Coolier - 新生・東方創想話

稗田さんちの阿求さん

2007/05/08 05:37:17
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「嗚呼!にゃんですかこりわぁ……」

花の異変が解決して間も無くの頃。

私こと稗田阿求は久々に蔵の整理をしていました。

歴史が長く、幾度と転生してきた私稗田ですが、生存していた期間はあまり長くは
ありません。

三十年程度で映姫様にお世話となる身ですから、あまり悠長に歴史以外の事に携わる、
もしくは気にするといった機会がありませんでした。

そして今になって気がつけば、驚くべき事もあるようです。

蔵なんです。稗田家1千余年。とりあえず忙しくて整理出来ないものは全部ここにぶち
こ……いえ、仕舞っていたんですが、そりゃあもう目も当てられない状態になってます。
とりあえず最後に整理したのが何時だったかと調べてみますと、五百年ほど前でした。

「あの、最近ここ整理したりしました?」
「いえ、たしか先々々々々々代様が蔵には触れるなとお達しを出して以来使用人ほか
誰も触れていないと思います」

女中さんの間でもこの蔵はタブーだったんですね。律儀に護ってくださって本当に
有難う御座いますと、いいたいところですがそうもいきません。

『蔵には入っちゃダメです。めっ』

先々々々々々代の私の日記にもその通り書いてありました。

「うーん……」

途方に暮れてしまいます。蔵の中は正に混沌。横文字なんて使うとカオスです。
妖怪の一匹や二匹住み着いているかも解りません。

そもそも何故ここまでモノを蒐集したんでしょうか。前の私ったらどこぞの魔法使い
のような悪癖を持っていたんでしょうか。あまり記憶がありません、自分なのに。

「この葛篭は何でしょうね……」

古ぼけた葛篭を見つけ、埃に咳き込みながらやっとの事開封してみます。

「あぁ、昔編纂した書籍群ですかね?」

大量の本が仕舞われていました。その種類は豊富で、きっともう外の世界では見つからな
いであろうものが沢山ありました。

「古事記原本!日本書紀原本!やり繰り上手入門!人形秘術概略!元禄色町録!って、
これなんでしょ」

最初の二つは良いんです。何せ稗田ですもん。でも何で突然時代が混ざりますかね。
時間飛びすぎだと思うんですが、よく考えなくても本当に適当に詰め込んだ所為でごちゃ
混ぜなのでしょうね。私は整理が下手なんでしょう。

「んーこれはぁ……あ、あぁ……」

元禄云々には、なんだか男女が絡み合った絵が沢山載ってますね。

過去の私、とてもいけない子だったようです。他人ですと言い切れないのが悲しくも
あります。

「と、兎に角整理整理……」

とりあえず如何わしい本は古事記と日本書紀の間に挟んで隠して、奥の方から整理し
ようと踏み込みますが、モノが多い上に大きなモノも沢山あるのでとてもではありま
せんが小さい私ではどうにもこうにも出来ません。

「あっきゅん何してるんだ?」

と、葛篭の上で腹ばいになり足をばたつかせていた所で後ろから声がかかりました。

「あ、魔理沙さんですか? 何の御用事でしょう」
「なんだろうな。凄く蒐集欲そそる匂いがしたから飛んで来たんだけどこりゃすごい」
「あは、あははは……」

魔理沙さんは蔵の中に踏み込んで私を抱えて降ろすと、改めて蔵の内部を見渡しています。

「稗田家恐るべしだぜ。差し詰め整理してたって所かい?」
「そうなんです。何代か前の私は蒐集癖があったみたいで」
「突然あっきゅんに親近感が沸いたぜ」
「そ、そうですか、それであの、もし良かったら是非お手伝いして貰いたいんですけれど」

二癖も三癖もある魔理沙さんが簡単に手伝ってくれるとは思えませんけど、一応頼みます。

「うーん」
「もし気に入ったものがあったら持って帰って構いませんよ。その方が片付きますし」
「ぉ。それは家主公認でトレジャーハンティングしていいって事かい」

強盗の間違いだと思うけれど……。

「か、構いません。それで、二人でもきっと時間が掛かりますから人手がほしいんです」
「ああ、いいぜ。暇な奴なら幻想郷にゃ五万といる。ちょっとまってなー」

言うが早いか、魔理沙さんは不気味な笑みを残し、早々に箒で飛んでいってしまいました。

「頼む相手、間違えたかな……」

後悔は先に立たないんですよね。えぇ知ってますけど。

                  *

「凄く素敵な人形作りの指南書があると聞いて飛んできました。リアルに」
「合法的に賽銭が増えると聞いて飛んできました。そのままの意味で」
「暇なの見繕ってきたぜ」
「あ、有難う御座います……」

そうですよね、魔理沙さんの友好関係を考えれば早速まずこの二人が着ますよね。予測して
ましたとも。えぇ。私頭脳明晰ですもん。

「それで、どうやったらお賽銭が増えるの」
「自立して動く人形が出来る本があるんでしょ?」
「ま、まぁそうがっつかずに」

私は予測通り用意していた本を差し出す。なんとも都合良く出てくるもので、何かしらの意図
を感じなくもありませんが、今は良しとしましょう。

アリスさんには人形秘術概略なるアヤシゲなカラクリ人形の本を。

霊夢さんにはやり繰り上手入門なるこれまたアヤシゲな本を渡します。

「あぁ、うわぁ、なにこれぇ……すごぉい……」

アリスさんは満足であるらしく、何やら震えています。上海人形が脅えているように見えるのは
気のせいでしょうか。

「これじゃお賽銭は増えないけど……そうね、うん……ははぁ」

霊夢さんは期待していたモノとは多少異なっていたようですが、感心している風に見えます。

「お手伝いしてくれますか?」
「このアリスマーガトロイドに任せて。夕方までにはカタをつけるわ……」
「面倒だけれどいい物貰ったし、手伝わせて貰うわ」
「あっきゅんは扱いが巧いぜ」
「いえ、あはは……」

幻想郷の皆さんは即物的な分実に色々な意味で素直ですね。報酬さえあれば。傭兵のようです。

ともあれ、早速それぞれ役割分担を決めて大掃除に取り掛かります。

力のない私は外で、運び出された品々の選別。

魔理沙さんは大きなモノの運び出し。
アリスさんは貴重品と思しきものを。
霊夢さんは本その他資料などを。

「これって外の世界のものじゃないか?」
「これ真新しいわね。表紙も古ぼけてないし」
「これは何かの魔方陣?貴重品なのかしら……」

ちなみにこの役割は魔理沙さんが決めました。自分から貴重品の運び出しを申し出るのかと
思ったのですが、どうやら自分に相応の役割に徹してくれているようです。

もしかしたら、アリスさんに価値のありそうなモノを見繕わせて後で持っていく気なので
しょうか。その可能性は多大どころか確定するほどありそうですが、もってって良いと
言った手前、止めるような真似はしません。私はフェアなんです。

「あっきゅん、この葛篭、なんだろうな」
「はい?」

魔理沙さんは大きな葛篭を私の目の前に下ろして眉を顰めます。何時もの魔理沙さんなら
私などに構わずさっさと開けて中身を確認しそうなものですが、どうやら様子がおかしいです。

「魔理沙。何見つけたのよ」

霊夢さんは大量の本を抱えて蔵から出てきました。すると、葛篭を見た瞬間から突如戦闘態勢に
移行。どこから取り出したのか御幣と御札で武装し始めました。

「おいおい霊夢、物騒だな」
「貴女、ちょっと離れて頂戴。稗田さんも」
「??」
「……」

博麗の巫女は感が良い。その昔から異変に気がつくのはまずこの家の巫女です。
危機感が足りなくて修行不足だと良く聞くけれど、その真剣な目つきは正に魔を狩る戦巫女です。

「出来ればこの葛篭如ふっとばしてしまいたいけれど、だめかしら」
「重要な本が入っていると困ります……」
「じゃあ仕方ない。七色ー人形馬鹿ーおーい、一人上手ー」
「葛篭ふっとばす前にアンタぶっとばすわよ」

酷い罵詈雑言を浴びせられたアリスさんが鬼の形相で現れました。流石に酷いです。

「そんなことはいいの。ちょっとお人形でその葛篭を開けてよ。触れたくないし」
「あ、アンタねぇ……うぅん……でもこの葛篭、なんか本当に禍禍しいわね」
「いざとなったらマスタースパークだぜ、しかもファイナル」
「お家もふっとんでしまうので魔理沙さん自重願います」

ますます怪しさを帯びてきたこの葛篭。勿論私の記憶には何を仕舞ったかなんてありません。
それは良いのです。良いのですが……そもそもの話、何故ここまでモノが仕舞われていたか
が重要であると思います。

幾ら稗田の歴史の中、様々な有象無象を仕舞いこんだ蔵だとしても、些かモノが多すぎます。

「それじゃあ、お願いね。開けたら直ぐ離れるのよ」
「シャンハーイ」
「ホウラーイ」

アリスさんはしぶしぶ引き受け、お人形に指示を飛ばします。

「なにがでるかな、なにがでるかな、ふふふふんふんふふふふん」

八卦炉を構えた魔理沙さんはもうやる気マンマンです。

「万能猫型カラクリ人形とか出ないかしら」

何のことでしょう。関係あるか知れませんが、霊夢さんが運び出して来たのは外の世界の漫画です。

「蔵だからきっとスケキヨとかサイよ」

アリスさんは蔵で何か嫌な体験に合われたのでしょうか……。
そんな事を言っている間に、上海と蓬莱が葛篭に手をかけます。
そしてその蓋を一気にあけると。

な、何かしらが出てきました。

「じゃじゃーん……って、あっ!まてまてまって頂戴っ」

                   *

「マスタァァァァァスパァァァァクッ!!!」
「アーティフルサクリファイス!アーティフルサクリファイス!」
「夢想封印夢想封印夢想封印夢想封印夢想封印夢想封印夢想封印夢想封印!!!!」
「わひぃぃぃっ」

幻想郷に爆音が響き渡ります。私はといえばとりあえずおっかなかったので三人の後ろで蹲って
身を潜めてみたりします。だって私転生するだけで普通の人間ですもの。

それは良いとして、さっき何かじゃじゃーんとか待ってとか聴こえた気もしますが幻聴でしょうか。

「やったか!?」
「ごめんなさい上海……」
「はぁはぁ……万能ネコ型……」

砂煙舞い上がる中、どうやら葛篭の陰は見えませんが……。

「まだいるぜ」

その中には一つの人影。予想通り、妖怪の一つや二つ潜んでいたんでしょうか。

「ちょ、ちょっとちょっと何なのよもう……」

晴れる砂煙、その中から覗くのは派手な服装にオシャレな傘。周囲に展開する四重結界。
スキマ妖怪こと八雲紫の姿でした。

「夢想封印」
「ちょ、危ないったら、霊夢!」

ナカノヒトが何か解ってもスペルカードを発動させる辺り霊夢さんの外道さが滲み出ていますね。

「ネコじゃなくて狸じゃない」
「なんだ紫か。ならアリスの言う通り禍禍しいな」
「まったく、アンタ人の家の蔵で何しているわけ?」
「やぁね。たまたま通りかかったからよってみただけよ」

蔵の中をたまたま通りかかるのは、幻想郷狭しされど多種多様な奇人変人の中でもスキマ様だけでしょう。

「それで、本当の理由は? まさか強盗? 魔理沙じゃあるまいに」
「失礼ね。ここの蔵は昔から私が使っていたのよ?」

あぁ……なるほど、それでモノが多いんですね。記憶は欠落していた訳でなく、元からなかったんですか。

「あの、スキマ様。つまりこの蔵の中にはスキマ様のものが沢山あると言う事ですね?」
「あら、御阿礼の子。そうよね、貴女のお家の蔵だものね。忘れていたわ」
「実は蔵の整理をしていたのですけれど、見知らぬものが沢山出てきまして」
「家に収納するとモノが増えるから、スキマを探って良さそうな場所を探したの。そうしたら丁度ここの
蔵が空いていたものだから、お借りしたわ」
「おいおい。それじゃあこの中のモノは大半が紫のもんだって言うのかい?」
「そうでもないわ。面白みの無いものは大体稗田のよ」

ま、まぁ。うちが蔵に入れるモノはきっと幅を取って余計になったものばかりでしょうからつまらないかも
しれませんけれど。

兎にも角にも、そうなればどうするべきでしょうね。

「スキマ様のモノも、この際整理してしまいましょう。いらないものはありますか?」
「みんな飽きたから、全部要らないものよ」
「なら持っていき放題だぜ」

ならば、お言葉に甘えて私も少し頂きましょう。外のモノにも興味がありますし。
以前魔理沙さんを連れ立ってパチュリーさんの図書館へ赴いた時に見た外の世界の本に引かれて以来です。

―――前の私ならば、編纂に追われてそれ所ではありませんでしたが、今代なれば多少の娯楽も許されるの
ではないかと自己解釈します。

今までに無い均等と平和を保つ幻想郷。

しっかりとした秩序と、結界があればこれから暫くも安泰でしょうし、私がムキになる必要はなさそうです。
そろそろ本当に、皆に私が転生する意義を問わねばならなくなってきた気がします。

慧音さんも歴史を人間に教えるようになって(慧音さんの歴史は一度照らし合わせてみないと不安ですが)
「歴史」への関心が人間の間で高まれば、他に編纂する人間が増えるかもしれません。

                      *

「皆さん、お疲れ様です。お茶を用意しましたからどうぞ」

それから数時間後。日が傾く前に大方の整理は終了しました。皆さん意外と働き者でびっくりです。
一度認識を改めなければなりませんね。

「芋羊羹だわ」
「霊夢は腹減ってないもんな。頂くぜ」
「幾ら魔理沙でもそんな事したらぶち込むわ。色々と」
「恐いぜ」
「ははぁ……この本本当に凄い。どこで手に入れたのかしら……ね、ねぇ魔理沙。この理論を元にして
試作品を作りたいのだけど、モデルが……」
「何?私のモデル料は高いぜ」
「五桁までなら出すわ」

束縛から解放された皆さんは大分はっちゃけ気味のようです。霊夢さん辺りはきっと久々のお仕事だった
のでしょう。やっぱり修行不足なのでしょうか。

「御阿礼の子」
「あ、はい、何でしょう」

そんな皆さんを眺めていると、スキマ様からお声がかかりました。
私はスキマ様の分のお茶とお菓子をもって縁側まで赴きます。

「どうしましたか、スキマ様」
「紫でいいわ」
「では紫様と」
「……ねぇ。貴女はどんな事を考えて何時も転生するのかしら?」

唐突なお話ですね。

「うぅん……何とも言い難いです。あぁ、映姫様のところでまた下働きかな、など」
「そうではないの。つまり、次の世代に何か希望を持って転生するのか、と言うことよ」
「あ、うんと……」

幻想郷最古参の妖怪である八雲紫が、私に興味を示しているんでしょうか。
お話では力のある人間しか相手にしないと聞いた覚えがあるのですが……。

「希望、ですか。いつもは次の歴史の編纂の事ばかりだと思います」
「それで何か、面白い?」
「詰まらない面白いで転生はしません。結局、幻想郷の人は歴史に興味がありませんから、せめて
私が積み立てていかなければ、という使命感かもしれませんね」
「貴女はそれで満足なのかしら?」
「満ち足りる何かを求めた事は、あまりありません。けれど、今は楽しいのではないかと思います」
「……ふふ、そう。そうね」

今この時代。稗田という存在の価値が大分低くなってきています。
先ほど考えた事は、やはり早めに実行すべきであると思いますし。スキマ様、もとい紫様もまた
そう感じているのかもしれません。

「人間は斯くも脆く儚く出来ていて、貴女は殊更命が短い。貴女の思う通り、してるのもいいか
もしれないわね。具体的に何か、あるの?」

人の心を読むような言い方をされると、ちょっと驚きます。

「幻想郷縁起を公開しようと思っています。その上で私の転生意義を皆に問いたい」
「あら、馬鹿ねぇ」
「?」

生まれて始めて、いえ、阿礼の頃からこの九代に至るまでにきっと初めて言われた言葉です。
馬鹿。私が馬鹿ですか?
いえ勿論八雲紫という存在からすれば私は馬鹿なのかもしれませんけど……。

「折角転生なんて特権を持っているのだから、行使し続ければ良いじゃない?だって貴女、今まで
九代に渡って馬鹿みたいに真面目にしてきたのでしょう?だったら、後九代くらい適当に生きてみたら
いいじゃない?飽きたら止めればいいのだし」
「そ、それは流石に。閻魔様に怒られてしまいます」
「……あの子達を見なさい」

紫様が指差した先。勿論そこに居るのは人間二人に魔族一人。

「おぉ、あっきゅんいい物持ってるぜ。ほら、銘酒白百合。如何わしいぜ」
「働いたんだし、開けましょ。報酬よ報酬」
「また人の物を勝手に……あぁっせっかくだから私も……」

「あの家荒らし達がどうかしましたか?」
「霊夢よ。霊夢は少し心を開かない節があるけれど、今はとても楽しそう」
「は、はぁ」
「人間は人生が短い。貴女はもっと短い。なれば、その短い分に幾ら楽しめるかが価値よ」
「人として理性的に生きる事こそが真価ではないと?」
「人間の歴史が理性で動いた事なんて一度もない。そして末端の更に異界である幻想郷で人間の価値を
決めるとしたら、それは人生を楽しめた人間、楽しみを生み出す人間で居られたか。死神だって人に幾ら
貢いだかで三途の川の渡し賃が違うんだから、私の理屈の方が精神的で崇高よ」
「そんなものでしょうか」

私は諭されているのでしょうか。普段あまり人に興味がない妖怪だと聞いていた割に、随分とお喋りなのは
私を特別な人間と見なしているからなのでしょうか。

「では、私はどうしたら模範解答が出せるでしょうね」
「好きになさい。貴女は人間の割に、良くやっているわ。だから報酬ぐらいいるでしょう、当然よ」
「……」
「……貴女、今度うちまで来なさい。恐いのなら霊夢と一緒でもいいわ」
「私は……」

私は。結局のところどうすべきなのでしょう。このまま転生しても、きっと誰も文句は言わないとは思う。

けれど、そろそろ……こんな事を考えるのもいけないのかもしれませんが。
転生する度に皆が見知らぬ顔で
ウンザリするほど歴史書と向き合って
楽しみ一つ見つけずがんばるのには、疲れてきた、のかもしれません。

「転生して、また知り合いが一人もいなかったら辛いでしょう。だから、今のうちに妖怪の友達でも
作れば良いの。取って食べたりはしないわ」
「紫様……」

                      *

「んじゃあこれとこれとこれとこれとこれとこれとこれとこれとこれとこれとこれとこれ貰ってくぜ」
「はい、構いません」
「何かあれば呼んで頂戴。報酬さえあれば大抵するわ」
「阿求さん、感謝します感謝しますわ。ふふ、ふふふ」
「いえいえ、とんでもない」

お三方は結局お酒も入って気分が宜しいようで、大手を振って飲酒運転して帰られました。
スキマ様も何時の間にか控えていた私の分の芋羊羹と一緒に消えてしまい、いつも通り味気ない稗田
家に戻ってしまいました。

改めて、整理された蔵の中に入ります。
頭の中に、写真のように収められた以前の蔵の像と見比べると、見違えるほど綺麗になっています。

「稗田の歴史かぁ」

この蔵には私の歴史と同じくらいのモノが詰まっていて、今はキチンと整理されています。

では、その持ち主たる私はちゃんと幻想郷でなく、自分の歴史を整理したでしょうか。

何度も転生しては、自分の事でなく幻想郷の事。

それではやはり、紫様の言う通り人間としてどうなのでしょうか。

理性的に生きるのも勿論大切です。秩序はこれによって保たれますから。

けれど、たまに私くらい末端の人間が、多少の娯楽にかまけても、いいような気がしてきました。
意外と人に流されやすいのかもしれませんね。

願うのは幻想郷の秩序と平和。
これから願うのは、その中で安泰に多少面白く、そして自分の歴史に整理をつけること。

「あっそうだ」

紫様に、元禄色町録の所有者が誰か聞くのを忘れていました。

こんな詰まらない事も、これからは整理の一つとして加える事にしましょうか。
東方は本当につい最近。紅魔、妖々夢、永夜抄、花映塚と一昨日通販で届いたばかりです……。
世界観が面白いもので、本類だけは買っていたのですが、原作がなかなか見つからず苦労しました。
なんだかまとまりの無い話になってしまいましたが、読んでいただけたら幸いかと思います。
駄文、どうも失礼しました。
俄ファン
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コメント



0.2330簡易評価
4.100名前が無い程度の能力削除
いやなんかもう、普通に面白かったです
21.無評価俄ファン削除
嗚呼。最後まで読んでくださった皆様ありがとうございます。
百点なんて頂いたの小学校の漢字のテスト以来です。
読者様は神様ですね。
厚かましいながら、今後も投稿したいと思います。
その節はどうかよろしくお願いします。
25.70名前が無い程度の能力削除
日常の一コマって感じで楽しめました。
個人的な趣味で起承転結の激しい作品が好きなので、この点数で失礼します。
31.80ハッピー削除
俄ファンとのことですが、文化帖以外全部通販でしかも一昨日届いたばかりですかww
それでもきちっとキャラの特徴をつかんでいるのはさすがですね。

本編は面白かったです。
まだあっきゅんを題材にしたお話も少ないですが、じわじわと増えているなぁと感じます。
あっきゅんが自分のことも大切にするようになればいいなあぁとか思ってたのでこんな文章を読めてわりと嬉しかったです♪

まぁ、最初のかたりだしの部分であっきゅんの口調に少し違和感を感じたので少し減点しましたが、どんどん違和感が無くなっていきました。
これからも東方への愛をつづってくださることを切に願います。
長文で失礼いたしました。 ありがとうございました。
34.無評価俄ファン削除
>ハッピー様
ええもう手探りで手探りで……。
でもそんなに褒めても出るのは私の感動の涙だけです。あと好きです。
>日常の一コマ
わたくしめ如きの発想と文章でそれが伝わったとなれば、それは実に
喜ばしい事です。踊ります、リアルに。
>いやなんか
らめぇ……百点なんてはいらないよぉ……。
38.60椒良徳削除
あっきゅんをさん付けで呼ぶ霊夢は新鮮でした。
なんか、だれでも呼び捨てにするイメージがあったので。
それはともかく、よく書けていると思います。
文章が読みやすく、各キャラが活き活きと動いていて面白かったです。
貴方の次回作に期待したいですね。
52.80名前が無い程度の能力削除
家荒らし3人娘&ゆかりんをスキマ様と呼ぶあっきゅん可愛い
59.100名前が無い程度の能力削除
好き
62.100さわしみだいほん削除
おもしろかったです