 しかし、多数の参加者の様子を見てみるとまったく動じていない。
 あの状況を見ても、自分は勝てると思っている様子だ。

「えぇっと…霊夢選手の最高点は十五点でした。非常に哀れでしたね。」
「まさか、あそこまでひどいとは…しかも説教までしていましたし。」
「説教はあなたの分野ですしね。次は…萃香選手です!どうぞ!」

 舞台の上に、空気中から何か萃る。
 それが、だんだんと小さな鬼の姿になる。
 小さな百鬼夜行、伊吹萃香である。

「やっとあたしの出番かい?遅すぎるねぇ。」

 顔には余裕の笑みを浮かべていた。

「まぁ、あたしは興味ないけどね。でも、霊夢に頼まれたんじゃしょうがないか。」
「あれ?霊夢さんに頼まれたんですか?」
「そう。もし駄目だったら代わりに賞品取ってきてって、血涙流して頼まれたよ。今も泣いてどっか行ってるみたいだけど。」

 霊夢は安全装置を設置していたのだ。
 今回の場合、魔理沙や紫、その他の仲間は敵である。
 萃香が霖之助に興味がないと知っていたからこそ、お願いできたのだ。
 本来なら脅すこともできた。しかし、紫に馬鹿にされて女としてのプライドが我慢できなかった。
 いつもなら決して飲ませない、神社のお酒を犠牲にしたとしても。

「あんな顔の霊夢は初めて見るよ…よっぽど思い詰めていたんだろうね。
 まぁいいや。しけた話はこれくらいにしといて、さっさと始めてよ!」
「あ…はい。わかりました。試合開始です!」

 萃香は霖之助の前に立った。
 霖之助の顔をまじまじと見る。

「あんたが霖之助かい?…へぇ、いい男じゃないか。霊夢もいい趣味してる。
でも、手加減してやらないからね!!」
「何を手加減しろと…」

 霖之助が突っ込む。
 漫才をやっている最中、文と映姫は実況を始めていた。

「さて、二番手の萃香選手ですがどう予想つけますか?」
「ん~、そうですね。先ほどの試合で、彼は少女には興味なさそうって事が判明しましたからね。これは、霊夢選手より下に行くかも…おや?」

 映姫が怪訝な表情でパネルを見る。
 その数値は、三十二となっている。
 だが、すぐに十五に下がった。

「急に上がりましたね。どうしたんでしょう?」
「あれは、多分萃香選手に顔をまじまじと見られたからでしょう。始めてみた人に見られると、ドキドキしますからね。私も初めて小町と仕事したときは緊張の連続でしたよ。」
「まぁ、これで霊夢さんの上を行きましたね。…しかし、何か違和感があるような…」

 新聞記者をやってる文の目には、数値に対して疑問を持つ。
 長年取材を取った勘と言おうか。
 だが、これを言葉にできない。
 文はそんなことより、二人の試合を見ることに集中した。

「四季映姫!!別に自分に対して力を使うんだったら、構わないんだろう!!」

 突然、萃香が声を上げた。

「構いませんよ。相手の思考を奪うなどのことをしなければ、大体のことは許可します。」

 映姫が淡々と述べる。
 その答えに萃香は満足した。

「ふふっ…では、ゆくぞ!とくと御覧あれっ!!」

 その掛け声と同時に、萃香に霧が集まってくる。
 あまりにも霧が濃く、萃香の姿が視認出来ない。

「何を始めるつもりなのでしょうか…って!これは!?」

 文の声が驚愕に満ちる。
 霧が晴れ、萃香の姿が確認できた。
 だが、それは幼児体型ではなく、誰もがうらやむグラマーな体型になっていた。
 出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでる。人が人なら鼻血を出していたところだろう。
 息を呑むような容姿。そう表現するにふさわしい体型を萃香はしていた。
 萃香の能力は『密度を操る程度の能力』。要は胸と尻を密とし、腹部を疎としたのだ。

「これは素晴らしい!!まさかこのような方法があるとは!」
「これは私たちが予測すべきことでしたね。迂闊でした。でもまぁ、ルールに触れていないからセーフですね。」

 萃香が霖之助にゆっくりと近づく。
 その歩き方は、大多数の男どもは魅了されてしまうだろう。
 霖之助の太ももに座り、萃香は自分の胸を下から持ち上げ見せ付けた。

「ほら…触っても、揉んでも、霖之助の好きなようにしてもいいんだよ?」

 文が鼻血を出しながら実況をする。

「私に揉ましてくださいっ!」
「落ち着きなさい、文。実況が絶叫になっていますよ。さて、パネルは…三十五!いい仕事してますねぇ。」

 萃香は上目づかいで霖之助を見つめる。
 霖之助は眼鏡をくいっとかけ直す。

「ふむ…では遠慮なく…」
「へっ?」

 萃香の間の抜けた声を無視し、むんずと揉みまくる。
 霖之助は道具屋である。そのため商品は丁寧に扱わなければならない。
 もちろん、それを長く保存するためにも必要なことである。
 霖之助は二つの柔らかい宝石を、丁寧に鑑定するかのように扱う。

「ふっ……くっ…はんっ…あっ……やめ…」

 初めての経験だった。
 一度、霊夢や魔理沙に変身したこの胸を触らした時には、全く反応しなかったのに、今ではただ一人の男に感じている。
 最初はただ戸惑ったのだが、すぐに感じてしまった自分がいることに気づく。
 これは危険と判断し、萃香は喘ぎながら懇願する。

「…もう…やめて・・・はうっ!」
「悪いが、時間制限まで付き合ってもらおう。必要なものでね。」
「ひ…つ…よう…?…ひっ!?」

 鑑定が再開された。
 霖之助は前から揉むのは疲れたらしく、今度は萃香の背後から揉みしだく。
 傍から見るとかなり危険である。
 萃香も先ほどとは違う快感に身をよじる。




 それから、三分後…




「おや?もう時間が来たようだね。」

 霖之助が萃香の胸を放す。
 その途端、萃香は事切れたかのように倒れた。

「ぜひっ……ぜひっ……ひゅーひゅー……」

 顔が涎まみれで、痙攣している。
 我に帰った文が、急いで終了を告げる。

「しゅ、終了です!!い、医療班は早く!!」
「これはまずいですね。永琳がいるから大丈夫でしょうが…って、霖之助はいったい何を?」

 慌てふためいてる文を背に、霖之助は何やらメモをしていた。

「あぁ、これかい?パッドを作る時に必要なものを書いているんだ。いくつか需要があるからね。」
「まさか、あなたはそのために萃香の胸を…?」
「そのとおりだよ。触らせてくれる人はいないからね。吉原のような所に行けば何とかなりそうだが…
あぁ、安心したまえ。興味はないよ。」

 そう言われると何故か説明がつく。
 霖之助の場合、説教をするかこの場から立ち去るかのどちらかである。
 なのに、あのような行動に出たのは単に自分の商品のため。
 パネルをみると、数値は四十二。
 あの数値の高さは、めったにないチャンスに巡り合えたからである。
 決して下心があって変化したわけではない。
 つくづく変人である。
 どうやら命に別状はない萃香を置いて、文は戻ってきた。

「えぇ…萃香選手の最高点は四十二点でした。霖之助さんにしてはなかなかに高いほうではないですか?」
「そうですね。過程も結果も悲惨なものでしたが…えぇーと、次の方は…」

 参加者と観客はどん引きしていた。
 霖之助らしからぬ行動をしたこと。そしてやっぱり霖之助らしい理由であること。
 そんなどうでもよい理由のために、自分の貞操が危機にさらされるなどたまったもんではない。
 これに参加したのは、単におもしろそうだったからである。
 ただ、からかってみんなで楽しめればそれでよかった。
 それだけの筈なのに、なぜこんなことになってしまったのか。
 文と映姫に呼ばれることに、恐怖を感じ始めていた。
 だがしかし、一部の参加者は全く動じなかった。
 まるで、自分の方法、魅力に自信があるかのようである。
 その代表格が紫だった。

「ふふっ…さすがは香霖堂さん。なかなかやるわね。」

 妖艶な笑みが、紫のカリスマをさらに高めているように見える。
 見えるだけだが。

「次は、小悪魔さんです。どうぞ。」

 おずおずと出て来る小悪魔。だが、様子が少しおかしかった。

「あの~…棄権してもよろしいでしょうか?」
「は?」

 突然棄権を申し込んだ。

「いやもう理由はわかるでしょう?被害者続出ですよ。やりたくありませんよ。」

 無理もない。あの様子を見たら、普通は誰もやりたくはない。
 ここで、棄権を申請することは賢明な判断と言える。
 だが

「駄目よ。こあ。」
「パチュリー様!?」

 突然観客のほうから声がする。
 小悪魔が見つめるのは、彼女が認めた主人、知識と日陰の少女パチュリー・ノーレッジである。

「もう一度言うわ。駄目よ、こあ。」
「何故ですか!?見たらわかるでしょう?私の貞操が危険なんですよ!!」

 その説明に霖之助はむっとした。

「心外だな。僕がそんなことをする訳ないだろう?」
「うるさいだまれこの悪魔。」
「悪魔は君だろう。ぼくは半妖だよ。」

 霖之助が突っ込みをするが、それを無視する小悪魔。

「私ももう一度言います。何故ですか。」

 主人をキッと睨む。
 それにため息をつくパチュリー。

「決まってるわ。ホムンクルスの製造に必要だからよ。特に、半妖の子種というのは貴重でね。どうしても必要なのよ。」
「初耳ですよ!?それ!」

 主人からの命令はただ参加しろとだけ。
 理由もなく言われたが、小悪魔はいつものことと気にしなかった。
 だが、理由を聞いたら、絶対に参加しなかった。

「一人じゃ無理ですよ…パチュリー様ぁ…」

 涙声になる小悪魔。
 パチュリーは優しく問う。

「一人じゃ…無理なのね…?」
「……パチュリー様?」

 その言葉を聴いたときは嬉しかった。
 開放されると思った。
 しかし、パチュリーの顔を見てみると悪魔のような笑みを浮かべている。
 小悪魔が悪魔のはずだが。

「映姫。確かルールには人数の事は書かれていないはずよね?」
「そのとおりですが…何をなさるおつもりで?」

 パチュリーの顔がニマっと笑った。

「優曇華院、てゐ、出て来なさい。」
「「はいいぃっ!?」」

 観客と参加者のほうから二つの間の抜けた声が流れる。
 一人はもちろん小悪魔で、もう一人は狂気の月の兎、鈴仙・ 優曇華院・イナバである。
 地上の兎、因幡てゐはすぐに舞台に立っていたが。
 パチュリーは表情を変えないまま、鈴仙の方に向く。

「安心なさい。あなたの師匠から許可は貰ったから。」
「師匠!?いったいどうゆう事なんですか!?しかも、てゐは知ってるみたいですし!」
「気にしないで、 ウドンゲ。報酬は貰ったから。」
「ちょっ!?」

 月の頭脳、八意永琳は楽しそうに話す。
 最初にパチュリーから持ちかけたとき、ノリノリで許可したらしい。
 と、永遠のお姫様、蓬莱山輝夜が後日、文に話した。
 それは、まぁ別の話ではあるのだが。

「えぇ~と。開始しますよ?」
「構いませんよ。文。」
「では、試合開始です。」

 とりあえず、文は戸惑いながらも試合開始を宣言した。

「咲夜、頼むわよ。」
「仰せのままに。」

 紅魔館のメイド、十六夜咲夜が瞬時にパチュリーの横に現れた。
 手には鞄を持っていて、そこから服と本を取り出した。
 司会者側からはよく見えない。なので、文が身を乗り出そうとすると、急に咲夜の姿が見えなくなった。

「あれ、どこに?…って、ああぁ!」
「なんとっ!?これはっ!」

 司会者が叫ぶ。
 それは無理もない。いつの間にか鈴仙とてゐにはバニー服が着せられていて、小悪魔の手には本が乗せられていた。
 かわいらしい綿毛の尻尾、ピッチリ腿に喰い込んでる網タイツ。濃紺な服、元から付いている耳。
 サイズもぴったり。すばらしい出来栄えである。
 そして、本のタイトルは『兎と私とプレイボーイ』。官能小説である。

「小悪魔、その本を朗読しなさい。優曇華院、てゐと一緒にこの本の通りに動きなさい。」
「「えぇーー!?」」

 パチュリーの命令に二人とも焦る。
 当たり前だ。小悪魔には感情を込めて読み、後の二匹は乳繰り合えと。
 そんな恥さらし、出来るはずがない。

「早くしなさい。さっさとしないとロイヤルフレアをするわよ。」

 パチュリーの脅しに渋々と恥さらしを実行する。

「み、ミシェルは、あああ、喘ぎながらも抵抗する。『駄目よ!私には夫が!それに貴女、女じゃない!』 それに対し、ティファは舌なめずりをする。それがひどく扇情的に映った。『なな、何を言ってるんですかぁ~?バニー服をここここんなにしちゃってぇ~。』 ティファは宝石を扱うような手先で、胸をゆゆゆゆゆっくりと撫でる…」
「駄目っ!!てゐっ!そそそそこは駄目ええええぇぇぇぇ!!」
「良いではないか。良いではないか。」

 顔を真っ赤にした小悪魔。
 てゐのいたずらで、必死に抵抗している鈴仙。
 堂々といじめて楽しいてゐ。
 傍から見ると、変則的な羞恥プレイである。
 人によっては、シュールに見えるだろうが。

「なんというプレイっ!!これは凄まじい!」
「これはひどい… 後でパチュリーには、ホムンクルスの件についても説教しなければ。」

 その瞬間、パチュリーは咲夜と一緒に消えうせた。
 走ると喘息がひどくなるので、咲夜に時を止まらせて逃げたのだろう。
 まったく準備がいい。

「…まぁいいでしょう。説教はいつでも出来ますしね。それより今は…」

 映姫はため息をつきながらも、パネルを見た。
 数字が四十と六十を行ったり来たりしている。
 確かに高いが何故、不規則な数値を出すのだろうか。
 映姫は不思議に思う。文も同じく違和感を感じた。
 霖之助が戸惑いながらも、声をかける。

「あー… 鈴仙くん、ちょっといいかね?」
「はっはい!なんでしょうか!?」

 鈴仙のみならず、他の二人も霖之助の方に向いた。

「そうかしこまらなくてもいいよ。ただ、背中を見せて欲しいだけだ。」
「はぁ…」

 不思議に思いながらも、霖之助を背に後ろに向く。
 霖之助はゆっくり近づく。

「動かないでね。」
「ん…」

 霖之助の手が鈴仙の背中に触れる。
 商品を大切に扱うように、丁寧に指で、首のほうまでなぞる。
 それを横目で見る小悪魔。顔を手で防ぎながら隙間から覗くてゐ。
 遠目から見ると、バニーさんにセクハラをしている人にしか見えなかった。

「やっぱり…」

 霖之助は鈴仙の耳で呟く。
 故意ではないのだが、そのことにピクっと反応する鈴仙。
 霖之助側からは見えないが、鈴仙の顔が上気しているのがわかる。
 そして、霖之助は…



 懐からはさみを取り出し、首のところにある値札を取った。



「な、何をしたんですか?」
「あぁ。首のところについていたタグを取ったんだよ。さっきからチラチラ見えていてね。気になってたんだ。
さぁ。芸の続きを見せてくれ。」

 空気が冷える音がした。
 霖之助は欲情したから数値が上がったのではなく、単に値札が気になっていたから。
 映姫はそう解釈した。だが、文は気になる。
 それなら何故、今も不安定なのか。
 文には違和感が残ったが、とりあえず実況をする。

「ここまでやっといて芸とか… 酷すぎますね。ちなみに値札には『¥5000』と見えますね。外界の数値でしょうか?」
「たぶんそうだと。紫に聞けばわかるかもしれませんが…」

 当の紫は知らん振りをしていた。
 自分に関係がないことには何もしない妖怪である。
 この程度のことに口は出さない。
 それをわかってる映姫は、ジロリと紫を睨んだ。

「やはり、やめときましょう。あの妖怪が素直に話すとは思いませんし。」
「それもそうですね。おぉーと。もう時間です!皆さん退場してください。」

 てゐが楽しそうに笑う。

「あー楽しかった!またやろうよ!鈴仙ちゃん。」
「もうやりません!」

 鈴仙は涙目になって突っ込む。
 しかし、小悪魔は固まったままだ。
 固まった小悪魔を、どこからともなくやってきたパチュリーによって運ばれた。

「得点は六十点でした。だんだんグダグダになってきたのは気のせいでしょうか。」
「気が合いますね、文。私もそう思ったところです。」
「えぇ~と…次の方は…」
「私よ。」

 突如スキマから紫が現れた。
 いきなり司会者の前に現れたので文は戸惑ったが、この妖怪はこうして人を驚かして愉しむので、気にしないで進めることにした。

「そのとおりです。紫さん。さっさと終わりたいので巻きでお願いします。」
「言われなくてもそうするわ。」

 よほど自信ありげなのか、笑みを絶やさない。
 その一方で飽きたのか、文はあくびをする。

「ではぁ~試合開始ぃ~。」
「文、だめですよ仕事はちゃんとしないと。」
「失礼しました。どうもなんか展開が読めちゃって。」
「まだわかりませんよ。あの妖怪のことですからね。何をしでかすか…」

 そう言われて、試合を見るがやはりやる気が出ない文。

「本当に何とかなるんでしょうね…」

 映姫にも聞こえない声でぼそりと呟く。
 やる気のない司会者をよそに、紫は行動を始めた。

「香霖堂さん、いえここでは霖之助さんと呼ばせていただくわ。」
「君の好きなように呼んだらいい。魔理沙もそうしてる。」
「あら、ほかの女の話をするのは野暮じゃなくて?」

 すこしムッとする紫。だが、途中で霖之助が鈍感な男だと諦める。

「じゃあ、他の女のことを思い出さないようにしてあげる。」
「いったい何を………むぐっ!?」

 霖之助はいきなり口を閉ざされた。
 無論、紫の唇で。
 文が、ガバっと起き上った。
 文のテンションも元に戻った。

「さすが、紫さん!私たちにできないことを平然とやってのける!!そこに痺れる!憧れるぅ!!」
「いやぁ、若者の接吻を見るのはいいですね。これが若さか…」

 どこかで聞いたようなセリフを吐きながら実況する二人。
 観客達のボルテージも上がってくる。
 逃がさないよう、紫は霖之助の首に手を回す。
 初めはソフトから。だが、だんだんと霖之助の口腔の中にも侵入してくる。
 歯を侵略し、舌を略奪し、息さえも凌辱する。
 先ほど映姫が接吻と言ったが、これは違う。
 これはもう接吻と呼べない。霖之助にとってこれは犯されているに近い。
 実際に霖之助の顔が赤くなる。
 それを横目に紫は目を細める。
 これが、紫の作戦だった。
 にとりが作った機械は心拍数を測る機械。ならば、相手の息を止めさせて強制的に心拍数を高めればよい。
 今現在、パネルは八十二を示している。
 紫は勝利を確認した。ここまで来たなら誰にも負けはしないと。

「…ぷはっ。どう?霖之助さん?気持ちよかったでしょう?」
「……………………………あぁ。」

 その発言に文は身を乗り出す。

「なんと!?ここで、霖之助からのまさかの発言!!これは堕ちたか!?」
「さすがやってくれました。伊達にン千年は生きてませんね。年の功というもんでしょうか。」
「……なにやらトゲがありますが、聞かなかったことにします。」

 命知らずの発言をする映姫に、素知らぬ顔をする文。
 例え紫に責められても、これで関係ないということができる。
 ふと、霖之助の発言から文は思う。
 魔理沙がいない。この状況でも出てきてないというのはおかしい。
 この大会にエントリーもしていない。これは一体どういうことなのだろうか。
 身を引いたのだろうか。いや、魔理沙は勝負事から逃げるということはしない。例え理不尽なことだったとしてもだ。
 文の考えすぎだろうか。
 そんなことを思案している間に、紫がまた接吻まがいなことをしようとする。
 だが、それを霖之助は人差し指で紫の唇を止める。
 その行動に紫は驚く。

「ふぇ?」
「はぁ…まったく困ったもんだよ。…悪いけど、君の思いは受け取れない。せめて、これで我慢してくれ。」

 霖之助は眼鏡を外す。
 外した姿に紫は内心動揺する。
 切れ長の瞳、知的そうな顔つき。そして、爵位が高い紳士のような雰囲気。
 眼鏡を掛けた姿とは違う、別の世界をもった霖之助がそこにいたからだ。
 霖之助が紫の顎を持ち上げた。

「な、何っ?…うんっ!?」

 霖之助が攻める。
 紫の歯を舌でなぞり、手は紫の腰と後頭部を抑えている。
 先程とは違って立場が逆転してしまった。
 今度は紫が苦しむ。しかし、その顔がだんだんと恍惚になって見えるのは、観客の気のせいだろうか。
 紫の目がトロンとなり、抵抗はまったくしなくなっていた。すべてを受け入れてしまった。
 霖之助が紫の髪の毛を梳かすように撫でながら、耳元で囁く。

「君の胎内にいる子供は、僕が預かろう。君には迷惑をかけないようにするから。」
「ひっ!?」

 紫はそれどころではない。
 少し油断したところで、霖之助に甘く優しく囁かれたからだ。
 そして、また霖之助は再開する。
 霖之助がここまでするのには、彼が甘すぎるのと、プライドを持っている女性を傷つかせたくないからだ。
 だが霖之助の誤算は、自分自身が天然のテクニシャンだということ。
 ただのキス一つだけで、女性を悦ばせているのだから。

「いやぁ、これは恐ろしいですね。こんな技術を持っていたとは…」
「しかも彼女の顔を見てください。もう限界のようですよ。大妖怪のくせに情けない…」

 試合終了の宣言が言われたと同時に、紫は気を失った。
 医療班がすぐさま運ぶ。
 急いで文が永琳から詳しく様子を聞くと、あまりにも危険などで発言は控えるということ。
 生贄に 優曇華院を出さないといけないとぼやいてもいたが。
 文は静かに合掌した。

「さっさと進めますか…えーと、次の方は…」
「ちょっと待ったっ!!」

 映姫が帳簿をめくってるときに、天高くから声がした。
 ちょうど昼ごろなので、太陽が登ってよく見えない。だが、声でわかった。

「魔理沙ですか。どうかしたんですか?」
「決まってる。私を参加させろ。」

 急いで来たらしく、息が上がりながらもちゃんと話す。
 しかし、礼儀がなってないので映姫はむっとする。

「飛び入り参加は禁止されていませんが、あなたの無礼は説教に値します。いいですか、そもそも…」
「まぁまぁ、映姫さん。説教は後にして、巻いていきましょう。」
「もし、これ以上続けていたらマスタースパークを放ってるところだったぜ。じゃあすぐに始めさせてもらう。」
「はいはい。では、試合開始です。」

 魔理沙がすぐに霖之助の元に駆け寄る。
 その行動に文は違和感を感じた。
 どうして、あそこまで急いでるのだろう。まだ、時間はあるというのに…
 文がそのことを考えている間にも、魔理沙は帽子の中から何かを取り出した。
 そしたら、出るわ出るわ。
 どうやったらそんな小さな帽子に、あれほどのものが入るのだろうか。
 文が目を細めて見てみると、どうやら何か調理されたものらしい。

「魔理沙、それに媚薬などは入っていないでしょうね?」

 映姫が訝しげに魔理沙を見る。
 文は永琳の方に向いた。薬では彼女の専門だからだ。
 永琳は大丈夫だと合図を送る。
 あんな遠くの方から判断できるのはさすがと言おうか。

「映姫さん。どうやら大丈夫のようですよ。相手を虜にするような薬は入ってないようで。」

 その言葉に映姫は安堵するが、すぐに顔をしかめる。
 先ほどの無礼な態度から、まだ腹を据えているようだ。
 裁判官の癖にまだ冷静になっていないようだ。これでは小町も苦労するだろう。
 文はため息をつく。

「てなわけで、香霖。これを食べてくれ。あぁ、飲み物は食後の後な。」

 息を整えた魔理沙が、自分の料理を進める。
 内容は、おろしを添えた焼き魚、出来たばかりらしくまだ湯気が立っているご飯、同じ状態の味噌汁、そして、さり気なく漬物もおいてある。茶碗に入っている飲み物は何かは見当がつかない。
 霖之助は少し不安に思いながらも箸を進める。
 魔理沙の料理が怖いというわけではない。魔理沙の料理は美味いということは知っている。
 問題なのは何故この場で料理を食べさせるのか。
 答えが出ないまま黙々と食べる。
 その様子に魔理沙は、安堵のため息を漏らす。
 霖之助は食べるのが早い。食べた後、いつも本を読みたいからだ。
 五分ほどで食べ終え、茶碗に入っている飲み物を飲む。
 見た目は黒く濁っていたが、味は見た目に反してすっきりして飲みやすい。

「魔理沙、美味しかったよ。ありがとう。」
「本当は、もう少しゆっくり食べてほしかったんだけどな。」

 その言葉とは裏腹に、魔理沙は満面の笑顔を向ける。

「料理作戦ですか。いい方法ですけど…」
「そうですね。悪くはありませんが、料理をもっと味わって食べてほしいですね。」
「そこですかっ!?映姫さん!…まぁいいです。パネルの方を見てみますか。」

 パネルは、文の予感に反せず二十と表示されていた。
 当然である。人に限らず動物でも、食事を取ると安心してしまうのだ。
 そのまま、一眠りという人も居るぐらいだ。
 では、何故愚行とも取れる行動を魔理沙はしたのか。

「私は霖之助の子種なんてどうでもいいんだ。」

 意味深な発言に文は驚く。

「えええっ!?では、何故なんですか?」
「決まってる。霖之助の看病だ。」

 魔理沙が律儀に答えた。
 その言葉に文はすべて納得いった。
 いままで、パネルの数値が不規則に変化したのは、霖之助の体調がおかしかったから。
 ふと文は、霖之助の家に来たときも体調悪そうにしていたことを思い出した。
 ヒントはあったのに気付けなかった自分に、新聞記者としての憤りを感じた。
 変なプライドが砕かれた文をよそに、魔理沙は霖之助の方に向く。

「この飲み物には、落ち着かせる効果があってな。後、体に良さそうなものをちゃんとブレンドしてみた。これで、一日寝れば体調が元に戻るはずだ。」
「魔理沙…」

 霖之助は思う。
 やっと、人のことを思うような子になれたか。
 ここまで、成長したことに霖之助は感慨深いものを感じる。
 自分だからだということに気付かないところが、霖之助らしいが。
 和やかな雰囲気の中、突如医療室のドアが吹き飛んだ。
 優曇華院の頭を鷲づかみにした紫がそこに居た。
 常軌を逸してる目つきをして、辺りを見回してる。
 優曇華院の様子は、キスマークが体のあちこちにやられていた。
 恍惚な表情も浮かべてもいたが。

「タリナイィ、タリナイワァ。ウサギシルヨリモォ、ヤハリメインディシュノホウガァァァァァァ!!」

 何故か片言になっている紫。
 あれを止めようと永遠亭の兎たちが出てくるが、すぐさま紫のゴッドフィンガーにより快楽の海へと溺れた。
 会場の空気が混乱に包まれた。
 混乱の中、紫は霖之助を見つけた。その瞬間、紫からオーラが見えている気がした。
 というか、そのオーラが陽炎のように本当に見える。

「な、何ですかあれえええぇっ!?」
「ご存じないのですか?あれが大妖怪、八雲紫です。」
「わかりますけどっ!いやっ、わからないって!!」

 司会者が戸惑っている最中にも、紫は辺りを見回す。
 そして

「…ミツケタアアアアァァァァ!!」

 そのまま会場に飛び移る。
 口角がつり上がり、目尻が下がる。眼は獲物を見つけて離さない。

「イトシノイトシノリンノスケサァァァン。イマカラアイシテアゲルワアアアアァァァ!!」
「ちいいっ!」

 魔理沙が霖之助の盾になるように、紫の前へ出た。
 勿論、八卦炉を持って。
 紫は霖之助と魔理沙を交互に見つめる。
 そして、先に魔理沙に襲い掛かった。弱いものはじっくりということらしい。

「マズハ、オードブルカライキマショウカアアァ。」

 目にも留まらぬ速さで、魔理沙の服に手をかける。
 魔理沙は何とか逃げ出そうとしたが、そのはずみで片袖が破ける。
 重力の法則から紫はバランスを崩し、それを好機だと思い魔理沙は八卦炉を紫に向ける。

「マスター…」
「アマイッ!!」

 すぐさまスキマに潜り、魔理沙の後ろに現れる。

「しまっ…」
「ツカマエタアアッ!」

 どこからか取り出しのか、縄を取り出し魔理沙の手足を縛った。
 これでは身動きが取れない。魔理沙は必死にもがくが、紫に押さえつけられた。

「くっ、放せっ!!」
「カイホウシテアゲルワヨゥ。リセイトイウクサリカラネェ。」

 縛っているというのに、器用に魔理沙の洋服を外す紫。
 残ったものはキャミソールとドロワーズだけ。

「香霖…見るなぁ…」

 目に涙を浮かべ顔を真っ赤にしながら、懇願する魔理沙。
 霖之助はその様子から目が放せない。
 肌が赤く羞恥に染まり、その上には汗が浮き出ている。
 魔理沙の汗はきめ細かい。あちこち行ったり来たりしてる分運動をしているからだ。
 それがひどく艶かしく見える。
 いつもの気丈な魔理沙が、今はもう弱弱しい。
 そのギャップに霖之助は唾を飲み込む。
 自分は少女趣味ではない。彼は自分に言い聞かせた。
 だが、この心臓の高まりは何だろう。霖之助は自分に説明できない。
 勿論、ただの貧血である。その証拠に霖之助は倒れた。

「ジブンカラミヲササゲタノネェ。ヤハリリンノスケサンハワタシノモノヨオオオ!!」
「誰が、お前のものじゃい。」

 突如、どこからか現れた霊夢に紫は札を貼られた。
 紫は苦痛を上げてそのまま気絶した。
 文は紫が暴走をしている最中、椛に霊夢を探させたのだ。
 霊夢のみがこの場を収拾づけられると踏んだのだ。霊夢にはあることないこと吹き込んだが。
 霖之助と紫はそのまま医療室行き。勿論大会は中止なった。




「過労ね。」

 永琳に、まだ眠っている霖之助はそう診断された。
 詳しく話を聞くと、どうやら日ごろの疲れがたまっていたらしい。
 そして、季節はずれの夏バテである。これでは倒れてもおかしくはない。
 参加者全員がバツの悪い思いをしていた。
 特に当事者である紫は、かなり反省してるらしく霖之助の傍に緋緋色金を置いた。
 魔理沙がつれて帰ると言っていたが、永琳は反対した。
 まだ、体力が回復していないからここにいるべきだと。
 霖之助の顔を見る。
 息はしているが、まるで死人のように深い眠りだ。
 安堵の表情を浮かべ、魔理沙は永遠亭を出た。
 外には霊夢が壁に寄りかかっていた。

「まだ勝負は終わっていないわよ?」
「安心しろ。そのときは勝手に奪っていくから。」

 その答えに二人はぷっと笑い出す。
 まだまだ戦いは始まったばかり。焦りは禁物だ。
 まぁ取り合えず、あいつが回復したら何を食べさせようか。
 霊夢に別れを告げながらも、魔理沙はそんなことを考えていた。
 その顔はもう、恋に戦う少女だった。













おまけ1

 大会が始まる一週間前、映姫は香霖堂に来た。
 勿論、説教するためにここまで来たのだ。
 映姫はドアの前で立ち止まり、決意を固める。
 そして、ゆっくりとドアを開けた。

「やぁ、いらっしゃ…何だ君か。」

 霖之助は顔を上げるが、またすぐに本に目を落とす。
 映姫がすごい形相で霖之助を睨む。その顔は小町に対して怒るときよりも、かなり迫力があった。

「何ですか、その態度は。客に向かって『何だ』は無いでしょう。いいですか、そもそも商売人にとってちゃんと稼ぐことは徳になるんです。それなのに、あなたは何もせずただ本を読むだけ。これでは徳を積んでるとは言いません。それに、あなたは霊夢や魔理沙に色々なものを取られていますね?それだけの実害があるのなら、ちゃんとした措置を取るべきです。ですから…」
「説教はそこまでにしといてくれないか。五月蝿くて、本が読めない。」
「なっ…!?」

 映姫はたじろいだ。
 裁判長の話はちゃんと聴くものなのに、この男は気にもしないで本を読んでいる。むしろ五月蝿いだと?これでは説教の意味がない。立場をわからせないと。
 映姫はそう思い、呼吸を整えしっかりと叱ろうとした。
 その時、霖之助は本を閉じ、顔をしかめながら話す。

「君の仕事はなんだい?」
「は?」

 突然言われて、思考が止まる。
 少しパニックになりながらも、思考を再起動する。

「し、死者に自分の罪を認めさせ、六界のどこかに送る許可を出すことですが?」
「違うね。君はただ判決を下すだけだ。」

 その言葉にむっとする。
 確かにそれも含まれるが、それ以外のこともする。
 本読むだけの霖之助には言われたくない。誇りというものを傷つかされた気分だ。
 反論しようとするが、霖之助は言葉を続ける。

「さっき君が行った仕事は、もうすでに小町君がやっている。彼女の仕事は死者を運ぶだけではない。世間話という尋問を行っている。
 いいかい。君はやらなくてもいい死者への追求をしているんだ。それに、死者だって元は人さ。何度も話そうとはしないよ。逆にそれで泣かれたり、睨みつけられたことはないかい?」
「そういえば…」

 裁判しているときのことを思い出す。
 確かに、私の言葉で悲しんだり、怒ったりする人がいる。
 裁判を行う直前まで穏やかだった人が、急に泣きだしたりすることもある。
 だが、映姫はそれは仕事として気にしなかった。

「川を渡るには人によって最長四十九日かかる人もいる。まさかその間世間話だけではあるまい。
 さりげなく自分の罪を認めさせ、次からやり直そうとする気力を彼女はその期間に持たすのだ。たとえ、その罪で地獄に落ちようともね。
 だが、君は判決を下す前に延々と説教をするそうじゃないか。それではあまりにも死者が可哀想ではないのか?」
「ううっ…」
「彼女のことを君はマイペースで仕事が遅いと責めるが、じつはそうではない。
 彼女は死者のために無意識に遅れているんだ。死者にその覚悟もさせないといけないからね。」
「………………………………………」
「彼女はマイペースだから、仕事が遅いのではない。死者のために君のために仕事をするから、彼女はマイペースになったんだ。」
「……ひっく……うっ……」
「彼女は君の顔も立てているんだよ。自分が怒られれば、君の仕事の内容には誰も目が行かないからね。それに…」
「うわああああああぁぁぁぁぁん………………」

 映姫は走り去っていった。
 その後姿を見送りながらも、霖之助はまた本を手に取る。

「やれやれ。口からでまかせも言ってみるもんだな。」

 この男、鬼畜である。












おまけ2

「…命を弄んではいけません。それは、神でさえもやらない行為です。しかも、ただの実験のために。いいですか…」
「むきゅう」
「そういえば、お嬢様。何故、香霖堂へ?言えば私も行きましたのに。」
「貴女には内緒にしたかったのよ。貴女の仕事が楽になるように、執事を探していたのね。彼は不合格だったけれど。」
「そんな……お嬢様……ありがたき幸せ……」
「いいのよ。咲夜…」
「お嬢様…」
「…それと、あなたは運動をするべきです。魔法のみに頼ってはいけません。だから小悪魔もあなたの命令で疲れているんですよ。もう少し従者を労わりなさい。それに…」
「ねんじゅうむきゅう」












おまけ3

 魔法の森のどこか。

「くすんっ。どうせ私のところには誰も誘いませんよ。チラシさえも来ませんよ。」

 七色の人形使い、アリス・マーガトロイドがベッドの上でむせび泣いていた。
 友達作れよ。
__,冖__ ,、  __冖__   / //
 `,-. -、'ヽ' └ァ --'、 〔/ /
 ヽ_'_ノ)_ノ    `r=_ノ    / 
  __,冖__ ,、   ,へ    /  ,ィ
 `,-. -、'ヽ'   く <´   7_// 
 ヽ_'_ノ)_ノ    \>     /       ,.--、_,,....,,__,. -- 、
   n     「 |      /     ,.- '// ⌒ヽヽ  //⌒l |
   ll     || .,ヘ   /    /   l | ___ ___',',nイk___,// ヽ,
   ll     ヽ二ノ__  {   ,'   ヽ_rゝゝ-' ー',.-、- 、イ、   i 
   l|         _| ゙っ  ̄フi  ,.へ_トー'____,.ィ !  ハ、___ イヽ、イ 
   |l        (,・_,゙> / r'⌒ r´γ   / . i i / V ハ   ゝ
   ll     __,冖__ ,、  > 〈_,.イ  イ  ,ィヽ/ __.レ´ _∨!ヽ! ハ 
   l|     `,-. -、'ヽ'  \  i  i .レイlO' ̄     ̄`.ハ/ヽ
   |l     ヽ_'_ノ)_ノ   ト   〉.  i  i ',,.    __    ,从 ( 
   ll     __,冖__ ,、 |   i  /〈  lヽ,    ( /  ,.イノ Y  
   ll     `,-. -、'ヽ' iヾ  ノ  イ /ヽ、|  i>r--r,=´/  _ハ,
   |l     ヽ_'_ノ)_ノ  {   ,'  )  i,.-ハ/ ゝ、__ 7 iゝノヽi ヽ.イ
. n. n. n        l  i / ./  〈 ノ i ヽ、`}>n<{_,.イヽヽ!、
  |!  |!  |!         l  ハ !/   }><{、   Y  Y}><{ヘ ',
  o  o  o      ,へ l ! 〈     ハゝ 〉  `ー´  ハィ ゝイ
           /   ヽ/ iヽ/ヽ/ヽ/ゝイ    ノノ  V i`/i、

「ところで、悔しがってるところ恐縮ですがあの瓶の子種は本物ですか?」
「子種?いいえ。ケフィアです。」
「ですよねー。じゃあ、できちゃったっていうのは…」
「嘘に決まっているでしょう!そんなことは出来ないわよ!」
「残念だったね。(少女臭的な意味で」

どうも、大地 徹です。
ケフィアだからセーフですよね。
では、またお叱り助言などをお願いします。
大地 徹
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コメント



0.1150簡易評価
14.無評価名前が無い程度の能力削除
おバカな話としてみれば、小ネタ満載で面白かったです。
ただ、小ネタに走り過ぎて話がグダグダというか非常に読み苦しかったのも事実。
もう少し読み手に配慮を加えれば、若干無茶な展開でもなんとかまとまったんじゃないかと思います。
それとストレートな下ネタは書くなとは申しませんが、注意事項として冒頭に書いておくことをお勧めします。いくらケフィアでもキャラ崩壊以前にそっちで受け付けない方も多いかと。
15.10名前が無い程度の能力削除
キャラ崩壊が激しすぎて受け付けませんでした……
17.50煉獄削除
う~ん・・・前編の方が良かったかなぁ。
後編になったらグダグダ感もありましたし、変な方向に
向かっていた感じもします。
それとやっぱりこういう話になるとアリスの扱いがああなるんですね・・・・。
アリスのことに関しては私としての感情ですので一概に酷いともいえないんでしょうけど
ちょっと悲しい。
あとちょっと落ちが弱い感じがしました。
18.無評価名前が無い程度の能力削除
キャラ崩壊といっても、限度があるだろ…
こんなもん書くなよ…
27.無評価名前が無い程度の能力削除
チラ裏でやれ。オナニーも大概にしろ
29.80名前が無い程度の能力削除
いや、キャラ崩壊嫌いなら見るなよ…注意書きまであるんだし
許容範囲なんて人によって違うんだからそこまで追求すんなよな
注意があるのに自分が気に入らないからって文句を書くなよ。注意の意味がないだろ
最近の読者はマナーがなってないから困る

個人的には非常に面白い作品でした
ただやっぱり後半のgdgd感と落ちの弱さが目立ちますね
30.70名前が無い程度の能力削除
注意書きに書いてあるんだから、やりすぎもなにもねぇだろ
面白いとは感じたが、なんか1パターンなのが残念でした。
31.80名前が無い程度の能力削除
オチの弱さは確かに気になりましたが個人的にはとても面白かったです。
ゆかりんこえぇw
そして魔理沙可愛いよ魔理沙
32.50名前が無い程度の能力削除
本編がそれなりに面白く読めたけど、おまけが残念だった。
35.90名前が無い程度の能力削除
なかなか面白かったですが少しオチが弱いですね
37.60名前が無い程度の能力削除
注意は他の方が既にして下さっているので何も言わないことにします。
個人的にこういう作品は大好きなので次回作も期待しています。
頑張って下さい!!
39.100名前が無い程度の能力削除
楽しく読ませてもらいました 個人的にはおまけの霖之助・映姫がよかったです
40.無評価名前が無い程度の能力削除
内容はgdgdだったけど面白かったですよ~

注意書があるのに
キャラ崩壊云々言っている方は、おつむが足りないだけでしょう~。
42.100名前が無い程度の能力削除
クソワロタ
43.無評価大地 徹削除
感想ありがとうございます。
やはり、ケフィアは駄目ですか…自分はギャグになると暴走してしまうみたいなので、自重します。
そういうわけで、というのではないのですが、シリアスっぽいのも書きましたので、そこのお叱り等をお願いします。
45.30名前が無い程度の能力削除
おまけ1が一番おもしろかった
47.100名前が無い程度の能力削除
ゆかりんが好きだ。魔理霖が好きだ。霊霖が好きだ。レミ霖が好きだ。美霖が好きだ。チル霖が好きだ。みょん霖が好きだ。慧霖が好きだ。幽香霖が好きだ。


フランはどうした
53.90名前が無い程度の能力削除
注意書きまでわざわざしてくれてるのに、それでも批判したいが為に、「キャラ崩壊~」云々で批判してる奴らは単に
「俺の愛しの○○が!霖之助とカップリングされてる!許せん」とかファビョッてるアホ。それかただのイカれたクレーマー。


この話、俺は好きですよ。こういうノリも。
54.100名前が無い程度の能力削除
霖之助…恐ろしい男(ひと)……!
56.90名前が無い程度の能力削除
普通に楽しめてよかったw
紫崩壊→クソワロタwwwww