Coolier - 新生・東方創想話

風祝と幻想郷 -The east wind creating the universe- :後編

2008/07/27 15:21:45
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※この話を読む前には、必ず「風祝と幻想郷 -The east wind creating the universe- :前編」をご覧になって下さい。確実に意味が判らなくなります。



































「…くすっ、くすくすっ、あははははははははは!!!!」






…と、急に紫さんが、今までになく不気味な笑い声を上げた。
…それと同時に、彼女の妖気が膨れ上がっていくのも…。



「素晴らしいですわ…。…この私の境界を、二つも同時に破った人間…。
 …また、興味が湧いてきました…。…あなたの力を、もっと、もっと…私に見せてみなさい!!!!」



彼女の周りの空間が、黒く染まっていくような錯覚を覚える。
…今までのあの妖気すら、彼女の本気ではなかったと言う事…!?
もう洩矢様やフランドールの少し上なんて、そんなレベルではない。その差がはっきりと現れる。

…間違いない。この人は、私が知っている限りの中で、最大の力を持っている…!!

「くすくすっ…!!さあ、続きを行きますわ!!」

と、彼女は地面に空間を開き、その中へと飛び込む。
…私は何処かにワープして、そこから攻撃を仕掛けてくるのかと思ったけれど…。

…彼女が飛び込んだ空間から、巨大な円状のノコギリのような物が顔を出した…。


「捌器『全てを二つに別ける物』…!!」


そのノコギリが、私目掛けて突っ込んでくる。
…って、これもスペルカードなんですか!?とんでもなく危険なスペルじゃないですか!!
いやまあ、一番最初の「開けて悔しき玉手箱」みたいに、ノコギリ風の弾幕の一種なんだろうけど…。

…ただ、これくらいなら普通に避けられる、私はそう思った。
結構離れた位置から使ってくれたので、上空に一気に上がるか横によける暇は充分にあった。
…だけど、私はあえてそれをしない事にする。

…紫さん。私は、あなたがなんと言おうと、外の世界に帰る気はありません。
それは何故か…。…八坂様達に仕えると決めたから…。…それだけではありません。
私は誓ったんです。幻想郷に来る時に。外の世界を捨てた時に、その世界の友達たちに…。


…もし幻想郷で誰かと友達になれた時は、絶対にその絆を断ち切らないと…。


もし幻想郷の人が私の手を握ってくれたら、私はその人を信じ続けると…。


…それを、今この場で証明します…!!



私は、一枚のスペルカードを取り出した…。




ガギイイィィ…!!




…鈍い音を立てて、私の目の前でノコギリは止まる。

「…なっ!!そのスペルカードは…!!」

空間の切れ目から飛び出す八雲紫。
彼女の眼は、私が使ったこのスペルカードに釘付けになっていた…。



「夢符『二重結界』…。」



…ノコギリ弾幕は、私の作った二層の結界に阻まれて、その回転を止めた…。

「…そのスペルは、霊夢の…。」

流石にお気づきですか。まあ、霊夢さんと戦ったことがある人ならば知っているかもしれませんし。

「ええ、その通りです。これは霊夢さんから教わったスペルです。
 以前ちょっと霊夢さんといざこざがあった折に、何かに使えないかと教わったものですよ。」

もう随分前のように感じる、魔理沙さんの家に相談事を持ち込んだ時の事…。
射命丸さんのせいでアリスさんに色々と誤解され、さらにその時、霊夢さんまで一緒になって私に仕返ししに来て…。
…そんな中で、霊夢さんが使っていたのが、この二重結界。
状況が状況だったから、これを頼むのは無粋かなぁ、とは思ったのだけれど、お賽銭を入れたら快く教えてくれた。

…教えてもらうまでは色々不純な気もするけれど、私はこのスペルは、霊夢さんとの絆の一つだと思っている…。
だって、他の人に自分のスペルを教えるなんてこと、普通は出来ないと思うから…。

「…あなたには、今まで出会った者達の力が宿っているわけですか…。
 …本当に、面白い…。…もっと、もっと力を見させて頂きますわ!!」

今までとは違い、何だかとても素直な笑みを浮かべる彼女。
…この人もまた、洩矢様みたいに戦いを「遊び」とする者なのか…。
…と、彼女の周りに、いくつもの光り輝く空間の切れ目が発生し…。

「幻巣『飛光虫ネスト』…!!」

その空間の一つ一つから、何本ものレーザーが飛び出してきた。

「くっ…!!」

二重結界はまだ働いているが、あくまでこのスペルは霊夢さんのコピー。
本来結界術を使えない私が使ったところで、そう長い時間相手の攻撃を耐えてはくれなさそうだ。
…ならば…!!

「準備『神風を喚ぶ星の儀式』!!」

結界が切れる前に、私は二つの星を召喚する。
…そう、弾幕ではない。言うなれば、エネルギー体のような物…。

…今までの紫さんの戦い方から、色々と参考にさせてもらいましたよ。こういうタイプのスペルカードバトルの事を。
あくまで予測だが、スペルカードには二種類のタイプがあるんだと思う。
美しさを競う弾幕合戦。それは、私が嘗て霊夢さん達と戦った時の。私が良く知るスペルカードバトル。
それに対し、今私がやっているのは、まさに力と力のぶつかり合い。相手を倒すためのスペルカードバトル。
…そして、そのスペルカードは…。…まさに、スペルカードの名の通りの性能を持っている。
紫さんが使ったのは「無限の超高速飛行体」「四重結界」「中毒性のあるエサ」そして「夢と現の呪」。
…全てが、名前の通りの攻撃、あるいは結界だった。
…中毒性のあるエサ、と言うのも、恐らく「中毒性のあるエサ」を私に見立て、それに食いつく者をイメージしているんだと思いますし。

…じゃあ、私がそう言ったスペルを使うには、どうすればいいのだろうか。
答えは簡単だ。スペルカードの、本来の力を引き出せばいいんだ。
だから、私は「神風を喚ぶ星の儀式」を、本来の意味で使う。
私自身、神風を呼ぶことは出来る。勿論、星の儀式が無かったとしても。
だけど、本来の「儀式」を行う事で起こす「神風」は…。
…まだ、想像でしかないけれど…。…多分、間違ってないはず…。


「奇跡『神の風』!!!!」


私がスペルを宣言した瞬間に、飛光虫ネストによって、二重結界が崩れる。
…だけど、もう大丈夫。ありがとうございました、霊夢さん…。

嘗て魔理沙さんに使った『八坂の神風』の、さらに倍近くの突風が巻き起こる。
その神風が、紫さんの放った弾幕をも止め、押し返して…。

「なっ…!!」

…と、紫さんは片手を上げ、一層だけの結界を張る。
スペルカードではない、ただ身を守るためだけの結界。
尤も、流石は幻想郷を切り離すだけの結界術師。それだけで、飛光虫ネストの弾幕を全て防ぎきった。

…やっぱり、本来の過程を踏んで使う「神の風」は、今まで以上の力を出せる。
「神風を呼ぶ星の儀式」は「神の風」をより強力な威力で撃つことが出来る、いわば神風の増幅機(ブースター)
…何事も、本来の意味を持ってこそ真価を発揮する。
スペルカードも、その場その場で使い方を変える事で、その時の最良の力を出せる物なのかもしれない。

今は弾幕合戦ではない。私が幻想郷に残るかを賭けた、真剣勝負…。


…私は、絶対に負けるわけには行かない…!!



 * * * * * *



…いい眼を、してきたわね…。

東風谷早苗、あなたは幻想郷で生きるには優しすぎた。

あなたは元々、人を傷つける事はおろか、人と争う事さえ好まなかった。

確かに霊夢の事を脅し、博麗神社を従属させようとはしたけれど…。

…それは、霊夢と戦いたくは無かったから。戦わずに、事を済ませたかったから…。

あなたは本当は、戦う事が出来ない。誰も傷つけたくは無い。

それが悪いと言っているのではない。寧ろ、あなたのその心は素晴らしき物。誇るべき物。

この世界で僅かとは言え過ごしていながら、未だに人間、そして妖怪とも戦う事をしないあなたの、その心は…。

だけど…。…あなたの優しき心は、幻想郷という場では邪魔になる。


…幻想郷に居たいのであれば…。…戦いなさい。


私に牙を向けなさい。私を超えてみなさい。私を倒してみなさい。


あなた自身が、これから幻想郷で生きて行くには、それしか道は無いのだから…!!




 * * * * * *




「いい眼ですわ…!!さあ、もっと私を楽しませて…!!」

さっきよりかは幾分かマシとは言え、やっぱりこの妖気は禍々しい…。
…だけど、私に退く道なんてありはしないんだ…!!
残りスペルカードも少ない。元々は散歩の護身用にしか持ってこなかったから…。
…その少ないスペルカードで、この戦いに決着をつけなくては…。
…勿論、私が勝つ事で…!!

「空餌『狂躁高速飛行物体』…!!」

スペルカード宣言をした瞬間、私に向けて、細いサーチライトのような物が…。
…これはまるで…。…まるで、私に照準を付けているような…。
そう思った瞬間に、私の身体は無意識に、その場から飛び退いていた。
そして、私が一瞬前までいた空間を、何かが超高速で通り抜けて行くのが見えた…。

「…流石に、同じタイプの技は当たりませんよ…。」

多分、この技は「無限の超高速飛行体」や「中毒性のあるエサ」と同じ、眼では追えない超高速の弾幕…。
ただ、眼では追えない超高速の弾のため、照準を付けてからの軌道修正は出来ないみたいだ。
だから、私は照準をつけられた瞬間に、その場を移動すれば良いだけ。
…流石に3回目となれば、私も少しは学習しますよ。

「…ほぅ、そうですか…。…ですが…。」

紫さんが不気味に笑う。
…と、また先ほどの私を狙う光が眼に入る。

「なっ…!!」

もう一度、私はその場から飛び退く。
超高速の弾幕は私の背を掠め、また何処かへと消えて行く。
…一回じゃ、無かったんですか…。…さっきまでの二つは、両方とも一回だけだったから…。

「まだ終わりませんわ…。私が倒されるか、弾を止めない限りは…!!」

また、私を狙う光が灯る。
かわし方は判ったものの、これをずっと続けられるのは正直辛い。
私を狙う光が灯ったのを確認した瞬間に、即座にその場から離れる。それも、弾が来ない方向に。
こんな事を続けていたって、その内私の体力が無くなって、避けられなくなってしまう。

…ただ、今の紫さんの言葉の中に、この技を破る鍵はあった。
無意識に言ったのか、それともわざとヒントを用意したのかは判らないけれど…。
私は攻撃を避けながら、その事を考え続ける。

紫さんを倒してスペルを操れなくするか、弾幕の動きを止めてしまう事。
前半は現実的ではない。この弾をかわしながら紫さんを倒せるくらいなら、私はこんなに苦戦しない。
と言う訳で、前半の止め方はスッパリ諦める事にする。

となると、必然的に私は後半の方法をとる事になる。「この弾を止める」と言う事…。
恐らく、この超高速弾幕は絶えず辺りを飛来し続けているのだろう。回遊魚のように。
つまり、その弾幕の勢いさえ止めてしまえば、力を失った弾幕は地面に落ちるか、消滅するだろう。

しかし、この超高速で飛来する弾をどうやって止めると言うのか…。
先ほどから私の身体を掠め続ける弾幕。私はさっきから、この弾幕をまるで目で追えてない。
人間の眼には、この弾幕を追う事は不可能だろう。じゃあ、どうやって弾を落とせばいいのか…。
確実に一枚はスペルを使わなくてはならないだろう。だけど、何のスペルを…。
超高速で飛行する弾に、弾幕を当てることは不可能…。

…そんな時、私はある事を思い出す。

そう言えば、一度だけ有ったじゃないか…。

「…よし!!」

今一度超高速の弾を回避し、私はすぐに一枚のスペルカードを取り出す。
…そう言えば、初めてじゃないんだ。こんな風に、超高速で私に向かってくる攻撃は…。
色々な事があった此処最近の記憶で、ただ一度だけ行ったスペルカードバトル…。
…魔理沙さん、紅魔館アルバイトの時のあなたのスペル「ブレイジングスター」も、似たようなスペルでしたね…。
速度や弾幕の大きさにはだいぶ違いがありますけど、根本的なところは同じ…。
軌道は最初から判ってるんだ。ただ私に向かってくるように飛んでくる、直線的な弾幕。
だったら…。


「秘術『一子相伝の弾幕』!!!!」


即座に自分の周りに弾幕を、三重の星型に配置する。ただし、一層毎に少しだけ角度を変えて。
この「狂躁高速飛行物体」は、必ず私に当たるように飛んでくる。
だったら、自分の周りに弾幕の壁を作ればいい。
魔理沙さんの「ブレイジングスター」の時は「モーゼの奇跡」の壁で受け止める心算だった。結局「八坂の神風」で吹き飛ばしたけど。
そんなことはどうでもいい。今回は「ブレイジングスター」と違って、複数の方向から飛んでくる弾幕。
「モーゼの奇跡」と「海が割れる日」の二つの弾幕の壁を使えれば最適だったけれど、生憎一番最初に使ってしまった。
…だから、今回はこれで受け止めるしかない。
複数方向から飛んでくる弾を、こんな擬似的な弾幕の結界で全て受け止められる可能性なんて、0に等しいけれど…。

…でも、0に限りなく近くても、0ではない。

それで充分。寧ろ、私にとってはそっちのほうがいい。

だって、私は…。


「…!!…そ、そんな馬鹿な…!!」


紫さんの驚愕の声が響く。

「狂躁高速飛行物体」の弾幕5つは、私の「一子相伝の弾幕」に全て命中し、その勢いを止める…。


…限りなく0に近くていい。0でなければ、奇跡は起こせる。



だって私は、奇跡を呼ぶ風祝、東風谷早苗なのだから…。



「…これで、破ったスペルは5枚…。」


私は1人そう呟く。
…破れなかったスペルもあわせて、この人は合計8枚のスペルカードを使っている。
一体、後何枚スペルカードがあるんだか…。

「くくく…っ!!私のスペルはまだありますので、ご安心を…!!」

…いや、まるで安心しませんから。
そんな余裕を見せる紫さんに対して、私の残りスペルは…。

「…ッ…!!」

残りのスペルカードを確認し、私は息を呑む。
スペルカードは…。…あと、二枚しかない…。
それに片方はとある事情により使用不能。実質上、残りは後一枚…。
一応、それが何のスペルカードだかは判っている。そして、それは私が使える中で最も強力なカード。ある意味では、この場では最適だ。
紫さんを倒すには、このカードに賭けるしかないけれど…。
…他のスペルのサポートなしに、このカード単体でしか使うことは出来ない…。

…多分、これ一つでは本来の力を発揮できない。
だけど、使うしかないんだ。紫さんに勝つためには、それしかない…!!

「罔両『八雲紫の神隠し』。 」

すっと、紫さんの姿が視界から消える。
恐らく、空間の向こうに姿を消したのだろうけど…。…じゃあ、一体何処から出て…。

…そう思った瞬間、紫さんは私の目の前に現れ、私に向けて手を翳していた…。

「なっ…!!」

咄嗟の判断で、私は紫さんの前から飛び退く。

「ふふっ…。…いい判断でした。すぐに避けなくては弾幕の嵐が飛んできますわよ…?」

紫さんはそれだけ言って、また姿を消す。
…彼女の言葉から判断するに、後一瞬避けるのが遅かったら、翳した手から何のためらいも無く弾幕を撃ち込んでいたのだろう。
紫さんのスペルカードは、本当に咄嗟の判断を要求する物が多い。
本当に、迷惑な相手ですね…。

「さあ、まだ終わりではありませんわ!」

またもや紫さんは、私のすぐ目の前に姿を現す。
…でも、大丈夫。今の一回を見ただけですが、これも避けるだけなら出来る。
基本的には「狂躁高速飛行物体」とあまり変わらない。
今回は紫さんという照準が現れた瞬間に、彼女の目の前から飛び退けばいい。

…だけど、これもそう長くは続かないだろう。私の体力だって、そろそろ限界に近いのだから。

私に残された、最後のスペルカード…。

真価を発揮できないであろうこのスペルカードで紫さんを倒すには…。

…この「八雲紫の神隠し」では駄目…。


「…あら、このスペルでは不満ですか?それでは…。」


…しまった、それも表情に出てましたか…。
元々私は感情が表に出やすいみたいだったし、紫さんは相手の顔だけでその心を読むことが出来る。
そんなんでは、私の心は読まれて当然。咲夜さんにすらバレバレだったのだから。

…だけど、それはある意味では好都合です。
私の最後のこのスペルを使った攻撃は、相手の弾幕も利用しなくてはいけない。
…「神の風」の奇跡を、もう一度…!


「境界『生と死の境界』、今回は特別な使い方で行きますわ…!!」


紫さんの姿が、今までと違い少し離れた場所に現れる。
そして、私に向けて閉じた扇を向けて…。

…あたりに幾つもの空間の亀裂が現れ、その中から多種無数の弾幕が私に向かって飛び出してきた。

「…!!」

上空へと飛び上がり、一回目の弾幕の直撃は逃れる。
だけど、これが一回で終わるはずが無い。すぐに二回目の攻撃が来る…。
私のその思惑通り、上空へ逃げた私を追うように、目の前に無数の空間の亀裂が現れる。

「くっ…!!」

私に照準を併せる所は変わっていない。だったら、すぐに照準をずらせば攻撃は当たらないだろう。
特別な使い方、と彼女は言っていた。つまり、今のこの「生と死の境界」は、元々はこういうスペルではないのだろう。
私に照準を併せる、目の前の空間から急に飛び出してくる、と言う事を考えて…。
…このスペルは先ほどの「八雲紫の神隠し」との複合スペル、と言ったところだろうか…。
だけど、これは単体での「八雲紫の神隠し」の倍以上性質が悪い。いや、今までの紫さんのどんなスペルよりも。
空間に亀裂が走る事で、弾幕発射のタイミングを見失う事は無い。
だけど、今までよりも弾幕の数と攻撃範囲が段違いだ。こうやって普通に避けたところで、ひょっとしたら弾幕が当たる可能性がある。
今はまだ避けられるけれど、少しでも私のスピードが落ちたら…。

「くすくす…、…逃げてばかりでは勝てませんわよ…?」

紫さんが挑発してくるが、私は構わず避け続ける。
…少しでもスピードが落ちたら、私はこの無数の弾幕の餌食になる。
だけど、このスペルしかない。私が考えている「最後の一手」には、うってつけのスペルカードだ。
あとは…。…タイミングを見極めるだけ。私が最後のスペルを放つ、その一瞬の時を…。


…そう思ったとき、私の頭が、ぐらりとゆれたような気がした…。


「うぁ…ッ!!」


その事に気を取られ、私は避けるスピードを一瞬だけ落としてしまう。
その時を待ってましたとばかりに、空間の亀裂の向こうから、無数の弾幕が襲い掛かってくる。

「…ッ!!」

すんでの所で、私はその一撃をかわす。弾幕のいくつかが私の身体を掠め、そこから少しだけ血が流れてきた。


…拙い、もう限界だ…。


力を使いすぎたんだ。私にはもう、霊力が殆ど残されていない…。


私だって生身の人間だ。そんな無限に力を使えるほどの存在じゃない。


もう空を飛ぶ力さえ残っていないだろう。私はもう、奇跡を起こすことは出来ない。


…多分、次に弾幕の嵐が来たら…。…私は、避けきれずにそのまま敗北する…。




「…あらあら、もう身体の方が追いつかないみたいですわね…。」




くっ…!!必死に表情には出さないようにしたけれど、やっぱりこの人には見抜かれている。

紫さんは閉じた扇を天へと向ける。そして、今まで以上の数の空間の切れ目が、空中に現れる…。


「…この私相手に、よく頑張った方でしたわ。
 しかし、あなたは所詮人間。神の力を使うには、あなたの器は小さすぎたようですわね…。」


紫さんが何か言っているけれど、私の耳にはもう入ってこない。

…多分、紫さんは次の一撃で決着を付けに来る。

だとすると、次の攻撃が理屈の上では最大の攻撃になるはず。私を仕留めるには、それが一番最適なのだから…。

…四の五の言ってられない。どうせこれが失敗したら、私はその場で負けなんだ。

紫さんの次の攻撃で、私はこのスペルを使う…。

奇跡を起こすだけの力もない私には、これが本当に最後の賭けとなるだろう…。

…紫さんの弾幕を、全て弾き返す…!!


「さあ、終わりにしましょう…!!」


空間の切れ目から、無数の弾幕が発射される。

…その弾幕の多さは、普通に動けたってかわしきれるような量ではなかったかもしれない。

…だけど、もうそんなのは関係ない。

私は、自分を信じる。この一撃に、私は残る全ての力を使う。


「大奇跡…!!」


八坂様。

洩矢様。

霊夢さん。

魔理沙さん。

射命丸さん。

霖之助さん。

椛さん。

美鈴さん。

パチュリーさん。

小悪魔さん。

咲夜さん。

レミリアさん。

フランドール。

慧音さん。

妹紅さん…。


…私に、力を貸してください…。…最後の、この一撃のための…!!





――   『八坂の神風』!!!!   ――






今まで私が使った風の中で、一番の強烈な突風が、世界を駆けていった…。





 * * * * * *





…幾つかの弾幕は、弾き返す事は出来なかった。
おかげで何発かの弾幕は、私の身体を容赦なく傷つけた。
正直、立っているのすら辛いけれど…。
…私の最後の「神風」は、紫さんの殆どの弾幕を弾き返し、その弾幕と共に、紫さんに命中した…。

「…はぁ…はぁ…!!」

未だ紫さんのいた場所には砂煙が舞っていて、姿が確認できない。
だけど、幾ら紫さんと言えども、あの弾幕をかわしきれたとは思えない。
一番最初みたいに、境界の切れ目に逃げ込まれたらお終いだったけれど…、…そんな妖気の波動も、感じられなかったし…。

…私は、勝った…。…のか…?





「…くすっ…くすくすくすっ…!!」





…そんな私の思いを嘲るかのように、紫さんの不気味な笑い声が響く…。





「…素晴らしい風でした。私の『生と死の境界』の弾幕を弾き返すとは…。
 まさか、私のスペルを利用してくるとは思いも寄りませんでしたわ。あと少し“これ”を使うのが遅かったら、危なかったかもしれません…。」




と、紫さんの周りを舞っていた砂煙が、風に吹き飛ばされるかのように一瞬にして散ってしまう。


…その中にいた紫さんは、先ほどまでとまるで変わらずに、無傷のまま…。


ただその周りには、今までの物とは明らかに違う、淡く光り輝く結界が張り巡らされていた…。





「紫奥義『弾幕結界』。私にこのスペルを使わせたことには、素直に賞賛いたしますわ。」





嘘…。…あれだけの量の弾幕を、その一枚の結界で受け止めたと…?

…忘れていた。この人は、霊夢さんをも上回る、幻想郷を切り離すだけの力を持つ結界術師…。

境界を操る彼女にとっては、結界こそがまさにその本分。

紫さんの前では、生半可な攻撃では、全て受け止められてしまうと言う事なのか…。


「くっ…!!」


せめてもの悪足掻きをする力すら残されていない。

私はもう、さっきの「八坂の神風」で、全ての力を使い果たしてしまった。


…最後の一手すら破られてしまった私には、もう何の力も…。



「…よく頑張りました、東風谷早苗。私にこの奥義すら使わせたのですから。
 ですが、その頑張りも此処までです。あなたは私には決して敵いません。」



ううっ…。…駄目だ、身体に全く力が入らない。

立っているのが限界。その足を少しでも動かすことも出来ない。

私はもう…、…何も出来ない…。


「もうスペルカードを使う必要はありませんね。仮にあなたが悪足掻きが出来たところで、この弾幕結界は破れません。
 …さあ、今度こそ終わりにしましょう…。」


紫さんは空間の切れ目に手を突っ込み、その中から一本の傘を取り出す。
そして、その傘を閉じたまま、私のほうに向けて…。
…傘の先端に、ゆっくりと光が集まっていく…。


「くうっ…!!」


もう一発の弾幕すら受けてはいけない。

避けなければ、私は確実にその場で負ける…。

動け、動いてくれ、私の身体…。…お願いだから…!!


「…目覚めた時は、きっと外の世界にいる事でしょう。
 ご安心を。幻想郷での記憶は、今度こそ綺麗に消して差し上げます。

 …さようなら、東風谷早苗。とても楽しかったですわ。」


紫さんの傘に集められた光が、弾幕となって発射される…。

身体はまるで動かない。さほど早くは無い弾幕だったけれど、私にはもう避けることは出来ない…。




…私は、負ける…?…此処で紫さんに敗れて、幻想郷での全ての事を忘れて、外の世界に…?




…嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…!!




私は幻想郷にいたい。私は、八坂様たちの傍を離れたくない…!!




幻想郷で手に入れたものを、失いたくない…!!




美鈴さんやパチュリーさんとの、幻想郷のみんなとの絆を、断ち切りたくない…!!




私はまだ、幻想郷にいたい。これからも、ずっとみんなと一緒に生きたい…!!




私は誓ったんだ。幻想郷に来る時に…。




幻想郷で手に入れた絆を、絶対に断ち切らないと…。




繋いだ手を、絶対に手放さないと…。




私は、私は…!!








…八坂様、洩矢様…。














「神祭『エクスパンデッド・オンバシラ』!!!!」













…私の神様は、また私の願いをかなえてくれた…。












私を守るように降り注ぐ、巨大な柱のような弾幕。



それが何かを悟る前に、私は誰かに身体を抱えられる。



「ごめん早苗、遅れちゃって…。」



その声に、私はゆっくりと、私を支えている者の顔を見る…。


…鮮やかな金髪を持った、蛙帽子を被った小さな“神”…。…それは、紛れも無く…。



「…洩矢様…。…洩矢さまぁ…。」



訳も判らずに、涙が溢れてしまう。

最初は信じられなかった。だって、こんな都合のいいタイミングで…。



「…諏訪子、美味しいところだけ持っていくな。…早苗、ごめんね、待たせちゃったわね…。」



私の頭をそっとなでてくれる、もう一人の神の声が傷ついた身体に染み渡る…。

八坂様、洩矢様…。…幻覚じゃないんですね、夢でもないんですね…。


「…ッ…!!…なぜ、あなた達が此処に…!!」


紫さんが怒りと焦り、そして驚愕の篭もった声を上げる。

「ああ、面倒な結界を張ってくれたねぇ、すきま妖怪さん?
 あんたがここら一帯に強力な結界を張ってくれたお陰で、だいぶ苦労してしまったよ。
 ただ、幾らあんたが最強の妖怪でも、神2人を止めるだけの結界は張れなかったみたいだねぇ。」

八坂様が不敵にそう言い返す。
…結界?何のことですか?

「…あの妖怪、ここら一帯に結界を張ってたんだよ。
 誰も此処に入れないようにするために。後、早苗が此処から逃げられないようにするために。」

洩矢様が私の疑問に答えてくれる。
…そんな結界が張ってあったのですか…?まるで気付かなかった…。
いったい何時から張ってたんだろう…。…私が紫さんと逢う、少し前くらいか…?

「…あなた達なら、必ずこの勝負に横槍を入れてくると思いましたからね…。
 …ただ、結界を破ったのであれば…。…余計な事を言うのはやめにしましょう…。」


…ドン、と大地が揺れた気がする…。

…さっきまで忘れていた紫さんの禍々しい強大な妖気が、三度蘇る…。


「…私とその子の勝負を邪魔すると言うのであれば、たとえ神であろうと容赦はいたしません。
 私の全ての力を掛けて、あなた方二人を倒しましょう…!!」


…今になって初めて見た、紫さんの怒りに満ちた表情…。

その怒りに比例してか、紫さんの妖気もさらに強大になっている気がする…。

…だけど、八坂様も洩矢様も怯えの一つすら見せない。

それどころか、寧ろ少し微笑みを浮かべているようにも…。


「…確かにあんたと早苗がどうして戦ってるかは知ってる。ずっと結界の外で聞いてたからね。
 だけど、あんたの勝負を邪魔しに来たわけじゃないよ。安心しな。」


…えっ…?八坂様…?


「私達は早苗に言いたいことがあって此処に来ただけ。だから、あんたと戦う気はさらさら無いよ。」


八坂様に続いて、洩矢様も静かにそう語る。

…私に、言いたい事…?

紫さんの結界を破壊してまで、私を助けに来たのではないのであれば、いったい何を…?

…八坂様と洩矢様は、揃って私の前に立って、静かに微笑を浮かべる…。



「…早苗、もう私たちに付いて来なくていいんだよ…?」



八坂様の、全てを包み込むような温かい声が胸に響く。
…それは、私が幻想郷に来る直前に、八坂様が私に言ったこと…。
私の身を按じてくれたが故の、八坂様の優しき心…。



「…私たちは、早苗が傷付くところなんて見たくない…。

 早苗は生きることを知ってくれた。前を見て歩く事を知ってくれた。

 …私たちが早苗に伝えるべき事は、もう全部教えた。だから、あなたにはもう私たちは必要ない。

 早苗、帰りたいなら帰ってもいいんだよ?私達は止めはしない。早苗の思うとおりに生きて…ね?」



あの時の八坂様の言葉を、今度は洩矢様が静かに語る。
二人とも、私が傷つくところを見たくない、そう思って、この言葉を掛けてくださっているのか…。

…本当に、何で普段はこんな神様らしいところを見せてくれないんですか…。

普段からこうして下されば、私の心は揺らぐことは無かっただろうに…。

…でも…。


「…あはは、あはははは…。」


…でも、何だかもう笑うしかないですよ。

八坂様も洩矢様も、きょとんとした表情で私を見つめる。

何でそんな表情で私を見るんですか?何がそんなに意外なんですか?

私としては、あなた達の言葉のほうが意外だったと言うのに…。


「…多分、その子にはもう何を言っても無駄ですよ、神様方。」


紫さんの静かな声が聞こえる。先ほどの禍々しき妖気は、もう感じられなかった。

…ああ、なんだ。紫さんのほうがよっぽど私の事を判ってるじゃないか。

紫さんよりもずっと私との付き合いが長いくせに…。

…神様らしいんだか子供っぽいんだか、いい加減にはっきりしてくださいよ…。


…私の心を、少しくらいは当ててみてください…。



「…そうですか、では私の生きたいように生きるとします。

 …八坂様、洩矢様、まだこの勝負は終わっていません。手出しは…しないでください。」



…よし、少しだけ休めたお陰で、身体は動くようになった。

もう何度同じ事を考えたか…。…数えるのも馬鹿馬鹿しい。


私は幻想郷で生きる。これからも、絆と共に生きていく。


八坂様と洩矢様の傍に仕えながら。


霊夢さんや魔理沙さんと他愛も無い話をしながら。


香霖堂に暇な時に足を運んで、霖之助さんと外の世界について語りながら。


その折にでも紅魔館に寄って、みんなでで紅茶でも飲みながら。


慧音さんや妹紅さん、寺子屋の子供達と一緒に、いろんな事を勉強していきながら。



そして、また新しく出会うであろう人と、新たな絆を結びながら…。



「…大きくなったんだね、早苗。私たちの知らない間に…。」



洩矢様が、また微かな笑みを浮かべる…。

…何故か私は、その時鏡を見ているような、あるいは母の姿を見ているような気分になった。


「…いいさ、早苗がそう言うなら、私達はもう止めない。
 だから早苗、必ず勝ちなさい。勝って、必ず幻想郷に残りなさい。…年が開けたらあの妖怪たちが来るんでしょ?」


八坂様の言葉で、私はその事を思い出す。

…そう言えば、パチュリーさん達が年明けに守矢神社に遊びに来るって言ったんだっけ…。

…ああ、尚更負けるわけにはいかなくなった。パチュリーさんとの約束を、果たすためにも…。


結局さっきの洩矢様を見た時の感覚はなんだったんだろう。

…あの洩矢様の笑った姿が、私にそっくりだった気がする…。

確か慧音さんも同じ事を言ってたっけ。「何となく程度には顔は似ている」と…。


…まさか洩矢様は、私のご先祖様か何かだったりして…。…ふふっ、そんな訳ないか…。



「さあ紫さん。まだ私は負けてはいません。…この勝負に、決着をつけましょう…!!」



私は再び、自分の足で立ち上がる。

最後まで戦おう。私自身の、幻想郷での未来を掴むために…。


「…いいでしょう、受けて立ちますわ。
 ですが、あなたのスペルカードは先ほどの「八坂の神風」で最後のはずです。
 普通の弾幕だけで、この「弾幕結界」を破る事は不可能です。
 …一体、どのようにして戦うお心算ですか?」


先ほどから紫さんの回りに張られ続けている「弾幕結界」。
確かに、通常の攻撃だけでこの結界を破る事は不可能だろう。

…だけど、じゃあ普通の弾幕じゃなければ、スペルカードなら破壊できるって事ですよね…。


「…ありますよ、スペルカードなら。最後の一枚が…。」


紫さんが、少し眼を見開くのが見える。
…そうでしょうね、驚かれるのも無理はないと思います。
確かに、私のスペルカードはさっきの「八坂の神風」で最後です。

…ただし、完成されたスペルカードは、ね…。


「…先に言っておきますが、そちらの2人の神様からスペルを借りるのは流石になしですよ?
 そもそも、先ほどの「二重結界」のように、正しい指導を受けた状態のスペルならともかく…。
 そんな急に他人のスペルカードを使いこなせるはずはありません。」


それはそうでしょう。言われなくても判っていますよ。
別に八坂様や洩矢様にスペルカードを借りるわけではない。ちゃんとした、私自身のスペルカード。

…私は、そのスペルカードを取り出す。

真っ白で、何も書かれていない、ただの紙と何も変わらないスペルカードを。

「…無地のスペルカード…?」

ええ、その通りです。このスペルカードには、何も書かれていません。予備のスペルカードみたいなものです。
スペルカードは自分の得意技を示す物。このカードに名前や図柄が書かれる事で、初めてその意味を成す。
このスペルは無地。つまり、今の所は何の意味を持たない、ただの紙と変わらない。

…ただし、今この時点では、だ…。


「…!!まさか、今この場で新たなスペルを作ると言うのですか!?」


ご名答、流石は境界の大妖怪ですね。


「ええ、その通りです。一応これもスペルカードですから。」


特に何か意図があって持っていたわけではない、この無地のスペルカード。
今日持ってたのだって、本当にただの偶然。たまたまスペルカードの束の中にあったから持ってきただけ。
まさか、こんな形で役に立つとは思わなかった。そもそも、使う機会が来るとも思わなかった。
…だけど、今はその偶然に感謝する。
これが、正真正銘の最後の一撃。私の全ての思いを、この一撃にのせる…。


「…八坂様、何時も通りですが、お力をお借りします…。」


私は静かに、八坂様へと言葉を掛ける。
私の奇跡の力は、元々神によって与えられたもの。
今までもずっと、八坂様の力をお借りして戦ってきた。
そして、こうして八坂様が傍にいてくださる事で、私の力は本来以上の力を発揮できる。

「…好きなだけ使っていいよ。…使っていいから、絶対に勝ちなさい。」

八坂様も、私にそう返してくれた。ありがとうございます、八坂様…。
…私の中に、次第に霊力が戻っていくのを感じる。

…だけど、今回はこれだけじゃない。もう一つ、借りなくてはいけない力がある…。

無のスペルカード、これを別に「八坂の神風」とかにしても良かった。

それでも、私の本当の理想は…。


「…洩矢様、あなたの力も…、…貸して頂けますか?」


私の思い描く最後のスペルは、洩矢様の力が無くてはならない。
八坂様と、洩矢様と、そして私自身の力…。…守矢神社の全ての力をあわせたスペルこそが、私の理想…。


「…早苗、そう言ってくれるの、ずっと待ってたよ…。」


静かに、そして優しく笑みを浮かべる洩矢様、
…やっぱり、その笑顔が私に似ている気がしてならない。
…まあ、今はそんな事を気にしている場合でもない…。

…そう言えば、私はずっと八坂様の力だけに頼っていたっけ…。

洩矢様と言うもう一つの神の存在を知りながら、私はずっと、天の力だけを使い続けていた…。


「うん、幾らでも貸してあげるよ。
 早苗、私たちにも見せて。あなたの理想を。あなたの答えを…。」


…私の中で、何かが爆発したような感覚を覚える。

八坂様の力と、洩矢様の力、二つの神の力を感じる…。

…人間の私には、ちょっと大きすぎる力かもしれないけれど…。

…構わない。弾幕結界を破るには、紫さんを倒すには、これくらいの力が必要なんだ…!!


私の身体の中を、嘗て無いほどの神の力が駆け巡る…。


「…無のスペルカード…。…新しいスペルをこの場で作るなんて、本来なら文句の一つでも言いたいところですが…。」


…まあ確かに、自分でも若干卑怯だとは思います。


「…ですが、ようやくあなたの真の力と戦えるのであれば、異論はありません。」


紫さんが、本当に嬉しそうに微笑んでいた。


「あなたの弾幕の形は「星」。それは、天を造る八坂の神の象徴。
 古代からの秘術を、ただ伝えられるがままに使っていたあなたは、恐らくその事を知らなかったのでしょう。
 あなたは天と地、両方の神を持ちながら、天の力のみを使っていた…。
 …最初にあなたに「真の力を知らない」と言ったのは、そのためですよ…。」


…ああ、そうか、そういう事か。
嘗て魔理沙さんに持ち込んだ疑問の答えが、今更紫さんの口から語られた。
星は天に灯る光。象徴と言うかまでは判らないけれど、天に存在するものであることは確か。
私の星の弾幕は、八坂様の力の象徴だったのか…。
…そして、二人の神を持っていた私は、八坂様の「乾」、そして洩矢様の「坤」、二つの力を使ってこそ、完全な形と言えるのだろう。



「…東風谷早苗、最後に一つだけ、聞かせてください。
 あなたは外の世界より、この幻想郷を取ろうとしている。
 …あなたが幻想郷で過ごした時間はたった数ヶ月。外の世界で過ごした時間に比べれば、僅かなものです。
 …、…あなたが幻想郷で手に入れたものは、いったい何なのですか?
 外の世界の絆に勝る程のものとは、いったい何なのですか…?」



…紫さんの言葉に、私は少しだけ笑みを零したような気がする。
何を今更。そんなの、何度も言ってるじゃ…。
…ああ、違う、そんな事を聞いてるんじゃないんだ。
紫さんが聞きたいのは、外の世界の絆に勝るもの…。…私が手に入れた、かけがえの無いもの…。

…でも、意外ですね。あなたほどの人が、そんな質問をしてくるなんて。

外の世界での絆に勝るものなんて、一つしかないじゃないですか…。

絆に勝るもの、それは…。



「…幻想郷での、新しい絆ですよ…。」



幻想郷は、外の世界では決して得られなかったような絆を、私に与えてくれた。



例えば、神の力を使う私にいともあっさりと勝ってしまった、巫女と魔法使いのような「ライバル」という存在。



例えば、遠くから静かに一人の少女を見守り続けていた、小さなお店の主人のような「兄」と言う存在。



例えば、誰よりもお互いの事を理解し、瞬く間に心を通わせた、紅き館の門番のような「親友」と言う存在。



例えば、孤独と言う恐怖に打ち勝った、私と同じ心をもっている、大図書館の魔女のような「仲間」と言う存在。



例えば、誰よりも純粋な心をもつ故に、誰よりも傍にいてあげたいと思った、無邪気な吸血鬼のような「妹」と言う存在。



例えば、主に従順に仕え、そして私よりも主のことを愛した、時を操るメイドと優しき悪魔のような「憧れ」と言う存在。



例えば、私の事を信じて頼ってくれ、共に人のために勉強をした、人間を守る半獣のような「盟友」と言う存在。



それだけじゃない。私はもっともっと、数え切れないくらいの絆を手に入れた。


外の世界では決して手に入らなかったであろう絆を、幻想郷は私に与えてくれた。


だから、八坂様と洩矢様という存在を抜きにしても、私は幻想郷にいたい。


私はもっと、色々なものを見てみたい。この幻想郷には、それだけの可能性がある。


それが、私が幻想郷にいたいと思う、最たる理由だ…。



「…紫さん、私からも最後に一つ。…ありがとうございました、いい夢を見させていただいて。」



私の言葉に、紫さんはきょとんとした表情を浮かべる。

まあ、意味は判らないかもしれない。だけど、本当にいい夢をあなたには見せていただきました。

「夢と現の呪」、あの夢の世界は、私が本当に望んだ世界だったのかもしれません。

霊夢さんや魔理沙さんとの絆もあって、そして争い事の無い、今の私には理想郷だった。

…夢だと判っていても、少しだけ、あの世界にいても良かったんじゃないか、と思える。

…だけど、所詮あの世界は夢でしかない。夢だからこそ、私の思う“理想”が叶ったのだろう…。

…それじゃ駄目なんだ。あなたの言うとおり、夢は虚無、現実にはなりえない。

人は前を向いて、現実と向き合って生きていかなくてはならない。

私はそう決めたのだから。八坂様と洩矢様がいてくださる限り、前を見続けると…。


「…確かに、辛い事もあるかもしれません。傷つく事もあるかもしれません。」


もう咲夜さんのナイフは勘弁だし、フランドールとの弾幕合戦も、出来ればやりたくない。


ちょっとした勘違いで霊夢さんやアリスさんに襲撃されるのも、二度と有って欲しくはないなぁ。


「だけど、幻想郷なら、私はもっと大きなものを手に入れられる、そう信じています…。」


現に私は、もう沢山のものを手に入れた。


霊夢さんに出会えた。


魔理沙さんに出会えた。


射命丸さんに出会えた。


霖之介さんに出会えた。


椛さんに出会えた。


美鈴さんに出会えた。


咲夜さんに出会えた。


小悪魔さんに出会えた。


パチュリーさんに出会えた。


フランドールに出会えた。


レミリアさんに出会えた。


慧音さんに出会えた。


妹紅さんに出会えた。



…そして、あなたにも出会うことが出来ました、紫さん…。



あなたとこうして出会うことで、私は幻想郷で手に入れた大切な物を、知ることが出来た…。



あなたにも、私は一つの絆を感じています。…あなたは、そう…。



…「母親」でしょうか…。



私が幻想郷に来る事で手放した物、私に大切な事を教えてくれる、たった一つの存在。



あなたは、不思議とそんな感じがします。



とんでもなく強大な妖気を持ち、全く腹の底が読めない、一言で言えば不気味な方でしたが…。



…あなたは、その奥にとても暖かな物を持っています。ある意味では、神にも近い物を…。



…あなたは私にとって、とても尊い存在でした。ずっと私の事を見守ってくれた、そして大切な事を教えてくれた…。



だからこそ、私はあなたを倒します。



あなたとの繋がりだって、私は断ち切りたくは無いから…!!



「…八坂は、天。」



誰に教えられたわけでもないのに、私は呪文のような物を無意識に口にする。


右手に、八坂様の力を込める。



「洩矢は、地…。」



左手には、洩矢様の力を込める。



「…中を駆けるは、始まりを告げる風…。」



…ああ、咲夜さん、そう言う意味だったんですか。

無意識に口ずさんだその言葉で、私はあの時の疑問の答えを見つける。

あなたが言っていた「名前の通りの存在」、それは、「早苗」じゃなくて「東風」の方だったんですね…。

咲夜さんは「あなたがが来てから、新しい事だらけだった。」と言っていた。

「東」は始まりの地。そこから吹く風だから、「東風」は始まりを告げる風…。

…そうだとしたら、私は幻想郷での、そんな存在になってみたいと思う。

幻想郷に吹く、新しい風になってみたい。

…幻想郷の人々、そして妖怪たちの、心を繋ぐ架け橋になりたい…。


私は、右手と左手、即ち八坂様と洩矢様の力を一つにあわせる。



「…これが、私たちの最後の一撃です!!」



私の周りに現れる、三つの竜巻。

天、地、そして風、八坂様と洩矢様、そして私自身の力をあわせた、最後の秘術。

…どんな技になるかなんて、私にだって判らない。たった今、思いつきで作ったスペルなのだから。


…だけど、私達はそうして暮らしてきた。神様2柱と私が1人、3人1つになって…。


だから、きっと成功する。きっと、紫さんの結界を破れる。




「源風…!!」




神への思い、友への思い、私自身の未来への思いを、この一撃に込めて…。







――――    『天地創造の   東   風   (イースト・ウィンド)』!!!!    ――――








 * * * * * *





…3本の巨大な竜巻は、そのまま全てを飲み込む大蛇のように、紫さんを飲み込んだ。
神様2人と、そして私自身の奇跡の力、全てを込めた一撃。
…こんな攻撃になるとは思わなかった。自分でも、少し驚いている。
ただ、充分な威力は出ていたはず。…残りの問題は、紫さんの結界の力だけ…。


「…ッ!!」


頭がぐらりと揺らぎ、地面に膝をついてしまう。
やっぱり、今度こそ私の身体も限界だ。普段なら使うべきではないほどの力を使ってしまったのだから…。

「「早苗ッ!!」」

八坂様と洩矢様が、私の肩を支えてくれる。
…ああ、何て暖かいんだろう…。
私はその二人に身を任せる事にする。どうせ、私の身体はもう動かないのだから…。





「…始まりを告げる風、「源風『天地創造の   東   風   (イースト・ウィンド)』」ですか…。
 …あなたの思い、しっかりと見させていただきました…。」





…私は眼を見開いた。声が出なくなってしまった。

…嘘…そんな…、…ありえない…。

幾ら紫さんだからって、八坂様と洩矢様、そして私の力を併せた秘術を受けて、倒れないはずが…!!





「ラストワード『深弾幕結界  ―夢幻泡影―』…。」





…紫さんの周りを囲む、弾幕結界よりも強く、そして深く光る結界…。

深…弾幕結界…?…弾幕結界よりも、さらに強固な結界だと言う事ですか…?


「…これが、私の最強の結界です。弾幕結界では足りないと思ったので、咄嗟に切り替えさせていただきました…。」


くっ…!…私の読みは正しかった。弾幕結界を破るには、2つの神の力と私の力をあわせれば大丈夫だと…。
それ自体は当たっていた。だけど、その先は読めなかった…。
まさか、それよりもさらに上の結界が存在するなんて…!!


「…今度こそ、あなたのスペルカードは尽きましたね。」


深弾幕結界を解除し、紫さんは一歩一歩、私たちへと近づいてくる。
…駄目だ、完全に私の負けだ…。…もう少しの力も残っていない私には、無傷っぽい紫さんを倒す手段なんて、今度こそ何も無い…。

「くっ…!!」

「…早苗には、手を出させないよ…!!」

八坂様と洩矢様が、私をかばうように一歩前に踏み出す。
…だけど、八坂様も洩矢様も、私に力を与えたせいで、思うようには力を使えなくなってるはず…。
…駄目です、今のあなた方だと、紫さんには勝てません…。
それに、私は負けた…。…約束は、守らないと…。

「…八坂様、洩矢様、お下がりください…。…もう、覚悟は出来てます…。」

最後の力を出して、八坂様と洩矢様の前に出て手を広げる。
…ああ、これで、私は…。

「早苗…。」

洩矢様の小さな、そして悲しそうな声が心に染みる…。
八坂様も、普段ならば絶対に見せないような、とても悲しそうな顔をしている…。
…そんな悲しそうな顔しないで下さい…。最初から、この時の覚悟は出来ていました…。

「…東風谷早苗、良い勝負が出来ました…。」

…私の前に立つ紫さん。そのとき彼女が浮かべていた笑顔は、とても美しく、私は心奪われそうになる。

ああ、この紫さんの笑顔も、すぐに忘れてしまうのだろうか…。

霊夢さんのことも、魔理沙さんのことも、美鈴さんのことも、パチュリーさんのことも…。
…私はまた、絆を断ち切らなくてはいけないのか…。
…八坂様や洩矢様の事を忘れて、また外の世界で、平凡な日々を過ごすのか…。

「…ううっ…。」

…駄目だ、覚悟は出来てたのに、如何しても涙が…。
悔しい。紫さんに勝てなかったことが。
悲しい。これで幻想郷とお別れになってしまう事が…。
でも、私は負けたんだ。負けたら幻想郷に別れを告げる、そう約束してしまったのだから…。

紫さんが、私に向けて掌を翳す。

…もう、紫さんの姿を見ているのも辛く、私は俯いてしまう。

美鈴さん、パチュリーさん、ごめんなさい、約束を守れませんでした…。

フランドール、ごめんね、まだ全然遊んであげられてないのに…。

慧音さん、もう外の世界の事を子供達に教えてあげる事は出来そうもないです…。

八坂様、洩矢様…。…私は…。……私は……。


…私の頭を、とても暖かな一つの手が、ゆっくりと撫でる…。











「…合格ですわ、早苗。」











…えっ…?










その言葉に、私は驚いて顔を上げる。

ゆっくりと、紫さんは私の頭を撫で続けている。

私が暫く黙って見つめていても、何時までも何時までも、それ以外の素振りを見せずに…。


「申し訳ありませんでした、あなたの覚悟が本当のものであるかどうかを、確かめたかったので…。
 あなたの覚悟は、本物でした。本気で戦った私に対して、此処までの戦いをしたのですから。」

何を言っているの私が理解できないまま、紫さんは静かに言葉を続ける…。

…そして…。



「…もう私は、あなたを外の世界に帰す気はありません。あなたはもう、幻想郷の一員です…。」



…へっ…?

…紫さん、今なんて…?

…幻想郷の、一員…?


「…最初は本当に、あなたを外の世界に帰す心算でしたが…。
 あなたの幻想郷に掛ける思いを聞いて、どうして今更無碍に出来ましょう。
 …早苗、これからも幻想郷で生きていきなさい、あなたの手に入れた、大いなる絆と共に…。」


…また涙が、ぽろぽろと溢れてくる…。


…私は、この言葉を信じてもいいのですか…?


私は…、…幻想郷に、いてもいいのですか…?


これからも、八坂様と洩矢様の傍に、いてもいいのですか…?



「早苗、これは私を此処まで追い詰めたあなたへのプレゼントです。」



…と、紫さんは空間の切れ目に手を突っ込み、その中から何かを取り出す。


紫さんが取り出したそれは…、…色紙、のようですが…。


紫さんは、それを私へと差し出してくる。何が何だかよく判らぬうちに、私はその色紙を受け取って…。




『そっちでも頑張ってね、早苗ちゃん!』




…これ…は…?



『いきなり留学するなんて聞いたのは驚いたけど、とにかく元気でね!』


『帰ったときは連絡してくれよ、みんな待ってるから。頑張れよ。』


『東風谷さん、そっちでも頑張ってね。みんなで応援してるよ。』


『元気でやれよ東風谷。ちゃんと帰って来るんだぞ。』


『そっちでも頑張れ!また一緒に遊ぼうね!』



…他にも、その色紙には沢山の、私へのメッセージが書かれていた…。



「…外の世界では、あなたは一応留学した、と言う事になっているみたいですね。
 唯一事情を知っていたご両親の計らいらしいですが…。
 …外の世界では、素晴らしい友人たちを持っていらしたようですね、早苗…。」


やっぱり、これは外の世界でみんなが書いたものなのですか…?

…だけど紫さん、何故あなたがこんな物を…?


「…くすくす、どうしてそんなものを持っていたのか、と言いたそうですわね…。
 …私は、あなたが外の世界から来た住民だと聞いた時に、少し興味を持ちまして…。
 あなたがどんな所で暮らしていたのかを見に行ったのですよ。
 そうしたら、どうも皆さん、あなたが急に留学してしまったと言う事を聞いて、悲しんでいられたようですからね…。
 …おせっかいだとは判っていましたが、私が直接、あなたが留学したと言う設定に沿って事情を説明いたしました。
 そうしたら、あなたに届け物をと言う事で、皆さんがその場でそれを書いたのですよ。
 …そんな姿を見て、私はあなたを外の世界に帰した方がいいのでは、と思ったのですがね…。」


…紫さんの言葉の意味を理解するまでに、少し時間が掛かってしまった。


…だけど、意味を理解した時、私の涙がさらに溢れ出す…。


…みんな、私のためにこれを…。


…みんなのことを何も考えずに、お別れもせずに幻想郷に来てしまった、私なんかのために…。



「…うっ…ううぅっ…!!」



私は、みんなと絆を断ち切ってしまったと思ってた…。


幻想郷に来る事で、二度とみんなの手を握れないんだと、思い込んでた…。


…だけど、違った。私が勝手に、みんなの手を離していただけだったんだ…。


みんなは、ずっと私に手を差し伸べてくれていた。


ずっと私との絆を残してくれていた…。


…私は、外の世界の絆も、失ってはいなかった…。



「ごめんね…!!…ごめんね、みんな…!!…ありがとう…!!」



私は、大切な友達たちの顔を思い出す…。


…ごめんね…。…勝手に手を離してしまって。勝手に、絆を断ち切ろうとしちゃって…。


…ありがとう…。…こんな私との絆を、ずっと持っていてくれて…。…ずっと、私に手を差し伸べてくれて…!




『頑張れ!早苗ちゃん!!』




色紙の真ん中に大きく書かれた、みんなからのメッセージを見て…。



…私はもう、我慢するのをやめた…。






「うううっ…!!うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」






色紙を抱きしめながら、私はただただ、大声で泣き続ける。



ありがとうございます、紫さん…!!…私にとって、これは最高のプレゼントです…!!



八坂様と洩矢様が、泣き続ける私を優しく抱きしめてくれる…。



そのお2人の暖かさが、私の涙をいっそう溢れさせる…。



私は、幻想郷での絆も、外の世界の絆も、失わなかった…。



もう一度、みんなの手を握り返せた…。




…私は…。…私は、幸せだ…!!







…ありがとう、ありがとう…!!…みんな…!!








 * * * * * *



…ふふっ…。…早苗、よっぽど嬉しかったみたいね…。
我ながら、本当に柄にもない事をしてしまったと思う。
…だけど、こうして誰かが喜んでいる姿を見ているのも…、…まあ、悪くは無いか…。

…あ、やばっ…、…もう限界…。

倒れる姿を見られたくない。…私は、自分が倒れこむ方向に、人一人分のスキマを開く。

…どうせ、神二人の眼も今は早苗に向いている。

…私は、スキマの向こうへと倒れこみ…。


「ぎゃおっ!!」


…式神の妙な悲鳴を聞きながら、ふかふかの黄金の九尾の上に寝転がった…。

「ああ、ふっかふかのまくら…。」

「何が枕ですか…!それは私の尻尾です…!」

もふもふと、藍の九尾の柔らかさを堪能する。


…実は、私は最後の早苗の攻撃の直撃を受けていた…。


そもそも「深弾幕結界 ―夢幻泡影―」はラストワード。私の最強の結界。
…そんな大掛かりな結界を、瞬時に展開できるはずも無い。
「天地創造の東風」を、弾幕結界では防げないと思った私は、すぐに深弾幕結界を発動したのだけれど…。
…僅かの差で、早苗の攻撃は私が結界を展開するよりも早く、私を直撃していた…。

…さっきまで、やせ我慢をしてた。必死に、最後の攻撃が当たった事を隠していた。
深弾幕結界をすぐに解いたのも、あれ以上結界を保つ事が出来なかったから…。

…早苗、あなたは私に負けたと思っていたみたいだけど…。

私の負けよ、本当は…。…あなたの力にも、あなたの心にも、私は完敗だったわ…。


「…紫様、何時まで人の尻尾に寝転がっているのですか…!」


藍の苦情を無視して、私は藍の尻尾で遊び続ける。
…まあ、これ以上動けないと言うのが真意なのだけれど…。

「固い事言わないでよ藍~…。…私はもう疲れたわぁ~…。」

声にも殆ど力が入らない。と言うか、もうめんどくさいから喋りたくもない。

「…だから言ったじゃないですか、余計な事はしないほうがよろしいじゃないんですか、と…。」

藍の声に、少し呆れているような感情が込められる。
…今回の事は、藍には反対されていた。だから、私は1人で行動していた…。
藍は別に、早苗が幻想郷にいたいならそれでもいいじゃないか、と普通に考えていた。
だけど私は、あの色紙を受け取ってしまってから、ずっとどうしようかと悩んでいた。

あの子は私が思う以上に、外の世界では慕われていた存在だった。

だから、私は外の世界のあの子の友のためにも、早苗を外に帰すべきではないか、と思った…。

…それからだ。私が、早苗の心の境界を壊したのは。

早苗が神に対して不信感を抱けば、幻想郷から心が離れるのではないか…。

…私の誘いに、素直に乗ると思っていた…。

…だけど、私の思惑は浅はか過ぎた…。

あの子は、たった数ヶ月で、幻想郷で切っても切れぬ絆を手に入れていた…。

…あの子の思いを、私は読み違えた…。

確かに、あの子は「人間と神の境界」の影響を受けていた。
神への不信は顕著に出ていたし、あの子自身も、自分の意思を失っていた。
「風祝だから」…。…その言葉が、その証拠だった。私は、完全に思惑通りにいっていると思っていた…。


…私の意思が揺らいだのは、あの「夢と現の呪」を使ったとき…。


私は、あの子の記憶から世界を作った。
もしあの子の記憶から出来た世界が、そのまま外の世界の記憶だったら…。
…私は、即座に外の世界に帰す心算だった。それは即ち、あの子の意識が外の世界に傾いている、と言う事だから…。

…だけど、その夢に出てきた登場人物は…。
…あの子の世界で最初に声を掛けたのは、魔理沙に霊夢だった…。
あの子が幻想郷で一番最初に出会った人物が、そのまま夢でも最初の登場人物だった。

…それを見て、私は心が揺らいでしまった…。

あの子の意識は、外の世界よりも、幻想郷にあったから…。

…私は、どうして良いのかが判らなくなった…。

あの子が幻想郷にいる意味、私はそれを崩したはずだったのに…。

…また新しく、幻想郷にいる意味を作ってしまっていた…。

博麗神社で、魔法の森で、香霖堂で、紅魔館で、人間の里で…、…沢山の、新たな絆を作ってしまっていた…。


「…ふふ、うふふふふ…。」


…何故か、笑い声が漏れる。

…ああ、私は愚かだった。私はあの子の事を、何も判っていなかった。

神だけではなかった。霊夢たち人間と、吸血鬼たち妖怪との境界も操らねば、私の計画は成功しなかった…。

…いや、そんな事したって、失敗していたかもしれない…。

…あの子が幻想郷で得た絆、それは私の想像を遥かに超えて、強固な物だった…。

そんな絆は、私が幾ら境界の能力を駆使しようと、壊せる物ではない…。

今まで私がしてきた事は、最初から全部無駄な事だったのか…。


「…紫様、何を考えているかは知りませんが、世の中に無意味な事などございません。」


…藍の私の心を見透かしたような言葉が、今は身に染みる…。


「確かに、今回の紫様の行動は蛇足な事です。…まあ、そんなのいつもの事ですが…。」


…最後の一言が余計よ。


「ですが、紫様が今回の件を起こさなければ、早苗は自分の道を失っていたかも判りません。
 あの子が神に対して不信感を抱いていたのは、紫様が境界を操る前からだったのでしょう?
 …あの子にとって、今回の紫様の気まぐれは、自分の心を見つめなおす良い機会になったのではないですか?
 …紫様が行動を起こさなければ、あの子は本当に神から離れていたかもしれませんしね…。」


…ああ、あなたは優しいわね、藍…。
願わくば、そうであって欲しい…。
…私のした事が、全部余計な事にならないで欲しい…。
そうでなければ、私は何のために自分の手を汚したのかが判らない…。

「…紫様は、自分で悪者になりすぎなんですよ…。」

…くすっ、そうかもしれないわね…。
だけど、私は悪者でも別にいい。それで、幻想郷が…。

…私の愛するこの地が、ずっと今のように、平和であるのであれば…。

「…ねぇ、藍…。」

もう一度だけ、私は口を動かす事にする。
…今までのやり取りで、一つ藍に聞きたい事が出来てしまった…。

「…なんですか?質問の前に、とりあえずいい加減尻尾で遊ぶのは止めてください。」

嫌よ、楽しいから。
…ただ、今だけは弄繰り回すのは止めてあげよう…。
…ちょっと、真面目な話がしたいから…。


「…藍、あなたはどうして、私の傍にいるの…?」


…式神だから、そんな甘い答えを聞きたいのではない。
あなたにとって私は、そこまで有益な存在だとは思えない。
仕事は全部まかせっきりで色々大変だろうし、別に私が式として使わなくても、最強の妖獣、九尾の狐である藍の実力は確かな物。

…あの神の台詞じゃないけれど、藍に私は別に必要ないはず…。

なのに藍は、どうして何時までも私の傍にいるんだろう…。

橙と言う自分の式神も持つまでになった藍は、何時まで私に仕えるのだろうか…。


「…紫様、真面目に質問していますか…?」


…あら、判らなかったかしらね…。
私は真面目よ。本気で、あなたの口からその答えを聞きたい…。

「…だとしたら、やっぱり歳ですかね。」

…私の頭の何かが切れそうになる。
…人が動けないのを良い事に…。…明日以降覚悟して…。


「…紫様、私はあなたの傍を離れる事は決してありません。」


…えっ…?

「確かに紫様は、家の事は何もしないわ余計な事件を持ち込むわ気まぐれで人で遊ぶわ…。
 本当に、良い所を見つけろ、と言う方が難しいでしょう。
 …ふふっ、どうも私と早苗は、境遇がよく似ているようですね。」

…本当に余計な事を…!
あなたこそ真面目に答えているのかしら?


「…ですが、私は知っています。あなたの数少ない、良いところを知っています…。」


……。


「…例え誰が知らなくとも、あなたは誰よりも人を、妖怪を…、…幻想郷を愛している事を知っています。
 あなたは誰よりも、優しき心を持っていることを知っています。
 …紫様、誰があなたを認めなくとも、私だけはあなたの事を信じていますよ…。」


…それは、早苗が紅魔館で門番に言ってた台詞のパクリかしら…?
あなたも一応見てたはずだからね…。…私の計画は、藍には全部話していたし…。


「…それに、私は紫様に最後まで仕えると決めたのですから…。
 紫様が私を式にして下さった、あの時から…。
 …ただの九尾の狐であった私を「八雲藍」にして下さったあなた様に…。
 …感謝しています、紫様…。…この恩は、一生掛かっても返せる物ではありません…。」


…くすっ…。…藍、あなたはそんな理由で、私に仕えていたの…?
私は「九尾の狐」であるあなたを殺した。あなたを殺し、あなたを「八雲藍」にした…。
…それに感謝していると言うの?藍…。…全く、どうかしてるわね…。
…本当に、この子は…。…ずるい…。


「…卑怯よ、藍…。…そんな事言われたら、怒る気にもなれないじゃない…。」


「…私は策士の九尾、ですから…。」


ああ、そうだったわね…。…本当にあなたは策士よ。
こうして私の怒りを、そして悩みを、全部洗い流してしまうのだから…。
お陰で、もうさっきまでの私の悩みなんか、どうでも良くなってしまった…。


「…ありがと、藍…。」


素直な一言を、私は藍に与える。
…ちょっとだけ、藍の尻尾の毛が逆立った…。…ちくちくする…。


「…1時間だけですよ…。…1時間したら、問答無用で部屋に戻っていただきますからね…。」


…ああ、やっぱり優しいわね、藍。
その好意に甘えさせてもらうわ、どうせもう動けないんだし…。

…ぽふりと、私の身体の上にも藍の尻尾が置かれる…。



「…悪役お疲れ様でした、紫様…。…ごゆっくり、お休みください…。」



藍の暖かさを全身で感じながら…。

…私の眼から、一粒だけ涙が零れ…。


…私は意識を手放し、深い眠りへとついた…。














充分に眠って、次に眼を覚ました時…。


私はまだ、暖かな九本の尻尾に包まれていて…。


私の大事な式神、そして大事な家族は、私の目の前で眠っていた…。





 * * * * * *





翌日、私こと東風谷早苗は、雪の降り積もる幻想郷の太陽の下、守矢神社の境内に立っていた。
日差しが暖かい。気温はかなり低いはずなのに、あたりは雪で真っ白なのに、少しも寒いと思わない。
私はその中で、頑張って雪掻きをしている。せめて、神社に繋がる道を作っておかないと…。

昨日の事を少しだけ思い出してみる。
…たった数時間の出来事だったのに、なんだか何日にも渡って紫さんと戦っていたような気もする。
私の涙が落ち着いた頃には、紫さんの姿は何処かに消えていた。
…まだ、碌にお礼も言ってなかったのに…。

…ああ、だけど、なんだか今とても楽しい。

こうして、幻想郷の日差しの下で、こうして生活していられるのが…。

「ふぅ…。」

半分くらいの雪掻きを終えて、一旦手を置く。
手が少し悴んでいるけど、今は少しも気にならない。

…私は、これからも幻想郷で暮らしていいんだ…。

これからも、幻想郷のみんなと、一緒にいていいんだ…。


「…よしっ!」


そう思うと、なんだかもっと動いていたくなる。
数日後、美鈴さんやパチュリーさんが訊ねてくるかもしれないんだ。
その時のためにも、ちゃんとこうして準備をしておかないと…。

ああ、その日が今からとても楽しみです。



…私は、東風谷早苗。守矢神社の神に仕える風祝。



私は、幻想郷の新しい風になりたい。



幻想郷の人々の心を繋ぐ、架け橋になりたい。



これからもっともっと、色んな絆を作っていきたい。



いろんな人と出会いたい。いろんな人と繋がっていきたい。



今まで幻想郷で手に入れた絆、そして外の世界の絆と共に、これからも生きていきたい。



私はもう、幻想郷の一員なのだから…。




…私は、澄み渡った青空を見上げて…。





「今日もいい天気ねー。」





…とても懐かしい気がした、その一言を口にしてから、もう一度雪掻きを開始した…。













 * * * * * *   『風祝と幻想郷 -The east wind creating the universe-』および『風祝と』シリーズ ~ Fin ~   * * * * * *
今日は、酢烏賊楓です。先に言っておきますがあとがきがかなり長いです。
いつの間にかシリーズ物になっていた『風祝と~』シリーズ、これにて終局です。
長かったです。最初から纏めたらもう何冊かの本に出来そうですね。(
今までの8作全ての鍵を併せると、こういう作品に仕上がります。

…本当は前編と後編には別けたくなかったんですが…。
結局行数最後の一行が4538行(行間含む)と言うありえない数値を出してしまったので…。
…流石にこれを一度に読むのは辛いのではないかと2つに別けました。

それと、オリジナルスペル「源風『天地創造のイースト・ウィンド』」のことを…。
最後の決め技を何にしようか、「八坂の神風」が(名前の長さ的な意味で)最後の技にはちょっと向かないかな、と考えて…。
どうしようかと試行錯誤した結果が「守矢神社全員の力を使ったスペル」と言うわけです。
名前は必死に考えました。「乾を創造する能力」「坤を創造する能力」で「天地創造」。
そして早苗の苗字、『風祝と~』シリーズでの役割「始まりの風」の「東風」。
二つ併せて『天地創造のイースト・ウィンド』になりました。ネーミングセンスを疑いますね。
実際に「東風」にそういう意味があるのかは知りません。比喩表現だと思ってください。
…オリジナル物を使うのはちょっとどうかなぁ、とも思ったのですが、結果的には最後に守矢の三身一体攻撃的な風に使えたので、個人的には満足してます。
因みにサブタイトルの「The east wind creating the universe」は、そのまま「天地創造の東風」です。

紫は最終ボス的なポジションではありますが、敵と言うポジションではありません。
影の主人公と言うべきですかね?イメージ的にはそんな感じです。
前編では少々能力を過剰評価しすぎとの意見も頂いたので、後編ではなるたけ空間転移能力のみに絞りました。
ただ能力、妖気はやっぱり最強設定で。最終ボスおよび原作ではPhantasmボスなので。

さてまあ、今まで読んでくださった皆様のお陰で、この『風祝と幻想郷』まで無事(?)に終わらせる事が出来ました。
皆様、本当にありがとうございました。そしてこれからも何卒温かく見守ってくださると嬉しいです。
…『風祝と~』シリーズ、どうしようかな…。
また新しい話を繋げてもいいかな、とか少し思っています。『風祝と~』シリーズ第2期みたいな感じで。
…まあ、その辺はゆっくり考えます。書こうと書くまいと暫くは自由気ままに話を書いていく心算ですし。
…「誰かと早苗(今までのでも普通でも)の絡みが見たい」と言う意見、ありますか?(他力本願)

最後になりますが、今一度此処までの話を読んでくださった皆様には本当に感謝しています。
本当にありがとうございました。これからもどうかよろしくお願いします。
感想、意見、突っ込み、誤字脱字その他もろもろありましたら、是非お願いします。


【7月29日】皆様感想真にありがとうございましたー。
こう色々意見をいただけると、最後まで頑張って書いた甲斐がありました。
…前編の「意味を持たないスペルカード」で「無地のスペルカード」→「オリジナルスペル」と言う発想はちょっと無理がありましたかね…。
「微妙→微笑み」(煉獄さん本当に申し訳ないです…)「標準→照準」「洩矢→守矢」の誤字報告もありがとうございました。ただ私がアホなだけですからマジレスは勘弁してくd(八坂の神風
藍サマ何でこんなに影響力が!早苗さん乗っ取られてる!流石策士の九尾!!(五月蝿
「風祝と~」シリーズの第二期(?)は前向きに検討して行く事にします。ネタも幾つかありますし。…文ですか、考えておきます。
酢烏賊楓
magic_three_map@yahoo.co.jp
http://www.geocities.jp/magic_three_map/touhou_SS.html
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コメント



0.1640簡易評価
1.80名前が無い程度の能力削除
早苗とその彼女の知り合いたちの想いがとても素敵でした。
紫様の考えもそうしたことから起こしたんですね・・・。

ただ戦闘描写が少し単調的になっていたかなぁ・・・と思いましたね。
ちょっと展開が読めてしまいました。
5.90名前が無い程度の能力削除
もふもふいいよもふもふ。
6.90名前が無い程度の能力削除
シリーズ完結お疲れ様でした。あなたの書く早苗さんがもっと読みたいです。
あと自分も藍様の尻尾でもふもふしたい……。

誤字報告を。
標準→照準ですね。
7.90名前が無い程度の能力削除
おつかれさまでした。
とうとう終わりか・・・もっと読みたかったぁ・・・というかんじで読ませていただきました

もしかしたら続編的な物を書くかもしれないということなのでそちらのほう、楽しみに待っています
もしよかったらですがいまだに早苗さんに怯えている文とかも登場させて欲しいです・・・
8.100名前が無い程度の能力削除
藍がいいとこ全部持ってったー!!
12.80名前が無い程度の能力削除
もふもふしたいけど、けど、今は暑いんだ
13.無評価煉獄削除
>1の者です~。 名前を入れ忘れました。(苦笑)
で、読み返していたときに誤字を発見したので報告します。

>それどころか、寧ろ少し微妙を浮かべているようにも…。
 ここのところで「微妙」になっていますが「微笑」ですよね。
 以上、報告でした。(礼)
15.50名前が無い程度の能力削除
流れとしては良かったけど、結局勝てちゃうのか。
16.80名前が無い程度の能力削除
おぜうさまより断然ネーミングセンスはあるから自信持っていいですぜ
21.40名前が無い程度の能力削除
強敵に対して、戦闘前だろうが戦闘中だろうが『新しい技が急に出てきて勝つ』というのはがっかり
神二人はエネルギータンクだし

>洩矢神社の全ての力をあわせた
ちょっ!?それだと八坂の力は入らんでしょう!!
なんせ、洩矢は加奈子に侵略されて守矢にされたんだから
22.100名前が無い程度の能力削除
シリーズ完結お疲れ様でした。
あなたのせいで早苗が好きになりそうです、どうしてくれるんですか(笑)
それに、紫と藍がとてもよかったです。
次を楽しみにして待ってます。
24.無評価煉獄削除
ういっす。 煉獄です。(礼)
また、こういうふうにやってくるのも如何なものかと思うのですけども、
私が報告しました箇所が修正されていないようだったので
不躾にもほどがありますがその報告に参りました。
ですので、再度誤字の報告をさせていただきます。

>それどころか、寧ろ少し微妙を浮かべているようにも…。
 ここは「微妙」ではなく、「微笑」ですよね。
以上で報告を終わります。
再度の誤字報告、申し訳ないです。(礼)
25.無評価酢烏賊楓削除
>煉獄さん
ごふっ…!!申し訳ないです!!見逃していました!!本当に失礼致しました…。
そしてわざわざ再報告ありがとうございました。
…もっと読んでくださった方々に注意を払え、私…。
26.70もみじ饅頭削除
良くも悪くも、無難にまとまってて読みやすかったと思います
キャラの感情がありありと描写できているのはいいことですが、逆にくどく感じられるかもしれませんね
まぁその辺りは好みですので、そんなに大きな問題ではないでしょう
ストーリー展開と書ききったということからこの点数です

とりあえずお疲れさまでした
次回作楽しみにしております
27.100名前が無い程度の能力削除
…いや、野暮な蛇足は何も申しますまい。

素晴らしかった。
満点は、新しい人生を歩みはじめた早苗さんへの餞別に。
30.100時空や空間を翔る程度の能力削除
風ですか・・・

早苗さんに吹く心の風は何時までも優しさと労りを持つ
東方の風でありますように・・・
32.無評価酢烏賊楓削除
感想ありがとうございましたー。

>もみじ饅頭さん
>キャラの感情がありありと描写できているのはいいことですが、逆にくどく感じられるかもしれませんね
むぅ、やっぱりですか…。地の分(心情描写)が多いと言うのは薄々感づいていましたが…。
次からはもう少し会話の方にも重点を置いてみますね。
>次回作楽しみにしております
ありがとうございますー。その言葉が私の生きる力にもなります。

>11:34:34の名無しさん
>素晴らしかった。
>満点は、新しい人生を歩みはじめた早苗さんへの餞別に。
絆を知り、心を知り、新たな人生を歩む早苗。
さて、これからはどういう出会いをするのか…。…ゆっくりと、考えていきますね。

>時空や空間を翔る程度の能力さん
>早苗さんに吹く心の風は何時までも優しさと労りを持つ東方の風でありますように・・・
「東方Project」と言うゲームで「東」の名を持つ早苗は、きっとこれからも何かと重要なキャラになると思うのですよ。
幻想郷に始まりを告げる風、早苗にはそうなって欲しいと言うのが私の願いでもあります。早苗好きとしても。
37.100名前が無い程度の能力削除
素晴らしいとしか言いようがない
51.100名前が無い程度の能力削除
今更ながらに読ませてもらいました、面白かったです。
52.100名前が無い程度の能力削除
うあああああああああああああ
56.90名前が無い程度の能力削除
面白かったです
最初の不条理劇場からココまで発展するとは