Coolier - 新生・東方創想話

紅魔家潰れました

2007/02/02 00:37:21
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※本作品は作品集その31、「レンタルはじめました」の続編になるとは思うのですが
 そういうことを考えて書くことはほとんど無いのであらかじめ読まなくても楽しめます。





「ああ……なんて事……」

レミリアは呆然と見つめていた、紅魔館から家具が運び出されていく様を、
パチュリーの蔵書も、妹であるフランドールですらも。

「お姉様~……」
「フランドール……」

封印文字が描かれたテープでぐるぐる巻きにされたフランドールが、配達のお兄さんに運ばれていく、
ドナドナの子牛ばりに悲しげな目で姉を見つめる妹、しかしレミリアはうつろな目で応えるしかなかった。

「もってかないでぇ……」
「パチェ……」

レミリアの隣では同じくうつろな目をしたパチュリーが持ってかないで、持ってかないでと呟いている、
だがその声は届かない、グリモワールも、日記も、お料理のレシピ本も容赦なく持っていかれた。

「お嬢様、これで全ての負債が無くなりました、それはもう綺麗さっぱりと」
「咲夜……どうして? どうしてなの?」
「限界だったのです、今、全てを投げ出して負債を消し去ればまだ間に合う、そう判断しました」
「紅魔館も、書斎も、フランですら売らなければならなかったの? そこまで私達は追い込まれていたの?」
「……はい」

咲夜にしがみ付きながら涙目で語りかけるレミリア、返ってくるのは頷きばかり。

「お嬢様、まだ我々には借金無きこの身が残っております、必ずやスカーレット家を再興しましょう」

胸の中で泣いているレミリアをぎゅっと抱きしめて、咲夜はさらなる忠誠を誓う、
いつの日かこの紅魔館に舞い戻ると心に決めて、そして一行はこの地を去った。

「待ってくださーい! お嬢様ー! 咲夜さーん! 私を置いてかないでくださいよー!!」

そして美鈴は最後まで美鈴だった。



破産して住む所が無くなった紅魔館一行、しかしそこはさっきゅん、新たな住居は確保済みである、
全員を出迎えたのは冷暖房が隅々まで完備されたメタリックな空間でした。

「……咲夜、ここは?」
「かつてどこかの大学教授が住み着いていたという遺跡ですわ」
「この変なのは?」
「用途不明な装置です、下手に触ると発進するそうです」
「発進!?」

ちなみに住所は博霊神社の隣である、引越し蕎麦も配達済みだ。



「はしゃいでるお嬢様は放っておいて、美鈴、あなたは来週の頭から永遠亭にレンタルよ」
「え、永遠亭ですか? 確かお嬢様が争っていた相手じゃ……」
「今はお客様よ」

紅魔館の赤字の原因、それは永遠亭が行った催し物に対抗して資産を使い果たした事にある、
そういう意味では永遠亭は憎むべき存在であり、向こうからすればはた迷惑な話なのだ。

「仕事に失敗したら、給料は無いと思いなさい」
「ひぇ」

美鈴の新たな仕事の始まりである。





 第三話 永遠亭ぴょんぴょこ合戦


月曜日の朝、美鈴は早速永遠亭へと向かった、人里を越え、その先にある大竹林の中を進む、
特に誰にも絡まれることなく進んでいたはずの彼女の前に早速一つの障害が立ちはだかった。

「迷った……」

右を見る、竹やぶ。
左を見る、竹やぶ。
後ろも上も前もどこもかしこも竹やぶ。

「ど、どうしよう……このままじゃ抜け出せないまま飢え死にしちゃう……」

脳裏に白骨死体化した自分の姿がよぎる、ご飯を食べられなければ妖怪といえども飢え死にだ。

「ヘルプミーーーー!!」
「あ、美鈴さんお迎えにあがりましたうさ」
「ジャストタイミングッ!?」

半無き状態の美鈴を出迎えにがさっと姿を現したのは、一匹のかわいい兎だった。

「ささっ、永遠亭はこちらですうさー」
「ふぇぇ~、助かります~」

案内されてついてゆくとやがて竹林の切れ間から大きな屋敷が見えてくる、
ぴょんぴょんと跳ねる兎に後を追い、やがて到着した巨大な門。

「到着しました、ささっ、中へどうぞどうぞうさ」
「あ、どうも、丁寧にありがとうございます」

既に大きく開かれた門をくぐり、その敷地へと立ち入る、
まだ見ぬ未知の領域に立ち入った彼女を出迎えたのは、大きな歓声と大量の兎達であった。

「紅美鈴様が来られたうさぉぉぉぉぉ!!」
「救世主様ぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「メシア!! メシア!!」
「中国ーーー!!」
「私達を助けてうさーーー!!」

美鈴は逃げ出した

しかし、回り込まれてしまった!

「ど、どこに行かれるのですか美鈴さん!」
「私のようなしがない門番にどうやってあれほどの期待に答えればいいんですかー!!」
「せめてお話だけでも! 私達一億二千七百万羽の兎達の危機なのですうさ!!」
「無駄に多っ!!」

結局、周りを取り囲む数百羽の兎達のうるうる光線には敵わずに客間へと通された、
ひょこひょこと兎が一生懸命に運んできたお茶をすすり、覚悟を決めて耳を傾ける。

「美鈴さんに藤原妹紅を追い返して欲しいのですうさ」
「無理です」

即答だった。

「そんな事言わずになんとかなんとかなんとかうさぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「わっ! この兎無駄に熱血!」
「お願いしますうさ美鈴さん!」
「美鈴さん助けてうさー!!」
「中国ー!!」
「誰よさっきから中国と呼んでるのはー!!」

もうこれでもかというくらい美鈴の全身にしがみ付く兎達、
しかし所詮兎は兎、鍛え抜かれた肉体を持つ美鈴には引き摺られていくばかり。

「待ってください美鈴さーん!」
「無理です無理です! 相手はお嬢様達や他の方と一晩で四回も戦うような猛者ですよ!?」
「でも我々にはあなたしか頼れる方がいないんです!!」
「うっ……」

あなたしか頼れない、その言葉は普段頼られない美鈴にとっては非常に甘美な言葉である。

「うう……仕方ないですね、でもあまり期待しないでくださいよ?」
「あ、ありがとうございますうさ!!」

そして再度客間へと戻り、机の向かいの兎達から詳しい説明が始まった。

「事の発端は少し前になりますうさ」
「その日は姫がいつものように、竹林に住む人間に決闘状を送りつけたんですうさ」
「でも姫達も相手の人間も色々あって結局は後日、つまり今日戦うことにしたんですうさ」
「そしてこの前、姫が我々宛に書き残した手紙がこれですうさ」
「手紙?」

おずおずと兎が一羽近寄ってきて手紙を美鈴に手渡した、
昨日、姫御一行が外出する前に書き残しておいた物らしい。

『これから皆で五日ほど温泉旅行に行ってきます』

「……達筆ですね」
「もっと他に突っ込む所があるでしょう! 忘れさられた人間の事とか!!」
「私なんか毎日忘れさられてましたよ!!」
「ああっ! 泣かないでうさー!!」

最近の魔理沙はスルーも覚えたらしい。

「無視しないでください戦ってください一撃で葬っていただいても結構ですから……」
「やばい! 美鈴さんが失意の沼に沈んでいくうさー!」
「引き上げろ! 引き上げろー!!」

わーっせ、わーっせ、よいせ、よいせ。

「それでも美鈴抜けません!」
「まじめにやりゃーかー!」
「しゅましぇーん!」

すぽんっ。

「そ、それで、妹紅が来るのは何時?」
「今日うさ」
「ぶふっ! ひ、姫達が帰ってくるのは?
「多分明日うさ」
「そいつぁ……やばいぜ!」
「その為にどうにかして助けていただきたく……」
「援軍は無し、保有する戦力は実質私のみ……厳しいわね」
「どうか……」
「わかったわ、何とか頑張ってみる」
「お、お願いしますうさ!!」

そして美鈴の提案の下、兎達の対妹紅侵略阻止作戦は昼を徹して練り上げられた、
輝夜も、永琳も、鈴仙どころかてゐすらもいない中で戦わなければならない強敵、
しかし美鈴と兎達の目に絶望の色は無かった、それはそんな彼女達の戦いを描いた物語である。

「トラップの方はどう?」
「無事に仕掛け終わりましたうさ!」
「そう……あとは、妹紅が来るのを待つだけね」
「大変です! 妹紅が来襲しましたうさ!!」
「ああっ! まだ心の準備が!!」

それでも妹紅は永遠亭へと迫り来る、もんぺに両手を突っ込んで、のしりのしりと一歩ずつ。

「妹紅、玄関前に到達まであと僅かうさ!」
「これ以上へこたれてはいられないわね……総員! 有事に備えてトラップポイント周辺に待機!」
「イエスウサー!!」
「妹紅から永遠亭を守り抜くのよ!」
「ウサーイエスウサー!!」





「っし! 今日こそぎゃふんといわせてやるぞ輝夜ー!」
「(美鈴さん、今時ぎゃふんは無しですよねぎゃふんは)」
「(そうね、今時ぎゃふんは無しよね)」
「へっくしっ! んー、風邪引いたかな」
『(またベタベタな……)』

兎達はいつものように隠れ、美鈴も共に気を操る程度の能力で気配を消して妹紅を見張る、
すでに対象は第一防衛点に差し迫っていた、戦いの始まりである。

「(発動せよ! ファーストトラップ!!)」
「……ん?」

ファーストトラップ:輝夜の旅行云々の手紙が張られた看板を門前に設置、罠かどうかは疑問

「(お願い! それを読んで帰って!)」
「何だ? 温泉旅行……? と言う事はいないのか……」
「(イエス! イエスイエス!)」
「……テダマサレルカー!!」
「(あああああっ!!)」

ファーストトラップ、全焼。

「どうせ私がのこのこと帰ろうとしてるところにまた不意打ちする気なんだろう! ばればれだ!」
「(またって……)」
「ヴォルケェェーーノ!!」
「(ああああ! 門がぁぁぁ!!)」

燃えていく正門、門番である美鈴にとっては辛い光景だ。

「出てこおおおおい! 輝夜ぁぁぁ!!」
「(だからいないのに……)」

門を燃やしつくし、玄関を蹴り飛ばして亭内へと進入するもこたん、
だが彼女は知らない、永遠亭の内部はすでにワナワナ天国だという事に。

セカンドトラップ:とりもち

「とりもち塗れになった妹紅はまともに動けずにやる気を無くすはず!」
「報告です! 永遠亭の入り口が全焼しましたうさ!!」
「ああっ、逆効果!!」

サードトラップ:突如流れ落ちる水

「火よ! 火を使えないようにすれば妹紅とてただの人間!」
「報告です! 西棟全焼!!」
「くっ、火力を見誤ったか……!」

フォーストラップ:コーホー

「コーホー……コーホー……」
「誰だよ」
「コーホー……カエルノダモコー……」
「……その巨乳、永琳か?」
「コーホー……アディオス!」
「あっ! こら!」

フィフストラップ:神風兎

「や、やさしく食べてくださいうさ!」
「…………」
「毒なんか入ってませんうさよ」
「…………」
「あっ、どこへいくんですうさー!! うっ、毒が全身に回……」

この後スタッフが美味しく頂きました。

「どうするんですかー! このままじゃ妹紅が暴れだしてしまいますうさ!」
「う、うーん、魔理沙ならとりもちとか水で帰るんだけどなぁ」
「あああああやばいうさやばいうさ、数百年の伝統を誇るこの永遠亭がついに全焼崩壊うさー!」
「こうなれば仕方ない……ザ・ファイナルトラップ、承認します!」
「ザ・ファイナルトラップ!?」

かしゃり、と響く謎の音、美鈴の胸元から取り出されるは透明な小箱、
中には金色の物体が所狭しと詰められており、兎達の注目と期待がさらに押し詰められる。

「……これぞ究極のトラップ!」
「(ごくり)」
「画鋲!」

テレレテッテレー!!

「さて、退避するうさ」
「火事にまきこまれたらかなわんうさ」
「美鈴さんお疲れ様うさ」
「ま、待ってー! これ一人で仕掛けるの大変だから皆手伝ってー!!」

しかし兎の逃げ足は承知の通り、もう誰もいませんでした。

「ぐすっ、いいもん、一人で頑張るもん……」

それでも美鈴は諦めない、門番として紅魔館を守り続けてきた誇りが形を変えて彼女を永遠亭に押し留める。

「画鋲の恐ろしさ! とくと味あわせてやるんだからー!」

そして彼女は駆け出した、向かう先は永遠亭の最奥地、輝夜の部屋、
廊下を駆け、庭を飛び越え、障子を蹴り飛ばし、壁を突き破って一直線に突き進む。

「輝夜の姿を欠片も確認していない妹紅なら、必ずそこに向かうはず!!」
「駄目ですよ、そのまま向かったら姫様の部屋どころか竹林一直線うさ」
「そうですそうです、左に40度ほど進路を変更してくださいうさ」
「えっ……皆、逃げたんじゃ……」

いつの間にか、ぴょんこぴょんこと兎達。

「私達だって、せめてもう一矢報いたいうさ!」
「それに、美鈴さんだけ残して逃げるなんて……それじゃ永遠亭の兎の名折れうさ!」
「でも元から折れるほど無いうさ!」
「それ言ってどうするかー!」
「しゅましぇーん!!」

後ろからついてきていた兎達は数を増し、どんどんと美鈴に追いつき、
正面から見ればまるで雪崩に追われているようでもある。

「その壁が最後の一枚うさーっ!」
「はあああああああっ!! ダッシュ破山砲!!」
「おぶぁっ!!」
「あそこうさ! あの障子の先が姫様の部屋うさっ!」
「おヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁヴぁ……」

最後の壁を突き破ってついに見えた輝夜の部屋、だが必死な彼女達は気づかない、
足元の崩壊した壁の下にもんぺが見えることなど、妹紅の悲鳴が壁の破壊音で聞こえなかった事など、
そして美鈴と兎達の踏みつけによってさらに追い討ちをかけていたことなど、気づくはずも無い。

「はぁはぁ……よし、ここが輝夜の部屋ね」

豪華な障子を開けて露わになる輝夜の私室、畳のいい臭いがふっと鼻を駆け抜ける、
一見どこにでもある和室に見えて、随所随所に凝りが見られる豪華な作りの部屋だ。

「まずは畳を引っぺがして! 床板もよ!」
「いえすうさー!!」
「それから障子を自動開閉式に変更! 中からは開けられないように!!」
「了解うさー!!」

しかし五分で見る陰もなくなるとは、輝夜にとってはなんとも酷な話である。

「後は画鋲を敷き詰めるだけよ!」
「うさうさうさー!!」
「んっ!!」
「どうしたの?」
「妹紅の声が……近いですうさ!」
「くっ、皆急いで!」
「了解うさー!!」

瓦礫の下からは妹紅が這い出んと必死に瓦礫を押しのけている、その執念、輝夜を倒す為だけに。

「画鋲を敷き詰め終わった兎達は穴から脱出!」
「了解うさ!!」

美鈴の的確な指示によって金色の絨毯が華麗に出来上がる、退路を断たぬよう見事に並べられた画鋲の床を、
名残惜しむように兎達が振り返りながら脱出してゆく。

「さあ! 私達も逃げるわよ!」
「はいうさ!!」

そして脱出口の入り口に美鈴の手によって最後の画鋲が敷き詰められ、ザ・ファイナルトラップは完成した。

「リザレクショォォォン!!」

美鈴達が脱出したと同時に立ち上がった妹紅、ほとんど蘇生というより根性である。

「輝夜ぁぁぁ……絶対に許さないわよ……!!」

そして妹紅は駆け出した、右手に熱い炎を纏い、憎き輝夜の顔に叩き込まんと、
目の前ではすっと障子が開き、何も見えない真っ暗な部屋が侵入者を招き入れる、
妹紅の顔にはようやく殺しあえるんだ、と笑みが浮かび、その心臓の鼓動が加速してゆく。

「ふっ、随分と用意がいいじゃない! 覚悟しろ! 輝夜ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」















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       ∞ カグヤァァァァァァァァァァ!!                                  <|
   二三┏川#^o^)┛                                         <|
  =二三  ┛┓                                       <|
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ティウンティウンティウン……リザレクショティウンティウンティウン……リザレティウンティウンティウン……リティウンティウンティウン……ティウンティウンティウン……










「どう、まだ動いてる?」
「んーと……ぴくりとも動きませんうさ!!」
「勝った! 永遠亭編、完!」





 第四話 いい日旅立ち


妹紅は二度と生きかえれなかった、生と死の中間の生命体となり、永遠にティウンティウンティウンをし続けるのだ、
そして死にたいと思っても死ねないので――兎達はついに哀れんで川に流してあげたそうな。

                                  ―もこ太郎、冒頭より抜粋。


「それでは約束の報酬になりますが……」
「は、はい!」
「この姫様の宝物庫から適当に一つ持って帰ってくださいうさ!」
「はいっ!?」

鋼鉄で作られた扉が、ガガガガガガと重厚な音を立てて開いていく、
中には蒐集家の輝夜が色んな所から集めた宝物が前にも上にも左右にも。

「お好きなものをどうぞうさ!」
「はあ……いいんですか?」
「どうせ姫様は宝物が無くなっても気づかないうさ、集めるだけうさ」
「では遠慮なく~」

右を見ても左を見ても煌びやかな宝物ばかり、適当に手に取った物を捨て値で売り払っても、
豪華な作りの家の一つや二つは容易く買えてしまえそうな物ばかりである。

「どれに……しようかなぁ」

美鈴には宝物に対する鑑定眼はあまり無かった、だがこの状況では何を選んでも外れは無い、故に悩む。

「うーんと、この辺にし……こ、これわぁっ!!」

その時、美鈴の目が一つの宝物に止まった、本体は赤を基調に上部に彩られた金色、
さらにはそれを包むように幾多の色の装飾品が輝いている。

「すいません、このフランドール・スカーレットをください」
「正気ですか!?」

どうやら、外れらしい。





「美鈴さんありがとーう!!」
「帰り道気をつけてくださいうさー!!」
「ビバ中国!!」
「だから誰が中国よー!!」

去っていく美鈴を竹林と外の境目から兎達が盛大に見送る、
結局最後まで中国呼ばわりしていた兎は見つからなかったが、それもよしと帰路を急ぐ。

「だけどなぁ……妹様ー?」
「…………」

体育座りの状態のままカチンコチンに固まっているフランドール、
撫でても突っついても反応が無い、仕方ないので両腕で抱えてお持ち帰りである。

「日が暮れてて良かったですね~」
「…………」

既に時間は夕方と夜の境、吸血鬼をお持ち帰りするには安心だ、
やがて人里の近くを通り、魔法の森を抜けて、見えてきたのが博麗神社。

「ふう~、やっと着いた」

前述の通り、新居は博麗神社のお隣さんである。

「あら、珍しいのが居るわね」
「珍しいって、少し前からお隣さんじゃないですかぁ~」
「って、その腕に抱えてるのは……」
「あ、妹様ですよ」
「粗大ゴミは無縁塚よ?」
「唐突に失礼な事をっ!!」

まあ、これ以上無いほど丸まって、羽で自らの身体を縛り付けてるのではゴミに見えるかもしれない。

「ご、ゴミじゃないもん……」
「妹様!?」
「ゴミなんかじゃないもん!!」

フランドール、再起動。

「ゴミなんかじゃないんだもん……いらない子じゃないんだもん……」
「そうですよ! 妹様は誇りある吸血鬼です! スカーレット家の一員です!」
「そ、そうだよね! 私要らない子じゃないよね!」
「勿論です!」
「ぶっちゃけいらないんじゃない?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
「霊夢ー!!」
「どうせ、地下室に引き篭もってて出てこないんだし」
「ひっく、ひっく……最近は出てるもん……ご飯の時とか、魔理沙の時とか」

他に、オークションに出されて輝夜に競り落とされた時とかも。

「それならもっと外に出なさい、紅魔館にはもう帰れないんだし、丁度いい頃合でしょ?」
「霊夢……」
「霊夢がまともな事を言ってるわ……これは天変地異が起きるわね」
「封印されたい?」
「ごめんなさい」

ぱっとお札を取り出した霊夢と慣れた動作で土下座をする美鈴、
隣ではフランドールが空を見上げて目をごしごしと擦り、強い瞳で月を見上げた。

「美鈴!」
「は、はい!」
「私頑張るから! だからまた皆で一緒に紅魔館にもどろっ!」
「……妹様……私、紅美鈴、地獄のそこまで付いて行きます!!」
「うん! 一緒に頑張ろ!」
「ほら、結論が出たならとっとと帰った帰った、神社はもう店じまいよ」
「ありがとう霊夢ー!」
「はいはい」

巫女に見送られながら帰り道を歩む二人、しかし不幸とは続く物だ、例えばぐらぐらと揺れる地面とか。

「……あら? 地震?」
「わわっ、段々と揺れが激しく!!」
「何が起きてるのー!?」

やがて彼女らは見ることになる、隆起する地面を、月明かりに照らされる銀色の巨大な物体を。

「ななななな何ですかあれっ!!」
「またレミリア達の仕業ね」
「わぁ! すごーい!!」

驚く美鈴、呆れる霊夢、喜ぶフランドール、三者三様の行動を見せる弾娘達、
そしてどこからともなく響いてくる聞いた事のある声。

『咲夜ー!! スイッチを押したら船が! 船がー!!』
『ああもうですからスイッチなどは押さないでくださいとあれほど!』
『あうぅ……ごめん……なさい、ごめんなさい……』
『その顔は反則ですお嬢様!!』

「やっぱりレミリア達の仕業ね」
「そうみたい……ですね」
「お姉様達だけずるーい!」

揺れがおさまってゆくと共に隆起した地面は剥がれ落ちてゆき、巨大な銀色の船体が露わになる、
こんな物が神社の隣に埋まっていたのだから幻想郷恐るべしである。

『どうしようどうしよう咲夜ー!』
『とにかく停止スイッチを探しましょう、必ずどこかにあるはずです』
『いえ、その必要は無いわ』
『パチェ!?』
『どうやらこの船は可能性空間移動船と言って、望む物がある場所に移動できる船みたいなの』
『それは、つまり……?』
『ここの検索ワードを打ち込むところに、金、といれたらどうなるかしら?』

「そんなに便利な船だったの……お賽銭の沢山ある場所に行ってみたいわね」
「そんな世界あるはずが……」
「可能性は無限大よ!」
「……というか、それよりも凄ーく嫌な予感がするんですが」
「美鈴、顔真っ青だよー?」

段々と船の周りを不思議な光が包み込み始めた、発進間近である。

『さあ! スカーレット家の再興をかけて金のある世界へ突撃よ!』
『アテンションプリーズ、アテンションプリーズ、これより当機は金の世界へ発進するわよ』
『あの、お嬢様、パチュリー様、何か忘れている気がしてならないのですが……?』
『忘れてるって、そもそも忘れるような物なんて全部持ってかれちゃったじゃない』
『そうよ、残ったものは私とレミィとあなただけ……はっ! 小悪魔を忘れていたわ!』
『ああ、小悪魔ならただいま掃除中でした、何も問題ありませんね、心置きなく参りましょう』

「ちょっとおおおおおおおおおおおおおお!! お嬢様! 咲夜さん! パチュリー様ぁぁぁぁぁ!!」
「いらない子なんだ……わたしはやっぱりいらない子なんだ……」

ああ、やがて光は船を包み込みその姿を消した、門番は地面に崩れ落ち、吸血鬼の妹はよりかたくなり、
博麗の巫女は呆れた顔を浮かべながらあくびを一つ、無情で燦々たる夜の出来事であった。





 第四.五話 温泉の報い


「因幡達ー、姫が帰ってきたわよ~」
『お帰りなさいませうさー!!』

夜が明け、兎達が出迎える永遠亭に主とその従者達の姿があった、
皆、温泉がよっぽど良かったのか肌がつやつやであり、永琳にいたっては十年は若返ったかもしれない。

「はあ~、今回の旅行は大正解だったわね~」
「そうですね、魔理沙に盗まれた物もほとんど取り返せましたし」
「今度から月に一度はお邪魔したいですよね」

霧雨魔法店、旅館もやってません。

「でもやっぱり自分の部屋が一番よね、ビバマイルーム~」

やがて輝夜は一人とことこと自室に向かった、ふとすれ違った兎が何かに気づいた顔をしたが、
あまりにも視点の高さが違いすぎて輝夜が気づくはずも無く。

「あらっ? 自動開閉なんて気がき……助けてえいりぃぃぃぃぃぃぃぃぃん!!」

ティウンティウンティウン……

「ど、どうしました姫っ……レェイセェェェェェェェン!!」

ティウンティウンティウン……

「師匠ーーー!! 今の叫びごっ……てゐぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

ティウンティウンティウン……

「鈴仙ちゃーん!? どうし………………飛べば、いいんじゃないかな?」

ガシャーンティウンティウンティウン……



教訓:後片付けは大切に。





 ~いつか続く~

『少しおっくせんまんしてきます、ネタがマイナーでごめんなさい』

幻想と空想の混ぜ人
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コメント



0.4770簡易評価
5.無評価名前が無い程度の能力削除
永遠亭全滅!?
紅魔組はどこに行くんだ、早く続きplease!!
6.50名前が無い程度の能力削除
\(^o^)/
11.60名前が無い程度の能力削除
どう見てもこんなロックマンはオワタ\(^o^)/です。
ほんとうにありがとうございました。
12.80名前が無い程度の能力削除
ティウンティウンティウンwwwwwwwww
13.100名前が無い程度の能力削除
酷すぎるw
17.90名前が無い程度の能力削除
創想話が違うものになっとるwwwwwwwwwwww
18.90nanashi削除
>兎達はついに哀れんで川に流
いい話にいい即死判定でした∧
20.100名前が無い程度の能力削除
ちょっと人生オワタの大冒険やってくるwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
21.80名無しの一人削除
もう冒頭からヒドイw

とりあえず妹様を競り落とすには幾ら必要か教えて下さい。
25.70名前が無い程度の能力削除
この日、美鈴と名無し因幡達は幻想郷最強の策士となったんだねw
まさか蓬莱人にこんな弱点があったとはwwww
永遠亭全滅カワイソスwwwww

第三話のパワーが凄すぎたせいで、第四話が普通に感じたのでこの点数。
しかし続きがすげー気になるので次も期待してます。
26.100名前が無い程度の能力削除
なんというティウンティウン…
見た瞬間オワタしてしまった
この美鈴は間違いなく策士
31.100名前が無い程度の能力削除
ちょwwwこれはwwwww
34.無評価名前が無い程度の能力削除
かのワ○リー博士ですらしなかったことを・・・
美鈴ヒドスw
35.70名前が無い程度の能力削除
↓点付け忘れた……orz
39.70削除
ティウンティウンティウン.....画鋲ってレベルじゃないよぉw
40.100名前が無い程度の能力削除
ヒデェ話だ・・・よって続きを要求する!
46.100名前が無い程度の能力削除
ティウンティウンティウン……噴いたwwwwwwwww
47.100名前が無い程度の能力削除
みんな誰も言ってないのでこの萌える落ち込んでいるフランドールは俺が慰めてあげますね。
51.90名前が無い程度の能力削除
ピッピッピッピすいー……っ?!ピッピッピッピ
ティウンティウンティウン……

なんて酷い、なんて凄い永遠亭wwww
ここは100点と言いたいのですが即死繋がりと言うことでファンファーレのあらしでおねがいします!
54.80アティラリ削除
フランはいらない子なんかじゃないよ!
というか美鈴まじ外道w
56.90名前が無い程度の能力削除
というか画鋲であんな鬼畜部屋が作れるのかよwwwwwwww
なんて恐ろしいwww
57.90名前が無い程度の能力削除
なんという蓬莱人生オワタwww
66.80思想の狼削除
ドナ!ドナ!ドーナードーナー! ○女を乗ーせーてーっ!
ドナ!ドナ!ドーナードーナー!! ワゴンは揺ーれーるーっ!!
(毒殺テ○リスト 放送○止カタログから「人身○買(ド○ドナ)」よりw)
68.20名前が無い程度の能力削除
ギャグとしてはイマイチ、ネタはいいかもしれんが。
69.100名前が無い程度の能力削除
まさか画鋲でティウンティウンネタが来るとはwwwwwwwwwwwww
76.100名前が無い程度の能力削除
ぐー!ww
81.70名前が無い程度の能力削除
>最近の魔理沙はスルーも覚えたらしい。
此処は中国では...?

82.無評価幻想と空想の混ぜ人削除
魔理沙が、美鈴を、スルー、です。
84.80計画的通りすがり削除
正直初めて美鈴に恐怖を感じたw
グッドですね、次も期待しています
85.100空欄削除
普通に進んでいったらいきなり即死判定地形だけの場所に
「洋ゲーか?」
いやそこで復活してもまたすぐに死んで
「レゲーか?」
ソレはないと思うよ、だってどう見ても永遠亭の輝夜の部屋だったし
「メガマリか?」
むしろあのトゲトゲの色とか質感とかはむしろMEGAMAN!
「欧米か?」
88.100名前が無い程度の能力削除
元ネタはこれかな
http://stage6.divx.com/members/422947/videos/1092585
92.90名前が無い程度の能力削除
ウールトラマーン ウールトラマーンセブーン
93.90名前が無い程度の能力削除
一億二千七百万羽の兎達
なにこの日本並みの多さ
94.90名前が無い程度の能力削除
ドラマティッッック!
96.50T.A削除
鈴仙は薬飲んでないから死んじゃうんじゃ……
101.80名前が無い程度の能力削除
>魔理沙ならとりもちとか水で帰るんだけどなぁ
それなら別に美鈴いらないじゃん。
109.100名前が無い程度の能力削除
まさしく\(^o^)/
125.80名前が無い程度の能力削除
もっこすもっこす
127.90名前が無い程度の能力削除
腹いてえwww
AA使うんじゃねえwww
128.90名前が無い程度の能力削除
マジ受けたwww
ただ、えーりんのれいせんへの呼び名ってうどんげじゃなかったっけか。
145.90t削除
金って金星じゃ・・・