Coolier - 新生・東方創想話

魔理沙幻想曲4

2007/04/03 06:48:46
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『――つまるところ、皆さん今のままでは業が深すぎるのです。
この休みを機会に善行を重ねてはいかがでしょう。
むしろ重ねなさい。
ボランティアとか、真面目に働くとか、脱ニートするとか』
「な・・・何か落ち着かないわね」
「ああ、校長、良い人なんだけどこれがな・・・
ちゃんと聞いてないと後が怖いから居眠りもできないんだぜ」
「・・・ハードね」
「違いない」
体育館。
皆で聞けば怖くないという閻魔校長のお説教も、
今日ばかりは訳が違う。
学期末日の終業式は、生徒にとって学期最後の苦悩だ。
『―――であるからして、
生徒教師諸兄、各自決して犯罪行為に手を染めないように。
人の本を借りて返さないとか、
何時までもツケを払わないまま踏み倒すとか、
お嬢様と一緒に居たいからってお仕事さぼるとか、
式神にばかり仕事をさせて自分は惰眠を貪るとか、
私に出番をくれないとか、
とにかく、夏休み中に問題行為を働いた生徒は、
問答無用で私が地獄行きへと裁くので注意をしてください。
こほん・・・ではそろそろこの辺りで。皆さんよい夏休みを』
心なしか周りが私の方を見てるのは気の所為か?
「きりーつ、れい、ちゃくせーき」
生徒指導の上白沢の令で、やっと一息つく。


第四話[擦り切れた心に住まうハクタクⅠ]


「では最後に、生徒指導の上白沢先生から一言、
夏休みの注意点があるらしいのでどうぞ~」
『えー、生徒指導の上白沢です。
これから夏休み、校長先生の言ってらしたように、
開放的になったからと決して自分から危険な行為に走らないように。
かと言って、する事が無いからと引きこもってしまうのも良くない。
無理の無いように、勉強も遊びも両立して楽しむようにしましょう。
後、それから―――』
「全然一言でまとまってないじゃないかよーっ」
シン、と静まっている中、後ろの方・・・三年の席から、
マイクの声に届くほどでかい抗議の声が聞こえた。
一瞬ザワっとするけど、
その声の元が一人の女子と気づくや、誰も騒がなくなる。
「誰なの・・・あの人?」
「ああ、アリスは知らないか。藤原 妹紅っていう奴で三年。
この学校じゃ有名な不良だぜ」
「そうなの・・・」
「生徒指導の上白沢にいつも食って掛かってるから、
今回もそれなんじゃないか?」
全く、今時不良っていうのも流行らないよな。
私みたいに品行方正で清楚な方が人気出るんだぜ?
『失礼、確かに長くなっていたようだ。
気をつけよう』
「・・・・・・っ」
いつもこの手の野次には取り合わない上白沢だが、
珍しく今日はそれを素直に受ける。
逆に野次を飛ばしていた妹紅はというと、
ばつが悪そうなつまらなそうな表情をする。
「って魔理沙、いつまでも後ろ向いてると怒られるわよ?」
「あー、うん、そうだな」
ど真ん中じゃ目立つもんな。
気をつけないと。

結局それから大して問題も起こる事無く、終業式は終わる。
やっとこれから、夏休みだ。


「あらあら、上白沢先生。おつかれさま」
生徒も帰り、一息ついた所で、
さっきまで姿も現さなかった八雲先生が現れる。
私のロッカーから。
「・・・代役の式に仕事させて何をやっていたんだ貴方は」
「うふふ、ちょっと用事があったのよ。
それよりどう?これから一杯」
用事、というのは仮眠の事だろうか。
この人なら熟睡すらしていそうだが。
「仕事中でも寝て仕事が終わればすぐに寝る八雲先生らしくない。
まぁ、折角のお誘いですからお付き合いしましょう」
「そうそう、そうこなくちゃ。PTA会長さんも一緒なのよ~」
その言葉に少しだけ後悔する。
「う・・・あの人か」
「楽しくなりそうだわ。それじゃあ早速レッツゴーっ」
「ちょっ、まだ私は着替えがっ
ああっ、す、スカートをひっぱるなっ、まてっ、まてってばっ」
脱げるっ、スカート脱げるからっ


「はーっ、久しぶりに門の前から離れられたわ。
たまには外に出て買い物とかもしないと~
あっ、咲夜さんやお嬢様方にもお土産買わないとね~
何が良いかしら~♪」
どんっ
るんるん気分でお買い物♪しようと出歩いていたら、
何か人にぶつかってしまいました。
「あっ、ごめんなさいー」
でも私は怒りませんよ?上機嫌ですし。
「・・・・・・妖怪か、なら倒しても退治だからいいよな」
「え・・・?あれ・・・?」
何か、すごく怖い目で見られてますよ?
それに・・・
ボゥゥゥゥゥゥッ
何かこの人・・・燃えてますよ・・・?
「私は今機嫌が悪いんだ。運が無かったな妖怪」
「や、いや、素直に謝ったのにそれはないんじゃないかなーって。
それにほら、ここって人里ですし?」
「謝り方が悪い、
謝ってる癖に笑顔なのが悪い、
脇役の癖に出番があるのが悪いっ!!」
「ひっ、何ですかそれ言いがかりじゃないですかっ
うわ、やめっ・・・
や、やっと出番できたと思ったのにこんな扱いなのかぁぁぁぁぁっ」
ドゴォンッ
「手ごたえ全く無・・・」

コンティニューはないんですか?
え?無い・・・?



「・・・・・・」
人里の中にあってすら忘れられている寺子屋の中。
椅子に座り、ただ一人そこに居た。
今日もあいつは、来ない。


「はぁ・・・はぁ・・・
何なんだここは、さっきから変なのばかり襲ってくるぞ」
慣れない竹林を一人歩く。歩きにくい所為で息は荒れている。
既に全身はボロボロ。
私はただ次に暮らす場所を探し歩いていただけなのに、
この竹林にきてからというもの、物騒な連中に襲われてばかりいる。
まぁ、あの薬の所為で、殺されても死なないし、
もとより妖怪如きに殺されるほど柔じゃないから、
面倒では有るけれど死ぬことは無い。
それが救いか不幸かは、まぁ死んでから考えればいいじゃぁないか。
「止まれっ」
突然聞こえる言葉に思考は止まり、
びくん、と、足も止まる。
「こんな夜更けにこんな所で何をやっている。妖怪か?」
「一体何時の間にそんなところに」
見ると、高い木の枝の上に頭に角を生やしたような、
そんな影が見える。
暗くてそこまでしか見えないが、とりあえず話している事、
人型をして居る事から、
本能だけで動いてくる相手じゃないらしいのは解る。
全く、何時の間に近づかれていたの解らない。
ただ見回してやっと、声の主がそこにいる事にやっと気づいた。
「ちっ・・・お前があの妖怪共の親分かっ」
そして、気づいたならば、
その影が私に害をなす――
妖怪という存在――ならば、取る行動は一つ
「妖怪共・・・?まてっ、お前、人間なのか?
人間が何故このような時間に――」
何か言ってきているが、そんなものには耳を貸さない。
どんな力を持っているかわからない相手なんだから、
下手に耳を貸してしまえば、妖術にかけられてしまうかもしれない。
「燃えてしまえぇぇぇぇっ」
ボゥゥゥゥゥゥッ
両肩から背中にかけて、激しい炎が噴出し、
それはすぐに一羽の鳥の姿へと変貌する。
「くっ、何だこの能力は?不死鳥だと・・・」
この炎を見た者は皆そう言う。
そして、お前も妖怪なのか、と驚いて、その表情のまま燃え尽きる。
私を食い殺そうとした妖怪も、
私を人としてみようとしなかったあの人間達も、
皆みんな、この炎で―――
「火の鳥-鳳翼天・・・ぅ」
その技を出そうとした直後の事だった。
急に視界がぐらつき、段々と目の前が白く、黒くなっていき、
そのまま―――

どさっ
「なっ!?」
自分と対峙していた相手が、急に倒れた。
それには流石に面食らい、どうしたものかと思ったが
「・・・意識は・・・ないようだな」
恐る恐る近寄り、ぺちぺちと頬を叩くも、反応が無い。
ただ近くで見て初めて、その顔の幼さに気づく。
「まだ子供ではないか・・・何故このような」
それにしてもあの力は凄まじいものがある。
先ほどの言葉とあわせて考えると、
私と出会うまでにこの子は幾たびか、妖怪を蹴散らしていたのだろうか?
見覚えの無い子なので、
もしかしたら幻想郷の外の者なのかもしれない。
襲い掛かったのは私を狙っての事ではなく、
単に私を妖怪と勘違いしたからなのだろう。
だとしたらこのまま放って置くのは忍びない。
それこそ本物の妖怪に襲われかねないからだ。
「ふむ・・・」
どうしたものかと思案したが、どうやら人間のようだし、と、
自宅に連れ帰る事にした。

(何故か続く)
初めましての方初めまして、小悪亭・斎田という者です。以後よろしゅう。
読んでくださってありがとうございました。

どんな感じに続き書いたものかと思って書いていったらこんな風になりました。
夏だったんですね、自分でも書いていて気づきました。
後半シリアスです。何故か。
慧音さん出そうとして気が付いたらシリアスになってました。
はじめはこんなんじゃなかったのに(´・ω・`)

なんとなく全体でテキスト20枚分超えてて、
流石にこりゃ長すぎるだろと思ったので半分に分けました。
残り半分は推敲中です。
閻魔様に出番与えないと地獄に落ちるそうなので与えてみましたヽ(`□´)ノ

・・・・・・忘れてください。
小悪亭・斎田
http://www.geocities.jp/b3hwexeq/mein0.html
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コメント



0.280簡易評価
1.70時空や空間を翔る程度の能力削除
む・・・・・無念です・・・・・・
ちゅうご・・・・もとい
美鈴・・・・・・・・・(カナシス・・・・・
5.無評価名前が無い程度の能力削除
いつもかわいらしい登場人物にほのぼのさせてもらってます。
少し気になったことを。
>脱ニート
とあるのですが、学校に通っている時点で
Education(NEETを表す1つ目のE)が満たされているので
生徒達はそもそもニートではないかと。
次回も楽しみにしてます。
6.無評価小悪亭・斎田削除
脱ニー~>
Σ(´Д`)
そ、そーだったのかーっ
こ、これは訂正したほうがいいんでしょうかね・・・?
いやしないほうがいいのか・・・?判断に困りますね。
しばし考えてみます。
と、とにかく感想ありがとうございます。
美鈴さんは・・・まぁ、いつか報われますよ。他の作者様の作品で。うん。