Coolier - 新生・東方創想話

絵なし絵本~夏をさがして~

2006/12/02 10:08:35
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ひまわりさんがいなくなり、だんだん寒くなってきた

友達だんだんいなくなり、私は寂しくなってきた

ひまわり一杯草原は、今では一面ススキの野

さんさん輝く太陽は、今ではなんでか弱ってた

どうしてこんなになったのか、どうしてみんながいないのか

どうしたらみんなに会えるのか

悩んだ私は飛んでって、空行くひとに聞いてみた





「何でどうしていつの間に、こんなに寂しくなったんですか?」

最初に聞いた妖精さん、私の声に止まってくれた

透明な羽根をきらきらと、ゆっくりぱたぱた羽ばたかせ、そして私に答えてくれた

「それは今が秋だから、夏が過ぎ去り秋になり、それでこんなになったんですよ」

笑って言ったそのひとは、そう言うとぺこりお辞儀して、ぱたぱたぱたぱた飛んでった



「うーんそうなのそうなんだ!夏さんが消えてこうなのね、それなら夏さん探せばいい」

単純明快答えを見つけ、私はふわっと舞い上がる

夏さん隠れてこうならば、隠れた夏さん探せばいい

どこかに隠れた夏さんを、見つけて側に行けばいい



「夏さんどこかなどこかしら?」

夏さんだれだか知らないけれど、どうやら前はいたみたい、私の草原にいたみたい
 
だけど残念、私の住んでた草原は、どうやら今はお留守のよう

「夏さんどちら、出ておいで♪」

私は草原飛び出して、夏さん探して旅に出た





「夏さんこちらにいませんか?」

優しい歌に誘われて、優しい匂いのする店へ、私はゆっくり舞い降りた

「あら珍しい妖精さん、でもね残念わからない、でもせっかくのお客さん、一本食べていきません?」

残念残念そのひとは、夏さんどこだか知らないみたい

だけど優しいそのひとは、美味しい食べ物差し出して、優しい声でこう言った

「さぁさぁどうぞ、さぁどうぞ、ゆっくりぱっくりいっちゃって♪」

優しい屋台の食べ物は、ほんわか優しい味がした



「ありがと、とっても美味しいわ」

「ありがとありがとそう言って、もらえるとほんとに嬉しいな」

お礼を言ったらそのお礼、一つおまけでかえってきたの

何はともあれ夏さんは、ここにはどうやらいないみたい



優しい屋台を後にして、私はふわっと舞い上がる

夏さんどこかな知らないけれど、ともかく探して飛んでいこう





ふわふわふわふわ飛んでって、しばらく空を旅したら

ふわふわ耳の兎さん、てくてく竹林歩いてた

「ねぇねぇそこの兎さん、夏さんどこか知りません?」

「うーん夏さん?それはどこだか知らないわー、それよりお得で耳寄りな…」

あっさり最初に言い返されて、私はしょんぼり沈み込む、ふわふわぶくぶく沈み込む

しょんぼり沈んだ私を見てた、ふわふわ耳の兎さん、慌てて焦ってこう言った

「そうそう、ちょっと耳寄りな、お話を思い出したのよ」

「え…?よかったらちょっと教えて下さいな」

耳より情報に耳を寄せて、私は兎さんに近寄った

「そうそう、この先もっと先、ずんずん行った大きな森に、小さな沼があったのよ。そこに棲んでる大ガマは、聞いたら大層長生きで、大層物知りらしいのよ」

指を一本口の前、立ててしゃべった兎さん、最後に一言こう言った

「私に会ったらそうしたら、みんな誰でも幸せに、なれるとちゃんと決まってる。だからあなたも幸せに、なれると私の保証付き」

にっこり笑った兎さん、自信満々そう言った

「そうなのそうなのそうなんだ、ありがとありがと兎さん」

ばいばい手を振る兎さん、そんな彼女に別れを告げて、私はどんどん舞い上がる、元気一杯舞い上がる





澄んだ青空突っ切って、私はどんどん進んでく

身を切る風は怖いけど、もうすぐきっとこの先に、みんなが待っているんだわ

そんな私は精一杯、元気一杯進んでく





どんどん進んで川を越え、野原を越えて進んだら、何やら森が見えてきた

緑の森の上に行き、うろうろ周囲を見回して、私は沼を探してた

「うーんどこかなどこにある?」

きょろきょろ見回す私の顔の、向こうに何かがちょこっと見える

大きな森の真ん中に、小さな沼が見えていた

「あったよあった、見つけた見つけた♪」

喜びいさんで飛んでいく、私はそこへ飛んでいく

私はそのまま飛んでって、緑の森の真ん中の、水色の穴に飛び込んだ



「こんにちわここに大ガマさん、棲んでいたりはしませんか?」

私がそう叫んだら、力一杯叫んでみたら、濁った水がぶくぶくいって、澄んだ目をした大ガマさん、のっそりゆっくり浮上した

「ふむ珍しい、ひまわり妖精とは珍しい、一体なんのご用かな?」

のんびり言った大ガマさんに、私はにっこり笑ってこう言った

「夏さんどこだか知りません?」

「ふむ…」

私の言葉に大ガマさん、ふむと言うなり黙り込む

ゆっくりのっそり黙り込む

何でどうして知らないの?不安になった私の方に、大ガマさんはこう言った

「ふむ、夏を探してどうするのじゃな?」

「はい、みんなと遊びます」

みんなで遊んだあの頃に、私はただただ戻りたい

せっかくだから夏さんも、混ざって一緒に遊びたい

期待一杯そう言った、私の答えに大ガマさんはこう言った

「ふむ…それならやむなし仕方なし、きっと夏には会えないが、これから言うその場所へ、ちょっと行ってみるがよい」



大ガマさんに場所を聞き、私はふわっと舞い上がる

夏さん会えない残念だけど、みんなと会えるそれならば、まあいいかなってそう思う

「ありがとどうも大ガマさん、これからちょっと行ってみます」

「ふむ、それでは十分気をつけて」

ゆっくり言った大ガマさん、私はありがと手を振って、ふわふわ空へと舞い上がる





私はどんどん飛んでいく、目指すはどこか飛んでいく

そろそろお日様傾いて、ますます風は冷たくて、ここはとっても寒かった

「うーん急ごう頑張ろう、みんなの所に行ってみよう」

吐く息白く空に消え、このまま私も消え去りそう

怖くなった私の羽根は、ふわふわぱたぱた空をかく、ぱたぱた必死に空をかく





「うーんとここかな、この野原?」

そう言う私が舞い降りた、大ガマさんが言っていた、ここが私の目的地?

「でもでも誰もいないみたい…」

寂しく風吹く草原は、誰もどこにも遊んでいない

私も寂しくなってきて、疲れて寒くて座り込む

「はぁ」

だけど私がため息ついて、ふわって野原に座ったら、突然誰かが側に来た

「あら、ひまわり妖精がなぜここに?」

くるくる傘さし側に来た、その人は不思議そうにそう言った

「あのあの夏さん探してて、大ガマさんが来るように、そう言っていたから来てみたんです」

突然言われて驚いた、焦った私はそう言った

「そんなに焦って言わずとも、私は逃げたりしないわよ」

そう言う彼女に私は落ち着く、しっかりゆっくり深呼吸

そしてゆっくり、かくかくしかじか事情を言った



「そう…」

私の言葉に黙り込む、女の人は黙り込む

だめかなだめかなこの人も、やっぱり夏さん知らないの?

夏さん知らずに友達が、どこにいるかも知らないの?

みんなどこに行ったのか…誰も誰も知らないの?

だけどその人こう言った、しばらく経ってこう言った、にっこり笑ってこう言った

「今は夏は休んでいるの、来年貴方と遊ぶため。くるくるくるくる季節は巡る、今は夏に逢えずとも、必ず未来に逢えるでしょう」

そう言う彼女は傘を持ち、くるくる回してこう言った

「だから貴方も休みなさい、ゆっくり静かに休みなさい、今はしっかり休みなさい」

優しく言ったその人は、優しく優しく頭を撫でた

「そうなの起きたら夏さんも、みんなも側にいるのかな?」

そう言う私に微笑んで、彼女はしっかりこう言った

「必ず逢えるわ必ずね、季節は巡るくるくる巡る、夏が過ぎ去り秋が来て、冬になって春になり、その先にあるのは夏なのです」

くるくるくるくる傘を回し、彼女ははっきりそう言った

「そうなのありがと、それなら私は休みます」

その人の言葉に安心し、私はゆっくり目をつぶる

今度目を覚ましたその時に、きっと側に夏さんと、みんながいると安心し、私はゆっくり目をつぶる



「お疲れ様、来年また逢いましょう」

頭がやわらかで暖かな、何かにふわっと乗ったとき

頭の上から暖かな、言葉がふわっと舞い降りる



私はゆっくり眠ってく

今度目覚めたその時に、友達夏さんひまわりさん、みんなで一緒に遊びましょう





『おしまい』
 夏はどこに行ったのか、気になったことはありませんか?

 そんなこんなで書いてみた三番目の絵なし絵本です。読み終わった時に、ほのぼのと優しい気持ちになっていただけたのなら、作者としては至上の喜びです。
 何かご意見ご感想がありましたら、どうかどうかよろしくお願いします。
アッザム・de・ロイヤル
[email protected]
http://blogs.yahoo.co.jp/s310hantou
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コメント



0.1010簡易評価
9.100名前が無い程度の能力削除
あったかさに感動しました
ほのぼの
11.90名前が無い程度の能力削除
ほのぼのとした感じだけど移り変わる季節や別れを感じさせ、しんみりともしました。ほのぼのだけどしんみり。
14.90たわりーしち削除
ほのぼのしてていいねぇ。このごろ色々殺伐としてたんで、こういうのを読むと心が癒されます。
18.100名前が無い程度の能力削除
なんとも癒される…
22.無評価アッザム・de・ロイヤル削除
 ご感想ありがとうございました!

>名前が無い程度の能力様
 そう言って頂けますと♪寒くなってきましたが、心はいつも暖かくしていたいものですww

>二人目の名前が無い程度の能力様
 私もしんみりしながら書いていました。私は夏っ子(何?)ですので、夏がいなくなるのは寂しいのです。
 くるくる巡って来年また会えるのを楽しみにしています。

>たわりーしち様
 さ…殺伐としていたんですか、少しでも癒して頂けたのなら幸いですww

>三人目の名前が無い程度の能力様
 そう言っていただけますとこちらも癒されます。
 でも、実は、癒し系のお話を書いていると、自分自身が一番癒されていたりするのです。
23.80SETH削除
ほのぼの感がうつろう季節の寂しさを際立たせているというか
なんとうかw

くるくるくるくる
25.無評価アッザム・de・ロイヤル削除
>SETH様
 ご感想ありがとうございました!そう言って頂けますとww
 >ほのぼの感がうつろう季節の寂しさを際立たせているというか
 書いている内に、自分で寂しくなってきたりしてしまったのです…
28.90削除
こう、詩というか唄というか文に一定のリズムがありますね。
子供に読み聞かせとかできそう。

ほのぼのでとても良かったです。
29.無評価アッザム・de・ロイヤル削除
>翔様
ご感想ありがとうございますww
 >こう、詩というか唄というか文に一定のリズムがありますね。
 >子供に読み聞かせとかできそう。
 そう言って頂けますとww
 リズム感を出して、考えてもらうより感じてもらいたいなぁとか思っておりましたので、とても嬉しいですww