Coolier - 新生・東方創想話

花火と幻想郷とその住民

2007/08/30 22:30:27
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 ここは一年中閑古鳥が鳴く香霖堂。
 ここの店主、森近霖之助は何やら作業をしている。

「こんばんは、霖之助さん。おいしいお茶、ついでに晩御飯をご馳走して貰いに
きたわ」
「きたぜ」

 そこへやってきたのはお得意様であってお得意様ではない二人組み、収入ゼロ
で支出ばかり増えるのである意味冷やかしよりたちが悪いが、それは言わないお
約束である。

「ん、神社の外でまでいっしょにいるのは珍しいね」
「何か面白いものが見れそうな気がしたの」
「なあ香霖、その手に持ってるのはなんだ? 爆弾か?」

 霖之助の手の中にはなにやら導火線らしきものがついた丸い物体がある。

「まあ、似たようなものかな」
「「えっ!?」」


 少女想像中…


 ああ、もう食料も尽きて何日になるかな。
 もう、暖炉で燃やすための褌すら無くなってしまった。
 迫り来る貧苦の波がもうすぐ自分を呑もうとしているのが解ってしまう。
 この波に呑まれるくらいならいっそこの店と共に散るとしよう。
 そう思い立った霖之助は爆弾の導火線に火を着け――

「香霖堂、ばんざぁぁぁぁぁいっ!!」

 爆弾を地面に叩きつける。

ドォォォォン!!

 辺りは閃光に包まれた……。


「だめだっ、香霖早まるな! これからは盗みは控える様にするからなっ、なっ
?」
「そうよ、例え貧乏でも頑張れば生きていけるわ、私みたいに」

 共感を覚えるところがあるのか霊夢もいつもより必死な様子である。

「二人とも一体どんな事を考えてるんだ。魔理沙は自覚があったのならこれから
は控えてくれ」

 狼狽する二人に霖之助は溜め息を吐きそうになりながら説明を試みる

「これはまあ……観賞用みたいなものかな」
「かっ、観賞用?」


 少女想像中… 


 文々。新聞号外
 人妖連続爆殺事件の黒幕ついに逮捕される!!
 17名の命を奪い幻想郷を恐怖の底に陥れた連続爆殺犯がついに逮捕された、容
疑者は香霖堂の店主 森近霖之助(年齢不詳)彼は人型の物が爆発するのを見ると
性的興奮を感じると訴え、家宅捜索を行った所大量の爆弾とマネキンが――


「ううぅ、香霖……。もうヘタレとか言わないからぁ、元の優しい香霖にもどっ
てくれぇ」
「止めて霖之助さん。私もあなたとは戦いたくないわ、面倒事はごめんよ」

 魔理沙はもう半泣きで、霊夢は懐から御札を取出し臨戦態勢を取る。

「だから一体どんな事を想像してるんだ君たちは」

 頭を抱える霖之助の後ろには何やら筒状の物が置かれている。

「……? 霖之助さん、それは?」

 気になったので訊ねてみる霊夢。魔理沙は未だに半泣きの状態である、中々レ
アな表情だ。

「ん……あぁあれは発射台だよ、良く出来てるだろ?」
「「……」」


少zy(以下略


 ウイィィィィィィン……
 稼動音と共に香霖堂の屋根が開き、中から巨大な砲台が姿を現す。

「香霖砲――発射!!」

ドォゥゥゥン

 香霖砲が火を吹く度に幻想郷のいたる所にきのこ雲が発生する。

「ハハハハハッ!! 人がゴミのようだ!!」

 お約束とも言える台詞を言い笑う霖之助の目には火の海となった幻想郷が写っ
ていた……


「う゛わぁあん、ごめんよぉ、こぉりぃん!私が悪い子だったからぁ」

 ついに泣き出してしまった魔理沙。博麗神社の賽銭箱に500円玉が入っている
位珍しい表情だ。一方――

「考え直して霖之助さん。あなたのやろうとしていることは憎しみしか生まないわ


 悲壮な決意をした様な顔でそんな台詞を吐く霊夢は、どこぞのスキマ妖怪が早起
きをして乾布摩擦をしているくらいレアだ。

「はぁぁ、話が進まない。いいかい? これは花火といって――」

 さすがに溜め息を吐いた霖之助。なにやら重大な勘違いをしている二人に自分の
手に持っている物についての説明を開始した。


少女納得中…


「なんだよ、香霖がついに壊れちまったかと思って焦ったぜ」
「紛らわしいわね霖之助さん。一ヶ月分位の真面目成分を無駄にしたわ」
「ついにとはなんだ。元はといえば君達が勝手に勘違いしたんだろう」

 場が落ち着いたので作業を再開する霖之助。

「でも大丈夫なの? あのスキマ妖怪に渡された物なんて」

 霖之助に花火を渡したのはあの八雲 紫である。たったそれだけで胡散臭さが倍
増したように見えるのが不思議である。

「大丈夫なんじゃないかな……よし、できた」

 どうやら打ち上げ準備が完了したようである。

「ワクワクしてきたぜ」

 さっきからずっと霖之助を急かしていた魔理沙。やはり好奇心は人一倍強い様だ。
 そんな魔理沙を押さえつつ霖之助は導火線に火をつけた――

 ひゅうぅぅぅ……ドォォン

「中々綺麗ね」
「でっかい弾幕だぜ、私なら余裕で避けられるけどな」
「ほぉぅ、これは……」

 三人とも様々なリアクションをとっているが満足している様である。
 上から火花が降ってきたので霊夢が結界を張った。

「おっ、サンキュー、霊夢」
「お茶の邪魔をされたくないし」
「君はいつもお茶なんだな……」


ドォン……ひゅうぅぅぅ……ドォォン

「偶にはいいわね、こういうのも」
「私の弾幕の方が綺麗だぞぉ」

 少しして更に二人の来客があった。
 アリス マーガトロイドと伊吹 萃香である。アリスが魔理沙をストーキングし、
萃香は霊夢をストーキングしていたら途中でバッタリ会ったのだろう。
 アリスが人形を使って打ち上げ準備の手伝いをしているのでだいぶ作業の効率が
上がっている。

「楽しそうじゃない」

 アリスは霖之助にそう話しかける。
 霖之助は騒いでる三人の見て――

「まあ、あの鬼の娘はともかく。あの二人はなんだかんだ言ってもまだ子供な所が
あるからね」
「違うわ」

 アリスは霖之助を見つめたまま――

「貴方が……よ」
「これは参った」

 どうやら顔に出ていた様である。

「火薬といったら物を壊す為の物かと思っていたからね、こんな使い方があるなん
て思わなかった……世界は広い」
「大げさね」
「そんなことはないさ。これを作った外界の職人に敬意を示すよ」
「あら? 外界に興味でも湧いたかしら?」
「そんなの昔からあったさ、でも――」

 すでに出来上がった萃香、いつも出来上がっているが……に引っ付かれて「こら
っ! 放しなさい!」と引き剥がそうとしている。
 これを見た霖之助は――

「店を外す訳にもいきませんし」
「まあ……貴方らしい理由ね」

 空に指を向けている魔理沙。

「私ならここでかすって『ドーーン』……あ」
「私なら楽勝……じゃ無かったの?」
「くっ、味なまねを……弾幕は実戦だぜ!」

 霊夢に茶化され、箒で飛び立った魔理沙を見て霖之助は溜め息をつく。
(まあ、魔理沙なら大丈夫だろう)
 そう考え、作業を再開した。




 幻想郷の他の面々もこの空に咲いた花を驚きながらも楽しんでいる様だ。
 例えば――


「ちょっと待ってよチルノ~、危ないよぉ」
「そうだぞ、チルノ。あんまり張り切ってると溶けるぞ」
「うるさい! こんなでっかい弾幕なのよっ! 最強のあたいが挑まないわけには
いかないわ」
  
 上から順にミスティア、リグル、チルノ。ある意味有名な三匹トリオが花火に向
かっている。チルノが……と言い換える事もできるが。
 デカイ=最強――実にチルノである。
 だが三匹が向かう先には先客がいるようである。

「おっ、チルノ。ちょうどいい所に来たな、避けてばっかで退屈してた所だぜ」
「あっ! 魔理沙っ!? 今日こそ氷漬けにしてあげるわ!!」
「やっぱり弾幕ごっこは避けて撃つに限るぜ!」

 花火の中に弾幕が追加された、他の二匹は安全な所で傍観することにしたようで
ある。




 所変わって紅魔館――


 メイドの十六夜 咲夜はバルコニーで主であるレミリア スカーレットに夜……
吸血鬼にとっては朝の紅茶をカップに注いでいた。

「あら……随分大きな弾幕ね」
「お嬢様、あれは外界の花火というものです」
「詳しいわね咲夜、ふぅん……面白いわね」
「フランドール様もお呼びになられては?」
「その必要はないわ」

 咲夜の提案にそう答えるレミリア、その時――

「わぁぁ、お姉様。あの弾幕何? おっきぃぃ」
「花火っていうらしいわよ、あれ」

 レミリアにのしかかるような格好のフランドール。
 珍しい物に気付き、堪らず地下室から飛び出して来た様である。

(し、姉妹どんぶり……ん?)

 咲夜の目に写ったのは惚けた様子で花火を見ている門番――中国こと紅 美鈴の
姿。

(あんなぼけっとして……あとでオシオキ――)

どぉぉぉん

(……まあどんぶr……花火に免じて許してあげるわ。感謝しなさい、中国)

 花火が原因で命を狙われ、結果的に花火によって救われたなど、中国は知らない





 一方、冥界 白玉楼――


「綺麗ねぇ」
「そうですねぇ」

 西行寺 幽々子とその従者魂魄 妖夢は縁側で花火を眺めている。
 花火の正体については割りとどうでも良いようだ。

「綺麗ねぇ」
「そうですねぇ」
「食べられるかしら」
「幽々子様、それは無理だと思います。」
「えぇー」

 すかさず突っ込む妖夢、いまにも飛び出していきそうだった幽々子は――

「じゃあ妖夢の作ったお団子が食べたいわぁ」
「しょうがないですね、少し待っていてください」

 台所へ向かう妖夢に「よろしくぅ」と言っている幽々子。
 西行寺 幽々子――言葉通り花より団子なのである。
 




 永遠亭では――


「ウドンゲ~、ちょっと来なさぁい」

 鈴仙=優曇華院=イナバは屋根から師匠である八意 永琳に呼ばれそこへ向かう。

「なんですか師匠、こんなところに呼び出して」
「あれを見なさい」
「っ! 新手の弾幕使い!?」
「違うわよ、あれは火薬ね」

 身構えようとする鈴仙にそう言い放つ。

「へぇ、綺麗ですね」
「そうね、新しい発明の参考になりそうでしょ」

 天才といわれる永琳は薬だけでなくちょっとした発明も行う。
 どちらにせよ行き過ぎることがあるのが玉に瑕だが……。
 また師匠の悪い癖がと、鈴仙は人知れず溜め息を吐いた。


 蓬莱山 輝夜と藤原 妹紅はいつも通り殺し合いをしている。
 
「あら」
「余所見とは余裕だなっ! 輝夜!!」

 花火の方に向いた輝夜に弾幕を放つ妹紅、輝夜はそれを難無く回避する。
 
「綺麗なものを大人しく見ていられないなんて、野蛮ね。本当に元貴族育ちなのか
しら?」
「そんなに炸裂弾が見たいなら一生分見せてやる!! フジヤマヴォルケイノォ!
!」

 そんな勝負を上白沢 慧音は元気だなぁとか呟きながら見ていた。




 最後に事の発端とも言える者がいるマヨヒガでは――


(やはりあそこに預けて正解だったわね)

 そんな事を考えている霖之助に花火を与えた張本人――八雲 紫も花火を眺めて
いる。
 そこへ彼女の式である八雲 藍がやってくる。

「ゆ、紫様っ! まだ起きてたんですか!? ただでさえ朝私より早く起きて上半
身裸で乾布摩擦なんかやってたのに」
「落ち着きなさい、藍。ただの気まぐれよ」
 
 卒倒しそうになる藍を落ち着かせる紫。

「ちょっと蝋燭とバケツを持って来てくれないかしら?あと、橙も呼んで来て」
「はあ、何かするんですか?」
「面白い事よ」
 
 そう言った紫の顔にはいつもの胡散臭い笑顔が浮かんでいた。



「ふむ、この線香花火という物、なかなか趣が在るな……」
 
 そう呟く藍の手にはパチパチと火花を散らす線香花火。
 自分の式である橙を連れて来た藍が見たものは様々な形の手持ちタイプの花火な
どが入った袋を持っている紫の姿。遊び方の説明などを受け三人で花火を楽しんで
いる。最初は怯えていた橙も――
シュルシュルシュルッ
「うぅぅぅ」
とネズミ花火に何やら熱視線を送っている。
 
「ふふっ『ヒュンッ』――っ!?」

 そんな様子を微笑みながら見ていた藍の横を高速な何かが通過した。

「ゆっ、紫様っ!! なんですかっ!? その物騒な代物は!?」
「ロケット花火よ。何時までも線香花火ばっかやりながら橙を見ていないで、少し
私にも付き合いなさい」

 ヒュンッヒュヒュンッ!!

「う、うおっ!?」
「まだ出るわよ」

 高速で飛来するロケット花火を何とか回避している藍。その様子を見ながら次か
ら次へとロケット花火を飛ばす紫――正に外道。

「まだまだあるわよ」
「こっ、コーーン!?」
「幾らでも出るわよ、在庫は腐る程あるの」
「ゆ、紫さまぁぁ」

 若干泣きが入りながらも隙間からも発射されるロケット結界を回避する藍、こん
な状況でも橙に弾が行かない様にするのは流石である。
 その頃、橙は――
パッァァン
「みゃうぅ!?」
破裂したネズミ花火に驚いたのか毛や尻尾を思いっきり逆立でていた。

「ああっ! 橙っ!? 『ガツッ』コォォンッ!!」
 
 橙に気が向いてしまった藍はロケット花火に被弾した。親馬鹿式神ここに散る

 紫はとても満足気だった……正に外道。




 様々な種族が住み、結果的に様々な価値観が溢れる幻想郷。
 この外界由来の夏の風物詩は、形はどうあれ幻想郷の住民達を満足させたようで
ある。

 ヒュウゥゥ……ドォォーーーーン

 一回り大きな花火が幻想郷の夜を照らした……。

 
二回目のはじめましてです。ひぃやと言うものです。
もう夏も終わりですねぇ、家にあった残りの花火を消化してるときに思いついたので早速書いてみました。
本格的な打ち上げ花火の構造の知識なんて全くないのでそこらへんのツッコミは無しでお願いします。
「俺の嫁が出てこねぇじゃねぇかこの野郎!!」という方、すいません。自分の知識不足です。反省してますからロケット花火を投げないでください、当たると痛いですから。
出来るだけ良いssが書けるよう努力しますので、これからもよろしくお願いします。
ひぃや
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コメント



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3.80イスピン削除
ロケット花火は人に向けてはいけません。
でも、弾幕ごっこができる反応速度があるなら十分回避は可能です。存分に気合避けを楽しみましょう
7.90時空や空間を翔る程度の能力削除
風情があって良いですね~~
さぞ綺麗でしょうに。
8.70名前が無い程度の能力削除
アリスと香霖の会話がいい感じです。
しかし魔理沙を追ってきたのにそれで良いのかアリスw
12.30床間たろひ削除
それぞれの会話が良いですねぇ。特にアリスと香霖。
惜しむらくは描写面。折角の風情溢れる情景なのですから、それを魅せるように意識すれば、もっともっと素敵な作品になると思います。
頑張ってください。
15.50削除
16.90読み解く程度の能力削除
一言、咲夜さん何を...。