Coolier - 新生・東方創想話

トライアングル+1

2008/08/27 19:49:49
最終更新
サイズ
15.15KB
ページ数
1
閲覧数
1296
評価数
8/50
POINT
2700
Rate
10.69

分類タグ


 
 
 
 ―――彼女は人に幸福をもたらす。
 
 
 
 
 
 深い竹林の奥。
 人目を離れてひっそりと佇むその屋敷の名は、永遠亭。
 蓬莱人や月兎、無数の地上兎が住むその屋敷は、
 今日も賑やかだった。
 
 
「てゐ~!」
「あははははー」
 どたどたと廊下を駆ける足音が二つ。
 前を行くのは丸っこい体型で頭に兎の耳がついた―――因幡てゐ。
 もう一人は背が高く、同じくついた兎の耳が少々へにょっている―――鈴仙・優曇華院・イナバ。
 騒がしいこの追いかけっこは、二人にとって、永遠亭にとっての日常茶飯事。
「いい加減にしなさ~い!」
 月に居たころは軍人だと言っている鈴仙ではあるが、永遠亭を縦横無尽に駆け巡るてゐの前にはその力を存分には発揮できていない。
 廊下を走っていたかと思えば襖を蹴破り障子を抜けたかと思えば屋根に出る。
 そんなハチャメチャな走り方の上に逃走用に仕掛けられたトラップの数々。
「ほいっ」
「うわっ!?」
 てゐがジャンプした箇所をそのまま抜けようとすれば奈落への穴が開き、
「よっ」
「ひぅっ!?」
 てゐがかがんだ箇所をそのまま抜けようとすれば弓矢が飛ぶ。
 一歩間違えれば死が待つそのトラップは全ててゐが設置したもの。
 
「てゐぃぃぃっ!!」
 
 今日もまた、騒がしい。
 
 
 
「今日も騒がしいわ、またイナバ?」
「はい、そうですね」
 居間に置かれた机の上には二つの湯飲みが湯気を立てている。
 その前には、この永遠亭の主である蓬莱山輝夜と、その従者・八意永琳が座っている。
 少し離れているがどたばた騒ぎはここまで伝わっていた。
「ほんと、毎日飽きもせずによく騒げるわね」
「羨ましいですか」
 行儀悪く頬杖をついている輝夜に永琳が問いかける。
 その問いかけに輝夜は微笑んだ。
「さぁ、どうかしら? それとも二人で追いかけっこしてみる?」
「姫様の能力を使われれば勝てないと思うのですが」
「貴方が変な薬を使えば分からないわよ」
 その言葉ににっこり笑って、懐から数本試験管を取り出す永琳。
 なにやら滾っている液体や形容しがたい色の液体。
 それらを見て、輝夜がひらひらと手を振った。
「やめとくわ、火事よりひどいことになりそうだし」
「そうですね、やめておきましょう」
 そういって永琳が試験管をしまう。
 「胸か、胸なのか!?」と永琳(の胸部)を見つめる輝夜は、その視線を下にやって、
 深いため息を吐いた。
「どうされました?」
「格差社会の実感をしたまでよ・・・・・・静かになったわね」
 その言葉通り、先ほどまで永遠亭中に響いていた騒乱は過去のもの。
「鈴仙が捕まえたんでしょう」
「そうね、意外とあの娘体力あるし」
「―――それだけではないでしょう」
 そうねぇ、といった表情で輝夜がお茶を飲む。
 その様子に、はたと思い出したように永琳が口を開いた。
「姫・・・夜の宴会、本当にやるんですか?」
「あら、反対?」
「いえ・・・そうではありませんけど」
 今日は、永遠亭で宴会が行われる。
 とはいっても、普段博麗神社で行われるような大規模なものではない。
 永遠亭の住人だけでたまに行われる、月見の宴会だ。
「―――間違っている気がしますが」
「いいじゃない、たまにはこんなのも」
「まぁ・・・そうですね」
 ため息を吐きながらも、永琳は微笑んでいた。
 
 
 
 
 
 ここは鈴仙のために充てられた和室。
 一応姫のペットという高いか低いか分からない地位だがそこそこ広い。
 そんな部屋に、今は私と彼女だけ。
「てゐ・・・なんであんなことしたの?」
 私の前には、いつも赤い眼をさらに赤くした鈴仙が居る。
 正直『紅』の域まで入っていて怖い。
「ん~、シャレ?」
「シャレで私のパンツを全部紐パンにしないで!」
 怒られた。泣きながら怒られた。
 ああちょっと胸が痛む・・・締め付けられるような感覚。
 もうほんと可愛い泣き顔。こんな姿でも結構長生きだが、こういった表情はどれだけ見ても飽きがこない。
 前に永琳とそれについて一時間ほど話したことを思い出す。
「・・・てゐ?」
「はうっ!」
 冷たい響きに思わず年甲斐のない声を出してしまう。
 ああこんな姿、配下の兎には見せられない。
 ・・・鈴仙にだったらいくら見せても良いよ。
「う・・・・・・何か嫌な波長が」
 見つめる視線に心境を混ぜてやると鈴仙が少し後ずさった。
 さすが面白い能力の持ち主。
「はぁ、まぁ良いわ。もうあんなことしないでね」
「うんっ!」
「・・・・・・うそだろうなぁ」
 やっぱりばれていたか。
 さすがにもう、この程度じゃだまし切れないだろう。
 次はミニスカートをもっとミニにしてやろうかなんて考える私の前で、鈴仙がため息を吐きながら立ち上がった。
「じゃ、私は夜の準備があるから」
 そういってそのまま部屋から出て行く。
 チラッと見えた横顔が寂しそうなのが見て取れる。
「・・・・・・」
 その理由が私には分かっていた。
(後で様子、見に行くか)
 そして私も部屋から出る。
 悪戯はまた今度にしよう。
 
 
 
 ~薬師の場合~
「あらてゐ、鈴仙はどうしたの?」
「夜の準備だってさ」
 立場上目上の人に対する言葉遣いではないが、そんなこと気にするのも馬鹿らしい。
 永琳も分かっているようで、頷いて自室に入った。
 なんとなく私も入ってみる。
 清潔に整えられ、試験管や器具が整頓されているその部屋は、香の匂いに包まれていた。薬の匂いを隠すためらしい。私はこの香の匂いが好きだったりする。
「邪魔はしないでね」
 素直に頷いて部屋の隅に座る。
 どうも研究中の薬でも扱っているようだ、マスクと手袋をきちんとはめた永琳は試験管を慎重に揺らしながら、時折ノートに何かを書いている。
 部屋の匂いは好きだが、それだけで時間はつぶせない。なんとなく部屋を見回す。
 整頓された器具、ちょっと女の子らしい趣味の物、そして二つの写真立て。
 片方には永琳と姫。もう一方には永遠亭メンバーが勢ぞろいした写真。
 前に天狗に撮ってもらったものだ。
 
 仲良く写る姫と従者。
 遥か過去をふと、思い出す。
 
「ねぇ永琳」
 だから思わず口をついて出た。
「・・・どうしたの?」
 振り返りはしないが、手を止めて永琳が答えてくれた。
 私としては、思わず出てしまった言葉だからむしろ聞き逃してくれた方が良かったのだが、いまさらそうも言っていられない。
 数秒迷って、意を決して続けた。
 
 
「永琳、しあわせ?」
 
 
 部屋の空気がよどんでいるような気がする。
 薬を扱う以上換気には気をつけているはずだが、気持ち的によどんでいる。
 水飴のように遅くなった空気の流れが、肌で感じ取れる。
「そうねぇ・・・幸せよ」
「ほんとに?」
 ちゃんと答えてくれるとは思わなかった、こんな突拍子もない質問に。
 永琳は続けて言う。
「そうよ、姫も居るし兎も居るし空気は良いし薬は作れるし」
 
 
 何もかもが揃った月の世界。
 そこでの暮らしは何不自由がなく、研究だって自由に行えた。
 だからつまらなかった。
 
 
「それに―――」
 永琳が手袋を脱いで、こっちに来た。
 そのままでいると、頭に載る手の重み。そのままなでられた。
「心配してくれる兎も、居るから」
 わしゃわしゃとなでられるその感触は、深いではなかった。
 なんとなく気恥ずかしくもあるが。
「それより・・・」
 なでる手が、止まる。
 
 
 はるか過去に、彼女が地上に堕とされる原因を作った。
 彼女が堕とされて私は始めてその罪に気がついた。
 あの運命の日、迎えの日。
 輝夜は、私を許してくれた。
 ―――彼女は、
 
 
「幸せなのかしら」
 ぽつりとつぶやいた永琳の言葉の意味が、なんとなく私には分かった。
 永琳が姫を見る眼には、さまざまな感情があった。
 その内の一つが―――
「・・・ああ、ごめんなさいね」
 はっと気がついたように、永琳が手をどけた。
 ちょっと乱れた髪を手櫛で直して、私は立ち上がる。
「邪魔してごめんね」
「良いのよ別に」
 見上げた永琳の表情は、いつもの微笑み。
 悪戯をするのは、また今度にしよう。
 
 
 
 ~月の姫の場合~
「あら、お説教は終わったの?」
「それはとっくに終わってるよ・・・」
 廊下を歩いていたら、ちょうど目当ての人に出会えた。
 開けっ放しの居間の真ん中でテーブルに突っ伏している辺り、かなり暇そうだ。
 普段なら纏わりついている兎も、準備で忙しいのか見当たらない。
 ・・・おいでおいでと手を振っている。
「今日はどんな悪戯をしたの?」
 近寄ったら抱きかかえられた。膝の上に。
 ・・・一応これでも長生きしてるのに。
 前にそう言ったら「私には負けるわよ」と正論を言われた。
「鈴仙のパンツを紐パンに替えた」
「あらあら、それは面白いわね」
 心底おかしそうに、くすくすと笑い出した。
 その振動がこちらにも伝わってくる。
「意地悪ね、どうせならブリーフとかに替えてもよかったのに」
「・・・姫の方が意地悪だよ」
「冗談よ」
 そうは言うがこの姫のことだ、退屈すればやりかねない。
 幸いにもその悪戯は可愛いものだし、、ペットである鈴仙に集中してるから私に実害はない。
「・・・ねぇ、姫」
「んぅ、どうしたの?」
 
 
「姫って、しあわせ?」
 
 
 今度は、どう質問しようかちゃんと考えていた。
 だけど、出た言葉は永琳の時と同じだった。
「う~ん、そうねぇ・・・」
 抱きかかえられているから、姫の表情は見えない。
 数秒後、その口が開いた。
「幸せよ」
「ほんとに?」
「うん、毎日が新鮮で、趣味もあるし家族も居る」
 
 
 月から堕とされて、私は永琳と離れ離れになった。
 だからあの日、私は望んだ。地上で暮らすことを。
 ・・・愛しい人と過ごす日々は、月と比べれば何も無い生活かもしれないが、
 それでも楽しかった。
 それに、今は“家族”が居る。
 
 
 少しきつく抱きしめられた。
 ちょっと苦しかったが、居心地が良かった。
「私のことなんかを心配してくれる悪戯兎も居るしね」
「・・・・・・」
 ほんのちょっと、顔が赤くなった気がする。
 姿勢のおかげで見られずに済んだことを感謝しよう。
「そうねぇ、私なんかより―――」
 
 
 平穏な生活の中、月からやってきたあの兎。
 最初は何も言わず、打ち解けてくれなかった。
 今では心を開いてくれたが、彼女の過去は彼女にしか理解できない。
 彼女は一人ぼっち。寂しそうに月を見上げる。
 だから今日は―――
 
 
「あの娘の方が、気になるわね」
「・・・・・・」
 誰のことを言っているか、すぐに分かった。
 姫が体を離す。私は立ち上がった。
「台所に居ると思うから、見てきてあげれば?」
「うん、今日の準備してるだろうし」
 どこか生真面目で抜けていて、臆病な彼女の居る場所ぐらい予測がつく。
 私は部屋を出た。
「よろしくね~」
 後ろから響いてくる声に、返事は返さないでおいた。
 そんなこと、言われなくても分かってるから。
 
 
 
 ~月の兎の場合~
 姫と私の予想通り、鈴仙は台所に居た。
 エプロンをつけて鼻歌を歌いながら、宴会用の料理の下ごしらえをしている。
「~♪」
 背後に居る私にも気がついていないようだ。
 これでも、永遠亭で料理を作り始めた時はいろいろと酷かった。栄養はたっぷりでも味が酷い料理だったり、飲めば命を失う代わりに限界まで力を引き出すジュースとか、それはもう永琳が戯れ作る創作料理より酷かった。
 そんな鈴仙の料理は、今では私の大好物。
「~~♪」
 足音を立てずに近づく。
 彼女の歌を邪魔したくない、と言っても結局は邪魔することになるのだが。
 腕の動きを見て、持った包丁がちょうど危なくない位置にあるところで抱きつく。
「きゃっ!」
「ん~」
 引き締まった身体は抱きつくのにちょうどいい。
 上から聴こえてくる可愛らしい声もまたいい。
「ちょっとてゐ~」
「ほんと抱き心地良いねぇ」
「私は抱き枕か」
 包丁を置いた鈴仙が私を抱き上げる。
 視界が高いのは結構気持ちいいので抵抗はしない。
「まったく・・・他の兎も暇さえあれば抱きついてくるし」
「あれ、そうなの?」
「そうよ、まったく」
 それは大変な話を聞いてしまった。
 鈴仙(の腰辺り)は私の物なのに。
「で、てゐ。どうしたの?」
「ん~、ちょっと聞きたいんだけど」
 もうこのまま、勢いに任せて聞いてしまおう。
 
 
「鈴仙って、しあわせ?」
 
 
 一瞬、ほんの一瞬だけ鈴仙の表情が強張った。
 胸が痛む、でも聞いておかないといけないような気がした。
「なに馬鹿なこと聞いてるのよ」
 微笑んで、鈴仙が言う。
「幸せよ、今は」
「本当に?」
「当たり前じゃない」
 分かっている、昔と違って鈴仙は笑顔になる日が多くなった。
 兎たちとも、少しずつだが理解しあえている。
 でも―――ごくたまに、月を見上げている。
「師匠や姫がよくしてくれるし、」
 
 
 逃げてきた。月から逃げてきた。
 もし逃げなければ、私はこんなに苦しまずに済んだのだろうか。
 地獄にすらいけない罪を、私は背負っている。
 ・・・・・・でも、私が悲しそうな顔をすると姫や師匠に怒られる。
 その気持ちが分かるから、私は笑うことにした。
 そうしてみれば、世界が変わった―――気がした。
 生き延びることが罪なら、私はそれを背負おう。
 それが、私の贖罪。
 
 
「それに、てゐにまで心配されてるからね」
「心配されるのがいや?」
「・・・・・・むしろ逆よ」
 鈴仙が床に下ろしてくれた。
 ちょっともったいないような気がした。
「―――それに、」
 
 
 月からの、スパイであるかもしれない自分をかくまってくれた師匠。
 いつも永遠亭のことを、姫のことを気にかけている師匠。
 ・・・・・・時々、徹夜で作業していることもある。
 
 
「師匠から学びたいことも、たくさんあるし」
「・・・・・・そう」
「うん」
 ―――答えは聞けた。
 三人とも、私の質問に答えてくれた。
 なら・・・・・
「鈴仙」
「なに?」
「料理、楽しみにしてるから」
 私の言葉にちょっと驚いたような顔をしたあと、鈴仙は笑って頷いた。
 
 
 
 ~月無き月見~
「いやぁいい夜ね、月の無い綺麗な夜」
「姫・・・・・・それは月見とは言わないのではないでしょうか」
「いいじゃないのたまには、こんな酔狂も」
 月見の宴会のはずだが、今日は新月。月など見えるはずもない。
 なぜこんなことになっているかというと、姫の提案からだった。
 
「月見の宴会、今日やるわよ」
「・・・・・・はい?」
 
 たったそれだけのやり取りで、月見の宴会が新月に行われることになった。
 永琳も乗り気で、鈴仙も消極的に乗り気で、多数決で私の負けだった。
 月の無い月見なんて、おかしいと思う。でも――
(たまにはいいか)
 本当に綺麗な夜だった。
 いつもなら鎮座している月が見えず、星々が煌いている。
 こんな夜も新鮮味がある。
(料理も美味しいし)
 開放感ある縁側で食べる鈴仙の料理はまた格別だった。
 夜風も肌寒いほどだったがそれが逆に心地良い。
 そんな料理の作り主はというと。
 視線の先、人型化した兎やまだそうはなれない若い地上兎にまとわりつかれている。
 珍しいへにょった耳を触られたり捻られたり舐めまわされたり。
 ほほえましい中にたまに混じる可愛らしい声が私の心を刺激する。
 ああ、あそこに混じられたらどれだけ幸せだろうか。
「あう~、酔ってるなこりゃ」
 こんなことを考える辺り、私の酔いも相当なものだろう。
 手近にはすでに開いた酒瓶が一本転がっていたりする。
(永琳も姫も楽しそうだなぁ・・・・・・)
 視線の先には、これまた酒瓶を二桁ほどは開けている二人の姿。
 姫はなにやら笑いながらお酒を飲んでいるし、永琳はそんな姫に泣きついている。
 笑い上戸に泣き上戸、こんな楽しそうな宴会を見れることは滅多に無い。
 
(ああ、そうか・・・・・)
 酔った頭でようやく私は姫の意図に気がついた。
 私がよくある宴会をあまり楽しくないと思っているのは、そんな中でも仏頂面で月を見上げてる馬鹿が居るから。
 それは満月の時にはより顕著になる。
(「死人みたいな顔ね」)
 昔、茶化すように言ったその一言に、彼女は何も返さなかった。
 思わず殴りかかってしまったのは、遠い昔の笑い話。
 そんな彼女は、今は笑顔。
 多数の兎にまとわり疲れながら、涙目になりながら、それでも笑顔を崩さない。
 月の魔力が、今は無いからだろうか。
「馬鹿らしい」
 思わず口に出してしまう。
 こんな訳の分からないこと、普段の私なら考えもしないだろうに。
 
 
 宴会は進む。料理は減る。酒瓶は空く。
 鈴仙は何やら楽しそうにわめいているし、姫は顎が外れそうなほど笑っている。永琳はそんな姫にまだ泣きついていたが、ちょっと干からびかけている。脱水症状だろうか。
 そして私は――
「あぁ・・・・・・」
 襖にもたれかかって、何やらうめいている。
 こんな風に客観視できる辺り幽体離脱でもしてるのだろうか。
 手元に眼をやれば酒瓶が山のようになっていた。
 楽しそうな笑い声も、少し遠い。
(なんであんなこと、聞いたんだろ)
 
「しあわせ?」
 
 普段の私なら、そんなこと聞くはずも無いのに。
 私の傍に居る人間は、誰もが幸運を手にする。
 幸運を手にすれば、それは必ず幸福へとつながる。
 ならばなぜ、あんなことを聞いたんだろう。
(・・・・・・心配だったから?)
 私の能力は人間に効果を発揮するが、三人はちょっと人間と違う。
 だから心配になったのかもしれない。
 ・・・・・・なぜ?
(ああ、そうか)
 身体がぐらりと傾く。
 縁側に倒れこんだ身体。床の冷たさが心地良い。
(私が幸せか、確かめたかったから)
 
 私の能力は私自身には効かない。
 私が幸福かどうかは能力に依存しない。
 ならば、私の幸せは?
 
 倒れる前の風景を思い出す。
 みんなが、しあわせだと答えてくれた。みんなが、楽しそうにしていた。
(笑顔を見るのが、私の――)
 そこまでが、私の意識の限界だった。
 
 縁側に、寝息が一つ。
 
 
 
 気になることはある。
 永琳は、姫は、鈴仙は、本当にしあわせなのか。
 気になることはある。
 私は本当に幸せなのか。
 
 でも、みんなが笑顔なら。
 それを見ていられるなら。
 
 それで良いんだと、思う。
 
 
 
 
 
てゐ以外の永遠亭主要メンバー三人は(特にあれな意味も無く)三角関係ですよね。
月に関係し、どこか微妙な関係を保っている。
別にてゐが仲間はずれ、とかいう意味ではないですけど。
 
永遠亭は平和で全員幸せ、それが理想でマイジャスティス。
 
 
 
次回作は椛と魔理沙なんですが・・・・・・そろそろ涼しくなってきたせいか、
季節はずれになりそうな・・・・・・まぁいいか。
 
 
 
 
評価・コメントありがとうございます。
 
煉獄さん
いろいろありすぎるような気もしますが。
本人が幸せと言うなら、幸せなんでしょう。
 
からなくらなさん
周りが幸せなら自分も幸せ、
そして自分が幸せなら周りも幸せ。
 
名前が無い程度の能力さん
実はたまに引っかかってその度に永琳が作ったクローンに(嘘)
嘘吐き兎はあくまでも嘘吐き兎なんです、はい。
 
名前が無い程度の能力さん
こんなSSで幸せになれる人が居るなら、私も幸せ者です。
 
ななななしさん
ブリーフを抜ければ(「そこまでよ!」)
 
時空や空間を翔る程度の能力さん
笑顔が似合わない永遠亭は永遠亭じゃない!・・・・・・と言いながら泣かせるのも好きですが。
東方は笑顔が良く似合います。
 
名前が無い程度の能力さん
腰だけじゃなくて実は・・・・・・(「だからそこまでよ!」)
 
名前が無い程度の能力さん
東方でしあわせでないうさぎは居ない・・・・・・なーんて。
実はビートまりお氏Ver.が好きだったり。
RYO
[email protected]
http://book.geocities.jp/kanadesimono/ryoseisakuzyo-iriguti.html
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.1970簡易評価
2.100煉獄削除
永遠亭の三人に幸せを問うてゐが凄く良かったです。
幸せだけど、その「幸せ:を掴むまでに皆色々なことがあったんですよね。
てゐも能力ゆえに幸せなのか悩んでいるのでしょうか?
ともあれ、とても面白い作品でした。
3.80からなくらな削除
永琳カリスマブレイク!
てゐの能力「人間を幸福にする能力」
周りが皆幸せなら、自分も幸せに決まっています。
てゐは能力を使わなくても、皆を幸せにできるのだと思います。
次回作も期待
7.90名前が無い程度の能力削除
最後で目頭が熱くなってしまった(汗
てゐいい子ですね。だけど死に誘うトラップとかw それもまたてゐ!
12.100名前が無い程度の能力削除
みんながいるんだからしあわせに決まってるじゃないか!!
そして俺もしあわせな気持ちになりました。
19.70ななななし削除
ミニスカを抜ければ、そこはブリーフだった。
27.100時空や空間を翔る程度の能力削除
永遠亭に幸あれ。
笑顔が似合う永遠亭であれ。
29.100名前が無い程度の能力削除
泣き上戸の永琳がかわいすぎます。そして鈴仙(の腰辺り)は私のものなのに吹いたw
今はしあわせと言える永遠亭のみんながとてもよかったです。いつまでも笑顔でいてほしい
34.90名前が無い程度の能力削除
なんというしあわせうさぎ・・・