Coolier - 新生・東方創想話

東方苦労伝 ~紅魔編~

2007/05/06 02:50:34
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これは紅霧事変よりちょっとだけ後のお話。



「すぅ……すぅ……」

もふもふとしたベッドに埋もれて、可愛らしい少女が眠っている、
灯りに照らされる銀の髪、時折ピクピクと動くこうもりの羽、
眠り、それは紅魔館の主であるレミリア・スカーレットの至福の時。

「お嬢様、おはようございます、朝がきましたよ」
「……ん~……」

しかし今は夜、吸血鬼である少女にとっては目覚めの時、
ベッドの傍ではメイド服に身を包んだ乙女が優雅に佇み、
微笑を浮かべながら銀色に煌く刃を振り下ろしていた。

「死ねぇ!!」
「わたぁ!?」

しかしその刃は獲物を捕らえることなくふかふかなベッドへと突き刺さる、
咄嗟の所で危険を回避した少女は、その刃を振り下ろした相手を睨み上げた。

「咲夜……私の命はともかく、睡眠を妨げようとするなんていい度胸ね!」
「お嬢様、おはようございます」
「いけしゃあしゃあと……!」

手に持っていたはずのナイフはもうどこにも無く、にこやかな笑顔で挨拶をすませる瀟洒な従者、
額に青筋浮かべて睨んでいる主とは対照的である。

「ほら、よく言うではないですか、早起きは三文の得と」
「黙れ! ナイフを心臓に突き刺す起こし方がどこにある!」
「お嬢様はそのぐらいしないと起きないと思いまして」
「一歩間違ったら永遠に眠るわ!!」
「寝る子は育つといいますし」

吸血鬼の怒気を受けながらも一切微笑みを崩さずに答える従者、そのポテンシャルは計り知れない。

「だから私は永遠に……もういいわ、目も覚めたしはやく紅茶をもってきて」
「ここに」
「うう、有能なのに、有能なのにぃ」

目の前には一瞬で用意された紅茶セット、椅子もテーブルも用意されてるのだから完璧この上ない、
半泣きになりながらも渋々椅子に腰掛けて、ティーカップを手に取った。

途端、じゅわっ

「――――――っ!!!」
「どうなされました?」
「な、なんでも……無いわよ……」

取っ手が熱かった、何かこう、皮膚が真っ黒になるぐらいに、
多分手に取る寸前に熱したのだろうか、悪魔はもう四分の三泣き状態だ、
ああ、しかしそれでも彼女の誇りが無様な姿を見せる事を許さないのか、
ふるふると震える手を抑えながら、そのカップを口元へと運び、一口。

「ふぅ、うまごぶふぁああああああああああ!!」
「あはははは! かかったわね吸血鬼! その紅茶は無臭ニンニク入りよ!!」
「さ、咲夜ぁぁぁぁぁ!!」
「その状態で虚勢をいくらはろうとも無駄よ! その心臓もらったぁ!!」

椅子から崩れ落ちるレミリアに、一足飛びで襲い掛かる咲夜、
状況はまさに絶体絶命、しかしこんな時こそ救いのヒーローは現れる物だ。

「狩人は獲物を狩る瞬間に最も隙が出来る……」
「なっ?!」
「ほあたーっ!!」

まるで部屋全体が揺れたかのような、そんな錯覚を起こすほどの一撃が咲夜の横腹にめり込む、
彼女の華奢な身体はいともたやすく折れ曲がり、直後には壁に人型の穴が開いた。

「中国!」
「お嬢様、ご無事ですね?」
「なんとかね、で、その私に向けられた拳は……やっぱり?」
「この好機は誰にも渡しません、レミリア・スカーレット! 貴様を倒しこの館は私がいただく!!」
「どうして私の従者はこんなのばっか……」

窮地から一転どころか三百六十度回転してまた窮地、
にんにく成分により心身共々へにょっているレミリアにはなす術が無い。

「覚悟っ!!」
「ロイヤルフレア」
『あちゃぁぁぁぁぁぁ!』

そして本日二度目のヒーローのご登場。

「レミリア、生きてる?」
「……お陰様で全身焦げ焦げになったけどね」
「あらそう、それはよかったわね」
「どこが!」

ぷすぷすと全身真っ黒な状態で怒りマークを露わにするレミリアを横目に、
パチュリーはもう一つの真っ黒な物体を撫でたり触ったり、ついでに調べたり。

「そもそもあなたがこいつらを勝手に雇ったりしなければこんな目にあわなくてすんだのよ!」
「あら、私は体面だけでも従者でいればいつでも命を狙えると教えただけよ」
「そんな物騒な従者なんかいらないわよ!」
「優秀なんだからいいじゃない」
「メリットよりデメリットのほうが大きすぎんのよ!!」
「ま、私は興味深い人材が見つかってよかったわ」
「それが最初から目的の癖に……」

こいつの友人になったのが人生最大の失敗だったと、レミリアは確信した。


 ―――――


そして夜も夜、博麗神社には二人の人影。

「それで私のところに逃げ込んできたわけ?」
「もういや……私も巫女になって静かに暮らしたいわ!」
「あなたが巫女になるには退魔技能が五点、結界技能が五点、あと日本人度も五点足りないわね」
「最後で思いっきり否定してくれやがりましたわね」

朝はメイドと門番に、昼もメイドと門番に、夜もメイドと門番に、
いくら吸血鬼といえども常に命を狙われ続けていればたまったものではない。

「相手が一人ならどうとでもなるんだけど、もう一人に消耗した時を狙われるとねぇ……」
「だったらあんたも二人で戦えば?」
「手伝ってくれる?」
「可愛い妹に手伝ってもらいなさい」
「嫌よ! 私は霊夢と一緒に戦いたいの!! 身も心も一つになりたいの!!」
「陰陽ナッコゥ」
「ふべぁ」

軽く突き出された程度のパンチがレミリアの右頬を的確に打ち抜く、
ただそれだけなのだが、レミリアの脚は崩れ、手も顔も地へと沈んだ。

「た、立てない……この程度の一撃で……私がっ!」
「とりあえず布団は出しておくから、泊まっていくのなら自分で敷いてね」
「遅いわよ霊夢! さあ早く一緒に寝ましょう!!」
「いつの間に!? というか布団は別々よ!」

愛は光速をも超える、って誰かが言ってた気がする、
そして二人はもそもそと布団にイン。

「はぁ……帰ると命を狙われるし、ここにずっといるわけにもいかないし」
「別に炊事と洗濯と庭掃除さえやってくれれば構わないけど?」
「そうもいかないのよ、私個人はそれでもいいけど、誇り高い吸血鬼としてはね」
「……吸血鬼でもあんたはあんたでしょ、おやすみ」

布団を頭からもふり、と一足先に夢の世界へ旅立つ霊夢、
ぼ~っとその様子を眺めていたレミリアも、続けてもふり。

「(私は私か……)」

ぼやっととろめく意識の中で自分の身と立場を考えながら、やがてその意識は夢の中に――。


ずりっ……ずりっ……

「(今私は霊夢と共に有り、その立場は布団を並べて一緒に寝る仲!!)」

ああでもほら、吸血鬼は夜に活動するものですから。

「(我が布団と霊夢の布団との距離はおよそ50cm……このペースならあと3分!!)」

顔と身体は天井を向き、そして左手の指先のみを布団の端からだして畳を掴む、
後は指の摩擦力とその驚異的な握力で自らの布団を引き摺るのみ。

「(我がレミリア艦隊はもうすぐ霊夢艦隊と衝突する、距離が零となると同時に橋を下ろしなだれ込め!)」

何という恐るべき執念か、レミリアの布団は自信が予想した三分よりも遥かに早いペースで
霊夢の布団へと接近しており、すでにその距離は残り5cm、ああ、そしてついに指先が霊夢の布団へと。

「(かかった!)」

総員布団を廃棄! 霊夢船への攻撃を開始せよ!

「キャッチマイハァァァト!!」

その後の額に針をぷすぷすぐすんな展開は言うまでも無く、
自らの布団にも戻れず、少しずつ明るくなる障子の外を待ち続ける長い夜の始まりでもあった。


翌朝、ちゃぶ台を囲んで人妖会議。

「で、結局どうするの?」
「炊事、洗濯、庭掃除、身辺の警護から夜のお供まで全てやらさせていただきます」
「誇りとやらはどうしたのよ」
「そんなものは箒で掃いてゴミ箱に捨てるためにあるのよ」
「はぁ……まあ私が言い出したことだし、それならそれでいいけどね」
「だって命を狙われ続けるよりも愛する人に尽くしたいじゃない!」
「叫ぶな脱ぐな!!」

では、神社に住み着いた吸血鬼の頑張りっぷりをご賞味ください。

「霊夢~、朝ごはんが出来たわよ~」
「レミリア……あなた料理が出来たの!?」
「ふっ、500年も生きていれば和洋中なんでもおちゃのこさいさいよ!」
「どうせ和食だけ必死で練習したとか、そういう所でしょ?」
「アーユーエスパー!?」

霊夢に毎日お味噌汁を作ってあげたかったそうです。

「それじゃ、いただきます」
「召し上がれ~」
「の前にこのお味噌汁を一口飲んでもらえるかしら?」
「えっ!?」

予想外です。

「ほら、毒味よ毒味」
「ど、どどどど毒なんて入ってなんかないないないわよよ」
「入ってないのなら大丈夫でしょ? ほら」
「やっ、私は吸血鬼だから血液しか……」
「つべこべいわんと飲めー!!」
「あばばばっ!!」

両ほっぺごと顎を掴んでこう、ぐいーっとな。

「ぷはっ!」
「さーて、味噌汁には何が入ってたのかしら?」
「な、何よ! 怪しい物なんて何もぐぅ~……」
「どう見ても睡眠薬です、本当にくたばってみる?」
「すぴ~」
「起きろ!」
「もみゅっ!!」

朝、霊夢を眠らせて既成事実計画、失敗。

「はい! しゃきっと掃除する!」
「ふぁーい……」
「そこ! 落ち葉が残ってるわよ!」
「ふぁーい……」
「あと、焦げてるわよ」
「ふぁー……ほあっちゃぁぁぁぁ!!」

昼、掃除中にうっかり日傘を持ち忘れて半焦げ。

「う~……」
「あと、これとこれとこれもお願いね」
「うう~……」
「終わるまで晩御飯は無しよ」
「ううう~……」

夜、溜まりに溜まった洗濯物の山の前に生まれて初めて絶望感という物を知る。

「ごめんなさいお母様……私もうこんな家庭ではやっていけません!!」
「はいはい、じゃあ紅魔館で元気にやりなさい」
「ちょっとぉ! 止めるとか少しぐらい慰めてくれるとか!」
「まってれみりあ、あなたはよくはたらいてくれた、かんしゃしてるわ、それじゃばいばい」
「鬼よ……鬼姑だわ……」
「そういうあんたは吸血鬼」
「そういうあなたは腋巫女よ!」

本気で殴られた、拳が一切見えなかった、神社の石段の下まで吹っ飛んだ、たかが人――。





ゆらり、ゆらりと月夜に照らされた湖を一艘の船が渡る、
大妖精の渡し舟、紅魔湖と紅魔館の観光の際には是非一度。

「それで~、帰る事にしたんですか~?」
「そうよ、霊夢に借りは作りたくないし」
「首が反対を向いているのは~、追い出されたのと関係が~?」
「無い、断じて無いわ」

神仙力の篭った一撃の為、まだ首が癒えません。

「でも~、レミリアさんって可愛くなりましたよね~」
「はぁ? 私は昔から可愛いわよ」
「そうじゃないですよ~、昔は近づくのも怖かったのに~、今ではこんなにぷりてぃ~」
「はぁ?」

ふと顎に手を当てて考えてみる、しかし首が反対向きの為後頭部にだが、
確かに昔はこんな妖精など私の傍には近寄る事すらなかった、
今では近寄られるどころか、ぷりてぃとまで言われる始末。

「もしかして、私ってカリスマが低下してる!?」
「そうなんですか~?」
「いやいやいやいや! まさかそんな!!」

考えてみよう、幻想郷にやってきたときはあいつに負けながらも名を轟かせた、
その後も夜の王として妖怪の山、果てには人里にまでその恐怖を届かせた、
咲夜や中国がやってきたのもその頃だ、二人とも難なく叩きのめして追い払った、
後でパチュリーが雇ったりしたけど、命を狙われる事も無く平和な毎日だった。

「……おかしいわね、カリスマが低下する理由が無いわ」
「あ~、あれじゃないですか~?」
「あれ?」
「ほら~、巫女さんに負けたじゃないですか~」

そぉぉぉぉうでしたぁぁぁぁぁ!! と身体で言わんばかりの四つん這い、
しかも首が上を向いているもんだから怖い、無性に怖い。

「ノゥ! 私ったら何たるミステイク! そりゃ人間に負けたりしたら吸血鬼の威厳は地の底よね!」
「それだけじゃないと思いますよ~?」
「ホワッツ?」
「むしろ今までが過大評価だったと思うんですよ~」
「……はい?」

過大評価、つまり私は私自身より私が大きく、つまり私はナイスバディなボンキュッボンで
そりゃもうワンダホーでビューティホーな吸血鬼だと思われていたのだろうか、とのレミリアの心境。

「だって~、今こうして私と話しているじゃないですか~」
「それがどうしたのよ」
「レミリアさんがここに来た頃は~、目にした物全てを敵と認識する凶暴な悪魔と思われてたんですよ~」
「何でよ、そこまで品の無い行動はしないわ」
「幾多の妖怪を従えたりしてましたから~、そんなものだと思われてたんですよ~」
「あー、挨拶代わりに暴れまわったあれね」
「でも~、今はこうして私と話している~」
「つまり、私が丸くなったって言いたいの?」
「うぅ~ん、ちょっと違いますね~」

大妖精の言葉を聞きながらも、右手を左耳に、左手を右耳に添えてぐっと頭を持ち上げる、
するとすぽんと頭が抜けるので半捻りして頭に装着、こきんこきんと首鳴らし。

「つまり今のレミリアさんがレミリアさんで~、前のレミリアさんが違うレミリアさんなんです~」
「私は一人しかいないわよ」
「前のレミリアさんはいわば想像されたもの~、今のレミリアさんは皆が自分の目で確かめたもの~」
「……あなたが何を言っているのかさっぱりわからないわ」
「またまた~、分かっているくせに~」

やがて視界に紅い館が映りこむ、短い船旅も終わりが近いようだ。

「だとしたら昔の私が過大評価と思われる程、今の私がへたれただけってことね……」
「それだけじゃないと思いますよ~?」
「それだけじゃない?」
「空しか見えない高い山から降りて、初めて見えるさらに高き山~」
「……わけがわからないわ」

小気味良い震動と共に船が止まる、目的地にご到着である。

「はい、つきましたよ~」
「はぁ……また命を狙われる日々の始まりね」
「そう落ち込まないで~、いい事を一つ教えますから~」
「いいこと?」
「耳を貸してください、これは秘密の事なので~」

そう言われて、大妖精の口元に耳を近づける。

「紅魔館の門番さんのお名前は、紅美鈴ですよ~」
「えっ、中国じゃなかったの!?」

全くもってどうでもいい事であった。

「って、いい事どころか余計な無駄知識が増えただけじゃない……驚きはしたけど」
「ふふふ、近き者を深く知る事、それがあなたにつめる善行――」
「はいはい、ああ、そういえばまだお代を……あら?」

振り向けど、妖精も、自らが渡ってきた舟も無く、静かで広い湖が。


  ―――――


紅魔館、その敷地と外界を分かつ巨大な門、
何者も寄せ付けず、何者も近寄らなかったその門の前に、今一人の妖怪が立ち続ける。

「お帰りなさいませ、レミリアお嬢様」
「あなたとあの人間も律儀ね、私の首が狙いなら仕事などせずとも館に潜めばいいのに」
「堂々とこの立派な館に居座れるのも、中々気分がいいものでして」
「解雇したいんだけどね、物凄く」
「あなたの首を退職金としていただければ今すぐにでも」

どん、と震脚によって地響きがなり、門番の左拳がレミリアを正面に捕らえる、
対するレミリアは頬をぽりぽりとかいて溜息深く。

「仕方が無いわね……いい加減狙われる側も飽き飽きしてきたし、本気で行くわよ?」
「そうよ、それでこそ夜の王、人間に負けてからの腑抜けた姿にはいい加減飽き飽きしていた所よ」
「あ、やっぱりそうなのね」

頬元でちりちりと空気が叫ぶ、濃密な魔力に囲まれ、潰され、押し出された空気の奏でる悲鳴、
目前に見据える門番は態勢を僅かにも動かさぬままその目を紅く光らせる。

「その具合で人間を止めて欲しかったわ」
「……カウンターアッパーで一撃でした、私が」
「くだらない冗談を」

よく考えればそうでもない、レミリアを一撃で石段の下まで殴り飛ばす巫女である、
もしかしたらその身体能力は吸血鬼すら遥かに凌いでいるかもしれない、もしかしたらだが。

「私だって負けてらんないのよ! 人間なんかにぃ!!」
「その言葉、そっくりそのまま返すわ……でもね、それ以上に私は妖怪に負けられないのよ!」

レミリアの右腕を包み込む紅い魔力、その腕は柄と化し、その手は全てを打ち抜く刃となる、
対霊夢用に編み出した技、その名もスカーレットナックル、その威力は結界の一、二枚は軽く破るだろう、
ちなみにこれを投げつければもっと有用できるんじゃないか? と気づくのはもう少し後の事である。

「中国、始まって早々で悪いけど、フィナーレよ」
「(レミリア・スカーレット……最強の吸血鬼よ、あなたの価値、それはその肉体にこそある、
 一見ただの小娘に思えるその身体に吸血鬼の中でも例を見ないほどの身体能力の搭載、
 その肉体から生み出される破壊力は、私の持つ想像力を…………超えはしない!!)」

レミリアが一歩、また一歩と距離を詰める、それは無造作に、そして一切の隙を見せぬまま。

「(素手による闘いの歴史、武術史はそのまま人類史にリンクする、筋肉への信仰と否定を繰り返しつつ
 やがて脱力による速度の獲得に至る、筋力・脱力・バランス・速度・角度・急所、更には気や
 呼吸法にまで及ぶ様々な技術革新・創意工夫……しかるに近代格闘技。だが未だ有史以来たったの
 一歩も進んでいない決定的死角が存在する……それは、支え)」

対する美鈴は一歩も動かぬまま、門を背にレミリアを待ち受ける。

「(四千年の歴史を自負する中国拳法に於いてすらが支えとなる物を「大地」しか捉えていない、
 ボクシングも相撲も。あらゆる格闘技が足の支えを「大地」でとらえることに何の疑問ももたない、
 ……なるほど大地に頼らざるを得まい、壁という偉大な支えを認識していないのだから)」

その時、美鈴の右足は地と門を捉えていた。

「……タイムリミット」
「(今からあなたは実感する、我が後方、零の距離に位置する物をっ!)」

レミリアが口を閉じると同時に、ドレスの淡い色も、月夜に生える銀の髪も消え、
ただ一つの紅い光だけとなって迫り来る、対する紅美鈴は何も変わることは無い、
動かず、押されず、気後れず、その拳を迫り来る紅に撃ち放つ為に。

「(とらえろっ! 私の脚――この館の真正面にある確かな物体――門の硬さを!!)」
「さようなら、あなたはいい門番だったわ……紅美鈴!!」

紅美鈴の必殺の一撃、長年鍛え続けた常人ならざる脚力で背の物体を踏み、蹴り、
それによって生まれた全ての推進力をその拳へと乗せて放つ、背壁の一撃、
しかしレミリアにとってそんな物はどうでも良かった、当たろうが当たるまいがやる事は一つ、
この右手を紅美鈴に叩き込む、この身が砕けぬ自信と全てを砕く自信に任せて。

「眠れっ!!」

振り抜かれる右腕、神速の一撃、その紅い光は美鈴の頭を貫いたはずだった、
だが手応えが無い、威力が強すぎて霧散したかと思わせるほどに、しかしそうではなかった、
一拍遅れて視界に映る紅い髪、レミリアの腕の下に潜り込んでいくその体、
それが攻撃をかわされたと気づくにはさらに一拍の遅れを要した。

「(くっ――体勢が――)」

全速力で突撃し、その一撃で決めようとしたレミリアにとってこの現状は想定外、
完全に隙だらけの無防備な姿が迎撃体勢の美鈴のごく間近にある、
もはやダメージは避けられない、深手を負えば互角以下になる可能性もある、
レミリアは歯を食いしばると、来るであろう一撃に備えて身体を強張らせた。

「申し訳ありませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「何でぇぇぇ!?」

同時に、がごんと小気味悪い音がした。

「どうか! どうか今までの非礼な振る舞いをお許しください!!」
「い、いきなり何を……抜けない! 体が門にはまって抜けない!!」

つまりは、リバースカードオープン! 超神速の土下座! これによりレミリアの攻撃は無効化される!
そしてさらにトラップカードオープン! 門の捕縛! レミリアは1ターン行動不能!

「どうかご慈悲を!」
「このっ! ふぬっ! ……あ、あれ!? 何で出来てるのよこの門! 曲がらないし壊れないし!」
「お嬢様! どうかっ!」
「許す! 許すから足引っ張って! 抜けない!」
「はい只今!」

でも抜けません。

「うーっ! うーっ!」
「ふんぬぬぬぬぬぬ……!」
「うー……私って力ないのかしら……!」
「どうすれば……はっ、そうだ! 引いて駄目なら押せばいいんですよ!!」
「いっ?」
「せーのっ!!」

腰まではまりました。

「も……申し訳ございません」
「いいから、怒ってないから、私のお尻にすがりつきながら泣かないで……」

そんな混沌とした状況が大体五分ほど続けば、蝙蝠化すればいい事に気づくこともある。

「さて、紅美鈴、あれほど私に喧嘩を売っておいてこれはどういうこと?」
「えーと、その、話せば長くなるのですが……」
「短く話しなさい」
「はぁ、これは遠い昔の事ですが……」

~中国説明中~

「つまり、要約すると名前を呼ばれなくなる呪いをかけられたのね?」
「呪いと言うよりももっと酷い物、因果律、もしくは運命操作に近い物でした」
「それで私のところに来たと?」
「はい、運命を操る力を持つといわれるお嬢様なら、お嬢様ならきっと私の名前を呼んでくれると!」
「でも別に名前ぐらい中国でもいいんじゃない?」
「良くないですよっ! 昔から秦やら魏やらと呼ばれていたせいで中国拳法を習得するわ
 昔の戦い方は忘れるわ服装はチャイニーズになっちゃうわで散々なんですよぉ!!」

七色の美しい弾幕は昔の名残だそうです。

「(運命操作、ねぇ)」
「本当にありがとうございます、ありがとうございますぅ」
「(何故か最近運命が見えないのよね……まるで無くしてしまったかのような)」
「一生付き従わせていただきます、レミリアお嬢様……」
「(今では見えない事が楽しくてしょうがないのだけれど)」

思いにふけってる間、中国は感謝しっぱなしである。

「ささっ、いつまでもこんな所にいては風邪を引いてしまいます、早く中へ」
「え、ああ……そうね」
「ちょっと待っててください、確か開門スイッチが……」
「(しかしさっきの妖精が気になるわね、門番の名前を知っているなんて……何者?)」
「あ、ぽちっとな」

爆発しました。



「この揺れは何?」
「咲夜様、どうやら正門のほうで爆発が起きたようです」
「ああ、それなら何も問題は無いわね」

さて、美鈴がレミリアの元に陥落した頃、もう一人の狩人である咲夜といえば
従順にメイドの仕事にいそしんでいた、それはもう炊事から洗濯まで。

「さて、次はベッドのセッティングね……」
「咲夜様」
「何?」
「この仕事、楽しんでません?」
「こんな仕事、楽しまなきゃやってられないわ」

緑髪のメイドの突っ込みを難なく流して頭の中で思い浮かべるは今日のシーツの色、
淡いピンクがいいか、薄めのブルーにするか、そんなところまで考えた所で、
隣でにやにやしているメイドに気づいて心を引き締める。

「山田、あなたもサボってないで仕事に戻りなさい、じゃないとお仕置きよ?」
「た、ただちに!」
「さて、今日は嫌がらせにどどめ色にでも……」

しかしその頃のレミリアといえば。

「げほっ」
「ごほっ」

真っ黒であった。

「美鈴……なんで門が爆発するのかしらねぇ?」
「そ、それを聞かれましても、門を構築したパチュリー様しかわからないとしか……」
「またアイツか!」

今頃レミリアの脳内ではパチュリーの高笑いが響いていることだろう、
もちろん笑い声はパーッチュッチュッチュッチュッチュである。

「あーもぅ! とにかく中に入るわよ! 咲夜が出てきたらあなたがなんとかなさい!」
「お任せください! お嬢様に害なす者は私が始末します!」
「苦いナス物ぉ? 食べてくれるの?」
「ほへ?」

お互いに素っ頓狂な顔をしながら館の入り口へととことこ歩く、
そしてその扉へと続く階段の一段目に乗った時、ふとカチンと言う音が。

「あら?」
「どうなされました?」
「今足元で何――」

ピアノ線トラップ。

「……死ぬかと思ったわ」
「普通、首が跳ね飛んだら死にますけどね」
「そういうあんたも胴体切れてるわよ」
「私も妖怪ですから」

妖怪というのは丈夫である、だが何よりも妖怪を丈夫たらしめているのは
その鈍感さかもしれない、何にせよ二人は階段を上りきって扉を開けた。

「美鈴」
「なんでしょうお嬢様」
「私の目が確かなら、真正面から転がってくるのは鉄球よね」
「ええ、この大きな廊下を完全に塞ぎきって転がってくる鉄球ですね」

気分はまさにイン○ィ・ジョーンズ

「ふっ……この程度の鉄球で私を止めれると思うな!」
「お嬢様! 受け止めるおつもりですか!?」
「こんな鉄球など! この私の手にかかればっ!!」

ぶちっ

「お嬢様」
「何よ」
「さすがに直径30m近くの転がっている鉄球を受け止めるのは力学的に無理があると思います」
「あと30cm身長が高ければいけたわ」
「無理だと思います、というか無理です」

こんな会話を絨毯にめり込んだ状態で交わす二人、やはり妖怪というのはどこかおかしい存在なのか、
ちなみに後方では鉄球が扉ごと館正面を破壊して湖まで絶賛爆進中。

「ええい、いつまでもめり込んでいられないわ! いくわよ美鈴!」
「はいっ!」

こうしてレミリアと美鈴の長い長い冒険が始まった、
開かない扉、迫り来る針天井、突如現れる槍など数々の罠を潜り抜け、
灼熱の砂漠を進み、荒れ狂う大海原を抜け、人狼の守りを突破して、ついに辿り着いた宝の間。

「後はこの宝石をこの扉にはめれば……!」
「ようやく、ようやく私達ここまで来たんですね!」

そしてレミリアの手によってとうとう扉の鍵である宝石がはめ込まれた、
石造りの重厚な扉がゆっくりと開き、美しく彩られた部屋が二人を出迎える。

「お帰りなさいませお嬢様、ベッドのご用意は出来ております」
「そんなことだろうと思ったわよコンチクショウ!!」

お宝はメイド長。

「という事はあなたね、私の館をこんな風に改造してくれたのは」
「侵入者に備える為でして」
「どう考えても途中から狙いが私の抹消だったけど?」
「砂漠は対人間、海は対妖怪、人狼は就職難で困っていたところに偶々であっただけですわ」
「嘘八百もそこまでいくと感動物ね」
「私は空間を提供しただけで中身はパチュリー様製作ですし」
「ごめんなさい、あなたを疑った私が間違っていたわ」

どう見てもラスボスはパチュリーです。

「そういえばお嬢様、随分と門番と仲良くなったようですね」
「そうよ、私のカリスマのなせる業」
「まったく、結局あなたもただの犬だったって事ね、中国」
「いきなり話を振っておいて言ってくれるわね……ま、犬のほうがまな板よりはマシだけど」
「あ゙?」

何か空気が凍りつきました。

「吸血鬼と仲良くなって態度が大きくなったわね、その邪魔そうな胸ごと切り落とされたい?」
「さ、咲夜?」
「無い者の僻みは醜いですね、是非ともその胸ごと矯正して差し上げましょう」
「美鈴~?」
「その胸を切り取って墓前に供えてやるわ! 牛チチ魔人!!」
「三途の川で巨乳の死神にでも運んでもらえ! まな板娘!!」
「駄目だこりゃ」

限界バトルinレミリアルーム

「前々から気に食わなかったのよ! そのでかい胸が!!」
「私だってそうだ! いつもいつも見下すような顔をして!!」
「……頑張ってね」

レミリアに出来る事はただゆっくりとその部屋から抜け出す事であった、
後ろでは怒声と奇声と破壊音だけが鳴り響いている、そんな部屋で寝る事などもっての他。

「しかし、いつの間に元に戻したのかしら?」

部屋から一歩出ればそこはいつもの広い廊下、
先程まで大冒険を繰り広げた世界の姿はどこにも無い。

「考えててもしょうがないわね」

未だに震動が響く後方を完全に忘れ去って、ぱたぱたと廊下を駆ける、
向かう先は血液貯蔵庫、たまには浴びるように、むしろ浴びながら飲んでみるのもいいと思いながら。

「B型、B型……ん?」

ふと、階段まで差し掛かったとき、その奥から何かを感じ取る、
自分と同等以上の圧迫感、存在感、威圧感を。

「……お姉様」
「フラン?」

階段の下にいたのは妹であるフランドールだった、
しかしやはりいつもとは感じが違う、普段あふれ出ている幼女臭もない。

「砕けちれっ!!」
「うっ!?」

一瞬で集う爆発的な力を確認した瞬間、レミリアは真横へ全速力で回避行動をとる、
直後に先程まで自らがいた場所を紅い閃光が薙ぎ払った。

「フラン! いきなり何のつもり!?」
「何のつもり? 殺すつもりよ」
「殺す? ……私を?」
「そう、あなたを殺し、私はこの紅魔館の主となる!!」
「なんですって!?」

ゆっくりと飛び上がったフランドールがレミリアを見下ろす、
右手には不規則に揺らめき続ける紅い魔杖を握ったまま。

「必要なくなったのよ……狂気の妹を演じ続ける自分が」
「ど、どういう事!?」
「もはやあなたの顔を立てる必要は無くなった、それだけの事」
「顔を……立てる?」
「私はあなたの妹として生まれた、だから私は私自身があなたを立てるために在るものだと思っていた、
 だからこそ妹であり続けた、破壊の権化すらその手に握る偉大な吸血鬼としてその名を高める為に、
 だがいまやあなたにカリスマは無い、そしてもはやあなたを立てる必要などどこにも無い!!」
「えっと、ごめんなさい、長すぎてよく分からないわ」
「……もはやあなたにスカーレット家の主たる資格は無いということよ!」
「くっ、ある意味立派な吸血鬼になってくれて嬉しいわ!!」

フランドールが魔杖を振るたびに紅い閃光が縦横無尽に暴れまわる、
さすがに真っ向からの力勝負ではレミリアの分が悪く、この場は退くほか無かった。

「(ここじゃ広すぎる、フランと戦うならもっと遮蔽物の多い場所じゃないと……)」
「逃げるなレミリア!!」

しかし破壊力で劣っていても、経験の差ゆえに他の力の使い方ならレミリアに圧倒的に分がある、
そしてそれはあらゆるものの差となる、空を飛ぶ速度ですらも。

「(フランの目は本気だった……だけど、何故、どうして?)」

破壊音が段々と遠ざかる、しかし紅魔館はいくら広くとも閉ざされた空間、
ここのいる限りいつかは見つかり戦う事になる、だけども戦いにいたる理由が見つからない。

「……しまった!!」

長い長い廊下を抜け、突き当りを曲がった先には大きな壁、見紛う事なき袋小路、
そして後方から段々と近づく破壊音、例えどれだけ引き離していても、それは吸血鬼にとっては短き距離。

「まずい、このままじゃ……」
「お嬢様こちらに!!」
「誰!?」
「副メイド長の山田です! さあ早く!!」

いきなり声をかけてきたメイドが手をこまねいている場所、それは壁に隠された扉の影からだった。

「山田、この通路は?」
「パチュリー様が館内移動時に使用する通路です」
「……今回ばかりはアイツに感謝ね」

僅かな灯りに照らされた通路を飛び、階段を下る、後方からは乱雑な破壊の震動だけが
伝わってくる、どうやら通路の存在はばれなかったようだ、
やがて山田が通路の途中にある一つの扉を開けると、そこは図書館に繋がっていた。

「ここまで来ればしばらくは安心かと」
「そうね、迎え撃つのにも丁度いいわ」
「あら、ここで戦われると私が迷惑なんだけど」

ラスボスのご登場である。

「パチェ?」
「随分と騒がしいじゃない、また何かあったの?」
「騒がしいなんてものじゃないわよ、フランドールがおかしく……いえ、まともになっちゃったのよ」
「やっぱり?」

ここで一拍。

「やっぱりって何だぁぁ!! やっぱりお前のせいかぁぁ! お前の仕業かぁぁ!!」
「あまあまあまり振ららないで、首びの骨が折れ折れ折れ……」
「何をしたぁぁぁ!! 私の可愛いフランドールに何をしたぁぁぁ!」
「落ち着いてくださいお嬢様! パチュリー様の顔色が非常にやばいです!」

もはやパチュリーの顔色は青を通り越して紫だ、全身これ紫。

「で、結局フランに何をしたの? 言わないとマッハで殴るわよ?」
「脅さなくても言うわよ……これをあげたの」

とりあえず回復したパチュリーが取り出したのは一つの瓶、
中にはなにやら液体のような物が入っていた痕跡がある、貼ってあるラベルを読んでみると……。

「何これ? えーと、カリスマドリンク?」
「そう、カリスマドリンク、それを飲むと誰でもカリスマに満ち溢れる素晴らしいドリンクよ」
「……馬鹿馬鹿しい、そんなものが作れるわけ……」

ふとその瓶の裏側に目が止まった。

「原材料、レミリア・スカーレット……どういうこと?」
「あなたが寝ている間に、カリスマ成分をちゅちゅ~っとね」
「……どうやって?」
「それはひ・み・つ」

そういいながら顔を本の陰に隠すパチュリー、凄く憎たらしい。

「そのカリスマドリンクを飲むとどうなるの?」
「存在感や威圧感に満ち溢れ、場合によっては性格も変わるわ」
「で、そのカリスマを抽出された方は?」
「存在感や威圧感が減り、場合によってはカリスマを高めるような能力とかも無くなったりするわ」
「私がへたれたのも運命が見えなくなったのもお前のせいかーっ!!」
「へぶっ!」

それは綺麗な右ストレートだった、それ一つだけで世界を取れる、そんな完璧な一撃だった。

「ふふ……さすがはレミィ、毎日死なないギリギリまでカリスマを抜いていたのに、この一撃……」
「カリスマ抜きすぎると死ぬの!?」
「意外とあっさり」
「……もう一発殴っとこうかしら?」
「ま、待って! カリスマを抜いていたのには理由があるのよ!」
「理由? どんな理由よ」
「それはフランドールが私の図書館に始めて訪れた日の事だったわ」

 ――私もお姉様みたいになりたい!

「その一言に心打たれた私はあなたを研究し、そのカリスマを与えればいいと……」
「与えるな!!」
「あ、パチュリー様、これは何でしょう?」
「え?」
「カリスマドリンク顧客名簿とありますが……」
「あああっ! そこのメイド! 勝手に私の机を……こ、これは違うの! これは違うから話を聞――」

それは綺麗な上段回し蹴りだった、見た者全てがパチュリー死んだな、と確信するであろう一撃だった。

「ふ、ふふっ……さすがはレミリア・スカーレット……この一撃に蘇るカリスマを見たわ……ぐふっ」
「さようなら、パチュリー・ノーレッジ、安らかに眠りなさい」
「あのー、パチュリー様が死ぬとフランドール様を元に戻す方法が……」
「あ」

反応が無い、ただの紫もやしのようだ。

「起きなさいパチェ、起きてー……駄目ね、ピクリとも反応が無いわ」
「私にお任せいただけますか?」
「何とかできるの?」
「はい、そのかわりに、少しの間だけ後ろを向いていただければ……」
「後ろ? これでいいの?」
「ヤマリバースソウルナッコゥ!!」
「(なんか叫んでる!?)」
「ヤマリバースソウルエルボゥ!! ヤマリバースソウルキック!! ヤマリバースソウル締め!!」
「(しかも連発!?)」

そして無事にパチュリーは蘇生した、どう見ても無事ではない状態で。

「で、パチェ、どうやればフランを元に戻せるの?」
「今のフランドールはカリスマドリンクによって一時的にカリスマが増えた状態、
 つまり、ドリンクの効果が切れるまで待つか、カリスマを無くすかのどちらかね」
「ドリンクの効果が切れるのは?」
「およそ一ヶ月」
「さすがに一ヶ月も待ってられないわね、カリスマを無くす方法は?」
「色々あるけど、一番手っ取り早いのは倒す事、敗北イコールカリスマの消失よ」
「耳が痛いわね……」


 ―――――


「来た! こっち来たー!!」
「離しなさいよ中国!! 掴まれてたら逃げれないじゃない!!」
「一人で死ぬぐらいなら道連れにしてやるわよ!!」
「あいつを道連れにしなさいっての!!」
「道連れなんか生半可なことはさせないわ……二人まとめて壊してあげる」

右に爆炎、左は落ちてくる瓦礫、そして中央には廊下を必死で逃げ惑う咲夜と美鈴、
逃げる逃げる、逃げなければ死ぬ、背中越しに弾幕を見切り、階段を一足で飛び降りて、
吸血鬼から逃げて逃げて逃げ続けて、逃げる果てには追いつかれてまた逃げて。

「って、いい加減逃げるのも疲れたわ」
「わっ! 急に立ち止まら……戦う気!?」
「私は元から吸血鬼を倒す為に来てるのよ……あいつの羽はベッドに添える花瓶に合いそうね」
「ああもう、どうなっても知らないわよ!」

人間は残り、妖怪は走る、爆音と震動が自らを貫く中、必死に死から自身を遠ざけて、
しかしやがて脚は止まる、そしてその脚はまた駆け出した、今までとは逆の方向に。

「まったく! 人間ってのはこれだから!!」

走って走って走り続けて、戻るは人間と別れた場所、
視界に真っ先に映るは紅い魔杖を持った吸血鬼、そして……。

「あれ、あいつは?」
「人間なら少し前に逃げたわよ」
「どうせそんなオチだと思いましたよコンチクショウ!」」
「だから、あなただけでも壊れてくれないかしらっ!!」
「あ、やばっ――」

途端、頭部に走る衝撃、ゆっくりと回転する景色、遅れて伝わる地面の感触。

「中国、紅魔館二階廊下にて殉職」
「勝手に殺すな!」
「まったく、タフね」

頭を上げた先にはふんぞり返っている人間一人。

「感謝しなさい、蹴っ飛ばしてなかったら今頃粉々よ」
「ふん、角砂糖を拾った蟻ぐらいには感謝してあげるわ」
「で、どうするの? 戻ってきたからには……」
「勿論、あれを倒すだけよ」
「一時休戦ね」
「ついでに共同戦線も」
「それじゃ一つ」
「やるとしますか」

人間と妖怪が互いの背中を合わせて、刃と拳を向けるは吸血嬢。

「ふ~ん、ようやくやる気になったのね」
「おいたが過ぎますわフランドールお嬢様、そろそろお部屋に戻る時間です」
「あの部屋に戻る事は二度とないわ、何故なら私がこの館の主となるのだから」
「それは尚更聞き捨てなりませんね、お嬢様は必ず守「ほざくな!!」へぼぁっ!!」
「美鈴!?」

と思いきやライダーキックで吹っ飛んだ門番に代わり、いつの間にか吸血嬢と背中合わせです。

「この役立たず……!」
「残るは一人、さぁどうするの?」
「闇の刀匠に作らせた刃渡り70センチを超える純銀製の極大ナイフを味わいなさい!!」
「あらあら、物騒な代物ね」
「チェストォ!!」

吸血鬼を倒す為だけに作られた巨大な刃、それを全力でフランドールに向かって縦一閃に振り下ろす、
そして視界一杯に広がる銀の煌き、傷一つ付けることなく砕け散るその刃。

「嘘……」
「続いて私のターン」
「あっ――」

途端、フランドールが視界から遠ざかる、否、自らが遠ざかる、
吹き飛ばされて、視界が回って、着地地点には二つの山。

「みゅっ!」
「ゔっ!!」

それは奇跡であった、美鈴の巨大ともいえる胸によって着地のダメージが和らいだのだ
五秒後、そこには元気な姿で罵りあう二人の姿が。

「何早々に蹴り飛ばされてるのよこの役立たず!」
「あんただって斬り付けておきながら傷一つ付けれていないじゃない!」
「あら、二人ともまだ喋れる元気があったのね」
『う……』

しかし状況は既に絶望的、目の前にフランドール、背後に壁、
逃げようと思えば逃げれるが、逃げ切れるかといえば微妙である、
もし時を止めて逃げようとしてもその気配を見せた瞬間に一撃を貰うだろう、
フランドールから発せられるカリスマが、それを口に出さずとも知らしめる。

「でも、このまま壊してしまうのも惜しいわね」

そう言ってフランドールは悪魔の微笑みを浮かべた。

「あなた達、ここで私に永遠の忠誠を誓うか、それともこの世から魂までも消滅するか、選びなさい」
「な……私にお嬢様を裏切れと!?」
「随分と寛大ね……どういう事かしら?」
「言ったとおりよ、有能な者を殺すのは惜しい、それだけの事……さあ跪きなさい」
「……いいえ、違うわね」
「違う? 何が?」
「私達がレミリア・スカーレットの従者だから奪い取りたい、そうでしょう?」
「…………」

咲夜の一言にフランドールの微笑が崩れた。

「先程あなたが言った、この館の主となるという目的、それにはお嬢様を超えなければならない、
 その従者である私達が自らあなたに忠誠を誓った、それはとても大きな意味合いを持つわ」
「それでですか、私達を追い詰めるようにしていたのは……いつでも殺せたにもかかわらず」
「………黙れ」
「あぐっ!?」
「咲夜!!」

フランドールの小さな左手が咲夜の首を掴み、壁へと叩きつける、
あまりの一瞬の出来事にもがく間も無く、頭部の強打によって咲夜は意識を落とした。

「中国、これが最後よ……私に仕えるか、それとも死ぬか」
「残念ですが長年思い続けた願いを叶えてくださったお嬢様を裏切る事など、絶対に出来ません」
「そう……さようなら、愚かなる妖怪」

フランドールが右手に持つ杖に紅い魔力が集う、そして形作られるレーヴァテイン、
それを頭の上に振り上げる所まで美鈴は確認すると、ゆっくりと瞳を閉じた。

「…………?」

しかし何時までたってもその刃は振り下ろされない、すでにこの身は滅んだのかと瞼を開けば、
右腕を振り上げたままのフランドールの姿と、そのフランドールの首根っこを掴んだ主の姿が。

「狩人は獲物を狩る瞬間に最も隙が出来る、成る程ね、あなたの言うとおり」
「お嬢様!?」
「レミリア……!」

バックアタック、それは使用者に確実な先制攻撃をもたらすもの、
究極の幻想が生み出したと言われている奇襲の筆頭手段である。

「食らえ! 必殺ローキック!!」
「ひぐっ!?」
「今よ美鈴! 咲夜を連れて図書館まで逃げるわよ! もう一度言うけど図書館に!逃げるのよ!」
「は、はいお嬢様! 図書館にですね!」
「ま……待ち……おうういうあうあいうあああ……」

太股をスパーンと蹴られるとそれはもう凄い痛い。


 ―――――


「で、時間はどのぐらい稼げそう?」
「あの手応えだと十分は悶え苦しむはずよ、そっちの方はどう?」
「既に完成してるわ、吸血鬼捕獲生命体、しょく~しゅ君七号」

無事に図書館に逃げ込んだ一同を迎えたのは、
ご存知の通り紫もやしと、その背後で不気味に蠢く謎の触手の塊。

「……七号? 一号から六号は?」
「気にしないで頂戴」
「やけに完成が早いのは気のせい?」
「仕様よ」
「今までに朝起きるとちぎれた触手みたいなのが転がってたりしてたんだけど」
「不思議な事もあるものね」
「言え、吸血鬼を捕獲する程度のものなら五分で作れると言った理由と根拠を言え!」
「うっ! 持病の喘息が!」

本当に咳き込んでるのか、それとも演技なのかがわからないのがパチュリーである。

「くぬ……本当に息の根を止めてやろうかしら」
「息の根といえば、お嬢様」
「何よ?」
「咲夜が息してません」
「は?」

美鈴に膝枕をされた状態でまるで眠っているように見える咲夜、でも息してません。

「それってつまり……死んでるってこと?」
「フランドールお嬢様の手痛い一撃を食らってましたから……人間は脆いですし」
「まずい、まずいわ! 咲夜がいないと朝起きれないし服着替えれないし紅茶も飲めないじゃない!」
「お嬢様が咲夜を追い出さない理由がよくわかりましたよ……」
「デメリットよりメリットのほうが上だったんだもの!」

何だかんだ言って随分と依存していたんです。

「落ち着いてレミィ、まだ大丈夫よ」
「パチェ!!」
「息が止まった人間を蘇生する方法が一つだけあるの」
「方法? どんな!?」
「人工呼吸」

マウス・トゥ・マウス

「まず平らな床に上向きで寝かせて」
「こうね」
「そして太股の上に馬乗りになります」
「よいしょ」
「そしたら上半身を起こし、動かないように右腕でしっかりと身体を抱きしめて、腕も一緒にね」
「こうすればいいの?」
「次に両足を自分の両足で固定」
「こう、こうなのね?」
「いいわ、そしたら自分を真正面から見るように左手で首を固定して」
「これでいいのね」
「そう、後は……」
「(あれ……お嬢……様……?)」

ここで幸いな事が一つある、人工呼吸をせずとも咲夜の意識が戻った事だ、
そして不幸な事も一つある、誰も気づいていない事だ。

「後は隙間が開かないように、互いの口をしっかりと合わせて」
「……あむ」
「(何を……?)」
「そして情熱的に! 貪るように! 口内を嘗め回してしゃぶり尽くすのよ!」
「(ーっ!!)」

図書館に響き渡る情熱的で卑猥な水音、そして吸血鬼の腕の中で必死にもがく人間、
しかし身体能力の差は絶望的なもの、どれだけ力を入れてもそれが解ける事は無い、
彼女はきっと幸福なのだろう、夜の王の深い深いキスを満遍なく受けることが出来たのだから。

「ん、くちゅ……はぁ……これで生き返ったの?」
「今確認するわ、呼吸有り、脈拍正常、結果は大成功」
「でも軽く痙攣してるわよ?」
「ダメージがまだ残っているようね、でももう大丈夫よ」

実際はあまり大丈夫じゃないかもしれない。

「レーダー警報! レーダー警報! フランドール様が図書館に急接近中です!!」
「あら、来たわ」
「いよいよね」

二人の元に突如駆け込んできた小悪魔が来襲者の報を伝える、
悲しい事に彼女の出番はこれっきりだ。

「それじゃ、しょく~しゅ君七号配置について」
「イエスマム」
「そいつ喋れるの!?」

そして蠢く触手な物体が図書館の扉の真正面に浮き上がる、
喋る上に飛べる、それに触手、さて、こんなものを見た吸血嬢はどんな反応をするだろうか、
鼻で笑うか、悲鳴を上げるか、ただ障害物として破壊するのか、
そして豪快な爆発と共に、図書館と紅魔館を隔てる大きな扉が砕け散った。

「レミリアァァァ! ……え、何これ? ひっ……こ、来ないで! 嫌っ! やめて! 嫌ぁぁぁ!!」

怯える少女と触手は黒魔術の王道。


 ―――――


「うう……離しなさいよぉ」
「成る程、普段カリスマを持たない子がカリスマを持つとこうなるのね……」
「あっ、どこ触ってるのよ! ひゃっ!」

羽を触っています、誤解なさらぬよう。

「それじゃ、事前の計画通りにやりましょうか」
「そうね、フランドールを捕獲してカリスマを抽出……こんなに上手くいくとは思わなかったわ」

 ◇◇◇

「色々あるけど、一番手っ取り早いのは倒す事、敗北イコールカリスマの消失よ」
「耳が痛いわね……」
「でもこれは危険よ、カリスマに満ち溢れるという事は、能力も強大になるという事」
「そうね、さっきのフランは完全に自我をコントロールしていた……つまりは破壊する能力も」
「今のフランドールが相手では、私とあなたの二人がかりでも苦戦は必死」
「苦戦ですめばいいけどね」
「そうね、付け加えれば苦戦しながら死なない程度に倒す、それは賢者の石の精製より難しい」
「でもその様子だと何やら策がありそうじゃない?」

パチュリーが本の陰に顔を全て隠している時は、間違いなく含み笑いを浮かべている、
そして含み笑いを浮かべている時は、決まって何か良からぬことを考えている。

「フランドールを元に戻すのなら、与えたカリスマを吸い出せばいい」
「……だからそのカリスマはどうやって吸い出すのよ」
「捕獲して動けない状態にして、後は秘密」
「何でもかんでも秘密にすると暴きたくなるわ……それよりもどうやって捕獲するのよ?」
「それは私に任せなさい、フランドールを捕獲する程度のものなら五分で作れるわ」
「五分? それはまた早いわね」
「伊達にあなたの友人は勤めていないわ」
「それ、褒め言葉?」

 ◇◇◇

「まあ、見事に捕獲できたわけだけど、どうやって抽出するの?」
「これで抽出するのよ」
「随分と小さいわね」
「小さいけど、私の特製だから凄いわよ?」

パチュリーが懐から取り出したのは、直径2cmのほぼ透明といっていい水晶玉だった。

「ここから先はレミィ、あなたにやってもらうわ」
「私が?」
「そうよ、これはあなたじゃないと駄目なのよ」

そう言い、パチュリーはレミリアに水晶玉を手渡した、
まだ何の魔力も感じられないその玉で一体どうするのか。

「まずはその水晶玉を口に含んで」
「口に? ふぉう?」
「そして先程の人工呼吸の要領でフランドールに口付けをして、一気に吸うのよ!」
「ふぇ、まふぁ?」
「私の吸引力ではカリスマを吸いだすのに八日はかかる、でもあなたならものの一分で済むわ」
「あー、ふぁるふぉどね」

確かに病弱なパチュリーの肺活量を考えれば、納得せざるを得ない。

「ど、どこに入り込んでるのよ! いい加減離してよ!!」
「ふふぁん、いふぁあなふぁふぉふぁすふぇるふぁらね」
「あんたはあんたで何言ってるのかさっぱりわからないわ!!」
「いふふぁよ……」
「え? な、何よ? 何をするつもりなのよ!? やめ――んぐっ!」

ぢうううううううううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ…………



こうしてレミリアの憂鬱な一日は終わりを告げた、
あれからさらに数日、咲夜の怪我は大事に至らず今日も元気にメイド長、、
美鈴は美鈴で今日も門の前に元気に立っている、でも本名では呼ばれない、
パチュリーは相変わらず図書館に引きこもって悪巧みをたくらんでいる、
そして肝心のフランドールといえば……。



「すぅ……すぅ……」

もふもふとしたベッドに埋もれて、可愛らしい少女が眠っている、
灯りに照らされる銀の髪、時折ピクピクと動くこうもりの羽、
眠り、それは紅魔館の主であるレミリア・スカーレットの至福の時。

「お姉様……」

そして少女の上に四つん這いで乗っかっているもう一人の少女、
灯りに照らされる金の髪、背中に煌く美しき羽、というかフランドール、
徐々に徐々に自らの顔をレミリアの顔へと近づけ、そして目を閉じる。

「……ふにゅ……?」
「ん~……」
「ひゃっ!!」
「きゃっ!!」

ふと目をあけたらドアップの顔があるとそれはもう驚く。

「フ、フラン!! またなの!?」
「お姉様ぁ! キスミーアゲインぷりぃ~ず!!」
「正気に戻りなさい! 誰かカリスマドリンク持って来てー!!」

どうやらフランドールは例の吸引の一件で禁断の領域に足を踏み入れてしまったようだ。

「さぁお姉様~」
「だ、駄目よ、私達は姉妹なのよ? 決して踏み越えてはならない一線がこの世にはあるのよ!」
「そんなもの壊してしまえばいいじゃない! さあ! さあさあさあ!! ハリーハリーハリー!!」
「んにゅ……なにやら騒がしいですが……何かありましたかお嬢様?」
「あ、咲夜」
「え? 咲夜?」

ふとレミリアの傍のシーツがこんもりと盛り上がり、ひょっこりと顔を出すメイド長、
ぼやけ眼を擦りながら見つめた先には妹に押し倒されている主の姿。

「なんで咲夜がここにいるの?」
「ち、違うのよフラン! これは……」
「お嬢様に熱い夜を捧げるのもメイド長の仕事ですわ」
「そう……私のことは遊びだったのね? ずっと私をもてあそんでいたのね!?」
「だから違うのよ! 毎晩毎晩勝手に入り込んでくるものだから追い出すのにも疲……」
「お嬢様の冷たき肌が私の熱く火照った身体を幾度となく幾度となく」
「勝手に全裸で抱きついてくる癖に何を言うかーーー!!」
「うふ、うふふふ、あはははははははははははは!!」
「フラン! レーヴァテインをしまって! そして落ち着――ー」





「それでまた逃げ込んできたの?」
「狛蝙蝠って募集してないかしら?」
 <本編で出番の無い四季映姫・ヤマザナドゥのお悩み相談コーナー>

『妹や従者がセクハラばかりしてきます』
「それを全て受け止めるのが主の器というものです」
『胸はどうすれば大きくなるのでしょう』
「私に聞かないでください」
『胸が大きすぎて困っています』
「有罪」
『カリスマドリンクの被験体を探しています』
「カリスマというのは生来のものに加え、本人の努力によって手に入れるものです、
 決してそのような形で得てはいけません、廃棄処分しますので今すぐ私に一本残らず送るように」
『大事な渡し舟を盗まれました』
「係留していたロープが緩んでいませんでしたか? 他人を疑うのは良くない事ですよ」
『神社に悪魔が居座って困っています』
「今すぐ追い返すのがあなたに積める善行です」
『一言しか喋らせてもらえませんでした』
「私なんか本職で出番がありませんでした」
『閻魔じゃないあなたが大好きです』
「ラストジャッジメント」

―――――

祝・東方風神録 ~ Mountain of Faith 発売決定
幻想と空想の混ぜ人
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コメント



0.4110簡易評価
8.80名前が無い程度の能力削除
こういう美鈴と咲夜は新鮮かもわからんねwwwwwww
10.100名前が無い程度の能力削除
これは突っ込みきれない…!
とりあえず禁断の道を歩むフランに幸いあれ!
11.100名前が無い程度の能力削除
パーッチュッチュッチュッチュッチュッ!!
12.90名前が無い程度の能力削除
笑い声ヒデェwwwwww
13.80名前が無い程度の能力削除
新鮮で笑えましたw
>ついに辿り着いた宝の間
ちょ、目的が変わってるw
15.100名前が無い程度の能力削除
予想外で笑えました。
タイトルからレミリアの我侭に苦労する咲夜さんの話かと思いきや…GJ!
ラスボス・パチェに幸あれ。
フラン頑張れ!禁断とは美しいものだw
17.100名前が無い程度の能力削除
この後に及んで新境地が拝めるとは思わなかった。久しぶりの新鮮感をありがとう!!
21.80CODEX削除
黒魔術の王道ってよりは、黒歴史の王道って気もしますがねw
しかし狛蝙蝠噴いたwwww
25.100名前が無い程度の能力削除
これはいい紅魔館wwwww
パチュリー自重しろwww
27.100名前が無い程度の能力削除
へたレミリアの極意を見せて貰った気がしました。山田何やってんの山田。主の命を狙う従者達ヒドス。パチェもっとヒドス。紅・ゲバル!?名前で呼んで貰えないネタに呪いって理由付けがあるの新鮮でした。最後に……禁断の領域  ウ  フ  フ

>『一言しか喋らせてもらえませんでした』
ちょ、七号www

大体誤字だと思います。
・当たらまいが→当たるまいが
・私の名前を読んでくれる→私の名前を呼んでくれる
・触手見たいな→触手みたいな
33.無評価幻想と空想の混ぜ人削除
・当たらまいが→当たるまいが
(;´Д`)うわ本当だ、日本語ってよくわからないアルね、ありがとアルね。

ありがとうございます、ゲバルに気づいてくれて本当にありがとうございます。
38.70名前が無い程度の能力削除
すげぇあの映姫様、役変えながら出演してる…!
41.100名前が無い程度の能力削除
とても面白かったです。
42.80ぐい井戸・御簾田削除
フランちゃんの禁断領域突入後の話がみたいぜぜぜぜぜ
48.100Jのひと削除
ちょっとまってくれ、
パチュリーがレミリアと同じ方法でカリスマを抜き取っていたのなら、
パチュリーは寝ているレミリアにあの情熱的な口付けしていたことに、、、

なんとも素敵な桃魔館ですねwww
49.80名前が無い程度の能力削除
パチェ、あんたって娘は……。
52.100削除
こういう紅魔館は好きだなぁ・・・w
強大にて華麗、馬鹿だけど馬鹿
そんなノリが大好きだーっ!
53.無評価名前が無い程度の能力削除
映姫様、人の船を盗んではいかんだろwww
55.100名前が無い程度の能力削除
狛蝙蝠を家に置きたいのですがだめですか?
60.100Zucken削除
パチュリーが倒れたら人工呼吸するのかな?
61.100空気を読めない程度の能力削除
パチェ…あんたって人はw 映姫さま何やってんの?www
81.70名前が無い程度の能力削除
パーッチュッチュッチュッチュッチュッ!!
85.90名前が無い程度の能力削除
これは良い中国と瀟洒だ
88.無評価名前が無い程度の能力削除
なんというゲバルwww