Coolier - 新生・東方創想話

紅魔夜行

2007/06/15 09:15:45
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作品集39の東方美人茶とびみょんにつながってますがこのままでもおいしく(?)いただけます。







「ぶんぶんぶん、悪魔飛ぶ~」
いろいろと間違った歌を歌いながら夜空をゆくのは、フランドール様だ。
「フランドール様、とりあえず歌詞が間違っていますよ」
その歌にわざわざ突っ込みを入れたのは、私こと紅美鈴である。
昨今、私の詰め所の床下にフランドール様お手製秘密トンネルが開通し、
フランドール様が遊びにこられることが多くなった。
まあ無断外出はあまり褒められないが、
毎回脱走騒ぎでハウス・イズ・シェイキングな大騒ぎになるよりはマシだと思う。
それに私もフランドール様に頼られてうれしいというのがあり、ついお供をしてしまう。
え?門番ですか?
大丈夫です、内勤の子にかわってもらいました。
今日は週一回の二十時間勤務ですから四時間は遊べます。
「そ~なのか~?」
「それはキャラが違います」
そうでなくても書き分けが出来てないんですから誰だかわからなくなりますよ。
って何言ってるんでしょう、疲れているんでしょうか?
「そういえばフランドール様、その袋はなんですか」
出かける時にフランドール様は大きな麻袋と共に床下から出てきました。
その麻袋なんですが大きいうえにガチャガチャ金属音がするんです。
「ひみつ~」
ええ、そんなところだろうと思ってました。
いいですよ、たとえ中から釣鐘が出てこようがアイアンメイデンが出てこようが驚きません。
「あれ、中身気にならないの?」
え、教えてくれますか?
「ひみつ~」
あ~、もうこの教えたいけど秘密にしたい状態な幼女を何とかしてください。
「あ、いたいたチルノォ~?」
目当ての氷精を見つけたとたんフランドール様はふっ・・・と力を抜いて自由落下を開始した。
って待てい!!
「ストップ。お願いですから、垂直落下に近いスピードで着地しようとしないでください!!」
というかこれでは着地と言うより墜落です。
「え~、この方が早いし気持ちいいよ」
その代わり森の地面にグサッと突き刺さってギャグ漫画になりますよ。
「それもおもしろいかも」
おやめださい。
一度ギャグキャラ化すると名前が変わったり、無理やりオチに使われたりするんですから。
「う~ん、それはいやかも」
わかっていただけましたか?
「じゃあこういうのはどうかな?」
ええ、あっという間の出来事でした。
まさか自由落下をやめて、さらに加速するとは思いませんでした。
見てください、半径五メートル程のクレーターが出来てます。
もう涙が出そうです。
フランドール様は気がふれているとの事ですが、こういう意味だとは思いませんでした。
あ、こらチルノ !!
フランドール様の羽を引っ張るな !! せめて足首持て。
「あれ、とれちゃった」
え、とれちゃったって!!
「えい」
こら、そのままひっつけてなかったことにしようとするな。
ひっつくわけないって・・・ついた!!
「ああ、もう!!」
チルノに任せるのもなんなので早々に引き抜く。
というかこのままだとフランドール様がギャグキャラ化してしまう。
それだけは避けなくては。
「きゃはは、おもしろかった」
おもしろかったで済まさないでください。
「あはは、やっぱりフランは最高ね!!」
だまれ氷精!!
お前のせいで冗談みたいな事を本気で実行するようになってしまったじゃないか!!
「お~さすがアタイの妹分、どんどん最強に近づいてるわ」
「わ~い、わたしったら最強!!」
誰かこの⑨共を何とかしてくれ!!
どう考えてもこれはサイキョウのコンビだ。
ああ、ちなみに「最強」ではなくて「最狂」ですよ。
「あ、そういえばフラン。アレは持ってきた?」
「もちろん!!」
フランドール様が持っていた麻袋をひっくり返すと出てきたのは…。
「鎧と兜に外套?」
西洋の騎士が身に付けるような鎧兜や外套が二組入っていた。
片方は粗野でさびかけた物だが、もう片方は随所に紅を基調とした細工が凝らされておりなかなかの名品だ。
一体どこでこんなものを?
「四百年位前にお姉さまと騎士ごっこした時に使ったんだよ、
 思いっきり遊んだらお姉様が『二度とやらない』っていうからしまってたんだけどね」
あ~それはそうでしょう、レーヴァテインとグングニルでチャンバラしている姿が浮かびます。
よ~くみるとこの鎧と兜、おそろいなんですね。
ところどころ焦げたり溶けたりしていて、わかりませんでした。
で、これでどうするんですか?
「もちろん騎士ごっこ」
まあ予想通りですね。
ああ、当然のことながら二人が鎧の付け方なんて知るわけがないので私が着付け(?)してあげました。
本来ならアンダーウェアから変えないといけないんですが、まあこの場合は服の上からでいいでしょう。
「出来ましたよ」
綺麗な方の鎧の取り合いになると思ったが意外な事にチルノが一歩引いてさびたほうを着込んだ。
「アタイのほうがお姉さんだからね」
どうやらチルノはフランドール様を自分の妹のように思っているようだ。
年の差が四百八十五はありそうなのに。
「じゃあわたしが炎の騎士でチルノが氷の騎士ね、この間読んだ本の最後の通りにいくよ」
「え~と、わかった」
本と言うのはこの間私が読んだ本のことだろう。
国を滅ぼそうとする魔王を二人の騎士が倒す物語だ。
この二人は最初はまったくおりが合わず事あるごとに決闘を繰り返すが、
戦いを重ねるごとに強い信頼関係を構築してゆきとうとう魔王を倒す。
最後は二人が決着をつけるために最後の決闘を始め、剣を一合したところで終わったはずだ。
「氷の騎士よ、そなたほどの好敵手(とも)は二度と現れまい」
「え~と、光栄だな。だがあいにく最後に勝つのは俺だ」
二人が芝居がかった口調で台詞を言ってゆく。
フランドール様がこんな迫力のある声を出せることも意外だが、
チルノがつっかえながらもちゃんと全ての台詞を言い切ったことに驚いた。
「「いざ、尋常に・・・」」
そして最後の台詞とともに二人が同時に剣を抜き、一合する。
あれ ? でも剣なんて二人とも持ってないんですけど
「「勝負!!」」

禁忌「レーヴァテイン」

台詞を言い終わると同時にフランドール様がスペルカードを発動した。
フランドール様のスペルカードは十メートルはあるバーナーのように炎の収束した剣を生み出していた。

氷符「アイシクルフォール」
凍符「マイナスK」

チルノも空に舞い上がりスペルカードを発動した。
アイシクルフォールで出現した氷がマイナスKによって束ねられ巨大なツララとなる。
「「うおおおおおおお!!」」
もともとフランドール様は吸血鬼の身体能力と絶大な量の魔力をもっている。
対するチルノは身体能力が中の下、力の量に至ってはフランドール様の百分の一にも届かない。
だが高いところから超重量の物体を重力によって加速をさせればその力は絶大。
そして氷を作ることはチルノにとっては得意分野。
妖精や精霊の類は一つの属性に特化している、
そのため通常では考えられないようなわずかな力で超自然的現象を引き起こす。
このことはパチュリー様が精霊を使役して属性に特化した魔法を使っていることから明らかだ。
しかしそれでも総量が違いすぎる、もって一合。
だが一合で十分、これは本の再現であって戦いではない。
・・・って冷静に分析してたら大変な事に気付いたんですけど。
高熱の物体が低温の氷に接触したら氷が一気に気化して・・・。


次の瞬間、凄まじい衝撃とともに水蒸気爆発が起こった。



「きゃはは、すっごく面白かった」
「あ~すっごく、びっくりした」
フランドール様はあの位の衝撃でどうにかなるような方ではないし、
チルノはちょうど氷の影に隠れるかたちになったらしく目を回すくらいですんだ。
私はもう自分でも信じられないような速度で地面に穴を掘って中で死んだフリしてました。
それでも衝撃と爆音のせいで激しく寿命が縮まりました。
「もう一回やる?」
なんてこと言いだすんだこの⑨!!
「う~ん、そろそろ帰らないといけないからまた今度にしよ」
もう二度としないでください、フランドール様!!
「じゃあねフラン」
何事もなかったようにチルノは帰って行った。
私たちも紅魔館へと向かって空を行く。
はあ、それにしても疲れた。
明日は三時間分有給使って休もうかな。
「ねえ美鈴、明日はどこ行こうか?」
もう勘弁してください。
え~お久しぶりです、もしくは初めまして草な木です。
少々書けない症候群にかかってまして何ヶ月かぶりにやっと書けました。
時間軸的には美人茶から数日後です。
絵板の方にあったチルノとフランの絵をみて「チルノ+フラン」の組み合わせが気に入りまして
ちょっと前に前フリらしきものもやってるから書いちゃえ的な感じで生まれたものです。
なので少々強引な展開になってしまいましたがこの二人は仲良くしてくれそうな気がします。
草な木はチルノ+(×でなく)フランを応援します。
草な木
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コメント



0.710簡易評価
4.100名前が無い程度の能力削除
本編一行目から笑った。
⑨+妹様もGJ!だけど、中国が良い。
7.50椒良徳削除
チルノとフランとはおもしろい組み合わせですね。
お手軽に読めてよかったです。
ただ、100点連打のコメディというには少し、いや、大分力不足か。
貴方の次回作に期待しております。
17.203削除
無邪気なお子様のフランドールと、振り回されつつもなんだかんだでついて行ってしまう美鈴。
この先もきっとその関係は変わらないんでしょうね。