Coolier - 新生・東方創想話

初キスって、いいものですよね?

2008/08/25 04:06:38
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 八雲 藍は縁側で冷たい麦茶で喉を潤している。その横にはお茶請けの菓子。よくよく見るとその足は
水の張ったタライにつっこまれていた。

 そこにてててて、と足音も軽く式である橙が駆けてきた。

「藍さまぁー」

「橙、おいでおいで。えびせんべいをあげよう」

「うわぁい!」

 お盆に乗ったえびせんを両手で掴むと、はむはむとおいしそうにかぶりつく橙。その姿を見て藍は
心底嬉しそうな表情である。

 えびせんべいを食べ終え、藍が淹れた麦茶を飲み干して一息。橙が主を上目使いに覗き込んで、言った。

「藍さま。初キス、っていいものですよね?」

「そうだn・・・」



 と笑顔で答えようとしたまま、藍はフリーズした。



 その脳内を解析すれば、フリーズするのもさもありなん。



 はつきす。ハツキス。発帰す。初キス。初キス初キス初キス初キス初キス初キス初キス初キス初キス初キス初キス初キス初キス初キス初キス初キス初キス初キス初キス初キス。橙の初キス。橙の唇に初キス。橙の柔らかそうな唇に初キス。橙の柔らかそうな桜色の唇に初キス。橙のお魚の匂いのかすかにする柔らかそうな桜色の唇に初キス。私の橙のお魚の匂いのかすかにする柔らかそうな桜色の唇に初キス。私の式の橙のお魚の匂いのかすかにする柔らかそうな桜色の唇に初キス。私の愛する式の橙のお魚の匂いのかすかにする柔らかそうな桜色の唇に初キス!?

 誰が?誰が誰が?誰が誰が誰が?誰が誰が誰が誰が?誰が誰が誰が誰が誰が?
 私の。私の私の。私の私の私の。私の私の私の私の。私の私の私の私の私の。
 橙の、橙の橙の、橙の橙の橙の、橙の橙の橙の橙の、橙の橙の橙の橙の橙の。

 くぅちぃぃびぃぃぃるぅぅぅぅをぉぉぉぉぉ!?



「ぢい゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぉ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛~~~~~ぃ゛ぇ゛ぇ゛んっっっ!!!」

「ひぃ!?」

 どうしたんだろうと藍の顔を覗き込んでいた橙は、主がいきなり松ヤニをつけた革手袋でコントラバスを
こすった音色をテープに録音し、それを手動で速度を調整しながらゆっくり逆回転再生した音のような
叫び声をあげたのに驚いて尻もちをついた。その様ももはや目に入らないのか、血色の涙を滝のように流す藍は、

「い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぅ゛え゛ぇ゛ぇ゛ぉ゛ぉ゛ぁ゛~~~~~ぃ゛ぅ゛ぁ゛んっっっ!!!」
と再度咆哮した。

 だ、誰か陸上自○隊に連絡を入れて! メーサー殺獣光線車を用意して! そうでなければ
幻想郷が滅びちゃう! あ、あれですよ?! 科特隊でもいいです! ZATでもTACでもいいよ! 
MACだと全滅しちゃう!

 何故か橙はそんなことを思いながら後ずさりして愛しい主から離れる。

 きっともうだめなんだ。みんな藍さまのほうしゃのう弾幕で焼かれちゃうんだ。せりざわ博士が
おきしじぇんですとろいやぁを持ってこないとだめなんだ、うわぁん。などと橙は涙に濡れた瞳で香ばしい
昭和な思考をフル暴走。そんな式の想いも虚しく、愛ゆえの悲しみに染まったゴジ・・・じゃない、
九尾の狐は幻想郷のどこかにいる愛しい式の唇を奪った存在を滅するために立ち上がり、もう一度
天に向かって咆えた。

「ぢい゛ぃ゛ぃ゛う゛ぅ゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛~~~~~ぅ゛ぅ゛ぇ゛ぇ゛んっっっ!!!」

「やかましい」

 ごづり。重い音がしてメーサー殺獣日傘が藍の顔面にめり込む。

「ぢぇ゛ん゛」

 そう鳴いて、愛の為に立ち上がった憐れな獣はずずぅんと地面に倒れ伏した。



「ゆ、紫さま?」

 いきなり空間を切り裂いて右手だけ出し、手首のスナップを十分に効かせた日傘の一撃で三国も滅ぼす
凶獣を黙らせる。そんな芸当ができるのは幻想郷のひとり自○隊、橙の主の主、八雲 紫しか
いないわけだが。ともあれ自分の名を呼ばれてはと、めんどくさそうに隙間を広げて縁側に立った。

「紫さまぁ~! ら、藍さまが壊れちゃったよぅっ・・・!」

 そこをいきなり橙に抱きつかれ大泣きされてしまう。なにがどうなってるか寝ぼけた頭で理解するには
いまいち時間がかかるかなぁとか思いつつ、可愛い式の式の頭を撫でてやりつつ地面に倒れ伏した
騒々しい自らの式を見やる。

 なんか小さくぶつぶつと言っているので、耳をそばだてると、”さくらいろ”だの”おさかなのにおい”だの。
これは本当に壊れたかもしれないな、と紫は眉根を顰めた。橙が落ち着いたのがわかると、優しく頭を
ぽんぽんとしてから藍に向かう。縁側から庭に降りて、うつ伏せになった藍の体をつま先で蹴り転がして
仰向けにした。

「・・・藍。しっかりしなさい。どうしたのよ」

 どうしたもこうしたも、さっき日傘のフルスイングで面一本かまして彼岸送りにしかけたのは紫本人では
あるのだが。しかし扱いは酷いが主の声に、

「・・・。あ・・・紫、さま・・・」

ようやく藍は正気を取り戻す。ゆるゆるとではあるが身を起こし、きちりと正座しておはようございます、
と礼をする姿は紫の式としての正しいあり方だ。その姿を見て安心すると同時に、ぱっと見では分らない
致命的なバグでも起きたのかと心配になる。

 今現在役に立つかどうかわからない藍に注意を払いつつ、自分の服をぎゅっと掴んだ橙にこそ
頼んでいた内容の命令を思い出した紫。そっと頭を撫でてからその瞳を覗き込む。

「・・・ところで、橙? 頼んでたものは・・・?」

「あ、はい紫さま。大丈夫ですよ」

 くしくしと袖で目元をぬぐってからしっかりと返事をする。

「でも、本当に紫さまはとんでもないことをさせますね。お外の世界まで、私をわざわざ人間の少女に
擬態させてまで初キスを・・・」

「ぢい゛ぃ゛ぃ゛ぉ゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぅ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛~~~~~ぅ゛ぉ゛ぅ゛んっっっ!!!」

 冗談で怒り顔を浮かべた橙が紫に話す、その言葉も終わらぬうちに藍が再度壊れた咆哮。

「うるさい」

「ぢぇ゛ん゛っ!?」

 一瞬で日傘の先端が額に突き刺さりまたも庭先に沈む藍。耳を澄ませば、

「・・・・・・外の世界マジズタズタに引き裂くわ・・・・・・」

などとブツブツやりはじめた。これは初期化からはじめたほうがいいかしらと本気で悩み始めた紫。
横を見れば橙も沈痛な面持ちで藍を見ている。はぁぁ、と憂いを帯びた色っぽい溜息を一つついて紫、

「藍がこんな具合じゃ今日のお楽しみは先延ばしかしら」

などと。橙も小さく頷いて、

「・・・ですねぇ。うぅ、お腹すいたよぅ」

と耳をぺたんとさせてうなだれる。

「そうねぇ。天麩羅にして塩でも一振りして熱燗をきゅー、っと・・・やりたかったなぁ」

「私はお刺身が食べたかったです・・・」

「すみません紫さま。では今からご飯を作ってきますので少々お待ちを・・・。橙も少しの辛抱だよ」

 がっくりと肩を落としたふたりの後ろから、恭しく一礼して額にバッテンばんそうこうの藍。驚いた腹ペコの
ふたりは藍の表情を見るが、そこにはいつもの理知的で世話焼きな表情しかない。今の今まで
大怪獣の叫びを上げたり、壊れた呟きを漏らしていたのが嘘のようだ。だからこそ余計に紫は心配になる。
それと同時に、藍の変容には何か鍵が隠されているようにも思えた。

「藍、待ちなさい」

「はい?」

 じ、と藍の蜂蜜色の瞳を覗き込む。きょとんとした顔で小首を傾げ、見返してくる藍。
あぁ、やっぱこの子可愛いわぁ、などと紫は一瞬関係ない思考に捕らわれる。しかしさて、どうしたものか。
傍目で見る限りはいつもの藍なのだが。

「台所に今日の食材があるわ。天麩羅とか刺身とか・・・あなた、できるわよね?」

「はい。いつも作っているじゃないですか? それとも私も知らないような妙な食材なんですか?」

 会話を交わす中にも特段妙な素振りもない。紫は話を続ける。

「いいえ。あなたがちょっと忙しそうだったからね。代わりに橙がキスを」

「ぢい゛ぃ゛ぃ゛゛え゛ぇ゛ぇ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛~~~~~ぅ゛ぇ゛ぉ゛んっっっ!!!」

「ソレかぁぁぁ!」

 ちゃー、しゅー、めーん! と日傘を綺麗なゴルフスイング。憐れ、ボール代わりの藍は大回転しながら、

「ちぇぇぇぇぇ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~んっ!?」

と蒼天に消えていった。その軌道は何の因果か見事なテンプラであったという。



 どすっ、と意外にも重そうな音を立てつつ、外の世界の代物であるという真っ赤な”ぷらすちっく”製の
バケツを紫の指示した場所に置いた橙。それにタイミングを合わせたごとく、バケツのすぐ側に空から
回転高速落下物体こと藍が体の前面で奇跡の着陸をなした。派手なべちゃぁん、とかいう音は
その奇跡に対しての祝砲みたいなものだろうか。地面に横たわった藍は全身で痙攣してその喜びを
表している、たぶん。

「藍、起きなさい」

 そんな祝賀ムードに冷水を浴びせるような、温度のない声で藍に命令を下す紫。すぐ側に立つ橙も
どこかしらか冷たい雰囲気だ。ほんの少しでも意識が残っていれば主の命令は絶対であるのは式の
悲しいところ。ずりずりと身を起こし、正座をして姿勢を正した。

「あなた、自分がおかしくなってるのは自覚あるの?」

「・・・えー・・・。・・・はい」

 ズタボロというのも生易しいほどの藍が、目蓋に涙を溜めつつ答える。紫としては全ての謎が解け、
なんとか藍をまともな状態に戻そうという魂胆らしい。一つ溜息をついて、バケツを指差す。
見ろ、という事だと理解した藍はそのバケツの中を覗き込んで、

「あ・・・」

と声を漏らした。潮の香りのする水の中、十匹程度の銀色に光る魚が泳いでいる。

「さて、藍。あなたにはこれが何かわかるわよね?」

「あ、あぁ・・・はい・・・」

 答えながら藍は血が頭にきゅーっと昇ってくるのを感じている。ここに来てようやく藍は自分がとんでもない
勘違いをしていたことに気付いたからだ。穴があったら入ってそのまま出てこなくなるだろう。しかしそんな
穴を掘る自由は主から与えられていない。

「藍。答えなさい、これは何?」

「・・・鱚(きす)です」

 顔をまっかっかにして恥ずかしそうに答える藍。紫は頭痛でもしてそうな溜息をついて、橙に話を促す。

「藍さま。昨日藍さまは結界の修復で忙しかったですよね?」

「・・・あぁ、うん」

「ですから紫さまがマヨヒガに来てですね、私にお使いを頼んだんです」

「急に鱚の天麩羅が食べたくなってね。初物の時期だからかしら? 藍の仕事を中断させるわけにも
いかないし、それでね」

 視線を合わせて頷きあう紫と橙。藍は泣きそうな顔でそれを見る。今、橙の心は明らかに紫に近しい。

「で、紫さまに人間に擬態する術をかけてもらって、お外のトウキョウのツキジってところで買ってきたんです」

「初物の鱚をね」

「はい。藍さまも喜ぶだろうって思ったのに。だから言ったじゃないですか、初鱚っていいものですよね? って」

 ちょっと怒ったような拗ねたような声の橙。藍はがっくりと肩を落としてうなだれた。勘違いとはいえ
取り乱すのも程がある。まさか自分の愛する式にまで呆れられるほどだったかと。

「・・・面目ない」

「・・・ほんとにね。・・・まぁ、いいわ。分ったのなら早く身奇麗にして食事の準備に取り掛かりなさい」

「・・・はい」

 服についた土をぽふぽふと払いながら立ち上がる藍。しょんぼりとした藍を見ながら紫はくすくすと
笑い出す。

「・・・それにしても、親バカって言うのかしら。それもここまで来ると笑い話よね」

「うぅ、からかわないでください」

 また真っ赤になる藍を、しかし橙はきょととした顔で見つめて、ついで紫の笑い顔を見る。

「藍さまが親バカ、ってどういうことですか?」

「・・・え?」

 紫は橙も何をどう藍が勘違いしたのか理解しているものだと思い込んでいたからか、一瞬言葉が詰まる。
視線を合わすとぱちくりとまばたきをした式の式は、やはり分っていない様子。その純粋さに、
紫はふふ、と微笑み、

「藍はね、あなたが”初キス”って言ったものだからそれをファーストキスの事だと勘違いしたのよ。
で、そのいやしない相手に嫉妬だの憤怒だのの気持ちを抱いてあぁなっちゃったの。だから、親バカよねって
言ったわけ」

「う、紫さま。そんな説明しないでくださいよ恥ずかしい・・・」

橙に告げると藍は真っ赤になった相貌から小さな声で抗議の声を上げた。橙はと言えば、紫の言葉に
一度主を見て、もう一度主の主の顔を見て、もう一度主に向き直ると、ぶわぁっとこちらも顔を
耳まで真っ赤に染めて、

「ふぁ、ファーストキスだなんてまだしてませんよ! ららら藍しゃま、しょ、そんなこと橙にはまだ早いです!」

と叫んだ。

「す、すまん、橙!」

 真っ赤な主従を見ながら紫はなんとも言えずに苦笑いをする。しながら、いいことを思いついた。

「橙」

「はい、紫さまなんですか?」

 おいでおいでと招かれたので紫の前に立つ。両の脇に手を差し伸べられ、ひょい、と持ち上げられた。

「藍。あなたに煩悶され続けられると私も困るのよね。だから、もう悩まないようにしてあげる」

 藍は主の心底嬉しそうな笑みに目を見開く。この表情をした時はたいていろくでもない事が起きる。
そして橙の今の状況。まさか、と思った時にはもう遅かった。きゅ、と紫は橙を抱きしめ、



紫の唇と



橙の唇が



重なった。

「はぁ゛―――――――――――――――――――――――――――――っ?!」

 藍のこの世のものとは思えない叫びをバックに、幻想郷屈指の力を持つ妖怪美少女が、
黒猫から変化した幼く可愛らしい妖獣とキスをしている。黒猫娘といえば、しばし自分が何をされているか
理解できずに身動き一つ取れなかった。はっ、と理解をして状況整理をする間も血を頭に集める以外
何の動きもしなかったが、やがてじたばたともがき始めた。しかし、紫の細くも力強い腕にがっちりと
抱きしめられ、脱出する事ができない。やがてわたわたとせわしない四肢の動きは徐々に弱くなっていき、
五分もするころにはだらんと力を失って垂れ下がる。

 今の行為、キスというにはそこに込められるはずの情愛や恋慕は感じられず、むしろ橙の初めての
一番絞りのエキスか何かを紫が貪りつくすようなものに思えてくる。事実、そうなのかもしれない。
やかん一杯の水を火にかけて、沸騰し始めるほどの時間をかけてからようやく、

ぬじゅぽんっ!

とか水気を含んだやたら色気のない音と共に二つの唇が離れた。ちなみにその間ずっと藍は
絶望的な叫びを、声が出なくなっても空気として吐き続けていた。死ぬかもしれんが死んだほうがマシ
だったとでも言いかねない。そんな藍を見下ろしながら、紫はそっ、と橙を床に立たせ・・・る
つもりだったのだが、その足に力が入っていようはずもなく、きりきりばたーんと藍の横に仰向けに倒れる。
その瞳は幽々子の帽子マークもかくやとばかりにぐるぐる渦巻いていた。

 地面にうずくまり嗚呼とうめく藍、ぴくぴくと痙攣しながら気絶した橙。二人を見ながら紫は嬉しそうに
こう言った。

「これで橙のファーストキスの相手が誰か一目瞭然よね?」


















「・・・と、いうわけなんだ」

「・・・そう」

 ここは博麗神社の縁側。藍と橙の横にはこの神社の巫女である霊夢がいる。

 あのあと意識を取り戻した橙は、紫の住処全てに響き渡るほど大きな声を上げて泣き出し、その姿に
心の奥底の怒りを大炎上させた藍。やおらバケツの中身の鱚を一匹残らず紫の顔に叩きつけ、

「そんなに食べたいならお一人でどうぞ!!」

と宣言しつつも橙を抱きしめて住処を飛び出した。怒りに任せての行動だったので行くアテもないまま、
仕方なく博麗の神社へと降り立ち、訳を話して現在に至るという次第である。

 最初はいつものように受け入れつつもどこか冷淡な霊夢であったが、二人にお茶を出して聞いて
あげると共に、やたら神妙な顔つきとなっていった。藍にはそれが妙に不思議でならない。

「橙も災難だったわね、藍も」

「うぅ、霊夢ぅ。なぐさめてくれるの?」

「・・・まぁ、ね」

 いまだぼろぼろと両の瞳から大粒の涙を流す橙にえらく優しい霊夢。奥歯を噛み締めるような
その表情に、藍はもしやと思って聞く。

「霊夢・・・。まさか、まさかお前も・・・紫様に?」

 びくりと霊夢の肩が跳ね上がった。そのままそっぽを向かれる。その様子に藍はしまったという表情。
疑問が確信に代わった。だが聞くべきではなかった事だと気付かされてしまう。どう声をかけようか悩んでいると、

「・・・笑い話よ」

 小さな小さな霊夢の声。

「笑い話よね。だってそうじゃない・・・。私だって一応は女の子よ。初めての相手に夢くらい持ってたわ。
けどね、現実って面白いわよね。初めての相手が1000歳を超えるおばあちゃんだなんて、はは、
ほんと、笑えるわね」

 声が震えている。肩も震えている。そっぽを向いたその向こうの表情は見るまでもなく想像できた。

「霊夢ぅ、泣いてるの?」

「・・・泣いてなんかないわよ」

「霊夢ぅ・・・」

 橙が同じ境遇だった巫女に声を投げかける。答えは間違いなく嘘である。なぜ泣いてない人間が
自らの目を袖でごしごしとこするであろうか。

「霊夢ぅ!!」

 ひょいと藍の目の前を通り過ぎた橙は、霊夢の懐に入るやいなやしっかと抱きしめた。そのまま
巫女の名を呼び続けながら大泣きに泣く。驚いた霊夢の瞳はやはりしっかりと濡れていた。それを見た
藍の心は握りつぶされたかのように痛む。わんわんと泣く橙に最初こそ驚いていた霊夢は、悲しい笑顔を
浮かべ、ぼろぼろと涙を零し、橙の頭を優しくかき抱いて嗚咽の声を上げはじめた。

 悲しみの果て、ついに藍の怒りは天を衝く。

「紫さま・・・。我が主とはいえ橙にだけでなく霊夢にまでこの仕打ち・・・ッ!! 探せば他にも犠牲者が
いるはず・・・。許せん、もう許せん。泣いて謝るまで、私はあなたに反逆するぞ紫さまぁぁぁっ!!」

 幻想郷の空に二人の少女の泣き声と、一人の守護者の怒りの宣言が響いた。









 一方その頃の紫はというと。

「うわぁぁぁん生臭いようこんなの一人じゃ捌けないようお腹すいたよう。藍ー、橙ー、謝るから
帰ってきてぇぇぇ。うわぁぁぁん!!」

 泣いて謝ってた。
 白です。



 にとりとちゅっちゅしたいお。

yorumungarudo@hotmail.com
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コメント



0.3310簡易評価
2.90名前が無い程度の能力削除
ゆかりん…やって良い事と悪いことがあるけど可愛いから許す!
6.70名前が無い程度の能力削除
>幻想卿
幻想郷
7.80名前が無い程度の能力削除
そ、そんなに嫌がることないじゃないか!ゆかりんだぜ!?
まったく贅沢だな二人とも、俺じゃなかっただけありがたいと思え

みょんとちゅっちゅしたいお
8.80名前が無い程度の能力削除
まったくだ。ほとんど空気の♂連中相手じゃないんだからいいじゃないかw

年齢なんて一切気にしないぜ!!えーりんとちゅっちゅしたいお
10.80名前が無い程度の能力削除
でも藍はきっちり紫に奪われてたりするのですよね。わかります。

もみじとちゅっちゅしたいお。
11.80ロヒ削除
アレだ、「彼」以外にこのせりふを使うことになろうとは…
よし、ゆかりんこr(ry

⑨とちゅっちゅしたいお
12.70からなくらな削除
これ読んでて、にやけなかったら神
続いても面白そう
15.100名前が無い程度の能力削除
ゆかりんよ、貴様は幻想郷全てを敵にまわした。
ぱちぇとちゅっちゅしたいお。
16.100名前が無い程度の能力削除
>白です。

パンツの色の話なんて出てたっけと読み返しちまったじゃねーか
僕はイクイクとちゅっちゅしたいお。
17.90名前が無い程度の能力削除
反逆編読みたすぎる
20.90コマ削除
もしかしたら、ゆゆ様の初キスもゆかりんに……!?
そしてゆゆ様は妖夢の初キスをという具合に連鎖していくのかー。

もこたんとちゅっちゅしたいお。
21.80名前が無い程度の能力削除
流石ゆかりん。俺達に(ry
>あなた、自分がおかしくなってるのは自覚あるの?
ゆかりんも十分おかしいだろwwしかも自覚無いし
22.90名前が無い程度の能力削除
お前ら自重しろww
23.90名前が無い程度の能力削除
最初から鱚だとは思っていたが、ゆかりん許すまじっ!!

ちんきたまとちゅっちゅっしたいお
25.80名前が無い程度の能力削除
>白
うんどう見てもパンツの色だ。
ゆかりんおまいは自業自得という言葉を知っているかね?

えーき様とちゅっちゅしたいお。
26.90名前が無い程度の能力削除
ゆかりんと霊夢がキスした状況をkwsk・・・!

ゆうかりんとちゅっちゅしたいお
27.80名前が無い程度の能力削除
>はつきす。ハツキス。発帰す~
落ち着け九尾w

ネタは薄々勘付いてましたが、そんなものは関係ない。
紫に反逆する藍を見たい。と、いうわけで反逆編を是非w

けーねとちゅっちゅしたいお。
29.90名前が無い程度の能力削除
お前ら馬鹿ばかりだな

いくさんとちゅっちゅしたらきっと電気で痺れちゃうんだろうなー
32.80名前が無い程度の能力削除
ウルトラ警備隊じゃダメですかね?
43.80名前が無い程度の能力削除
ゆかりんwwwww
ゆかれいむをwktk

すわことちゅっちゅしたいお
44.90名前が無い程度の能力削除
藍様の目の前でなんてことをwwwww
橙と霊夢以外の犠牲者も気になるわwww

さなえさんとちゅっちゅしたいお
46.90名前が無い程度の能力削除
おwwwまwwwえwwwらwww

てんことちゅっちゅしたいお
48.80名前が無い程度の能力削除
反逆編に期待ww

フランとちゅっちゅしたいお
50.80名前が無い程度の能力削除
らんしゃまの狼狽ぶりに授業中ながらに吹いたwwww


めーりんとちゅっちゅしたいお
51.80名前が無い程度の能力削除
脳内変換
藍→フェミゴン
霊夢(赤と白)→ウルトラマン(赤と銀だが)
スキマ→キス魔
52.90名前が無い程度の能力削除
ZATだって全滅してるじゃない、と一瞬考えてしまったブラスレ的に。
おっかしーなー、太郎観てたはずなのになー。


アリスとちゅっちゅしたいお
53.70名前が無い程度の能力削除
>そこをいかなり橙に抱きつかれ~
いきなり、かな?
早い段階で初キスには気づきましたが、ゆかりん…自重しろよ…。


れみりゃとちゅっちゅしたいお
55.90名前を表示しない程度の能力削除
紫自重しろwww


めいりんとちゅっちゅしたいお
56.80名前が無い程度の能力削除
ここのレスはもうダメだw

ゆうかりんとちゅっちゅ(ry
58.100名前が無い程度の能力削除
流石ゆかりん!!俺たちにできないことを平然とやってのける!!
そこにしびれるあこがれるう!!
62.80メガネとパーマ削除
話もコメントもカオスww



ひなとちゅっちゅしたいお
63.60名前が無い程度の能力削除
はいはいどうせ鱚だろワロスワロス……ゆ、ゆかりん!?
それだけはやっちゃならないだろ……!!しかも霊夢とまでなんて……!!こっちに関してはGJ!!

そんなゆかりんとちゅっちゅしたいお
65.90名前が無い程度の能力削除
どうせキスだろwwwって後半(米含)のカオスっぷりが異常

ゆゆさまとちゅっちゅしたいお
67.90名前が無い程度の能力削除
これは流石に残酷すぎるw ニヤニヤしちゃったけど
あと、お前らいい加減にしろよ…

みすちーとちゅっちゅしたいお
68.90名前が無い程度の能力削除
おもしろかったです。
しかしお前ら自重しろよw


りぐるんとちゅっちゅしたいお 
73.80名前が無い程度の能力削除
キス=鱚はすぐ気がつきましたが‥後半の展開は読めませんでしたっ!
それにしても自重の足りない方が多すぎますね。

‥れいみゅとちゅっちゅしたいお
79.90名前が無い程度の能力削除
自重www

めーりんとちゅっちゅしたいお
80.90名前が無い程度の能力削除
ゆかりんマジで自重しなよ…
つーかコメ自重しない奴多すぎだろ

うどんげとちゅっちゅしたいお…
82.無評価名前が無い程度の能力削除
えーと・・・取り合えず・・・
毎度毎度思うが貴方の文章のセンスが異常に好きだ。

松ヤニをつけた革手袋でコントラバスをこすった音色を
テープに録音し、それを手動で速度を調整しながら
ゆっくり逆回転再生した音のようなってどんな音じゃー!とか

ゴジラはVSシリーズまで見てたなあ・・・とか
思いながら見終わって完全に油断していたらコメで吹いてしまった。
酷過ぎるでしょうコレ・・・

とか言いながら(えーと・・・まだ出てないのは・・・)
よし!パルスィとちゅっちゅしたいお
83.100名前が無い程度の能力削除
すまない↑得点入れ忘れた。
85.100名前が無い程度の能力削除
白さんの小説は色々面白いから好きですー
かならず100点を付けているつもりですー。たまにフリーレスになっちゃったりしまいますけれどね
あと、作者こめ自重しろww
他コメでも吹いてしまったではないかwww

めいりんとちゅっちゅしたいお……
86.100名前が無い程度の能力削除
最初の藍さまぁー、が藍ざまぁwwwに見えた俺は逝ったい!?
るーみゃとちゅっちゅしたいお
87.100名前が無い程度の能力削除
橙とちゅっちゅしたいお
92.100名前が無い程度の能力削除
なwwんwwだwwこwwれ

上海とちゅっちゅしたいお
94.100名前が無い程度の能力削除
お前らいい加減にしろwww
95.100名前が無い程度の能力削除
なんだ、まだこんなキモいレスが付いてるのかwww

あややとちゅっちゅしたいお
97.100名前が無い程度の能力削除
お前等マジでいい加減にしろ!!このレスは誰とチュウしたいか書くような場所じゃねえから!!

さて、感想としては・・・しゃめいまると(ry)
98.100名前が無い程度の能力削除
じゃあ僕は作者とちゅっちゅしたいよー
99.70名前が無い程度の能力削除
オンバシラとちゅっちゅしたいお
100.100名前が無い程度の能力削除
ゆかりんとちゅっちゅしたいお
103.90名前が無い程度の能力削除
みのりこ様と(ry

続きが欲しいw
104.100名前が無い程度の能力削除
まだ勢いは衰えないんだぜ

フランちゃんとちゅっちゅしたいお
105.90名前が無い程度の能力削除
神奈子様とちゅっちゅしたいお
108.100名前が無い程度の能力削除
面白かったです。
お前ら自重しろw

まりさとちゅっちゅしたいお
110.100名前が無い程度の能力削除
哀れなり、ゆかりん……
そしてもう駄目猫の創想話。

よっちゃんとちゅっちゅしたいお
111.100名前が無い程度の能力削除
おwwまwwwwえwwwwらwwwww

ろりすとちゅっちゅしたいお
112.100名前が無い程度の能力削除
(コメも含めて)これはひどいwww

大ちゃんとちゅっちゅしたいお
113.100名前が無い程度の能力削除
おまえら自重の言葉以外出てこないwww

リリカとちゅっちゅしたいお
114.100名前が無い程度の能力削除
おまえらwww


さっきゅんとちゅっちゅしたいお
115.100名前が無い程度の能力削除
なにこれすごいニヤニヤする

ぐーやとちゅっちゅしたいお
118.100名前が無い程度の能力削除
コメ自重wwww

さとりんとちゅっちゅしたいお
121.100名前が無い程度の能力削除
コメント訓練されすぎワロタwwww

さなえさんとちゅっちゅしたいお
122.100名前が無い程度の能力削除
オチは読めたけどコメント欄までは読めんかったわwww

りりーたんとちゅっちゅしたいお
123.100名前が無い程度の能力削除
けーねとちゅっちゅしたいお
124.100名前が無い程度の能力削除
ここは平和だな…


妖夢とちゅっちゅしたいお
126.90名前が無い程度の能力削除
コメント歪みねぇなwww

ヤマメたんとちゅっちゅしたいお
128.100賢者になる程度の能力削除
なにも可笑しくないし健全なコメだ。

ゆうかりんとちゅっちゅしたいお
130.100名前が無い程度の能力削除
ゆかりん自重しろwwwww

藍とちゅっちゅしたいお
131.100永劫の暇人削除
どうゆうことなのww

みな自重しろww

魅魔様とty(ry
132.100名前が無い程度の能力削除
ち……ちぇ……ちぇええええええええええええええええええん!ちぇええええええええん!!大丈夫か!ちぇええええええん!!!

紫様、そいつは絶対に許せねえ!
137.100名前が無い程度の能力削除
全く、普通のコメント欄じゃないか、心配して損したぜ、

キスメとちゅっちゅしたいお
138.100名前が無い程度の能力削除
米自重w

アリスとちゅっちゅしたいお。
139.100名前が無い程度の能力削除
流れに乗って

鈴仙とちゅっちゅしたいお
143.100名前が無い程度の能力削除
にとりとちゅっちゅしたいお
144.90みなも削除
ゆかりん、かわいいのでギリギリ赦せる。
145.無評価名前が無い程度の能力削除
紫様だからいいじゃないか!
あんなに可愛いじゃないか!
最後の泣いてる紫様を想像しろよ!可愛いじゃないか!
146.100名前が無い程度の能力削除
得点つけ忘れたorz