Coolier - 新生・東方創想話

Acceleration of Kaguya 前編

2008/01/01 08:59:04
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 その日の幻想郷も平和そのものだった。
 晴れ七割雲三割ののんびりとした空の下で、藤原妹紅は人里から竹林へと向かう道を、上機嫌に歩いていた。見渡す限り、人影は存在せず彼女一人だけがいた。
「久々に新鮮な鶏肉が手に入ったなら、焼き鳥を拵えざるをえない」
 ミスティアじゃないよ?
 たまの買い出しに人里に赴くと、鶏肉が手頃な値段だったので迷わず購入した次第である。自称焼き鳥マニアであることが知られていたおかげで、精肉店の店主から生み立て卵のおまけも貰った。既に妹紅の頭の中では今晩の夕食が火の粉と共に舞い踊っていた。
「ねぎま、ししとう、鶏皮、もも肉……今夜は焼き鳥の満漢全席さー」
「そんなぱさぱさした満漢全席は確かにトラウマになるわね」
「はヲっ!?」
 周囲に誰もいないのは明らかだったはずなので、その突然の声に妹紅は素っ頓狂な叫びを上げた。
 直ぐ脇に迫ってきた蹄の音。いつの間にか、妹紅の隣に二頭の牛に牽かれた大層に立派な車が並走していた。
「お、おま!」
「ごきげんよう」
 牛車の幌の中から姿を現したのは、妹紅にとっては並々ならぬ腐れ縁の関係にある蓬莱山輝夜だった。
「お、おまえ……日光の差している日に外出できたのか……」
「私は吸血鬼よりは体は丈夫よ。というかそこで驚かないで」
 むしろ吸血鬼よりも丈夫であるのだが、つっこむのも無意味なことだった。
 冗談はさておき実際の所、今まで妹紅と輝夜が出会うのは大概竹林の中か永遠亭に限られており、このように晴れ渡った空の下で顔を合わせることなどなかった。故に、この現実に妹紅は大いに面食らっていた。
「一体どういう風の吹き回しなんだよ、お前が一人で外に出てるなんて」
「その風が巡ってきたのよ。前々から永琳に粘り強く交渉してた外出許可がようやく下りたの」
「はぁ?」
「永琳ったら、永遠亭から一歩外に出ることすらいちいち口出してくるのよ? 私だっていつまでも好きでひきこもっていたくないというのに。前イナバと一緒に永琳に内緒で外出したときも後が五月蠅かったわぁ」
 はぁー、と輝夜は芝居がかった大げさぶりながらも、様になる溜息を付いた。それに合わせるように、牛車の二頭の牛が腰の砕けそうな鳴き声をハモらせる。
「あの薬師、もしかして過保護ってやつ?」
「それ以外になんだっていうのかしらねぇ」
「私の見てた感じでは放任主義っぽかったんだが、そんなもんなのね」
 誇張抜きで渋い顔の輝夜に、妹紅は意外そうに首を捻った。まぁ、あの八意永琳を理解することなどできっこないということは妹紅もわかっていた。おそらくは輝夜も。
「ま、それはそれとして」
「いいのかよ。いいけどさ」
「今回は苦労したわよー。イナバ付きでも険しい顔をするところを一生のお願いしてようやくなんとかなったんだから。だから、今日は昼下がりまでたっぷり幻想郷を駆けめぐったわ」
「お前は知的生命体として一生のお願いしちゃいけないランキングダントツナンバーワンだろ、常識的に考えて」
「トップスリーは蓬莱人の独壇場ね」
「皮肉で言ってんのよ」
 しかしそのような言い返しなどまるで気にした様子もなく、輝夜は唐突に話を変えた。
「妹紅、よかったら家の近くまで乗せていってあげましょうか?」
「え?」
「この牛車、見かけより中が広いのよ。あと2,3人は乗せられるわ」
「とかいって実は底が抜けるとかいう罠はないだろうな」
「疑心暗鬼は心が狭い証拠よ。ほら、乗った乗った」
 にこやかな手招きに猜疑心ばりばりの妹紅だったが、何故か断り切ることができず、渋々ながら御者台を昇って中に入っていった。
「ほう――見かけよりずっと広く感じるな」
 輝夜が座っている御者台の真後ろにどんと腰を落としたところで、妹紅は意外なほどに余裕のあるスペースに感心する。内装も外装に負けず劣らず立派であり、それでいて仰々しさをまるで感じさせない落ち着いた作りだった。
「では行きましょうか」
「あ、ああ」
 輝夜が手綱を軽く手繰ると、二頭の牛は山伏の吹く法螺貝のように高らかに鳴いた。ほどなく、牛車はガタゴトと車輪を回し始めた。
 ゆるやかに移っていく景色を眺めながら、二人の会話は続く。
「車か……懐かしいと言えば懐かしいかな。もう1300年は前だけど」
「私はあの頃も殆ど外に出たことがなかったから、牛車についてはさらに遡るわね」
「そういや月には空飛ぶ牛車があるとかいってたが、月にいた時は乗り回してたのか? というかお前が今牛を操っているってだけでも意外なんだが」
「そうね。こう見えてもきっちり教習受けて運転免許持ってるのよ。月に置いてきたけど」
「免許なんてあるのか……」
 牛達の歩みは当然と言えば当然だが、実にのんびりとしたものだった。徒歩とどっちが早いか判断しかねる微妙な速度に、最初のうちは歩く必要が無くて楽だ、と思っていた妹紅だったが
「なぁ、これもっと早くなんないの?」
 遅々として進まない牛車をもどかしく思い、そのような事をぼやきだした。
「これぐらいが趣があってよいじゃない」
「そうはいってもなぁ、こんなゆっくりとしたんじゃ日が暮れるぞ? よく日が沈む前に一回りできたもんだな」
「あら……知りたい?」
 そこで振り返った輝夜の顔を見て妹紅は背筋に薄ら寒いものを感じた。なぜなら、輝夜の表情がいつになく悪戯っぽい輝きに満ちていたからだ。
「確かにこの速さじゃ片道でも日が暮れそうよね。“この速さ”では」
「……なんだって?」
「どう、妹紅――貴方が竹林から人里に赴くまでの時間よりも早く、自分の庵に戻れるという現実を見てみない?」
「な、何言ってるんだよ、できるわけないだろうがそんなの。むしろそんなに早く戻れるっていうならやってみろっていうの」
「OK、言ったわね。そんなにご希望とあらば見せてあげるわ――ハイヤァ!」
 突如人が変わったように、輝夜は手綱を大きく一打ちする。それに呼応して、それまで眠そうに反芻していた二頭の牛は全く別の生き物のように双眸を研ぎ澄ませて前を見据え直した。
「お、おい――」
「さぁっはっはっ! 行くわよ!」
 その次の瞬間に切り替わる瞬間を、妹紅は全く知覚できなかった。
「わあああああああああ!?」
 強いて言うならば、それは巨人に平手打ちされた気分だった。得体の知れない大きなパワーが妹紅の体を容赦なく横方向に殴り飛ばす。
「妹紅私はドライブが好きよ長距離遠征が好き峠攻めが好きアクセルベタ踏みが好き坂道発進が好き渋滞が好き移り変わる景色が好き高速で隣路線を煽るのが好き逆走が好き信号無視が好き!」
「ああああああああああ!?」
「私は月の都最速よどんな長距離でも一瞬で駆け抜けることができるの空は飛ばない牛車よ!」
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!」
「ドライブはいいわね人類が生み出した文化の極みよそうおもわない藤原妹紅!」
「のおおおおおおおおお?!」
「五月蠅いわよ妹紅」
 地面を盛大にやする音が鳴り響く。それと共に、妹紅の体を振り回していた運動エネルギーが猛烈な反作用へと転じた。妹紅はなすすべもなく牛車から放り出されることになる。
 轟音の余韻がほどよく薄らいだところで、輝夜は吹っ飛んだ妹紅を尻目に御者台で悦に入っていた。両手を広げて天を仰ぎ。
「また3秒、世界を須臾に近づけたァ……」
「……」
 頭から地面に落下した妹紅は、そのような輝夜の横顔を直視するはめになった。もはや怒りも湧いてこないくらい、清々しい笑顔だった。
「って」
 牛車に乗ったときは日が差していたはずだが、にもかかわらず今の視界が妙に暗いことに妹紅は気が付く。心身両方の頭痛に耐えながら天地を元に戻して周囲を見てみると――
「竹林、というか私の庵の目の前か!」
 間違いなく、回りを見渡した妹紅の瞳に映ったのは、笹の下に座する愛しい我が家。
「ほ、ほんとに人里との間を縮めたのか……」
「どう、貴方の要望通り早く着いてあげたわよ」
「あり得ない……鳳凰より迅く爆走する牛車がこの世に存在するなんて……」
 背中でフェニックスが涙目になっていることを妹紅は気配で察した。
「この程度は朝飯前というやつよ。懐かしいわねぇ、昔は『クレータードリフトの女王』とかなんとか言われたっけ」
「頼むから、突っ込んで欲しいところは箇条書きにしろ」
 つくづく宇宙人は度し難い。妹紅は心からそう思う。
「さぁて帰りましょ。日が落ちるまでに帰らないと永琳がうるさいから。ではごきげんよう」
「……」
 引き留めるまもなく、輝夜はがたごと牛車を走らせて、竹林の向こう側へと消えていった。
 妹紅は痛む首をさすりながら嘆息した。それはもう深々と。
「あいつと関わるとホントろくなことないな――こういうときは暴飲暴食してとっとと寝ちまお」
 しかし、と妹紅はふと考える。
「あんな速度で幻想郷中ぶっ飛ばしたりなんかしてたら、天狗の新聞の格好のネタじゃないか」
 それは幻想郷の住人ならば、大体十人中十人が納得する推測だった。

 翌日、その誰もが思い至る予測が斜め上の方向で現実化することになるとは、この時点での妹紅には知るよしもなかった


「姫様~~~~~~~~~~~!!」
 鈴仙・優曇華院・イナバは永遠亭の長い廊下を疾走し、その勢いのまま主人の部屋の襖を開いた。部屋には、永遠亭の主蓬莱山輝夜と、彼女の右腕である八意永琳が座って茶を飲んでいるところだった。
「ちょっとウドンゲ、屋内では静かになさいといつも言っているでしょう」
「あらイナバ、永琳でもないのになんでそんな走ってきたの?」
「そそそ、そんなことより、大変ですよ! 大変なんですよ!」
 自分の主君と師匠への返事もおざなりに、鈴仙は大層あわてふためきながら何かを突き出してきた。
「これは……」
「天狗の新聞ね。文々。新聞ではないみたいだけど……」
 永琳と輝夜は揃ってその新聞に目を通し。
 永琳はギョッ、と我が目を疑い。
 輝夜はほえ、と首をかしげた。

『永遠亭の姫君、幻想郷最速に挑戦!? 妖怪の山が揺れた日』
『牛車、霧の湖を切り裂いて』
『魔法の森を駆け抜ける虹色の輝き、龍の再来か!?』

「ええええええ!?」
「あらまぁ」
 鈴仙が持っていた新聞を光速でひったくった永琳は、記事に掲載された我が主のノリノリな姿の写真を凝視して、驚愕の悲鳴を上げた。
「姫! ――いいや、輝夜! これはいったいどういうことなの!!」
 永琳はよほど気が動転したのか、かつて月にいた時家庭教師として叱る際の口調で輝夜を問い詰めた。
「どういうって、久々に“ちょっとだけ”スピードを出しただけなんだけど」
「その“ちょっとだけ”がどれだけ飛び抜けているのかという自覚を持ちなさいと前にも言ったでしょう!」
「いいじゃない。人轢いたりしてないし」
「そう言う問題じゃありません! こんなことをしたらどうなるか……」
「「「「たのもー!!!!」」」」
 爆音と共に部屋の襖が吹っ飛ぶ。
 そこに姿を現したのは、永琳が今まさに説明しようとした“どうなるか”な連中だった。

「話は全て聞かせて貰ったぜ! 私を差し置いて速さを語るとはヘソで茶が沸くってもんだ!」
 ブレイジングスター 霧雨魔理沙

「幻想郷最速を吹聴するとは天狗として見逃せませんね! 私の目の黒いうちはそのような虚言の流布は許しません!」
 無双風神 射命丸文

「ひきこもりが私の領地で粋がるとはいい度胸じゃないか! 身の程っていうものを教えてやるわ!」
 バッドレディスクランブル レミリア・スカーレット

「距離を縮める技に関しては私とて負けてない! いざ尋常に勝負!」
 二百由旬の一閃 魂魄妖夢

 本来の二つ名とは違う、“最速”を謳う者としての称号を携えて、スピード自慢の四名がここに一斉に来訪してきたのであった。ちなみに称号は今決めた。
「なるほど、ツッコミどころは箇条書きにしろと言った妹紅の気持ちが何となくわかったわ」
 名乗りの間呆然としていた三人であったが、その中でいち早く立ち直った輝夜は、そのようにつぶやいた。
「あ、貴方達! 用があるんなら普通に来訪しなさい!」
 続いて我を取り戻した永琳は、握りしめた湯飲みの中身をぶちまけんが如き勢いで四名に噛み付く。そりゃあ、自分の家の襖を壊されて怒らないわけがない。
「い、一体、何をしに来たのよあんたたち……」
 最後に鈴仙はと言うと、師の剣幕に条件反射的に縮こまるほか無かった。
「『何をしに』? 決まっているだろう、白黒をつけにきたのさ」
「昨日のそちらのお姫様の大爆走、忘れたとは言わせませんよ? 哨戒天狗の追跡を振り切ってまで山を駆けめぐったなんて、立派な宣戦布告です」
「私が湖を眺めながら優雅に昼の紅茶を楽しんでるところを、モーゼの真似事するなんてな……よほど喧嘩がしたいらしいわね」
「というわけで、蓬莱山輝夜。私達は貴方の挑発に受けて立つべくここにきたのよ」
「……なんでそういう話になっているのかしら」
 輝夜には、彼女たちの言い分が半分もわからなかった。いや、この場で何もわかっていないのは輝夜と鈴仙くらいなものであったかもしれない。
「姫、先ほど私が言いかけたことを説明しましょう」
 既にそのことを把握していた永琳は、素早く解説モードに切り替わった。
「幻想郷にはいくつものパワーバランスが存在する。それはいいわね? 一般的には紅魔館、妖怪の山、人里といった重要な拠点を指すことが多いけれど、今問題となっているのはもっと個人的な事情ね。すなわち、この四名のような“私が一番速いんだ星人”。自分こそ幻想郷最速だと信じて疑わないプライドの塊。かっ飛んでいないと生きていけないなんてまるでマグロね」
「それって彼女たち締まりが……」
「外の世界じゃ漁獲制限されてる回遊魚の王様よ! 動き続けていなきゃ呼吸も満足にできないってことよ。なんで姫はそういう方向にボケるのですか!」
「散々な言い分だなお前等」
 一同を代表して魔理沙が半眼で睨み付ける。今の彼女たち速いんだ星人にとっては、輝夜と永琳の漫才すらも気に触るやりとりだった。
「まぁそちらの薬師さんが理解しているのなら話が早い。ともかく私達は蓬莱山輝夜、貴方が幻想郷最速を名乗ることを決して認めません」
「だから、別に私はそんなつもりは」
「お前がどう考えていようと既に賽は投げられているんだよ」
 反論しようとする輝夜に、レミリアはおもむろに一枚の紙を放る。
「何よ……『幻想郷最速頂上決戦』???」
「詳しい内容は後でその紙をよく眼を皿にして読むがいいさ。お前も含めた連中の下らん思い上がりを正してやるために、私が人肌脱いでやったぞ」
「つまり、この際だから紅魔館主催のレース大会で誰が一番速いかを決めてしまおうというわけ」
 なるほど、紙には企画内容と主催者名がきっちりと書かれている。一体誰が一晩でやってくれましたんだろうかと思えるほどの出来映えであった。
「補足ご苦労庭師。まぁ私がどれだけ凄いかということの再確認にしかならないとは思うが、諸君等もせいぜい盛り立ててくれたまえ」
「了解だ、お前さんがどれだけ凄いガキのすっ転びを魅せられるかどうか一番前から支援してやる、ありがたく思うんだな」
「何を言っているんだか、私のカメラとスピードなくしてスクープ映像が撮れるわけないじゃない。でも事実の裏付けというのは大切ですけど地味な作業ですよねー。皆さんなんか一発芸お願いしますよ」
「一発芸というと、貴方達の目の前で私の一閃が二百由旬を飛び越える技でよろしいかしら。瞬きしてもしなくても見えませんよきっと」

 くくくくうふうふふけけけけうぎぎぎ

「凄いわ永琳、この人達怒りと笑いを見事にシンクロさせているわ。ドン引きね」
「貴方達、キャットファイトは竹林の外に出てからやりなさい」
 このままだと永遠亭が物理的に内部崩壊を起こしかねないので、永琳はスペルカードを構えつつ速いんだ星人の輪に割って入った。
「ふん、まぁいいさ。この場で決着をつけずとも運命は一週間後に巡ってくる――というわけでだほうらいやまてるよ! 貴様は地獄のシード権特等席に強制招待だ! 棄権も逃亡も許さん!」
「人にものを頼むときは最低限名前は間違わないようにしなさい乳飲み子」
 多分素で間違っているんだろうなと思いつつもそこを看過できるほど輝夜も暢気ではなかった。珍しくこめかみに青筋が浮かび上がる。
「まぁそんなわけで、来週を楽しみにしていなさい」
「勝つのは私だぜ」
「私です」
「私だ」
「私よ!」
「もういいからとっとと帰れ」
 痺れを切らせた永琳は強引に速いんだ星人一同を玄関まで送り返した。


「ど、どうするんでしょうか師匠、姫様」
 嵐が去って、永琳と鈴仙はレミリアから渡された『幻想郷最速頂上決戦』の企画書を眺めつつ頭を抱えていた。
「……自力であればどんな能力を使用しても構わないというのがやっかいね。魔理沙あたりが何を仕込んでくるかわかったものじゃない」
 企画書には基本ルールと開催日時、場所、コースの概略図がわかりやすく書いていた。主催者は紅魔館と、共催として博麗神社、守矢神社、天狗新聞記者連盟、八雲家、白玉楼etcの名前がずらりと並んでいた。
 永琳の言うとおり、レース中に第三者からの助力や妨害さえなければ、能力の制限は一切存在しない。競争者との衝突もある程度の範囲なら許容されている。まさに“速いモン勝ち”だ。
「別にいいじゃない。適当にやり過ごせばいいだけのことよ。私は幻想郷最速なんて興味がないし、彼女たちが彼女たちで一番を決めてしまえばいい。参加することになったとしても、私はとことこ走るだけよ」
 深刻な顔つきの二人をよそに、当事者の輝夜と言えば、温くなってしまったお茶を下っ端因幡に煎れ直させていた。緊張のきの字も伺えない。
「……輝夜は事の重大さをわかってない」
 険しく眉根を寄せて永琳は重苦しく口を開く。
「既に輝夜が牛車込みとはいえかなりのスピードを出せるということは幻想郷中に知れ渡ってしまっている。手を抜こうものなら高い確率で袋だたきにされるわ。それだけではない、いざ大会となって輝夜が最下位になれば、それみたことかと輝夜のみならず永遠亭にまで泥を塗られることになるでしょう。所詮は世間知らずのお姫様とその取り巻きとね。彼女達は私達の退路を断った上で吹っ掛けてきたのよ。やたらめったら多い共催者名は外堀を埋める意味合いね」
 不愉快な未来を想像してしまっているのか、永琳はきりきりと歯を軋ませた。仮に不名誉を被る事になった場合、永琳がやっている医療行為の評判に影響が出るかも知れない。半ば慈善事業の一環であるため、需要が無くなること自体は大したことではないが、自分の主君と家族とが謂われなき物言いに晒されることは永琳にとっては口惜しいことこの上なかった。
「深く考えすぎだと思うのだけれど……まぁ、私個人はともかく永遠亭全体に関わってくるというのなら、流石に日和見すぎるわけにはいかないわね」
「いかに月にいた頃は牛車レースで名を轟かせていた輝夜とはいえ、あのスピード狂達を相手にするのは苦しすぎる。そこでウドンゲ!」
「は、はひ!」
 いつ振られるかびくびくしていたが結局覚悟を決めていなかった鈴仙は、全身を総毛立たせて悲鳴のような返事を返した。その鈴仙の肩を掴み、永琳は敢然と奮い立つ。
「今こそ私達が永遠亭を守るために戦う時よ。私達の力でどうにかしてレースを成立できなくする! もしくは「じゃあ、私が参加して勝てばいいわけね」WHAT'S!?」
 主君のその言葉に永琳は宣言を中断せざるを得なくなり、鈴仙もまたさらに驚愕した。
「後には引けない状況なんでしょう? ならば私が大人しく参加すればそれでいい。違うかしら?」
「待ちなさい輝夜。貴方あの駿足自慢達と並んで勝てるなどと、本気で思っているの?」
「さぁ?」
「さ、さぁって……」
 永琳と鈴仙は愕然とするが、構わず輝夜は続ける。
「でもやるしかないんじゃない? たとえ永琳達が巧妙にレースを中止させたとしても、それは私が無様に最下位になるのとかわらないわ。疑われて品位が落ちるだけ。それなら、真っ当にレースに挑んで参加者全員が納得いく結果にした方が良くない?」
「で、でもこの度のレース、全員が全力を賭して勝負に望むわ。どれほどの危険が待っているか……」
「危険の心配をするのは牛たちの方ね。私にとって危険なことが妹紅と永琳以外にこの幻想郷に置いてどれだけあるっていうのかしらね」
 普段だったら輝夜のごねた物言いは大概永琳によって丸め込まれる。しかし、今回に限っては永琳が冷静さを欠いていたせいもあったが、それ以上に輝夜の毅然とした態度が、永琳の弁舌を寄せ付けない。鈴仙は、このように師が姫によって手玉にとられている姿を見るのは初めてだった。
「では、せめて私がレースの作戦指揮などを……」
「あ、今回永琳の力を借りる気は一切ないから。貴方に任せたら阿吽にどんな改造施すかわかったものじゃないしね」
「ええ!?」
 阿吽とは輝夜の牛車を牽く二頭の牛のことであるが、もちろん普通の牛ではない。駿馬はおろか自動車をも超える走破能力を初めとして、阿吽の名前が示すとおり、まるで鏡写しの存在の如く同調した動きを見せる。その結果、二頭分の運動能力を余すところなく発揮することができるのだ。
 それはさておいて、立て続けに輝夜は驚くべき事を口に出した。
「命令よ。これから一週間、大会が終わるまで一切の仕事を禁じるわ。薬の調合は元より調剤室への出入りも禁止。薬売りや診療も特別休暇をだしましょう。貴方はのんびり饂飩でも啜ってなさい」
「そ、それだけはできません! 冗談じゃないわ、いくら輝夜の命といえどもそんなこと聞けるわけないでしょう!」
「あ、優曇華の樹の面倒見る仕事だけはしていいわよ。というか多分大会まで私面倒見れないと思うから」
「それは何もするなということと同義でしょうが!」
「えー、酷いわ永琳。私の日課を無碍にするなんて」
 よよよと泣き崩れる物真似で輝夜は永琳をあしらう。のれんに腕押し、糠に釘、今の輝夜にはもう永琳の言葉は通じないのである。同様に、輝夜の言葉も永琳には通じてないわけだが。
「秒速三十万㌔譲ってレースに出場することは認めましょう。でも私の作戦なしに勝ち目があるわけがな……」
「てゐ」
 コンッ、という聞こえるか聞こえないか、それくらいの小さな音だった。輝夜がおもむろに永琳の側頭部を拳で小突いたのである。
 その次の瞬間、永琳は直立姿勢のまま畳に倒れ伏した。
「し、師匠!?」
 永琳は、いかめしい顔つきのまま横たわって、石のように動かなくなってしまった。
「永琳、距離と光速を間違うなんてよっぽど焦っていたのね。光年と時間を間違うのと同レベルよ」
「姫様ー呼んだー?」
「あら、因幡。呼ぶ手間が省けたわ」
 輝夜が振り返るとそこには、因幡の頭領である因幡てゐがのほほんとした笑顔で姿を現していた。タイミングの良い出没であるが、先ほどからの騒がしさにこの悪戯兎が寄ってこないはずはないであろうことから、おそらくは襖の影で大体の話は聞いていたのだろう。
「貴方においしい仕事を与えるわ。近う寄りなさい」
「うんー」
 鈴仙は元より永琳の言うこともあまり聞かないてゐだが、波長が合うのか何なのか、何故か輝夜に対しては割と無償で従順であった。自分の足下にやってきたてゐの耳をやんわり持ち上げると、輝夜はごにょごにょと何かを吹き込み始めた。
「……というわけで行ってらっしゃい。永遠亭から独立した公平な立場さえとれば、後は貴方の好きにして良いわ。因幡も総動員なさい」
「りょうかーい。じゃ、大会当日を楽しみにしててね」
 そう言うとてゐはとてつもなく愉快そうな笑顔で、手を振りながらその場を去っていった。茶汲み因幡たちもその後に続き、ぞろぞろと外に出て行った。
 永琳が動かなくなり、てゐも兎もいなくなって取り残された心境の鈴仙は、ようやく輝夜と一対一で向かい合うことにした。
「姫様、てゐに一体何を……それと師匠は」
「まずあの子には、主催者である紅魔館に私の参戦を正式に通知させにいった。次に、運営委員会に掛け合って勝者は誰か予想する賭けの元締めをかって出るように言ったわ。利益は全部因幡のお小遣いにしていいって付け加えたら耳が嬉しそうに震えてた」
「うわぁ……」
 てゐを賭け事に関わらせるという時点で、鈴仙には嫌な想像しかできなかった。
「それと永琳は、まぁちょっとだけ永遠に眠って貰ったわ。あと一時間もすれば目が覚めるでしょう。まったく、ああいう風に油断した状態じゃないとできなかったわ」
 その説明で全てがわかったわけではなかったが、鈴仙はある程度理解した。要するに輝夜は隙をついて永琳に永遠の魔法をかけたのである。輝夜の永遠の魔法はかなり都合の良い範囲で存在の変化を停止させることが出来る。いかに天才といえども時間の流れを止められてしまえば動きようもないわけだった。
「ま、一時間もすれば永琳であっても取り返しの付かないところまで状況が進むでしょう。そのために私も貴方も早速始めないとね」
「へ?」
「あと一週間、時間が許す限り阿吽と一緒に走り込んで昔の勘を取り戻すわ。貴方をここに残したのは、その協力をして貰うためよ」
「わ、私にできることなんて……」
「あるから残したのよ。さ、文句は言わせないわよ、名目上これは永遠亭を守るためのことなんだからね」
 そこで言葉を切り、輝夜はサクサクと部屋を立ち去っていった。
「待ってくださいよー!」
(一体どうなってしまうの――ッ!?)
 一寸先のルーミア、六里霧中、メルランのへにょりレーザー。
 鈴仙の視界を、不安という名の靄が覆っていた。


 速いんだ星人一同が永遠亭に襲撃をかけてきてから日付は進む。
 大会まで一週間という極めて短い時間でありながら、事態はそれこそ最速を決める大会の名に恥じないスピードで順調に進行していった。
 まずてゐを代表格としたギャンブル企画についてはおおむね好意的に了承された。運営委員とてゐ側の間で若干の人事異動もとい兎事異動と諸経費の流れがある程度で、てゐ側の希望通り企画での利益分はほぼ丸々てゐの懐に収まるようになった。主催である紅魔館側にしてみれば、主人のレミリアがレースに勝って満足すればそれでいい話であるわけで、商売っ気は皆無であった。またそれ以外の因幡達も様々な仕事を任せられることとなった。
 幻想郷挙げてのお祭り騒ぎと言うことで、人間妖怪を問わずにあちらこちらで出店の準備が盛んになっていった。出店となると酒と並んで焼き鳥が候補に挙がってくるわけで、一部の妖怪達からは妨害工作が予想されたが、そこら辺は運営委員会出店担当の西行寺幽々子によって鎮圧された。当日は焼き鳥とヤツメウナギの串焼きが仲良く?肩を並べることになるだろう。
 もちろん、主役となる参加者達も、大会に向けての準備には余念がなかった。技を磨き、秘策を練り、その時を待つ。
 それぞれがそれぞれの時間を過ごしている中、肝心の永遠亭の輝夜はというと……
 
「ストップ! ……10秒32、です」
「おっけい、休憩しましょう」
 永遠亭からもやや離れた、竹林の深部。
 深部といっても、そこはまるで竹のアーチで囲われたドームの中のように、ある程度開けた地面が広がっていた。牛車を走らせるには十分なスペースが存在している。
 ただでさえ永遠亭の住人ですら足を踏み入れない領域だが、ここで輝夜はさらに鈴仙に、その狂気を操る能力によって周辺一帯を閉鎖空間へと変えさせた。入るにも出るにも、鈴仙の能力が必要となる。
 何故そんなことをしたのかといえば、竹林の外で走り込んだら自分の実力を宣伝するようなものであること、勘を取り戻すためには外乱のない静かで集中できる環境がほしかったこと、そして「こうしたほうが特訓っぽい」という輝夜の冗談じみた提案からだった。
 そんなこんなで、輝夜は鈴仙を連れて日中の数時間、特別練習場で小刻みなインターバルをはさんだ走り込みを繰り返していた。練習を続けている間、鈴仙は空間の閉鎖のみならず、タイムの計測や水分の用意などのマネージャー的役割も任せられた。距離を測っていないため、正直タイムの計測にどれほど意味があるか鈴仙にはわからなかった。が、ストップウォッチでの計測結果を伝えるたびに、輝夜は色々と走り方を変えているようなので、少なくとも輝夜にとっては必要なことなのかもしれない。
 休憩は主に阿吽を休ませる目的であるが、御者である輝夜も手綱捌きはそれなりに疲労を伴うようで、鈴仙にマッサージや湿布を度々要求した。今も片腕で湯飲みを持ちながら、もう片方の二の腕を鈴仙に揉ませていた。
「ちょっと筋肉の張りがとれなくなってきましたね。これじゃあ湿布もだましだましにしか効きませんよ」
「そう、では次の走り込みで今日は終わりにしましょうか。明日まで痛みが引かないようならリザレクションね」
「それはやめといたほうが……」
 リザレクションすれば肉体の負担はリセットされるが、見ていて気持ちのいいものでもない。
(いやそれよりも……)
 練習につきあい続けて、未だに鈴仙は不安の暗雲を払拭できていなかった。
 確かに輝夜は冗談じみたスピードを御せるテクニックを有している。日を重ねるごとにその動きの切れはますます牛車の領域を飛び越えて、得体の知れない急旋回、急停止などを見せることもあった。直線走行をすれ違う時など、鎌鼬が大挙をなして押し寄せたかのようですらある。
 しかし、それでも鈴仙には、輝夜があの速いんだ星人一同に対抗できるというイメージがわかない。
 マスタースパークの逆噴射、天狗の風、吸血鬼のパワー、爆縮地。全てを余すところなく眺めたわけではないが、鈴仙はそのいずれとも対峙している。だからその凄さはわかっているつもりだった。彼女の師であるならば、あるいは対抗策がわかるかもしれない。しかし、輝夜はその最大の味方であるはずの永琳の助力を完全にはね除けた。鈴仙自身はないものと考えると、これは本当に輝夜本人の力だけで競わなければならない。今でも十分な練習量をこなしているとは思えるが、それでも根本的に届かないのではないか――というかそもそも、連中は全員空、こっちは陸走であり、条件が違いすぎる。鈴仙にはそういう結論にしかたどり着けなかった。
「姫様――」
「ん?」
「本当に、勝ち目ってあるんでしょうか」
 自分にしては今までよく何も言わなかったものだと思う。臆病で言い出せなかっただけともいえるが。鈴仙はようやく心境を吐露した。
「五分五分といったところね」
 湯飲みを置いて、腕を差し出しながら輝夜はそう答える。
「勝算があるから勝負に乗ったのよ。なければ永琳を外すわけがないわね。まぁ、あの慌てぶりからすると、案外頼りにならなかったかもしれないけれどね」
「一体どういう作戦なんですか? それって、師匠がいなくてもなんとかなるような、凄いものなんです?」
「それは秘密。大体、貴方隠し事できるタイプじゃないでしょ? 万が一漏れちゃったらどうするのよ」
 うっ、と鈴仙は押し黙る。自分ではそんなつもりはないのだが、何故か反論できなかった。期待通りの反応だったのか、輝夜は吹き出した。
「貴方は信用していないわけではないわ。秘密にしていた方が色々と都合が良いの。でも一つだけ言えることは、今私達がやっている走り込みは、その作戦の成功率を少しでも上げるためにやってること。それだけは自信を持っていいわ」
「積み重ね、ってことですか?」
「そう、意外と短い時間でもコツコツやることってのはバカにならないものよ。千年生きてる私が言うんだから間違いない」
 それは――しかし、鈴仙の不安を掻き消すジョークとしては、不十分だった。
「……」
「――ふぅ」
 再び押し黙って、ぎこちなく腕のマッサージに専念する鈴仙のその手の甲に、輝夜は空いている方の手の平を重ねた。
「ほんと貴方は心配性ねぇ。大丈夫よ」
「でも……」
「そもそも、今回の勝負、割と私の方に分があるのよ」
「?」
「ようは、私が最下位になることが問題なわけよ。でも最下位を免れることさえできれば、大方の予想は覆すことができて、永遠亭のメンツは保てるわ。それでいてね、私が一つずつ順位を上げていけば、それだけ面白いことになる。もちろん、私が一位になった場合なんて、それはもう楽しいでしょうね」
「面白い……?」
「そう、回避すべきところは実を言うと最下位ただ一つだけ。それ以外ならば後はいくらでも好転するということよ。そんな風に考えれば、少しは気が楽になるでしょう?」
 手を重ね合わせたまま、輝夜は鈴仙の赤い瞳を見据える。そして思う。
(こんなのが狂気の瞳だなんて笑っちゃうわ。可哀想なくらい可愛いじゃない)
「だから貴方は心配する必要なんてないのよ。むしろこれはチャンスだと楽しむべきなの。てゐみたくね」
 そもそも考えてもみてご覧なさい、輝夜は微笑みながら続ける。
「あの速いんだ星人達がわざわざ私のためだけに、幻想郷最速頂上決戦なんて大層なネーミングでお祭り騒ぎをしようっていうのよ。これが愉快痛快でなくてなんだっていうのかしら? 踊らなにゃソンソンアホが見るってやつよ。それでいて、こっちがやる気になればなるほど私も楽しいしみんなも楽しい。これってとてもとても幸せじゃない」
 それは短絡的なポジティブシンキングではなく、開き直りでもなく、全てをひっくるめて自分が置かれた状況を肯定できるが故の余裕だった。輝夜は、その境地に達した時点で、勝利しているとも言える。そしてこれは、楽園の単なる一人物として表舞台に姿を現してから輝夜が手に入れた、一つの生き方だった。
「だから鈴仙も……鈴仙?」
 少々一方的に話しすぎたかな、と思い至ったところで、輝夜は鈴仙の反応を伺う。
「――」
「――」
 鈴仙は呆けていた。狐につままれたまま意識が戻ってきていないような、それくらい間の抜けた表情だった。
「おーい、イナバー」
「……姫様って、ひょっとしたら師匠よりも凄い思考回路の持ち主なんでしょうか」
「……」
 それは全くもって誉め言葉にも何にもなっていなかった。
「はぁ――臆病なくせして怖い物知らずなのが貴方の性かしら。きっと綿月姉妹もさぞ呆れさせられたんでしょうね」
「え? え? そんなつもりは――」
 自分が失言を漏らしてしまったと判断した鈴仙は、いつも通り大あわてで取り繕うとする。
 プッ、と輝夜は呆れながらまた吹き出した。
「あー、もう。せっかく肩の力をほぐしてやろうと思って素面でこっ恥ずかしいこといったのに。そんなんなら放っておけば良かったわね」
「あ、その――すみません」
 こうなると、後はもう何か何までもテンプレート通りの縮こまり方でしかない。それを前にした輝夜は、ただ優しく微笑んだ。
「まったく、私の方の肩の力が抜けちゃったわ……ま、それならそれで悪くないわ。さぁ、本日最後の走り込みよ」
 輝夜は残していた湯飲みのお茶をごっごっごっ、と飲み干して立ち上がる。
「どうせやるなら目指せ優勝。残すところは後48時間、気合い入れていくわよ」
「――はいっ」

 その言葉は、まるで朝霧を払う曙光のように。
 
 深い竹の闇の中であってなお、鈴仙の展望に一筋の道を通した。
何とか2007年内に投稿が出来ました。蝙蝠外套と申すものです。
ほんのり儚月抄成分多めでお送り致します本作品。詳しくは後編にて。
蝙蝠外套
http://bldlove.hp.infoseek.co.jp/
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コメント



0.630簡易評価
3.100名前が無い程度の能力削除
これはおもしろい、後編も期待しております
6.100名前が無い程度の能力削除
情熱、思想、理念、頭脳、気品、優雅さ、勤勉さ!
それに速さも兼ね備えてしまったら姫様は天下を取れちゃうぜ!
9.90名前が無い程度の能力削除
速ぁぁぁぁぁぁいぃ!
続きをルームランナーで走りながら待ちます
10.無評価deso削除
続きが気になりますw この姫様はかっちょいいぜ…
点数は完結してからということでフリーレスで。