Coolier - 新生・東方創想話

白黒と宵闇の交遊日和 二日目

2006/09/23 11:07:26
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※この作品は作品集30においてある同名作品の続編になっています、先にそちらを読んでおくとある程度の繋がりが理解でき、楽しめると思います。





先日の図書館特攻で気絶したルーミア、だが症状は極めて軽く、半日足らずで目を覚ました。
が、もう一日ぐらい様子を見たほうが良いと言うパチュリーの言葉と、心配する魔理沙の意向もあり、今は霧雨邸のベッドで安静状態である、当の本人は特に後遺症といったものも無く、既に普通にはしゃぎまわりたいのではあるのだが。


「うおーい、飯が出来たぞー」
そう言うと魔理沙は、ドアを豪快に開け放ち、食事の乗ったお盆を片手に部屋に入る。
「わーい、ご飯だご飯だーっ」
食事の時間と聞くや否やベッドから飛び起き、魔理沙に飛びつくルーミア。
一方魔理沙はお盆を片手に持っているせいか、ややバランスを崩すが、すぐに持ち直した。

「おいおい、まだ余り動き回るなよ?とりあえずこの飯食い終わったら出かけるからその時まで待て、な?」
「はーい」
はしゃぐルーミアをそう言って制止する魔理沙と渋々ベッドに腰掛けるルーミア。
魔理沙はそこら辺に倒れてた椅子を起こして、それに腰掛ける。

「それじゃあ冷めない内に食うとしようぜ」
「うんっ」
「「いただきます」」
食事前おなじみの会話を交わし、昼食を取る2人。
ちなみに献立は簡単な物だが、少女2人で食べるには少々数が多いおにぎりである、調理者の性格が割と出てくる具は魔理沙が適当に入れている。
具無しの塩握り、梅干、肉など、割とバリエーションに富んでいた。

「それにしてもまりさって料理うまいよね、何にしても」
素直に料理、と言えるのかどうかは少々怪しいが味を褒めるルーミア。
「よせやい、照れるぜ、でもおにぎりは形に拘らなければ割と簡単なんだぜ?」
「そーなのか?」
「そうだぜ、あくまで外見を無視すれば、の話だがな」
「そーなのかー、それじゃあ私にもつくれるの?」
「おうっ、形の作り方次第は結構簡単だからな」
そんな握り飯講座を開く魔理沙と生徒になっているルーミア、講座を開くものでもないだろう、という思いは各々の心の中にしまって置くのがいいでしょう。
2人しておにぎりをほお張りながら会話している、恐らく2人とも食事のマナーなど既に忘れているようだ。
いくら簡易的な食事といっても最低限のマナーは守って欲しい所だが、という思いは各々の心の中にしまっておくことにしましょう。



そして数分後、割と多かったおにぎりもあっという間になくなり、食後の休憩中。


「~♪」
やけにご機嫌な表情で口笛を吹きながら水作業をする魔理沙。
といっても大皿一枚と湯のみ2個だけなので凄まじく短時間で終わる。
夏場の憩いの時間でもある水仕事、それが早々と終わってしまうのは残念だが魔理沙曰く「水は大切に、だぜ?」とのことなので仕方が無いだろう。


それはさておき。

魔理沙は起床してすぐにいつもの服に着替えているため、今にも出かけられる状態だが、問題はルーミアである。
如何せん昼食前まで寝ていたため、魔理沙から借りている薄手の寝巻き一枚、家の中ではさほど問題は無くてもそんな格好で外に出るとなると大問題である、幼いとはいえ一少女が薄布一枚で外に出るのは色々と不味い。

ということで、ルーミアは現在できる限りの最高速度で着替えている、が、一応釘を刺しておくと、覗くという不純な真似はしないほうがいいだろう、物理的な意味でルーミア本人に食べられてしまったり、魔理沙に魔砲を撃たれ、吹き飛ばされても責任は取らない。

さて、そんな妙なことを言っている内に着替え終わったようで、玄関先から2人が出てくる。
流石に夏場は暑いせいか、2人とも薄着、詳しく話すと魔理沙は言わずもがな、ルーミアは黒のロングスカートは変わっていないが、黒の上着は無く、白のブラウスも半袖になっている。
2人とも、夏らしく涼しそうな格好をしているが、魔理沙はよく分からない物体の塊を箒にぶら下げたり乗っけたりしている。

そのためか今回は徒歩で出かけるようである、比較的近場なのかも知れないが。
「ねーねー、まりさー、今日は何処に行くの?」
いつものように満面の笑みを浮かべながら質問するルーミア。
「あぁ、この辺で水場を見つけてな、ちょっくら水浴びと行こうと考えてな」
「そーなのかーっ!それなら早くいこうよーっ」
「おいおい、そんな焦らなくてもすぐに見えてくるから引っ張るな~、荷物落としちまうだろーがっ」
水浴びと聞いて大はしゃぎのルーミアと、思いっきり引っ張られる魔理沙、荷物を落とすとは言うが、実際に荷物を背負っているのは箒である。
そんな言動と行動の矛盾している魔理沙は、顔と言葉では狼狽しているが、実際はまんざらでもない様子であった。



そして水場へ到着する2人。

そしてしばらくの静寂。

「・・・・もしかしてこの服のまま入るの?」
「・・・・・・・・・はっ?」
先に口火を切ったのはルーミアだ。
突拍子も無い質問に呆気に取られた様子の魔理沙と首をかしげて答えを待つルーミア。

呆気にとられ、しばし呆然としていた魔理沙、依然ルーミアは頭にハテナマークを浮かているような顔をしている。
お互いにしばらく硬直していたが、質問の意味を理解し、折れたのは魔理沙だった。
「くっくっくっくっく・・・・・・・・・、あっはっはっははははっ!おいおい、流石にそんなことするわけ無いだろーっ、あー、苦しー」
「な、何が可笑しいのよーっ!」
長い硬直が解け、質問を理解し、その内容に爆笑する魔理沙。
そんな魔理沙を見て、顔を赤くしたルーミアが苦情を顕にする。
「いやぁー、すまんすまん、純粋で真剣なお前が可愛いんだが可笑しくてなー、あー、笑いが止まらないぜ、あっはっはっ」
事情を要約するとこうである、あまりにも突飛な質問が飛んできたので、しばし固まっていた魔理沙だったが、次第に質問の意味を理解し、突然沸いてきた笑いをしばらくは堪えていたが、感情の堰が余り高くない魔理沙である、その堰も割とあっという間に崩れ、笑いがむき出しになったのである。
「だからこれ以上笑うなーーーーーっ!」
流石にルーミアも我慢の限界の様子のようで、顔をさらに真っ赤にして精一杯叫ぶ。
その後少しの間だけ魔理沙と口を聞かなかったのだが、魔理沙の懇願により、仲直りしたのだがそれは別の話。




で、いつの間に着替えたのかは知らないが、2人はやたらと薄地な服、香霖曰く、水着と言うらしい、に着替えて、湖で遊んでいた。
「いやー、夏場はやっぱり水浴びに限るぜー、なぁルーミア?」
「うん、そーだねぇー」
魔理沙は水上で気ままに泳ぎながらルーミアに問い、そのルーミアは浅瀬で座り、涼しさのせいか間延びした声で答える。

その直後、魔理沙は岸辺に戻り、何処から持ってきたか分からない荷物をあさる、しばらく見ているとその中から透き通った透明の輪が出てくる、しかも妙に大きい。
「んじゃー私も水上の昼寝としゃれ込むとするかなー」
そういうとその巨大な輪を水に浮かべ、腰を輪の隙間に入れるとうぃー、とか妙に親父臭い声を上げながらくつろぎ始める。
するとルーミアもそれに習ってか、力を抜き、水に身を任せ、水面に浮かぶ。

しばらく2人で漂っていたが、ふと魔理沙が起き上がり、ルーミアの方を見る。
随分と脱力し、ただぼーっと晴天の青空を眺めているルーミアを見て、何かを思いついたように微かに笑い、音を立てずに泳いでゆく。


「・・・・・・・・・・・・・・・、まーりーさー、ってあれ?」
ルーミアも魔理沙が居た方向を見る、がその場所には巨大な輪、魔理沙曰く、浮き輪というらしい、物以外他には何も無かった。
どこいっちゃったんだろ?と考え、浮かびっぱなしの体制は崩さずに横目で左右を見るが、何処にも見当たらない。
木陰で休んでるのかな?と思いながら視点を再度上に向ける。
空に浮かんでるのかな?とも思ったがそこにも姿は無い、うーん、どうしたんだろう?と考えた矢先、ふと体が持ち上がる感覚がする。
一体何?と思いつつ上と左右前後を見渡してみる、が誰も居ない。
「えっ?えっ?一体何?」
と混乱するルーミア、そんな最中、さらに少しだけ浮かぶ感覚の直後に、今度は落下する感覚。
めまぐるしく変わる状況についていけず、困惑している内に水に叩き付けられる。

そんな状況から抜け出そうと必死にもがいて水上に顔を出す、すると目の前にある魔理沙の顔。
「はっはっはっは、いやー、思いのほか簡単にいったぜ、どうだ?驚いたろ?」
目の前でニヤニヤしながらルーミアを見つめる魔理沙、最初は状況がつかめず、ただ呆然としていたが、次第に状況を掴むと安堵と驚愕の感情が同時に出たのか、実におかしな顔をする。
「突然居なくなったと思ったら下から出てくるなんてー、もー」
「いやぁー、悪い悪い、お前を見てるとついついからかいたくなっちまってな、心配させちまったみたいだなー」
ルーミアの心配と呆れが混じった言葉に対し、頭をかきながら謝罪の意を表す魔理沙、今回で謝罪は2度目だが、お互いにそんなことは覚えていないし考えてもいない。

その後しばらく、水を掛け合ったり、水上で肩車したりと色々やっていたが、楽しい時間ほど経過するのは早く感じるもので、気付くと日は傾き、もう少しで夜になるところであった。

「よし、もう時間が時間だしな、そろそろ帰ろうぜー」
「うんっ、流石に疲れちゃったし、おなかも空いちゃったよ」
「そうか、なら帰って晩飯の準備でもするかー、と思ったが偶には屋台にでも行くかな」
八目鰻屋台の店主、ミスティアによれば今月は魔法の森近辺を中心に店を出すとのこと、せっかく近くにある外食の機会なので寄っていこうと考えていた。
「屋台って、ミスティアの?」
何かを思い出したような顔で質問するルーミア。
「おう、そうだぜ、ってお前店長と知り合いなのか?」
「そーなのだー、前に飛び回ったりして今はもう友達なんだー」
ほほう、と頷きながら笑顔を浮かべる魔理沙、その笑顔の裏では友達価格で値引き、あわよくばタダ食いしてやるぜ、とか黒いことを考えている魔理沙だった。



その後の深夜、べろんべろんに酔って、出来上がってしまった白黒魔法使いとそれを介抱する宵闇の妖怪が目撃されたとかされなかったとか。


~続く?~
どうもお久しぶりに姿を現しました、紫苑でございます。

毎度変わらず余り長くない私の作品ですが、今回メモ帳に書いて、サイズを見たら9kb、やっぱり短いですなぁ。

本来は8月中に出すつもりが滅茶苦茶に遅くなり、結構季節外れになってしまいました。
まぁ本来は前作で斬ろうと考えていたのですが自分にしてはお?と思った作品でもあるのでしばらく続けることに。
ところどころルーミアの台詞がひらがなになってたり感じになってたりするのはわざとやってます。
若干口調がチルノっぽくなってるところもありますがまぁ。

そういえば近年いかだとか、何らかの動物の形をした浮き輪?を見ることがあるのですが、普通の丸い輪っかの浮き輪を見ないのは気のせいでしょうか?(そう考えて作品中に普通の浮き輪を出したのだが)

相変わらず拙著な文章力ですがこれからもよろしくお願いします。
紫苑
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