Coolier - 新生・東方創想話

藍色の料理店の話

2006/12/05 03:40:59
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 ――ふゆ、フユ、冬の始まり。
 冬眠したい隙間が一人。
 お腹が減って眠れません。
 人を取って喰おうにも、面倒くさくて動けない。

「何か飽きちゃったのよね~。」
「は?」
「だから、こう隙間からひょいっと人を捕まえてただ食べるのも飽きたな~って。
 それに最近は味もねえ……生で食べられるほど美味しい人が少ないのよ。」

 ――生きるための食事に飽きたも何も無いだろこの呆けが。
 
 そんな事は言えません。
 口が裂けても言えません。
 所詮中間管理職。
 上司の指示を待っていろ。

「取れたてを天麩羅とかで食べられないかしらねえ?」
「はあ。では、捕まえて来てくだされば調理致しますが……」
「だから、それが飽きたのよう。
 藍、代わりに取ってきて。」
「はい?」
「じゃ、頑張ってね~」
「はいぃぃぃぃ~?」

 さよならさよなら化け狐。
 次元の狭間に飲み込まれ、外の世界へダイビング。
 ついでに猫も、ダイビング。

「天麩羅~。」




「さて、仕方がない。とりあえずさっさと捕まえるか……。」
「ダメよ。」
「は?」
「それじゃあ見てて面白くないもの。弾幕禁止は禁止。」
「あの……」
「じゃあ、頑張ってね。」

 少し落ち込む化け狐。
 はてさてどうかと考え、考え。
 ついにひらめき思いつき。
 色々準備を始めるが、面白くなくて早送り。

「かくかくじかじか」
 トンテンカンカン

 できあがり


 このまま待てば、人間ゲットと意気込むが
 場所が悪いか人間来ない。
 少し苛つく化け狐。
 それでもひたすら待つだけ待つだけ。

 ひたすら待ってたその時に、
 向こうに見えるは人、二人。
 少し太った人、二人。
 
 建物を見て、喜んで
 看板を見て、喜んで
 我が先にと戸を開ける。
 先に待つもの知りもせず
 我が先にと戸を開ける。

 『西洋料理店
             
      山猫軒』 



 魚を食す、式二匹、
 人の味付けしたくない。
 それでも主のためならば、
 どうしようかと考え考え。
 
「自分で味付けしてもらおう。」
 そういう風に考えた。


 バターを持って行ったり来たり。
 お酢を持って、行ったり来たり。
 お塩を持って、行ったり来たり。

 働き続けた甲斐あって、
 ようやく味付け終わったら、
 見てるの飽きた主様、
 扉にさらさら文字を書く。

『いろいろ注文が多くてうるさかったでしょう。お気の毒でした』

 これを目にした人間二人、
 ガクガクブルブル震えだし
 扉の中には入って来ない。

「って紫様何やってんですか!!折角人が紫様のために人間を捕まえようとですね……」
「だって暇だったんですもの」

 とか聞こえるし。
 絶対、絶対入らない。
 
 ガクガクブルブル震えていたら。
 ぐわらぐわらと犬の声。
 扉の中へと飛び込んで、
 扉の中から声がした。

「らーん、おしり噛まれた~。」
「あーもう、なにやってるんですか。
 やっぱりいっつも寝てばかり居るから運動性が老人な……」







 二人は気付くと冬山に。
 遠くで狐の声がした。

「紫様~、入れて~、帰して~。」
追伸、結局この年は普通に捕まえて、
   普通にお刺身でいただいたそうです。



お久しぶりです、無音旋律です。
とりあえず一つまた書いてみましたが……
ふう。
もう少し長い方が良いですかねえ。
無音旋律
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コメント



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5.70名前が無い程度の能力削除
人喰いの話かと思って後味のよくない終わりを想像しながら読んでいたら、オチが注文の多い料理店とは…。単なる藍の手抜きかよw
この話ならば、長さはこれくらい短い方がオチの面白さが出て良いかと。
17.70黒で埋め尽くす程度の能力削除
いやー、もうこの瞬間から注文の多い料理店は脳内で八雲一家の話で確定にw
話口がユニークですね。ぐっどです