Coolier - 新生・東方創想話

そんなエサに俺様がこぁクマー!

2006/08/17 12:59:40
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 それが目の前に現れたとき、私は驚きよりも先に怒りがこみ上げてきた。
 質とか量とかそういうことではなく、例えば私は魚が食べたいのに肉が出てきたような、そういう
状態を想像してくれると分かりやすいと思う。
 そういうわけで私は、全頁に渡って白紙の本に目を落としつつ、恨めしげに息を吐いた。

「どぉも~始めまして~、ワタクシ魔界のほうから参りました、『あなたの人生素敵にサポート』が
モットーの」

「戻れ」

「うわぁ辛辣」

 ニヤケ笑いを浮かべながら擦り寄ってくる悪魔的な何かは、口調こそショックを受けたようである
けれど、その実『この程度では私はまったくへこたれませんよ』というオーラを隠し切れず漂わせて
いた。理より勢いを優先する輩は私の苦手とするところである。悲しいことに、この幻想郷とやらで
は勢いを優先する輩の割合がとても高い。そして笑い出したくなってしまうことには、この目の前の
存在もそうであるらしい。

「まぁまぁまぁ話だけでも聞いていただけませんか~。何しろコチトラ呼ばれるまではすることない
ものですから、暇をもてあましていたわけですぐに戻れというのは余りにも酷なお言葉」

 思ったとおり即座に立ち直り、あくまでも表面上は卑屈に、手を合わせながらぺこぺこと頭を下げ
てくる。
 私はもう一度息を吐いた。

「よし、じゃあこうしましょう。第一の願い、戻れ。そして第二の願い、二度と出てこないで」

「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ」

 まぁまぁまぁまぁ煩い悪魔である。私は静謐を愛する魔女なのだ。書は喋らない。従って文句を言
わない。素晴らしい。深い深い沈黙の世界で時折紙をめくる音だけが響く、そんな人生を送りたいも
のだと私は常々思っていた。そしてそんな人生がついに訪れようとしていた。素晴らしい。
 そう、ここに至るまでの道のりは実に長いものだった。アカシャの具現とも言われる大ヴワルの存
在を聞き知ってより、眠い目をこすりながら存在を確定するのに云年、喘息に苦しみながら空間をつ
なげる術式を編むのにさらに云年、体力のない己が身を鞭打って召喚に適した霊場を探すのにまたま
た云年、そしてやっと見つけた場所には既に真っ赤な館が鎮座ましまして、かくなる上は是非もなし、
制圧せんと殴りこみ、戦いの果てに館の主と芽生えた友情を胸に、貧血で何度も倒れかけながら自分
の血液で魔法陣を書き、全魔力を注ぎ込んでようやく、ようやく私はここに辿り着いたのだ。
 だというのに、その素晴らしきものになるであろう我が図書館人生は、この締まりのない営業スマ
イルを浮かべる悪魔的な何かによって、一日目にして早くも崩壊しつつあった。私は本を読みたいだ
けなのに。

 事態を解決するため、こうなるに至った状況を整理してみよう。
 1.ふと目に止まった本を開いた。
 2.本が光ってこいつが出てきた。
 以上。

「おや、どうしたんですか、突然本をこすりだして」

「いえ、ランプの魔神はこうすると戻ってくれるらしいから」

「ランプの魔神ですか。あれはいけませんね。あいつらがリスクなしで願いをかなえてあげたりする
から、私達の評判が相対的に下がるのですよ。いつか話をつけなければならないと常々思っておりま
す」

 うんうん、と悪魔的な何かは腕を組んで言った。どうやらこれでも戻ってくれないらしい。ライバ
ルに対する意地のようなものだろうか。
 それから、なんとかして帰ってもらえないものかと、語りかけてくる悪魔的な何かを無視し、本を
閉じてみたり叩いてみたり逆さにしてみたりしたが、特に何も起きる気配がない。ならばと魔力を通
して精査してみたが、微弱な魔力の残りかすが検知されるくらいで、あとはただの紙という答えが返
ってきた。仮にもこんなモノを召喚するくらいなのだから、羊皮紙に血のインクとかカバーが人間の
生皮とかでも別に驚きはしないが、ただの紙と来るとむしろ逆に驚きである。

「あ、その本はただのスイッチというか、呼びベルみたいなものでして、私は自分で頑張ってゲート
開けて来たんで、それをどうしようとこれ以上特に何も起きません」

「先に言いなさい」

 角で殴りかかってみた。空振った。

「というか、なんなのあなた、そもそも」

 言った後でしまったと思ったが時既に遅し、見かけによらず素早いフットワークを所持していた悪
魔的な何かは顔面に大輪の食虫花を咲かせてずずいと迫ってくる。

「はい~! 私は先ほども言いかけましたが、魔界のほうから参りました、『あなたの人生素敵にサ
ポート』がモットー、『ドキワク☆あなたのメフィストフェレス(株)』の訪問員でございます!」

 楽しげに揺れる頭部の羽っぽい何かが実に癇に障った。なんなのそれ、角? 角の代わり? 魔界
ではそんなのが流行りなの?

「そういうわけであなたの人生を素敵にサポートさせてください」

「間に合ってます」

「そのにべのない断り方……さてはあなた様はSですね? 私どちらかと言うと実はMなんですけれ
ども、その容赦のないSっぷりには不肖ワタクシ、感じてしまいそうです」

 駄目だこいつ。私は眉根を寄せた。まだ数分しか相対していないというのにこの気力の削られよう
ときたら、まったく相当な根性の持ち主と言わざるをえない。この際消極的でも積極的でもいいから、
この阿呆な存在を目の前から消す方法はないものだろうか。

「そうだ、物理的に消し炭にするという方法もあるわね」

「ははは、甘いですね。私をここで倒しても、いずれ第二、第三の訪問員があなた様の元に現れるだ
けですよ。そういうことですので、最近何か悩み事はございませんか?」

「悩みらしい悩みと言うなら、あなたのことが本気で腹立たしいんだけど、どうしたらいいかしら…
…」

「腹立たしい! よくありませんね、怒りは思慮を失わせ、全体的に小じわが寄って美貌も損なわれ
ます。重要なのは慈愛の心です。山川草木皆仏性、あらゆる物事に慈しみの心を持ってこそ悟りへの
道も開けるというものですよ?」

「慈しみの心を持つことと何でも笑って済ませることは、違うと思うのよね私」

 私は三度、息を吐いた。これは腹をくくらなければならないのだろうか。私は本を読みたいだけだ
というのに、現状は変態と仲良く漫才である。立ちっぱなしで。私に恨みを持った誰かが仕込んだト
ラップだといわれても、今の私は素直に信じるだろう。

「どうしてもおとなしく帰ってくれはしないのかしら」

「ええまあ、私にも色々と事情があるものですから」

「どぉーしても?」

「話は変わりますが、周囲の仲間からは私、『マムシ』の異名をとっておりまして」

「定年間際の刑事?」

「『スッポン』の異名もいただいております」

「私のこと、運が悪いと思うかしら?」

「いえいえ、あなた様はまったくもって素晴らしい幸運の持ち主でございますとも」

 私は深く、深く息を吐いた。

「……いいわ。何か言いたいことがあるなら、聞いてあげるから好きなだけ言いなさい」

「恐れ入ります」

 目の前の悪魔的な何かは慇懃な笑みを浮かべ、こうして、第一ラウンドにおける軍配は相手側に上
がったのだった。

「さて、こうして合意も形成されたことですし、いつまでも立ちんぼというのもなんですから、申し
わけありませんがどこか座れるところはありませんか?」

「うっさいずっと立ってなさい」

「うわぁ辛辣」

 悪魔的な何かは先ほどと同じように、表面上はショックを受けた風を装った。ただし目の笑いは崩
れる気配を見せず、そしておそらくはそれを気づかせるのも計算のうちだろう。実に気に障る。

「で、あなたなんなの」

「『あなたの人生素敵に』」

「それはもういいから。業務内容。手短に」

 ふむ、と悪魔的な何かはあごに手を当てた。

「業務内容と申しましても、おそらくあなた様が想像なさっていることと同じかと思われますが」

 手をあごから放し、ぴ、と人差し指を立てる。

「私があなた様の望みを何でもかなえて差し上げます。一つかなえましたら、ではもう一つ、という
具合に、最大で三つ。その代わり、死後にあなた様の魂を私がいただきます。なお、その魂がどうな
るかは企業秘密でお願いします」

「何でも?」

「ええ、私の気が向かないこと以外でしたら。帰れとか出て行けとか」

「ちっ」

 確かにその通り、悪魔的な何かが説明した業務内容は、それだけ聞けば、使い古されたスタンダー
ド・タイプな悪魔の誘惑と言えるものだった。どうしても成し遂げたいことや実現させたい欲望を持
っているけど自力でやるのは無理っぽいという人間が、魔道書や魔法陣などを駆使して稚拙な魔法を
発動させ、稚拙ながらに悪魔を呼び出す。悪魔は呼び出した人物の言うことを何でも聞き、彼ないし
彼女は幸福の絶頂を得る。しかしそれは長く続かず、必ず何かしらの落とし穴にはまってその人物は
幸せの椅子から転落し、最期には悪魔に魂を刈り取られるのだ。
 まあ、今回の場合、相違点は呼び出されてもいないのに来たところと、特にかなえてもらいたい望
みもないというところだが。

「いや、結構致命的なんじゃないの? それ」

「なにがですか?」

「そもそも、なんで呼んでもいないのに来るのよ」

 呼んでもいないのにやってきて、特に欲しくもないものを売りつける、そのような存在を一般的に
は押し売りという。しかも代金は少々お高めだ。悪魔達がこぞってそのような行動をとり始めた日に
は、遠からず最終戦争の開始を告げるラッパが鳴り響くだろう。

「もしかして、私が知らなかっただけで、世界の終わりは既に近づいているのかしら」

「そうですねぇ、年代的には千年少し前から末法の世ですが。でも諦めてはいけません、五十六億年
ほど頑張れば弥勒菩薩さんが助けに来てくださいますよ。お互い頑張りましょう」

「長生きしたいものね」

「ええまったく。……ところで、ご質問の件ですが……」

 ここに来て始めて、目の前の存在は逡巡するという行動を見せた。これも演技であるという可能性
も否定できないが、少なくともあまり言いたいことではないようだ。言いたくないことであるのなら
ば、それは付け込む隙となりうる。ここは無理にでも聞き出しておいて、今後の主導権を握る布石と
するが得策だろう。

「言えない、と?」

「いえ、いえいえいえ、言いますとも。なにせ私ども悪魔は、誠実を旨とする種族なのです。天使と
かいうどこぞのビッチどもとは違うのです。なにせあいつらは、困っている時にロクに手助けもして
くれないのに、文句だけはつけてきますからね。その点悪魔は、嘘偽りなく人々に接します。どのよ
うな質問にもお答えいたしますよ」

「悪魔と誠実ねぇ。まあ確かに、知り合いにも悪魔がいるけど、正直な子ではあるわね」

 正確には、自分に正直、なのだけれども、まあ正直には違いない。でしょう、と悪魔的な何か……
そろそろ悪魔でいいか……は胸を張った。
 平らだった。

「ん? ああいえ、なんと言いますか、これは別にマニア狙いというわけではなくてですね、対象が
女性なら別にそういうサービスは必要ないのではないかと思いまして。お望みとあらば大きくします
けれども。膨らましますか?」

「いいわよそのままで」

「あぁ、はい、ありがとうございます。正直なところ、大きくすると大きすぎて日常生活には邪魔な
のです。大と小があって中がないのですね。融通のきかない体だと思います」

「はいはい。で?」

 悪魔の体質なるものについて気にはなったが、私が先を促すと、また少しの間悪魔は悩んでいたが、
やがて意を決したように滔々と語り出した。

「いえですねあのー、私の所属している『ドキワク☆あなたのメフィストフェレス(株)』、略してス
トレスなんですがね、この間ついに民事再生法を適応されちゃいまして、往時の栄光今いずこー、っ
てことで無常を感じることおびただしいんですが、まあそれはいいんですけども、責任問題とかで経
営陣のクビが皆飛んじゃいまして、いや、正直スッとした部分もあったんですよ、あのセクハラ女王
には皆うんざりしてましたし。でも代わりにメインバンクから新しい社長がやってきたんですけど、
これがまたもう渋くて渋くて、男の精は一回で吸い尽くさずに三回くらいは持たせろーなんて言っち
ゃって、ティーバッグかよ! って皆で憤慨して」

「あの、それ、長くなる?」

「ああいやいや、すぐに終わります。要は寝技でも何でも使って契約取って来い! って言われまし
て、寝技なんていつも使ってるような気もするんですが、じゃあ私もひとつ本気で契約取って来よう
かと、ちょっと魔力を持った人ならなんとなく開いてみたくなるような魔法をかけた本を作りまして
ですね、開いたら召喚成功と見なして出て行く仕組みをこしらえたんですよ。そしてゲートを開きま
して、本が一杯ありそうな場所によく見もしないで放り込んだんです。そしたらここ魔法図書館って
言うんですか、ここに転送されてしまったみたいでして、誰も来ないよこんなとこ、って腐ってたん
ですけれども、そこにあなた様が来てくださって、まことに縁は奇なモノと申しましょうか」

「もういい」

 頭痛がしてきたので、私は左手をこめかみに当て、右手を眼前にかざし、悪魔のおしゃべりをさえ
ぎった。悪魔はにこやかに続けた。

「分かっていただけましたか」

「ええ、悪魔の業界も色々と世知辛いって事がよく分かったわ。できれば知りたくなかったけど」

「使いますか? 寝技」

「遠慮するわ」

「凄いですよ?」

「いらない」

 人生に無駄な知識などないというのが、名前にノーレッジを冠する私の信念であり、したがって、
このしょうもない知識も、弱みにはなりそうもないが、きっと無駄ではないんだと私は自分に言い聞
かせた。使いどころはまったく思いつかなかったけれど。

「ふぅ……じゃあ次の質問。何でも願いをかなえてくれるのね?」

「ええ、私の気の向くことでしたら。でも、大体は何でも気が向きますよ」

「なら、参考までに、今までで一番無茶だった願いを教えて欲しいわね」

 悪魔は視線を宙に漂わせ、そうですねぇ、と記憶をたどる。

「あ、あれです、『私のお姉さまになってください!』って言われたのが一番辛かったです」

 お姉さまと聞いて、私はこの館のどこかにいるのだろう少女を瞬間的に思い浮かべた。もちろん、
彼女ではあるまい。彼女なら、目の前のこれが面倒なことを言い出す前に、魔杖で焼き尽くしてしま
うだろうから。

「お姉さま? 夢見がちな少女が妄想するような?」

「話が早くて助かります。ええ、まさしくそれなんですけどね」

 悪魔は一旦言葉を切った。

「四十代の男性でして」

「きっついわね」

「新手の精神攻撃かとも思ったのですが、あいにくと本気でございました」

 私はうっかりその情景を想像してしまい、軽くダウナーな気分に陥った。四十代と言えば、最近は
人間も平均寿命が延びたようで、一般に働き盛りといえる年代である。妻子もいて、子供はもう二十
を越えているかもしれないし、ひょっとしたら腹が出ているかもしれないし、生え際が悲しいことに
なっているかもしれない、そんな男がお姉さまが欲しいと。きっと幼少の折に、何か悲しいことが彼
の身に起きたのだろう。そしてその傷はどれだけ年月を重ねてもふさがることがなく、彼の心から血
を流し続けていたのだろう。

「一応聞くけど、その願い、どうしたの?」

「ええ、なりました、なりましたともお姉さまに。それが私どもの使命であり、存在理由なのです。
ですが、続けているうちに、その男性が嗚咽を漏らし始めまして。もういいんです、ありがとう、あ
りがとうと泣きながら手を握られて、私はいったいどうしたものだろうと」

「そう……」

 私は息を漏らすように言葉を搾り出し、光射さぬ暗い天を仰いだ。

「生きるって……難しいわね……」

「だからこその悪魔なのです」

 ああ、なんと人生なる物のままならないことか。だから人生というのは嫌なのだ。私は一生本を読
んでいたい。心に内側から鍵をかけて、ただの知識と成り果てたい。
 あるいは目の前の存在なら、そのような願いもかなえてくれるのだろうか。
 いや……

「……話がそれたわね。今の話も興味深かったけど、私が聞きたいのは、例えば私が宇宙大統領にな
りたいとして、そんな願いを果たしてあなたにかなえられるのか、てことよ」

 もちろん私は宇宙大統領になどなる気はない。私の狙いはこうだ。目の前の悪魔が例えどれほど力
を持っていたとしても、できることとできないことはあるだろう。そこで、私は彼女に、到底かなえ
られそうにない願いを言う。無理ですと言われたら、そんな奴に用はないから帰れ、と、こういう流
れである。話を聞いてやることは認めたけど、契約なんて結ぶ気は当然ない。私の魂は私のものであ
り、かなえたい願いは私が私の力で、必ず可能にしてみせる。これが知識と日陰の魔女、その矜持と
いうものである。

「宇宙大統領ですか。宇宙大統領がどういう存在なのかは分かりませんが……ちょっとやれと言われ
ても、できそうにありませんね」

「無理だ、と?」

 私は心中ひそかにほくそえんだ。しかし悪魔はにんまりと笑うと、いえいえ、と首を振った。

「確かに私の力であなた様を宇宙大統領にすることはできませんが。そもそもそんな地位、ないと思
いますし。ですが、あなた様自身の力で、宇宙大統領になることが可能なようにすることは可能です」

「意味が分からないわね。願いをかなえてくれるのはあなたで、私じゃないでしょう」

「そうですね、ちょっと宇宙はスケールが大きすぎるので、世界征服ということにいたしましょうか。
世界征服に必要なものは……酷く大雑把に言って、力ということになりますが」

「そうね」

「そこで私は、私ができることとして、王者の椅子の代わりに、あなた様が今以上の力を発揮できる
よう、魂と契約を取り付けます。世界一の幸運や、世界一の財力もおまけでつけましょう。そうする
ことで、あなた様は実質的に世界の頂点に立たれますし、その気になれば世界征服も不可能ではござ
いません。ご自身で願いをかなえられるようにするとは、こういったことでして」

 なるほど、と私は素直に感心した。一見ただの屁理屈だが、私にとっては、「実」こそが全てであ
る。私の友人のような、名誉と体面を重視するタイプであれば、目の前に王者の椅子とひれ伏す臣下
がいなければ納得すまい。しかし、魔女は現実主義者。実際にそれが可能であると――私の妄想でな
く――確信した時点で、夢想はただの知識へと堕す。宇宙大統領になるためには、宇宙大統領に必要
な資質を誰よりも持っていればいい訳で、ここにそれがあるなら、私は実質的に宇宙大統領のような
ものなのである。

「そういうわけで、もしあなた様が宇宙大統領の地位をお望みでも、私ができることというのは、ち
ゃんとあるのでございます。ただその際は、宇宙大統領とは何をする人で、どうすればなれるのかを
教えていただきたく存じますが」

「……ふん」

 逆に納得させられてしまった。さすが神話の時代から人を誘惑してきた存在と言うべきか。この辺
の手練手管はまったく堂に入ったものだ。こうして疑いの目を少しずつそらし、最終的には完全に自
分のことを信頼させるというのが悪魔の手口である。嘘は言っていないとしても、どこにどんな落と
し穴が存在しているか分かったものではない。いざという時にそれを責めたら、この悪魔はきっと、
このニヤケ面のままでこう言うのだ。「だって、お聞きになりませんでしたでしょう?」と。

「おや、まだお疑いのご様子」

「当然でしょう。頼んでもいないのに来るような悪魔を、どうやって信頼しろというのかしら」

「いや、手厳しいですね。参りました。こちらといたしましては、言うべきことは既に全て言ってし
まいましたので、あなた様の疑問に私が答えるという形しか……いや」

 突然何かを思いついたように、悪魔は目を見開いた。

「そうです、こういたしましょう。なんと今だけ、一回だけ無料で願いをかなえて差し上げます。こ
れによってあなた様の魂が縛られることは一切ございません。なんでしたら文書にしてもよろしゅう
ございます。いかがですか?」

「随分なサービスね。最近の悪魔は商売っ気があること」

「ええ、過当競争気味の業界のこと、私どもも契約が取れないと食べていけないわけで、必死なので
ございます。この点人間というのは非常に商売上手ですねぇ。薄利多売というのですか、最近とみに
参考とさせていただいている次第でして」

 この言を信じるのなら、悪魔の世界にはつい最近まで薄利多売という概念が存在していなかったら
しい。

「こうすればもっと効率がいいとか考えなかったのかしら。意外と進歩がないのね」

「ええ、おっしゃるとおりで。なにしろ王様の首が処刑台に飛んでも、鉄の鳥が遥か空高く飛んでも、
人間の欲望、それ自体に大きな変化があるわけではございません。私どもは近年まで、いわゆる殿様
商売だったのです。全てはあのファッキン通産相の下手糞な自由化交渉が」

「その先は言わなくていいわ」

 吐き捨てる悪魔により、魔界には通産大臣もいるという驚愕の事実が新たに判明したが、また長く
なりそうだったので私はさえぎった。これ以上魔界というものへのイメージを壊されたくないという、
私としては極めてロマンチックな理由からだった。

「ロマンチック? 魔界なのに?」

 つい漏れ出た独り言に、悪魔が反応する。

「おや、私どもはロマンチストなのですよ。天界のほうがよほど現実的で機械的で、およそ人情とい
うものがございません」

 その言に従い、私はロマンチックな悪魔というものを想像してみた。

(ほ、ほら、お弁当作ってあげたから持っていきなさい! 見たところ、なんだかろくなもの食べて
ないみたいだから、作ってあげたのよ。か、勘違いしないでよね、栄養不良の霊魂なんて、堕として
も全然美味しくないってだけなんだからね!)

「……むきゅー」

「無休? それとも無給ですか? 前者なら同情いたしますし、もし後者でもやっぱり同情いたしま
す」

「どちらかと言うと無窮ね」

「よく分かりませんが、それは凄いですね」

 悪魔は本当によく分からないという表情でうなずいた。それはそうだろう、特に意味はない。

「それはともかくとしましても、ジーザスは悩める衆生を一々救ったりしないのです。その点私ども
は、皆様一人一人のお悩みに真摯に応対し、できるだけお力になろうとしているのでございます。そ
れはもう観音様のごとく、契約という名の羂索で漏れなくお救いいたしますとも。まあ、少々対価は
いただきますが」

「あの、さっきから聞きたかったんだけど、あなた何、仏教徒なの?」

 悪魔は目を数度しばたかせた。

「仏教徒? ですか? そうですねぇ、あえて言うとするなら真言立川流の信徒でしょうか」

「悪魔だけに邪教?」

「頭蓋骨崇めちゃいますよ、頭蓋骨……こほん。いえ、別に仏教徒というわけではございません。た
だ、愛とか倫理とか世界とか、そのような類のことを説明する際に、貧相な大工の息子の言葉を引き
合いに出したくないだけでございます」

「……あ、そう」

 悪魔は悪魔なりに矜持を持っているようである。しかしゴッドは駄目でブッダならいいという理屈
がよく分からないが。どっちもマーラは嫌いなんじゃなかったかしら?

「お気に障りましたか?」

「いや、別に」

 突っ込むと長くなりそうだったが、とりあえず、面倒くさいので話を終わらせる。自分から振って
おいてなんだけど。

「ありがとうございます。さて、せっかくのサービスなのですから、なにかご希望されることはない
のでしょうか」

「そう言われてもね。大体のことは自分でできるわ」

「それでも、何かとままならないことというのはあるのではございませんか? そう、例えば、失礼
ながらあなた様は呼吸器が弱いように思われます」

 想定外のコメントに、私は眉根を寄せた。

「む」

「あ、いやいや、何か妙なことをして調べたというわけではございません。ただ、お会いしたときか
ら、他の方に比べて呼吸が荒いように感じまして。しかも気にしているご様子がないということは、
慢性的なものということですね?」

 慌てたように悪魔は顔の前で両手を振った。確かに、私は幼き日から喘息を患っている。医者も治
せず、魔女も治せず、むしろ自分が魔女だというのにまだ治せない。しかしただ話をしているだけで
気づかれるとは、思っていたより今日は調子が悪かったのか、それともこの悪魔は意外と細かいとこ
ろに気のつくタイプなのか。

「お見受けしたところ、あなた様は相当のお力を持った魔女であらせられますね? それこそ、ただ
の人が見れば、不可能はないかのごとく。そのあなた様とて、やはり全能とは言えない。そうではあ
りませんか?」

 少し前に私が考えていたことと、同じようなことを言う。否定してもしょうがないので、私はほん
の僅か肩をすくめることで、それに答えた。
 途端、悪魔の瞳が妖艶に揺らめいた。

「私なら治せます。治せますよ? 問題なく、綺麗に、完璧に」

 いつの間にか、随分と目の前まで近づかれている。
 治せるのだろうか。この忌々しい、ままならない身体を。意に反して時折私を苦しめる、惰弱な身
体を。この悪魔が。この悪魔に頼めば。本当に?
 きゅうっ、と、悪魔の瞳孔が細まり、また唇がつりあがる。犬歯の隙間から覗くのは、熟れた果実
のように赤い舌。
 口の中が渇く。水が欲しい。冷や汗が頬を伝った。
 ……一回くらいなら。いいんじゃないかしら?
 ……。
 いやいや。

「……魅了の魔眼なんか、私には効かないわよ」

 少々の強がりを込めて、私は誘いを拒絶した。それに気づいたのかどうなのか――いや、おそらく
気づいているだろう――悪魔は先ほどまでと同じようなつかみ所のない笑みに戻り、愛想良く言った。

「いえいえ、私は魔眼なぞ持っておりませんよ。あえて言うとするならば、私本来の魅力が発露され
たものかと」

「言うわね」

 悪魔は目を細め、続ける。

「仮に、私があなた様を操って、何がしかの願いを無理に出させたとしましても、そうして得た魂に
価値などないのです。あくまでも、契約は崇高な、代替の効かないもので、かつ自由意志で行われな
ければなりません」

「その割には無理やりやってきたわよね」

「まあそういうこともあります」

 あっさりと流された。

「肝心要の契約がお互いにとって納得のいくものならば、そのほかのことは概ね些事ということでも
よろしいかな、と私などは愚考する次第ですが。トーマスさんも、よく契約は大事だと言っておりま
した」

「誰よトーマスさん」

「おや、ご存知ありませんので? 十七世紀に活躍した、哲学者のトーマスさん」

「そんな近所のおじさんが世間話のついでに一席ぶっちゃいましたみたいに言われても分からないわ
よ。名字のほうで言いなさい、名字のほうで」

 更に言えば、この文脈でトーマスさんを用いるのは正しくないのではなかろうか。しかしそれにつ
いて言い出すとまたどうでもいい事で時間を消費することになるだろうし、もういい加減立ちっぱな
しで疲れてきた。
 あるいは、というよりおそらくは、それもこの悪魔の作戦なのだろうと思う。妙な発言を繰り返し
ては突っ込みを待ち、中身のない会話を延々と繰り返すことで精神的疲労を誘う。私が願い事を言う
までは絶対に帰らないのだろうから、つまりこれはれっきとした持久戦とも言える。そして既に私は、
この悪魔の話を聞いてやると言ったことで、この戦法が有効であると相手に伝えてしまっている。冷
静に考えて、不利な状況である。失策だったと今更思うが、しかし他に何かできることあったかとい
う気もする。
 それに……ほんの少しながらも、この提案に乗ってもいいかと思う私がいるのも、また否定できな
い事実である。早めに何とかしなければいけない。私の魂は、私だけのものである。私に関するあら
ゆる問題は、ただ私によってのみ解決されなければならない。
 少々脈が速くなっているのが感じられる。疲れているんだということにしておこう。

「やっぱり消し炭にするべきだったかしらね……」

 本棚にもたれかかった拍子に、ふと思いついた。例え第二、第三の訪問員が現れるとしても、これ
よりはマシな存在かもしれない。それに、片端から消していけば、そのうち人材不足で諦めるかもし
れない。
 なかなか魅力的な案に思えた。

「ま、待ってください」

 懐に手を入れる私に生命の危機を感じたのか、悪魔はニヤケ笑いを消し、慌てた様子で私を制する。
さすがに消滅するのは嫌か。

「こう見えても私には、妻と三人の子供が」

「妻?」

「まあそれは嘘ですけど」

「悪魔は嘘つかないんじゃなかったの?」

「完全に自分に関することでしたらつきます」

 私は懐から呪符を取り出した。

「ああいやいやいやいやいや、まあ聞いてください、聞いてください」

「はい聞いてあげたわよ。じゃあもういいわね」

「いやいやいやいやいやいや、言うなれば、その、愛! 愛なのでございます。私があなた様の願い
をかなえて差し上げようとするのも愛、そしてあなた様が無闇に攻撃的手段に訴えないのも愛。愛は
世界を救います」

「あらそう。ところでお釈迦様は『是故空中無色 無受想行色』という言葉を残されたけれど、愛な
んて空。あなたも空。全ては空。従って消えても問題ないわよね?」

「ああ、それは私の持ちネタでございます! いけません、ボケるのは私、突っ込むのはあなた様、
それでうまく話は回ってきたのです! リバースですか? 攻め受け逆転ですか? AかけるBはB
かけるAとノットイコールなのですか?」

 当初の余裕はどこへやら、わたわたとうろたえる悪魔を見て、胸の奥に昏い愉悦が沸き起こるのを
感じられた。もうしばらく楽しむべきか、それとも一気にやってしまうべきか、逡巡する。何しろ初
めてやってきた主導権であるが故に。よし、ここはもう少しいじってから――

「とまあ、ここまでがネタなわけでございまして」

「……」

「いえ、正直に申しますと、私が死にますと今まで契約で縛ってきた無数の魂が解放されまして、怨
執の叫びと共にそこらじゅうを飛び回るという、世にも恐ろしい事態が」

「起きるの?」

「起きたらいいなぁ、と」

「願望?」

「ですが、本当にそうなるかもしれませんよ? ですから、やめておいたほうがいいと思われます」

 悪魔は微塵も動揺の痕跡を見せずにそう言うが、これはハッタリで、何も起きない可能性は十分に
ある。自分の事に関しては嘘をつくこともあるらしいので。また、それを言うならば、「ここまでが
ネタ」という発言もハッタリである可能性は高く、内心の恐怖を仮面の下に押し隠しているというこ
とも考えられる。もちろん本当である可能性もある。試してみればはっきりするのだろうが、主に私
の気力が最低値まで減退してしまったため、なんだかもうどうでもよくなってきた。疲れた。

「もういいでしょ? 私の負けでいいからもう」

 私は肩を落として懇願した。

「は、もう、とは」

「私が今思っていることっていうのは要するに、この図書館で、誰にも邪魔されずに、静かに、読書
に没頭したいっていう、ただそれだけのことなの。わかる?」

「はぁ」

「簡潔にね、ごく簡潔に言うと、邪魔なの、あなたが。わかる? ねえ。お願いだからわかって」

 それはまったく、未だかつて抱いたことのないような、哀切なる願いであったと、確信を持って言
える。それはもう、魔法図書館に行きたいと願ったときよりも。
 悪魔はえーっと、とややたじろいだ様子で呟き、そして続けた。

「あの、差し出がましいようですがお聞きください。私、出会ってから僅かな時間ではありますが、
会話を通じてあなた様のことを大変好ましく思うようになりまして。こう、内面からにじみ出るよう
な、『うるせえからどっか行けよ』的なオーラと申しますか。ゾクゾクします」

「そう……私はあなたのことが嫌いだわ……」

 気づいているのにどこかに行ってくれない所とか、特に。

「ええ、もう、そのようなつれないところも含めて。愛です。愛でございます。これはもう愛染明王
の眷属たる私の運命としか思えません」

「そうなの?」

「はい。私の髪と瞳は赤うございましょう。これは赤く染まった身体を持つ愛染明王の眷属であるこ
とを表しているのです」

「嘘でしょ?」

「ええ嘘ですが。私達、いいコンビになれると思いませんか?」

「いいコンビっていうのは普通、片方だけがやたらと元気だったりしないわよね……」

 下手に出ても駄目だった。我が友よ、多分今はベッドでぐっすり眠っている我が友よ、一体どうし
たものかしら。なんだか私、この悪魔に勝てる気がしないの。これが万年コミュニケーション不足の
魔女と海千山千の悪魔との差なのかしら。百年生きても人付き合いって全然わからないの。ここであ
なただったら、逆切れして暴れだすとか、研鑽の末に悪魔を凌駕する屁理屈を得るとか考えるのかも
しれないけれど、私を甘く見てもらっては困るわ。私だったらもう一生誰とも会わない。図書館と同
化する。内側から閂をかけて密室少女になる。

「そんなに私が邪魔だというのでしたら、毒にも薬にもならないような命を下し、願いを使い切って
しまえばよろしいではございませんか。『メロンパン買って来い』とか」

「気に食わない命令は聞かないんじゃないの」

「いえ、メロンパンは好きですから」

「あなたが食べるの?」

「その辺の駆け引きも含めての、悪魔の誘惑なのでございます」

「あっそう……」

「反応が鈍ってきましたね。お疲れですか?」

 あくまでもにこやかな表情を崩さずに、言う。

「誰かがいつまでも帰ってくれないからね」

「こう見えて私も必死なのでございます。失礼ながら、どうもあなた様は、死後に魂が縛られること
を必要以上にお恐れになっているように思われます。死んだ後の事など死んだ後に考えれば良いでは
ありませんか」

「私は知識の魔女。知識とはそれ自身以外の何者にも縛られない。何かの下にある知識なんて存在は
御免だわ。それに……」

「それに?」

「悪魔に堕とされた魂が、死後に本を読めるとは思えない」

「はぁ。あなた様の寿命は、人間などに比べるとはるかに長いと思われますが、死んでも読まれます
か」

 悪魔が少々呆れたような顔をする。私はふん、と鼻息を漏らした。

「当たり前でしょう。私はここの蔵書を全て読み尽くすまでは、未練で成仏なんかしてあげないんだ
から」

「執着ですね。涅槃に旅立てませんよ?」

「煩悩の権化みたいな存在が何言ってるのよ。私には悟りなんて必要ない。知識への飽くなき欲求こ
そが、私のあるべき姿なのだから」

 完全なる拒絶の意思を伝える。気持ちの悪いことに、悪魔はなぜか目を細めた。

「いいですね、ますますあなた様のことが好きになりました」

「気持ち悪いからやめて」

「永遠の命なんて欲しくありませんか?」

 唐突な提案に――そもそも全てが唐突な気がするが――私は少々目を見開いた。

「それをやると、死後に魂を云々という話はどうなるのかしら」

「ええ、ですから、大抵の場合はそのような願いを言われましても、断ってきたのでございます。で
すが、私が気に入りました何人かの方々へは、望まれればかなえて差し上げました」

「どうせ裏があるんでしょう」

 悪魔はうなずき、実に嬉しそうに話を続ける。

「はい、はい。そうですとも。不死は願ったけど不老を忘れた方。不老不死は願ったけど不死身は忘
れた方。不老不死に加えて不死身も願ったけれど、死の状況から逃れる術は忘れた方。魂を得る事こ
そかないませんが、大好きな方の魂が放つ悲鳴は、それに代えて余りあるものと言えましょう」

 陶然と語る悪魔を、私はげんなりとした視線で見つめた。

「そんな話を聞いて、私がそれを望むと思うの?」

「ですが、この世界が続く限り、永久に本を読み続けられますよ?」

 私は思わず息を呑んだ。あくまでも、あくまでもにこやかに、目の前の悪魔は私を墜とそうとする。

「要は、ちょっとした賭けなのでございます。私が勝って、あなた様の慟哭を永久に堪能するか。あ
るいは、あなた様が私の奸智をかいくぐり、とこしえに至福のときをお過ごしになられるか。シンプ
ルでございましょう?」

 私の世界がぐるぐると回り始めた。うまくすれば、デメリットなしで永久に本を読み続けられると
言う。そんなうまい話があるものかと思うが、その一方でそんなうまい話なら乗るべきではないかと
も思う。
 悪魔に言われるまでもなく、話に聞く、永遠の命を得た人間というのは、大体においてろくでもな
いことになっている。しかし、考えるに、それは思慮が足りなかったから……あるいは、実力にそぐ
わない永遠を望んでしまったからではないだろうか。私なら、どちらもクリアできるような気がする
――自惚れではなく、冷静に判断した結果だ。願いの数だって三つもあるのだし――いや四つだった
か――慎重にセイフティーをかければ、破滅は回避できるのではないだろうか。
 悪魔は何も言わず、ただ覗き込んでくるばかりである。
 瞳に映る私が、淫靡に笑った――気がした。

「……けほっ」

 胸が苦しい。もちろん恋ではない。ヒューヒューという、悲しいことに聞きなれてしまった音が、
喉から発せられている。
 ドサリと、何かが落ちる音がした。涙に潤んだ目を向けると、本だった。悪魔が出てきた本。なん
と馬鹿馬鹿しい、私はまだこの本を手に持っていたのか!
 では、本を持っていた手はどこに行ったのだろう。脳からの検索指令が気の遠くなるような時間を
経て、首を押さえてますと回答をよこしてきた。それくらい気づきなさいよと、自分の身体に毒づく。
 考えてみれば、こうなる予兆はいくつもあったような気がする。目の前の存在への不快感が原因だ
とばかり思っていたが。
続けざまに咳き込み、目の前が暗くなる。何か支えになるものをと手を伸ばすが、本棚に並んだ背表
紙を引っ掛け、何冊もの本が地面へとこぼれ落ちる。立ち込める埃に、私はたまらずうずくまった。

「や、や。大丈夫ですか?」

 大丈夫に見える人がいるというなら会ってみたいものだ。もっと死にかけている人ぐらいしかいな
いだろう。やっぱりあまり会いたくない。

「えーと、どうしましょう。うーん」

 今、この悪魔はどんな表情をしているのだろうと、八割がた真っ白な頭でふと思った。うずくまっ
ているため見えないが、やはり笑っているんだろうか。十分にありえる話だったが、なぜかそれは想
像できなかった。当たり前に心配しているんじゃないかと、そんなことを考えた。

「えーと、治しましょうか? 治せますけど。どうしましょう」

 背中に何か触れるのが感じられた。おそらく悪魔の手だろうと思う。気遣いはありがたいが、今し
てもらうべきはそのようなことではない。
 私はうずくまったままかぶりを振ると、多分その辺だろうと思う場所を指差した。

「なんでしょうか? ……本。本棚から落ちた本ですね。本がどうかしたのでしょうか」

 鈍い。私は枯れた喉から声を絞り出した。

「私の……ことは……いいから…………本! ゲホッ、ここの本を……片付け……なさい」

「はぁ。よろしいので?」

 これ以上喋る気力はなかったので、私は咳き込みながらうなずいた。本を乱雑に扱うなど、許され
ることではない。それは私の身体などよりもよほど優先されるべき事項である。それに長い付き合い
のこと、この発作はそれほど重いものではないことはわかっていた。
 悪魔は私のそばを離れ、何か作業をしているのが空気の流れから読み取れた。私は冷静に身体に魔
力を通すと、少しずつ、少しずつ息の乱れを抑えにかかる。完治はならずとも、症状を軽くすること
くらいなら、何とか今までの研究で可能になりつつあるのだ。最も状態が状態なので、集中するまで
が大変であるのだけれど。

「けほっ……は、あ……はぁ……」

 どれだけ経ったか、主観的には丸一日経ったようだけど、おそらくは十分も経っていまい。それだ
けで治まってくれたということは、やはり軽い発作だったのか、それとも私の治療の腕が上がったの
か。
 古来より続く哲学的な命題として、身体と魂は同一のものか、それとも別個のものかというものが
ある。少なくとも私にとっては、身体とは事あるごとに魂に反逆を起こす、厄介な敵であった。喧嘩
するほど仲がいい? 冗談ではない。腐れ縁といっても、思い返して渋面しか浮かばないような腐れ
縁に一体どのような価値があるというのだろうか。
 タイミングがいいと言えばよすぎるこの発作は、私にある決意を固めさせるには十分すぎるほどだ
った。
 口を開こうとした、その時。指先に何かが触れた。
 さっき落とした本だった。

「……ん」

 本文のないその本には、「大望について」というタイトルが印字されていた。
 考える。私の大望とはなんだろうか。
 普通の望みならいくつもある。例えば先日までなら、ここ大図書館に行きたいと思っていたし、そ
れ以外にも、このひ弱な身体を消極的にどうにかしたいとか、見立てスペルではない本物の賢者の石
を練成したいとか、他にも色々あるし、色々してきた。
 喘息にしても……だ。渋面しか思い浮かばない? 結構な話ではないか。喘息がなければ、私の魔
法はどれほどのものであったか。たいしたことはあるまい。私にとって意のままにならない身体とは、
敵であると同時に、糧でもあったではないか。
 それら全ての試行錯誤は……言うまでもない、本を読むためだ。知識を読み、知識を手に入れ、そ
して私を、よりいっそうイデアとしての「私」――知識の魔女――へと近づかせるためのものだ。
 私は、たった数十分前まで、この大図書館で、それを達成させようと思っていたのではなかったの
だろうか。それが、魔法使いとして生きてきた私が、常に渇望してきたことではなかったのだろうか。
 それをなぜ、こんな、悪魔ごときに、私の願いをかなえさせてやらないといけないのか?
 本を手に取り身を起こすと、うずくまった拍子に脱げてしまったナイトキャップをかぶりなおす。
「いつも寝巻きみたいな格好なのは、いつ倒れても構わないようにするためかしら?」という友人の
皮肉が脳裏をかすめ、私は薄く口元をゆがめた。

「おや、もう、大丈夫なのですか?」

 小脇に本を抱えた悪魔がやってくる。差し出された手をあえて掴まずに、私は立ち上がった。

「ええ、もう大丈夫。それよりもあなた、もういいわ」

「もういい、と申しますと」

 ぱちくりと目を瞬かせる。
 私は、瞳を閉じた。悪魔にというより、自分の内面に向かって告げるように。

「永久の命。老いず傷つかない身体。なるほど確かに、とても魅力的なものだわ。ただし」

 私は、一旦息をついた。閉じた瞳に、悪魔の視線が感じられる。
 そう、こんな単純なことだったのだ。今まで無為に会話を続けていたことが馬鹿らしい。結論なん
て、最初からでていたではないか。
 私は眼を開き、悪魔を見据えた。

「それは全て、私が自分で手に入れる。けして悪魔の力などではなく、私と、書という英知の力をも
って。それが、知識と日陰の魔女たる私の矜持であり、百年の月日への、賛歌でもある」

 決然と、一片の迷いもなく言い放つ。

「私にはあなたは必要ない。去りなさい、悪魔よ」

「無理です」

 一片の迷いもなく言い返された。

「……あのね、そこでそう返されると、私の決意とかそういうものが……無理?」

 確かにこの悪魔は、「無理」と言った。「駄目」でも「嫌」でもなく、「無理」とは?
 悪魔は小脇に抱えた本を棚へと収めつつ、申し訳なさそうに続けた。

「いえその、えーとですね。あなた様は先ほど、私に命令を下されましたね? 『ここの本を片付け
ろ』と」

「……そうね」

「私も少々慌てておりまして、よく考えずに受けてしまったのですが、どうもこれで『一つ目の願い』
ということになってしまったようでして」

 私の背筋を、とても嫌な予感が駆け抜けた。

「……もう片付いたでしょう? それに、一つ目の願いはサービスで、契約とは関係ないんじゃなか
ったかしら」

「ええ、はい、ええ。ただ、問題は契約云々とは関係のないところにございまして」

 それはもう、魂がとらわれて死後煉獄に墜ちるのよりも、はるかに嫌な予感が。

「私が見ましたところ、この図書館はまったく片付いておりません。本の順序もばらばらですし、掃
除もされておりませんし、片付くまでに一体どれほどの月日が必要なのか、見当も付かないのでござ
います。更に悪いことには、どうも蔵書はどんどん増えているようでして」

「いえね? 私がさっき言った『ここ』っていうのは、あくまで『この辺』っていう意味であって、
『この空間全体』って意味じゃないわよ?」

「わかっております、わかっておりますともそんなことは。しかし悪魔の契約とはあなた様が思って
おられる以上に融通のきかないものでして、『ここ』と言われたらとにかく『ここ』なのでございま
す」

「ほら、片付いていないっていっても、本はちゃんと本棚に収まっているし、掃除されてないといっ
ても別に死ぬほどではないし」

「駄目です。私は細かいことを気にする性質なのでございます。分類されていない蔵書をみるとイラ
イラするのです。ちっとも片付いているなどとは言えません。こればかりは性分で、どうしようもな
いのです」

「難儀な性分ね」

「マムシですから」

 私は悪魔の奸智にはまり、賭けに負けてしまったようだった。今更眉間に指を当ててももう遅い。
救いと言えば、悪魔自身もこの展開は予想していなかったことくらいだろうか。
 なんということだ。

「しかも、一つの願い事を完遂するまでは、ワタクシ次の行動に移れないのです。まあ、不眠不休で
やれとまでは規定されていないのが救いと言われればそうなのでしょうが」

「不便ね」

 何度目だったか忘れたが、大きく息を吐きながら、私は呟いた。
 するとなにか。私がこの図書館にいる以上、常にこの悪魔が側で蔵書整理をするさまを視界の端に
入れておかないといけないということか。実に鬱陶しい。それに、一言も発さずに仕事をしてくれる
ような性格だとも思えない。

「私がこの仕事を終えるころ、会社はどうなっているのでしょうかね~」

 知るか。

「そういうわけですので、長いお付き合いになるかと思いますが、今後ともよろしくお願いいたしま
す。いえ、まったく不本意な結果ではありますが。はは」

「ええ、こちらこそよろしく。個人的には今すぐ縁を切りたいけど……」

 目の前の存在の慇懃な笑みは結局大きく崩れることがなく、こうして、第二ラウンドは、引き分け
という形で決着が付きつつも、実質的に私の精神的敗北で幕を下ろしたのであった。
 第三ラウンド? 知るか。

「ところで……仮定の話はお好きですか?」

 私のかかえる白紙の本をそっと抜き取りながら、なんでもないことのように悪魔は切り出した。

「全ての理論は仮定から始まるわ。特に嫌いになる理由はないわね」

 その本もやはり蔵書ということになるのだろうか。何も書いてないのに。

「そうですか。では……」

 悪魔はそこで切ると、笑みを浮かべた。今までの、あからさまに作り物めいたニヤニヤ笑いではな
く、目じりの力を抜き、口の端を僅かに吊り上げただけの、一見それとは気づかないような、ごく微
小な笑みだった。

「こんな話はいかがでしょうか。実は今までの話はまったく全部、一から十まで嘘っぱちで、私は契
約の締結などをしに来たのではなく、ずっとあなた様を見定めていたのだ、としたら」

「何の試験かしら。合格していたらいいわね」

「ええ、合格です。文句なしの合格です。あなた様の行動や欲望というものは、結局のところ、全て
『読書』という行為に収斂しておられます。それはもはや趣味の域を越え、生活の域すら越えている
と思われます。失礼ながら、立派なフリークスと言えましょう」

「失礼じゃないわ。本とは知識の結晶。私の名前はノーレッジ。だから、そうであることは実に当然
のこと」

 なるほど、と悪魔は本の表紙を撫で、開いている隙間に収めた。意外にも、それはとても優しい手
つきに見えた。

「そしてあなた様は、超越的な力によってではなく、知識という『ひと』の持つ力でもって、自分の
望みを達せられようという」

「危ないところだったけれどね。ところで、そんなことを試そうとするあなたは一体なんなのかしら」

 悪魔は嬉しそうにうなずいた。

「そう、私は魔界から契約のためにやって来た悪魔なんかじゃなく、なんと! ヴワルそのものの具
現だったのです」

 そう宣言すると、悪魔は自らのスカートを軽くつまんで優雅に一礼する。

「おめでとうございます。我が大魔法図書館は、あなた様の館長就任を、全身全霊をもって歓迎いた
します」

「あらありがとう。でも嘘でしょう?」

 面白い話ではあったが、信じるには無理が多すぎる。まだしも魔界からやってきた悪魔だと思った
ほうが理屈が通るというものだ。

「はい、嘘です、真っ赤な嘘ですとも」

 私の切り返しに、悪魔はその姿勢のまま顔だけを上げて、笑みを浮かべた。

「でもひょっとしたら、嘘なのが嘘なのかもしれませんよ」

 それは、先ほどまでの、唇が弧を描き、艶のある視線が気に障る、慇懃な態度を装いつつも内心全
てを小馬鹿にしているのを隠す気がまったくない、あの笑顔で。

「何しろあなた様もご存知のとおり、悪魔という種族は大変な嘘つきだと、相場が決まっているので
す」

 この小悪魔め。
 私は服の埃を払うと、本棚から目に付いた一冊を取り出した。

~ 登場人物紹介 ~

★パチュリー・ノーレッジ
熱血館長。ことあるごとに「なぜなら私はヴワル魔法図書館館長だからだ」を連発する。
今まさに突撃中のブレイジングスターにしがみつき「ちょっと外界まで行ってくる」とかヌカす究極のタフガール。
魔道書御中な宝箱を、エレメンタルハーベスターで撃ち壊して、読書してみたり、
本棚にトラップが仕掛けられているからといって、なんの躊躇もなくアグニシャインで撃ち抜くあたり、相当なパッチュ力の持ち主だ!
Yes!なぜなら私はヴワル魔法図書館館長だからだ!

★レミリア・スカーレット
キチ○イ紅魔館主。
「ンフハハハハハハハ!!!ハローハロー♪元気でやってるかいパチュリーィ!!」とけたたましい高笑いと常に高いところから登場し、
「ンフハハハハハハハハハハハ!!!グッバイパチュリーィ!グッバーイ!」と去ってゆく、
ハッキリ言ってカリスマ不足なんぞとは、どう考えても無縁の躁疾患のクレイジー幼女である。
高いところから登場したいあまりに、時計台の上に専用のお立ち台まで作ってしまう、れみ力の持ち主でもある。
ンフハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!

★小悪魔
毒舌司書。館長のミスを逐次キツイ言葉で揚げ取り、キツイ言葉で「もうやるんじゃねぇ」だの「なにやってんだ」と叱る。
作品ごとに「あの世の決闘大作戦」だの「竹林を焼き払え大作戦」だのと作戦名をつけたり、
ジャンクにしてやるだの、ウザったいだの、ピー音なしでFxckと発言してしまったりと、かなりの司書力の持ち主。
ゴチャゴチャとうるさいですね!Shut Fuxk up!!!!

~ 登場人物紹介終わり ~

こんにちは、あるいははじめまして、凡用人型兵器です。
この度は、ついカッとなって、超久しぶりに投稿させていただく運びとなりました。
おおよそ一年ぶりとなります。プチへのそれを除くと、おおよそ一年半ぶりになります。
なんか作品集とか超進んでる。ヤバイ。

この文章があなたの眼前にあるということは、多分SSを読破されたということだと思われます。
変なSSですが、読んでいただいて本当にありがとうございます。
もしあなたが後書きを先に読むという方でしたなら、これから読んでいただくという事で、先にお礼申し上げます。

さて、内容についての話ですが、健気キャラで半ば定着しつつある小悪魔業界に一石を投じたかったというか、
とある方が、小悪魔とは80%が愛、19%が妄想、1%が公式分でできているから好き放題やれと仰ったというか、
なんといいますか、腹立たしい小悪魔を書きたかったのです。側にいると血圧が上がるような小悪魔を。
でもあんまり腹立たしくないかもしれません。むしろ僕はこんな小悪魔が司書に欲しいです。嫁にはいりません。
まぁその、巷間囁かれるカップリングはパチェ(包容攻め)×こぁ(健気受け)ですが、
パチェ(ヘタレ攻め)×こぁ(女王様受け)でもいいんじゃないか、みたいな。駄目ですか。そうですか。すいません。
あと包容攻めがなにかわかりません。すいません。むしろ全てわかりません。語感で適当に選びました。すいません。

いや、健気な小悪魔は好きですよ? マジで。
見えませんか。そうですか。すいません。
凡用人型兵器
[email protected]
http://www.h6.dion.ne.jp/~bonyoh/
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コメント



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1.90ABYSS削除
オーケーわかった、この話はいい話でしたありがとうございます。
慇懃小悪魔が素敵でした。ええ素敵でしたとも。

だから、この小悪魔が出てくる本はどこにあるかすぐ教えてくださいお願いしますマジで。
5.100名前が無い程度の能力削除
こぁの 凄い 寝技を 所望する
6.90名前が無い程度の能力削除
どこまでも憎たらしい悪魔な小悪魔が素晴らしい
小悪魔の凄い寝技を受けた奴が非常に羨ましい

そしてあとがきでディスプレイがコーヒーにやられた
14.100名前が無い程度の能力削除
この小悪魔すげぇ好き!! 
20.100削除
この小悪魔は実にいい!
21.100ドク削除
どんな会社の名前だw
それはそうと、上司はやはり神綺さまなのだろうか・・・?
22.100名前が無い程度の能力削除
最後の2行にニヤリとしました。
23.100名前が無い程度の能力削除
ナイス新境地!
25.100名前が無い程度の能力削除
いやタイトルでどんな馬鹿話かと思ったらこんな面白いとは!
堪能しました満足しました。
いやはやいやはや
27.100deso削除
この小悪魔はツボに入りました。
素敵な悪魔っぷりです。寝技が得意なのは嘘なんですかね?
28.80oblivion削除
本文とあとがきのあまりのかみ合わなさに吹いた
29.100天馬流星削除
手を変え品を変え表情を変え、くるくるとコミカルに話を続ける小悪魔がとっても素敵でした。こんなひょうきんな小悪魔もいいですね。

>小悪魔とは80%が愛、19%が妄想、1%が公式分でできている
それ言ったの私じゃないですかー!!
32.70名前が無い程度の能力削除
こぁああああああああ
33.100名前が無い程度の能力削除
(´゚ω゚):;*.':; ブッ
43.90Fimeria削除
>不肖ワタクシ、感じてしまいそうです。
この部分で私の小悪魔のイメージがぴったりと固まった。
あとがきの紹介文の後思わず本文を読み返しそうになった。
とりあえず言えることは GJ
49.100名前が無い程度の能力削除
ああ本当に小悪魔だ
67.100名前が無い程度の能力削除
作者は宇宙大統領
68.100床間たろひ削除
最 高 だ。
いや、細かいところ突っつけば文体とか描写とかレイアウトとか、文法的な突っ込みどころはあるものの(勿論、お前如きがそれをゆーな、という自省と自戒の上でですが)話の面白さがそんなもんを遥かに凌駕している。
脱帽です。完敗です。完敗に乾杯です。

『悪魔』と『魔女』の見事な駆け引き、つかジャズセッション? いやいやむしろバーリトゥードに引き込まれました。
心からありがとうございますw
69.80名前が無い程度の能力削除
ウェルカムトゥヴワルライブラリー!
70.90はむすた削除
あぁん、いい会話してるわ~。
……おかしいな、レミリア様が出てこないぜ?
73.100名前が無い程度の能力削除
す ば ら し い
80.80夢電削除
一言。GJ.
85.100偽皇帝削除
本文最高。
あとがき台無し。
でも100点。
88.100名前ガの兎削除
ブラボー、ぶらぼー、おーブラボー
92.90名前が無い程度の能力削除
小悪魔の声が脳内で割烹着の似合いそうな魔法少女に変換され……ともかくGJ!!
94.100名前が無い程度の能力削除
あぁこれが俺の求めていたこぁだ。
マジで最高でした。

あとあのその
あ と が きwww
98.100名前が無い程度の能力削除
小悪魔キャラよすぎです
99.100名前が無い程度の能力削除
いや、個人的に小悪魔とか割とどっちでもいい部類で
この作品も普通に『そんな餌に俺様がクマー』と読み間違えて読み始めたし
いやしかしすいません気がついたら読破してたほど面白かったですorz
100.100名前が無い程度の能力削除
小悪魔も面白いが、パチェの覚悟も格好良い。
「本を片付けて」と言われて、あの広い図書館で迷わずやってのけるとは、
かなり図書館に精通しておりますな。
もしや、本当に図書館の……?
101.100名前が無い程度の能力削除
ああ、このこぁは確かに小悪魔だ。GJ。


ところで、こぁの真言立川流って……寝技か。寝技なのか。
105.100削除
そうか! こぁは嘘同盟だったんだね!? 嘘ですが!!

うん、こういうテンポ大好き。思わず求婚しちゃいそう。むしろ吸魂。そして球根へ・・・
ワケが分かりませんね。毒されたようです。
107.70名前が無い程度の能力削除
あとがき大統領吹いたwwww
110.100名前が無い程度の名前削除
あなたの書くこぁが今までで一番最高だと思いました。
や、嘘ですが。
いや、それも嘘ですが、嘘かもしれませんね、嘘じゃないかもしれませんね。
114.90名前が無い程度の能力削除
本編の小気味良さがあとがきでぶっ壊されたwww
アルカトラズ砲かましたり戦車ぶん回したりするんですな
117.90名前が無い程度の能力削除
すげえ、すげえよ。 貴方を小悪魔の偉い人の一人と勝手に認識します。
119.90変身D削除
可愛い少女の筈の小悪魔が冒頭から若禿げのオッサンに脳内変換されてしまいました、何故でしょう(殺
ともあれ、後書き含めて楽しませて頂きました(礼
122.70八尾削除
素晴らしい。
この小悪魔は素晴らしい。
芝居掛かった動作と喋り方がとても似合うなこの小悪魔は素晴らしい。
123.100たまごろん削除
寝技なんていつものこと
いつものこと…
いつもの…
うぎぎ

いやぁ何度読み返してもおもしろいです。
こぁの方が精神的に上位にたってる感じがツボでした
今はへたれ攻め×女王受けだけど、長い時間をかけて
書から知識を吸収し、
こぁとの何気ない日常会話のやりとりから奸計のいろはを学び
いつかきっと
いつまでも子供じゃないわ攻め×この子も大きくなったのね受けと…
あれ?そんなにかわってない気がするよ
124.100削除
やべぇ、新たなこぁが発掘された。楽しすぎる。萌え過ぎる。あなたは素晴らしい!この本は永遠にヴワルに収蔵される価値が…え?うっとうしいから持って来るな?そんな、パチュリーさ(ロイヤルフレア
126.100名前が無い程度の能力削除
しぬかと おもった
136.100名前が無い程度の能力削除
なんちゅうかまさに、子悪魔という話でしたな
GJ
138.100名前が無い程度の能力削除
いや、ちょ、こぁ

お見事
141.100名前が無い程度の能力削除
仏教関係に詳しい小悪魔なんて初めて見た。そして二人の絶妙な掛け合い。
最高です!
146.90T.A削除
小悪魔はもともと好きなんですが……いやはや、これはすごいですね。いろんな意味でw
とても面白い話でした。こんな小悪魔にも好感が持てます。
近くにいると五月蝿いでしょうが場が楽しくなりそうですね。

次回作にも期待しています。ぜひぜひ
153.100名前が無い程度の能力削除
いや、もう本気で爆笑しましたすいません。
でもラストの〆が、それ以上に美しく決まってて感動しました、すいません。
もっとつらつら感想書こうと思いましたが、結局(国崎)最高にしかならないので100点だけつけて逃げます、いえ本当にすいません(ぉ)
159.無評価hiyoshi削除
>第一の願い、戻れ。そして第二の願い、二度と出てこないで
これに某富士見ファンタジア文庫の小説思い出したのは私だけですか。そうですか。
とても楽しかったですw
160.100hiyoshi削除
点数入れ忘れましたorz
169.100名前が無い程度の能力削除
なんて素晴らしい子悪魔像なんだ! 自分のイメージを具現してくれて感謝!

現在10000点ジャストで加算はヘンに気が引けるけど、文句なしの満点をば
175.100名前が無い程度の能力削除
固定観念に捕らわれない、柔軟さと斬新さに脱帽。
178.100無銘削除
これ読んで


あの執事を思い出したのは私だけでしょうか?
とりあえずスパシーバ!
180.100hima削除
久々にいいSSに出会えた
184.100A削除
これは…疲れる小悪魔。
でもそこが良いですね。いいコンビです。
惜しむらくは寝技の詳細が明らかになっていな(ry
187.100名乗る名前は奪われた削除
いやいやいやいや、とってもいいやりとりでした。
あと寝技、そう寝技、ビバ寝技。

そしてあとがきがマイケルとリチャード。
191.90名前が無い程度の能力削除
非常に言い回しがうまーくて面白かったです。
ほんまうまいのぉ。残念とするなら、この二人以外が絡まなかったことくらい。
この愉快なキャラを他キャラに絡ませたらどうなるのかと懸想。
198.100油揚げ削除
凄いこぁ!!感服いたしました!
200.100名前が無い程度の能力削除
愛情が強すぎて3周くらいしてもどってきちゃってるだろ・・常識的に考えて。
201.無評価斬り切り舞削除
ッゲハッグホァッガッ
とりあえず噴きました

れみ力はどこで測るのですか、教えて下さい
202.100斬り切り舞削除
ッゲハッグホァッガッ
とりあえず噴きました

れみ力はどこで測るのですか、教えて下さい

すいません勢いで書き込んだらフリーでした
207.100名前が無い程度の能力削除
タイトルでSSに興味→内容で心鷲づかみww
あざといぜ・・・!
通りすがりにポイント置いていきますね。
213.80Mya削除
 洒脱で垢抜けた文章に惚れました。小生もこぁの凄い寝技を所望します。
214.100卯月由羽削除
こんなに悪魔な小悪魔は初めてだ…
225.90いらんこといい削除
こぁっこぁっこぁっ!こぁーーー!!!
228.100名前が無い程度の能力削除
これはまたすばらしい小悪魔ですね。いいキャラしてます。

ところで寝技ですか。ええ、是非ともおねが(ロイヤルフレア
231.100名前が無い程度の能力削除
実に楽しく読ませていただきました。
こんな小悪魔なら篭絡されてもいいや。
小悪魔の誘惑に時折傾きそうになる心理描写も見事でした。

嘘って面白い言葉ですね?
232.100名前が無い程度の能力削除
そうか…小悪魔を側に置いとくにはその手があったのか!!

でも片付けしか出来ないのか…寝わz(冥界行き
234.100時空や空間を翔る程度の能力削除
駆け引きが上手いな小悪魔は
パチュリーを言い包めるとは。

何よりもその怪しいオーラが直良し。
236.100名前が無い程度の能力削除
この小悪魔最高!
242.100名前が無い程度の能力削除
寝 技 と 申 し た か
246.90名前が無い程度の能力削除
こあいなぁw
いやホント見事でした。
261.100名前が無い程度の能力削除
こぁー
266.100名前が無い程度の能力削除
こぁー
267.100名前が無い程度の能力削除
くそ、あんた超うめえな…
あとがきとか照れ隠しにしか見えねえ
パチュリーも小悪魔も死ぬほどかっこいい。死ぬ。泣く。
273.100名前が無い程度の能力削除
なんという小悪魔
281.100名前が無い程度の能力削除
これはすごく良い小悪魔。
ぶっ飛んでるけど、決してキャラが崩壊してる訳じゃなく、変なとこで上手くキャラが成り立ってて……
なんか言いたいことがごちゃごちゃしてきましたけど、取りあえず言っておかねばならないことは
小悪魔私にも寝技(ry
286.100名前が無い程度の能力削除
実に私のイメージ通りの小悪魔でした。
というかそのイメージはずっと前に読んだこの作品によって形成されたのかもしれません。
遅ればせながらこんなにステキな小悪魔に出会わせてくれたことに感謝します。
297.100リペヤー削除
これぞ小悪魔!
素晴らしいSSをありがとうございました。
299.90名前が無い程度の能力削除
ぱっちぇさんまじマイコー