東方神魔譚（EP）

　東方シリーズ二次創作
『東方神魔譚』
　エピローグ



　夜明け前の博麗神社。
　昼のざわめきも何も無い。ただ静かで、朝日が昇るのを待っているだけの世界。
　そんな博麗神社から出てくる人影。肩には大きな荷物を危なげ無く、しっかりと持っている。その人物は、物音を立てないように細心の注意を払いながら、鳥居の方へと向かっていった。

「こんな朝っぱらから何処行くつもりなのかしら、響羅刹」

　誰もいない筈の境内に凛と響く声。
　羅刹はゆっくりと振り返り、賽銭箱の前に佇む見慣れた人影に話しかける。

「そんなの決まってるじゃないですか。幻想郷から出ていくんですよ」
「唐突に来たかと思えば、何も言わずに帰るのね」
「自分勝手は今に始まった事ではないでしょう？」
「そうね。・・・最後にお茶の一杯でも付き合いなさいよ」

　霊夢はそう言って、手に持っていた水筒を見せ付けるように振る。

「ええ、喜んで」

　進路を変更し、霊夢の元へと向かう羅刹。２人で賽銭箱の前に並んで座ると、紙コップにお茶を注ぐ。立ち昇る湯気がコップの中身の温度を物語っている。

「これで湯飲みだったら最高なんですけどね」
「文句言わないの」
「はい・・・・・・・・・結局、一週間しか手伝いは出来ませんでしたね」
「そうね。でも、十分助かったわ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「何も、聞かないんですか？」
「聞いてほしいの？」
「いいえ、まったく」

　しばらく間、会話もせずに東の空を見つめる２人。薄紫色に染まる空からゆっくりと顔を出す朝日は、いつもと変わらぬ強い光を放っている。そんな光景の中、お茶を啜る音だけが、境内に響いている。

「一応・・・理由は察しているつもりよ」
「そうですか・・・・・・・・・やっぱり、自分のルーツくらいは知りたいじゃないですか。それに、僕をこんな体にした責任を取ってもらわないと」
「まあ、私には何とも言えないけどね」

　霊夢は紙コップに残ったお茶を一気に飲み干す。
　そのコップを脇に置くと、大きく伸びをして立ち上がる。

「帰ってくるの？」
「さあ・・・帰る帰らない以前に、生き残れるかの問題ですから」
「私が聞いてるのは、帰ってくる気があるか無いか」
「・・・・・・ありますよ。もう一度勝負したいですから、あなたと」
「それは、正直勘弁してほしいわね」

　引き攣った顔で苦笑いをする霊夢。羅刹も、その姿が想像できたのか、口元を押さえて笑いを堪えている。

「でもまあ、帰ってくる気があるなら、私の言いたい事は１つだけ」

　霊夢はそう言って鳥居の下へと移動し、右手を上げる。

「いってらっしゃい」

　羅刹はその手が意図する事を理解すると、霊夢の方へと歩き出す。
　そして自分も右手を振り上げて、すれ違いざまに霊夢のそれに合わせる。

パァン！！

　甲高く響く音。両者の手に残る心地いい痛み。

「いってきます」

　羅刹はその手を強く握り締め、博麗大結界へと向けて飛翔する。
　以前よりも格段に速い飛行速度の為、視界が歪む。だが、そんな事は一切気にしない。
　ただ、胸の奥から湧き上がる感情に身を任せて、昨日より少しでも速く、そして遠くへと進む。

　少しでも早くこの場所に、幻想郷に戻って来る為に・・・・・・



　ねくすと・ふぁんたずむ　

　これを読んだ人が何を言いたいか、ええ分かってますとも。でもあれは一夜限りの夢なんです。きっと自分含めて皆が夢を見たんです。
　・・・・・はい、現実逃避は止めます。全部自分が悪いんです。こんな事すべきではないと十分承知しておりますゆえ。
　でも、これで良かったんですよ。個人的にも焦りがあった作品だし、さっさと消して書き直すが吉。書き直すレベルではなく、別物になったのはご愛嬌。金と権力振りかざしテロリストだって地獄行き（←分かる人には分かるかも）
　コンセプトは、短く簡潔に。ほんとに短いですね。

　とにかく無理矢理一段落つけて次を書こう。
　そこで一つ問題が生まれた。私は、東方キャラをだけを上手く使う自信と実力が無いのです。そんな訳で、ウチのらっちゃん（注：羅刹）にはもう少し活躍してもらう事にしました。人間界に強制送還されて、今度は幻想郷に強制送還？違うな、言い方が・・・。
　何はともあれ、お次は『Shall we ...？』シリーズを公開しようかと思っております。一言で言えば、一話完結の何でもあり無法ｓｓ。
　編集は、黒魔法音楽堂三原色の一人。割と普通な常識人？の白魔法が担当。黒と裏は暫く休養かな？裏は休養以前に動いてもいないけどね。
　そして東方キャラだけでｓｓ書ける日が来るのを願う。

　そしていつか念願の、東方での『相互互助計画』を実行するのだ。
　天涯孤独の博麗霊夢が家族の絆を知る、キャスティングクロスオーバー。『東方計画』いつか公開！！（←きっと嘘です）

　最後に、裏鍵さんに答えよう答えようと思いながら答えずじまいだった神様の名前。ぶっちゃけ言うと、考えとりません。正直に言ってしまうと、当初は会話すら無いという設定だったので。でも、完結編を書くならいつか出す。だから、今から考えておく。

　そんな訳で、最近お気に入りのバタフライ・キスにのせて、このｓｓを送ります。（注：間違ってもこの曲かけて読まないように。つーか、曲かけるような物でもないですね）



７／１８
　あれ、おかしいな。羅っちゃんが、幻想郷を知っていた理由は７話に書いたはずだったけど・・・。一応ここにも書くけど、神と屍神が知ってたんだよ。簡単に言えば記憶の混濁による勘違いです。まあ、少し説明が弱い気がするけどね。
　偽者か・・・・・これは出る予定すらなかった人だから、ちょっといい加減に扱いすぎた結果って事で勘弁してくださいな。
　あと、ルーツ。この言葉が、一番ややこしい書きかたしてしまったと思ってる。一言で言えば、自分の親探しです。結局、自分の親を探すのが、一番の近道だと判断した、だから探してみる、と言うことです。やっぱり、分かり難いな、これ。

　残りは『Shall we』で語る可能性大だから、黙っとくさ。