Coolier - 新生・東方創想話

八雲家のプレゼント

2006/12/26 01:06:30
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「わーい!プレゼントだ!!」

25日の朝6時、橙の嬉しそうな声が響く

いつもなら日の出ぐらいに起きる橙であるが、今日はプレゼントが楽しみで早くおきたようだ
そのために昨日の晩も

「起きてたらサンタさんが来てくれないかもしれないので早めに寝ますね♪」

と言って9時ぐらいには寝てしまったぐらいだ


そして喜ぶ橙を見て微笑むのは、彼女の主――八雲藍である
少し眠いのだが、そんな事は微塵も感じられないしぐさで

「今年もちゃんと来てくれてよかったじゃないか、来年も来てくれるように良い子にするんだよ?」

「は~い♪」




―――――――少し時間を遡ること24日の晩――――――――


あと数分で25日へと日付が変わる
そしてマヨイガの屋根の上に立つ影が二つ

「今年も頑張りましょうか」

楽しげに、しかし家で寝ている橙を起こさないように声を抑えて話すのはスキマ妖怪――八雲紫

「ええ・・・今年も時間との勝負ですね」

同じく声を抑えて話すのは八雲紫の式――八雲藍

彼女達は25日から早朝までの限定で、知り合いにプレゼントを配って回るのだ
知り合いだけとはいえ、人間とはくらべものにならないぐらいの時を生きている彼女達である
一体どれだけのプレゼントを配って回るのか


妖怪は人間と比べられないぐらいの時を生きる故に、月日が経つのが曖昧になる時がある
毎日が平坦なものとなることは、妖怪にとってその存在が薄くなる危険性がある
季節の行事を楽しむことは、平坦な日々にアクセントを入れることに繋がるのだ
だから彼女達妖怪は、人間より季節の行事を積極的に行う事が多い

簡単に言うと「お祭り好き」でもあるのだが


彼女達は種族、居住地、宗教も関係なくプレゼントを配る
喜んでくれるのならばそれが悪魔であっても神社でもプレゼントを置いていく
子供か大人か、人間か妖怪か、そんな事は些細な問題である

もらう資格はただ一つ

『プレゼントを貰って喜んでくれる』


さて、そろそろ25日になり、プレゼントを配ってまわる時間になる

時計などなくとも、星の動きを見れば時間は分かる
なにしろここは幻想郷 星空を遮るような灯りはない


「さぁ、いくわよ!」
「ええ」

そう言った瞬間、一瞬にして姿が消える

大量のプレゼントはスキマに入れてある、今日の日にそなえてスキマにいろいろと蓄えておいたものだ

姿が消えてからわずか数秒、さっそく最初の家の前にたどりつく
幻想郷にはさまざまな文化がはいっており、その全ての家が煙突があるというわけではない
煙突がある家も、その中を通っては彼女達もプレゼントも煤まみれである

ではどうするのか

―パチンッ

八雲紫が指を鳴らすと、家の壁にスキマが開く
そこに文字通り目にも止まらぬ勢いで八雲藍が飛び込む

―パチンッ

もう一度八雲紫が指を鳴らしてスキマが閉じられたときには
すでに八雲藍はスキマから出ており、プレゼントも枕元に置かれている

目にも止まらぬ勢いであるが故に起こす風圧も相応のものであり
部屋中の軽いものは飛ばされ、散らかったかもしれない
ゆっくりしていては姿を見られる可能性があるから仕方ない事である

だが部屋が散らかったとかそんな事は彼女達にとってさしたる問題ではない

時間がないのもあるが、なにより彼女達は妖怪である

『大晦日まで時間はあるわ 頑張って片付けてね(はぁと』


さて、次の家に来たのはいいが少し困った事になった
部屋の主が起きている

とはいえ、やはりこれも彼女達には関係の無いことで、

―パチンッ パチンッ

妖怪でも死角の高速で動くものを判別することはできない
大方サンタの正体を知りたくて夜更かししていたのだろうが、1000年早い


―――――少女プレゼント配布中―――――


そんなこんなで神社から竹やぶの中、洋館から雪の中までさまざまな場所へとプレゼントを配って回った

朝の5時30分、幻想郷をぐるりと一周しマヨイガへと戻ってきた二人
スキマに入ったプレゼントは橙の分を残すだけとなった

それまでとはうってかわって静かに襖をあけ、そっと枕元にプレゼントを置く

橙を起こさないように、優しい声で

「Merry Christmas」





「さて、今年も無事に配れたようですね」

達成感のある声音で八雲藍が話しかける

「ええ、今年も朝までに全部配り終えたわね」

同じく達成感のある声で八雲紫が答える

「で、私へのプレゼントは?」

少女のような笑みを浮かべながら八雲紫がたずねる

「もう・・・普通は逆じゃないんですか?」

そういいつつも、どこからか取り出したのか手にはプレゼントが
同じくいつのまにか八雲紫の手にもプレゼントが


二人だけのプレゼント交換会


「「Merry Christmas♪」」














「さて、私はそろそろ寝るわね♪あとはよろしく~」

「ええっ、いつも日中寝てるからってそれは・・・!」





「わーい!プレゼントだ!!」
メリークリスマス!


クリスマスの記念に
藍様と紫様の話を書いてみました

少しでも楽しんでいただければ幸いです
AG+
http://agluna00.hp.infoseek.co.jp/
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コメント



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15.80削除
藍さま可愛いよ藍さま!
ゆかりん可愛いよゆかりん!!
17.90CACAO100%削除
ホムペの絵を見ると美味しさが倍増しますね
25.90名前が無い程度の能力削除
あぁ、八雲一家はいいなぁ
26.60おやつ削除
うっとり
27.50凪羅削除
クリスマスの暖かい話はやっぱり癒されていいですね(笑
この日だけはゆかりんも胡散臭さの無い、優しい妖怪なのかもしれませんね。
35.70削除
何人かでいいから、プレゼントへの反応を書いて欲しかったです。その方が、サンタさんの存在感も増すと言うもので。