Coolier - 新生・東方創想話

青き侍 出陣―。

2006/06/08 09:35:43
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「久しぶりね、霊夢」
「久しぶりね、咲夜」

神社、その縁側、対峙する二人、青

「久しぶりだな、咲夜」
「久しぶりね、魔理沙」
「今日も来たのね、魔理沙」

神社、その庭、集う三人、青

「久しぶりね、皆」
「久しぶりだな、妖夢」
「久しぶりね、妖夢」
「久しぶりよね、妖夢」

神社、その鳥居の下、揃った四人、青





   青の鼓動





紅魔館、その門前

「えーと・・・皆さん、その格好はどうしたんですか?」
「気にしないで」
「気にすると負けだぜ」
「気にすると負けるわよ?」
「むしろ気にした時点であなたの負けだ」
「は、はぁ・・・」

囲まれる門番、その勝率は0.0001‰を切る

「中国」
「中国」
「中国」
「中国」
「中国じゃないです! 美鈴です! 紅美鈴!」

中国が響く、門番は叫ぶ、豪脚が地を揺らす

「美鈴と呼ばれたければ」
「呼ばれたかったら」
「苗字を青に改名しなさい」
「改名しろ」
「はいいっ!?」

青の包囲網、避けられぬ青、絶対被弾

「青美鈴」
「青美鈴!」
「青美鈴・・・いいわね」
「青美鈴いいですね」
「うう・・・なんか微妙な嬉しさ・・・青かぁ・・・」

青の侵食

「青になったという事は」
「お前はこれを着る資格があるぜ」
「むしろ着ないとお仕置きね」
「着らねば斬る」
「え・・・私も、それを?」

青との融合、生まれ変わる門番・・・否、美鈴

「おめでとう、胸がでかいわね」
「おめでとう、胸がでかすぎるぜ」
「おめでとう、胸がでかすぎるのよ」
「おめでとう、胸が強調されすぎだ」
「は、はい・・・・・・ありがとう・・・ございます」

ここに、新たなる青が誕生せし





紅魔館、バルコニー

「咲夜ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ここに」

響く絶叫、吼える吸血鬼、佇むメイド

「何よこれ・・・って何よその格好!」
「サッカーW杯、日本代表のユニフォームです」

青の具現、正しくは侍青の具現

「・・・・・・日本代表?」
「他に、ジーコジャパンとも言いますわ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「なんでそんな格好しているのよ・・・」





発端は異変の後
咲夜が閻魔に説教された事から始まった

「人間との繋がりを強くもつこと、これが今の貴方が積める善行よ」

その言葉にいたく感銘を受けた気がする咲夜は、紅魔館に足りなくなった食料を補充せんと
閻魔の説教を形式的に聴いた形で、いつもの様に都会へと買出しに出かけた

「ワールドカップ・・・?」

買い物を終えて帰ろうとした時、少し昔にどこかで聞いた事のある言葉が耳へ、
その言葉が耳から離れなかった咲夜の足は、とある店へと向かった、青一色に染まる店へと

そして幻想郷に青き波の欠片が到来した





「彼此そういう訳ですわ」
「吸血鬼のメッカがどこか知っていての所業?」
「予選三位でW杯本大会に進めなかった国ですよね」
「・・・分かってるのならいいわ・・・もう一つ聞くけど、なぜ紅魔館を青色に染め上げているの?」
「ここが幻想郷日本代表応援予定地だからですわ」

蝙蝠少女緊急発進

「避けるな! 当たれっ! ルーマニアに出場権を寄こせ!!」
「クライフターン! マルセイユルーレット!」
「くっ! なんて軽やかな動き・・・もう切れたわ! 弾幕る!」
「よろしいのですか? ワーワーしますよ?」
「ワーワー? そんなワケの分からないもの蹴散らしてやるわ!!」

そして遂に始まる主従の弾幕決戦
その様子を窓から見下ろすのは、図書館の主、パチュリー・ノーレッジとその従者、小悪魔

「騒がしいと思えば、派手にやってるわね」
「レミリア様と咲夜さんが戦うなんて珍しいですねー」
「そうね、本気でやりあってるのは二人が始めて出会った時以来・・・あら?」
「ほぇー・・・あれ? どうしたんですかパチュリー様」
「咲夜のあの戦い方・・・あれはまさかワーワー弾幕! 完成したというの!?」
「ワーワー弾幕?」
「そう、ワーワー弾幕、もし完成させていたのなら・・・恐るべき事になるわ」
「ど、どんな弾幕なのですか?」
「そうね・・・説明すると軽く四百行は超えるから、例だけを挙げるとこうなるわね」


・不老不死なら大丈夫だろうと思っていたら同じような亡霊のワーワー弾幕に襲われた
・開始から二分後のレーヴァテインで魔理沙が豪快に被弾していた
・弾幕が来ないので振り返ってみると背水の陣だ! とかいって逃げていた
・ワーワー弾幕に襲撃され、戦いが終わったら「私の言うことを聞けばもっと幸せになれますウサ」とか言われた
・初弾早々から全力回避させられた、というか回避しきった後に被弾する
・ワーワーに襲撃され、半人も半霊も両方回避に忙殺された
・弾幕を回避してから一ミリ移動する間もなく次の弾幕が飛んできた
・決死結界すれば安全だろうと思ったら、全員背水の陣を使える弾幕娘だった
・弾幕娘の1/3がワーワー経験者。しかもワーワーされると互角になるという伝説から「トップクラスほど危ない」
・「そんな危険なわけがない」といって出て行った閻魔がチルノと引き分けて戻ってきた
・スペルカードを持たなければワーワーに巻き込まれないと休んでいた幽香が三姉妹に追い回されていた
・最近流行っている戦術は「ディフェンシング背水の陣」弾幕に紛れて逃げ出し背水の陣をする
・トップランクの弾幕娘でワーワー弾幕にあう確率が150%。一度対戦してまた対戦する確率が50%の意味
・ワーワー弾幕による敗戦者は年平均十二人、うち約四人が一年後は行方不明


「パチュリー様、イマイチ凄さがわかりません」
「それはいい事よ、ワーワーの凄さを理解する頃には、あなたはもはやワーワーから抜け出せないのだから」
「なんか怖いですねそれ・・・」
「ところで小悪魔」
「はい?」
「私はフランスを応援するのだけれど、あなたはどこ?」
「あ、私はイタリアです」
「そう」

魔女と小悪魔よ、それでいいのか、本当にいいのか?

「あ、パチュリー様」
「何?」
「パチュリー様はフランスを応援するんですよね?」
「そうよ」
「でもパチュリー様って、名前はタミル語と英「ロイヤルフレア」





「おーい咲夜、そっちは終わったかー?」
「ええ、この通り」

咲夜の手が指す先に、逆さ宙吊りレミリアん
ワーワー弾幕の前に吸血鬼堕つ

「この私が咲夜に負けた・・・」
「絶対に負けられない戦いが、そこにある」
「なでしこジャパンを甘く見ちゃいけないぜ?」
「うぬぬぬぬ・・・!」

揺れる吸血鬼、笑む青

「さて、敗者には罰が必要だよな」
「そうね」
「なっ・・・何をする気なの!」
「なーに、ちょっといい事だぜ(はぁと」
「では、準備のほうを・・・完了したわ」
「一体何をする気、あっ・・・いや! やめて! やめてー!」
「ほれほれ、少しの我慢だ」
「いやーーーーー!」


侵食開始

レミリア・スカーレット
    ↓
レミリア・サムライブルー

侵食終了


「ど、どうやったかわからないけれど侵食された・・・」
「日本!」
「日本!」
「ご先祖様・・・スカーレット家を守りきれなかった私をお許しください・・・」
「いいじゃないか、七月十日までの期間限定サービスだぜ!」
「いいわけないに決まってるでしょぉぉ!!」
「中々よろしいですよ」
「不夜城レッドぐらいよろしく無いわよっ!!」

ふと、レミリアがピコーン

「はっ・・・そうだわ! まだフランが、フランドール・スカーレットが居るじゃない!」
「お姉さまも一緒に日本応援しよー!」
「その無邪気な瞳が私の心にグングニルーッ!!」

一秒で桜散る

「さすがに元祖ワーワーボスなだけあって、私と妖夢の二人がかりでもきつかったわよ・・・」
「ま、これで全て順調だな」
「何が順調よ・・・何もかもが目茶苦茶よ・・・」
「サムライブルーお嬢様、気を取り直してください」
「そうですよサムライブルー、一緒に応援しましょう!」
「苛め? それともトドメ?」

青魔館、ここに誕生せり





その頃のマヨヒガ、の広大な庭

「二人とも、準備は出来たわよー」
「頑張って藍様!」
「分かった! いきますよ幽々子殿」
「来なさいなー」

フィールド、二つのゴールとサッカーボール
向かい合う狐と亡霊、観戦する主と黒猫

「シェフチェンコ」

狐の挙げた声と共に、どこからともなく現れる選手
それは幻想と想像の融合の果てに生み出された夢

「そうねー・・・アデミール」
「クラウチ」
「フォンテーヌ」
「ロナウジーニョ」
「ガリンシャ」

続々ゾロゾロと現れる選手達
が、どちらかの選手達に何か違和感がある、というか幽々子側に

「幽々子殿」
「なーにー?」
「古すぎです・・・」
「えっ!?」
「確かに古いわよ幽々子・・・」
「ええ!? じゃ、じゃあヤシン!」
「それも古いです! というか皆他界してます!」
「ならスキアフィーノ! メアッツァ! スタビレ!」
「それも全員他界してますよ! 一体何時の時代からやってきたんですか!!」
「そんなっ! 白玉楼でよく一緒に試合してるのに!」
『凄っ!!』

恐るべし、冥界の主

「うーん・・・バッジョとかイエロとか出せばいいのにニャー」
「橙も中々渋いわね」
「コ、コールマンとエドワーズは!?」
「ミュンヘン!?」

過去の偉人達と共にプレーするのは、何時の時代も幻想の果てに





空、飛来する物体、それはマスコミなのかパパラッチなのか

「さて、面白そうなネタが一杯ですねー」

獲物を探すように地を見下ろす、幻想郷の新聞記者、射命丸 文

「では早速紅魔館・・・じゃなくて青魔館の皆さんにインタビューでも・・・皆さーーん!」

 ―霊符 夢想妙珠―
 ―恋符 マスタースパーク―
 ―幻符 殺人ドール―
 ―人符 現世斬―

「みぎゃぁぁぁぁぁ!!」

烏、撃墜

「い、いきなり何をするんですかーーー!!」
「スペルカードよ」
「スペルカードだ」
「スペルカードね」
「スペルカードです」
「皆さんで連続して言わなくても分かりますって! なんでこんな事をするのかと聞いているんです!」
「旗よ」
「・・・旗?」

四人が見上げた先に、エンブレムの描かれた旗

「旗が・・・どうかしたんですか?」
「ここでブン屋に問題だ、日本代表のエンブレムに描かれた鳥の種類は?」
「・・・ヤタガラスでしたっけ?」
「では第二問、幻想郷にヤタガラスは存在するか?」
「私の情報網には、いたという情報は無いです・・・」
「というわけで、エンブレムにヤタガラスの代わりにお前を貼り付ける事に決まったんだ」
「そうですか・・・はあっ!?」

状況を理解し泣き叫ぶカラス天狗、非情に引き摺る青き人

「私はカラスじゃないです! 天狗ですー!!」
「どこからどう見てもカラスよ」
「そうだな、ゴミを漁るようにネタを漁るし」
「肩にいつもカラスを乗せてるものね」
「黒いですし」
「天狗ですってばー!! というかワザワザ貼り付けなくても絵を描けばいいじゃないですかっ!」
「やっぱり生で見るのが一番だからな」
「生っ!?」

そうです、現地に見にいく人たちには家で見る人達の気持ちなど分からんのですよ

「永琳、ここが幻想郷日本代表応援本部よね」
「ああ・・・姫様が自ら外に出てしかも応援をするなんて・・・」
「何感動しているのよ、さっさと行くわよ」
「あのいつも引きこもっていた姫が、私を引っ張っていくなんてまるで夢のよう・・・」
「師匠、本気で泣く事は・・・」

永遠亭御一行、ご到着

「あのー・・・」
「あら?」

上を見上げれば、旗

「カラスは紋章に磔られました、って見えます?」
「日本サッカー協会は朝日新聞をシンボルマークに採用しました、って見えるわ」
「姫、その発言はちょっとだけ危ないです」
「別にいいじゃない、さ、急ぐわよ」
「待ってー! 誰か降ろしてー!」

ちなみに後日、美鈴に旗として豪快に振り回される運命がレミリア辺りには見えていた












数日後、青魔館のパブリックビューイングルーム
幻想郷中の弾幕娘達がここに集った

「映姫様」
「なんですか?」
「チケット・・・取れませんでしたね」
「そうですね」
「で、仕方なくここに来ましたが」
「そうですね」

ただひたすらにそれを見つめて呆然とする死神

「103インチのプラズマテレビなんてどっから持ってきたんでしょう・・・」
「松下でしょう」
「いや、それは分かっていますけれども」
「ならばいいじゃありませんか、ホラ早くあなたも着替えなさい」
「はぁ・・・(映姫様ってサッカー好きだったんだ・・・)」

平静を装いながら誰よりもその目を輝かせる閻魔

「ブラジルが優勝よ!」
「いーや、ドイツが優勝するね!」
「魅魔様も幽香も落ち着けって」
「マラドーナ率いるアルゼンチンが優勝するの!」
「チルノちゃん・・・もうマラドーナは引退したよ」
「嘘!?」
「この大会はジダンとアンリの大会になるわ・・・」
『日本!日本!』
「夢子ちゃん、魔界の住人としてマカーイのいるオランダを応援するわよー」
「神綺様、マカーイは代表に選ばれていませんけど・・・」
「そんなっ!?」
「うーん、チュニジア勝たないかなぁ」
「鈴仙、あなたかなり通ね」
「し、師匠・・・その、国旗に月が付いてた物ですから・・・」

まだ開幕には日にちがあるというのに、集い盛り上がる弾幕娘達
熱狂、落胆、歓喜、悲哀、彼女達をどれが待ち受けるのか、それとも全てか

「盛り上がってるわねー」
「この様子ですと、これから毎日宴会騒ぎでしょうか」
「そうね、日本以外の試合でも盛り上がっていそうね」
「それもまた祭りの楽しみでしょう」
「ところで藍はどこが優勝すると睨んでるの?」
「まぁ・・・本命はブラジルですが、今回はチェコを押そうかと、紫様はどこを?」
「そうねぇ、やっぱりロナウジーニョのいるスペインかしら」

ほんの少し、空気が固まったかもしれない

「ど、どうしたの藍?」
「・・・・・・紫様、確かにロナウジーニョはスペインでプレーしていますが、彼はブラジル人です」
「へっ!?」
「・・・プラズマディスプレイの配線終わりました」
「テ、テスト代わりに付けなさい、早く!」
「はいはい・・・それ」

ブゥン・・・

『えー、次はイングランドサポーターのアリス・マーガトロイドさんに話を聞いてみたいと思います』

ブチンッ

「ニポーン(魔理沙、今どこかで見たような魔界人がいなかったかしら)」
「ジャパーン(さあな、気のせいだと思うぜ)」
「ヤーパン(そうよ、時を止めて何度も確認したけど、気のせいよ気のせい)」
「ジパーング(そうですよ、上海人形と蓬莱人形みたいな物も持ってましたけど気のせいですって)」
「エ、エスパーニャ(と、とりあえずもう一回つけてみましょう)」

ブゥン・・・

『今回の大会もチケットの入手などでごたごたしましたが、アリスさんはどうでしたか?』
『やっぱり観戦は生が一番ですから、イングランドが決勝に至るまでのチケットを全て買――』

ブチンッ

「フランセーズ・・・(裏切ったわねアリス・・・)」
「ネーデルランドー!(ママを置いていくなんて酷いわアリスちゃん!!)」
「チェコ!(閻魔様、判決を!)」
「ヤポーネ(判決を下します・・・・・・死刑!)」
『Whooooooooooooooooooo!!!』





四年に一度の全世界を巻き込んだフェスティバルの幕が上がる――。




頑張れ! 日本!

追記)開幕とあわせて最後を更新
幻想と空想の混ぜ人
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コメント



0.2580簡易評価
21.-10西瓜硝酸削除
SAMURAI BLUEはチルノの服の色なのだから、紅魔には合わないと思うな〔疑問〕
26.無評価幻想と空想の混ぜ人削除
ご安心を、故に期間限定で青魔(マイハートブレイク
28.70ルドルフとトラ猫削除
アリスたくましいなw
29.60王様になれない程度の能力削除
アリスでないのかなー、とか思ってたらw
というか、その後の会話が何故成立するのかという理屈が気になる。
32.100名前が無い程度の能力削除
ちょwwwwワーワーwwww
問題はワーワーを知ってる方々が少なさそうという事でしょうか。
34.無評価幻想と空想の混ぜ人削除
>王様氏 シャンハーイ! ホラーイ!
>ななし氏 今回のネタはかなり範囲が限定されるのを覚悟の上で執筆ワーワー
37.80跳ね狐削除
頑張れ日本!
あとワーワーを調べて吹き出しました。ググれば最初の所にでてきましたので問題ないかと。
41.80名前が無い程度の能力削除
青に、染まれ――。
42.80名前が無い程度の能力削除
うん、なんというか、迷いなく最後まで突っ走ったのが良かった。
43.70名前が無い程度の能力削除
なんて言うか・・・いろんな意味でワーワーでしたw
44.40名前が無い程度の能力削除
チン・メイリンかな?
48.60名前が無い程度の能力削除
>その無邪気な瞳が私の心にグングニルーッ!!
吹いた
次はオシムか。頑張れ日本!
61.70名前が無い程度の能力削除
もう三年たつのか