Coolier - 新生・東方創想話

式神にありーいこーるメイド?

2007/05/13 10:06:51
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「咲夜」
咲夜が図書館でパチュリーと無駄話をしていると、レミリアの声が図書館に響いた。
咲夜もパチュリーも驚く。レミリアの悪口を言っていたわけではなく、今が真昼間だからだ。
吸血鬼であるレミリアがこの時間に起きることは珍しい。
「あら、今日は朝が早いですね」
「朝が早いというより夜が早い、だわ」
レミリアはパチュリーたちに歩み寄る。
「おはよう、レミィ」
パチュリーは本から目を離し、気だるそうな表情からうっすらと笑みを浮かべた穏やかな表情になる。
「それでね、咲夜」
「なんでしょう?」
「ちょっと買い物を頼んでいいかしら」
「え?」
昨日、咲夜は里に買出しにいったばかりで館の物品は足りているはずだった。
「え、って何よ」
レミリアは牙をちらりと見せながらプンプンする。
「昨日買出しに行ったばかりですわ。買うものがあるなら昨日のうちに……」
「道具が口答えするの?突然欲しくなることぐらいあるじゃない」
「道具はひどいですわ」
「メイドも道具も似たようなものじゃない」
「はいはい、わかりましたわ」
咲夜はどうせ思いつきで何かを買ってこさせるのだろうと内心ムッとしながらも、いつもの笑顔を浮かべレミリアの言うことを聞くことにした。
そして咲夜は里へ向かう。咲夜の心には何か引っかかるものがあった。





咲夜が里での買い物を済ませ館へ帰ろうとしていると里のはずれで見覚えのある妖怪を見かけた。
その妖怪は九本の尾が生えており、怪しげな機械で何かを測っているように見えた。
誰だったかしら、と咲夜は近づいてゆく。そして思い出し声をかけた。
「あら、スキマ妖怪のつかいっぱしりじゃない」
スキマ妖怪こと八雲紫のつかいぱっしりもとい式神、八雲藍は少し驚き咲夜のほうを見る。
「人間が私に声をかけてくるのは変だと思ったが、あの時の人間か」
藍はいつものようにどこか機械じみた口調で淡々と話す。
「あなたのような妖怪がここで何をしてるの?」
咲夜は普段あまり里のことなどに興味を持たないが、藍のような強い妖怪が里にいることには興味を持った。
そして、藍が持っているレンズのついた不思議な機械にも興味を持ったようだ。
「主に測量」
藍はそういってため息をついた。そんな藍を見て、咲夜はくすりと笑う。
「あとは、結界の検査」
藍はそういってさらにため息をつく。
「嫌そうね」
咲夜は藍の表情をうかがい、こう言う。
ここまで嫌そうにしていると、紫のことをどう思っているのか気になる。
「お前はあの吸血鬼少女のつかいっぱしりを面倒だと思わないのか?」
藍は咲夜にこう話しかける。
「面倒だと思わないわ」
咲夜はきっぱりとこう言った。今の発言は少しだけ嘘だ。咲夜はレミリアの我侭が過ぎる時は少し面倒だと思っている。
現に今日の買出しも、レミリアが必要なものをまとめて言ってくれず思いつきで買い物を頼まれると少し面倒だ。
「それより、あなたは自分の主人についてどう思っているの?」
咲夜は自分の疑問を確かめようとこう問う。
「紫様は素晴らしい方なのだ。いつもは適当なように見えるが物事の本質をしっかりと捉えてらっしゃる」
藍は自分の主人の自慢というかいいわけ的なものを言う。
「正直、紫様の命令は面倒だがそれが一番正しい道とわかっているんだ」
藍は目を輝かせてこういう。式神だから、主人のことを悪くいえないのか。それとも本当に尊敬しているのか。
咲夜はそんな藍を見て少し笑った。どちらにしろ、咲夜から見た紫は意味不明のグータラ妖怪でしかなく尊敬されていると思うと少し笑えるのだ。
「な、何がおかしいのだ?」
藍は咲夜に笑われ少し顔を赤らめる。
「あのグータラ妖怪を尊敬している人がいるなんてね」
咲夜は率直に言った。すると藍はムッとした表情で咲夜を見てこう言う。
「お前は紫様の素晴らしさが全然わかってないぞ」
藍は人差し指を出し、諭すようなポーズをとる。
「わかったから」
「何だって計算してしまうぞ」
「わかったから」
咲夜が瀟洒な笑みを浮かべ藍の言葉をさえぎる。藍はまたしてもムッとした表情になる。
「むぅ、ならお前は主人のことどう思っているのだ?」
「従うべきものよ」

咲夜はすぐにこう反射的に答えた。少し強がりも入っている。
従うべきもの。この答えは正しいのかわからない。
ただ、咲夜は従っている。たとえ面倒でも。
「お前もつかいっぱしりみたいなものじゃないか」
藍はそう言って笑った。そしてこう続ける。
「メイドは道具みたいなものなのか?」
「あなたのほうが道具だわ」
咲夜はすぐに言い返す。今日レミリアに言われてムッとなった言葉を藍に言われたからだ。
「私は紫様の道具だ」
藍はこう言い張る。
「私は紫様の言うことを聞くかわりに、自分を強くしてもらっている」
「共生…、みたいなものね」
「道具となることで強くなるということだ」
「うまく使われてるのね」
「うっ…。だが私はそのことに不満はない」
藍は咲夜に向きなおり、こう続ける。
「式神とメイド。似たように感じるが根本的に違うものだな」
「根本的につかいっぱしりだと思うけど?」
咲夜は少し笑う。
「私は道具となり、力を得る。お前は道具となり、何かを得ているのか?」
「だから私は道具なんかじゃないわ」
咲夜は否定する。だがはっと何かに気付き話し始める。
「最初は、道具となる見返りに生活の安定をもらっていたわ」
そして咲夜は自信をもってこう続ける。
「でも今は違うわ、見返りなんかなくてもお嬢様に仕えるわ」
「まぁ、私も式神を憑依させてもらわなくても、紫様に仕えるが」
「結局似たもの同士じゃない」
その場に、気持ちのいい笑い声が響いた。



紅魔館に帰った咲夜はすぐにレミリアを探し始める。
図書館に行くと、レミリアがパチュリーと談笑している。
「お嬢様、買ってきましたわ」
「ありがとう咲夜」
咲夜はその言葉を聞き、心の温まりを感じた。
「咲夜、紅茶を入れてきて頂戴」
「かしこまりました」
咲夜は明るい表情で図書館を出て、紅茶を入れる準備を始めた。
お久しぶりです。なんとか普通二輪の免許も取り終わり、新歓も終わり時間ができてきました。
今回もなんだかほっとする作品を書こうと思い書きました。
スカーレットな迷彩
covenant-dominate@hotmail.co.jp
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コメント



0.310簡易評価
1.60名前が無い程度の能力削除
ムキになってゆかりんを讃える藍が子供みたいで愛おしいです。ちょっとしたことに悩む咲夜さんも好きです。

>現に今日の買出しも、レミリアが必要なものをまとめて言ってくれず思いつきで
この部分、何度も説明されていて読者としてはややしつこく感じます。ただ、逆に言えばここ以外はあまり気になりませんでした。以前「心情の論理的説明が多過ぎ」と指摘させていただいたときと比べると見違えるようです。
4.60名前が無い程度の能力削除
長編のさわりの部分だけを読んだような読後感。
面白かったんだけど、物足りないです。