Coolier - 新生・東方創想話

恐怖のPK ~レティの⑨改造計画~

2008/02/20 08:59:36
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チルノは⑨だ。
これを見ている人で今更「⑨って何やねん」と言う人はいないと思うが、言うなればバカだ。
その⑨っぷりは眼に余る物がある。私ならずとも、あれは頭を痛めるかもしれない。
私は比較的…と言っても、冬の間だけしか私は起きていないわけだが…チルノの近くにいる。
最初は成り行き…。長い冬の異変の時に出会って、一緒にプレイヤーキャラにボコボコにされた寒い者同士、仲良くしようと言う事で意気投合(?)した。
それ以来冬の間はずっと一緒にいるのだが、それ故に、チルノの⑨レベルには最早笑えてくる。いや、面白いと言う意味ではなく。
…正直、こんな事を思いついた私は愚かかもしれない。しかし、やらずにはいられなかった。
チルノを見ていると、なんだか出来ない娘を持ったような感情を抱いてしまう。妖怪と妖精と言う違いがあるはずなのに。
…とにかく、チルノの⑨は放っておけない。となると、私のやるべき事は一つ…。
「チルノに勉強させましょう!!」
…私、レティ・ホワイトロックの妖怪生活最大の壁に挑戦した。


「そういう訳で!チルノ用に勉強講座を開いてみたいのよ!!」
雪の積もる紅魔館近くの湖で、私は相談相手として誘った3人の人間と半獣(1人しかいねぇ!)と妖精に向けて言った。
…だが、反応は微妙と言うかなんと言うか、なんか勘弁してくれ、と顔が言っている。
「…レティさん、何がそういう訳なのか分からない上に、それって不可能じゃないんでしょうか。」
私が相談を持ちかけた3人のうち、チルノと最も付き合いの長い大妖精は、流石に最初から諦めていた。
まあ、チルノと付き合っていれば誰でもそう思うかもしれない。だってそれが出来るならばとうにやってる筈だからだ。
しかし、無駄だと諦めてしまえばそこで終わりだ。諦めたら、そこで試合終了だ。
「駄目よ大妖精、これは私の妖怪としての最大の使命と言ってもいいのよ。」
「妖怪が他人(妖精)に尽くすのは感心なんだが…。…これは、ちょっと…。」
相談を持ちかけた3人のうちの1人、上白沢慧音が一枚の用紙を見て顔を顰める。
彼女が持っているのは、先日私が思いつきでチルノにやらせたちょっとした問題だ。
因みに同じ問題を大妖精にやらせてみたら、チルノの1/10の時間で10問中8問正解を取った。
それでは、ちょっとその当時の回想、今回こんな事を言い出す切欠になった出来事を…。


 * * * 3日前 * * *


その日、私は朝のちょっとした時間に、適当に思いついた問題を紙に書いて、チルノに持っていった。
チルノの⑨を治そうと思ったのは別に今回が初めてではないのだが、行動に移したのはこれが初めてだった。
ものの10分ほどで出来上がった問題は、難易度がかなりバラバラだが、実力を測るには丁度良いと自負出来るものには仕上がった。
まあ流石にこれくらいは…と思って、私はそれをチルノにやらせてみた…のだが…。

「チルノ、ちょっとこの問題をやってみて。」
「はぁ?何でこんなのやらなきゃなんないのよ。」
やっぱり反論された。勿論すんなり回答してくれるとは微塵も思っていない。
不本意ながら、こういう時のチルノの扱いには慣れてしまっていた。
「あら、この程度の問題も解けないようじゃ、最強の妖精なんてやっぱり口だけなのね。」
予想通り、チルノはその言葉を聞いた途端に、頬を真っ赤にして眼を吊り上げた。
「なっ!!あたいはさいきょーなんだからね!!見てなさいよレティ!!こんな問題一瞬で解いてやるんだからね!!」
チルノは私の手から問題用紙(と一緒に持ってきた鉛筆)を奪い取り、そこら辺の丸太を机に問題を解き始める。
まあ、一瞬は無理だとしても、少しくらい時間を掛ければ流石のチルノでも0点はないだろう。その程度の問題のはずだ…。
…そう少しでも思った私も⑨だった事は、勿論言うまでもない…。
「え…え~っと…。…これが…これで…それで…。」
…少し離れたところで見ていたのだが、なんと言うか、段々とナイーブになってきた。
…そんなに悩む問題だったか?もう始めてから20分は経つぞ?分からない所は飛ばしなさいよ。
横で一緒に見ていた大妖精も、なんだか不安そうな表情を浮かべている。
…そして、それから悲劇が起こった。
「…ああ…あたまがぁ…とけるぅ…。」
マジで溶け始めていた。
「きゃーーーっ!!!チルノちゃーーーん!!」
「ちょっ、流石にこれは想定外よ!!」
私は急いでありったけの冷気を集め、チルノの頭を冷やしにかかる。
この時、心底能力が「寒気を操る程度の能力」で良かったと思った。辺りが寒ければ力は使い放題だ。
氷点下100度ほどの冷気を一気にチルノに叩き込み、何とか液化現象を止めた。
幸い、多少頭の形が変わったくらいで済んだ。どうせ明日には治ってるだろう。

「はぁ…はぁ…、れ、れてぃ…む、むずかしいわよ…。…さすがのあたいでも…わかんないって…。」
…いや、そんなはずは…。…とはもう思わない。チルノよりも私が⑨だった事はもう分かった。
まさか此処まで半端ない⑨だったとは…。
「…これで少しも分からないって…チルノちゃん…。」
大妖精はチルノの解答用紙を見ながらぼやいていた。まあ今のチルノには聞こえないだろうから。
「…そんなに難しく考えなくていいわよ、いいから最後までがんばってみなさい。博麗の巫女でもこれくらいは解けるわよ。」
何故此処で霊夢を例えに出したのかは自分でもよく分からない。まあ頭春だし、いいか。
文句を言い返す気力もなかったのか、チルノは大妖精から解答用紙を力なく奪い取り、もう一度問題を解き始めた。
「チルノちゃん…。」
それを不安げな様子で眺める大妖精。
勿論友を気遣ってと言う事もあるのだろうが、恐らくメインはチルノの⑨レベルに関してだろう…。
…ああ、私はまだ解答用紙を見ていないが、もう既に不安の大喝采だ。粉砕、玉砕、大喝采。

…それからさらに30分ほどかけて、ようやく全部回答し終えたチルノを大妖精に任せて、私は自分の住処へと帰り着いた。
と言うのも、チルノの脳ミソがオーバーヒート寸前になったので、暫く休ませた方がいいと思ったからだ。流石は威力140。
…まあ、チルノの相手はやっぱり大妖精が一番だろう。私だと余計な世話を焼いてしまう。
さて、テストの採点をするか…。…そう思って問題を広げて…。

…私は泣いた。それはもう盛大に。


【問1:(x+1)(x-1)を展開しなさい】
【正式な回答:x^2(エックス二乗)-1】
【チルノ回答:展開って何?】

…うん、解けるとは思わなかったけどまさか「展開って何?」と書かれるとは思わなかった。

【問2:「■肉■食」の■に言葉を入れて、四字熟語を完成させなさい】
【正式な回答:弱、強】
【チルノ回答:お、を】

焼肉定食、と書いてくれたほうがまだ良かった気がする…。…なによ「お肉を食」って…。

【問3:『敵に塩を送る』の意味を答えなさい】
【正式な回答:(例)相手が苦しい立場の時は情けを掛ける】
【チルノ回答:いやがらせ】

…うっかり○しそうになった…。…なんかその意味でも通じそうな気がしなくもないんですけど…。

【問4:次の英語の読み方を書きなさい 『Frost Columns』】
【正式な回答:フロストコラムス(フロースト、カラムスでも可)】
【チルノ回答:えふあーるおーえすてぃーしーおーえるゆーえぬえむえす】

お前は何時も自分のスペルをどうやって作ってるんだ!!しかもMとN逆かよ!!Frost Colunmsかよ!!

【問5:6+7=?】
【正式な回答:13】
【チルノ回答:8】

…あの⑨は簡単な足し算さえ出来ないのか…。…階段方式に書かなくてもいいじゃん…。

【問6:「うってかわって」を使って短文をつくりなさい】
【正式な回答:(例)昨日とは“うってかわって”晴れやかだ。】
【チルノ回答:レティはくすりを(以下自重)】

誰だチルノにそんな事教えた奴は!!しかも私か!!打って変わったのはのは私か!!

【問7:仕事に失敗した門番にメイド長がナイフを15本刺しました。しかしこれでは足りないと思って、さらに30本刺しました。
    2回目に刺した時点でのナイフの総数は、1回目の時点でのナイフの総数の何倍でしょう】
【正式な回答:3倍】
【チルノ回答:安倍】

誰だ!!誰だ安倍って!!元総理か!?元総理なのか!?そもそも何故安倍が書ける奴が足し算出来ないんだ!!

【問8:7+6=?】
【正式な回答:13】
【チルノ回答:5】

何で問5と答えが違うんだよ!!同じ問題だろ数字が逆とは言え!!せめて二つの数より大きい数字を書いてくれ!!

【問9:「As」で表される原子を答えなさい】
【正式な回答:砒素】
【チルノ回答:あたいさいきょー】

やると思ったよ!!分かっておきながら問題出した私も私だけど!!ホントに原子レベルの脳ミソだな!!

【問10:次の英語の意味を答えなさい 『Metabolic Syndrome』】
【正式な回答:(例)代謝症候群】
【チルノ回答:レティ・ホワイトロック】


「ぐおおおおぉぉぉぉぁあああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」
誰がメタボだ!!誰が太ましいんだチクショウがああぁぁぁ!!!!しかもフルネームなのが尚更ムカつく!!!!
当たり判定がでかいからって太い言うなああぁぁぁ!!!!猫よりちょっと広いだけだろおぉぉぉ!!!!
そもそもなんで私はこんな問題出したんだあああぁぁぁ!!!!これじゃネタ振ってるだけじゃないかあああぁぁぁぁ!!!!


 * * * 回想(強制)終了 * * *


「…これじゃ勉強してもすぐ溶けるんじゃない?」
私が相談を持ちかけた3人のうちの1人、博麗霊夢がごもっともな感想を述べる。
因みに大妖精はともかく、何で上白沢慧音と博麗霊夢まで相談に乗ってくれたのか、先に言っておくとする。
霊夢は至って簡単。相談に乗ってくれたらお賽銭を入れると言ったら快く承知してくれた。
慧音はよく迷いの竹林に行くというので、竹林の入り口で待っていたら、そこから出てきた慧音を発見。
事情を話して頭を下げたら、わりとあっさりOKの返事をくれた。要するに別にどちらもどうと言う理由はないのだが…。
…ただ竹林から出てきた彼女はやたらと機嫌がよかったが…。…何かあったのかしら。まあ、別にどうでもいいけど。
「そうよねぇ…。…どうしてチルノはあんなにあれなのかしら…。」
はぁ、とため息が出る。冬の間しか起きていないのだから、幸せを逃がしたくはないけれど…。
妖精は基本的には控えめな性格(無論チルノは除く)なので、頭が良いか悪いかと言われたら、少なくとも妖怪よりは良くない。
勿論、頭のよい妖精もいる。大妖精なんかは流石に“大”妖精と言われるだけあって(あくまで呼称だけど)、そんじゅそこらの妖怪よりは知識がある。
だが、チルノは妖精の中でも輪をかけて⑨だ。魔力が強いのは良いのだが、それに反比例して頭は最底辺。
何がどう間違ってチルノはあそこまで⑨になってしまったのだろうか…。…アイシクルフォール(Easy)…。
とにかく、成り行きとは言え私はチルノの保護者(?)みたいなものなんだから、その辺はしっかり教育しなければならない。
あれだけ⑨だと、一々⑨呼ばわりされるたびに弾幕合戦だ。妖精なんだから死にはしないだろうが、見ているのが辛い。
何がって、チルノがムキになって⑨ロードを爆走するのが。見ていて恥ずかしいのはこっちだ。
「ナントカは死なないと治らないと言うが…、…確実に死んでも治らないな、これは。」
慧音がため息を吐く。私もため息をつけば大妖精と霊夢も同時にため息を吐いた。
「…でも、でもせめて足し算ぐらいは出来るようになって欲しいのよ!!」
しかし、私は諦める訳にはいかない。此処で諦めてしまってはチルノのためにならない。
…いや、本人は別に無関心かもしれないけど。⑨のままの方が何も考えなくて済むかもしれないけど!!
「随分とレベルの低い目標ね。まあ、意気込みは賞賛するけど…。」
霊夢が「はい、私は呆れています」と白状している表情を浮かべる。
…ええい!!幾らでも呆れるがいい!!これは私の使命であり夢だ!!
アイ ハブ ア ドリーム!!素晴らしい台詞じゃないか!!
ボーイズ ビー アンビシャス!!私は絶対に諦めない!!ボーイズじゃないけど!!
「とにかくっ!!!!…はぶっ!!」
私は机を思いっきり叩こうとして、そんなもの最初からない事に気付く。思いっきり前のめりに転倒した。
しかし、この程度の障害など何のこの、すぐに起き上がって顔についた雪を払う。
「このままじゃチルノのためにならないのは明白!!無理だと諦めては駄目!!出来る出来ないじゃなくて、やるのよ!!
これは私の妖怪生活最大のプロジェクトよ!!なんとしてでもチルノに勉強させるのよ!!」
ビシィッ!!と効果音つきで天を指差す。
…あれ?私今ちょっとカッコいい?1ボスだし太ましいとか言われてる私だけど、ちょっと輝いてない?
ぼそぼそと小さな声で会話をする大妖精と慧音と霊夢。
ああ、きっと今の私の事を話しているのね。そうでしょう、決まってるでしょ?
妖怪生活初の高揚感に、私は暫く身をゆだねる事にした。


 * * * * * *


「…レティさん、キャラ変わってますね…。(大)」
「…私に相談があると言った時は、もう少し静かな印象だったが…。(慧)」
「…なんていうか、少しイタいキャラになってるわね…(霊)」
「…多分、普段あまり目立たないから、ちょっとした反動でああなってるんですよ…(大)」
「…気持ちは分からなくもないが、それにしても何だあの満面の笑みは…。(慧)」
「…チルノより、あいつの頭を先に治した方がいいんじゃないかしら…。(霊)」


 * * * * * *


「そういう事で、今からみんなに役割を説明するわ。」
3人の内緒話が終わるまで待ってから、私は話を切り出す。
話の内容なんて訊くまでもない、きっと私の事を褒めていてくれたに違いないのだから。
ほら、今だった私の事を直視できないのか、眼が明後日の方へ向いているしね。
「大妖精は私と一緒にチルノの授業をやってやしいの。」
「…えっと、レティさん、本当にやるんですか…?」
「成功したらチルノが弾幕合戦で騒ぐ事がなくなるかもよ?」
「…が、頑張ります。」
…よし。
「上白沢先生には教材の製作をお願いします。明日までに。」
「…氷精のレベルに合わせるのは難しそうだな…。…しかも明日までとは…。」
「頑張る姿を見てもらえたら、思い人の心を引けるかもしれませんよ?」
「…ぜ、善処しよう…。」
…あれ?冗談で言ったつもりだったんだけど効果覿面?
「霊夢には道具の調達をお願いするわ。」
「何で慧音は「上白沢先生」で、私が「霊夢」なのかをかいつまんで説明して。」
「賽銭。」
「30分待ってなさい、ツテはあるから。」
よし、全員洗脳成功。そんなに早くなくてもいいけど。
慧音の教材が出来るまでは暫く休むとしよう。明日からはハードスケジュールになりそうだ。
「よし、それじゃ今日は解散よ。」
それだけ言って、私は住処に戻る事にした。


 * * * * * *


「しかし、明日までとは…。…これは本気でやらなくてはな…。(慧)」
「随分と熱心ね。そんなにあいつに見てもらいたいの?(霊)」
「~~~~ッ!!!!なっ!!なんで妹紅にっ!!」
「あら、私は妹紅になんて一言も言ってないけどね。」
「…うぅ~…!!…そ、それより霊夢、さっきのレティの事なんだが…。」
「無理やり話を変えたわね。で、何かしら?」
「いや、一つだけ言いたい事があってな…。」
「奇遇ね、私もよ。」


「「どう考えても相談じゃなくて仕事押し付けただけだろ!!!!」」


 * * *  チルノ改造計画 ~初日~  * * *


翌日、私はチルノを呼び出した。プロジェクト⑨の始動である。名前は今決めたけど。
「なによレティ、今日はルーミアと遊びにいこうと思ってたのに…。」
「そ~なのか~。」
…呼びつけたらオマケでルーミアが付いて来た。とは言っても今は真っ黒い球体にしか見えないが。
まあいいや、競争相手がいるというのは丁度いい。ついでにチルノに勉強をさせる口実にもなる。
せっかくなので、ルーミアにもついでに勉強させるとしよう。
「今日呼んだのは他でもないわ、これから私が起きてる間中、ずっと勉強よ。」
チルノの表情が固まる。どうやら脳が私の言葉を理解するのを拒んでいるようだ。
…原子レベルの脳ミソの癖に、ガードだけはしっかりしてるなぁ…。
「…な、なななな、何で勉強なんかしなくちゃいけないのよ!!そんな事しなくてもあたいはさいきょーなんだから!!」
まあ、この反応は予想の範囲内だ。
こういう時は、チルノの短気な性格を利用するのがいい。
「じゃあチルノ、問題よ。霊夢が町でりんごを5個買いました。
しかし、たまたまその日は安売りをしていたので、オマケでもう2個りんごを買いました。
さて、霊夢は合計で何個のりんごを買ったでしょう?」
手っ取り早く説明するなら「5+2=?」の問題である。勿論普通の人ならば即答出来なければならない。
だが、チルノはこめかみに指を当てて考え込む。6+7が出来ないのに、これが出来るはずもない。階段方式でも答えられないし。
「…ほら見なさい。ルーミア、代わりに答えて。」
此処で偶然のルーミアの存在が役に立つ事になる。
要するにチルノは闘争心が強いから、他の人が答えられれば、対抗意識を燃やして勉強に励んでくれる。
本当は大妖精にこの役をやらせる心算だったが、大妖精と比べればルーミアの方が、こう言うのは可愛そうだが親しくない分、より効果的だ。
…そう思ったのだが…。…ちょっと予想外の出来事が起きた…。
「ゼロ。」
…はい?今なんて言いました?今日は耳が遠いなぁ。
「ゼロ。私が全部食べるから。」
…無性に殴りたくなったが、ルーミアの何の悪意もない無邪気な笑顔を見る(見えないけどそうだろう)と、その気持ちが霧散してしまう。
…問題の出し方が悪かったか…。
「…ごめんなさいルーミア、じゃあ5+2は?」
「ん~、それは7。」
ああ良かった。少なくともチルノよりは頭は良かった。
とは言ってもさっきの問題を、幾らそう言うキャラが定着気味だからってゼロと答えるのはどうかと思う。
…やっぱり、ルーミアも勉強ね。
とにかく、今は気を取り直してチルノを挑発してみよう。
「さあチルノ、ルーミアは足し算できるわよ?だけどあなたは出来ないみたいね。これで最強なんて言い張る心算?」
素晴らしいくらいに予想通りの反応を見せる。
頬を真っ赤にして、眼を吊り上げて、青筋立てて、それはそれは何時も通りのチルノだった。
「な、ば、馬鹿にするんじゃないわよ!!今の問題だって、分かってたけどルーミアに答えさせてあげようかな~、って思っただけ!!
いいじゃない、やってやるわよ!!あたいはさいきょーなんだって事を分からせてやるわ!!」
はぁ、とため息が出た。やる気を出してくれるのはいいのだが、こうも単純だと少し悲しくなる。
まあいいか、結局は計画通りに言ったわけなんだし。
「そ~なのか~。じゃあ今日は私は帰るわ~。」
…ふよふよと浮かび上がる黒い球体に、私は手を突っ込んだ。
「ひゃうっ!!」
感触からして、掴んだのは首根っこだろうか。
…今の私から、逃げられると思うな…。
「ルーミア、あなたもお・べ・ん・きょ・う・よ♪」
その時の私の笑顔は、きっととても輝いていたに違いない。


 * * * * * *


勉強場の方は大妖精に頼んでセッティングしてもらった。
とは言っても、手ごろな切り株を探して、その周辺に霊夢から預かった物を置いてもらっただけだが。
霊夢が持ってきてくれたのは「黒板」と言う奴で、外の世界での勉強に使うものらしい。
黒…と言うよりは深緑の板に「チョーク」と言う物で書いて、「黒板消し」と言う専用の消しゴムみたいな物で何度でも書き直せる優れものだ。
霊夢は香霖堂でこれらを見つけてくれたらしい。しかも無料で譲ってくれたとか。
一応面識(とは言っても一方的に煙たがられているみたいだが)がない事はないので、お礼を言いに朝方に香霖堂に行ったのだが…。
…何故か扉に「暫く休業、開店日未定、誰も入ってこないで下さい(特に紅白巫女)」との張り紙が張ってあった。
う~ん、何があったのだろうか…。…ま、いっか。覚えてたらそのうちお礼をしに行こう。
「さて、チルノ、それとルーミア、これが今日から使う教科書だからね。大事にしなさい。」
そう言って、慧音に貰った教科書「ナントカにつける薬(命名&著者:上白沢慧音)」二冊をチルノとルーミアに渡す。
元々は私(兼大妖精)とチルノ用だったのだが、別にちょっとパラパラ読んだだけで大体内容は把握できたので、特に必要はない。
「うええぇぇ…。…難しい事ばっか…。」
…聞こえない聞こえない。私が言う前に中身を確認しているところはまだ優秀だが。
「暗くてよく見えない~…。」
「じゃあ闇を少し薄くしなさい!!」
こっちにはつっ込まずにはいられなかった。
常日頃闇に包まれてるからって、本を読むときぐらいは闇を薄くすると言う知恵はないのか。
…いや、そもそも普段本を読まないのか…。
「う~…。眩しいからいやなんだよなぁ…。」
愚痴はこぼしたものの、中のルーミアが確認できる程度には闇が薄れる。
…まあ、あれで文字が見えるというならば別に問題はないか。
「…レティさん、本当に大丈夫なんですか…?」
チルノが教科書読解に悪戦苦闘している間に、大妖精が私に耳打ちしてきた。
未だに不安らしい。それはそうだ、私だって不安がないとは言えない。
しかし、何度も言うとおり私はやらなくてはならない。ただのおせっかいと思われようとも。
「まあ、後悔するならやってからにしましょう。あの教科書もしっかりしてたし、期待できるわ。」
先ほど読んだあの教科書は、著者の熱意が伝わってくるほどに良く出来ていた。
それだけ真面目に作ってくれた慧音の事を思うと、尚更私はやる気が出てくる。
これからは敬意を評して、本当に上白沢先生と呼ぶ事にしよう。
先生、私の勇士を見守っていてください、雲の上から。

「勝手に殺すんじゃない!!」

お、早速先生の天の声が聞こえた…。


チルノが10分ほど掛けて教科書に眼を通し(ルーミアは2分ほどで終わってる)、私も丁度準備が完了する。
さあ、これからが本番だ。私は白いチョークを手にする。
「さあ始めるわよ。最後に何か質問はある?」
「はいレティ。」
「駄目よチルノ、今から私の事は先生と呼びなさい。」
「その目に掛けてるのは何?」
チルノは私の顔を指差す。無視かよ。スルーかよ。
「ああこれ?上白沢先生が貸してくれたのよ。似合うかしら?」
私は掛けている眼鏡(フレームは四角)に手を触れる。
教科書を渡しに来た上白沢先生が掛けていたので、冗談で貸してくださいと言ったら、本当に貸してくれた。
なんだか眼鏡を掛けていると知的なイメージが増すので、現在チルノの教師である私には丁度良かった。
…しかし、何故かチルノの目線が冷たい…。
「…えっと、はっきり言って全然似合ってない。」
…うん、子供って素敵♪こうもはっきりと地雷に触れてくれるんだもんなぁテストの時みたいに♪
「チルノ、お仕置きを次の四つから選ばせてあげるわ。
『リンガリングコールド』『フラワーウィザラウェイ』『アンデュレイションレイ』『テーブルターニング』、好きなものを選んでいいわよ。」
「…その四つしかスペルないくせに…。」
「怪符『テーブルターニング』」

「さ、始めるわよ。教科書の3ページを開いて。」
チルノの復活を待ってから、いよいよチルノのための勉強講座を開始する。
…えっ?ルナスペル打ち込んだのに教科書は大丈夫なのかって?
心配無用、あの教科書はご都合主義という名の紙で出来ている。
「さて、まずは足し算だけど…。…ルーミア、12+13は?」
「25。」
よし、ルーミアはちゃんと足し算はできるな。
と言うより問題があるのは文章問題の解釈とかそういう点なので、別に元々頭は悪くないのかもしれない。
…しかし、問題を聞いたときから隣でうんうん唸っているチルノはやっぱり問題児だ。
「大妖精、ルーミアの方お願いできるかしら?出来る所までは飛ばしちゃって構わないから。」
そういう訳で、ルーミアの事はもう一人の教師である大妖精に任せる事にした。
…まあ、足し算が出来る人間(妖怪)に足し算の授業をするのは一種の催眠行為だ。
さっきからのルーミアの態度を見ると、勉強するのも満更ではないと言った感じなので、大妖精に任せておけば問題はないだろう。
…まさか食べられはしないだろうし…。…あれ、これって死亡フラグって言うやつ?
そんな事はどうでもいいか、事件は起こってから止めればいい。起こらないに越した事はないけれど。
私は自分のやるべき事をやるだけだ。
「さて、チルノ。あなたには私なりに色々と教える事にするわ。」
明らかに不機嫌そうな表情を浮かべるが、横でルーミアが大妖精とどんどん先へ進んでいく姿を見ていると、文句も言わずに教科書を開く。
やっぱりルーミアの影響は大きいようだ。これはひょっとするとひょっとするかもしれない。
「じゃあチルノ、まずは質問だけど、1+1は?」
「1。」
「3+4は?」
「5。」
「5+5は?」
「5。」
「重症ね、今に始まった事じゃないけど。」
即答してる辺り、本気でそれで合ってると思っているんだろうし…。
…チルノの中での足し算は、いったいどういう図式が成り立っているのだろうか…。
とりあえず「数字が同じ時は同じ数字」「数字が階段の時は階段」と言うのは分かったけれど。
これでは「1+2」しか合わないじゃないか。
「…いい?チルノ、さっきのりんごの問題だけど…。」
そう言って、私はそこかしこにある雪で、雪玉を5個作り、それをチルノの机の上に置いた。
「りんごがないから雪玉を使うけど…。此処に5個雪玉があるわね?」
「1、2、3…うん、5個。」
「見て分かってほしいわ。で、さっきの問題は此処にさらに2個の雪玉を追加するわけ。」
そうして、私はさらに2個の雪玉を作って、机の上に置いた。
「これで「+2」よ。さあ、今机の上に雪玉は何個ある?」
「1、2、3…。…7個。」
「そうよ、5個あるところに2個加える。それで「5+2」は「7」になるわけ。分かったかしら?」
「…も、勿論よ!」
「じゃあ同じ理屈で3+4は?」
「5。」
「いっぺん歌わしたろか?」
駄目だ…。チルノの頭に「同じ数字」と「階段方式」が定着している以上、この問題は矯正でもしないと治らない。
その考えが治るまでは、極力そうした問題は避けるべきかもしれない。
…はぁ、やっぱり先が思いやられるなぁ…。


「…つ、疲れた…。」
その日の夜、私は住処に帰るなり寝床に倒れ伏した。
まさか足し算教えるだけなのに此処まで疲れるとは…。…恐るべし、チルノ…。
とりあえず最終的に「2+4」とか「3+5」みたいな、チルノ式計算術に当てはまらない物は出来るようにはなった。
…ただ、それが明日まで持続するかは全く分からないのだが…。
ルーミアと大妖精の方は順調で、チルノが足し算をようやく一問正解した頃には、割り算をやっていた。
普段割り算なんかあまり使わないだろうから出来なかったみたいだが、それでもかなり要領よく飲み込んでいたように見える。
黒板を使って色々説明する大妖精も、教師としてかなり様になっていた。
…背格好なんかは同じくらいなのに、教師と生徒としての姿が当てはまりすぎてて何か怖かった。
…4人の中では私が一番大人の姿なのになぁ…。ルーミアや大妖精の実年齢を知らないから、どっちが年上なのかは分からないけど。
…いや、チルノよりは長生きしている自信はある。チルノよりも大妖精のほうがなんとなく年上っぽいし…。
「…ううっ…。…ゆ、夕飯食べないと…。」
とりあえず食事は取らなくては…。妖怪とは言え食事は大切、栄養はちゃんと取ってから寝なくては…。
…とは言っても、身体が思うように動いてくれない。ある意味弾幕合戦後より疲労していた。精神的な意味で。
伏した身体をなんとか起き上がらせ、寝床に腰掛ける形を取る。
…と、そこで私はあるものが眼に入った。
言い忘れていたが、私の家は雪で出来ている。ちょっと大き目のかまくらのようなものだ。表札と扉(木製)付き。明かりは蝋燭。
中には雪製のテーブルと雪製のベッド、食料保管庫(ただの木箱だけど)があるだけで、とても簡素な造りである。まあ制作費は0だし。
勿論これは冬限定の私の家で、春になったら適当な隠れ家を見つけて次の冬まで眠る。
どうせ冬の間しか活動しないんだし、春になると放っておいても自然消滅してくれる雪の家は結構便利だ。
因みにどれだけ晴れようともこの家が溶ける事はない。私の能力で家の周りだけ、温度をとことん下げているからだ。
この家が太陽熱で溶けきる前には日は沈んでるし、私は夜の間に溶けた部分を補充すればいい。
最も、冬はしょっちゅう雪が降る幻想郷では、殆どその必要もないのだが。
レティ式かまくら建築、1回2万円で素敵な冬のかまくら生活をお届けします。
さて、家の自慢はこれくらいにして、私はテーブルの上に置いてある物を目にする。
赤い紙袋が一つ、ぽつんと置かれていた。
紙袋の中を覗いてみると、その中には小さな包みと、あと手紙が一枚…。
包みの中には、おにぎりが二つ…。
手紙には「頑張れ。」そう一文だけ書いてあった。
…だ、誰かからの差し入れってこと…?で、でもいったい誰がこんな事…。
…ま、まさか上白沢先生!?そうだ、私に「頑張れ」なんて、今回の事情を知っている人でない限りは書けない!!
大妖精だったらこんな形は取らないから、そうだ、先生に違いない!!
ああ、ありがとうございます上白沢先生!!私は頑張りますとも!!絶対にミッションコンプリート致します!!
涙で滲んだ視界の中、私は差し入れのおにぎりにかぶりついた。冷気で凍ってて、歯が少し欠けた。


「ふあぁ…。…眠い…。柄にもないことしちゃったなぁ…。まあ、これでお賽銭も弾んでくれるでしょ。
…あ、でも手紙に名前書いたかな…。ま、いっか。分かるでしょ私だって。私にちなんで袋は赤いの選んだし。
家の周りのあの寒気は極力な結界張らないと入れなかったから、ハクタクの時じゃない限り慧音には出来ないだろうしね。
おにぎり2個でお賽銭が期待できるなら安いものだわ。報酬が今から楽しみね~。」


 * * *  チルノ改造計画 ~2日目~  * * *


翌日、私は早めに家を出た。
授業開始予定時刻まではまだ随分と時間があったが、上白沢先生の差し入れのお陰でエネルギーが有り余ってしまった。
朝早くの紅魔館前の湖は朝靄がかかっていて、それでいて太陽の光を水と雪が反射して、それは幻想的な光景だった。
それにしても不思議だな、靄で太陽の光が届き難いはずなのに、湖の水が凍ってない。
しかしまあ、こういう美しいものを見れるならば、早起きも悪くはないなぁ。湖の傍に腰を下ろして、そんな事を思っていた。
…思っていたら、長い冬の異変のトラウマが蘇ってしまった…。
「あら、思ったより早かったわね、黒幕。」
…耳を塞ぎたくなった。い、いや、そもそも私は今何も聞いていない…。
ああ、でもこの色々嫌な物…殺意とか殺意とか殺意とか…が篭った鋭い声は…。いやいや、気のせいだ気のせいだ気のせいだ…。
あのおかしなメイドがここにいるはずは…。…って、あのメイドは確か紅魔館勤めで…。いやいやいやいやいやいや…。
「無視するとはいい度胸ね。またナイフの山になりたいのかしら?」
観念した。またナイフを向けられてはたまったものではない。
首だけそっちに向ければ、やはり何時ぞやのマジカルナイフメイドが私を見下ろしていた。
「十六夜咲夜…だっけ…。…私に何か用…?」
ああ、思い出したくもない記憶が蘇る…。
霊夢にタコ殴りにされて、魔理沙に吹き飛ばされて、咲夜にナイフの山にされたあの時の…。
…そう思ったところで、私は思考を停止させた。これ以上は思い出したくない。
「いや、用があるのは私じゃないわ。ただ面識があったから…、…パチュリー様。」
すっと咲夜が横に移動したかと思えば、その後ろには紫色の髪をした、虚ろな目つきの少女が…。
「はじめまして、黒幕さん。私はパチュリー・ノーレッジ。よろしく。」
簡単な自己紹介をされて、私はある事を思い出す。
紅魔館には図書館に住む知識人がいるとの事。名前はパチュリー。
実はというと、一昨日の相談会の時にパチュリーにも相談したかったのだが、本人には面識がなかったのと、メイドに逢いたくないから、紅魔館にはいけなかった。
上白沢先生とこのパチュリーがいてくれたら、さぞかしいい意見が出たんじゃないかと思うと、少し残念に思っていた。
まあ、「軍師2人は凡兵に及ばず」とも言うので、ある意味結果オーライと言えばそうなのだが。
「こちらこそはじめまして、私はレティ・ホワイトロック。黒幕は名前じゃないからね?」
とりあえずこちらも簡潔に自己紹介をしておいた。
「それで、私に何の用事なのかしら?」
「ええ、他でもないわ。昨日からなんだか面白そうな事をやってるオーラを醸し出していたから、私も混ぜてもらおうと思ってね。」
…これは予想外だった。発言的にも途中に含まれていた意味不明な単語にも。
まさかあちらからチルノ授業に参加したいと言ってくれるとは、思いもよらなかった。
これはまたとないチャンスである。紅魔館の知識人が助力してくれるならば、それ以上の事はない。
「ええ、是非お願いしたいわ。あなたがいてくれるならば百人力よ。」
「そう、それは良かったわ。それじゃ私も色々準備してくるから、また後で。」
それだけ言って、パチュリーは踵を返した。それに続いて、咲夜も踵を返す。
これはいい方向に風が吹いている。どうして急にそんな事を言い始めたのかは分からないが、手を貸してくれるならばそれ以上の事はない。
私の夢が、本当に叶うかもしれない…。私の心は、さらに浮き立っていった。


そのまま30分ほど、私は湖の畔に寝転がっていた。
雪の上に寝転がっていると、背中がひんやりして気持ちがいい。
それに溶けなければ、あまり洋服が濡れる事もない。ふわふわのベッドのようだ。
ああ、何時までも冬が続けばいいのに…。そうすれば、何時までもこんな気持ちのいい状態でいられるのに…。
…それに、何時だって起きていられる…。…何時でも、一緒に…。
「レティ~。何寝てんの~。英吉利牛になるよ~。」
…脳が瞬時に切り替わる。お仕置きモード発動。
「チルノ、世の中には触れてはいけない物があるって事を教えてあげるわ。」
地雷とかね。素の意味でも精神的な意味でも。
ようやくやって来たチルノに、私はアンデュレイションレイを打ち込んだ。
…私、体型大丈夫だよね…?…太ましくなんかない…よね…?

「さあチルノ、反省したならさっさと行動に移すわよ。」
目の前で怒りに肩を震わせているチルノにそう言う。自業自得という言葉を知らないのかこいつは。知らないか。
ルーミアと大妖精は既に昨日の続きを開始している。うん、ルーミアは優秀だ。
「うぅ…。結局今日も勉強なの…?」
「当然よ。自ら地雷を踏みに来る妖精にはみっちり勉強を叩き込んであげるわ。」
私はまた眼鏡を掛ける。なんだか気に入ってしまった。
チルノも渋々といった表情だったが、ちゃんと教科書を開く。うん、少しはやる気がある分はまだマシか。
「さてチルノ、まずは昨日教えた事を復習ね。2+4は?」
「え~っと…。…ろ、6。」
…おお、正解だ。しかし、私はそれに騙されるほど甘くはない。
「よく出来たわね、指を使ってなければ完璧だったけれど。」
「ぐっ!な、何で分かったのさ!」
「手の指を使えないなら足の指を使うなんて想定の範囲内よ。変なところで器用ねあなたは。」
足の指を一本一本折れるなんてなかなか出来る物じゃない。て言うか私はそんな事出来ない。まあ、出来る必要もないけれど。
「今度はちゃんと指使わないでやりなさい。1+4は?」
「む、むむむむ…。…。…ご、5!!」
おお、今度はちゃんと正解した。頭の中で指でもイメージしたのだろうか。まあ、それくらいなら許してもいい。
「正解よ、ちゃんと覚えてるみたいでホッとしたわ。」
「ふ、ふんだ、あたいはさいきょーなんだからね。昨日の事なんか忘れてるわけないじゃない!」
「じゃあ3+4は?」
「5。」
「頭から齧っていいかしら?この問題もう昨日だけで5回はやったはずよ?」
冗談で言った心算だったが、素で怯えられた。「ひっ!」と可愛く悲鳴を上げるチルノなんて始めて見た気がする。
…確かに妖怪だから人間は時々食べるけどさ、妖精は食べないってば、美味しくないし。
…何でそんな事知ってるのかって?…うふ、うふふふふふ…。
「れ、レティ…?…な、なにそんな不気味ににやけてるのさ…。」
おっと、顔に出てたか。ああでも怯えるチルノって言うのも結構可愛いかも…。…それこそ食べてしまいたいくらいに…。

「レティ、お待たせ。」

…と、危ない妄想に囚われていた私を、静かな鋭い声が現世に引っ張り戻す。
後ろを振り返れば、パチュリーが両手に黒い鞄を持って立っていた。しかも何の偶然かメガネパチュリー。普通に似合っている。
「パチュリー先生、お待ちしておりましたわ。」
「急に敬語とは気味悪いわね。普通でいいわ。呼び名は先生の方がいいけど。」
そっちは否定しないんかい。
まあとにかく、本日最大の助っ人が来てくれた事には喜びの他ない。
「レティ、誰この紫モヤシ。」
おっと、最初から爆弾発言。
「氷精、最初のお仕置きはどうして欲しいかしら?次から選びなさい。
『アグニシャイン』『アグニレイディアンス』『プリンセスウンディネ』『ベリーインレイク』『シルフィホルン』…(以下省略)」
「…わ、私よりも全然多い…。」
「いいから早く選びなさい。でないとロイヤルフレアで跡形も無く溶かすわ。」
「…べ、べりーいんれいく…。」
「あら素敵なチョイスね。まさか最初からそれを選んでくれるとは思わなかったわ。レティ、その鞄の中から縄をとって頂戴。」
…な、縄?何で鞄の中に縄が?あ、ホントに入ってる…。とりあえずパチュリー先生に渡す。
ベリーインレイクってスペルカードじゃないの?他は全部スペルカード(だろう)なのに…。
…あれ?ベリー イン レイク…?Bury in Lake…。
…ま、まさか…。
「ちょ、ちょっと!何で縄で縛るのさ!正々堂々勝負しろーっ!!」
パチュリー先生はその叫びを無視して、あっという間にチルノを縄で縛り上げてしまう。
…い、いや、きっとこれは逃げられないようにするためだな、これからスペルカードを撃つんだろうな…。
そう思いたかったのだが、パチュリー先生は徐にチルノを抱えあげると、すたすたと湖の畔まで歩を進める。
おお、意外と力がある。…って、そうじゃなくて!!
「ちょ、何するのよ!!やめてええぇぇ!!」
「パ、パチュリー先生?それは流石に…。」
「拷問『リアルベリーインレイク』」

どっぱーん…。

…私とチルノの制止を無視して、リアルにベリーインレイク(湖に埋葬)。
なんだかスペルカードっぽく使ったけど、どう考えてもあれはスペルじゃない、ただ縛り上げて湖に放り込んだだけだ。
「がぼぼっ!!し、しずむーっ!!助けてーッ!!」
チルノの悲鳴が聞こえる。…これは私は助けるべきなのか…?
「助けちゃ駄目よ、そうしたらあなたも何か罰が…。」
即耳を塞いだので、それ以上は聞こえなかった。…何故私の心の声が…。
段々と沈んでいくチルノも見てはいけない気がしたので、とりあえず眼を逸らす。
「5分経ったら引き上げてあげるわ、それまで反省してなさい。」
…パチュリー・ノーレッジ…恐ろしい…。
…あ、完全に沈んだ。

5分後、引っ張りあげたチルノは酸欠状態で顔が真っ青になっていた。
「はぁ…はぁ…、ほ、ホントに死ぬかと思った…。」
「あれだけ騒いでれば酸素も足りなくなるでしょうね、静かにしてればよかった物を…。」
さらりと自分は何も悪くない的な発言をするパチュリー先生。恐ろしいにもほどがある。
「パ、パチュリー先生…?勉強する体力を残さないといけないので、体力的な拷問は避けて欲しいのですが…。」
もうなんだか敬語にならざるを得ない。迂闊な事をすると自分にも何が起こるか分かった物ではない。
とりあえずそれだけ言うと、やたらと嫌な顔をされたが、仕方ないわね、と頷いてくれた。
…この人、そういうのが趣味なのかな…。
「ううっ…。…も、もやしの癖に…。」
「懲罰『リアルシルバードラゴン』」

どすんっ!!!!

…パチュリー先生が何時の間にそこにあった紐を引っ張ると、チルノの頭上からチルノサイズの銀の竜の彫刻が落ちてきた。
チルノは悲鳴を上げる暇なく潰された。…ま、まあ、この程度では死なないだろうけど…。
…ま、まさかさっき何か準備しに行ったのって、この周囲にこんな懲罰用の道具を仕掛けまくったんじゃ…。
辺りをよく見回してみれば、触れてはいけなさそうなロープが何本も垂れ下がっている…。
じゃあ、さっきよく見なかったけど、あの鞄の中にもそういう道具が入ってるのでは…。
さっきパチュリー先生があげた懲罰は計28個…。…それが全部リアル使用だとすると、他はどんな罰になるというのだ…。
想像しようと思って、私は精神衛生上良くないと思って、思考をやめた。
だって、リアルラーヴァクロムレクとかだと、頭上から溶岩が降ってくるかもしれない。チルノだったら間違いなく即死だ。
…チルノ、お願いだからもう爆弾には触れないで…。
「あ、あたいがこんなもy「パチュリー先生!!!!そろそろ授業の方をお願いします!!!!」
「そんな大声じゃなくても聞こえるわよ。でもそうね、懲罰だけじゃ時間の無駄だわ。」
よ、良かった…聞かれなかったみたいだ…。このままだとチルノの体力が持たない。体力どころか命が持たないかも…。
ああでも油断は出来ない。何時またチルノが爆弾発言をするのか分かったものではない。
…ああ、なんだか昨日よりも精神的に疲れそうだなぁ…。
とりあえず私はチルノの上のリアルシルバードラゴンをどかす。
「う~…、痛たたた…。あーもう!!許さないあのもy…いたたた、背骨が…。」
ぎ、ぎりぎりセーフ、都合よく背骨が痛んでくれたみたいだ…。
やっぱり心配だ。て言うかこの調子だと間違いなく、この先5~6回は罰を受ける。それだけは避けたい。
年寄りくさく背骨を擦るチルノの肩に手を置いて、私は頭を下げた。
「…チルノ、お願いだからもうパチュリー先生をモヤシって言わないで…。…って、あ…。」
…しまった、と思った時にはもう遅い…。仕方ないとは言え、今私も言ってしまった…。
ゆっくりと後ろを振り向いてみれば、ロープを掴んでいるパチュリー先生の鬼のような形相が…。
…ああ、もうこの形相だけでヒラ妖怪は殺せるんじゃないかなぁ…。
「落石『リアルエメラルドメガリス』」
上から降ってきた巨大エメラルドに、私の意識は暫く刈り取られた…。

「さてレティ、私は何を教えればいいのかしら?」
どうやら私の意識が戻るまで待っていてくれたらしい。
まだ痛む頭を擦りながら、私はチルノの方へと眼をやる。
…ああ、こっちも大人しくしてくれていたらしい。まだ生きていた。
「そうですね、昨日は足し算をやったので、今日は引き算をやってみようかと…。」
「随分とレベルの低い事やってるのね。まあいいけど…。」
さらりと言ってくれた。仕方ないじゃない、相手がチルノなんだから。
チルノも少しムッとしたが、お仕置きが怖いのかそれ以上は何か言う事はなかった。
…流石のチルノも、もう上から何か降ってくるのは御免被りたいみたいだ。
「じゃあチルノ、まずは675-1343は?」
「…えっ…?えっ、え~っと…。」
「最初から随分凶悪な問題を出しますね。私でもすぐには出せませんよ。」
「-668よ。これくらいすぐ出来るようになりなさい。」
「私はともかく、一桁の引き算が出来ないチルノに無茶言わないで下さい。」
「仕方ないわね…。じゃあ3-9は?」
「答えがマイナスも勘弁してやってください。」
「…じゃあⅥ-Ⅱは?」
「…Ⅵ?Ⅱ?」
「わざとやってます?そんな文章じゃないと出来ないネタは止めてください。見る側によっては文字化けしますよ。
しかも確かローマ数字の引き算って記号要らないんじゃないですか?小さい数字を左に置くんじゃないんですか?」
「わがままね。じゃあ4-3は?」
「最初からそういう問題出してください。」
「2。」
「断罪『リアルフロギスティックレイン』」

ざっぱ~ん…。

…チルノの頭上から、滝の如く水が降ってきた。
…いや、これ最早ただのコントじゃん!!紐引っ張って水が降ってくるとか!!
しかも「フロギスティック」の部分全く関係ねぇ!!ただのレインだ!!水しか降ってきてない!!
「パチュリー先生!!まだ引き算の基礎すら知らないんですから一回間違えたぐらいで懲罰は止めてください!!」
「甘い事を言っては駄目よ、レティ。あなたはちょっと優しすぎるのよ。それだからチルノは何も覚えられないの。
物を教える時は最初から厳しく、甘えを許さず。そうすればきっと効果的よ。…恐怖心から。」
「それはそうかもしれないけど色々間違ってます!!道徳的にとか道徳的にとか道徳的にとか!!特に最後の一言!!」
「こういうのはね、心の奥底に刻み込んでこそ一生物として覚えられるのよ。」
「たかが引き算でそこまで心の傷を負わせなくて結構です!!」
「全く…、…仕方がないわね…。」
よ、ようやく納得してくれたか…。
全く、確か120行ぐらい前までは、私が暴走してネタに走るんじゃないかな~、って言う展開だったのに…。
何処で何を間違って私が突っ込みに回ったんだろう…。…パチュリー・ノーレッジ…、…恐ろしい…。
「さあチルノ、続きを…。…あら?」
パチュリー先生が首を傾げる。
何かあったのだろうか?そう思ってチルノの方を向いてみれば…。
…想定外の事態が起こっていた。
「んなぁ!?!?」
どうりて静かだと思ったら、チルノが凍っていた。それはもう見事なぐらいに全身を凍りつかせている。
「あら、さっきのリアルフロギスティックレインが体温で凍りついたみたいね。リアルベリーインレイクで凍らなかったのは暴れてたからかしら?」
「そんな冷静に分析しないで下さい!!ああもう!チルノは氷精だからお湯かけたら溶けるし!!」
「ロイヤルフレアでも撃つ?一瞬で溶けるわよ?」
「チルノごとね!!」
「仕方ないわね…。消滅『リアルラーv「却下!!しかも「消滅」とかなに危ない名前付けてるんですか!!」
「溶岩を浴びれば大抵の生物は消滅するわよ。」
「そんな事聞いてません!!て言うか分かりますからそれぐらい!!」
「本当にわがままね。じゃあアグニシャインぐらいで我慢してあげるわ。」
「最初からそうしてください!!それと我慢ってなんですか我慢って!!」
「薄幸『リアルアグニシャイン』」
パチュリー先生は袂から取り出したマッチを擦った。
「やっぱりリアル!?しかもショボい!!マッチの火で氷が溶けますか!!」
「口答えしか出来ないのかしら?反発するだけじゃ前に進めないわよ。」
「何処にも賛同するポイントが見つからないんですが!?」
「観察力不足ね。」
「私のせい!?ねえ私が悪いの!?ああもう大妖精とルーミアもさっきから無視ばっかりしないで…!!」
存在を忘れかけていたが、私は助けを求めて大妖精とルーミアの方へ顔を向ける。
「えっとね、それでこの式はエックスを二乗にしてね、隣の数はマイナス数字の二乗よ。」
「そ~なのか~。」
…しかし、あまりに熱心に勉強しているので、それ以上声を掛けるのを躊躇ってしまう。
…なに?この子達ずっと突っ込まなかったけど、今までずっと本気で勉強してたって事?
しかも昨日は確か割り算くらいのところをやっていたはずなのに、今やってるのは展開と因数分解だよね?ペース物凄くないですか?
そもそも何で私や大妖精は因数分解とか知ってるんだろう。問題作ったときもそうだったけど。まあそれは別にどうでもいい。
とにかく…、…教師と生徒としては物凄く優秀なんだろうけど、頼むから少し気を使ってくれないかなぁ…。
「…はぁ…。」
もうため息しか出てこない。チルノに勉強をさせるはずが、どうしてこんなに捻じ曲がってしまったのだろうか…。
とにかく、私はチルノの氷を少しでも早く溶かすため、氷像と化したチルノの周りの冷気を取り除く。
冷気を集めるのは得意だが、冷気を拡散させるのは不得手だ。それは気温を下げるのではなく、どちらかと言うと上げる能力だ。
そういうわけで、疲れるから出来ればやりたくはなかったけど…。…まあ、四の五の言ってられない。
…すみません、そろそろ泣いていいでしょうか?

「あーもう!!なんなのよさっきから!!湖に沈めたり上から色々降ってきたり!!」
原因を作ったのはチルノのモヤシという言葉ゆえ、悪いのはチルノなのだが…。…少しだけ同感だ。
なんと言うか、パチュリー先生は少しパワフルすぎる。色々な意味で。
しかしまあ、これだけ強烈なら確かに勉強をしようという気にはなるかもしれない…。
…と言うより、罰を喰らうくらいなら勉強してる方がマシだ、と思えるかもしれない…。…それが作戦なのかしら…。
「文句はそれくらいにしなさい。それより本当に出来ないみたいだから、まずは引き算の説明をするわ。」
…ああ、よ、ようやくまともな授業になりそう…。なんだって教える前からこんなに疲れなくちゃいけないんだ…。
「チルノ、まずは自分が三人いる姿を想像しなさい。」
…すみません、既に何か不穏な空気がするんですが…。
何を想像させてるんですか。チルノが三人もいたら、私や大妖精の負担は3倍どころじゃなくなる。
「おおっ!あたいったら分身出来るなんて!やっぱりさいきょーね!!」
…チルノはチルノで、よく分からないところで盛り上がっていた。
…う~ん、やっぱりチルノの頭の中は良く分からない…。
「で、そのうち一匹が妖怪に食べられる。それはもうぐしゃぐしゃと音を立てて。」
…えっ?ちょ、ちょっと…?…苦手な人は想像しないか対象を他に変えて想像する事をオススメする。
「…うっ…?…あ、あたいはさいきょーなんだからそんな事にはならないわよ!!」
「じゃあそこの妖精(大妖精)でもいいわ。」
「…大妖精が食べられ…。…う゛っ…。」
…あ、想像したな今。私は人間やらが食べられる姿はある程度見慣れているからいいものを、妖精には少し刺激が強いかもしれない。
「さて、一匹食べられたから、妖精は後何匹残ってるかしら?」
「…に、に…。」
「正解。それが3-1と言う事よ。もう忘れないでしょう?」
こくこくと激しく頷くチルノ。
…ああ、成る程、そういう事か。確かにチルノにとってインパクトが強ければ、それだけ記憶に深く刻まれる。
例えはちょっと間違ってるかもしれないが、効果的といえば効果的な方法だ。
「じゃあ同じ事を考えて、5-3をやってみなさい。」
「…えっと、大妖精が5人いて…。…それから3人…。…う゛えええぇぇぇ…。」
…いや、チルノ、だったら大妖精で考えるのをやめたらどう?別に違うものでもいいじゃん。
「悩むかしら?じゃあ実際に減らして…」
「にっ!!2ね!!正解でしょ!!」
「そうよ、じゃあ8-3は?3秒以内で答えないと…。」
「5!!」
「正解。やれば出来るじゃない。」
…す、凄いなパチュリー先生。私があれだけてこずったチルノに、僅か数分で引き算を覚えさせてしまうなんて…。
…まあ、道徳的には色々間違ってる気はするけど…。一歩間違えば妖精殺害事件に発展するような状況だし。
ただ効果的だった事は確かなようだ。なにせ…。
「じゃあ7-4は?これも3秒以内で…。」
「3!!」
「12-4は?2秒…。」
「8!!」
「15-8は?いc「7!!」
見ての通り、恐ろしいほどの速さで答えている。
さっきの「実際に減らして…」の言葉がよっぽど効いたのか…。
答えられなかったら、自分だけじゃなく大妖精にも被害が及ぶかもしれないと言う状況が、チルノの頭をフル回転させているみたいだ。
…それを狙ったんだとすると、パチュリー先生はチルノの性格を良く分かっている。
自分の事を最強だと思っているチルノは、何だかんだで結構責任感はあるのだ。
妖精の中では一番、だからこそ自分のせいで他の妖精に被害が及ぶ事は、自分を他の人に助けてもらう事と大して変わらない。
それは自分が最強である事の証明にはならない。寧ろ、自分が弱いという証明になってしまう。
チルノは、自分の事は必ず自分でやり通す。自分の事を、最強だと思っている以上は。

「25-14は?5秒以内に…。」
「11!!」
「28-13は?3秒…。」
「15!!」
「65-23は?明日は晴れ…。」
「42!!」
「76-41は?今日はレミィに何を…。」
「35!!」
「89-76は?そろそろデタラメも…。」
「13!!」
「98-43は?今度は門番でも…。」
「55!!」

…いや、そうだとしても凄いなぁ…。全部繰り下がりの計算がない問題とはいえ…。
…何度も言うが、パチュリー・ノーレッジ…、…恐ろしい…。

「132-21は?小悪魔もそろそろ…。」
「111!!」
「156-51は?咲夜と門番も…。」
「105!!」
「227-113は?妹様は魔理沙と…。」
「114!!」
「765-223は?で、私はレミィと…。」
「542!!」
「じゃあ3+2は?」
「1!!」
「死刑『リアルセントエルモエクスプロージョン』」

…オワタ。

数秒後、パチュリー先生の放ったリアルセントエルモエクスプロージョン(ただのダイナマイト)が爆発する音が、あたり一面に響き渡った。


「レティ、今日はこのくらいでいいわね。少なくとももう引き算は忘れないはずよ。」
とりあえず「そうですね」と返しておいた。
リアルセントエルモエクスプロージョンを喰らったチルノはまだ伸びているので、正直これ以上続けるとチルノの身が持ちそうもない。
「大妖精、ルーミア、そっちもそろそろ切り上げなさい。後は休憩がてら、みんなで遊びましょう。」
「「は~い。」」
そそくさと後片付けを始める二人。
ちゃんと区切りをつけられるなら、途中で突っ込みに加わって欲しかったんだけど。て言うかダイナマイトにすら気付かないってどうよ。
…まあいいや、過ぎた事をどうこう言ってもしょうがない…。
「レティさん、今日は数学は因数分解と、理科は生物が遺伝の法則、科学は大まかな化学式を、社会は…。」
…いくつか飛ばしたとは言え、2日で人間の凡そ10年分の学習を出来るのは、やっぱり妖精&妖怪と人間との差だろうか…?
それにしても、この教科書はどれだけ広範囲に渡って書かれているんだ…。
これを一日で、しかも2冊作った上白沢先生も、なんだか少し恐ろしい。
…なんだか、当初の計画が全然別の方向へと進んでいる気がする…。
…ま、いいか。少なくともチルノの学習能力が向上しているのは確かなんだ。
「そう、じゃあ後は遊びましょう。パチュリー先生はどうしますか?」
「そうね、私は暇させてもらうわ。これからレミィに色々デタラメを吹き…。…いえ、魔法の実験をしたいから。」
「誤魔化せてませんけどまあいいです。今日はありがとうございました。」
深々と頭を下げた。やり方はちょっと強引な気がしたけど、お陰でチルノの頭はだいぶ良くなったはずだ。

パチュリー先生を見送ってから、私と大妖精とルーミアは、日が暮れるまで雪合戦に興じる事にした。
瞬間移動が出来る大妖精や、闇に紛れるルーミアは、はっきり言って雪合戦はかなり強い。
うん、だからこそ私も雪合戦でも本気になれる。冬の妖怪として、負けるわけにはいかない。
…あれ?何か忘れてる気がするけど、まあいいか。


「…はっ!!ここはっ!!…あれ?あたいは確か勉強してて…。うわっ!!もう真っ暗!!
あれ!?レティ!?モヤシ!?大妖精!?ルーミア!?ちょっと何処行ったのよおおぉぉぉぉx!!!!」


 * * *  チルノ改造計画 ~3日目~  * * *


「さあチルノ、今日はかけ算をやりましょう。」
「うぅ~…。…昨日は置いてったくせに…。」
なんかもう色々と観念しているのか、唸りつつもさっさと所定の位置に座るチルノ。
因みに最初から算数しかやっていないが、そもそも算数以外の事を教えても、幻想郷ではしょうがない気がする。
国語なんかは日常会話が出来れば充分だし(チルノは例外かもしれないが)、理科と社会は使う機会があるのは地学と地理ぐらいか?
そういうわけで、私としては四則計算が出来てくれればそれでいいと思っている。
…それに、私は少し焦っていた。
もう幻想郷の各地で、リリーホワイトが目撃されていると言う情報を耳にする。
…つまり、私が起きていられる時間は、もうあまり残されていないのだ。
良くて後一週間くらいだろう。それまでに、なんとしても…。
…まあ、横で早速ばりばり勉強しているルーミアと大妖精は…。…もう放っておこう。賢いに越した事はないんだし。
「レティ、その前にまず昨日の復習からよ。昨日は出来ても、今日出来なければどうしようもないわ。」
その声と共にびくりと肩を振るわせるチルノ。どうやら、昨日の事が結構トラウマになってるみたいだ。
今日も今日とて、パチュリー先生は何か想像してはいけない物が色々詰まった鞄を持って来てくれた。
…まあ、強引なやり方とは言えちゃんと覚えるなら構わないか…。…妖精なんだからそうそう死なないだろうし…。
「そうですね、チルノ。7-4は?」
「…えっと…。」
「3秒以内で…。(パ)」
「3!!」
…ああ、やっぱりパチュリー・ノーレッジ…、…恐ろしい…。これで何回目だこの台詞。
「じゃあ25-22は?」
「3!!」
「45-42は?」
「3!!」
「56-53は?」
「3!!」
「76-73は?」
「3!!」
「86-84は?」
「さ…、…2!!」
「引っ掛からなかったわね。合格よ。」
少しだけ感動した。ああ、チルノが一日で二桁の引き算が出来るようになってるなんて…!
…ただまあ、相手がパチュリー先生の場合のみかもしれないが。私が出した時はちょっと悩んでたし。
「さて、じゃあ足し算は覚えてるかしら?」
掛け算に入る前に、私はまず初日の足し算の事を思い出す。
掛け算は足し算を応用した物だ。これが出来なければどうしようもない。
…って、そう言えば私はまだ足し算が完璧でもないのに引き算に移っていた気が…。
「…チルノ、3+5は?」
「8。」
…ああ、やっぱり私が問題を出すと必死さにかけるなぁ…。
「3+4は?」
「5。」
「地獄『リアルフォレストブレイズ』ね、レティ。」
私が何か言うよりも早く、パチュリー先生が行動を起こす。
鞄から取り出した…大き目(2リットルサイズ)の瓶を取り出し、中身をあたりに撒き始める。
中身は透明な水みたいだけど…。水を撒いてどうする気…。
…う゛っ、こ、この嫌なにおいは…。
「…って!!ストップストップそれただの放火ですからぁ!!!!」
ガソリンとかそういう類のものかぁ!!
フォレストブレイズ=森林火災だからって!!リアルは無い!!ただの犯罪だ!!
湖の周りの森を全滅させる気かああぁぁぁ!!
「安心しなさい、この程度の灯油だったら、森が燃え尽きる事は無いわ。…多分。」
「多分って自信ないんですか!!ちゃんと実験をして…いややっぱりいいです!!しなくていいですからマッチを擦らないで下さい!!」
「現場実験よ、レティ。」
「だから止めてください!!森林破壊は駄目です!!」
「わがままね。実験には犠牲は付き物よ。」
「そんな大それた犠牲を払ってするほどの実験ですか!!」
「もう、仕方ないわね…。反逆『リアルウォーターエルフ』」
と、とりあえず山火事は防いだけど…。…リアルウォーターエルフ?
「えいっ!!」
…可愛らしい掛け声と共に、横からチルノへ向かって弾幕の嵐が…。
出所へ目を向けれ見れば、チルノに向けて手を翳す大妖精と、それを呆然と眺めるルーミアの姿が…。
「ッて大妖精ぃ!!何でチルノを攻撃してるの!!(レ)」
「…はっ!!わ、私は今何を…!?きゃーっ!!チルノちゃーーん!!(大)」
「リアルウォーターエルフ、それはウォーターエルフの精神を一時的に操るものよ。(パ)」
「た、確かに大妖精は湖に住んでる妖精だからウォーターエルフだけど!!なんて極悪な!!(レ)」
「ついでにその間は弾幕の威力を上げるわ。相手がその妖精の友人ならまさに反逆ね。(パ)」
「鬼ですねパチュリー先生!!(レ)」
「妖精メイド達が働くようになるかも、って咲夜からは好評よ。(パ)」
「そんな一部の人にしか評価を受けなさそうなスペル作らないで下さい!!(レ)」
これ以上突っ込んでいても無駄そうなので、とにかく私と大妖精はチルノを叩き起こす。
悲しい事に弾幕を受け慣れているせいか、そんな何時間も気絶するような事にはならなかった。

「さあ、それじゃ掛け算の授業を開始するわよ。」
ようやくパチュリー先生の授業が始まる。…何で授業を開始するまでにこんな時間が掛からなきゃいけないんだ…。
因みに足し算の基礎はものの5分ほどでパチュリー先生が覚え直させてしまった。わ、私は一日がかりでも出来なかったのに…。
…勿論、その間に「召喚『リアルトリリトンシェイク』(巨石が降ってきただけ)」と「楽器『リアルシルフィホルン』(ホルンが降ってきただけ)」を要したが。
「チルノ、まずは3+3を答えなさい。」
「さ…、…ろ、6!!」
「気付いたから良しとしましょう。…で、それはつまり…。」
と、パチュリー先生は徐に雪玉を6個作る。ああ、これは私の教え方と同じだ。
「3個の物が2つ合わさって、6個になる。これは分かるわね?」
「も、勿論よ!!」
「それが分かれば大丈夫よ。つまり、同じ数字の物を何回足したか、それが掛け算になるの。
これは3個の物が2回足されてる。3+3はつまり、3×2と言う事になるの。分かったかしら?」
むむむ…、と考え込むチルノ。
まあ、確かに最初からこれだけの説明で分かるとは思わないだろう。
パチュリー先生もそれを理解しているのか、今回は即懲罰と言う事はしない。
…だいぶ滅茶苦茶な事をやっているとは言え、ちゃんと常識だけは守っている。ありがたい。
「…そうね、こういうのは実践した方がいいわ。チルノ、2×2は?」
「…え~っと…。…それはつまり…。…さっきのが3+3なら…。」
ある程度理解はしているみたいなのだが、暗算が苦手なのだろうか、答えがなかなか出てこない。
…で、こうなるとやっぱり、パチュリー先生恒例のアレが発動するわけで…。
「答えられないなら大妖精が…。」
「2+2!!だから4!!」
それだけで一瞬で答えてしまう。頭がいいのか悪いのかがもう全然分からない。
「それじゃ、それを応用して3×3は?」
「…え~っと…。…3+3+3で…き、9!!」
「正解。じゃあ5×5は?」
「え…、…5+5+5+5+5…。…ううっ…。…え~っと…。」
パチュリー先生相手でも考え込んでしまうチルノ。こうなると、恒例のアレも効きそうにない。
しかし、パチュリー先生は意外と落ち着いていた。まるで、最初からこれ以降は出来ないだろうと踏んでいたみたいに。
「…まあ、x×4以上の数は最初から出来るとは思っていないわ。チルノ、これでちゃんと勉強しなさい。」
そういって、パチュリー先生は鞄から一枚の紙を取り出し、それをチルノに手渡す。
チルノの後ろに回りこんで覗いてみれば、それはいわゆるあれだ、九九表だ。
9×9までの答えが、しかもそれぞれの答えの下に、例えば「4×6」だと「4+4+4+4+4+4」と言った具合に、足し算での数式も記されている。
…一番右下には、さりげなく「著:パチュリー・ノーレッジ」と書かれていた。
「…パチュリー先生?まさかチルノのために…?」
驚いて私が質問すると、パチュリー先生は静かに微笑んで、口を開いた。
「今の私が教師なら、生徒のために何かするのは当然よ。掛け算はそれで勉強するのが一番手っ取り早いわ。」
何の事もなさそうに言っているが、普通ならわざわざ足し算での解説なんてつけないと思う。
…チルノのためにこんな物を作ってくれたパチュリー先生の優しさに、私は少しだけ眼が熱くなった。
「…パチュリー先生、ありがとうございます…。」
「礼を言われる事じゃないわ。それに、今日はちょっともう戻らないといけないからね。後はレティ、あなたが教えてあげなさい。」
私たちに背を向けながら静かに、しかし何となく暖かさが篭った声でそういうパチュリー先生。
ああ、やっぱりこの人も凄い人なんだな…。
きっと今までの罰なんかも、本当にチルノの事を考えていたからこそ、あれだけ厳しいものだったのだろう。
無理矢理そう解釈して、鞄を持って立ち去ろうとするパチュリー先生に、もう一度だけ頭を下げた。
…そして、九九表を胸に抱きながら、チルノもパチュリー先生に頭を下げた。

「…あ、ありがとね、モヤシ。」
「撲殺『リアル賢者の石』」

…最後の最後に、チルノの頭に赤、青、緑、銀、橙の5色の巨石が降ってきた。
…ああ、やっぱりパチュリー・ノーレッジ…、…恐ろしい…。


 * * *  チルノ改造計画 ~7日目(最終日)~  * * *


その日、私、大妖精、ルーミア、パチュリー先生、そしてリリーホワイトの5人は、チルノの事をずっと見守っていた。
掛け算授業から3日間、私とパチュリー先生で、チルノに徹底的に四則計算の基礎を叩き込んだ。
余談だがルーミアと大妖精はもう3日目の終わりには教科書全てを終えてしまったので、後は自由行動にさせていた。
とまあ、そして授業開始から1週間経った今、思ったよりは早くリリーホワイトがこの湖にやってきた。
つまり、今日が私のタイムリミットなのだ。
ただ、私はリリーホワイトに頼み込んで、せめて最後の仕事が終わるまでは待ってもらう事にした。
そう、今までやって来た事の全てを、チルノの全ての力を見せてもらいたいのだ。
お陰でリリーホワイトより向こうは春、こっちは冬と言う訳の分からない事になっている。
これが一日くらい続いたら誰かしらが異変と勘違いするかもしれないが、まあ後30分も掛からないだろう。それまで我慢してもらうとする。
「さあチルノ、これが最後よ。…私が眠る前に、安心させて…。」
そう言って、私はチルノに一枚のプリントを渡す。
それはパチュリー先生作の、四則計算のテスト24問である。
パチュリー先生がこの日のために作っておいてくれたものらしく、お陰で最後にこういう機会を設ける事が出来た。
「大丈夫大丈夫!あたいはさいきょーなんだから!満点なんて楽勝で取ってやるわ!」
そう言って強気な表情でプリントをひったくるチルノが、なんとも心強い。
此処一週間で、チルノは少しだが変わってくれた気がする。
最後の方は言わなくても自主的に勉強してくれたし、教えた事をしっかりと飲み込んでくれた。
暇が無かったと言うのもあるが、その間に弾幕合戦は一度だってやらなかった。
…私としては、もうこれだけで今回の事での充分な結果を得る事が出来た。
後は、最後に安心したい。チルノがちゃんと、一週間のうちに教えた事を、全て覚えていてくれている事を願いたい。
そうすれば、この一週間遊ばないでいた事も、無駄にならなくて済む。
そして、来年からはもっと安心して一緒にいられる。来年からが、もっと楽しくなる。
…チルノ、頑張ってね。
「チルノ、制限時間は10分よ。オーバーしたら…。」
「5分よ!!パチュリー!!」
パチュリー先生の言葉に、強気な表情で反抗するチルノ。モヤシと呼ばなくなったのもある種の変化だ。
そんなチルノの姿に、私たちは歓喜の表情を浮かべる。
何時もの意地っ張りなんかではない。純粋にそれだけの自信から、そう言っているのだ、表情を見れば分かる。
…まあ、ぶっちゃけた話が、5分でも結構長いのだが。
パチュリー先生もまた、静かに微笑んだ。
「…そう、じゃあ5分よ。準備はいいわね。」
パチュリー先生は時計を覗き込む。あのメイドから借りてきた物らしい。
「5、4、3、2、1…、…スタート。」
その声と共に、チルノは勢いよく鉛筆を走らせ始める。
何の迷いも無く、強気な表情でどんどん答えを書いていく。
チルノのその姿が、私にはたまらなく嬉しかった。
たった一週間で、こんなにチルノは変わってくれた。
最初は、私のただのおせっかいから始まった事。チルノにとっては迷惑でしかないんじゃないか。そうとさえ思っていた。
しかし、チルノは最後まで頑張ってくれた。最後までやり遂げてくれた。
そして今、最後のこのテストに、いい表情で臨んでくれている。
「レティさん。チルノちゃん、頑張ってますね。」
大妖精もまた、チルノのその姿を見つめながら微笑んでいる。大妖精も、嬉しそうだった。
「そうね、やる前から諦めなくてよかったでしょ?」
私はちょっと意地悪く言う。だって、大妖精はこの計画の当初はずっと「無理」だと決め込んでいた。
しかし、今の現状はどうだろう。このチルノの姿を見て、誰が失敗だったなんて思うだろう。
大妖精は苦笑いを浮かべて俯く。しかし、その笑いは穏やかだ。
自分はチルノを信用していなかった、それを痛感しているのかもしれない。
しかし、それ以上に嬉しい。だからこそ、その心があまり苦にならないのだろう。
自分もまた、それによって成長できたのだから。

「…大妖精、ルーミア、それとリリーホワイトにも…。」

チルノの持つ鉛筆が、最後の問題の位置に置かれる。

…ああ、もうすぐだ。パチュリー先生のことだから、きっとすぐに採点は終わる。

…もうすぐ、しばしのお別れだ…。

「…チルノのこと、よろしくね。」


3人が頷くとともに、チルノの「終わったーっ!!」という元気な声が響いた。


 ~ 忘れ去られた人たちのエピローグその1 ~Caved!!!!~(チルノ改造計画後日談)~
「な、なあ妹紅。この間の事なんだが…。(慧)」
「ん?この間って…。(妹)」
「い、一週間くらい前だ、私が教科書を作るから手伝ってくれ、って言った事があっただろう。」
「ああ、そんな事もあったわね。」
「…酷いな、そんな前でもないだろう。」
「千年も生きてると、ちょっとした事が頭に残りにくくなるのよ。ああ、でもちゃんと覚えてるから安心して。」
「そ、そうか、そ、その時のことなんだが…。…その、ど、どうだった?」
「どうって…?」
「だから、わ、私はどうだったって…。」
「…あ~…、…そうね…。…言っていいの?」
「か、構わないぞ!!私は妹紅の気持ちが知りたいんだ!!」
「…じゃあ言うけど…。…うん、頑張ってるのは分かったんだけど…。…正直、ちょっと近寄りがたかったと言うか…。…頑張りすぎてて引いた。」
「……………。」
「あ~でも…。…って、慧音?何で満月どころか夜でもないのにハクタク化してるの?」
「ちょっと山で白い岩を掘ってくる。」
「えっ?ちょ、け~ね~…。…行っちゃった…。…思えば結構カッコ良かったのに…。」


 ~ 忘れ去られた人たちのエピローグその2 ~少女貧乏曲~(チルノ改造計画後日談)~
「おっさっいせんっきょ~うも~ゼロ~わったっしの~しゅ~うにゅうも~ゼロ~♪
い~ったい~いっつま~で~びん~ぼ~うで~い~れば~いい~の~…♪(霊)」(少女奇想曲に併せてどうぞ)
「病んでるな霊夢。ありえない歌詞だぜ。(魔)」
「…だれもお賽銭入れてくれないから、こうしてでもテンション上げないとやっていけないわ。」
「何時もの事じゃないか。…あれ?でも最近「そろそろお賽銭が…。」とか言ってなかったか?」
「…そうね、それなのよ。何時まで経っても報酬が来ないのよ。」
「確かレティにだったか?もう春になったって事は、寝てるんじゃないか?」
「…来年の冬まで滞納する気か?あいつは。」
「取立てに行けばいいじゃないか。どっかには居るんだろ?」
「…魔理沙、いい事を言ったわ。ちょっと留守番よろしく。」
「あっ、おい霊夢、冗談だって…。…行っちまったぜ、これは来年からレティの姿を見れないかもな。」


こんばんは、酢烏賊楓です。これで5作目なんですが4作目です。
実際の4作目「Lequiem of Lunardial」は、ちょっと反省点が多すぎるために書き直すことにしました。もっと良い作品にしてから、改めて投稿しようと思います。
この作品と共に、それを通知します。
さて、今回の話なんですが、最初はレティとチルノのほのぼのとした勉強会になる予定だったんですが、知らない間にパチュリーが色々やらかして、レティがそれに突っ込む話になってしまいました。
もう分かるかと思いますが、題名の「PK」は「パチュリー・ノーレッジ」の「PK」です。
リアルスペルはただの虐めです。良い子も悪い子も決して真似はしないで下さい。
最終日の話はほのぼのとした話の時の名残みたいな物です。基本的にはやっぱりネタですね。
…このあとチルノのテストが何点だったとか、レティが慧音と霊夢にどんな目にあわされたかは、ご想像にお任せします。

因みに霊夢が歌ってた歌(少女貧乏曲)の歌詞を一応明確にしておきます。

『お賽銭今日もゼロ 私の収入もゼロ
いったい何時まで 貧乏でいればいいの?』

毎度の事ですが、少しでも楽しんでいただけたならば幸いです。
ご指摘、感想、意見等ありましたら、是非お願いします。

追記:全国の安倍様および「○倍」と名の付く皆様、大変申し訳ございません。選択に他意はありません。
酢烏賊楓
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コメント



0.910簡易評価
1.60名前が無い程度の能力削除
『お肉を食』
……この発想はなかった。
チルノは今のままで良い。天才だよ十分。
4.70三文字削除
最後に答えが全部間違ってて、やっぱりチルノは⑨だってオチになると思ってました・・・・・・うん、ひねてるな、俺。
PKと聞いてペナルティキックか!?SGGKかと思ったのは俺だけでいい。
5.100名前が無い程度の能力削除
メタボリックシンドロームでレティ・・・
お前本当は分かってかいてるだろ?w
6.100bobu削除
拷問や恐怖心で教育するパチェに笑わせてもらいました。
痛くなければ覚えませぬとか私のリアルスペルは31式まであるとか思い浮かんでしまいましたw
無軌道なコメディと思ってたら最後きっちりいい話になってて驚きました。
ありがとうございました。
7.70名前が無い程度の能力削除
パチェ、なんだかんだ言っていい先生なのかもしれませんなw
けーねと巫女報われないなぁ

あ、後156-51のところの答えが間違ってるかと
8.無評価酢烏賊楓削除
コメントありがとうございます、

>00:04:47の名無しさん
>『お肉を食』
文章にはなってない、それがチルノクオリティ。

>三文字さん
>最後に答えが全部間違ってて、やっぱりチルノは⑨だってオチになると思ってました・・・・・・うん、ひねてるな、俺。
ご安心を、私も最初はその気でした。
>PKと聞いてペナルティキックか!?SGGKかと思ったのは俺だけでいい。
それなんて猛蹴伝?、と突っ込むべきでしょうか。
恐怖のペナルティキックって最早何か分かりませんね。

>12:32:17の名無しさん
>お前本当は分かってかいてるだろ?
「まあるい人はメタボ、ってけーねが言ってた。」ってチルノが言ってました。満点ありがとうございます。

>bobuさん
>痛くなければ覚えませぬとか私のリアルスペルは31式まであるとか思い浮かんでしまいましたw
その言葉にこっちが吹きました。…師範の言葉を思い出せなかったとは迂闊…。
>無軌道なコメディと思ってたら最後きっちりいい話になってて驚きました。
終わり方には色々パターンがあったんですけどね、ネタで終わらせるとかシリアスで終わらせるとか。
色々考えても仕方なかったのでストレートで終わらせみました。
満点ありがとうございます。
9.無評価酢烏賊楓削除
おっと、返信してる間に…。
コメントありがとうございます。

>20:33:52の名無しさん
>けーねと巫女報われないなぁ
一番報われないのは安心して寝ているところ、慧音と霊夢にフルボッコにされるレティです。(私的レティENDですが)
>あ、後156-51のところの答えが間違ってるかと
慧音先生無かった事にしてください…。ご指摘ありがとうございます。
10.90削除
途中からパチュリー先生に乗っ取られてた件w
12.90名前が無い程度の能力削除
ギャグとほのぼのの合わせ技がGOOD!!でした。
15.無評価名前が無い程度の能力削除
全体としての出来は置いといて。
レティの作った最初の問題の半分は日本の中学3年生レベルの教育を受けていないと答えるのはまず無理です。
展開を学ぶのは中学3年ですし、ことわざや四字熟語も興味を持たない人なら覚えようとしないでしょう。
メタボの正式呼称や原子記号なんかは大学生社会人だって答えられない人も多いはずです。
足し算の勉強を何度繰り返しても解けないから、呆れるならともかく、最初のテストを解けなかったからといって、そのことで馬鹿にするのはおかしいと感じます。
ほとんどの妖精が自分から勉強をしようと思うはずがありませんし、妖精はもちろん人間にだって義務教育なんてもんは当然ありません。
知識を知らないならば解けるはずもありません。
むしろ答えられた大妖精のほうが異常であるといえるのではないでしょうか。

コメディでこういう細かい点に突っ込むのは無粋かと思いましたが、気になってしまったので書かせていただきました。
作者様、それからこのコメントを読んだかたの気分を害させてしまっていたら申し訳ありません。
16.無評価酢烏賊楓削除
コメントありがとうございます、

>翼さん
>途中からパチュリー先生に乗っ取られてた件w
パチュリーに一番乗っ取られているのは私の脳ミソですね。
本当に何時の間にこんな話になったのか自分でも不思議でしょうがありません。

>02:42:58の名無しさん
>ギャグとほのぼのの合わせ技がGOOD!!でした。
そこそこ強引に終わらせた感が否めなかったので、その言葉を聞いて安心しました。
17.無評価酢烏賊楓削除
長くなってしまったので、二つに分ける事にします。

>14:58:13の名無しさん
ふむ、これは貴重な意見ですね。とりあえず幾つか私の意見も述べさせていただきます。ネタだから、と納得していただければ一番手っ取り早いのですが。
>ほとんどの妖精が自分から勉強をしようと思うはずがありませんし
これは少し貴殿の個人的な意見であると言わざるを得ないと思います。
確かに妖精は比較的朗らかな種族だとは思っていますが、勉強をしない、と言うのは少々行き過ぎでは?
必要が無ければ勉強はしないだろう、と言うのはまあ、幻想郷の世界観においては道理に適っているでしょう。
だからと言って「物を数える」、即ち意志を持つ者の基本動作とも言える行動の基となる足し算程度ならば、勉強せずとも身に付く物でしょう。そうでなければ霊夢や魔理沙のように、最初から幻想郷に住んでいる人間も足し算が出来ない事になります。
勿論「足し算」と言う名称まで染み付くかどうかは分かりませんが。
大妖精は私のイメージ(一応私の書いた物なので、私のイメージで語らせて頂きます)では、大妖精は真面目な性格なので、必要でなくても興味や好奇心から勉強を学んでもなんら不思議ではないと思いますし、それは他の妖精にも言えることです。
三月精のサニーミルクなんかもかなりの策士みたいですからね。核融合だとか永久機関だとか、幻想郷にあるはずのない言葉も使ってるくらいですし。(単行本三月精オリジナルストーリーより)
もう一つ例えを出すならば、妖精たちと同じ理由で、そういう事は勉強していないはずの魔理沙は紅魔郷で「ワシントン条約」と言う言葉を知っていました。それが天然記念物を保護する条約だと言う事も、咲夜との会話から知っていると推測できます。
…それを差し引いても、大妖精は作中では頭が良すぎると言うのであれば私のミスです。
とまあ、これに連鎖して、
>足し算の勉強を何度繰り返しても解けないから…(以下略)
ですが、確かにテスト問題が難しすぎると言うのもありましょうが、実力の上方を見るならともかく、下方を見る場合に難しい問題が出来ないから、と言う人はまずいないでしょう。
要するに慧音や大妖精が呆れ返っているのは、主に足し算ができなかった事になります。レティは単純にチルノの回答に突っ込みを入れてるだけ(足し算に関しては別)です。
さっきの話に戻りますが、出来て当然とは言いませんが、少なくとも人間よりは長生きしているはずの妖精が足し算が染み付いていないと言うのは流石に変でしょう。
チルノだって外見は少女ですが、実際にはそこそこの年月を生きているハズです。
レティ自身「この程度は出来るだろう」と言う思いの下に問題を出しています。それは書いてあるので。
しかしそれもあくまで「0点を取らない程度」と言っている以上、最初から満点を取れるなんて思っていません。少なくとも展開以上の事はできるはずは無いと思っています。
で、この問題の中で一番簡単な問題はどれだと言われたら、ほぼ間違いなく足し算と答えるでしょうね。自分のスペルだから、と言う理由で問い4だと思う方もいらっしゃるかもしれませんが。
レティは足し算くらいは出来る、そう思って問題を出しました。しかしチルノは出来ませんでした。これは流石にレティも、そして同じ理由で大妖精や慧音も呆れるのではないでしょうか?
要するに、全員の呆れた原因は主に足し算が出来なかったことに集約されている訳です。

…と、これが私なりの回答です。とことんまでチルノを馬鹿にしている発言ですが、それはレティ視点の小説の解説だからと言う事でご容赦ください。

それと、じゃあ何で大妖精やレティはそこまで知っているのか、という質問には残念ですが答えられません。
理由は単純です。
>そもそも何で私や大妖精は因数分解とか知ってるんだろう。問題作ったときもそうだったけど。まあそれは別にどうでもいい。(2日目終盤、リアルアグニシャインのすぐ後くらい)
…の通り、私にも分からないからです。どうして出来るのか、と言うところに明確な設定をしていないので、きっと勉強したんだろう、程度にしか答えられません。

とまあ、だいぶ長くなってしまいましたが、これが私の意見です。
…大分自分でも意味不明な事を言っている気がするので、聞き流してくださっても構いません。
作者としてはやってはならない行為でしょうが、これで皆様の気分を害したのであれば、謹んでお詫び申し上げます。
…これを読んで理解が深まり、より楽しめた、と言うのであれば願ったりですが。
21.60名前が無い程度の能力削除
面白かったです。
ただ⑨がバカを指すのであって、⑨の意味がバカじゃないんじゃないかと。引っかかりが
22.無評価酢烏賊楓削除
遅れ馳せましたがコメントありがとうございます。

>02:24:23の名無しさん
>ただ⑨がバカを指すのであって、⑨の意味がバカじゃないんじゃないかと。引っかかりが
…やってしまった感が…orz…。
要所で「⑨」を「バカ」に脳内変換していただけるとありがたいです。