Coolier - 新生・東方創想話

東方合金郷

2006/12/07 11:04:34
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カリスマ、それは他者を引きつける魅力であり他者を近づかせない畏怖の証である。
圧倒的な力、卓越した技能、全てを見通す頭脳、その全てがカリスマを生み出す。
なんだかわからないが、ようするに主君たるものもっているにこしたことはないものだろう、たぶん。





永遠亭財政担当、因幡てゐは悩んでいた。輝夜が訪問販売に騙され、
高額な幸せになる枕とやらを大量に買わされてしまい、このままでは食費すら危うい。
こんなことで幸せになるなら苦労はしない。幸せにできるもんなら幸せにしてみやがれと、
てゐは枕をごみ捨て場に投げ込んだ。この大赤字ではいつもの賽銭詐欺では間に合わない。
いつかの騒霊達のライブ会場でチケットを売りつけまくったように大きなイベントでもおこし
まとめて稼がなくてはいけない。
そんななか、てゐは視界の端に捨てられている一つの小さい鉄の人形を見つけた。
これだ、てゐは思い立ったが吉日とばかりに駆け出していった。



次の日、文々。新聞に一枚のチラシが挟まっていた。
「カリスマの足りないあなたに朗報!あなたの実力を見せつけましょう!
お問い合わせは永遠亭因幡てゐまで!」
この一枚の珍妙なチラシはほとんどの者の興味を引かなかったが、
一部の藁にすがってもカリスマが欲しい人々を動かすには十分であった。


明日、永遠亭
そこには居間に集まる数人の影があった。
紅魔館主人レミリア・スカーレット、白玉楼主人西行寺幽々子、
永遠亭主人蓬莱山輝夜、幻想郷の閻魔四季映姫であった。
(・・・なんで輝夜様までいるのよっ!)
一番身近にいたカリスマを欲しがる人を失念していたてゐはそんな思いを隠しつつ話を始めた。
「さて、みなさまここに集まっていただいたわけですが、みなさんカリスマを求める人達でよろしいですね?」
「そうに決まってるでしょ。いいから早く本題に入りなさい」
「はい。カリスマを皆さんに示すには自分の実力をみなさんに示すのが一番手っ取り早いと思われます。
そこで、みなさんにはロボットコンテスト、つまりロボコンに参加していただきたいと思います」
「因幡何を言ってるの?ロボットなんて面倒なことしなくても弾幕勝負でいいじゃない」
「ちょっとさすがにめんどうね~」
「なんならここで全員倒してやってもいいんだよ?」
反発をあらわにするレミリア達。
弾幕勝負なんて冗談ではない。こんな実力者達にプライドを賭けて戦わせなんてしたら
物騒なことこの上なく、金儲けどころではなくなってしまう。
なんとしてでもだまくらかして納得させなければと思ったその時ー
「いいですね!」
これまで口をつぐんでいた映姫が目を輝かせて言う。
唖然とする三人。
思わぬ加勢を得たてゐはそのまま畳み掛ける。
「そーですよっ弾幕勝負で勝ったところで力しか示せません。
心技体、これらはいずれも真の主君には欠かせないものです。
ロボットを作ることによりその人の作成する技術力、構想、設計を行う高度な知力、そして勝負に勝つという力も
示せるというわけなのです!」
勢いのままにしゃべり続けるてゐ。そしてとどめの一言。
「だいたい、みなさん面倒だなんていって、
閻魔さん以外ロボットすら組み立てる事ができないんじゃないですか?」
「上等ね、紅魔館の技術力見せてあげるわ」
「あなた達に実力の差を見せてあげるわ」
「う、うちには永琳がいるんだからっ」
はい、三人釣れました。ほんっとにわかりやすいひとたちだな。
「はい、決定ですね。では、競技はロボットによる実戦勝負とします。
素材、動力、武器弾幕なにを使ってもよしとします。試合は1週間後、冥界で行いたいと思います。
では、これにてお開きとします」




ー紅魔館ー
「パチェーパチェー生きてるー?」
「なんとかね」図書館の奥から声が聞こえる。
「あなたにお願いがあるの。強いロボットを作って頂戴」
「ロケットの次はロボット?飽きないわね。作るのはいいけど材料がないわよ」
「ああ、その点なら安心して。咲夜に最高の素材を集めるよう伝えたわ。咲夜なら心配ないでしょう?」
「わかったわよ、ただ、作るために門番貸してくれる?」
「門番?いいわよ。好きに使って頂戴」


ー白玉楼ー
「あ、おかえりなさい幽々子様」
「ようむーようむーロボをつくるわよー」
「はい!?私はそんなもん作れませんよ?」
「何もあなたに作ってくれだなんていってないわ。あなたは戦ってくれればいいの。
私達には強い味方がついてるじゃない。聞いてるんでしょ、紫?」
「さすが幽々子ね。お見通しか」
屋敷の天井に亀裂が出来、女性が降ってくる。
「やってくれるんでしょう?」
「幽々子の頼みならしょうがないわね。任せときなさい」
紫が再び天井に消える。
「さっ、これで大丈夫ね。ようむー晩御飯はまだー?」
(幽々子様は何もやらないのか・・・?)
ーマヨヒガー
「藍ーちょっときてー」
「なんですか紫様・・・ってなんですかその大量のスクラップ!」
割烹着姿の狐が見たものは、スキマから手当たりしだいに物を出す主人であった。
「藍、幽々子のためにロボットを作ってあげて。あなたならできるわね、
大抵の材料は揃えたけど足りなかったらそこのスキマ開けとくから勝手に何でも調達しちゃって」
「確かに作れますけど・・・なんでですか?」
「んじゃ、私は寝るからまかせたわ」
「・・・返事が期待できないのはいつもの事、か。
しかたないな、作るからには立派な物を作ろう。どうせ三途の川の川幅もわかって暇だったしな。
こら、橙!危ないからその近くに行っちゃだめだ!」


ー永遠亭ー
「えーりんえーりん助けてえーりん!」
(だめだこの人最初っから人任せだ・・・)
「あら、姫に因幡。どうしたの?」
「えーりん私のカリスマが危ないの!」
「ま、ようするにロボコンに出すロボットを作って欲しい、と」
「ロボ!私に任せるって事は私が好きなように作っちゃっていいのよね?」
うわぁ目が輝いてる。こりゃなんか企んでるぞ?いいのか、任せちゃって。ほんとにいいのか?
「ありがとう永琳!これで私のカリスマも安泰ね!」
うわ、あっさり。だいたい姫はなんにもやってないでしょ
「わかりました。では製作にかかります」
隠しきれてない笑みが気になったが、私と姫は部屋を出た。
「さて、ウドンゲ居る?」
「はい、ここに」
「ロボットにとって何が一番大切かわかる?」
「かっこよさとか・・・」
「違うわ」
「強さとか?」
「違う。タイムオーバーね。ロボットにとってもっとも大切な物!それはロマンよ。
ウドンゲにはロマンを理解するにはまだ早かったかしら?
でもはずれははずれ。罰ゲームよ」
「え、師匠いったいなにを」
「ほら、いいからそこに横になって。ほら、怖くないから
ちょっとチクッとするだけだから♪」
「いやそんな嬉しそうな顔しながら言われてもって嫌です嫌です嫌だ嫌だ嫌だぁ~」

ー彼岸ー
「で、ロボットなんてどうやって作る気ですか四季様?」
「どうしましょうか・・・困りましたね」
「なんでそんな後先考えずに勝負に乗っちゃったんですか?」
「昔から一度大きいロボットに乗ってみたかったんです!」
(見た目は子供、頭脳も子供?)
「・・・なにか言いましたか小町?」
「あ、いえいえ。夢を持ち続けるのは良いことだなー、と」
「とりあえず、素材を調達しなくてはいけません。
近くに良いものを扱う道具屋があるそうです。とりあえずそこを目指します。
ほら、早く行きますよ小町!」
「ま、待ってくださいよ四季様~」

ー香霖堂ー
「さびれてますねー。ほんとに人いるんですか?」
「探してみなきゃわかりません。手分けしましょう。
小町はそっち側をお願いします」
「はーい、わかりましたよー」

「まったくなんなんだいこの店は・・・」
「やぁ、ようこそ香霖堂へ(´・ω・`)」
「きゃん!」
「このテキーラはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。
驚かせてしまったようだけど、仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
でも、この店を見たとき、君は、言葉にできなぐあっ」
「謝れ!」
「何騒いでるんです・・・お、小町見つけてくれましたか。
あなたがここの店主の霖之助さんですか?」
額から血を流す男に訪ねる。
「いかにもそうだ。僕がここの店主、森近 霖之助だ」
「すみませんが、ロボットを作るための素材はここにはありませんか?」
「ロボットねえ・・・大量の金属やスクラップパーツならあるから、それでなんとかなるんじゃないかい?
ほら、店の裏に山積みのアレ」
「ありがとうございます!あ、お代は?」
「いや、いらないよ。ちょうど処理に困ってたんだ。好きに持って行ってくれてかまわないよ」
「親切にありがとうございました。あなたはきっと死んだ後極楽へ行けるでしょう。
さ、小町行きますよ!」
「なんだったんだあの子たちは・・・極楽、か。
まだまだ死ぬときのことを考える気はないな。魔理沙を一人にするわけにもいくまい」

「で、スクラップの山にやってきたわけですが。
どうしましょう、私は昔から不器用でこういうのはちょっと・・・」
「ちゃんと後先考えて行動しましょうよー。
しかたないですね、私が作ってあげましょうか?」
「ほんとですか小町!?」
「いやー前に運んだ霊が技術者で、話こんでたら面白そうで、
ついはまっちゃったんですよね。仕事中にちまちまとこう・・・きゃん!」
「手伝ってくれるのはありがたいことですがそれとこれとは別です。またサボっていたとは・・・
やはり、あなたとはじっくりと話をする必要があるようですね。
第一、あなたは・・・」




こうして、各勢力共に順調にロボット作りを始めたのであった・・・

~少女作成中~




ー紅魔館その後ー
「ねぇレミィ、こんなもんでどう?」
「へえー、たいしたもんじゃない。圧倒的な存在感。まさに紅魔館の威信を表すようね」
「装甲と火力に重点を置いた最強の機体よ。弾幕はやっぱりパワーね」
「これの名前どうします?パチュリー様」
「そうね、名付けてパチュリーマシン夏休みスペシャルと・・・」
「  先行者  に決定」
「え?これはパチュリーマシ」
「他のカリスマの無い奴らなんかより2歩も3歩も先を行っているという意味よ。
いい名前よね?」
「はい、そのとおりです。お嬢様の言うとおり先行者がいいかと」
「中国の威信を示してそうな名前よね・・・」
「門番なんかに威信はないわ。ところで最近門番を見かけないわね。
今度見つけたらただじゃおかないから」

ーマヨヒガその後ー
「こんなもんでどうだろうか」
「うわぁ~すごいわね~」
「どうせあんたは見学で妖夢に乗らせるんだろう?
妖夢用にカスタマイズしておいたぞ」
その機体は双剣を装備しており確かにスマートで無駄が無く、藍の技術力を表しているのだが・・・
「なんでちょんまげなんかつけてるんですか?」
「刀と言えばちょんまげだろう。もちろん弾幕はブレインだ」
・・・確かにそうかもしれないが、その奇天烈な姿はまさに巨大コ○スケ・・・
「ようむ~コロッケ食べたくなっちゃった~」
「晩御飯はまだです」
「ちなみに名前は私の思いをこめて、橙愛してるぞ!  だな」
こめる相手間違えてないか?しかし何から何まで作ってもらった恩もあるわけだし断るわけにもいかないか。
「ようむ~コロッケ~」
「あなたは少し、食い意地が張りすぎている」
ん?閻魔様の口癖でもうつったかな。

ー永遠亭その後ー
「行け~ウドンゲロボ~変態どもをやっつけろ~」
「師匠・・・ほんとにこれ出すんですか?」
そこにあったのは、ウドンゲをそのままメカにしたような物であった。
服から折れた耳まで100%完全移植稲葉うどんカレー味。
「中の人そっくりのロボットは王道よ。あんまり見ないけど。
あ、安心して。ほとんどフルオートだからあなたは乗っているだけでいいわよ」
「あれ?師匠乗らないんですか?好きそうなのに」
「何言ってるの!中に入ったらウドンゲロボの素晴らしさがよく見えないじゃない!」
名前はウドンゲロボで確定なんだろうか。
「やっぱり弾幕はロマンよね。これには私のロマンが詰まってるわ。
もちろん、壊したりなんかしたらわかってるわよね~」
微笑み、最高潮。それにしてもこのえーりん、ノリノリである。

ー香霖堂裏手ー
「で、確かに作れない私が悪いのですが・・・」
「すみません四季様~意外に作ってみたら難しくて~」
そこに完成したのは巨大な・・・茶筒。ドラム缶。ドラム缶に手足がついてるだけ。
スリーサイズは上から下まで全て同じ。
どこかの高校にでもいそうな茶筒であった。
「さらにすまないことに・・・時間がなくて武装をつけられなかったんです」
「な、なんだってー!!     いえ、取り乱しました。
スタッフも素材もないなか小町はよく頑張ってくれました。
ほんとうに感謝します。」
「そんなお言葉もったいない。あ、そういえばなんか兎から昔のお礼だとか言って
いいものをもらいまして、なんでもピンチの時に使え、とのことです」
「ピンチの時ですか。肝に銘じておきます。夢のロボットはドラム缶、か。
なかなか現実は厳しいですね」






とうとう、永遠亭主催ロボットコンテストの日がやってきた。
冥界は見物客でごった返しており、兎達が出している出店によりさながらお祭り騒ぎであった。
「お、霊夢!プレ○テ3があるぜ!当てたら自慢できるんじゃないか?」
「まあ、当たればね」
「すいません、くじ引き10回!」
兎達が出店しているのは、当たりのないくじびき、具のほとんど入っていない食べ物、景品の倒れない射的などである。
しかし、てゐはそれらが詐欺であるとは思わない。
祭りでの屋台はいわば雰囲気を売っているのだ。屋台のない祭りはとてもさびしい。
くじ引きも、引くほうとて本気で当たるとは思ってはいない。
しかし、一瞬でもひょっとしたら当たるかも知れないと思い、その興奮を楽しんでいるのだ。
いわば、夢を買っているともいえるだろう。客のほうも心の底ではわかっている。
しかし、せっかくの祭りを楽しむため童心に戻り雰囲気を楽しんでいるのだ。
「さて、本命は・・・っと」
てゐは稼ぎの大本命であるコンテスト優勝者を予想する賭けを仕切っている出店へと足を運んだ。
ここでは、懸賞金はきちんと払うが、金の一割を店が徴収することとなっている。
つまり、誰が当てようが勝とうが関係ないのだ。
「さて、投票は・・・
やはり人気なのは紅魔館チームと冥界チームね。
見てくれに関係なく永琳様に賭けてる人達がいるからウチは3番人気ね。
あのドラム缶は・・・大穴?
賽銭がもっと入りますように・・・ってここは願いを書くところじゃないっての。
あたいったら最強ね  なんだこりゃ?」

プリズムリバーによるBGMが鳴り響く。どうやらもうすぐ開始のようだ。
てゐは会場へ急いだ。

では、因幡てゐによる開会の言葉です。アナウンスが響く。
「今日はたくさんの人に来ていただき、本当にありがとうございます。
今日はみなさんにコンテストを楽しんでいただくと共に、
出場チームの、隠された実力にも注目していただきたいと思います。
では、これより第一回幻想郷ロボットコンテストを開始します!」

「全選手入場!!

大会優勝候補ナンバーワン!スタッフの平均レベルの高さならここが一番!
もうへたれとは言わせない!チーム紅魔館だァーーーーーーーー!

天然なのか、狙っているのか!謎が謎を呼ぶ@マーク!
チーム冥界だァーーーーー!

えーりんえーりん助けてえーりん!今日もまた人任せ!
チーム永遠亭だァーーーー!

実力不明!今日のダークホースとなるのか!?
チーム彼岸!!!!

あなたの安全守ります!結界つかわせたら天下一!
今日の警備担当!結界組!!!!

幻想郷最速は伊達じゃない!今日の興奮をあなたに!
広報担当射命丸文だァーーー!!

解説担当幻想郷一の常識人!
満月の日は無かったことに!上白沢慧音だァーーーー!

そして普通の最強魔法使い!!
実況ならまかせとけ、この私 霧雨魔理沙だァーーーーーーー!」

「なあ魔理沙。これって後半必要あるのか?」
「さあ、予選を始めるぞ!」
無視する魔理沙。

くじびきの結果、1回戦 紅魔館対彼岸
          2回戦 冥界対永遠亭        となった。



ー第一試合ー
紅魔館「先行者」VS 彼岸「かつての夢」
「さて、ようやく始まったなー」
「そうだな。そういえば、優勝チームには永遠亭より因幡物置100人分がもらえるらしい」
「あの貧乏長屋にしては太っ腹じゃないか」

(釣り餌が必要とはいえ・・・危ない橋ね。絶対に鈴仙には勝ってもらわないと・・・)
てゐは内心穏やかではない。

「大変です!パチュリー様が倒れました!」
飛び込む小悪魔。
「なんてこと・・・こんなときにしか使えない門番はいないし・・・
仕方ない、小悪魔、あなたが出なさい」
「えっ、レミリア様出ないんですか?」
「私はこんなものに興味はないわ。ただ私の威信をみんなに示せればいいの。
ほら、時間無いんだから早く乗った乗った」

対峙する巨大な砲台とドラム缶。勝敗はどちらの目にも明らかであった。
「っと。勝利条件は相手を戦闘不能にすること、つまり相手を鉄くずにしようが必要な部分だけ壊そうが
中の人を倒そうがいいらしいが・・・映姫ーくれぐれも無理はするなよ?
では、第一試合開始だ!」

「私だって別に乗りたいわけじゃないのにー」
適当に弾幕を撃ち始める小悪魔。しかしさすがは先行者、中華キャノンの弾数と威力は伊達ではない。
「うわわわわ あ、あわてるな映姫!まだ慌てるような状態じゃない!」
しかし、装備もなく動くのがすごいくらいのドラム缶、どんどん被弾してへこんでいく。
「あ・・・なんか面白いかも」
何かに目覚めてしまった子悪魔。
「見よ!ラピュタの雷を!人がゴミのようだぁぁぁ」
もうあたりかまわず撃ちはじめる先行者。
結界のおかげで観客に被害はないものの、ドラム缶ベコベコ。
「これはまずい・・・そろそろ小町にもらったこのスイッチを使うべきか?
いやこんなにはやく使うわけには・・・」
中華キャノンの流れ弾がぶち当たる。
「きゃあっ・・・いいやもう限界だッ押すねッ!!」
と、まさに映姫がスイッチを押そうとしたとき、先行者の動きが止まった。
「・・・・・・?」
唖然とする観客。
「ああ、もう限界か」
「あら、パチェもう起きたの?」
「アレの動力さ、門番なのよ」
「門番?」
「そう、門番。門番に人力でエネルギーを発生させてたんだけど・・・
さすがに一週間前から閉じ込めてたのは無理があったか。
逃がさないようにとおもってたんだけど・・・」
「勝負あり!第一回戦彼岸チームまさかの勝利だ!」
「あんなボロボロになっても戦う姿には敬意を評するな」
「戦ってない気もするけどな。意外にあのドラム缶頑丈みたいだな」
その後使えない烙印を押された門番の扱いはさらに悪くなり、
何かに目覚めてしまった小悪魔はこっそりと暴れまわっているという・・・



~この番組は永遠亭の提供でお送りしています~



ー第二試合ー
冥界「橙愛してるぞ!」VS 永遠亭「ウドンゲロボ」
「さて、先の試合は驚きだったわけだが、今度はどんな展開が待っているのか!
第二試合、開始だ!」

「幽々子様のためにも速攻で決めさせてもらう!」
藍の脅威の技術力の恩恵を受け、機械とは思えないなめらかさで攻める妖夢。
「いや無理無理無理!」
中の兎の心臓には悪いが、永琳製の優秀なCPUオモイカネデバイスXPが紙一重で避ける。
「ウドンゲ!コックピットのボタンを押すのよ!」
「ボタンなんていっぱいありますけど!」
「ひとつひとつに私のロマンが詰まってるのよ。一番右のやつ!」
オートパイロットのため操縦機器を省いたコックピット内は、
どこぞの音ゲーなんか目じゃないほどボタンだらけだった。
「詰まりすぎですよ。そいっ」
そのとたん、橙愛してるぞ!目掛けて飛んでくロケットパンチ。
「なんて古風な・・・しかしそんなものは通用しない!パリィ!」
剣で拳をはじく。
「今度はこっちの番です!」
手に持った双剣に妖力がこもる。
橙愛してるぞ!は双剣を構えるとウドンゲロボに肉薄し・・・
蹴った。

「あ、あれは!!」
「知っているのか魔理沙!?」
「いや、まったく知らん。なんとなく言わなきゃいけない気がしてな」

蹴られてバランスを崩すウドンゲロボ。橙以下略はまさにとどめの一太刀を浴びせようとしていた。
「まったくトンファーじゃないのが残念なところね」
「師匠!残念がってる場合じゃありません!ヤバイですよ!」
「まだロスタイムがあるわ。右から2番目!」
「これかっ」
剣がウドンゲロボを切り裂こうとしたその時、ウドンゲロボの胸から飛び出したドリルが
橙以下略の刀を腕ごと吹き飛ばした。
「チャンスよウドンゲ!中央脇緑のボタン!」
「緑の・・・って全部緑じゃないですか!これかな?」
押した瞬間、どこからか出てきた大砲を構えるウドンゲロボ。
「えーりん砲・・・はっしゃぁー!」
巨大コロスケに直撃し、その機能を停止させる。

「勝負あった!必殺技で締めるとは魅せてくれるな!」

「ロケットパンチ、ドリル、必殺技。どれもロボットにはかかせないロマンよね」
「ところで師匠。あの大砲やらドリルやらどこから出てきたんですか?
はじかれたロケットパンチもいつのにか戻ってきてたし・・・」
「それは乙女の秘密ってやつよ。科学で証明できないからこそのロマンなのよ」



~ここからは、香霖堂の提供でお送りします~



ー決勝戦ー
永遠亭「ウドンゲロボ」vs彼岸「かつての夢」

「やってきました決勝戦!だれがこの組み合わせを予想できたか!
まさかの色物対決泣いても笑ってもこれが最後!ファイナルラウンドの開始だ!」

「ウドンゲ、後はあなたにまかせるわ。自分を信じてがんばりなさい」
「はい、師匠!」
「四季様、無理しちゃだめですよ?」
「はい、ただここまでこれたんですからやれるだけやってみます」

オモイカネデバイスXPのおかげでほとんど無傷のウドンゲロボに対し、
映姫のかつての夢は先行者戦の傷を引きずり、きれいなドラム缶が
東京湾に沈んでそうなボロドラム缶に成り果てていた。
「あんなボロドラム缶怖くありません!先手必勝スイッチ押し左から3つ目!」
スクワットを始めるウドンゲロボ。
「へ?」
「ああ、ウドンゲ。言い忘れてたけどスイッチの中にはダミーがあるから気をつけてね」
「ダミーなんか入れないでください!」
「なんだかわかりませんがチャンスみたいですね。
武器なんてなくても!私にはこの体がある!」
ドラム缶はスクワットに励むウドンゲロボを掴むと、そのまま後ろ向きに倒れ、
ウドンゲロボを脳天から地面に叩きつけた。

「決まったぁ~!!ブレーンバスター!!!」
ドラム缶の予想外の奮闘にボルテージをあげる観客。
もはや予想不可能な試合に立ち上がる妖怪達。
プリズムリバーによるBGMも激しさを増していった。

そこからは互いに消耗戦であった。
ウドンゲがミサイルのスイッチを当てると、ドラム缶はさらにへこみ、
ウドンゲが腕立てのスイッチを押してしまうと、すかさずドラム缶が巴投げを決めてくる。
永遠亭側は搭乗者の体力が、彼岸側は機体の装甲が限界に達しようとしていた。
「あ~いちいち地面に当たるから頭が痛い・・・
狂気の兎が目を回してちゃしょうがないわね。なんか出ろ!」
次のスイッチで発動したのは、全弾発射。
「あら、ウドンゲったら大当たりじゃない」
次々と放たれる弾。インペリシャブルシューティングといったところか。
「四季様!!」

「ウドンゲロボの大技が炸裂ー!これは勝負あったか!?」

煙の中から出てきたのはもはやドラム缶ともいえない鉄くず寸前の物体。
四肢は吹き飛び、右手しか残っていない状態であった。

「もはやここまでか・・・最後に小町がくれた切り札に賭ける!!!!!」
ピンチの時のためにとっておいたスイッチを力強く押す映姫。
とたん青白く輝きだすかつての夢。
「なんですかあれは!?なんかやばそうだなぁ・・・
まったく往生際が悪い。これで終わりです!!」
ウドンゲはFINALと書かれた赤いスイッチを押した。


ウドンゲロボも輝き始め、2つの機体の光は頂点に達し、
会場が光に包まれた――――――――

















ー大会前日永遠亭ー
「てゐ、死神にちゃんとアレ渡してくれた?」
「はい、ばっちりと。昔助けてもらった兎だっていったらあっさり信じました。
永琳様こそなんですか?そのFINALって書いた気合の入ったスイッチは?
死神に渡したのと同じですよね」
「ロボットにはね、たくさんのロマンがあるけれど、なによりもはずせないものがあるの。
わかる?」
「アレ・・・ですか?」


「そう。アレ。ロボットにおける最後のお約束にしてロマン――――
やっぱりロボットと言えば自爆よね」
第一回幻想郷ロボットコンテスト結果ー
ダブルKOにより優勝者無し

爆発の混乱に乗じててゐは優勝者予想の配当をごまかしなんとか永遠亭の経済は守られた。



「ただ、山田をロボットに乗せて大きくしたかった。」
読んでいただきありがとうございます。2度目の投稿となりますカンナです。
最初は山田を主人公に、巨大化萃香とでも戦わせようとしていましたが、
気がつけば山田の影は薄くえーりんがやりたい放題な展開に。
あれ???

12/20読んでくれた全ての人に感謝しつつ本文訂正
カンナ
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コメント



0.1190簡易評価
5.無評価CACAO100%削除
>永琳製の優秀なCPUオモイカネデバイスXP
ねんがんの(ry

>なんだったんだあの子たちは・・・極楽、か。
>まだまだ死ぬときのことを考える気はないな。魔理沙を一人にするわけにもいくまい

あれれ?ヘタなボスよりカリスマが出て見えるが・・・?
10.80蝦蟇口咬平削除
紫が作ってたら、どれくらいになってたんだ?
16.無評価名前が無い程度の能力削除
ほとんど会話分なのにだれが喋ってるか、わかるのは結構凄い事なのかも
19.100名前が無い程度の能力削除
彼岸「かつての夢」
名前に思いっきり吹いた罠w
23.80名前が無い程度の能力削除
ツボったww
24.100名前が無い程度の能力削除
ちょwww先行者wwwww
29.80名前が無い程度の能力削除
ロボコン大好きなんですが、まさか幻想郷で見られるとはw
ただ二箇所ほど、子悪魔との表記が混じってました。
34.90名前が無い程度の能力削除
いかんwいたるところにネタが混じってて個人的に大好物な作品だった。ってか、えーき様以外参加もしてなければ作ってもいない件。
あと中国の報われなさに泣いた