Coolier - 新生・東方創想話

茸と妖夢と惨劇

2008/04/01 08:17:34
最終更新
サイズ
8.66KB
ページ数
1
閲覧数
460
評価数
4/15
POINT
580
Rate
7.56

「どうしたんですか?この松茸っぽい茸は?」

「なんか森の中にいっぱい生えてたんだ。こんなには食いきれないから御裾分けだぜ」

「…食べられるんですか?これ」

「うまそうに見えるから大丈夫だぜ」

「もういいです…。とりあえずありがとうございます」

「おう。でも礼なら幽々子に言ってくれ。あいつが見つけたんだ」

「なんで幽々子様が…?あの人は何を考えてるんだか……全く」

「さあなぁ?あいつの考えていることは私にはわかんないぜ」




  次の日




「おはよう、妖夢。今日もいい天気ね」

「あ、おはようございます、幽々子様。ところでどうしたんですか?…ひょっとして朝食が物足りなかったんですか?確かにちょっとかなり少なめにしましたけど」

「えぇ~、あれで少なくしたのぉ~?あんなに食べられる訳ないじゃな~い」

「えぇ!……ホントだ。全然食べてない。何か変なもの食べ…」

(そういえば、昨日魔理沙に変な茸もらったなぁ。いい匂いだったから少しとって置いて後で食べようと思ってたんだけど…幽々子様の夕餉に出したのは失敗だったなぁ。全部食べちゃったし…)

「……―む、よーむ。」

(食べたかったなぁ…本物の松茸っぽい匂いだったし。ひょっとして本物だったのかも!先に食べちゃえばよかったなぁ)

「…妖夢、妖夢!」

「……わっ。びっくりした。どうかしましたか?」

「どうかしましたか、じゃないわよ~。急にボーっとしちゃって。大丈夫なの?」

……どうやら自分の世界に入ってしまったらしい。幽々子様に指摘されるなんて…もっとしっかりしなきゃ。

「すみません。ちょっと考え事していまして…たいしたことじゃないので大丈夫です。それより、幽々子様こそ大丈夫ですか?朝食だってかなり残しちゃってるじゃないですか」

「平気よ~。 …しっかり食べたしね(ボソ)」

「え?何か言いました?」

「いいえ。何も言ってないわ。とにかく大丈夫よ」

……どうやら本当に大丈夫らしい。でも万が一ということもあるから今日はあの茸を調べないと。

「そうですか。では私は調べたいことがあるので少し失礼します」

……とりあえず魔理沙に聞いてみるとしますか。たぶん神社にいるわよね。




「……も~、なんで妖夢ったらかまってくれないのよ~。図書館の本に書いてあったことを実践したのになぁ~。普段とは逆のことをやるとかまってもらえるって……そうだわ。食べないんじゃなくて食べさせてあげればいいのよ!……よし!そうと決まれば早速夕食の支度をしなきゃね~♪」

 只今の時刻AM10:30。夕食などと言うレベルではない。寧ろ昼前というべき時間である。しかし、幽々子はそのようなことはまるでお構いなしに一心不乱に、それこそ鬼気迫る勢いで夕食の準備をしている。その様な事をする必要など全く全然これっぽっちもないのだが。

「え~っとぉ、お砂糖は何処にあるのかしら?………あ、これね。なんかしょっぱいけど多分おいしくなるからいいでしょ。……あっ、ちょっと入れすぎちゃった。水入れて薄めれば大丈夫よね」


予想通りというべきか幽々子の料理(?)の完成は困難をきわめた。野菜等ならまだしも調味料の類が見つからなかったのと、ついうっかり規定量をはるかに超えて調味料を入れてしまうのでそのリカバリーに勤しんだりと、調理以外のことに手間取ったからだ。



  一方、妖夢は…


「霊夢。魔理沙は来ていますか?」

「ん~、今日はまだ見てないわよ。どうかしたの?あいつに何か用事でもあるの?」

「や、用事ってほどでもないんですけど……そういえば霊夢は昨日魔理沙から茸もらいましたか?」

「あぁ、あの松茸ね。おいしくいただいたわよ。……ってどうしたの?なんか影背負ってるわよ」

「……いえ、いいんです。そうですか。本当に松茸だったんですか。おいしくいただいたんですか。……よかったですね。私がもらったのは全部幽々子様が食べてしまいましたし」

(……ここまで落ち込む妖夢は見たことないわね。よっぽど食べたかったのかしら。…とはいえ、ここにはもう残ってないしなぁ。……ん?あれは)

「おーい!魔理沙―!」

「ん?どうした?…なんだか珍しい組み合わせだな。それになんで妖夢は影背負ってるんだ?」

「どうやら昨日の松茸全部幽々子に食べられちゃったみたいなのよ。はっきり聞いたわけじゃないからわからないけど多分食べたかったんだと思うのよね。」

「ふ~ん。じゃあお前の分わけてやれよ。昨日いっぱいあげたろ?」

「…まぁ確かに少し残ってるけどそれは今日の夜にこっそりと――」

「残ってるんだったら分けてくださいよ!」

「「わっ、びっくりした」」

「どうしたのよ、妖夢。いきなり大声だすなんて、びっくりするじゃない」

「そうだぜ。それにさっきまで背負っていた影はどうした?」

「影なんてどうでもいいです。そんなことより松茸!松茸ですよ!」

「わ、わかったから落ち着いて。松茸がどうかしたの?」

「食べたいんです!」

「…だってさ、どうするんだ?霊夢」

「う~ん、もう少しあったら分けてもいいんだけどねぇ。なんせあと二個しかないし……そうだ。魔理沙、アンタちょっと松茸採ってきなさいよ」

「え~、めんどくさいぜ。悪いがパスだな」

「つべこべ言わないの。ご相伴に預からせてあげるから行ってきなさい」

「へいへい、わかったよ。かわりにうまいメシくわせてくれよ?」

「それなら任せて下さい!私が腕によりをかけてつくります!」

「じゃあ、わたしはシエスタしてるから」

「では、できたら起こしますね。魔理沙、2,3個もあれば十分ですよ?」

「おう、わかったぜ。出来るだけ早く戻るな」

「じゃあ霊夢、少し台所借りますね」

「うん、よろしくね。そこら辺にあるものは使ってもいいから」

「ありがとうございます。夕食は豪華なものにしてみせます!」

「……って今から夕食の準備するの?早すぎない?まだ昼前よ?」

「いえ、下準備するだけですよ。流石に今から本腰入れてなんてしませんよ。できてもまた温め直さなきゃいけないし二度手間になるじゃないですか。そんな阿呆なことしませんよ」

「そう、別にいいけど。料理に関しては完全に任せちゃっていいわね?」

「ええ、大丈夫ですよ。今日は帰って幽々子様の夕食をつくらなくてもいいみたいだし」

「……なんで?幽々子風邪でもひいたの?ってゆうか幽霊って風邪ひくの?」

「ひきませんよ。朝食を少ししか召し上がらなかったんですけど、大丈夫ですかとたずねたら、大丈夫と答えがかえってきたので多分大丈夫ですよ」

「そうなの。まぁ私には関係ないことね。とりあえず、おとなしく待ってるわ」

「はい!楽しみにしててくださいね!」



  数刻後



「できましたよ~」

「おおっ。うまそうだな」

「なんていうか、本当に豪華ね……私の昨日のご飯がものすごく惨めにみえるくらいだわ。」

「霊夢さんもちゃんと料理すればこれくらいできますよ?全部あったものをつかってつくりましたから」

「じゃあ、今度またつくってね」

「っておい。教わるんじゃないのかよ」

「いやよ。めんどくさいじゃない。それにこんなにおいしい料理つくるの大変そうじゃない」

「それもそうだな。私にはこんなのつくれないしな!」

「ま、まぁまた今度何かあったら夕食くらいつくりますよ?」

「えらい!流石は妖夢だ!ついでといっちゃあなんだが酒のつまみもたのむぜ!」

「はいはい、わかりましたよ。少し待ってて下さいね」

……そういえば今幽々子様何してるかな?朝食の食べた量からみて、それぐらいのまかないは用意してあるけどもう少ししたら帰ろうかな



「松茸ご馳走様でした」

「いえいえ、こちらこそ。おいしいご飯ありがとうね。なんかあったらまたよろしくたのむわね」

「じゃあ、おやすみなさいです。本当にありがとうございました」

「また、頼むなー」

「アンタも早く帰りなさい」

「えー、今日ぐらい泊めてくれよ」

「アンタ、ここんとこやけにウチに泊まりたがるわね。なんかあったの?」

「いやー、実は家があんまりにもきたなくてそろそろ寝る場所も危ういんだ。かといって掃除するのはめんどくさいし…だから、泊めて――」

「とっとと帰れ!」



「幽々子様ー?大丈夫ですかー?」

「よーむー♪おそかったわね。調べ物ってヤツはすんだの?」

「ええ、すみましたけど……なんだかすごい匂いがするんですけどなにやったんですか?」

「あっ!そうなの!わたしねぇ、アナタのために料理つくってあげたの!ねぇねぇ食べてみて!」

……なんだろう、コレは。とってもおいしそうな外見と匂いなのに。本能がこれを口にするな、と告げている。どうしよう。でも幽々子様が私のためにつくってくれたものだし。でも、なんだろう。この物体から感じる異様なプレッシャーは。あぁなんだか変な汗かいてきた。そろそろ覚悟を決めなきゃ。幽々子様が笑顔で、笑顔で!こっちみてるし。一応湯気が、湯気に見えるものが出てるから早めに食べた方がいいのだろうけど、けど!こ、これは…!

「どうしたの?妖夢。冷めちゃうわよ?」

……くっ。いつもなら嬉しいはずのその笑顔も今はつらい、つらいです!でも――

「では………頂きます」

……あれ?これは――

「おいしい…」

「本当?よかったぁ。あ、明日でいいから台所片付けていてね。おやすみ~」

……まぁ、後片付けに関しては期待してなかったけどコレは意外とおいしい。あの謎のプレッシャーはなんだったのかな?まぁいいや。

「幽々子様有難う御座います……」

  ポタッ

……不覚にも涙が出てしまった。

  ポタッ ポタッ

……あれ?これは涙じゃなくて汗?それになんだか体が震えてきて。なんだか周りの景色もぐるぐるしてきて。やっぱり爆弾でしたか……

  バタッ

 それが本日の妖夢の最後の意識だった。



  次の日



「なんて物を食べさせたんですか、貴女は!」

「まぁまぁ、結局なんともなかったんだからいいじゃない」

「結果が良ければなんでも許されると思ったら大間違いですよっ!世の中はそんなに甘くありません!」

「じゃあ、お詫びにまた料理つくってあげるわよ」

「いえ、もう勘弁してください。料理は私がつくります。あなたの望むことは一つだけ叶えます。だから、もう料理しないでください!」

「そんな泣きながら言われてもねぇ……まぁいいわ。じゃあ今から私をかまいなさい。」

「……はぁ、それでしたら――よろこんでっ!」
 え~はじめまして。杉田咲です。この作品が初めてなのでがっつり批評してくれるとありがたいです。
杉田咲
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.340簡易評価
1.70煉獄削除
なんだろ・・・話は良いと思いますがなんか淡白なような感じが・・・。
とりあえずキャラの台詞にくらべて文章が少ないのかな。
そこのところを努力すればもっと良くなるかと私は思います。(自身ないけど)
さっきも書きましたが作品は面白かったですよ。
次の作品にも期待したいですね。
2.40名前が無い程度の能力削除
もう少しメリハリがほしいね。
単調な感じ。
3.70名前が無い程度の能力削除
どうも文章に状況・心情の説明が少ないように感じるね
そこをかわりに表現するために記号(…!?)を多用してるのも、文章に安易さを出すことになってる
文章が平坦に感じるのはそのせい
話の構成はよかったから、後は会話を減らすよう書き慣れるだけ
今後に期待してこの点で
9.60名前が無い程度の能力削除
のほほんとしたストーリーで、白玉楼の緩やかな雰囲気にあった内容だったと思います。
しかし他のかたのコメにもあるように、もう少し周りの状況や人物の表情、心境を示す地の文が欲しかったです。
一応、会話を追えば分かりますが、その説明があるともっと人物やストーリーに魅力が出てくると思いますよ。
まず5W1Hを心掛けて文を書くように練習して見てはいかがでしょうか。