Coolier - 新生・東方創想話

How many tears

2006/12/24 22:30:12
最終更新
サイズ
7.61KB
ページ数
1
閲覧数
232
評価数
2/23
POINT
900
Rate
7.71
満月に向かって泣く
心が張り裂けそうで叫ぶ

六十年に一度

いつも周りには一面の花が

昼夜問わずに咲き続けていた

そして今、その時がやってきている。

どれだけの涙が流れたのだろうか。その涙が悲しみの海へと変わる。
どれだけ多くの心が切り裂かれたのだろうか。そしてまた新しい苦痛が増えていく。







私は一人、庵で読書をしている。とにかくひとりになりたかった。
「慧音様」
長老が訪ねてきたようだ。私は一人になりたかったが邪険に扱うわけにもいかず、居間にとおした。
「長老、どうかなされたのか?」
「慧音様もお気づきでしょう、あたり一面に咲いた花ですよ」
わたしは少し動揺した。
「それがどうかしたのか」
少し口調が荒くなっている。冷静にならねばいけないのだが。
「いや、慧音様なら何かご存知だと思ったのですが」
私は無言だった。そのことに関して何も語りたくないのだ。
「六十年前も慧音様は何もおっしゃっていなかった」
「…」
「やはり何も語ってはくれないのですね」
「…」
「聞いてはならないことなのですな。それではお暇させていただきます」
「申し訳ない」
私はそう言ってまた読書を始めた。




歴史を知る能力。外の世界の歴史も知ることができる。それは大いなる力となる。だが...




「よう、慧音」
私は一人になりたいと思っている時に限り訪ねてくるものが多くなるのだろうか。
「なんでこんなに花が咲いているんだ?」
この魔法使いもやはりこの話題か。
「なんで私に聞くんだ」
「いや、幻想郷で物知りって言ったらお前だろ、やっぱり」
物知りと慕われるのはうれしいことであることには変わりない。
だが、このことに関しては私は話したくない。
「私にでもわからないことはある。残念だが帰ってくれ」
「ちっ、しょうがないから自分で調べるか」
魔法使いは帰っていった。たぶん魔法を乱射して異変解決を目指すつもりなのだろう。
だが、これは異変ではないのだ。



互いに信じる相容れぬ神。利益のために起こされる争い。



外を見ると、子供たちがはしゃいでいる。
やはり花が一度にこんなにも咲くと気分も高揚するし楽しいのだろう。
今咲いている花たちが何を表しているかなんて知らないのだろう。
知るはずもない。いや幻想郷の人々は知らなくてもいいのだ。
「ん?」
昼間なのに蝙蝠が飛んできた。そして私の庵に入ってきた。
「迷い蝙蝠か、かわいそうに」
だが蝙蝠は手紙を持っていた。私がそれを受け取ると霧になって消えた。
「あの吸血鬼の使いか」
私はその手紙を読んだ。そして外出の準備を始めた。
要は妹の家庭教師をやってほしいようだ。なぜ今なのか気になるところだが。



息子は自爆することで天国にいける。わかっている、そんなはずないと。
国のために戦場に行く息子。誰もが涙して見送った。



紅魔館につくと、メイドに案内されるまま広い館内を歩いていった。それにしても悪趣味な配色だ。
「そういえば、あの銀髪の人間メイドはどうしたのだ?」
主人からの直接の用なら彼女が出てきそうな物だが。
「メイド長ですか?あのひとなら、いま異変だとかいって外に飛び出していきました」
そうか彼女は人間だからわからないのだ。
「六十年に一度必ずあるものだと、妖怪の間では常識ですけどね」
それにしてもあの人間メイドはよくこの館にいるなと思う。
出会うメイドは全て妖怪ではないか。まぁ彼女は幻想郷でもトップクラスの能力を持っているから当然か。
あれだけ強いと妖怪のようなものだしな。
「たぶんお嬢様は咲夜さんがいなくて暇だから呼んだんでしょうね」
それにしてもあの悪魔は子ども扱いされているようだ。
「ここです」
大きな扉の前でメイドは止まった。すごい妖気が立ち込めている。当然か、あの吸血鬼の能力はすさまじいからな。
メイドは扉を開いた。中には三人の少女が紅茶でも飲んでいた。
「さがってよいわ」
少女の威厳のある声でメイドは立ち去った。やはり少女とはいえ威厳に満ちている。
「突然呼び出して悪いわね。さぁ座って頂戴」
この場には、レミリア・スカーレット、ずっと本を読んでいる不健康そうな少女。おそらく魔女だろう。
そして七色の宝石の羽を持つ少女。彼女が妹なのだろう。
「お姉さま、このひとだーれ?」
悪魔の妹は無邪気にその姉にたずねている。その様に威厳は感じない。ただなぜか不気味なものだけは感じた。
「これからあなたにいろいろ教えてくれる先生よ」
「まだやるとは言ってない」
「あなたはここの家庭教師になる運命にあるわ」
この悪魔は全て自分の思い通りにしてしまうのだろう。最初に邂逅したときから彼女が我侭であることはわかっていた。
ただその強大な力がそれを可能にしている。
「じゃあ弾幕強いんだよね?」
妹の発言に私は背筋が凍る感覚を覚えた。
「先生は弾幕はたいしたことないわ」
うわ、もう先生になることが確定してる。しかも弱いって言われてる。まぁ確かにこの悪魔にコテンパンにされたのだが。
「でもフランドール、あなたには世界を知ることが必要だわ」
「じゃあ先生はものしりなんだね」
妹のフランドールは目を輝かせてこっちを見ている。こういう風に見られるとやってもよいとおもうが。
「そういえば、まだ私の自己紹介をしていないな」
「私が名前を知ってたから忘れてたわ」
やはりレミリアは自己中心的なのだろうか。
「私は上白沢慧音」
「私はフランドール。けーね先生よろしくね」
奥には私たちの会話に興味を示さず本を読んでる少女がいるが...
まぁいいだろう。
「けーね先生、さっそく質問があるんだけど」
「なんだ」
目を輝かせてこっちを見てくる。
「なんでいま外はお花がたくさん咲いているの?お姉さまもパチェも知らないみたいなの」
妖怪なのにそのことを知らないのか?
「え、六十年前もその前もあっただろう」
「わたしずっと地下にいたから外のことわかんないの」
な、どういうことなんだろう。気にしてはだめなのか?
「お花が咲くのは決まった出来事なんだ」
「なんで決まっているの?なんでお花がたくさん咲くの?」
「...」
答えてよいのだろうか。その意味がわかるのだろうか。
私はさっきまで誰にも話すつもりはなかったのだが、なぜか話すことを前提に考えていた。
この無邪気な少女に教えてよいのか。
「別に教えればいいじゃない」
本を読んでた少女が言った。そうか妖怪は知っておかないとだめなのか。
私は語り始めた。
「六十年に一度くらい、外の世界で人間がたくさん死ぬことがあるんだ。
 彼らはあまりに悲しい死に方だったから死んだかどうかがわからないのだ。
 だから花に宿って花を咲かせるのだ」
「そーなのか。じゃあ毎年たくさん死ねば毎年きれいなのに」

私は無邪気とはいえ許せなかった。私は六十年に一度、悲しい歴史が私の頭に流れてくる。
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくないシニタクナカッタ
あの夜、私の心にこだまするのだ。こんな思いをするのはいやなんだ。

「お前はたとえばお姉さんが死んでいなくなってしまったらどう思うんだ?」
なぜわからないんだ。私は口調が荒くなっていた
「え...わかんないけど、とっても悲しいと思う」
「...」
泣きそうになっているフランドールを見て、私は何を言えばいいかわからなかった。
「すっ、すまないフランドール」
長く生きていても心は幼いのだろう。そして何があったのか知らないが世間を知らなさ過ぎるのだろう。
「けーね先生、ごめんなさい」
私は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
ただわかってほしかったのだ。



「ケーキにお菓子もってきましたー」
笑顔でメイドではなく小悪魔が入ってきた。
「わーっ、ケーキぃ」
フランドールは笑顔を取り戻した。
「私もいただくとするか」
その後私は、フランドールに昔話をたくさんしてあげた。
興味津々で話を聞いてくれるので私も話に熱が入っていた。

「そろそろ帰らないと村のものも心配するのでお暇させていただこう」
「ばいばい、けーね先生」
「...」



あたりはもう暗かった。急ごう。
「!!」
私はスペルカードを準備した。
「私よ」
レミリアだった。
「今日はありがとう」
「...」
「私が悪かったわ」
「何がだ」
この我侭吸血鬼が謝るのは意外だ。
「フランドールを閉じ込めていたのは私よ」
「...」
「全てを壊してしまうのよ。フランは」
「...」
私はただレミリアの言葉を聞いていた。
「私はその能力を調整できるように教えることもなくただ閉じ込めていたわ」
レミリアは悲しそうだ。こいつもこんな表情をするのか、と私は思った。
「やつらのせいで館内を出歩くようになったけど、私には...」
やつらとはあの巫女と魔法使いだろう。
「たった一人の家族なのにね」
何もすることができなくて悲しいのだろう。
「だからお前に押し付けたの」
こんな状況でも少し高慢なところがやはり吸血鬼か
「こういうことはお前のほうが向いていそうだしね」
「また来させてもらうよ」
「そうして頂戴」



少しずつわかればいいのだ。
突然多くのことを知るのは無理なのだ。時間がたくさん必要なのだ。
その上で、花の異変の原因である外の世界の「戦争」というものも教えようと思う。
力の使い方。
それは何年何十年も、何百年もかかって覚えていくしかないのだ。
こういう話書くのは難しかった。
って言うかだめだなぁ。
がんばります。

ちなみに慧音が外の世界の歴史を知っているという設定はGHQクライシスとかから推測しました
スカーレットな迷彩
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.790簡易評価
18.40名前が無い程度の能力削除
やや盛り上がりに欠けるかな、と。こういうゆっくりとした雰囲気も好きですが。

>妖気立ち込めて
脱字、ですかね?
19.無評価スカーレットな迷彩削除
すいません脱字です。修正しました
20.70名前が無い程度の能力削除
もうちょっと長い文章で読みたかったなぁ。
フランの成長が見えるまで。