Coolier - 新生・東方創想話

未来永劫罪業歌 彼岸鎮魂歌

2008/08/25 00:29:03
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くるくるくるくる。

輪廻は回る。

永劫に回る。








今日もまた、魂を運ぶ。

対岸に渡すために。

閻魔に裁かせる為に。

見知った奴も。

知らない奴も。

みんなみんな、対岸に運ぶ。

閻魔に裁かせるために。

生前、良くない行いをした事のある魂だっていた。

だが、渡し賃があったので、対岸に運んだ。

それが、決まりだから。

生前、良い行いをした事のある魂だっていた。

だが、渡し賃が足りなかったから、川に蹴り落とした。

・・・それが、決まりだから。



色々な色を持つ魂達。

似たような色の魂もある。

だけど、微妙に違う色。

全く同じ色の魂を見るのは、百年に一度程度。

ああ、また来たのかい。

最近、外の世界で大きな戦争が、また起きたらしい。

上司がそう言っていた。

近いうち、向こう側の魂が、こちらにも流れてくるだろう。

最近までは、流れてくる魂も少なかったが、また、大量に流れてくるのだろう。



そう言えば、最近、良く見知った魂を運んだ。

生前は、貧乏だったが、渡し賃は大量にあった。

どうせなら、生前にこれぐらいあれば良かったのにと、運んでいる最中、愚痴をこぼしていた。

まあ、来世にはいいことあるさ。



そういえばこの前、八雲 紫が彼岸に来た。

自分の式と、親友の亡霊嬢、そしてその従者を連れて。

何事か、と聞いたら、知り合いの魂を彼岸まで渡して欲しい、とのことだった。

この面々に、直々に連れてこられた魂。

少々、いや、大変興味深かったが、黙って渡し役をかってでた。

まあ、運ぶ途中で聞けばいい。

そう思っていたら、川幅の何と狭いこと。

対岸が見えるなんて、そうそうあることではない。

ますます興味を持ったが、今となっては後の祭りだ。

けど、亡霊嬢の従者が泣いていたのが印象に残った。

よほど慕われていたのだろう。

無理矢理話を聞くことも出来たかもしれないが、さすがにそこまで無粋なことはしない。

この魂に、来世も幸あらん事を。

その後、上司に酒の席に誘われた。

いつもよりも説教が短かったことを覚えている。

まあ、こんな日もあるだろう。





今日もまた、魂を運ぶ。

対岸に渡すために。

閻魔に裁かせる為に。

戦ったことのある奴も。

酒を酌み交わした事のある奴も。

みんなみんな、対岸に運ぶ。

閻魔に裁かせるために。

生前、嫌いだった魂だっていた。

だが、渡し賃があったので、対岸に運んだ。

それが、決まりだから。

生前、気に入っていた魂だっていた。

だが、渡し賃が足りなかったから、川に蹴り落とした。

・・・それが、決まりだから。



彼岸の花が咲く。

赤い花。

白い花。

黒い花。

紫の花。

たまたま渡し船に乗せていた魂が、チューリップみたいだな、と言っていた。

なるほど、確かにそうだ。

気が合いそうな奴だったが、対岸に運んだ。

・・・今頃、どうしてるだろうか。



そういえば、今日は死者が、現世に帰る日だ。

他の渡し達も総動員。

終わったときには皆、体中ガタガタだった。

これで終わり、と思っていたら、どうやら乗り遅れた魂がいるらしい。

他の渡し達との相談の末、向こう岸に行くついでに、乗せてやることにした。

皆、申し訳なさそうにしていたが、こちらも現世に行くためのついでに渡すのだ、と言ったら、皆苦笑していた。



さて、久しぶりの幻想郷だ。

もう会えない奴も、沢山いるのだろう。

その中には、自分が運んだ奴だっていたかもしれない。

そして、これから出会う奴の中には、将来自分が運ぶ奴がいるのかもしれない。

まあ、その時はその時だ。

その時までには、気の利いた台詞の一つでも考えておこう。

そう言えば、八雲も代替わりしたらしい。

だが、運んだ記憶がないと言うことは、どこかで適当にやっているのだろう。

まあ、八雲 紫らしいというか何というか。

さて、気に入っている酒を飲みながら、幻想郷を見て回ろうか。

願わくば、見知った奴がいて欲しいが、半分以上は叶わないだろう。

恐らく、殆どは新顔のはずだ。

まあ、その時は、弾幕勝負でもして、その後宴会にでも誘えばいい。

数時間後にはうち解けるさ。

なにせ、ここは幻想郷。

あるがままを受け入れる、最後の楽園なのだから。



そうしてまた月日は流れる。

ゆらゆら、ゆらゆら。

魂を運んで向こう岸に渡す。

現世の方から来たのは、見覚えのある色の魂。

お、久しぶりだねぇ・・・いやいや、こっちの話しさ。

渡し賃は・・・また、たくさんあるもんだ。

何?、どうせなら、生前にこれだけあれば良かったのにって?

・・・まあまあ、そういいなさんな。

来世には良いことあるさね。




・・・それで、あんたはどんな人生を送ってきたんだい?。









くるくるくるくる。

輪廻は回る。

永劫に回る。

残酷に回る。
運ばれた魂が誰なのかは、皆さんの想像にお任せします。


少々路線変更してみました。
こんな試みはやったことが無かったので、不安要素は多々あります。
感想や、注意点など、書いていただければ幸いです。
GUNモドキ
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コメント



0.860簡易評価
12.70からなくらな削除
雰囲気が良かったです。
ただ一つだけ、魂は話すことが出来ないらしいですよ。