Coolier - 新生・東方創想話

麻雀で決めよう

2008/07/21 21:26:16
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この作品は作品集46・48・49にある「友達のつくりかた」シリーズの設定を使っていますが、読んでいなくても大丈夫です。
アリスは霊夢、魔理沙、妖夢と仲が良いです。魔理沙はアリスについて霊夢にちょっと対抗心を持っています。
途中から麻雀メインになりますが、作中に麻雀の基本解説を書きましたので、麻雀を知らない方は読んでみてください。
イカサマはありません。



 
【博麗神社】

~深夜~

ここ数日暖かい日が続き、幻想郷にもようやく春がやってきた。
春になった記念ということで今日も今日とて宴会が開かれ、神社の境内でいつものごとく大騒ぎ。
もっとも多くの参加者達にとっては、宴会の理由などほとんど気にならない。
多くの酒飲みにとってはうまい酒を楽しい連中と飲めれば、それだけで十分幸せだからだ。

宴も終わって参加者のほとんどが帰り、残っているのは片づけをしている霊夢とそれを手伝っているアリス。
そして最後まで残って御酒を堪能している幽々子とその世話役である妖夢、のんびりと月を見ながら横になっている魔理沙の5人だけとなった。

「ありがとう、アリス。
全く、あいつら騒ぐだけ騒いでろくに片付けしないんだから。
おまけにお賽銭も入れていかないし。
場所代として入れていくのが常識じゃない?」

霊夢は空になったお皿や酒瓶を集めながら軽くため息をつき、アリスに声をかける。
視線の先には愛しのお賽銭箱。
哀しいことに中身はろくに入ってない。
今日の宴会でもお金を入れてくれたのはアリスだけで、他には誰も入れてくれなかった。


「まぁそう言わないで、霊夢。
楽しくみんなでお酒を飲める場所ってそうないじゃない?
みんな感謝しているし、ここを大切な場所だって思っているわよ」

アリスにとっては後片付けも宴会の一部なのか、片付けながら楽しそうに霊夢に答える。
霊夢は、気持ちだけではお腹は一杯にならないぞと思いながらも口に出さない。
アリスが言っていることを信じるわけじゃないが、少なくてもアリス本人はそう思ってくれている。
そういう人がいてくれることは、やっぱり嬉しい。




「そうよ~。料理も御酒も美味しいし、感謝しているわ~」

2人の話を聞いていたのかいないのか、幽々子は御酒を飲みながら上機嫌に言った。

「幽々子、あんたそれならちゃんと行動で示して欲しいわね。
気持ちだけじゃ伝わらないことだって多いのよ?」


霊夢は呆れ顔で幽々子を見つめるが、怒ってはいない。
ここのところ霊夢はずっと上機嫌で、宴会中もにやけていた。
原因はアリスである。

今年に入ってから、アリスはよく神社に遊びに来てくれるようになった。
アリスは必ずお賽銭を入れてくれるし、時にはいろいろな差し入れも持ってきてくれる。
そのおかげで以前に比べれば霊夢の懐はずっと温かい。
差し入れは毎回手作りで、甘いお菓子や野菜の煮物、かやくご飯などレパートリーも豊富だ。
おまけに霊夢の身体のことを考え、重い料理にはゴマやクルミなどの自然の油分を使うなど工夫してくれている。
差し入れは不定期だが、それが余計楽しみとなり、霊夢はすっかりアリスの料理にはまっていた。

もちろん、霊夢は料理だけでなくアリス本人のことも気に入っている。
優しさや思いやりもあるし、一緒にいると落ち着ける。
たいていのことは出来るのに、たまに抜けていて失敗した時の困った表情、恥ずかしそうに赤くなっている時はとてもかわいい。

……べつにアリスに夢中になっているわけではないけれど、もう少し頻繁に来てくれても良いかな、と思う。
アリスの行動順位の中に私(霊夢)がどのくらいにいるのかわからないけれど、そこそこは上の方にいると思う。
一番だと応えきれないかもしれないので、もうちょっと、二つ三つくらいはランクアップしても良いかもしれない。
……そのためにどうしたらいいのか、わからないけれど。

最近気付いたのだが、私は相手にアプローチするのが下手だ。
以前のアリスのように反対のことをいうほど不器用ではないが、自分の気持ちのどのあたりを伝えれば相手が喜んでくれるのかわからない。
差し入れとしてお弁当を作ってきてくれたときに、アリスが「おいしい?」と聞いたので、素直に「おいしいわよ。ありがとうアリス」と答えたら、とても嬉しそうにアリスは笑った。
それはそれで嬉しいのだけれど、私はそれ以上に嬉しそうに笑っているアリスを見たことがない。
つまり、「ありがとう」とか「おいしい」が、私の言葉の中では最高m。
……妖怪相手に弾幕でこらしめている私が言うのも変だけど、もう少し年頃の女の子として気の利いた言葉があると思う。
一応、同じくらい喜んでくれる言葉を知っているけれど、これはもっとひどい。
アリスが来た時に、「いらっしゃい」。帰るときに「また来てね」、この二つ。
神社でのお迎えとお見送り、いつもアリスは笑顔でいっぱいだ。
……でもこれが私の限界。超えられない壁だ。
ようするに、私は言葉で相手に好意を伝えるということが苦手なのだとようやく気付いたのである。

そうなってくると残る好感度アップの方法は一つしかない。行動だ。
言葉が駄目なら身体で伝えろと古い本にも書いてあった。
大丈夫、それは私の得意分野だ。今まで以上に幸せそうなアリスの笑顔を見ることができるはず。

そして今日、アリスはいつもどおり宴会後に残って片づけを手伝ってくれている。
他にも数人残っているが、深夜でほぼ二人きり。誘うには絶好のチャンス。
あまりに強引にすると逃げられた時にまずいので、慎重に機会を窺う。
周りには酒に夢中の主人とその従者、そして月を見ているだけの魔法使い。

霊夢は胸が高鳴るのを感じつつ、何気なくアリスに近付き声をかける。


「あ、そうだ。ねぇ、アリス。
今度手伝って欲しいことがあるんだけど、時間空いてない?」
「え? いいけど、いつかしら?」
「十日後。平気?」

霊夢の表情は明るい。
アリスは自分がこうしてお願いすればほとんど断ったりしないことを知っている。
今のところ新しい人形を作っているとか服の製作をしているという話も聞かない(ちゃんと前に来た時にそれとなく確認した)ので、大丈夫なはず。
完璧な下調べの下ついにアリスと二人で────

「残念だったな。その日は私が先に約束しているんだ」

霊夢の後のほうから魔理沙が笑いながら言った。
ピキっと霊夢の笑顔が凍りつく。
今コイツ何て言った?

「……魔理沙。あんたには聞いてないわよ」

くるりと魔理沙のほうを向くとあら不思議。
さっきまでの笑顔が鬼の表情に変わっていく。
魔理沙の笑い声も乾き、止まる。
事情を説明する魔理沙と納得できない霊夢とで言い争いが始まった。
返事を出来ないまま置いてけぼりのアリスは困ったように二人を見ている。

すると二人が言い争っている後ろで、少し悲しそうに自分を見つめる妖夢と目が合った。

「あら、妖夢。どうしたの?」

アリスは妖夢のそばへやってきて声をかける。

「……あ、その……。実は、私もその日は特別にお休みを頂いていまして。
よろしければ一緒に何かしたいって思っていたんです。
だから、ちょっと残念だなって……」

「え、本当?」

アリスは驚いて幽々子に視線をやる。
妖夢は幽々子の従者である以上、休みというものがないはずだ。

「ふふ、本当よ~。私はその日、ちょっと用事があってね。
一日出掛けることになっているから、せっかくだし妖夢にお休みをあげたの」

幽々子はお酒で頬をほんのり紅くそめながら、いい案でしょ? とアリスに話す。

基本的にいつもそばにいる妖夢を置いて、わざわざ単身幽々子がどこかに出掛けることなどそうない。
何か理由があるのだろうか? と、一瞬勘繰ってしまったアリスだが、まあ事情があるのだろうし深く考えないことにした。


「そうだったの。
そうね、妖夢が自由にこっちに来てくれることなんてそうないもの。
誘ってくれて嬉しいわ。ちょっと待っていてくれる?
あそこで言い合っている2人にちょっとお願いしてくるわね」

アリスはまだ言い合いを続けている霊夢と魔理沙に近寄り、声をかける。
なかなかの雰囲気で、そろそろ弾幕勝負に移りそうな気配であった。

「話し合っているところ悪いけど、その日は妖夢もお休みらしいのよ。
だからね、せっかくだからみんなで───」

「それは駄目よ」
「駄目だぜ」

アリスの提案は言い終える前に拒否されてしまった。
当たり前である。霊夢にとっては勝負をかける時に邪魔が入ってはもともこもない。
魔理沙にとってもその日は久しぶりにアリスと二人で過ごす大事な日なのだ。
妖夢には気の毒だがここは引けない。

「ふふふ。だったら勝負して決めたら?」

さきほどまで御酒を飲んでいた幽々子がやってきて、楽しそうに言う。

「話し合いじゃどうせまとまらないでしょう?
だから、勝った人が決めるの。当然、敗者はそれに従うこと。
ね、これならみんな納得できるわ」

幽々子はまさに名案と、楽しいおもちゃを見つけた子供のように楽しそう。
それを受けて霊夢、魔理沙、妖夢の三人はそれぞれをじっと見据えている。
霊夢は負けることなど考えていないのか、ふーん、と二人を余裕の笑みで見る。
魔理沙は霊夢にだけは負けないと睨み付ける。もちろん霊夢は相手にしない。
妖夢も引き下がる気はないと、厳しい表情。


「ちょ、ちょっとまって。
なんでそんな私が景品みたいに扱われなくちゃいけないの?」
アリスは慌てて反論する。
いくらなんでも勝手にポンポン話を進められるのは困る。

───が、

「大丈夫。勝負するのはアリスも含めて四人よ。
自分の知らないところで勝手に決められるのは嫌でしょう?
アリスが勝てばアリスの好きなようにできるわ」

幽々子が、それならいいでしょう? とアリスの後ろにやってきた。

「……でも、どうやって勝負するのよ?」

アリスは納得いかないながらも話を進める。
幽々子に文句を言ってもどうせここまできたら結局何かしらの勝負をしなければ収まらない。
それなら少しでも自分に有利な勝負方法を選びたい。

「古来より四人での勝負方法と言ったら麻雀に決まっているわ」

麻雀と聞いてアリス、霊夢、魔理沙の三人はもらったとばかりにニヤッと笑う。

「いいわよ」
「いいぜ」
「しょうがないわね」
「……え?」


即答した三人は麻雀にそれぞれ自信があるらしい。
対して妖夢は驚きのあまり一瞬頭が真っ白になりかけた。
妖夢は麻雀をやったことが一度も無いのだ。
ルールもろくに知らない。
以前、幽々子が紫、藍相手に三人で打っていたときに、ああこれが麻雀なのかと見たことがあるだけだ。
当然幽々子はそれを知っているはずなので、なぜ麻雀で勝負をするなどと持ちかけたのか理解できなかった。

妖夢は慌てて幽々子に訂正してもらおうとしたが、とてもそんなことを言える雰囲気ではなかった。
霊夢も魔理沙もアリスもやる気満々で、下手に口出しすると何を言われるかわかったものではない。
幽々子は三人が納得したのを確認し、勝負を八日後に決めた。

幽々子は、あまりのことに意識の抜けている妖夢の手をとり白玉楼へと戻っていった。






【白玉楼】

「ほら妖夢、いつまでそうしているつもり?」

妖夢は白玉楼の玄関まで来てようやく落ち着いてきた頭で、申し訳なさそうに口を開く。

「申し訳ありません、幽々子様。
ですが、無礼を承知でお尋ね致します。
どうして幽々子様は勝負の方法を麻雀にしたのですか?」

不安の混じった、全くわからないといった表情の妖夢。
それに対し幽々子は冷たい、咎めるような視線で妖夢を見つめている。

「妖夢…… 本当にわからないの?」

決して大きくない、けれど頭に、心に響く声だった。
幽々子は怒っている。
それは妖夢が安易に幽々子に答えを求めたからだ。
ショックを受けるのはわかる。
妖夢にとっては滅多にない休みをアリスと過ごすチャンスなのだから、負けたくないのだろう。
しかし、主である幽々子が決めたことにろくに考えもせず納得できないからと答えを聞いてくるようでは駄目だ。
従者としては半人前である。

妖夢は幽々子の言葉から必死に考える。
なぜ幽々子が自分に全く知らないことで勝負を挑むように命じたのか。
よく未熟者と言う私になぜ……  
……ん? 未熟……者?  そうか────

妖夢は答えを出して、じっと幽々子を見る。
その瞳は先程までの不安や困惑ではなく、強い意思が見て取れる。
「あら、わかったみたいね?」
「はい。……私は知らないこと、できないことばかりです。
ですが、それは『今』であって、これからもそうであっていいはずがありません。
幽々子様の従者として、このチャンスを受けます。
そして、勝ちます!」

幽々子はゆっくりと瞳を一度閉じ、今度は笑顔で妖夢を見つめる。
そして妖夢を抱き寄せ、優しく抱きしめた。

「ええ、そうよ……。妖夢、あなたはまだ知らないことも出来ないこともたくさんあるわ。
でもね、誰でも最初はそうなのよ。
大事なのはね、そのときに自分で可能性を信じて前へ一歩踏み出すことなの。
いい、妖夢? あなたは今それを自らの意志で選んだ。……とても大切なことよ」

幽々子は手に力を入れ、妖夢をぎゅっとする。

「……あ、あの。幽々子様……く、苦しいで……」
「っえ?」

胸で圧迫されたせいで呼吸が出来なかったのか、妖夢の顔は赤かった。

「あらあら、ごめんなさい。
さ、そうと決まったら特訓ね♪」
「え?」
「え? じゃないでしょ。いくらなんでも麻雀を一人で覚えるのは大変だわ。
だから、今日から勝負までは私と特訓よ。いいわね?」
「は、はい。幽々子様」

 

こうして妖夢の麻雀の特訓が始まった。


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            『麻雀解説編』

ここからは本編を離れて、麻雀のルール、やり方を幽々子が妖夢に教えていきます。
後半は麻雀の知識、用語を知っていたほうが楽しめると思いますので、あくまで本編を楽しく読むために書きました。
すでに麻雀を知っている方は読み飛ばして頂いても大丈夫です。
全く知らない&よくわからないという方、会話を見てみたいという心優しい方は、よろしければご覧下さい。
出来るだけ、はじめての方がわかりやすいように書いています。
わかりやすくするために、一部説明を省いたり、違うところがあります。
ちなみに漢字も書いていますが、覚える必要は全くありません。
読み仮名、意味だけ知っておいていただけると助かります。
なお、この解説編のみ、数字が算用数字になっています。
それでは、どうぞ。





               【基本ルール編】

    《麻雀牌について》

幽  さて、じゃあこれから麻雀の基礎について教えていくからしっかり聞くのよ。
妖  はい、幽々子様。
幽  まずは、麻雀牌についてね。
    あなたは確か見たことはあったわよね?
妖  はい、何度か。
幽  そう。麻雀はね、牌(ハイ、パイ)という長方形の石を使ってやるゲームよ。
    例えばトランプだったらカードを使うでしょ?
    あれと同じね。

妖  そうなんですか。でも、一言で牌と言っても、いろいろ種類があるんですよね?
幽  そうよ。じゃあ牌の種類について説明するわね。

   


麻雀牌は大きくマンズ(萬子)、ソウズ(索子)、ピンズ(筒子)、ジハイ(字牌)の4つに分けられるわ。 
先にマンズ・ソウズ・ピンズの説明をすると、この三種類はそれぞれ1~9まであるの。

マンズというのは、○萬って書いてある種類の牌の事よ。
例えば 六萬ならマンズの6。九萬ならマンズの9ね。


ソウズというのは、棒の形が書かれた牌のことよ。棒の数がその数字を表しているわ。
牌に棒が6本書かれていればソウズの6。棒が9本ならソウズの9ね。


ピンズというのは、丸の形が書かれた牌のことよ。丸の数がその数字を表しているわ。
牌に丸が一個だけならピンズの1。丸が6個ならピンズの6ね。



妖  わかりやすいですね。
幽  そうね。ただ実際の麻雀牌ではソウズだけちょっと変わってるのよ。
妖  変わっているというのは、どういうことですか?
幽  あのね、ソウズの1は棒が1つじゃなくて、鳥が書かれているのよ。
    そして、ソウズの8は棒がМの形に上下になっているのよ。
妖  そうなのですか。確かに変わっていますね。
幽  でもこの話では鳥なんて文字で書けないから、そのままだけどね。
    実際やるときに確認してくれればすぐにわかるわよ。
妖  わかりました。では、次はジハイについて教えてください。

幽  いいわよ。といっても、ジハイとは読んでそのまま、漢字が書かれた牌のことよ。
   東(トン)南(ナン)西(シャー)北(ペー)
   白(ハク)發(ハツ)中(チュン) の7種類あるわ。
   
妖  なるほど。じゃあ、麻雀牌というのはマンズ、ソウズ、ピンズがそれぞれ1~9、ジハイが7種類で計34(3×9+7)種類あるんですね。

幽  ええ、そうよ。どの牌も4枚ずつあるから、枚数では136(34×4)枚ね。
妖  はい、わかりました。


     《基本のやり方》

幽   それじゃあ、実際のゲームのやり方について説明していくわよ。
妖   はい、よろしくおねがいします。

幽   ちなみに本編ではアルティマという自動卓を使うので、親決めも配牌(はいぱい)も勝手にやってくれるから、それを基準に進めるわね。

妖   えっと、「親決め」と「配牌」って何ですか?
幽   そうね。トランプを例に出すと、ブラックジャックなら2枚、ポーカーなら5枚、ゲームを始める前に全員にカード(手札)を配るでしょう?
妖   はい。そうしないととゲームできませんよね。
幽   そう、麻雀もゲームを始めるときに全員に13枚ずつ牌を配るのよ。
     このことを配牌というの。
     ちなみに、それぞれが持っている牌の事を手牌(てはい)というわ。
妖   なるほど。トランプの札(カード)が牌(ハイ)に変わっただけですね。
幽   そうよ。「親決め」というのは、最初に誰からゲームを始めるのか、ということ。
     今回使用するアルティマでは、ボタンを押すと「親決め」「配牌」とも勝手に機械がやってくれるのよ。
妖   便利ですね。
幽   そうね。じゃあ、次から図を使って説明していくわ。
        
     絵で説明できないから、マンズ、ソウズ、ピンズはそれぞれ漢数字、算用数字、()つきで書いていくわ。ジハイはそのまま漢字ね。

   マンズ   一
   ソウズ   1
   ピンズ  (1)

                               
     三四五 222 567 (7)(8)(9) 中中 



幽   はい。いきなりだけれど、これが麻雀のあがりの例よ。
    3枚セットが4つ。2枚セットが1つ。
     特殊役以外、麻雀の上がりは全てこの形になるわ。

妖   ……なんだかよくわからないです。
幽   ふふ、そうよね。じゃあ1つずつ説明していくわね。
    まず 三四五 のところを見て。
    連続した数字の3枚セットがあるでしょう?
妖   はい。
幽   これをシュンツ(順子)というの。
妖  大富豪(大貧民)の階段みたいですね。
幽  そうね、全く一緒よ。これは同じ種類(マンズ、ソウズ、ピンズ)の連続した数字ならどの組み合わせでもいいわ。
    ただし、1と9は連続した数字と見なしては駄目だから、そこだけは注意してね。
   
    よい例  123  七八九  (4)(5)(6)
    悪い例  九一二  891   

妖   はい、わかりました。
幽   じゃあ、次はそのとなりにある 222 を見て。
    全く同じ牌が3つあるでしょう? これをコーツというの。
    ジハイも含めて、どんな牌でも同じものを3つそろえればいいわ。

例   999 六六六 (3)(3)(3) 白白白  發發發
 
    
シュンツもコーツも3枚セット。このセットのことをメンツ(面子)というの。
例えば、「2メンツ出来た」と言った場合3枚セットが2つ完成したということね。


最後に2枚セットのことなんだけど、これはどの牌でも同じものを2つそろえればいいの。もちろん、ジハイでもいいわ。
この2枚セットのことをアタマっていうの。

  例  四四  11  (2)(2) 東東 西西 北北 中中  


妖   わかりました。
     ただ、ジハイは階段で使えない分マンズ、ソウズ、ピンズに比べて使いにくそうですね。

幽   そうね。でも、ジハイの扱いというのはとても大切なのよ。
    ジハイの扱い方で雀力(麻雀のうまさ)がわかるっていわれるくらいなの。
    そのあたりは役とかいろいろ絡んでくるから、細かいことはまた今度話すわね。
    

妖   はい、わかりました。ところで、今の上がりの形を見ると、3枚セットが4つ、2枚セットが1つで、14枚ありますよね?
     最初に配られる手牌は13枚ではないのですか?

幽   あ、それはね。麻雀は自分の順番になったら配られた13枚に加えて新しく1枚引いてくるのよ。このことを『ツモ』というの。
    このとき引いてきた牌のことを『ツモ牌』というわ。
    そして、14枚の中からいらない牌を1枚捨てて、今度は次の人の順番に行くって流れね。
    ちなみに、ツモ牌をそのまま捨てる(切る)ことをツモ切りっていうわ。
    そして切ることを《打》と表現することがあるの。
    例えば   《打》 『東』   なら東を切った(捨てた)ということよ。
    覚えておいてね。

妖   そうだったんですか。
     しかし覚えることが多いですね。

幽   ふふふ。最初はそう感じるのも無理ないわね。
     じゃあ、具体例としてちょっとやってみましょうか?
妖   あ、はい。お願いします。

幽   麻雀は4人でやるゲームだから、追加で2人入れるわね。


東家(親)  魂魄 妖夢
南家     西行寺 幽々子
西家     バケバケ
北家     毛玉


       
 
                        1枚だけ見えている
                               ↓
           □□□□□□□□□□  □□■□□
           □□□□□□□□□□  □□□□□


幽   あらあら、妖夢が親ね。
妖   えっ? では最初は私の番ですか?
幽   そうよ。さ、1枚とってきなさい。
妖   は、はい。えっと、どこから取ってくれば良いんでしょうか?
     それに、なんであの1枚だけ見えているんですか?
幽   そうね、忘れていたわ。あれはドラ表示牌といって、最初から見えている牌なのよ。
妖   ドラ表示牌?

幽   ええ。あの見えている牌の1つ上の数字の牌をドラ、っていうのよ。
     もっていると、あがったときに点数が高くなるお得な牌のことよ。
     その牌を持っていたら、なるべく捨てないようにしたほうがいいわね。
     細かいことは今度また話すわ。
     ちなみにドラ表示牌が9の場合、9より上の数字はないから、ドラは1になるわ。

     ジハイは 東→南→西→北→東
           白→發→中→白       の順になるわ。具体例を下に書くわね。


  例  ドラ表示牌     ドラ

       一   →   二
       八   →   九
       5   →   6
       9   →   1
       東   →   南
       西   →   北
       北   →   東
       白   →   發
       中   →   白


妖    なるほど。ジハイだけ注意すれば、後は1つ上の数字って覚えれば簡単ですね。
幽    そうよ。では、さっきの続きね。
      一番最初に親の人、つまり今回は妖夢が取ってくるのは、ドラ表示牌の3つ左の牌から取ってくるのよ。

                         ココ
                         ↓
           □□□□□□□□□□  □□■□□□□
           □□□□□□□□□□  □□□□□□□


妖    はい、わかりました。



      妖夢 手牌     ドラ 3 ←(ドラ表示牌は2)
   
    三四五 23344 (3)(4)(7)(7)南  (7)←ツモ牌  


幽    ……妖夢ったらすごい配牌ね。
妖    え? そうなのですか?  
      とりあえず、この中から1枚捨てるんですよね?
幽    え、ええ。そうよ。
妖    じゃあ、これですか?

          妖夢   打  南         
     

幽    はい、じゃあ次は私の番ね。


         幽々子  手牌

   四六八 11123 (7)(8) 西北北  ツモ(9)  打 西

            
   バケバケ、毛玉は省略。


幽  さ、妖夢の番よ。
妖  あ、はい。 なるほど。   

    東家(親)→南家→西家→北家→東家→………
    妖夢→幽々子→バケバケ→毛玉→妖夢→………

    という順番ですね。

幽  そうよ。今回、親の妖夢が2回目のツモよね。
    これを2巡目っていうの。8回目のツモなら8巡目ね。
    ただ、まだやっていないけど鳴きがあったら別よ。
    鳴きについてもまた後でやるわ。

妖  わかりました。


      妖夢   2巡目  手牌

   三四五 23344 (3)(4)(7)(7)(7)  ツモ(5)


妖  あれ? えーと、どれを切ったらいいんでしょう?

幽  うーん、そうね。確かに初めての妖夢にはちょっと難しいわね。
   前にも言ったけど、麻雀は3枚セットのメンツ(シュンツ、コーツ)を4つ。2枚セット(アタマ)を1つ作れば良いのよ。
   どれを切ったら、どの牌が来れば良いのかわかるかしら?

妖  はい。

   
①  2切り
                          上がり牌  上がり牌の残り枚数        
三四五 3344 (3)(4)(5)(7)(7)(7)   3、4    4枚
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
②  3切り

三四五 2344 (3)(4)(5)(7)(7)(7)   1、4    6枚
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  ③  4切り

三四五 2334 (3)(4)(5)(7)(7)(7)   3      2枚
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
④ (7)切り
 
三四五 23344 (3)(4)(5)(7)(7)     2、5    7枚
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


幽  そうよ。よくできたわね。
妖  では、一番上がり枚数の多い(7)を切りますね。
幽  ちょっと待って妖夢。
   今のあなたにまだ教えてないことがあるわ。
妖  何ですか?

幽  今のあなたは後1枚であがりよね?
    この状態のことをテンパイ(聴牌)というのだけれど、自分のツモだけで妖夢はテンパイしたでしょう? 
妖  はい。そうですね。
幽  他人から牌をもらうことを『鳴き』、他人から1度も牌をもらわないことを『メンゼン』(面前)というの。
    メンゼンでテンパイした時にはリーチがかけられるのよ。
   
妖  リーチ……ですか? 

幽  そう。リーチをかけるとあがり牌とアンカン(後で説明)以外は全てツモ切らなければならないわ。
   そのかわり、リーチという役がつくから点が高くなるし、ドラ表示牌の下にある牌も使えるのよ。どうする?

妖   えっと、やめておきます。
    実は覚えることがいっぱいで少し頭の中が整理できていないので………。

幽  そうね、ごめんなさい。ちょっと一気に教えすぎたわね。
   リーチについては後でまた詳しくゆっくりと教えるわ。
   妖夢は(7)切りね。
    次は私の番か。


         幽々子  手牌

 四六八 11123 (7)(8)(9) 北北   ツモ四    ツモ切り
             


幽   ん~、だめねぇ。イーシャンテンだわ。
妖   イーシャンテン……?

幽   ようするに、テンパイまで後何枚必要かってことよ。
     ほら、私の手牌は後1枚でテンパイ(上がりまで後1枚の状態)でしょ?
     テンパイまで後1枚ならイーシャンテン(一向聴)。
     テンパイまで後2枚ならリャンシャンテン(二向聴)。
     テンパイまで後3枚ならサンシャンテン(三向聴)ね。


バケバケ・毛玉  省略
   

         妖夢    

三四五 23344 (3)(4)(5)(7)(7)  ツモ 2   あがり

妖   あ、できました。これであがりですね。
幽   そうよ~。それにしても3巡目でこの手はすごいわね。
妖   そうなんですか?
幽   妖夢にはまだ役とか点数計算を教えていないから、わからないのも無理ないわ。
     でも、4人が順番にあがりの形を目指していくのは少しわかったんじゃないかしら?
    
妖   そうですね。何となく、ですけど。

幽    十分よ。
     麻雀は1人あがった時点でゲームは終わりよ。
     この1回のゲームのことを麻雀では一局(イッキョク)というの。
     さっ、一旦休憩にしましょう。
     お腹も空いたしね。

妖    はい。わかりました、幽々子様。


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【本編】



         アリス邸

「霊夢……」

アリスは神社から帰ってきてすぐにシャワーを浴びると、そのままベッドに横になり、霊夢とのことを思い出していた。

アリスはここのところ博麗神社へお参りすることが多くなった。御弁当を持って行き、霊夢と一緒に食べることもよくある。
それほど表情は変わらないけれど、あのほんの少し見せてくれる霊夢の喜びや笑顔がたまらなく可愛いと思う。
確かに霊夢は器用で何でもすぐにできるようになるけれど、このまま料理だけは私の方が上手でいたい。

お弁当を食べている時の霊夢はとても素直だし、年相応と言うかむしろ若干幼く見える。
あの無防備な顔を見ることが出来るのも、「おいしい」と言ってくれるときの笑顔も、私だけのものしておきたい、なんて思ってしまう。
もちろんそんなことは言えないから、いつも霊夢のお礼を私の中の最高の笑顔でこたえて、心の中に仕舞っている。

ご飯を食べる時以外では、私と霊夢は一緒にいてもおしゃべりすることはそれほど多くない。
2人で一緒に並んで座り、暖かな日差しと霊夢が入れてくれたお茶を飲みながら、ゆったりとその時間を楽しんでいる。
私にとってはこれがとても心地よいのだ。

霊夢は他の妖怪達からも人気があって、神社には誰かしら先客がいたり、お茶を飲んでいる時に訪れてくることもある。
そんな時は2人っきりの会話とは違う会話を楽しむことが出来るのだけれど、霊夢はそうなると少し、私には凛々しく見えるのだ。
どこがと言われても、言葉使いも表情も2人っきりの時と大差なく、言葉にするのは難しい。
雰囲気が、ほん少しだけ違うような気がするだけなのだから。
もっとも私は…… こんなことは誰にも言えないけれど───
2人っきりのあの雰囲気が、一番好きだ。

「霊夢……」

私が感じている幸せを、彼女も感じてくれているだろうか?
どうかこれからも、笑っていて欲しい。
私は、博麗 霊夢の笑顔が大好きだから。


「魔理沙、妖夢……」

2人とも、私の大切な人。
今回は勝負事になったけれど、霊夢も含めて仲は良いから心配はいらない。
私は私の願い事、4人での1日を過ごすために牌を握る。


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     《麻雀の勝ち負けについて》


幽   さ。休憩も取ったし、しっかり教えていくわよ。
妖   はい、お願いします。
幽   遅くなったけれど、麻雀の勝ち、負けについて説明するわね。
     さっき、一局試しにやってみて妖夢があがったでしょう?

妖   はい。メンツ4つ。アタマ1つの形を作りました。
幽   そうよね。基本的に、麻雀は4人でやるゲームだけど、一局であがるのは1人。
     つまり、勝者1人に対して3人の敗者がいるのよ。
妖   単純に考えたら、あがれる確率は4分の1ですか。
     さっきは一局だけやりましたけれど、実際は何局で1ゲームになるんですか?

幽   そうね、麻雀は東→南→西→北と順番に親を交代しながら進めていくの。
     さっきの妖夢みたいに、親があがった場合はもう1度親が出来るわ。
     親以外の3人のことを『子』(コ)というのだけれど、子があがった場合(親以外があがった場合)は次の人に親がいくの。
     一度全員に親が回ったら、また東→南→西→北と進めていって、2回全員が親をやったらゲーム終了よ。
     さっきの例で言えばこんな感じね。  

     妖夢→幽々子→バケバケ→毛玉→妖夢→幽々子→バケバケ→毛玉

    この1ゲームのことを半荘(ハンチャン)というの。
    

妖   2回りで1区切りなんですね。
     親を2回やることになるみたいですけど、1回目と2回目って何か違いはあるのですか?

幽   む、するどいわね妖夢。もちろん全く同じではないわよ。
     1回目の親の時を東場(とんば)、2回目の親の時を南場(なんば)といって、少し違うわ。
     細かいことはこの後の《役について》でやるのでここでは省略するわ。
     それとね、東場、南場だけじゃなくて何人目の親なのかというのも言い方があるの。
     例えばそうね、さっきの例でいくと。



妖夢→幽々子→バケバケ→毛玉→→妖夢→幽々子→バケバケ→毛玉
    
 東   東     東    東    南   南     南     南 
 一   二     三    四    一   二     三     四 
 局   局     局    局    局   局     局     局 



幽    例えばこの例でいくと、私の親の順番は2人目でしょう?
      1回目の親の時だったら、東二局。
      2回目の親の時だったら、南二局。

    毛玉の親の順番は4人目だから、1回目の親の時は東四局。
     2回目の親の時は南四局。
     南四局は最後だから、『オーラス』ともいうわ。
     南三局はオーラスの前だから、『ラス前』。
     特殊な言い方だけれど、覚えておいてね。

妖   はい、わかりました。
    ですがこれだと結局どうやって勝ち負けを決めるのですか?
    あがった回数ですか?

幽   残念ながら違うわ、妖夢。
     ゲーム終了時に持っている『点棒』で決めるの。
     点棒は簡単に言うと得点のことよ。
    一番多く持っていた人が1着。
    次が二着、三着と続いて、1番点棒の少ない人が四着(ラス)よ。

妖   一着、二着って徒競走みたいですね……

幽   ん~、言われてみればそうかも。
    まぁ、そういうわけだからあがる回数よりも、いかに高い得点であがって、点棒をたくさん集めるかが勝負なのよ。
妖   はい。では、どうやってあがった時の得点を決めるのですか?

幽   それは『役』(やく)と『符』(ふ)によって決まるわ。
     今日は役について教えていくから、しっかりついてくるのよ。

妖   はい、幽々子様。



                 《役について》

    <シュンツ系>

幽   役(やく)、とは簡単に言うと決められた形のことよ。  
    あがった時にその決められた形になっていれば、役がつくの。
    数え方は1ハン、2ハンと『ハン』で数えるわ。
    当然、難しい形ほどハン(得点)は多くなるの。
    いくつかパターンがあるけれど、まずはシュンツ系から教えるわね。
    図で説明しながらやるから、わからなかったら言うのよ?

妖   はい。
  


ハン    役の名前                 例
(得点)

1     『イーペーコウ:イーペー』    223344 → 234 + 234
      『一盃口』               778899 → 789 + 789
 

妖  あ、これは……
幽  そう。さっき妖夢が作ったわよね? 全く同じシュンツを2つ作るの。
    マンズ、ピンズ、ソウズの1~9までどれを使っても良いわ。
妖  作りやすそうですね。
幽  そうね。作りやすいけれど、ちょっと注意も必要よ。

    例えば  22334  → 234 + 23    待ち 1、4

    これみたいに片方(この場合4)だと役が出来るけれど、もう片方の1がきたら、役がつかないでしょう?



         4がきた場合         1がきた場合
         223344           122334


妖   あ、そうですね。
幽   逆に、こんなとき   22344  → 234 +2 4   待ち 3
     待ちは3の一種類しかないけれど、確実にイーペーコーがつくわ。
     もっとも、あがれなければ意味がないからね。
     役を含んだ戦略については後でまた話すわ。
     ただ、知識としては知っておいてね。
     形としては覚えやすいでしょ?
妖   はい。


ハン   役の名前     短く言う場合               例


2  『サンショクドウジュン:サンショク』     二三四   234  (2)(3)(4)
     『三色同順』                六七八   678  (6)(7)(8)


3  『リャンペーコー:リャンペー』     334455 五五六六七七 →イーペーコーを2つ。
      『二盃口』          112233 667788  


2  『イッキツウカン:イッツー』     123456789 →123+456+789
   『一気通貫』       122334456789 →234+123+456+789



幽   サンショクはマンズ、ソーズ、ピンズの同じ数字のシュンツをそろえる役。
    リャンペーコーはイーペーコーを2つ。
    イッツーは123、456、789の3つのシュンツをそろえる役よ。
    リャンペーはともかく、サンショク、イッツーは狙っていきやすい役よ。
    特にサンショクは重要ね。

妖   作りやすいのですか?
幽   それもあるけれど、他の役と複合させやすいのよ。
妖   複合?
幽   そう。例えばこれをみて。


     一二三  112233 (1)(2)(3) (5)(5)   

幽    サンショク、イーペーコウでそれぞれ2+1で3ハンよ。
      特定の形さえ作れば、麻雀の役というのは合わせていいのよ。
      まだ説明していないけれど、他の作りやすい役とも複合させやすいから、サンショクは大事だって言ったの。
    
妖   そうだったのですか。確かに合わせていいなら、重なりやすい役は重要ですね。

幽   そうよ。よく理解できたわね~。えらいわよ、妖夢♪
妖   あ、頭をなでないで下さいよぉ。
幽   あら、嫌? 昔は嬉しそうにしてたのに~。
妖   そ、そんなことないですよ。ただ、少し恥ずかしくて……。

幽   あらあら、照れること無いのに~~。
妖   うう、ですが……。
幽   ふふふ。頭を真っ赤にしちゃって、かわいいわね~。
     ほらほらほら♪
妖   んん……ん。く、苦しいですよ、幽々子様。
     はぁ…… あ、続きをお願いします。
幽   あらぁ、大胆ね、妖夢ったら。
妖   ……ち、ちがいます。麻雀のことですよ、麻雀の。
幽   ふふふ、わかってるわよ。



      《鳴きについて》


幽   それでは今までも何回か出てきたけど『鳴き』について教えるわね。
     鳴きっていうのは、他人の捨て牌から欲しい牌をもらうことよ。
     もちろん何でももらえるわけじゃなくて、ルールがあるわ。
     鳴きには『チー』、『ポン』、『カン』の3種類があるの。
     シュンツを作りたい時はチー、コーツを作りたいときはポン、カンツを作りたいときはカンね。
     まずはチーから説明するわね。
     チーは自分の前の捨てた人からしかできないのよ。



例                      切る人      鳴ける人
東家(親)  魂魄 妖夢          妖夢    →   幽々子
南家     西行寺 幽々子       幽々子   →   バケバケ
西家     バケバケ            バケバケ   →   毛玉
北家     毛玉             毛玉     →   妖夢




     妖夢   打  四


           幽々子

   三五六七八  234  67 (3)(3)(4)    四チー   打(4)

            ↓
           幽々子   

    六七八   234  67  (3)(3)   “四”三五   待ち 5、8


幽   ちなみに“”は、鳴いた牌を表しているわ。
     鳴くと人の捨て牌をもらって14枚になるから、いらない牌を1枚切って13枚にするの。
     どう? わかったかしら?

妖   はい。チーで鳴けるのは自分の前に切った人の捨て牌だけですね。
     わかりました。



幽   次は『ポン』よ。これはチーと違って、誰からでも出来るわ。
     自分の持っているトイツ(2枚セット、アタマと同じ)をコーツにしたいときに有効よ。


    例        バケバケ  打   東


             幽々子

      222 45 789 東東 白白 中    東 ポン   打 中
                
               ↓
      222 45 789 白白    東東“東”     待ち 3、6



幽   例ではジハイの東を鳴いているけど、もちろんマンズやソーズ、ピンズでも鳴けるわよ。
     ちなみに、鳴いて作ったコーツのことを『ミンコー』、自分で3枚集めたコーツのことを『アンコー』というわ。
     見えやすいように、鳴いた牌はチーの時と同じように“”にしてあるわ。“”の位置にも意味があるから教えておくわね。
    


     “東”東東             東“東”東           東東“東”
  自分の前の人から鳴いた     対面から鳴いた      自分の次の人から鳴いた

幽   “”の位置によって、誰から鳴いたのかわかるの。
    対面(トイメン)は東家から見ると西家、南家から見ると北家のことよ。

妖   トイツの牌をコーツにしたいときはポン。そして誰からでも鳴ける……か。
    便利ですね。

幽   そうよ。鳴くべき時に鳴かないとあがりを見逃してしまうわ。
    あ、それと1つ注意があるの。
    チーとポンが同時にかかった時はポンが優先だから、覚えておいてね。

妖   チーとポンが同時……ですか?
幽   そうよ。


例          毛玉   打  8


            妖夢

  二三四四四   34567  (3)(4)(4)


            幽々子

  六六六  八八九  333 88  (1)(1)


幽   妖夢は678のシュンツ。私は888のコーツを作りたいとするでしょう?
     この時に1番優先するのは発声よ。どっちが早くチー、ポンと声を出したのか。
     もし声を出したのが同時だったらポンが優先。つまり私がコーツを作れるわ。

妖   はい、わかりました。
    
幽   最後は『カン』ね。カンには3パターンあるのよ。
     最初に麻雀牌は4枚ずつあるって話したでしょう?
     自分で4枚持っている時、自分で3枚持っていて4枚目が捨てられた時、ミンコーの(ポンした)牌を持ってきた時カンをすることで、
    4枚のセットを作ることが出来るの。
     自分で4枚持っているときは『暗カン』(アンカン)。
     3枚持っていて、鳴いてカンをするときは『明カン』(ミンカン)。
     ミンコーからカンをするときは『加カン』(カカン)というのよ。




例       
     自分で4枚集めたとき   

     三四五六七  23455 9999   カン    9999


     捨て牌からカンするとき      打  9

 三四五六七  23455 999    カン “9”999


     ミンコーからカンをするとき   
 
 三四五六七  23455  99“9”   ツモ9  カン  99“9”“9”



幽    カンをした時は、ワンパイ(王牌)から1枚引いてきて、いらない牌を1枚切るの。
妖    ワンパイ?
幽    そうよ。ドラ表示牌の2枚左の牌よ。

 
                                ココ
                                ↓
           □□□□□□□□□□  □□■□□
           □□□□□□□□□□  □□□□□


幽     そしてここが重要なんだけど、カンをすると1枚ドラが増えるのよ。
妖     え? そうなんですか?
幽     そうよ。新しいドラ表示牌は右隣の牌になるわ。


                                ココ
                                ↓
          □□□□□□□□□□  □□■■□
          □□□□□□□□□□  □□□□□



妖    なんだかドラが増えるのって怖いですね。高い手になりそうで。
幽    そうね~。必ずドラが乗るとは限らないけれど、高くなる可能性はあるわね。
      特にリーチに対して牌を切りにくくなるし。
      ともかく鳴きの3種類。『チー』、『ポン』、『カン』は絶対に覚えておくのよ。
妖    はい。わかりました、幽々子様。




<コーツ系>

幽    鳴きも覚えたことだし、シュンツ系の役を覚えたら今度はコーツ系よ。
      数は少ないし、シュンツ系と一緒で覚えやすいものばかりよ。


ハン     役の名前                例

2    『トイトイホー:トイトイ』   111 333 東東  “九”九九 “南”南南 
   『対々和』

2     『サンショクドーコー』   一一一 345 77 (1)(1)(1)  1“1”1
      『三色同刻』

2     『サンアンコー 』       四五六  111 333  東東東 白白 
      『三暗刻』

役満  『スーアンコー』       九九九 333 888 白白白  南南
     『四暗刻』

  
幽    トイトイは4メンツ全てをコーツにする役よ。鳴いてもいいわ。
     サンショクドーコーはマンズ、ピンズ、ソーズの全て同じ数字のコーツを作ればいいの。
    鳴いても良いけれど、作りにくいわね。
     サンアンコーは名前のとおり、アンコーを3つ作ればいいわ。
     残りの1メンツはシュンツでもいいのだけれど、かなり難しい役よ。
    
妖    そうですね、同じ牌は4枚しかありませんから、そのうち3枚を集めるのは厳しそうです。
幽    そうね。そして、コーツ系の最後は四暗刻。
     鳴かずに3枚の牌を重ねて、暗刻を4つ作るの。
     この役は役満といって、役の最高峰。一番難しい形の中のひとつよ。
妖    はぁ……。ですが、これはトイトイを鳴かずに作っただけですよね?
      1つ鳴くか鳴かないかで、全然扱いが違うのですね。
幽    そうよ。妖夢も実際にやってみればわかるわ。
  
妖    はい、わかりました。
幽    うん、いい返事よ。次は染め手ね。
     とりあえず、コーツ系はこれで全部よ。しっかり覚えたわね?



ハン   役の名前             例

3    『ホンイツ』    222 345 678 99  東東東
     『混一色』    

6    『チンイツ』    一一 二三四 四五六 七七七 九九九
     『清一色』 
 

幽  染め手はこの2つだけよ。
    手牌の全てをマンズ・ピンズ・ソーズのどれか1つだけで作るのがチンイツ。
    ジハイも混じっているのがホンイツよ。
    ホンイツは3ハン、チンイツは6ハンね。

妖  やっぱり、ジハイを使ってよいホンイツのほうが簡単なんですね。
    それにしても、6ハンとは今までの役(役満以外)の中では一番高いですね。
    そんなに難しいのですか?
    トランプでいう、フラッシュですよね?

幽  そうね。出来る時は結構簡単にあがれるけれど、なかなか難しいのよ。
    妖夢、例えば1枚山から引いてきた時、マンズを引く確率はどのくらいかしら?

妖  え? えっと…… 大体4分の1ぐらいですか?
幽  そうね。麻雀牌は34種類、そのうち9種類がマンズだからそれぐらいよ。
    つまり、確立の上では4回のツモで1枚のマンズを引けるということね。
    けれど、それは正しくもあり、間違いでもあるの。
妖  どういうことですか?
幽  いい? 実際の麻雀でマンズを3枚、4枚連続で引くことなんてよくあることよ。
   逆に配牌から10回ツモって、1枚も引いてこれない時もあるの。
    配牌だってそう。
   13枚の内、マンズ、ピンズ、ソーズ、ジハイが同じ割合で入ってこないのよ。
    確立というのは麻雀の1つの要素だけれど、それだけで不十分なの。

妖  で、ではいったいなにが────

    妖夢は口を閉じる。
    幽々子の目は咎めるように妖夢を見てはいなかったが、哀しそうだった。
    一番大事なところ、それは理論や方程式ではなく、本質に触れる何か。
    まだ麻雀というゲームを始めたばかり妖夢でも気付く。
    その答えを見つけるのは、今の自分では早すぎるのだと。

   それは、大切な何かを孕んだ卵のようなもので、殻付きの今からじっくりと暖めていかなければいけないものだと思った。
   幽々子様はきっともう、その中身を見たのだろうけれど、これからこの卵を幽々子様と一緒に育てていく私としては、
   宝石のような大切なものを授かった気がした。
   
   何も言わずこくりとうなずき、微笑みかけてくれる幽々子。
   その優しさと、愛情を受けて、ぺこっとお辞儀して微笑み返す。
   2人にはそれで十分だった。
   
   妖夢はお茶を入れに行き、本日2回目の休憩に入った。



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【本編】


【霧雨邸】


「あ~~、なにやってるんだ、私は!」

宴会から帰って、家に着くとすぐに横になったが、霊夢の顔が出てきて眠れない。
しかたなく睡眠を諦め台所へ向かう。
コップに水を注ぎ、ごくっ、ごくっと一気に飲み干した。
「ふぅ。……思ったより、酔っていたんだな」
先ほどのまでの身体の熱さが引いていき、心地よい風が窓から入ってくる。
空になったコップを置き、椅子をひいてどかっと腰を下ろす。
魔理沙はほどよい眠気を感じながら、窓からぼうっと月を見た。

「本当、私らしくないぜ……」

夜中にゆっくりと月をみることなど今までろくになかった。
周りにも目を向けるようになったわけではない、正面から目をそらしているだけだ。
霊夢とアリスと私(霧雨 魔理沙)、この関係はこれからも続いていけるのだろうか?
変わらないままなのか、変えられないものなのか。
私はこの先も笑っていられるのだろうか?

「……なりゆきに任せるなんて、我慢できない。
私が私のやりたいように変えてやる!」

ガタンと椅子から立ち上がり、部屋の奥に仕舞われた牌を取り出す。

「霊夢には負けない!
アリスにも、妖夢にも……」

ほんの少しの焦燥感。
自分が自分であるために、魔理沙は牌に手を伸ばした。



***************************************
***************************************


幽   さぁ、【役】の途中だったわね。
    一気に残りをやっていくから、しっかりついてくるのよ?
妖   はい、幽々子様。
幽   シュンツ系、コーツ系、染め手ときて、次はチャンタ系よ。


ハン    役名               あがり例

2    『チャンタ』         一二三 七八九 123 789 北北
 
3    『ジュンチャン』      一一一 七八九 111 123 (9)(9)


幽    ジュンチャンはアタマ(2枚セット)と4メンツ(3枚セット)全てに1、9牌を含んだ形のことよ。
     
例    良い例   123  111 789  (1)(1)
      悪い例   234  678 888  22

      チャンタは1、9牌を含んだ形とジハイで作った形のこと。
妖    なるほど。端の1、9を使ったメンツを作ればいいのですね?
幽    そうよ。チャンタ系はこの2種類だけなの。わかったかしら?
妖    はい、大丈夫です。

幽    ふふ、それでは次ね。



ハン    役名               あがり例

1    『タンヤオ』       二三四 五六七 八八 234 456  

幽    タンヤオはチャンタと逆で、2~8のマンズ、ピンズ、ソーズを使って作るの。
     とても作りやすいうえに、他の役とも複合しやすいわ。
     続いて『役牌』(やくはい)よ。
     役牌とは、簡単に言うと3枚集めると(コーツにすると)1ハンになる牌のことよ。
     これはちょっと複雑だから、よく聞いてね。
     まず、絶対に3枚集めたら役牌になる牌は次の3つよ。

         白白白 發發發 中中中 

妖    ああ、これはジハイですね。
幽    そうよ。実はね、ジハイは三元牌(サンゲンパイ)と風牌(カゼハイ)の2つに分けられるのよ。
      三元牌は白、發、中。風牌は東、南、西、北の4つね。
      大事なのは、白、發、中は必ず役牌になるけれど、東、南、西、北は役牌になる時と、ならない時があるということ。
妖    なるほど、扱いが少し違うのですね。
幽    そうよ。どんな時に役牌になるのか、さっきの例を使って説明するわね。



親   妖夢→幽々子→バケバケ→毛玉→→妖夢→幽々子→バケバケ→毛玉
     
     東    東    東     東    南    南    南     南 
     一    二    三     四    一    二    三     四 
     局    局    局     局    局    局    局     局 




幽   例えば、スタートの東一局。

  親  東家(トンチャ)   妖夢
      南家(ナンチャ)    幽々子
      西家(シャーチャ)  バケバケ
      北家(ペーチャ )  毛玉

幽    このように、親の人から順番に、子でもそれぞれ南家、西家、北家と割り振られるの。
     このとき、妖夢なら東、私(幽々子)なら南、バケバケなら西、毛玉なら北がそれぞれ役牌になるの。


幽   ゲームが進んで、東三局になったとすると

  親  東家(トンチャ)    バケバケ
      南家(ナンチャ)   毛玉
      西家(シャーチャ)  妖夢
      北家(ペーチャ)   幽々子
 
     妖夢の役牌は西、私の役牌が北になるの。

妖   わかりました。つまり、ゲームが進むたびに自分が東家、南家と変わっていくため、役牌もかわっていくんですね?

幽   そうよ。これを『自風』(ジカゼ)というの。
     そして、こっちはとっても簡単なんだけれど、『場風』(バカゼ)というのもあるの。
     スタートから4人が親を終えるまでの東一局~東四局を『東場』(トンバ)、
    南一局~南四局のことを『南場』(ナンバ)といって、それぞれ東と南が役牌になるの。

    例えば、南二局。
 
親    東家(トンチャ)    幽々子
     南家(ナンチャ)    バケバケ
     西家(シャーチャ)  毛玉
     北家(ペーチャ)   妖夢

     私(幽々子)は、東家で、今は南場だから『東』と『南』が役牌。
     妖夢は北家で、南場だから『北』『南』が役牌になるの。

妖    なるほど。あれ? でも、この場合バケバケは南家で南場だから、役牌は『南』だけですよね? 
    1人だけ不利じゃないですか?

幽    はい、よく気付きました。
     ジカゼとバカゼが一緒のバケバケは確かに役牌は南だけよ。
      でも、そのかわり南をコーツにしたら2ハン、つまり倍になるの。
      これを『ダブ南』(ダブナン)というの。
     これはもちろん、東場でもあるわ。

      スタートの東一局。

親    東家(トンチャ)    妖夢
     南家(ナンチャ)    幽々子
     西家(シャーチャ)  バケバケ
     北家(ペーチャ)   毛玉
  

     妖夢はバカゼもジカゼも東だから、『ダブ東』(ダブトン)よ。

妖    はい。バカゼとジカゼを覚えて、同じ場合は2ハンもられるんですね。
      わかりました。



幽   では次、『ピンフ』よ。


     『ピンフ』   三四  六七八 123  567   99    二、五 待ち
     『平和』    六七  234  456  789  北北   五、八 待ち


    これはいくつか条件があるから良く聞いてね。
    まず、メンツは全てシュンツであり、最後のテンパイが『リャンメン』であること。
    そして、アタマが役牌以外であること。
    この3つが条件よ。

妖   役牌以外、ということは当然マンズ、ピンズ、ソーズでもいいんですか?
幽   ええ、そうよ。
妖   はい、わかりました。ですが、1つ教えてください。リャンメンってなんですか?

幽   ごめんなさい、まだ教えていなかったわね。
    テンパイの形の名前よ。
    麻雀には基本的に、5つのテンパイの形があるの。     
                                         あがり牌の枚数
                                              ↓
単騎待ち     一一一  九  111222 345 あがり牌  九     3枚

ペンチャン待ち  一一一 八九 111222 345 あがり牌  七     4枚
   
カンチャン待ち  一一一 七九 111222 345 あがり牌  八     4枚

シャンポン待ち  一一  九九 111222 345 あがり牌  一、九   4枚
(シャボ)

リャンメン待ち  一一一 七八 111222 345 あがり牌  六、九  8枚

     
     リャンメン待ちは基本の5つの中では一番良い形なの。
     あがり牌が他に比べて多いから、あがりやすいのよ。

妖   はい、よくわかりました。

幽   それじゃあ、次ね。

ハン    役名               あがり例

2   『チートイツ』   一一 二二 四四 88 99 白白 中
 

     チートイツはトイツ(2枚セット、アタマと同じ)を7つ作る役よ。
     シュンツやコーツなどのメンツを作らない特殊な役ね。
     ちなみにテンパイ時は絶対に単騎待ちになるわ。

妖   はい、2枚セットが多い時に狙う役ですね。わかりました。
     



      『メンゼンツモ』
  
      『リーチ』


幽    この2つは特に決まったあがりの形は無いの。
     メンゼンツモは、その名のとおり鳴かずにメンゼンでツモあがりした時につく役のこと。
     リーチはメンゼンでテンパイしたときに、千点を出すの。
     それだけで役がつくし、ドラ表示牌の下の裏ドラも使える便利な役よ。ただし、制約もあるわ。
     リーチをしたら、あがり牌以外をツモってきたら、捨てなければならないの。
     待ちを変えたり、危険だからといって、手牌と入れ替えられなくなるわ。
     唯一の例外は暗カン。ただし、これも形を変えたり、待ちを変えるカンは駄目なの。

例    三三三  五六七 八八 34567   ツモ 三  カンできる
     二二二  五六六六   234567   ツモ 六  カンできない

                     カンの前       四、五、七 待ち
                     カンした場合       五    待ち



妖     覚えなくてはいけないことが多いですね。
      リーチは便利だけれど、気をつけないといけない点も多いのですね。

幽     ええ、そうよ。
      待ちが変わらなくても、カン出来ないケースもあるのだけれど、それは又今度教えるわ。

妖     はい。今は少し、余裕がありませんから。

      妖夢はくすっとかわいらしく頷いた。
      一度に教えているから、かなりいっぱいいっぱいのはずだが、よく幽々子についてきている。
   

幽     じゃあ、もうちょっとよ。
       いい? 今まで教えてきた役のハン数(得点)は全て面前の時のものよ。
       鳴いた時にハン数が変わらないものもあるけれど、1つ下がってしまうものや、役が成立しなくなるものもあるの。
       これからまとめて教えるから、しっかりついてきなさい。
  
妖     はい、幽々子様。

  

       鳴いてもハン数が変わらない役

       タンヤオ、トイトイ、サンショクドウコウ、サンアンコウ、役牌


       鳴くと1ハン下がってしまう役
 
       サンショク、イッツー、ホンイツ、チンイツ


       鳴くと役が成立しない(得点にならない)役

       ピンフ、イーペーコウ、リャンペーコウ


幽   最後に得点について教えるわね。
    本当は【符】についてもやらなければならないのだけれど、今日は簡単に説明するわね。
 
    親はあがったときは子の1.5倍多く点捧をもらえるけれど、子がツモあがりした時は子の倍払わなくてはいけないの。
    点数はハン数と符によって決まるけれど、一定以上はマンガン、ハネマン、倍満、三倍満、役満ときりの良い払いに なるわ。

    マンガン(4ハン)の8000を基準に、ハネマン(6ハン)は1.5倍。
    倍満は(8ハン)2倍。三倍満(11ハン)は3倍。
    役満(13ハン)は4倍よ。




                   子               親
   *マンガン(4ハン)     8000点       12000点
     ハネマン(6ハン)    12000点       18000点
    倍満  (8ハン)     16000点       24000点
     三倍満 (11ハン)   24000点       36000点 
     役満  (13ハン)   32000点       48000点
  
                                       
    *ただし、ピンフでツモあがりの4ハンの場合、子で5200点、親で7800点になります。
      チートイツであがった場合、4ハンは子で6400点、親で9600点になります。


例   子がマンガンをツモあがりした場合   

     親 4000払い
     子 2000払い
     子 2000払い
                                   

幽   はい、今日の特訓はここまでよ。
     よくがんばったわね、お疲れ様。

妖   はい、ありがとうございます、幽々子様




      ☆説明できなかった役一覧☆

1ハン
・一発(イッパツ)   リーチ後、一巡の間にあがること。鳴きが入ると無効。
・リンシャンカイホウ  カンをした後のリンシャン牌であがること。
・チャンカン      加カンであがること。
・ハイテイ       最後の牌であがること。

2ハン
・三カンツ       カンを3回してあがること。
・ダブリー       一巡目でリーチをすること。ただし、自分のツモの前に鳴きが入った場合、ただのリーチになってしまう。
・ショウサンゲン   白、發、中のうち2つをコーツ、1つをアタマにしてあがること。
            役牌のハン数も入れると、実質4ハン役。
・ホンロー       1、9牌とジハイだけで作る役。トイトイかチートイツの形になる。

マンガン
・レンホー       子が第一ツモの前に、人の捨て牌でロンすること。
             鳴きが入った場合無効。ローカル・ルールで取り決めが違うことも多い。
 
役満         たくさんあるので、興味のある方は調べてみてください。


      ☆知っておきたい麻雀用語☆     

・河(ほう)       捨てた牌を並べておく場所のこと。
・二鳴き(になき)   例えば發を2枚持っているときに、河捨てられた1枚目の發を鳴かず、2枚目で鳴くこと。
・放銃(ホウジュウ)  自分の切った牌でロンされること。この場合ツモと違い、1人で点数分全て負担して相手に払う。   
・ションパイ       河に1枚も出ていない牌のこと。終盤、特にジハイは誰か他の人が持っている場合が多く、危険である。
・ラス○         4枚目(最後)の牌のこと。例えばラス3なら4枚目の3のこと。     

・親っかぶり      親番のときに、子に大きな手をツモられること。
・連荘(れんちゃん)  親があがること。親はあがるればもう一度親が出来る。
・流局         誰もあがることなく山(ツモる牌)がなくなってしまった場合、次の局に進む。このこと。
・ノーテン罰符    流局した時に、テンパイしていなければ、テンパイしている人に点数を払うこと。
・一本場       親が連荘するか、流局した時、1回につき300点あがった時の点数が増える。
             例えば親が4回連荘した時、子供がマンガンをあがった場合、9200(8000+300×4)になる。

・死にメンツ      なかなか完成しない、早い段階からある面子の元(56など)のこと。  
・カラ、純カラ     あがり牌、有効牌が山に1枚もないこと。
・有効牌       自分の手牌に必要な牌のこと。
・ダマ          テンパイしてもリーチをかけないこと。テンパイしていることを知られたくない場合、手代わりがある場合に多い。
・高め         あがり牌が2種類以上あって、あがり牌によって点数が変わる場合。


 例   三四五 六七八 45 66 (3)(4)(5)  テンパイ 3、6 待ち  

      この場合、3の場合にサンショク(345)がつくので、3を高めという。逆に6を安めという。      
           

***************************************
***************************************










【本編】







そして当日───





【博麗神社】


「さあ、みんな準備はいいかしら?」

「ちょっと幽々子。あんたはともかく、なんでこいつがいるのよ」

霊夢の視線の先には犬走 椛がやや緊張しながらも、笑顔で立っていた。

「あ、どうもお久しぶりです」

椛はぺこりと礼儀正しくお辞儀をする。

「あらあら、そんな言い方しなくたっていいじゃない?
紫に道具を借りに行った時にね、一応監視役として来てくれないかって頼んだのよ。
紫ったらまだ眠いって、代わりに彼女を紹介してくれたの。
この子はとっても目が良いから監視役(イカサマ防止)としては適役だわ」

「ふーん。それで文はどうしたの?
あいつがこういうイベントに首突っ込まないなんて珍しいじゃない?」

「文様は私の勉強にもなるからと、私に一任してくれたんです。
ですから私は監視役だけでなく取材もかねているんですよ。
皆さんの手牌は全てカメラで別室の方から見させてもらいます」

椛はそういうと、勝負の対局室から離れた一室を指差した。
対局室は霊夢特製の結界が張られており、邪魔者が入って来れないようになっている。
もちろん防音対策もなされているので、他の部屋でいくら騒いでも安心だ。

椛の話を聞いていた霊夢・魔理沙・アリス・妖夢の四人は頷き、静かに対局室へと入っていった。
四人が四人とも、邪魔されずに打てれば良い程度に考えていた。
すでに意識はこれから始まる麻雀のことに向けられていたのだ。




「じゃあ早速始めましょう」
東家 博麗 霊夢


「そうだな」
南家 霧雨 魔理沙


「ええ、よろしく」
西家 アリス・マーガトロイド


「宜しくお願いします」
北家 魂魄 妖夢


《取り決め》

勝負は半荘1回。
25000点持ちの30000点返しのアリアリ。
赤ドラなし  一発、裏ドラ、カン裏あり、ダブロンあり、トビあり、四人リーチあり
あがり連荘、流局時は親流れ
使用卓【アルティマ】 ←自動で配牌が出てくる便利な卓
対局室は河童の協力により多数のカメラでリアルタイムに別室に伝わる。
卓、卓の電気は紫が提供。
実況、解説は犬走椛、西行寺 幽々子が担当。

なお、各人の思考は《》内にて表記。


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*取り決めの説明*


・赤ドラなし

マンズ、ピンズ、ソーズにそれぞれ色の違う牌(主に赤)を入れてドラ扱いにすることを赤ドラという。
この麻雀はそれがありませんので、初めて聞いた人はスルーして下さい。


・25000点持ちの30000点返し

四人が25000点を持ってゲームをスタートし、ゲーム終了時に30000点を差し引かれるルールのこと。

   霊夢    40000点
   魔理沙  30000点
   アリス   20000点
   妖夢   10000点       

例えばこの状態で終了した場合、魔理沙は0点。アリスは-10000点。妖夢は-20000点。
トップ(1着)の霊夢が+30000点となる。麻雀は、2位~4位までのトータルマイナスがそのままトップのプラスになります。


・アリアリ

クイタン、後付け(あとづけ)ありのこと。鳴いてもタンヤオの役がつき、あがる時に、何か一つでも役があれば良いルールのこと。


・一発、裏ドラ、カン裏あり

リーチをした時に一発の役と裏ドラ、誰かがカンをしていればその裏ドラもあり(認める)というルールのこと。


・ダブロンあり

捨てた牌が二人のあたり牌とき、二人ともあがることができるルールのこと。
例えば魔理沙の捨てた牌が霊夢、アリスのあたり牌で、それぞれ8000点、12000点だった場合、魔理沙は20000点払わなければならない。


・とびあり

ゲームの途中で、誰か一人でも点捧(点数)がマイナスになった場合、その時点でゲームが終了すること。
そのとき一番点捧の多い人がトップになります。


・あがり連荘(レンチャン)

親があがった時のみ連荘できるルール。流局時に親がテンパイしていても親は流れてしまう。


・四人リーチあり

四人全員がリーチをかけても流局しないこと。

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  【東一局】

               
親 霊夢    25000点     表記   マンズ    一
   魔理沙   25000点           ソウズ     1
   アリス     25000点          ピンズ    (1)
   妖夢     25000点           鳴いた牌  “東”  “5”
                        
                        ドラは表示牌ではなく、ドラ牌を表記


配牌  ドラ (8)


霊夢

一三四六八八 23789(1)(1)(7)  


魔理沙

三四四九 5777 (2)(3)(8) 白南 


       アリス

一二二五五七 59 (3)(7)東南北


       妖夢

二九 3 (1)(2)(4)(4)(5)(6)(7)(9)中發




椛   始まりましたね、幽々子さん。
     どうでしょう? ぱっと見では霊夢さんが早そうですが、形としては魔理沙さん、妖夢さんも悪くないですよね?
    アリスさんは少し苦しいかもしれませんが。

幽   そうね。まだみんな始まったばかりだし、自分のツモを見ながらってところかしら。
    ただ、今回は半荘1回の短期決戦だから気をつけないとね。
椛   というと?
幽   麻雀はどうしても運の部分が大きく関わってくるゲームよ。
    自分と相手の状態を早く見極めた上で対応しながら打っていかないと、半荘1回なんてあっという間に押し切られてしまうのよ。
椛   なるほど、確かに半荘1回では一局、一局がとても重そうですね。



九巡目   霊夢

《さて、挨拶代わりよ》

「リーチ!」

三四五 八八 234 678 (4)(5)  打 (7)  リーチ

捨配   一北9(1)白(1) 
      二西(7)


同巡     魔理沙

二三四 5777 (1)(2)(3)(8)(8) 北  ツモ(4) 打 北 


同巡     アリス

二二四五五六七 56 (2)(3)(7) (9)    ツモ (9) 


「…………」


椛    アリスさんはまだリャンシャンテンです。
     少し考えていますが、ここは安牌である二のトイツでしょう。

アリス   打 (9)

椛    え? なんでですか? 確かに(7)は捨て牌に二枚、手牌に一枚見えています。
     ワンチャンスですけれど、安牌の二がありますよね。
     第一、下家の妖夢さんに対して甘くないですか?
     素直に二切りでいいと思うんですけど。

幽    ふふ、どうしてかしらね…… 
椛    幽々子さん?



同巡   妖夢

≪絶好のところ。ここは当然───≫

「ポン」

(1)(2)(3)(4)(4)(5)(6)(7) 西發中  打西  ポン (“9”)(9)(9)


十巡目   霊夢      ドラ (8) 裏ドラ (3)

三四五 八八 234 678 (4)(5)     ツモ (6)    
                     


「……2600オールよ」           (タンヤオ、ピンフ、ツモ、ドラ一)


椛   あーっと、霊夢さん食い流れてきたあがり牌(6)で2600オールをゲット。
    これはアリスさんの(9)を鳴かせてしまったのが裏目になってしまったんでしょうか?
    
幽   そう単純には言えないわね。
    結果的に引いたのは安め。
    それに……
    


ガシャ

魔理沙が山を崩すとちょうど次のツモ牌… もともとの霊夢のツモ牌が見えた。
その牌は(3)。魔理沙は霊夢に視線を向けると楽しそうにククっと笑った。

「悪いな、わざとじゃないぜ。
しかし危なかったな。
しょっぱなから*6000オールをツモられたんじゃ苦しいからな」     *イッパツ、裏ドラでハネマンになる

「そう? 私には関係ないわ。
結局勝つのは私なんだから」

霊夢は何も見なかったかのように手牌と山を崩す。
その表情からは全く動揺しているようには見えなかったが、霊夢はチラリとアリスに視線をやった。
《やってくれるわね……》

アリスは霊夢の視線に合わすことなく牌に意識を傾けていた。
妖夢は3人を見て深呼吸をすると、アリスと同じように卓に意識を集中させ始めた。


幽   やっぱりわざと鳴かせたのね。
椛   ……え、じゃあ、アリスさんは霊夢さんが一発でツモあがるとわかって妖夢さんに鳴かせたって言うんですか?
     まだ始まったばかりの東一局ですよ?
幽   ふふふ。まさか、そんなわけないでしょう? 
     いくら何でもそこまでアリスがわかるはずないわ。
     そのままだったらアッサリとツモられそうだから妖夢を動かそうとした……
     それだけよ。
椛   そ、そうですよね……。
     


【東一局 一本場】

七巡目    ドラ2


  霊夢   打 白


  同巡   魔理沙  

四五六七八八  23 77 白白發  ツモ 北   打 北


同巡   妖夢   打 白


         魔理沙
「ポンだ」

四五六七八八  23 77   ポン 白“白”白   打 發


椛   魔理沙さん、少しかたいですね。この手牌で二鳴きですか。
    どっちかというとメンゼン派なんですかね?

幽   ふふ、違うわよ。
    恐らく一枚目がアリス、妖夢から出ていたら鳴いていたでしょうね。

椛   それは親の霊夢さんのツモ番を飛ばせるからですよね?
     やはり前局のあがりから警戒しているということですか?

幽   そうね、確かにそれもあるでしょう。
     でもあの状況で1枚目とはいえ鳴かなかったのは明らかにミスよ。
     たまたますぐに2枚目が出たけれど、白が鳴けないとかなり辛かったはず。
     この局の目的は親落としなんだし、積極的に動いていかなきゃ。
     だいたい、魔理沙自信もメンゼンでこの手を進めていたら間に合わないことぐらいわかっているはずよ。

椛   じゃあ、なんで鳴かなかったんですかね?
    
幽   ふふ、霊夢を意識し過ぎているのよ。
    恐らく、今回の麻雀の勝者が得られる権利が原因でしょうね。


   十巡目    魔理沙     ドラ2

四五六七八九  23 77   白白白   ツモ 4  

「500、1000の一本場だ」         (白、ドラ一)

魔理沙の手牌を見ると、霊夢はくすっと笑って魔理沙に言った。

「東場なのにずいぶんとあせったあがりね、魔理沙。
そんなに私の親が怖い?」
「なんだと?」

椛  あわわ、なんかよろしくない雰囲気ですね。
    どうしちゃったんでしょう?

幽  ああ、あれは霊夢が魔理沙をからかっているだけよ。
    たいしたこと無いわ。
   
二人は一瞬にらみ合ったが、アリスの山を崩す音で意識を戻すと、ゲームを続行する。



   【東ニ局】


   霊夢    31700点
親  魔理沙   24700点
   アリス    21800点
   妖夢      21800点



 七巡目   魔理沙     ドラ  1     

一一一三四  4567 (6)(8) 南西   


        アリス

一二 1123 (1)(1)(2)(2)(3)(8) 東 


        妖夢
 
二四五  3346688  (3)(5)白


        霊夢

五五六六六  224 (5)(5)(7)發發  



椛   んー、皆さんなかなか手牌が伸びませんね。
幽   そうねぇ。霊夢も發が鳴けないし、苦しそうね。



しかし、ここからアリスの牌が重なりだした。



七巡目           アリス
一二 1123 (1)(1)(2)(2)(3)(8) 東  ツモ 二  打一

八巡目               
二二 1123 (1)(1)(2)(2)(3)(8) 東  ツモ (8) 打(3)

九巡目
二二 1123 (1)(1)(2)(2)(8)(8) 東  ツモ 東   打3

                ↓
                       ドラ1

二二 112 (1)(1)(2)(2)(8)(8) 東東  6400テンパイ  2 待ち


椛  アリスさんは来る牌来る牌を重ねて6400テンパイです。
     3は妖夢さんの手牌に2枚、2も霊夢さんの手に2枚ありますので、ともに残りは1枚。
    これは待ちごろの牌といえるんですかね、幽々子さん。

幽  そうねぇ。悪くはないけれど少し厳しいわね。
    アリスはこの局、配牌やツモがそれほどいいわけではないのよ。
    普通に打ったら(8)あたりは河に並んでいるはずだし。
    山に深いかもしれないわ。


    アリスは十巡目、十一巡目ともツモ切り。
    その間に他の三人も手が入る。
  

十二巡目     ドラ 1

       魔理沙  

一一一三三四  4567 (6)(7)(8)   ツモ7    

「……………」
「どうしたの、魔理沙?
いくら見ても手牌は変わらないわよ?」
「……っ、うるさい。リーチだ!」


   魔理沙  打  三(リーチ)  待ち 二、五  
                  


幽   あらら、やっちゃったわね。
椛   え? やっちゃったって、どういうことですか?
幽   三四 のリャンメンは配牌から動かない死にメンツよ。
     おまけに十二巡目にもなって、場には二五は一枚も見えてないわ。
     トイツ場なんだしここは四を切って三、7のシャボに受けてソーズの変化を待つべきなのよ。
椛   はぁ~。確かに二五はアリスさん、妖夢さん、霊夢さんがそれぞれ二枚ずつ、計六枚がっちりと手牌に組みこまれていますね。
幽   さて、どうなるかしらね。




 同巡       アリス

二二 112 (1)(1)(2)(2)(8)(8) 東東    ツモ 七  打 七


          妖夢

 二三四五  45688  (3)(4)(5)(6)    ツモ 北  打  北


       霊夢 

四五五六六六  234 (5)(5)  發發       ツモ發  打 四

                  ツモり三暗刻テンパイ  五、(5)待ち



十三巡目   魔理沙         ツモ  3   打  3
         アリス          ツモ (8)  打 (8)
         妖夢          ツモ  中   打 中
         霊夢          ツモ  北   打 北


 そして14巡目────

「う……」

       魔理沙       ツモ 2    打 2

「ロン……」

    魔理沙→アリス     ドラ1  
    
二二 112 (1)(1)(2)(2)(8)(8) 東東  


「6400よ……」      (チートイツ、ドラ二)


椛   あちゃー、やってしまいましたね。
     幽々子さんの言っていた通り、四切りのダマに受けていれば3ツモのところで三メンチャンのリーチ、一発ツモだったのに。
幽   そうね。自分のあがりのはずが6400の放銃(ホウジュウ)。
     これは点棒以上にこたえるわね。
椛   それはもう脱落ということですか?
幽   このメンツ相手に今の状況で打ち気を失くしたら終わりよ。
     魔理沙はもう……



うつむきながら点棒を払う魔理沙。
とても勝利を目指す打ち手とは思えない表情。
今まさに魔理沙の心が折れようとしていた。
自分は、もう勝てな────

「魔理沙!!」

アリスはうなだれている魔理沙の胸元を掴むと力いっぱい頬を叩いた。

「……っな、何するんだよ!」

魔理沙は一瞬何をされたのかわからずに視線が飛んでしまったが、慌ててアリスをにらみつけた。
文句を言って叩き返そうしたが、アリスの顔を見て動けなくなってしまった。

「バカ、何落ち込んでるのよ。まだ始まったばかりでしょ……。
そんなに簡単に諦めないでよ、馬鹿魔理沙!!!」
 
アリスの瞳から涙が溢れ、悲しそうな、悔しそうな表情をしていた。
アリス自身、どうしてこんなことをしてしまったのかわからない。
ただ、魔理沙には勝負を諦めてほしくなかったのだ。
苦しい状況になったからといって、魔理沙の投げ出す姿を見たくなかった。
……本当は、身勝手で恥ずかしいのは自分だとアリスは思っている。
求めてくれた霊夢・魔理沙・妖夢の気持ちが嬉しくて、強くいえなかったのは自分なのだ。
……優柔不断で嫌な女だな、とも思う。
けれど、今それを言ってはいけない。
卓についた以上、今の私はただの一人の打ち手なのだから。
余計なことを考えている余裕なんてない。
……そんな状況なのに、どうしてこんなに悲しいんだろう? 涙が出てしまうのだろう?
私にはそんな資格、ないのに……。


涙をぽろぽろと流すアリスを見て、ようやく魔理沙にアリスの気持ちが伝わる。
叩かれたのは、傷つけられたのは私(魔理沙)ではなくアリスだ。
頭でそれだけ理解すると、魔理沙の身体は動いていた。
魔理沙は両手で強引にアリスを抱き寄せると、アリスの耳元でささやく。

「すまない、アリス……。ありがとう」

魔理沙は一度ギュッと抱きしめてお礼を言うと、ゆっくりアリスを解放する。

「………」

いきなり抱きしめられると思っていなかったアリスは声が出なかったが、魔理沙の表情が明るい笑顔になっていたので、こくりと頷いた。
涙も自然に止まった。自分の気持ちが伝わったことと、魔理沙の素直な優しさと感謝の気持ちが嬉しくて、アリスは恥ずかしそうに笑った。
そして改めて席につくと、霊夢と妖夢がアリスをじーっと見ている。


「おいおい、そんなにアリスをにらむなよ。
かわいそうだろ?
その、別に減るもんじゃないし……」

さすがにと思って魔理沙がフォローを入れるが、2人がそれで納得するはずが無い。

「何言ってんのよ、魔理沙。
この勝負の最中にアプローチするのは反則よ、反則。
勝負は平等に行われなければなわないのよ」

霊夢はそう言ってスッと立ち上がるとアリスに抱きついた。

「キャッ……、何するのよ霊夢」

「何って決まってるでしょ。
平等にするためには私もアリスを抱きしめなければならないわ」

滅茶苦茶な理論であるが、霊夢はアリスが文句を言う前に力いっぱいアリスを抱きしめた。

「ちょっ、痛…… 力入れすぎよ、痛いって!」

霊夢はそんなアリスの言葉に耳を貸すはずもなく十分にアリスを堪能(?)する。
魔理沙の倍近い時間抱きしめてようやく手の力を緩めた。

「……けほっ、けほっ。れ、霊夢。もう少し優しくしてよ、いくらなんでもひどいわ」
「駄目よ。しっかりと繋ぎ止めておかないと、逃げられたら嫌だもの。
それにね…… 怒ってるのよ?」

霊夢はほとんど表情を変えず、しかしほんのりと頬を紅くした。
不覚にもそれが可愛いと思ってしまったアリスは結局何も言えず、そのまま妖夢にもちゃっかりと抱きつかれてしまった。








椛   ……春って、いいですよね。
幽   ……いいわね。


モニターごしに見ていた2人もメロメロだった。



麻雀再開後の東三局は、アリスが2600オールをあがるも霊夢が魔理沙から2000は2300をあがって親をけった。




    【東四局】


     霊夢     31400
     魔理沙   12400
     アリス     37000
親   妖夢     19200



配牌   ドラ 2


         妖夢

一 79 (1)(3)(4)(6)(7)(8)(9) 東東中  第一ツモ (9)
  

         霊夢

二 23556689  (8) 南發發


        魔理沙

二三四六九 1457  (2)(4) 南北


        アリス

 一一四五七八八九 17 (4) 東白  


椛   これは親の妖夢さんが好配牌。ピンズの染め手に一直線か。
     霊夢さん、アリスさんもそれぞれソーズ、マンズが多く注目です。
幽   これは荒れそうね。
椛   魔理沙さんはファン牌もなく苦しいかもしれませんが、頑張って欲しいところです。


  六巡目   妖夢

(1)(3)(4)(5)(6)(6)(7)(8)(9)(9) 東東東   カン(2)待ち


椛   テンパイ一番乗りは妖夢さんです。六巡目で親満テンパイ。
    しかし、一巡前にあたり牌をアリスさんに切られてしまっています。
幽   ここは手変わりを待ちたいわね。


妖夢がピンズを引けないなか、霊夢、アリスが手を進める。



  八巡目  霊夢

23455667899 發發   ツモ8  打 發


  同巡   アリス

一一三四五五八八八九 1 白白   ツモ七  打1


   九巡目  霊夢

234556678899 發  ツモ1  打發  テンパイ 8、9待ち 


   同巡   アリス

一一三四五五七八八八九  白白  ツモ白  打九    テンパイ 六 待ち


椛   おもしろくなってきましたね。
     三人が全員とも違う色の染め手でテンパイしましたよ。

幽   そうね。けれど、この状況の中で頑張っている子がいるわよ?
椛   えっ?


   十巡目   魔理沙

二二三四五 456 (2)(2)(4)(6)(7)  ツモ(2) 打(4)
 
                      テンパイ(5)(8)待ち


椛   なんと魔理沙さんラス(2)を引き入れてテンパイです。
幽   これで妖夢の待ちは純カラ。おまけに(5)(8)はまだ山に4枚いきているわ。
     あの配牌からよくここまで持ってきたわね。


   十一巡目   妖夢

(1)(3)(4)(5)(6)(6)(7)(8)(9)(9) 東東東  ツモ(7) 


《最終形だ。これはいける!》

「リーチです!」

(3)(4)(5)(6)(6)(7)(7)(8)(9)(9) 東東東  リーチ 打(1)

                            (2)(5)(8)待ち  


   同巡    霊夢   ドラ2

1234556678899      ツモ7

《もらったわね》

「追っかけよ、リーチ!」


1234566778899     リーチ  打 5
                  3 6 9 待ち


    同巡    アリス

一一三四五五七八八八  白白白    ツモ四 


《一手変わりで四暗刻。ここはダマで十分──》

                 打七   三六待ち



    同巡    魔理沙

二二三四五 456 (2)(2)(2)(6)(7)  ツモ(北)  打(北)


椛  たった一巡で妖夢さん、霊夢さん、アリスさんの3人が手変わりしました。
   妖夢さんは高めツモで親倍、アリスさんも高めツモでハネマン、霊夢さんに至ってはツモれば三倍満確定、高めなら数え役満まであります。

  
十二、十三巡目は全員がツモ切り。

そして十四巡目、ついに──────


「ツモ!!」


  ドラ 2   裏ドラ 西

1234566778899  ツモ 3

「6000、12000よ!」        (リーチ、ピンフ、ツモ、イーペー、チンイツ、ドラ一)


椛   あがったのは霊夢さんです。
     三倍満ツモでアリスさんを抜き去り再びトップに立ちました。
幽   さすがね。これで魔理沙と妖夢は一万点を割ったわ。
     おまけに次は霊夢の親番。
    下手をするとトビで終わってしまうかもしれないわね。





   【南一局】 

 
親  霊夢    56400
   魔理沙    6400
   アリス    31000
   妖夢     6200



  九巡目   霊夢    ドラ 東

  六七八 123678 (6)(7)(8)(8) 西    

「ふふ…… リーチ」


       霊夢    リーチ 打(8)

 六七八 123678 (6)(7)(8) 西     西 待ち



幽   あらあら、霊夢らしいわね。
椛   霊夢さんらしい? どういうことです?
幽   この手はリーチ、サンショクで7700。
    魔理沙、妖夢の2人からなら十分に飛ばせるわ。
    西は一枚切れだけど、山にいきてる。
    霊夢は自分の状態からそれを感じ取ったのよ。
    前に出なければいけない2人の余り牌でわざと待つ作戦ね。
椛   はぁ……。
    でもそれならリャンメンに受けてリーチしても、高め裏一で勝負を決められますし、連荘で次局に持ち越しても悪くないと思います。
    罠を張るようなまねしなくてもいいんじゃないですか? 
幽   ふふ。わざとよ、わ・ざ・と。
    悩んで悩んで打った牌で当たっときほど、人はおもしろい表情をするわ。
椛  (あわわ、文さまこの人怖いですよ~~)



  十四巡目      魔理沙

一二三五七八九 123 99  西    ツモ 六

「………」

「魔理沙、また長考?
さっきも言ったけど、いくら見ても手牌は変わらないわ。
たかが麻雀、何をそんなに苦しむ必要があるのよ?」


「ああ……  確かにそうだな。
たかが麻雀。だがな、そのたかがに、私は勝ちたいんだよ!
絶対に、最後まで諦めてたまるか!!」


          魔理沙   打 9


椛  なっ!? 魔理沙さんあたり牌を止めました!



  十六巡目    魔理沙   ドラ東

一二三五六七八九 123 9  西   ツモ西  

「いくぜ、霊夢……  リーチだ!」

  魔理沙  リーチ   打 9    四、七 待ち 


  同巡      妖夢

四五五九九 337799 北東   ツモ北  

《ションパイのドラ… けれど今、前に出ないともうチャンスはない!》

「リーチです!」

  妖夢   リーチ   打 東     四 待ち
  
 
椛   魔理沙さんはラス牌の西を重ねて、妖夢さんはションパイのドラ、東を押してリーチです。
     これはまさか………


十七巡目    霊夢  ツモ 四


「仕方ないわね……」

             打  四

「ロンだぜ!」
「ロンです!」

      魔理沙  12000点  (リーチ、一発、ピンフ、一通、裏ドラ二)
      妖夢    6400点  (リーチ、一発、チートイ)

椛   ダ、ダブロンです。霊夢さん、二人のあたり牌を引いてしまいました。
幽   これは押した魔理沙と妖夢を褒めるべきね。
椛   確かにそうかもしれませんが、ションパイのドラを切った妖夢さんは、さすがに暴牌だと思います。それもただのチートイで。
幽   あら、そんなことないわよ。
     ションパイのドラだろうと、自分の手が安かろうと、押すべき時に押さなかったら、いつまでたってもここぞという時には勝てないわ。
    ハネマンあがるよりも価値のある300・500だってあるでしょう?
     妖夢は今のが初あがり。
     状態としては良くないけれど、まだまだわからないわ。






      【南ニ局】


     霊夢     37000
親   魔理沙    20400       注 リーチ棒は上家の魔理沙がとっています
     アリス    31000
     妖夢    11600
                          

魔理沙・妖夢・霊夢の三人とも手が進まないなか、一人スルスルと手を進めていくアリス。



五巡目     アリス   ドラ  (8)

二三   1234 789 (3)(5)(8)(9)    ツモ 北    打(5)


六巡目
二三   1234 789 (3)(8) (9) 北    ツモ (7)  打(3)


七巡目
二三   1234 789 (7)(8) (9) 北    ツモ  北   打 4



そして、そのままアッサリと高目を引いてくる───



八巡目  アリス        ドラ(8)

二三  123 789  (7)(8)(9) 北北  ツモ一


「ツモ、2000・4000」 (ピンフ、ツモ、チャンタ、ドラ一)



《まずいわね……》
《このままだと、アリスに……》
《押し切られてしまいます……》


そう、霊夢・魔理沙・妖夢の3人とも今の状況をしっかりと理解していた。
今のあがりでアリスはトップにたった。
点数的にはともかく、流れとしては苦しい。
妖夢はもともと今日の状態(牌勢)が良くない。
さらに霊夢・魔理沙が打ち合ったことでアリスは3人に比べて有利にゲームを進められたのだ。
すでに勝負は南三局。
ラス親がある妖夢・点棒的にまだ近い霊夢はともかく、魔理沙はかなり苦しい。
このアリスの親番に連荘されたら、勝負はほぼ決まってしまう。
三人は自然に対アリスへと意識を集中させていった。



    【南三局】



   霊夢    35000
   魔理沙   16400
   アリス    39000
   妖夢     9600



七巡目   アリス   ドラ 七 

六七七 23 789  (4)(4)(4)  東南  ツモ 南   打 東

すでにイーシャンのアリス。
場風の南が重なりドラもトイツの好形である。


同巡   妖夢

一二四五六七八八八 57 (7)(8)  ツモ南   打一


同巡   霊夢

五七 12345666  白發發  ツモ 六  


「…………」

椛  あれ? なにか考えていますね。
    魔理沙さんの捨て牌をじっと見ています。



   魔理沙 捨て牌

   九北西西1白
   二



   霊夢    打 4


椛  な、どうして!? テンパイ取らずにしたって他に切る牌が……
幽  決まっているでしょう?
    狙いはもちろん……


同巡   魔理沙   ドラ 七

四五五 2235 (5)(6)(7)(8)(8)(8) 


「チーだ!」

 四五五 33 (5)(6)(7)(8)(8)(8)  “4”35  打 五

                    魔理沙、テンパイ 三、六 待ち



   八巡目   アリス

六七七 23 789  (4)(4)(4)  南南  ツモ 二  打 二


   同巡    妖夢

二四五六七八八八 57 (7)(8)南  ツモ南   打 二


椛  今の鳴きでアリスさんのテンパイを食い取りました。
    しかも食い取った南は妖夢さんの手牌に組み込まれ出てこないでしょう。
    絶妙の打牌でしたね、幽々子さん。

幽  そうね。あの捨て牌から見事に一点で鳴かせた霊夢はたいしたものだわ。
   

   同巡    霊夢

五六七 1235666 白發發  ツモ 白  打5  テンパイ 白、發 待ち
 

霊夢、わずか一巡で再びテンパイ。ダマで白、發 待ち。


十巡目  アリス  ツモ 北  打 北


同巡   妖夢   

四五六七八八八 57 (7)(8)南南  ツモ4  打 7



椛  あらら、テンパイどころかあがっていましたね、アリスさん。
    妖夢さんはイーシャンテンのままリャンメンへと受けを広めました。


    同巡   霊夢

五六七 123666 白白發發  ツモ 6  カン6666 

               リンシャン 中  新ドラ 6

  「リーチ!」

  霊夢  リーチ  打 中   白 發  待ち


椛   リ、リーチです。霊夢さんがハネマン確定のリーチを打ってきました。
      白、發は共に山に1枚ずつ。これは決まったか!?



同巡   魔理沙  ドラ 七  新ドラ 6

四五 33 (5)(6)(7)(8)(8)(8)  “4”35  ツモ(8)

    「カンだ!」

幽   当然ね。ここで降りているようじゃ、一生勝てないわ。
 
    魔理沙はゆっくりと祈るようにして山からリンシャン牌を引いてくる。

    はたして結果は──────





「ツモだぜ!!」                  新ドラ
                               ↓
      魔理沙     ドラ 七   カンドラ 6 3

四五 33 (5)(6)(7)  (8)(8)(8)(8)  “4”35  リンシャンツモ 三

「2000・4000!」   (タンヤオ、リンシャン、ドラ二)


アリスに親っかぶりをさせ、なんとか踏みとどまった魔理沙。
しかし、息を吐くことはない。
その瞳は力強く勝利だけを見つめている。
そして、それは霊夢・アリス・妖夢も同じだった。
四人が四人とも、自分の勝利を信じて疑わなかった。
勝負はついに最終局面、オーラス(南四局)へと、もつれ込んだ。




【オーラス(南四局)】


霊夢       32000
魔理沙      25400
アリス       35000
妖夢        7600


椛   ついにここまできましたね。
     現在のトップはアリスさんですが、勝負はまだわかりません。
     せっかくなので、みなさんのトップ条件を確認しておきましょう。
     現在トップのアリスさんはあがりトップ。
    二着目の霊夢さんはアリスさんから2000点の直撃か700・1300ツモ。 
    魔理沙さん・妖夢さんからの出あがりなら3900が必要です。
    三着目の魔理沙さんはアリスさんからマンガン直撃かマンガンツモ。
    霊夢さん・妖夢さんからの出あがりならハネマン条件です。
    そして現在ラス目の妖夢さん。
    一回で決めるなら親倍ツモ、出あがりだと三倍満が必要です。

幽   妖夢はともかく他の三人はそう難しくないわね。
     もっとも、妖夢も展開しだいでは可能性があるけれど。
椛   それは連荘して差を詰めていく、ということですか?
幽   確かにそれもそうだけれど、このメンツではそう簡単にはいかないわ。
     お互いがうまく牌を絞りあって重い展開になること…… それが条件よ。
     今の妖夢ではあがり競争のスピードでは追いつけないでしょう。
     勝負は終盤…… それも、チャンスはほんの少しでしょうね。
椛   ……あの、幽々子さん。
    他の三人が配牌に恵まれて数巡で勝負が決まってしまうこともあるのでは?
幽   そのときはその時で諦めるしかないわね。

    とても良い笑顔で微笑む幽々子。

椛   (……わからない。私にはこの人全くわからないですよ、文さま~~)



配牌 ドラ 南

妖夢   
   
四四六 2347 (2)(4)(5)(5)(6)(7) 西  


        霊夢

三五五七九九九 2 (9)(9) 北北北 


        魔理沙

八 111356889   白發發


        アリス

六八 (1)(1)(8)(8)(9)(9) 東南南西中


霊夢・魔理沙・アリスにそれぞれマンズ、ソーズ・ピンズが固まって入ったことで字牌が鳴けなかったが、それぞれメンゼンで有効牌を引き入れる。
そして最初にテンパイが入ったのは──────



四巡目  妖夢      ドラ 南

四四  234 7 (2)(3)(4)(5)(5)(6)(7)   ツモ 6   


《どうしよう……  今はオーラス、手なりだが先手のリーチを打つのも悪くない。
……けれど、今の流れで私にあがりがあるのか? ここは───》


  妖夢    打 (2)   テンパイ 5、8待ち



椛   あれ、妖夢さんはリーチにいきませんね。
幽   あれでいいのよ。
椛   いいって…… 弱気すぎませんか? トップとは三万点近く離れているんですよ?
幽   そうね。 でも、しょせん2900が5800になるだけよ。
     あの子に今出来るのは我慢することよ。
     すぐにわかるから見てなさい。
椛   はぁ……。



そして、妖夢が5、8を引けないままツモ切りを繰り返している間に、他の三人にもテンパイが入る。



六巡目   霊夢      ドラ 南

二三五五五七九九九 北北北 發    ツモ 七   

《ダマで十分……。しかし、あえてここは───》

「リーチよ!」  

霊夢   打(リーチ) 發     一、四 待ち 



同巡    魔理沙

1112356899  發發發   ツモ7  

《テンパイだが安めの1、9はすでにない。7も恐らく妖夢の手の中だ。高めの4にかけるぜ!》

「リーチだ!」

魔理沙   リーチ   打 9    4、7 待ち




同巡    アリス

(1)(1)(8)(8)(9)(9) 東南南西西中 白  ツモ 東 
 
《山に中はいきている。もともと私が原因で始まった勝負。
私があがって決着をつけるわ!》

「リーチよ!」

アリス  リーチ   打 白      中  待ち


椛  一巡……。
    たった一巡でイーシャンテンだった三人がテンパイ、そしてリーチをかけました。
   霊夢さんの一、四は六枚。魔理沙さんの4は三枚。
   アリスさんの中も三枚山にいきています。
   妖夢さんの5、8はアリスさん・魔理沙さんと同じく三枚ですが、これは分が悪いでしょうか?



七巡目    妖夢

四四  234 67  (3)(4)(5)(5)(6)(7)   ツモ 一  


「…………」


《…駄目だ。この一は通らない。
まわるか? でも三軒リーチでここからまわって間に合うのか?》


「ちょっと、妖───」

動かない妖夢に、霊夢が声をかけた。
……しかし、その後の言葉は続かなかった。
妖夢は苦しそうに手牌を見つめながらも、その瞳はけっして諦めてはいなかった。
考えて、考えて。下唇を噛みながら、必死に勝利を掴み取ろうとしていた。
経験の差……  この四人の中で一番雀力の劣る妖夢。
しかし、そんなものは勝負の場において絶対ではないことを霊夢は知っている。

妖夢はゆっくりと牌を河に捨てた。

「お待たせして申し訳ありません。(5)です」



受けにまわった妖夢。
この後三人の当たり牌は全て妖夢に集まり手牌に吸収されていった。
驚くべきはその勝利への執念か。
妖夢は再びテンパイした。


十七巡目     妖夢  ドラ 南

一一一 四四四 344 67 中中   ツモ4   


《私に残されたツモは後一回。大丈夫、必ず一枚はいきている!
自分を信じろ、最後まで諦めるな!! 私は、勝つ────!!!》


「リーチ!!!」

妖夢  リーチ   打 3   テンパイ  5、8 待ち
 


椛  信じられません。あれだけのあたり牌を引き込んでのテンパイ復活だなんて。
    あがり牌の8はすでにありませんが、5が一枚いきています。
    霊夢さんは一、四が一枚ずつ。魔理沙さんの4も後一枚。アリスさんの中も一枚。
    これはわからなくなってきました。



同巡   霊夢

二三五五五七七九九九 北北北           ツモ 八  打 八


同巡   魔理沙

1112356789  發發發          ツモ 2  打 2


同巡   アリス

(1)(1)(8)(8)(9)(9) 東東南南西西中     ツモ 西  打 西




魔理沙、アリスともに最後のツモでも上がり牌を引くことは出来なかった。
妖夢はじっと山を見つめると、流れるような動作で牌をもってくる。



十八巡目     妖夢

一一一 四四四 444 67 中中    ツモ 四   


「カン!」


妖夢が四をさらす。
この瞬間、霊夢のツモはなくなり、残るは妖夢のリンシャン牌のみとなった。
先にカンドラをめくると、表示牌は三。
つまり今カンをした四がそのままドラになった。

妖夢は祈るようにして牌に手をのばす。





そして─────





















~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
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「もう、妖夢。いいかげんにしなさい。
そんなに悲しい顔しないの」

幽々子が落胆している妖夢の手をとり、自分のほうを向かせる。
冷たく、心地よい手の感触にはっとする。
妖夢は慌てて幽々子に目を向けた。

「いい? あなたは確かに負けた。
けれど、それと同時に大切なものを手に入れたわ」
「大切な……もの?
それはいったい───」
「ちょっと妖夢~。いつまで幽々子と話してるのよ。
あなたがいないと予定立てられないでしょ~!」

霊夢が妖夢を呼びにきた。
見ると負けたというのにまったく気にしていない様子で、魔理沙と楽しそうに言い争いをしている。
「へっ、よく言うぜ。意見が割れたから自分に加担させたいだけだろ?」
「む、何よ魔理沙。いっとくけど、私はあんたに負けたんじゃなくてアリスに負けたのよ。
順位だって私の方が上だし、意見を聞いてあげてるだけでも感謝しなさいよ」
「な、何言ってやがる。妖夢とのダブロンを忘れたとは言わせないぜ。
ほら、妖夢も言ってやれ。霊夢に負けたつもりなんてこれっぽっちも無いってな」
魔理沙は妖夢の腕を掴むと力任せに引っ張った。
「わわ、ちょっと魔理沙さん。い、痛いですよ~」

霊夢、魔理沙、そしてアリスとの輪に入って、もみくちゃにされる妖夢。
もともと騒がしかったが、妖夢が入って4人になると、さらに騒がしくなった。
言い合っている内容も単なる負け惜しみにで、それもしばらくすると四人での遊びの予定に切り替わる。
霊夢・魔理沙・アリス・妖夢。それぞれの意見がまとまらずにもめているが、四人が四人とも楽しそうに笑っていた。

一緒に勝負を見ていた椛は早速文に報告しにいくと言って帰ってしまった。
全くわかっていない。勝負の内容以上に、今の四人の姿は価値があるというのに。
幽々子は紫からもらっていたカメラをかまえて、パチッと一枚写真に収める。

「ふふ、いい出来ね。部屋に飾ろうかしら?」

写真には妖夢の手を取る魔理沙と霊夢、そして後ろから優しく抱きしめるアリスと、顔を真っ赤にした妖夢が映っていた。
お久しぶりです。またははじめまして。

麻雀のお話ですが、楽しんで頂けると嬉しいです。
麻雀の手牌を見やすくするためスペースは多めにとっています。

基本部分の雰囲気はまったり、ゆったりとしています。
白玉はほんわかとした空気が好きなので。

読んで下さった方、ありがとうございます。
ご意見、ご感想もよろしければお寄せ下さい。


※(2)の修正しました。 名前が無い程度の能力様、ご指摘ありがとうございます。
  オーラス、妖夢以外のリーチは違和感を覚える方もいらっしゃると思います。

  この麻雀はトップ取りで2着でもラスでも同じなこと、すぐに手変わりする有効な牌が枯れていること(霊夢の七など)、
  3人の点差が均衡していてあがり競争であり、あがり連荘のみの今回のルールでは、ダンラスの妖夢が手を回すことを3人が考慮に入れなかったこと、
  などの理由も一応ありますが、かなり強引ですね。申し訳ないです。
  物語として楽しんで頂けると嬉しいです。
  
※名前が無い程度の能力様、ご指摘ありがとうございます。修正&取り決めの説明を加えました。
  四人リーチは続行のことを書き忘れていたので、加えました。滅多にありませんが、四人リーチは緊張感あって好きです。
  
※名前が無い程度の能力様、ご指摘ありがとうございます。ラス前の修正しました。

  名前が無い程度の能力様(2008/07/22 19:52:29)。前シリーズを読んで頂いてありがとうございます。
  お話も麻雀も楽しめる作品を目指して書いたのですが、申し訳なかったです。

  
白玉
siratama0721@hotmail.co.jp
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コメント



0.610簡易評価
2.80名前が無い程度の能力削除
四四  234 7 (3)(4)(5)(5)(6)(7)   ツモ 6   


《どうしよう……  今はオーラス、手なりだが先手のリーチを打つのも悪くない。
……けれど、今の流れで私にあがりがあるのか? ここは───》


  妖夢    打 (2)   テンパイ 5、8待ち


牌姿に(2)が入ってません。これじゃ少牌ですよ(´・ω・`)


あとは・・・オーラスでリーチが必要ないところでの勢いリーチがちょっと気になりました。
4.70名前が無い程度の能力削除
東方で麻雀ネタって多いですね。
私も麻雀大好きですが^^;
5.90名前が無い程度の能力削除
なるべき→なるべく

ですかね。さておき面白かったです。麻雀の解説も丁寧で結構わかり易い。
しかし元からある程度知らないとやっぱり取っ付きにくいかなとは思ったり…
まぁその辺は仕方ないのでしょうが(汗
6.90名前が無い程度の能力削除
麻雀のルールに疎くても十分楽しめました
妖夢主体の話ながらどのキャラも目立っていたのが良かった
7.90名前が無い程度の能力削除
四家立直って流れませんでしたっけ
8.80無刃削除
そういや昔、牌の面を指圧で押しつぶしてトーフにする荒業があったけど
妖怪なら簡単に出来そうだなぁ…
10.60名前が無い程度の能力削除
せっかく長々と麻雀の説明をしたのに、取り決め関連の説明が無いのが気になりました。
麻雀のルールがわからない人はその辺が一番わからないだろうに……
11.無評価名前が無い程度の能力削除
前シリーズが何回も読み返すぐらい好きだったから読みたかったけど、麻雀嫌いなんで残念でならないです。
17.80名前が無い程度の能力削除
サンマに興じるゆゆさまに萌えた

ラス前なのですが、6が霊夢の手に四枚、魔理沙の手に一枚の計五枚になっています。
また、魔理沙の和了形の(8)が刻子のままになっていますね。
18.100名前が無い程度の能力削除
今回も非常に面白かったです。
霊夢とアリス、二人の幸せそうな様子がとても微笑ましかったです。作品を重ねるごとに近づく二人の関係は良い酒の肴ですw
そして魔理沙と妖夢の一生懸命な様子がらしくてよかった。
しかし白玉さんの書く妖夢はどうしてこんなに可愛いのでしょうかw
23.100名前が無い程度の能力削除
これみた後に三連荘純正九連宝燈和了ったんだけどwwもしかして俺死ぬ?wwww俺死ぬの!?wwwwwww