Coolier - 新生・東方創想話

おやま、の、じけん

2007/12/10 10:02:36
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嫌な話です。
苦手な人はご注意下さい。



























うーん、飲み直しだー。
おっすミスティア、酒くれっ……と、お? 先客がいたのか。

……なんだ、いないと思ってたらこんなところにいたんだな。
うわっ、だいぶ酔ってるな。
探したぜ、お山の宴会に参加したのは良いものの、山の妖怪で前から顔見知りっていったら、あんたしかいなかったからな。
なんでお前、お仲間の宴会に参加しないで、こんなところで一人で飲んでるんだ?

大事な宴会だったんじゃないのか?
霊験あらたかな新しい神様を迎える宴会だったんだろ、なぁ。
天狗達のお墨付きの神様なんて、そうそういるもんじゃないぜ。

おっと、そんなきつい顔して帰ろうとするなよ。
聞きたいこともあるんだぜ。
おーい店主、いつもの酒くれ。
それから串揚げ2つ。
1つはこっちの天狗にやってくれ、おごりだぜ。

いや、宴会でお前達の新聞をたっぷり見させられたんだ。
主に青白の巫女に。
ほれ、この束がそれだ。
借りてきたんだ、本当だぞ。
すごいぜあの巫女、ここ数日の天狗の新聞を、ほとんど集めていやがった。

ところどころ切り抜きがあるのは、青白の巫女の仕業だぜ。
なんでも、あの新参の神のステキな写真がたくさん掲載されてたそうだ。
切り抜きを集めた本……すくらっぷぶっく、とか言うのを見させられたが、まぁ確かに良く撮れた写真ばかりだったぜ。
神様の写真に混じって、何枚か自分の写真もあったのはご愛嬌だがな。
なんにせよ、天狗の撮影技術ってのも、たいしたもんだ。

もちろん、記事にも目を通したぜ。
どの新聞も、あの神様を、巫女を、神社をベタ褒めだ。
褒め言葉にも、あんなに種類があるとは知らなかったぜ。
天狗の新聞なんて、皆好き勝手書いてるものかと思ってたけど、なかなかどうして。
天狗達が揃いも揃って褒め倒してるなんて、よっぽどの神徳なんだろうな。
しかしまぁ、あの青巫女のはしゃぎっぷりったら、なかったぜ。

で、だ。
新聞の束に、つらつら目を通していたら気がついたんだが。
天狗達が足並み揃えて、といえば、こっちの記事もだな。
いわく、「お山の侵入者の背後に、暗躍する河童の影!?」
……怖いなー、まるで私が悪者のようじゃないか。
だがそれ以上に、河童が悪者になってるな。
記事によると、あのにとりとかいう河童が、私にあることないこと吹き込んで、神様退治に向かわせたことになってるぜ。

こっちの新聞では、にとりが天狗の防衛網の手薄い箇所を私に教えた、と書いてある。
こんな写真、いつの間に撮ったんだろうな。

おっ、こっちじゃにとりが他の河童を率いて、侵入者の手助けをしたことになってるぞ。

こっちはコラムで触れているな。
なんでも河童は山の神が零落した姿であり、それゆえ真の山の神の出現に、焦り嫉妬したのではないか……なんて、論を展開してるぜ。

この新聞の論はさらにすごいな。
にとりは山の神憎しのあまり、神の様子を歪曲して山の妖怪の間に広め、意図的に天狗達と神の間に溝を作った、だと。
ははは。

ま、要するに、さっきの山の宴会は、新参の神様へのおべっかと、にとりの悪口で盛り上がってた、ってことだぜ。
いやぁー、つまらない宴会だった。
お前も参加しなくて正解だったと思うぜ。
盛り上がっていたのは、あの青巫女と下っ端天狗ぐらいのもんだ。
当然といえば当然だが、にとりの姿はなかったな。
他の河童は何人かいたが、なんだか皆おどおどびくびくしていたぜ。
半分無理やり連れてこられたんだろうな。

肝心の神様と、天狗のお偉いさんとの間には、何かピリピリしたものがあったしなー。
お互い、大物ぶってか余裕ありげな顔をしてたが、腹のうちは知れたもんじゃなかったぜ。
一応天狗のほうが神様に謝っていたけどな。
此度は不届き者の讒言に惑わされ、無礼を重ねたことをお詫びする……ってな。
要するに河童が悪い、ってことだ。

ただ、そのあとが興味深かったぜ。
天狗の大将、詫びの印として、供え物を差し出してたんだよ。
手近な天狗に「何をお供えしたんだ?」って聞いたら、なんでも「河童を操る呪物だ」とか言ってたな。
もう二度と、不埒なことを考える河童が現れないようにするためのもの、だとさ。

そいつがこれだ。
この木箱。
……そんなに驚くなよ、ちょっと借りてきただけなんだぜ。
神様も、受け取ったはいいが興味なさげにうっちゃっていたんで、私が丁重にお預かりしたんだ。
なくしちゃ大変だからな、預かり次第、一足お先に宴会を失礼させてもらったんだ。
で、今に至るってわけだぜ。

これって何なんだろうな。
あの神様は、中身が何なのか分かってそうだったけれど。
この木箱、厳重に封印されてて、ちょっとやそっとじゃ開きそうにないんだよ。
無理やり開けて、中身まで壊しちまったら大変だ。
箱の大きさといい、形といい、この中に納まる物といったら何だろうな。
馬鹿でかいキュウリとか入れたらちょうど良いと思うが、そんなわけないよな。

最初に言った、聞きたいことってのは、1つはこれのことさ。

あんたはこの「河童を操るマジックアイテム」に心当たりはないか。
私は学がないからな、河童に関する知識なんて、昔話ぐらいしかないんだぜ。
それもこんな話だ。

「豪傑に悪さをしようとした河童が、返り討ちにあって片腕を切り取られてしまう。
 豪傑は、河童退治の証として、その腕を持ち帰る。
 その夜、河童が腕を返してくれと頼みに来たので、返してやる代わりに言うことを聞かせた」

……聞きたいことは全部で3つだぜ。
1つ、あんたは「コレの中身」に「心当たり」はないか。
2つ、あの「自称人間の盟友河童」はどこにいったか。
3つ、私が持ってきたこの新聞の束の中に、文々。新聞はあるでしょーか……って、うわ、と!

……とととっ!
ちぇっ、いきなり弾幕ごっこかよ!
そっちがその気ならこっちも―――と、言いたいところだがやめとくぜ!
そんな涙目の弾幕を見れば、質問の答えもだいたいわかったしな、ははっ!

じゃあな!

ミスティア「……あの、御代がまだなんだけど……」
射命丸「……グスッ……って、え? ……私があいつの分も払うの?」










初めまして。

風神録ノーマルモードが1つもクリアできない。
カッとなって、エンディングを悪い方向に妄想して書いた。(参考ソース・キャラ設定テキストファイル)
今でも反省していない。

……嘘です反省しています。
エンディングが見れないので、この話には、何か本編と致命的に矛盾した箇所があるかもしれません。
「これだからヘタレシューターは……ププッ」とでも、生暖かい視線で見てもらえれば幸いです。
蟹人間コンテスト
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コメント



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3.60三文字削除
箱の中身はにとり?
正直よく分らないかったです。すいません。
ちなみに私もノーマルクリア出来てません。
本日やったら神奈子様で一気に残機5機をを失い、MOFでぴちゅーん!
4.100名前が無い程度の能力削除
つまり、箱の中身はにとりの腕が入ってるってことか?
8.70名前が無い程度の能力削除
うお、このタイトルは……もしかして夢野久作リスペクト?
久作作品同様、読んでいてすごく(いい意味で)不安を掻き立てられる内容でした。
12.90名前が無い程度の能力削除
天狗もよーく観察してみると、とても嫌な生き物ですね。
しかし人間である自分がそんなこと言えませんよねえ。

怖い作品でした。
13.30名前が無い程度の能力削除
うーん、つまり文がわざと霊夢たちを山に通したのを天狗たちが隠そうとして、
報道の情報操作で河童を悪者に仕立て上げて、
その自分たちで作った情報を根拠ににとりの片腕で落とし前をつけた、ってことでいいのかな……?
しかしこれだと、河童種族全体にも喧嘩売ってるような気がするから、
河童と新しい神様が親交を結ぶことにはならないような。

あと、魔理沙がラストで笑顔で颯爽と立ち去ってるっぽいところに違和感。
まあ「天狗たちの醜聞も、彼女にとっては酒の肴として笑い飛ばす程度でしかない」ってことなのかも知れませんが。
14.90名前が無い程度の能力削除
最後笑い飛ばしたのはアレか、「天狗もご立派な種族だな」と言う意味なのかな
しかしにとりの片腕か……これは確かに嫌な話だ
17.90deso削除
これは面白い。こういう話好きです。
この後の展開がいろいろと想像できて楽しいですね。
個人的には、この後魔理沙が天狗の親玉に喧嘩ふっかける展開だと最高。
18.100名前が無い程度の能力削除
なんて残酷
でも納得してしまう

こんな風な出来事があっても、ただそれだけのことに尽きて、風化してゆくとしても、
19.70床間たろひ削除
うわぁ……

ないないと解っちゃいても、ありえないと笑い飛ばせないのも事実。
残酷ではありますが、小を切ることで大を活かすというのは、社会全体を円滑に進めるためには決して否定できない。たとえそれが冤罪であろうとも……

現代日本に生まれて良かったなぁと思わざるを得ない。
そういう点に思いめぐらす事ができただけでも、読めて良かったです。
23.60名前が無い程度の能力削除
にとりいいいいいいいいいいいいい

河童は天狗の下僕みたいな存在だから、そんなのもありえると思うが・・・むしろ天狗社会全体の被害を下位存在たるにとり一人の責任にするってのは現実社会でもよくある方法・・・
怖い話ではあるが現実味はあるなぁ
しかし、はたして神様にその程度の計略が見抜けないものなのだろうか・・・
26.80つくし削除
GYAAAAAAA

なんという夢野久作

大好きだけど気持ち悪い 気持ち悪いけど大好き
27.80名前が無い程度の能力削除
そう言えば神主も「天狗は曲者」って言ってましたね。
こういう事なのかは分かりませんが…

それにしても、文の心中はさぞ複雑なんでしょうね…
28.80名前が無い程度の能力削除
注意書きを読んで何かと思いましたが、こういう方向性の「嫌な話」は初めて読みました。
むしろ怪奇小説とか本当は恐ろしいグリム童話?
魔理沙より、この後神奈子と天狗がどう出るのかが気になります。
いなか、の、じけん(?)は小話集でしたっけ?大昔読みましたが忘れました。
ノーマルは私も最初は泣きました。自機設定変更もコンティニューもなし、最終符のシステムはレッドマジックよりひどい。
何とか最終符(6面でなく)に残機を残してがんばってください。
最終符までの攻撃を避けるというより、ボムでカット(特に4面と6面)すれば最終符に4機くらい残るはずです。それでも駄目なときは駄目ですが(泣)
29.70名前が無い程度の能力削除
いやいやこれは面白く、またありそうな話です。
鬼娘も天狗は強い者にはへつらうが弱い者には強気、と言ってましたし。

自分が原因とはいえ、何故文がにとりを気にしているのかがちょっとわかりませんが。
30.70名前が無い程度の能力削除
ごめん、面白かった。
山の社会をの中で地位が高くて、それでいて調子の良い天狗達じゃ
地位を守るため自分たちの不始末を下のいる者達に押しつけてそうだ。
31.100名前が無い程度の能力削除
大好物です。
ダーク分を補給できました。


そして読後。にとりの片腕が、この一件でギミック内蔵の義手になったとか考えた自分を殴りたい。
32.90名前が無い程度の能力削除
注意書きを見てビクビクしながら読ませて頂きました。
責任を下の者になすりつけるところなど現実社会に似ていてとても面白かったです。
片腕を失ったにとりはやはり義手を作るんですかね。妄想が止まらない。
35.90乳脂固形分削除
うわあ。読んじゃった。いいですね、こういう話。
色々掻き立てられます。