※ オリ設定と稚拙な文章ばかりが続きます。それでも見るという方は下へどうぞ。
――マヨヒガ 八雲亭・藍自室
夜も更けてきた頃である。「境界の大妖怪」の式である藍は家事もおわったので、自室で就寝準備をしていた。
夜が更けるまで何をしていたと聞かれて答えるとするならば、なんのことはないただの家事であった。
最近、己が式である橙が弾幕ごっこをやっているのだろうか、遊びに行って帰って来る度に服が泥だらけなのである。
元気なのはいいことなので、不問にしているがそろそろ落ち着いて欲しいものだとも思う。
「まぁ、言ったところですぐ忘れるのだろうな…」
…別に汚れが落とすのが大変とか、服の弾幕ごっこで破れた所を直すのが大変とかではない。
元気が一番なのである。…別に泣いてはいない。三国を脅かした私が泣くことなどない。
…たぶん。
「藍さまー」
聞きなれたキーの高い声。忘れるはずもない、愛しの式の声である。
「まだ寝てなかったのか、橙」
「いえ…あの…」
「”また”紫様か…」
「はい…」
最近、我が主は怪談など、怖い話を聞くたびに涙目になる橙がかわいいらしく、何回も読んで聞かせてるようだ。
この間は『えすあーるななじゅーいち』なるものに乗って高速で突っ込んで来て、相手の血を吸いつくすという吸血鬼の話だったらしい。
なんじゃそりゃ。吸血鬼なら何かに乗らなくても、本人が突っ込んでくればいいだろうに。
「藍さま?」
いけない、考え込んでしまったようだ。橙を放っておくなど、私はできない。
もし橙を襲う様な輩がいたら、私はそいつに高周波ブレードを突き刺してやる。
「すまないね、考え事をしていたのさ」
「考え事ですか…」
「ところで、今日も一緒に?」
「おねがいします…」
橙は紫様にお話を聞かされた日の夜はいつも私と一緒に寝ている。一人では怖くて寝られないそうだ。
心配しなくとも、マヨヒガに突っ込んで来るような輩はいないのだが。
「それといつものお話も聞かせていただけますか!」
「別に構わないよ」
いつものお話とは、いつも寝る前に聞かせている色々な物語やお伽話である。
「今日は何を聞かせてくれるんですか?」
「そうだなぁ…あぁ、あれでいいか」
少しばかり怖い話も入っているがハッピーエンドなのでよしとする。
「?」
「このお話はね、双子の姉妹のお話なんだ」
「きかせてください!」
「はいはい」
「その物語はその子が目覚めたところから始まるんだ…」
――双子の姉妹のお話
暗い暗い闇の中、少女は少しばかりだるそうに目覚めた。
少女と言うには少し語弊があるかもしれない、何せ少女には自分の性別と名前、役目が分かるものの、体の感覚がない。
少女は反芻する。自分の役目は人の魂を喰らい、持ち主に生命力を供給する事。性別は女性。
名前はいつも持ち主が読んでくれる名前、『ストームブリンガー』である。
この身は法と混沌の均衡をとる為に生まれた身らしい、持ち主である彼が昔、そう独り言の様に語りかけてくれた。
彼は少女が生命力を供給しないと寝たきりになってしまうので仕方なく所持しているらしい。
別にそれでも構わない、と少女は思う。何せこの身は『武器』なのだから。
前述したとおり、少女には体の感覚がない。だが持ち主である彼は少女によく語りかけてくれる。
しかし少女は喋れない。喋れるならば色々とお話したい事があるのに。と少女は思う。
考え事をしているうちに持ち主である彼が現れた。どうやら役目を果たす時間らしい。人魂狩りである。
しかし、この時ばかりは暗い部屋から外に出れるので、嬉しくもあった。
少女は狩りの途中で見かけた、動物というものが好きであった。自由気ままに生きて羨ましいとも、疲れないのかとも思う。
その自由を奪うのは自分から役目を奪うのと同義だと少女はわかっていた。
なので少女は動物の魂は喰らわない事にしていた。
人間が一人少女で殺される。また一人、また一人と次々に少女は魂を喰らってゆく。
嫌悪も躊躇もない。何故ならこれが役目なのだから。
9人目が過ぎた頃、彼が少女を振るう手を止めた。今日はこれでおしまいらしい。
魂を喰らった分の生命力を彼に流し込む。いきなりであった為、彼は驚いたようで、すっこけた。
彼がため息をつくのが聞こえた。
持ち主である彼はある男を倒す目的で追跡しているらしい。もうそろそろ追いつく頃だ。と彼は語っていた。
少女は持ち主の武器である為、意見も何もできないが。
――次の日の夜。
少女を背中に、彼は夜の森の中を走っていた。
どうやら標的である男が視認できたみたいである。
少女は視認した男に違和感を感じていた。自分と同じ気配がしたからである。
男は諦めたのか立ち止まって剣を抜いた。
少女は固まった。
男の手の中にある剣は自分と同じだった。
いや、同じではなく同じ存在と言っていいであろう。
だが、役目と名前は違う事を少女は感じ取っていた。その剣から伝わってくるのは
持ち主を守る剣となる。という事と、『モーンブレイド』という名前であった。
少女は困惑する。だが少女の意思とは別に戦いは幕を切る。
彼は少女を両手で持ち、男に斬りかかる。
男はそれを剣で受け止める。
少女とその剣は初の逢瀬を果たした。
――はじめまして。
最初に聞こえた声はそれだった。少女は困惑しながらもはじめまして、と返事を返す。
――いきなりですけど、お互いの役目を果たしましょう。
最後の方を告げる声は酷く冷淡で少女に生まれて初めてであろう、恐怖を植え付けた。
双方の剣が咆哮するかのように高鳴りした。
戦いは彼と少女の勝利であった。
剣は最後に、また逢いましょう。その時はゆっくり話を…と残して男と一緒に逃げた。
戦いで彼はかなりの生命力を失っていた。このまま死んでしまうのか。と彼は言った
少女に生命力の備蓄などあるはずもない。
そこに先の戦いの咆哮を聞いて来たのか、女性が走ってきた。助かった。と彼は言って地に伏した。
女性の家に運ばれた彼は善意の看病もむなしく、回復の兆しは見えなかった。
このままでは死んでしまう。少女は役目を果たさねばと焦った。
役目を果たす為、少女は人型と化す。その思いは役目だけであった。
人型と化した少女は女性とその家族を喰らう。
そして彼に生命力を供給した後、元の剣に戻った。
――翌朝、体力が戻り、起きた彼が見たものは女性とその家族の死体と物言わぬ愛剣であった。
彼は女性とその家族の墓を建てた後、その魂を喰らったであろう愛剣を持ち、昨夜に逃げた男を追った。
傷を負った男はそう遠くまで逃げられなかったらしく、二日程で追いついた。
男達の二度目の逢瀬、彼はやっと遂げられると笑い、男はここまでか。と憎々しげに彼を見ていた。
少女達の二度目の逢瀬、少女は剣の事と役目を思い、剣は少女と役目だけを思っていた。
男達は互いに剣を抜く。
少女達は心の中で皮肉げに嘲笑った。
彼は前日から準備をしていた。まるで狂戦士ように、今までにないくらいの人の魂を少女に喰らわせたのである。
食らわせた分の生命力は自分に還ってくる。
つまり、少女の中に生命力が大量にあれば、いつまでも動けるのである。
だが、その力は彼の考えに及ばない所にまで影響していた。
剣がぶつかり合う度に、少女の力に剣が悲鳴をあげていた。
男の驚く顔を見て、彼は勝利を確信した。
彼は男の隙を見つけ少女で男の心臓をを貫いた。
男が咆哮し続ける剣に舌打ちした刹那の隙であった。
少女にはその刹那に剣の声が聞こえていた。
――役目を果たして。
そう剣は言った。少女は疑問を投げつけた。
彼は剣を男から引き抜いた。剣は貪欲にも魂を喰らっていた。
今更ながら、自分によく似た剣だ。と皮肉る。
その次の瞬間である。
少女が咆哮したかと思うと次の瞬間あたり一面が暗闇に包まれた。
彼はその暗闇の中に自分が少女で殺した人間の顔を見つけ、恐怖した。
彼の横には金髪の幼い少女が立っていた。
もう二度となることはないだろう、と思っていた人型になった少女は先程剣に言われた事を反芻していた。
――私たちは同じ存在。姉妹の様なもの。
――だから貴女にも分かるはず、役目のない道具はいらない。
だから、と剣は言の葉をつなぐ。
――私を壊して。
と剣は言った。少女は約束した。
だから少女と剣、双子の姉妹は謳う。
「「貴女は剣、私も剣。さぁ舞いましょう?一夜だけの夜想曲。さぁ問ましょう、貴女は喰べれる剣?」」
少女は剣を持つ。
次の瞬間、少女は貪欲なまでの食欲で剣の全てを喰らい尽くしていた。
少女は男の方を見ると、迷わずその魂を喰らった。
「というお話だ」
「…」
橙は恐怖に身を染めている。だから教えてあげる。
「橙」
「…はい」
「実はこの物語は最後まで書かれていないんだ」
「え?」
「私が言えるのはただ一つ、少女は今は幸せに暮らしているよ」
「そうなんですか…!」
さて、話し終わった事だし、寝かせるとするか。
「えぇ、だから安心してお休み?」
「はい!」
――数年後
闇に佇む少女がいた。その少女に近づく影。
その影の持ち主は少女に問う。
――こちらにこない?
少女は自分は役目も名前も失ったのでいくことも出来ない、と答える。
すると影の持ち主は笑みを浮かべ、こう言った。
――じゃぁ私が与えるわ。貴女の名前はルーミア、役目は…そうねぇ…常に妖怪らしくあること。でどうかしら?
少女、いやルーミアは十分です。と答えいつのまにか差しのべられていた手を取り、歩き出す。
少女であったルーミアは詠う、あの時とは違う詩を。
「貴女は紫の瞳の案内人、私は迷子。さぁいきましょう?紡がれる幻想の世界へ。さぁ問いましょう、そこに喰べれる人類はいるかしら?」
紫の瞳をした案内人は答える。
「貴女は迷子の宵闇、私は案内人。さぁいきましょう?喰べる人類ならいくらでもいるわ。さぁ問いましょう、私と一緒に来てくれるかしら?」
ルーミアは答える。
「いきましょう、一緒に」
紫の瞳をした案内人は微笑んで、どこからかリボンを取り出しルーミアの髪に結ぶ。
そして悪戯な笑みを浮かべこう言った。
「それは記念品よ」
ルーミアは生まれて初めてであろう、満面の笑みで返した。
ルーミアは今でもリボンをつけている。
リボンにはこう刺繍されている。
『Mournbringer』と。
――マヨヒガ 八雲亭・藍自室
夜も更けてきた頃である。「境界の大妖怪」の式である藍は家事もおわったので、自室で就寝準備をしていた。
夜が更けるまで何をしていたと聞かれて答えるとするならば、なんのことはないただの家事であった。
最近、己が式である橙が弾幕ごっこをやっているのだろうか、遊びに行って帰って来る度に服が泥だらけなのである。
元気なのはいいことなので、不問にしているがそろそろ落ち着いて欲しいものだとも思う。
「まぁ、言ったところですぐ忘れるのだろうな…」
…別に汚れが落とすのが大変とか、服の弾幕ごっこで破れた所を直すのが大変とかではない。
元気が一番なのである。…別に泣いてはいない。三国を脅かした私が泣くことなどない。
…たぶん。
「藍さまー」
聞きなれたキーの高い声。忘れるはずもない、愛しの式の声である。
「まだ寝てなかったのか、橙」
「いえ…あの…」
「”また”紫様か…」
「はい…」
最近、我が主は怪談など、怖い話を聞くたびに涙目になる橙がかわいいらしく、何回も読んで聞かせてるようだ。
この間は『えすあーるななじゅーいち』なるものに乗って高速で突っ込んで来て、相手の血を吸いつくすという吸血鬼の話だったらしい。
なんじゃそりゃ。吸血鬼なら何かに乗らなくても、本人が突っ込んでくればいいだろうに。
「藍さま?」
いけない、考え込んでしまったようだ。橙を放っておくなど、私はできない。
もし橙を襲う様な輩がいたら、私はそいつに高周波ブレードを突き刺してやる。
「すまないね、考え事をしていたのさ」
「考え事ですか…」
「ところで、今日も一緒に?」
「おねがいします…」
橙は紫様にお話を聞かされた日の夜はいつも私と一緒に寝ている。一人では怖くて寝られないそうだ。
心配しなくとも、マヨヒガに突っ込んで来るような輩はいないのだが。
「それといつものお話も聞かせていただけますか!」
「別に構わないよ」
いつものお話とは、いつも寝る前に聞かせている色々な物語やお伽話である。
「今日は何を聞かせてくれるんですか?」
「そうだなぁ…あぁ、あれでいいか」
少しばかり怖い話も入っているがハッピーエンドなのでよしとする。
「?」
「このお話はね、双子の姉妹のお話なんだ」
「きかせてください!」
「はいはい」
「その物語はその子が目覚めたところから始まるんだ…」
――双子の姉妹のお話
暗い暗い闇の中、少女は少しばかりだるそうに目覚めた。
少女と言うには少し語弊があるかもしれない、何せ少女には自分の性別と名前、役目が分かるものの、体の感覚がない。
少女は反芻する。自分の役目は人の魂を喰らい、持ち主に生命力を供給する事。性別は女性。
名前はいつも持ち主が読んでくれる名前、『ストームブリンガー』である。
この身は法と混沌の均衡をとる為に生まれた身らしい、持ち主である彼が昔、そう独り言の様に語りかけてくれた。
彼は少女が生命力を供給しないと寝たきりになってしまうので仕方なく所持しているらしい。
別にそれでも構わない、と少女は思う。何せこの身は『武器』なのだから。
前述したとおり、少女には体の感覚がない。だが持ち主である彼は少女によく語りかけてくれる。
しかし少女は喋れない。喋れるならば色々とお話したい事があるのに。と少女は思う。
考え事をしているうちに持ち主である彼が現れた。どうやら役目を果たす時間らしい。人魂狩りである。
しかし、この時ばかりは暗い部屋から外に出れるので、嬉しくもあった。
少女は狩りの途中で見かけた、動物というものが好きであった。自由気ままに生きて羨ましいとも、疲れないのかとも思う。
その自由を奪うのは自分から役目を奪うのと同義だと少女はわかっていた。
なので少女は動物の魂は喰らわない事にしていた。
人間が一人少女で殺される。また一人、また一人と次々に少女は魂を喰らってゆく。
嫌悪も躊躇もない。何故ならこれが役目なのだから。
9人目が過ぎた頃、彼が少女を振るう手を止めた。今日はこれでおしまいらしい。
魂を喰らった分の生命力を彼に流し込む。いきなりであった為、彼は驚いたようで、すっこけた。
彼がため息をつくのが聞こえた。
持ち主である彼はある男を倒す目的で追跡しているらしい。もうそろそろ追いつく頃だ。と彼は語っていた。
少女は持ち主の武器である為、意見も何もできないが。
――次の日の夜。
少女を背中に、彼は夜の森の中を走っていた。
どうやら標的である男が視認できたみたいである。
少女は視認した男に違和感を感じていた。自分と同じ気配がしたからである。
男は諦めたのか立ち止まって剣を抜いた。
少女は固まった。
男の手の中にある剣は自分と同じだった。
いや、同じではなく同じ存在と言っていいであろう。
だが、役目と名前は違う事を少女は感じ取っていた。その剣から伝わってくるのは
持ち主を守る剣となる。という事と、『モーンブレイド』という名前であった。
少女は困惑する。だが少女の意思とは別に戦いは幕を切る。
彼は少女を両手で持ち、男に斬りかかる。
男はそれを剣で受け止める。
少女とその剣は初の逢瀬を果たした。
――はじめまして。
最初に聞こえた声はそれだった。少女は困惑しながらもはじめまして、と返事を返す。
――いきなりですけど、お互いの役目を果たしましょう。
最後の方を告げる声は酷く冷淡で少女に生まれて初めてであろう、恐怖を植え付けた。
双方の剣が咆哮するかのように高鳴りした。
戦いは彼と少女の勝利であった。
剣は最後に、また逢いましょう。その時はゆっくり話を…と残して男と一緒に逃げた。
戦いで彼はかなりの生命力を失っていた。このまま死んでしまうのか。と彼は言った
少女に生命力の備蓄などあるはずもない。
そこに先の戦いの咆哮を聞いて来たのか、女性が走ってきた。助かった。と彼は言って地に伏した。
女性の家に運ばれた彼は善意の看病もむなしく、回復の兆しは見えなかった。
このままでは死んでしまう。少女は役目を果たさねばと焦った。
役目を果たす為、少女は人型と化す。その思いは役目だけであった。
人型と化した少女は女性とその家族を喰らう。
そして彼に生命力を供給した後、元の剣に戻った。
――翌朝、体力が戻り、起きた彼が見たものは女性とその家族の死体と物言わぬ愛剣であった。
彼は女性とその家族の墓を建てた後、その魂を喰らったであろう愛剣を持ち、昨夜に逃げた男を追った。
傷を負った男はそう遠くまで逃げられなかったらしく、二日程で追いついた。
男達の二度目の逢瀬、彼はやっと遂げられると笑い、男はここまでか。と憎々しげに彼を見ていた。
少女達の二度目の逢瀬、少女は剣の事と役目を思い、剣は少女と役目だけを思っていた。
男達は互いに剣を抜く。
少女達は心の中で皮肉げに嘲笑った。
彼は前日から準備をしていた。まるで狂戦士ように、今までにないくらいの人の魂を少女に喰らわせたのである。
食らわせた分の生命力は自分に還ってくる。
つまり、少女の中に生命力が大量にあれば、いつまでも動けるのである。
だが、その力は彼の考えに及ばない所にまで影響していた。
剣がぶつかり合う度に、少女の力に剣が悲鳴をあげていた。
男の驚く顔を見て、彼は勝利を確信した。
彼は男の隙を見つけ少女で男の心臓をを貫いた。
男が咆哮し続ける剣に舌打ちした刹那の隙であった。
少女にはその刹那に剣の声が聞こえていた。
――役目を果たして。
そう剣は言った。少女は疑問を投げつけた。
彼は剣を男から引き抜いた。剣は貪欲にも魂を喰らっていた。
今更ながら、自分によく似た剣だ。と皮肉る。
その次の瞬間である。
少女が咆哮したかと思うと次の瞬間あたり一面が暗闇に包まれた。
彼はその暗闇の中に自分が少女で殺した人間の顔を見つけ、恐怖した。
彼の横には金髪の幼い少女が立っていた。
もう二度となることはないだろう、と思っていた人型になった少女は先程剣に言われた事を反芻していた。
――私たちは同じ存在。姉妹の様なもの。
――だから貴女にも分かるはず、役目のない道具はいらない。
だから、と剣は言の葉をつなぐ。
――私を壊して。
と剣は言った。少女は約束した。
だから少女と剣、双子の姉妹は謳う。
「「貴女は剣、私も剣。さぁ舞いましょう?一夜だけの夜想曲。さぁ問ましょう、貴女は喰べれる剣?」」
少女は剣を持つ。
次の瞬間、少女は貪欲なまでの食欲で剣の全てを喰らい尽くしていた。
少女は男の方を見ると、迷わずその魂を喰らった。
「というお話だ」
「…」
橙は恐怖に身を染めている。だから教えてあげる。
「橙」
「…はい」
「実はこの物語は最後まで書かれていないんだ」
「え?」
「私が言えるのはただ一つ、少女は今は幸せに暮らしているよ」
「そうなんですか…!」
さて、話し終わった事だし、寝かせるとするか。
「えぇ、だから安心してお休み?」
「はい!」
――数年後
闇に佇む少女がいた。その少女に近づく影。
その影の持ち主は少女に問う。
――こちらにこない?
少女は自分は役目も名前も失ったのでいくことも出来ない、と答える。
すると影の持ち主は笑みを浮かべ、こう言った。
――じゃぁ私が与えるわ。貴女の名前はルーミア、役目は…そうねぇ…常に妖怪らしくあること。でどうかしら?
少女、いやルーミアは十分です。と答えいつのまにか差しのべられていた手を取り、歩き出す。
少女であったルーミアは詠う、あの時とは違う詩を。
「貴女は紫の瞳の案内人、私は迷子。さぁいきましょう?紡がれる幻想の世界へ。さぁ問いましょう、そこに喰べれる人類はいるかしら?」
紫の瞳をした案内人は答える。
「貴女は迷子の宵闇、私は案内人。さぁいきましょう?喰べる人類ならいくらでもいるわ。さぁ問いましょう、私と一緒に来てくれるかしら?」
ルーミアは答える。
「いきましょう、一緒に」
紫の瞳をした案内人は微笑んで、どこからかリボンを取り出しルーミアの髪に結ぶ。
そして悪戯な笑みを浮かべこう言った。
「それは記念品よ」
ルーミアは生まれて初めてであろう、満面の笑みで返した。
ルーミアは今でもリボンをつけている。
リボンにはこう刺繍されている。
『Mournbringer』と。
いやはや、面白かったですよ。
スッキリと読めました。
お見事です。
だから「ストームブリンガーの分身」という説明は正しくないのでは?
以下返信
>二挺拳銃の旦那
魔弾の射手の最期を知っているかね、准尉(以下略
>煉獄様
ありがとうございます。
オリジナルは難しいので次はほのぼの路線で書こうと思います。
作者修行中...
>東方関係ねぇ!?と思ったらちゃんと絡ませてきたので一安心
ご心配させてすみませんでした(焼き土下座
>無刃
そ、そーなのかー!?…失礼。
エルリック・サーガという小説の設定を元にして書いたので(大部分違いますが。
多少違う点もあるかもしれません。