Coolier - 新生・東方創想話

永夜抄IF パチュリー・レミリア編 6

2008/08/15 01:00:33
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迷いの竹林

霊夢と別れ、竹林の奥へと向かうパチュリー達。
だが、彼女達が残した傷跡はあまりにも大きかった。

「うふ、うふふっふっふふ・・・・・・・」

未だにお札を持ち、幸せそうに笑い続ける霊夢。
今度は、くるくると回りながら笑い始めた。
正直、怖い。
そして、草むらの陰からカメラを構える陰が一つ。

「・・・あやや、今度は踊り出しましたね」

そう呟きながら、写真を撮り続ける。
これが後に、奇妙な異変を引き起こす原因になることを、霊夢も、写真を撮り続ける人物さえも、まだ知らなかった。

「・・・スクープ、スクープ」





~永夜抄IF パチュリー・レミリア編~ 第6話 知らないようで、皆知ってる月兎の秘密!?







迷いの竹林

ついに、異変の元凶の住処へと辿り着く紅魔組。
そして、辿り着いた先。
そこには。

「・・・なるほど、なかなか大きい屋敷じゃない」

そこに広がるのは、自分たちの住処とは真逆の風景。
異様に広大な敷地に建つのは、異様に大きな木造建築物。

「・・・よくもまあ、これだけの大きな屋敷が、今まで話にも上らなかったわね」

そう、これほどの大きさならば、人間の里でうわさ話になっていてもおかしくない。
しかし人間の里で知っていたのは慧音一人、それも人づてに聞いた話で、だ。
ならば、どういうことになるのか。
恐らくあるのだろう、幻想郷の住民にさえ、その存在を隠し続けてきた何かが。
そして、その存在を隠し続けてきた理由が。

「・・・ここから先、一筋縄で行きそうもないわね・・・今なら戻ってもいいのよ?、パチェ」

その言葉を受け、レミリアの方を向く。

「・・・言葉だけ受け取っておくわ・・・貴方こそ、帰ってもいいのよ?、レミィ」

お互いに顔を合わせ、不適に笑う。
そして、レミリアが、前に出、景気づけの一撃を、門に向けたたき込む。

紅符「不夜城レッド」

スペル解放。
木製の門が、紙くずのように吹き飛んでゆく。
そしてその余波は、門の影に潜んでいたウサギ妖怪達にも及ぶ。
粉砕・玉砕・大喝采。
その後、所々焦げたウサギ妖怪達が、ボトボトと落ちてくる。
それを見届けてから振り返り。

「さて、サクサク進むわよ」

そう言ってレミリアは、先へと進む。
玄関の脇は、死屍累々。
実際に死んでいるわけでは無いが、この光景を見れば、十人中八人ぐらいは、黙祷する。
それぐらいには、無惨度が高かった。




「・・・随分と張り切ってるわね、レミィは」

廊下を進みながら、そう呟く。
レミリアは、横合いから段幕を撃ってくるウサギ妖怪達を蹴散らし、打ち落とし、なぎ払いながら、前に進んでいる。

「・・・今まで、敵を倒していたのはパチュリー様でしたから、相当にフラストレーションが溜まっているのではないでしょうか?」
「ああ・・・そう言えばそうね・・・」

納得。
確かに、今まで、レミリアの活躍は少なかった。
レミリアの活躍といえば。
リグルの時とか、虫の時とか、Gの時とか。
ああ、全部同じだ。

「・・・他に、活躍してた?」
「え、ええと・・・」

話を振られて考える。
レミリアが活躍したところ。

「・・・」
「・・・」
「・・・あ」
「何かあった?」
「慧音さんと戦いになられた時などどうでしょう?」
「あー・・・戦闘描写がカットされてるところは除外で」
「じゃあ、ありません」

即答。
考えるまでもなく、本能で言い切った。

「・・・じゃあ、これが二回目の活躍の場?」
「そう、ですね、そうなります」

哀れみをこめた視線で、目の前の親友を見る。
レミリア、なんて不憫な子・・・。
そして、その視線に気付き、こちらを振り返ってくる。

「・・・何よ、二人して」
「「別に、何でもないわ(ありません)」」
「ふぅん・・・なら、いいけど」

それでも疑わしい、と、こちらを見る。
さてさて、どうやって誤魔化すか、そう考える。
その時。
レミリアの後ろに、影。

「あ・・・」
「?、どうしたの、パチェ・・・っと」

後ろ、と言おうとした、しかし、その声は間に合わなかった。
なぜなら、レミリアは、次の瞬間には既に体を反転し、背後からの不意打ちに対応していたからだ。

「うそ!?」

その声は、自分の不意打ちが通用しなかったからなのか。
それとも、自分の渾身の一撃を軽くいなされたからなのか。
押しても引いてもびくともしない。

「・・・っ!!」
「・・・貴方に足りない物、それはぁ!」

無防備な頭を鷲づかみにし、更に続ける。

「情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ!そして!なによりもぉ!」

ブン、と空気が唸りを上げる。
もう止めることは出来ない。
既に投球モーションは最終段階に入っていた。
そして。

「速さが・・・足りない!!」

そう言って、投げた。
華奢な見た目からは想像も出来ない膂力で、天井めがけて投げつけた。

「おぉぉぉぉぉぼぉぉぉぉぉえぇぇぇぇぇてぇぇぇぇぇろぉぉぉぉぉ・・・・・・」

そして、三流悪役の台詞を叫びながら天井を突き破って飛んでゆく、ウサギ妖怪の姿。
パラパラと落ちてくる木片は、この一幕に対する拍手に聞こえた。
そして、天井に大きな吹き抜けを作った張本人は。

「さて、先に進むわよ、パチェ」

すっきりとした表情で侵攻を再開した。
が、その侵攻はピタリ、と止まる。
どうしたの、とレミリアの視線を追う。
そこには、一匹のウサギ妖怪。

「・・・随分と、遅かったわね・・・」

声の主は、先にいるウサギ妖怪。
そして、先ほど穴の開いた天井からの月の光に照らされ、その姿が顕になる。

「全ての部屋は封印したわ、これで姫を外にって・・・あーーーーーー!!!!」

突然の叫び声。
妖怪ウサギは、ある一点を凝視している。
いきなり何事か、と視線の先を追ってみると。
満点の星空が見えた。

「こ、こここここれは・・・・」
「綺麗な星空ねぇ」
「違ああぁぁぁう!!」

違う。
何が。
論点が。
しばらく考え、思い至る。

「綺麗な夜空ねぇ」
「論点ずれてる!天井よ、天井!」

天井を指さし、涙目になるウサギ妖怪。
ようやく言いたいことを理解する。
つまり、何故天井を壊したのか、というところが論点だったのだ。

「・・・木製の天井って、つい壊したくなるのよねぇ」
「オマエが犯人かああぁぁぁ!!?」
「五月蠅いわねぇ、幻想郷に、これ以上ツッコミ要員なんて要らないの、帰れ、新参ホイホイ」
「新参ホイホイいうな!!、というかここが家なのに、どこに帰るのよ!!」

そう問われ、しばし考え、答えを出す。

「んー・・・星?」
「ここも、星!!」
「あら、知らなかった・・・知識人のライバルが現れたわね、パチェ」
「嫌よ、見た感じアホの子じゃない」

と、見た感じで物を言うパチュリー。
魔理沙の方が1.5倍程度マシよ、と、なにげにアホの子と同列扱いの白黒。

「・・・なんなのよ、アンタ達わぁ・・・」
「・・・あの、ハンカチ、要ります?」

とうとう泣き出したウサギ妖怪に、ハンカチを手渡す小悪魔。
 
「ううう・・・有難う・・・」
「いえいえ、お気になさらずに」

ここに心のオアシスが、貴方が天使でないのが悔やまれる。
有難う小悪魔、小悪魔有難う。

「決して、新キャラの出現で元から薄い影が更に薄くなるといけないからって、ここで皆さんの好感度を上げておこうとかそんな考えではありませんから、ホントウニオ気ニナサラズニ」
「うわああああん!、なにげにこの子も黒いぃぃ!?」

もう誰も信じられねぇ、と、小悪魔からも距離を取る。
と、そこに。

「全く・・・何遊んでいるの、ウドンゲ」
「し、師匠!?」

師匠と呼ばれた人物が、静かに前へ出る。
そして、レミリア達を視認し、口を開く。

「あら?、てっきりお迎えかと思ったけれど・・・永遠亭に、何かご用かしら」
「歪な月を元に戻すために来たのよ・・・居るんだろう?ここに、元凶が」

レミリアが目を細める。

「さて、どうかしらね・・・ウドンゲ」
「は、はいっ!」
「荒事は任せるわ・・・くれぐれも、姫を連れ出さないように」
「解りました」

そう言って、踵を返し、屋敷の奥へと向かう。
と、何を思ったのか、振り向く。

「?、どうかしましたか、師匠?」
「言い忘れた事があったわ」
「はあ・・・」
「天井の修理、貴方がやるのよ?」
「え、ちょっと、待って・・・し、ししょおー!?」」

そう言って、早々に屋敷の奥に消えていった。
頼みの綱の師匠は消え、やるせなさと哀愁感が漂う。
その背中は、真っ黒に煤けて見えた。

「・・・負けるな・・・私・・・頑張れ・・・私・・・」
「あの、ハンカチ要ります?」
「あ、うん、ありがと・・・」

涙を拭いて深呼吸、スーハースーハー。
気を取り直していってみよう。

「さあ、この先には一歩も通さないわよ!」
「遅いわ」
「へ!?」

振り返った瞬間、目の前にどアップの紅い悪魔。

「吸血鬼に」

でこピン。

「いだ!?」
「身体能力で」

チョップ。

「あべし!?」
「勝てると思うな」

背中を踏みつけ。

「ひでぶ!?」
「思えば負けよ、と」

そのままグリグリ。

「いだだだだだだだだだだだ!?」

その間僅か5秒の早業。
スペルカードを出すまでもなく、決着。

「・・・さて」

踏みつけたまま、耳を一纏めにして掴む。

「い!、ちょっ、耳掴むなあだだだだだだ!?」
「あら、以外と触り心地がいいわ・・・」
「引っ張らないで!、耳、引っ張らないで!、とれるとれるとれるうぅぅぅ!?」
「ほらほら、知ってること全部しゃべらないと、とれるわよ?」

そう言って、耳を引っ張る。
だが、ここで予想外の出来事が起きる。
引っ張っていた耳の手応えが、突然軽くなった。

「「「あ」」」
「・・・え?」

嫌な予感。
頭に手をやる。

「・・・ない・・・」

首だけで振り返る。
そこには、目を点にしているレミリア達。
手には、とれた耳。
踏みつけていた足に力がない事が解ったので、取り合えず起きあがる。

「「「・・・」」」

とりあえず、掴まれたままの自分の耳を解放する。
そして、断面を自分の頭にあてると。
パチン、という音がした。
そのことを確認すると、ウドンゲは、足早にその場から消え去った。
それから数十秒して、やっと現実に戻る紅魔組。

「・・・何だったのかしら、さっきの・・・」

呆然と呟くレミリア。
後には謎が残るばかりであった。








次回予告

大きな謎が残ったが、異変解決までもう少しの紅魔組。
そして。ついに現れる事件の黒幕達。

??「ああ、もう、こっちに来たらだめなのに!」
パチュリー「見なさい、あれが、墓穴を掘る、という事よ」
れみ・こあ「そ-なのかー」

そしてついに現れる、幻想郷の満月。

??「あら、お迎え・・・ではなさそうね」
レミリア「残念ながら、その逆よ」

満月を、取り戻す。

??「そう・・・夜を止めていたのは、貴方達だったのね!!」

そして、最後の戦いへ・・・。







次回、~永夜抄IF パチュリー・レミリア編~ 第7話 永遠の満月 お楽しみに!!






今回のNG

「い!、ちょっ、耳掴むなあだだだだだだ!?」
「あら、以外と触り心地がいいわ・・・」
「引っ張らないで!、耳、引っ張らないで!、とれるとれるとれるうぅぅぅ!?」
「ほらほら、知ってること全部しゃべらないと、とれるわよ?」

そう言って、耳を引っ張る。
だが、ここで予想外の出来事が起きる。
引っ張っていた耳の手応えが、突然軽くなった。

「「「あ」」」
「・・・え?」

嫌な予感。
頭に手をやる。

「・・・ない・・・」

首だけで振り返る。
そこには、目を点にしているレミリア達。
手には、とれた耳。
そして。

「トカゲの尻尾と同じ原理ね」
「「「知っているのか!永琳!?」」」

いきなり出てくるヤゴコロ先生。

「月のウサギは、自らの危険を察知すると、本体を生き残らせるために耳だけ切り離すの、そして、切り離された耳は本体を守るために、最後の力を振り絞るわ!、見なさい!」

そう言って、レミリアに握られている耳を指さす。
すると。

「「「「う、動いてる!?」」」」

ビチビチと、それ自体が生き物のように蠢いている。

「そして、見なさい!」

次に指さすのはウドンゲの頭。
そこには。

「「「な、なにい!?、もう生え替わっている!?」」」
「え!?うそ!?」

頭に手をやる。
すると、いつもの、触りなれた感触。
トカゲもビックリの再生速度だ。

「・・・これが、月兎の力・・・そしてぇ!!」

レミリアの頭を指さす。
そこには。

「「「み、耳が生えてる!?」」」
「そんな、馬鹿な!?」

頭に手をやる。
すると、今までにない感触。
風邪のウイルスもビックリの感染速度。

「そう、これが月兎が滅びない理由・・・彼女達に同種を産む必要性などない、只、がむしゃらに増えるのみ」
「そ、そんな・・・」

呆然とするレミリア達。
そこに。

「そんなことは・・・」
「私たちがさせない!!」

空間が割れ、出てきたのは八雲 紫と博麗 霊夢。

「幻想郷の守護者達か!・・・だがもう遅い!既にサイは投げられたわ!」
「それでも!被害を最小限に止めることなら出来る!」
「あきらめなさい!もう止まらないわ・・・貴方達も全員可愛い可愛いウサギ妖怪になるのよ!」

そう言い残し、廊下の奥へ消える。

「待ちなさい!!」

それを追う紫と霊夢。
後に残される紅魔組と月兎。

「・・・何だったのかしら・・・今の」

残された全員に、ウサ耳が生えていた。
もうすぐこの馬鹿騒ぎも終了です。
ほんの少しの思いつきが、あれよあれよと6作目。
見てくださった方々有難うございます。

と、いうわけで、ご意見、ご感想など、よろしくお願いいたします。
GUNモドキ
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コメント



0.260簡易評価
3.70名前が無い程度の能力削除
そういやうどんげの耳にはボタンっぽいのがくっついてるんですよね…
あんまり気にしてる人いないけど…
あれははたして本当の耳なのか否か…
4.80名前が無い程度の能力削除
ちょwwwNG
現実化希望wwwww
5.70名前が無い程度の能力削除
面白かったけど、今までと比べるとなんかいまいち
7.100名前が無い程度の能力削除
 がんばれ  続きに期待