Coolier - 新生・東方創想話

花をみるひと(たち) ―起―

2006/06/02 04:53:01
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*旧TYPE-MOONの『月姫』『歌月十夜』の内容を知らないとやってられません。
 とはいえ、「ネットで情報集めりゃ十分カバーできるぜ!」というのもお勧めできません。
 何故なら、少しずつ謎を解いていくのが月姫の面白さのキモと言っても過言ではないからです。
 そういう理由で、当SSは同作の面白さを著しく殺いでしまいます。未プレイの人はできるだけ月姫やろうぜ?
 ……繰り返し言いますが、未プレイの人は要注意。ひぐらしの解をやってから出題編をやるようなものです。
*◇マークの右が話し手(主観)です。特に断りの無い限り、一人称で話は進みます.









長々とした講釈、失礼致しました。
正直「うわなにこれ校正しづらっ」とか自分でも思うくらい長いですが、それでも宜しければお楽しみください。











◇:遠野志貴

それはある春の日。
風呂上り、いつものように皆と居間でお茶をしていた時のことだった。

「ところで、今年のお花見はどうします?」

遠野家の使用人、琥珀さんが話を切り出した。
『今年の』と頭に付くように、毎年恒例の行事になるのだろう。
とはいえ、屋敷の皆で花見をするのはこれが初めてで、それだけに皆の期待も深い。

「そうね、候補地はいくつか選んであります。兄さん、希望がありましたら早めに言ってくださいね」

話を受けたのは俺こと遠野志貴の妹、遠野秋葉。
普段は攻撃的かつ皮肉屋、それでいて礼儀正しく学も深いというパーフェクト超人だ。
しかも俺に対してのみ攻撃力が五割増(当社比)で、お兄ちゃんはタイヘン困っている。
だがそんな秋葉も、花見の話題になると途端に上機嫌になるので心臓に優しい。

「俺からは特に。まあ、みんなが選んでくれるなら良い場所なんだろ、きっと」

「毒にも薬にもなりませんね。らしいと言えばらしいですけど」

甘かった。ちょっと機嫌が良いくらいで、攻撃性を潜めるような妹ではなかった。
言い返してもどうせ負けると思うので、後ろに立っていた翡翠に話を振る。

「翡翠は? 何か希望とか無いのか?」

「いえ、わたしからも特には」

字面だけだと素っ気無く見えるが、翡翠は無表情ながらもどこか嬉しそうだ。
翡翠も遠野家の使用人で、琥珀さんの双子の妹になる。
姉とは完全に真逆で、掃除が得意で料理が苦手、そして無口で真面目で他人を騙さない。
………琥珀さんの性格は上記から察してほしい。

「二人とも意見は無し、と。じゃあ、後はわたしと秋葉さまで決めてもよろしいですか?」

「うん、任せた」

「はい、任されました。兄さん、ちゃんと準備をしておいてくださいね」

うぃ、と生返事をして部屋に向う。
考えてみれば、みんな一緒に外出するなんてこと自体が初めてのこと。
桜の下での団欒を思い描きながら、幸せな眠りに落ちていった。

そうして、カレンダーは捲れていった。

◇:八雲藍

それはある春の日。
いつもどおり橙と自分の夕食、そして紫様の朝食を作り終えた時のことだった。

「退屈ね」

気だるそうに紫様は言う。

「紫様が退屈なのは幻想郷の平和に直結しますから。良い事です」

「え、冷たいのね藍。ここは『わたしが紫様を愉しませてあげましょう。大丈夫、何も考えられなくして差し上げます…』とか何とか言って、爛れた夜の生活に突入するところでしょう?」

「はいはい。寝言を言う時間はそれこそ腐るほどに有るんですから、起きてる時ぐらいは真面目にしててください」

「何よ、橙にばっかり構って。私はもう用済みなのね……。嗚呼、枕を涙で濡らす日々だわ」

そう言うと、紫様はスキマに顔を突っ込んでごそごそ蠢き出した。
食事中のスキマは行儀が悪いから止めて欲しいと、私が再三言ったにも関わらず、だ。
私の嘆息をよそに、紫様は「楽しい事でも入ってないかしら」と楽しげにスキマ探索を始めている。

不意に、後ろから突き飛ばしてスキマに幽閉してはどうだろうと考える。
……うん、無意味。マスターキーを持った人間を閉じ込めようとするようなものだろう。
馬鹿な思いつきはともかく、今のうちに紫様を制御しておく必要が有る。
『スクープ! 村がまるごと消失、現場付近に金髪リボンスキマ妖怪の目撃情報!』なんて記事が天狗の新聞に載った日には、恥ずかしくて買い出しにも行けやしない。
興味本位でとんでもない悪戯をする前に、何かしら手を打っておくべきだろう。

ところで、もうすぐ博麗神社で花見をすると霊夢に聞いた。
しばらくは宴会が続くだろうから、紫様も退屈せずに済むだろう。
それまで何とか落ち着いていてもらいたいものだが………。

◇:遠野志貴

花見当日。
朝からみんなそわそわしており、遠足に向かう小学生ってこんな感じだっけ、なんてぼんやり思ったり。
秋葉の皮肉にはキレが無いし、翡翠は上の空だし、琥珀さんは……普段に輪をかけてハイテンションだ。
腕が鳴りますよー! と、包丁を両手に持ったままくるくる踊り出した時はどうしようかと思った。
とはいえ、万年寝坊助の俺が恐ろしい事に六時前起きしてしまったのだ。他人のことは言えまい。

そんなこんなで山登り。
金持ちの遠野家のこと、ロープウェイでも使うのではと危惧していたが杞憂だった。
もしそんな事態が発生したら、兄として秋葉に教育的指導を行わねばならない所だった。
以前「兄さん、バスというのは目的地が大雑把過ぎませんか。何故みんなタクシーを使わないんでしょう?」とか言われた時には、血の涙を流す気持ちで説教したものである。

全部で五人……まだ紹介していなかったか、俺の愛猫兼使い魔のレンも同行している。
見た目は小学生くらいの女の子だが、その実800年近い時を経た使い魔だ。
日の光に照らされて、黒いコートにスミレ色の髪が映える。映えるのだが、見ているだけで暑そうだ。
『脱げば?』と俺は思うものの、使い魔にも色々有るらしく頑として聞かない。
いや、もしかしたら単にお気に入りなだけかもしれないけど。
とにかく実際暑いのだろう、レンは木陰から木陰へ小走りで移動するのを繰り返していた。年相応(外見年齢)の仕草が微笑ましい。

「えーとですね、ここら辺は翼人伝説終焉の地ですね」

なだらかな山道を歩きながら、琥珀さんのヨタ話に耳を傾ける。
琥珀さんは信憑性の疑わしい話をしては皆にげんなりされるのだが(例:屋敷の離れに出没する化け猫)、今回の話『翼人伝説』は良くできていた。
殊に、主人公が不殺の誓いを頑なに守って斬られるあたりは涙腺が『ここは抑えておくから、お前らは俺に構わず行け! なぁに、後から追いつくさ……』という状態になるほど。

「終焉の地、ね………。翼の少女は幸せだったのかしらね」

「さあな。でも、三人で旅をしてる間は絶対に楽しかっただろうな」

「詮無きことですけど。出来ることならその少女には救われて欲しかったかな」

「伝承には悲劇が付き物ですからね。とはいえ、わたしも最初に知ったときはやりきれない思いでした」

うわあ、秋葉が女の子みたいな事を言っている。
……と、口に出したら色々と不味いので黙っておこう。
ちなみに翡翠は会話に参加せず、必死で涙を堪えている。ヤバイ。

「なあ、翼人って本当に居たのかな?」

「さあ? 鬼や吸血鬼は実在しますけど、翼人というのは聞きませんね。精々がコウモリ人間程度ですか」

「コウモリとはまた夢が無いな。琥珀さんは? 他に翼人の話って知らない?」

「それがですね、あるんですよ。しかも同一の翼人について語られる伝承が。これは母から子に代々伝わる口伝らしいんですけど、翼の少女を救うため、一族は法術という力を伝え、翼の少女を救うんだそうです」

「それは、今でも?」

「おそらくは。さっき秋葉さまは救いが無いと仰いましたけど、いつか少女は救われるんですよ」

「へえ。希望を子孫に託す、か。ロマンチックね……。って兄さん、何ですかその顔は」

とりとめも無く話をしていると、急に視界が開けて見晴らしの良い高台にやって来た。
立ち並ぶ桜は満開で、言葉を失うほどの美しさ。
眼下に広がる青々とした山々の景色は、先程の翼人伝説の話もあいまって感動もひとしおだ。
そこで、敷物を広げて花見を始めることにした。

◇:八雲藍

ある日。

紫様の姿が無い、と朝方に気付いた。
とはいえ、あの方が突然消えるのは良くある事。
例えば、結界の外の―――何と言ったか―――そうだ、「テンコー」だったか。
人間にしては見事な空間転移だったが、あれでも紫様に比べるとまだまだ拙い。紫様は一切の痕跡も残さず、一瞬にして消えうせるのだ。それこそ瞬きの内に、しかも大仰な幕や舞台など使わずに。
そんなわけで、紫様が目を離した隙に忽然と失踪するのも日常茶飯事なので、別段気にも留めなかった。

果たして、いつのまにか紫様は帰ってきていた。
掃除を終えて夕食の支度をしようと居間にもどると、「あら藍、おはよう」と今日初めての挨拶をされたのだ。
何やら上機嫌な様子だったので、白玉楼か神社にでも訪れたのだろうか、などとぼんやり考えた。
この時もまだ、そう深く気にしてはいなかった。

そして夕食。
いつも通りの楽しい食卓、橙が元気に私の手料理を頬張る様子に見とれていたところ、不意に紫様が今もなお上機嫌なのに気付いた。
ここまでこの方の喜びが持続していることなどそうそう無い。
その嬉しげな横顔を見て、私の中で不安が急速に膨れ上がって行くのを感じた。
失礼な式だと言うなかれ。主が何かしでかすたび、各所に謝り回るのは私なのだ。

「紫様、何か嬉しいことでも?」

「そうなのよ、聞いてくれる? 今日はね、山の中にスキマトラップを仕掛けてきたの」

「……それで?」

「あ、心配しなくても出口はあるわよ。それでここが肝心なのだけれど、出口はなんと皆のところになってるのよ」

「……つまり?」

「直接的に珍入者を送り込んで、みんなに変化に富んだ一日をプレゼントしようかな? ってこと」

「他の人を退屈させないように、と?」

「そうそう。未知との遭遇、突然の出会いと別れ、そして最後は自転車で宇宙へ。マンネリは精神の毒よね、本当」

「―――要するに、他人の右往左往する様を蚊帳の外ならぬスキマの中から眺めるという、甚だ自己中心的な欲求を満たすためにまた幻想郷を引っ掻き回したいと?」

「違うわよ。他人の幸せは私の幸せ。外の言葉だけど何て深い言葉かしらって何よ藍その木刀は」

その日の夕食は血の味がした。

◇:遠野志貴

「………おや?」

「どうしたんです兄さん。死体でもありました?」

森の中、少し開けたところで立ち止まり、眼鏡を外す俺。その肩越しに秋葉が覗きこむ。
お約束ではあるが、やっぱり女の子がそういうことを言うのは良くないと思う。
まあ、それはともかく。

「結界……かな。いや、違うか……? 何だか解らないけど、正常な空間じゃないな」

秋葉が頭にクエスチョンマークを浮かばせる。
遠野志貴は魔術を使えないし、暗示の術に一瞬で掛かってしまうほどに魔術耐性も低いのだが、それでも”視る”という能力においては他の追随を許さない……らしい。
ともかく、森の広場に妙な空間を見つけた。一度死んでいる、というのだろうか?
まるで、無理やり引き裂いた空間を強引にくっ付けたような死の痕跡が浮かんでいた。

「魔術的なものは感じないけど……。ともかく兄さん、あんまり眼鏡を外したままにしてちゃ駄目ですよ。今あの人達を呼んできますから」

秋葉は小走りで去っていく。
あの人達、というのは食事時に乱入してきた吸血姫と代行者さんのことだろう。
二人の登場は大いなる破壊と混沌と絶望をもたらし、陽気な宴会は一触即発かつ阿鼻叫喚のキリングフィールドと化した―――いや忘れた。もう忘れた。

ちなみに眼鏡というのは俺の魔眼封じのこと。度は入っていない。
コレを外すと、遠野志貴の眼……魔眼にはモノの死が視える。それは線であったり、点であったりする。
ソレにナイフを走らせれば、どんなに硬質だろうが生命力豊かだろうが関係なく、その悉くを殺してしまえる。
異常なのはその応用範囲だ。”不死”を殺すこともできるし、”概念”や”五感”、”世界”まで殺すことが出来る。冗談みたいな話だし、実際俺も初めて聞いたときには冗談かと思った。
とはいえ良い事ばかりではなく―――まぁ死が見える、なんてのは俺に言わせれば良い事でも何でもないが―――見えてはいけないモノを無理して見ることは確実に俺の脳に負荷を掛けていく。
”世界”の死なんか見てたら、一瞬でばーすとぶれいんになってしまうのだ。そして俺は星をみるひとになる。
で、それを抑制するための眼鏡がこれ。

「以上、他人に教わった話をまるで自分が考えたかのようにモノローグする遠野志貴であった。まる」

で、目の前の死はなんなのだろう。
空間に裂け目を作るほどの術者にしては、閉じ方があまりにもぞんざいでは無かろうか。
どういう原理かは知らないが、一旦開く事ができたなら、閉じるのは遥かに容易な気がする。
シエル先輩も「世界は矛盾を極端に嫌います。異状はそれだけで修正され、安定した状態に戻るのです」とか言ってたし。
開けはしたけど閉じらんねーぜどうしよう? って事態は考えにくい。

「ってことは、わざと開けたまま残してあるのか……?」

ふーむ、と腕を組んで考えてみる。

「よし、検証開始」

名づけて、『スキマ探検隊』。隊長は俺こと遠野志貴、他の隊員は無し。
空しさに浸るのは早々に切り上げて、手ごろな長さの棒を探す。
四方が森に囲まれているので、丁度良い棒はすぐに見つかった。長さ、重さ、太さ全て申し分無い。
それを目前の割れ目に挿入。

「うわ、今のモノローグはちょっと卑猥」

独り赤面しながら言うと、とてつもない切なさに襲われた。
少し自己嫌悪に陥りながらも、気を取り直して探索開始。
棒を入れると、割れ目は段々と開いてゆく。

「んー、良く見えないな……。―――あれ?」

割れ目が子供の頭くらいまで開いたとき、その向こうに眼が見えた。
鏡がありました、なんてベタな話ではない。人間の瞳が一つ、ぽつんと浮かんでいるのだ。

「――――――っ」

見知らぬ瞳とコンニチワ。
絶句している俺を一瞥し、その瞳は笑った―――ように見えた。
そして、無数の黒い手が俺の体を掴み、引きずり込む。

一瞬の出来事だった。

まさか、こんな日常のワンシーンにもデッドエンドの扉が隠されていたとは。
つくづく主人公特性が恨めしい。

引きずり込まれる間際、『何やってんですか兄さん!馬鹿ですか!?』とか『貴女こそ何言ってんですか。遠野くんは馬鹿でしょう、気付いて無かったんですか?』とか『あーもう、シエルどきなさいよ!尻がつっかえてんのよ!』『なっ―――!貴女こそその馬鹿でかい胸が引っ掛っているんです!秋葉さんを見習いなさい!』『ちょっとそれどういう意味!?』などという声が―――。

そして、スイッチを切る様に意識は途絶えた。

◇:魂魄妖夢

驚いた。
お師匠様から『武士たるもの、何時如何なる時でも冷静であれ』と言われ、自分もその言葉に反しない様に生きて……生きているのか? …ともかく過ごしては来たつもりだが、今回は流石に驚いた。
幻想郷の主とまで言われる大妖怪、八雲紫が自宅の軒先に逆さ吊りにされていて、その傍らには荒んだ目をした式、八雲藍が異様な出で立ちで佇んでいたのだ。
彼女の服は真っ白で、形は燕尾服と同じ系列だろう。ただ、襟と裾が異常に長い事と、その背中に書かれた『喧嘩上等/斬捨御免』の四字熟語がその服の特異性を主張している。右手には赤樫の木刀が鈍く輝いていた。

「………何が起こったんですか?」

斬捨て御免、のあたりに強い共感を覚えつつも質問してみる。
すると、彼女は荒んだ眼を伏せて「聞くな。後生だから」と答えた。

「お互い、主の扱いには苦労しますね」

「全くだ」

今ここに、二人の気持ちは一つとなった。
かく言う私も幽々子様が防災用の備蓄を平らげていた時など、本気でこの二刀の露にしてやろうかと思ったくらいだ。
「そもそも白玉楼に防災なんて必要ないわよ~」というのはもっともだ。しかし私はただ備蓄を食べると言うその自制心の無さが気に食わないわけで、断じて幽々子様の言葉にハッとしたりなんかしていない。していないぞ。

ともかく、幽々子様が迷惑を掛けるのは主に私だけだからいい。良くはないが。
紫様の場合、その悪戯は幻想郷全土に迷惑を掛ける。彼女の心労は推して知るべし。

「ところで何の用だ? 見ての通り、紫様はただいま謹慎中だが」

「あ、幽々子様からのお誘いなんだけど……無理かな、この様子じゃ」

「済まないな。西行寺のお嬢さんにはよろしく言っておいてくれ」

「私は別に今からでも全然余裕……いや何でもないですゴメンナサイ」

「あー、見苦しい主で済まない。じゃあ、いずれ埋め合わせをすると先方に伝えてくれ」

「了解しました。それでは」

一瞥して、マヨヒガを後にする。
その気になれば、紫様にとってあの状況から脱出する事は朝飯前。
あの主従はそんなことなど当然理解している。いや、理解しているからこそ、か。
大妖怪八雲紫が逆さ吊りを許す者など、この幻想郷において八雲藍を置いて他に存在するまい。
知らず、頬が緩んだ。

私と幽々子様も、傍から見ればあんな風なのだろうか?
いやいや、まだまだ年季が足りないか。遠い遠い時の向こう、いつかあんな風に幽々子様を陰干しできるような時が来るのだろう、多分。
それまでは、苛められ役に甘んじるとしよう。

ところで一つ疑問が残る。
彼女は結局、何をしでかして謹慎中なのだろう………?

◇:翡翠

従者たるもの、主の安全を第一に考えるのは当然だ。
それは心得だの心構えだのといった問題では決してなく、優れた従者にとっては息をするのと同程度に自然なこと。
だから、志貴さまが見知らぬ狭間に落ち込んだと聞けば、追うのは当然と言って良いだろう。
そこに前途の不安を考慮する余地などなく、半ば反射的に主の後を追った。

「………湖?」

気がつけば、わたしは見知らぬ湖のほとりで眠っていた。
あまり屋敷から出ないわたしが言っても実感が湧かないが、その湖はとても大きく、間違いなく人生で最も大きな湖を目の当たりにしているだろう。
寝ていた場所が草原だったからか、幸いにも服はあまり汚れていない。
遠くに霞む山の影と、それを映す湖面。湖面の青は、空の蒼。
湖の向こうには、紅の館がうっすらと見える。街中にあっては異様な建物だろうが、今ここに限定して言えば、あれ以上に映える色などそうそう無いだろう。
実に春らしい、雅と言うよりは清涼な風景。この身の隣にあの方がいらっしゃれば……などと、柄にもないことを考える。
……よし、赤面終了。
軽く服をほろって、館の方へ歩き始めた。

「見ない顔だね。私の湖で何してんの、あんた」

湖の淵に沿って屋敷の方へ歩いていると、不意に空飛ぶ少女に声を掛けられた。
青系統の色で統一した服が可愛らしい。

「初めまして、翡翠と申します。いささか恥ずかしいのですが、実は道に迷ってしまいました」

「ふうん、それで屋敷に向かって歩いてたんだ。私はチルノ」

とりあえず手を差し出した。少女……チルノさんは少し戸惑ったような仕草をしたものの、手を握ってくれた。
その手が氷のように冷たくて、何となくこの人が人間じゃないんだと解った。
……ベタではあるが、人間じゃないのに人というのはどうだろう。

「でもさ、あの屋敷には行かない方が良いよ。人間が入れるところじゃないから」

チルノさんはわたしの隣を飛行している。
この長い道程、話し相手がいるというのは僥倖だ。

「そうなのですか?」

「そうなのです。吸血鬼の屋敷でね、まぁ色々と恐れられてるのよ」

「なるほど。被捕食者がのこのこ侵入するのは自殺行為、と」

「理解が早くて助かるわ。ところで被捕食者って何?」

先輩風を吹かせようとする彼女の様子が可笑しくて、つい笑みが零れる。
彼女は一瞬だけ眉を顰めるが、次の瞬間にはまた笑顔に戻っていた。

「食べられるもの、という意味です。あと、それでも一応伺ってみることにします」

「ええ!? ちょっと翡翠、あたしの話聞いてた?」

チルノさんは、空中でこけるという小技を披露してくれた。
まあ確かに、話の流れを無視した結論ではあると思う。

「駄目だって、殺されちゃうよ? 吸い殺されちゃうよ? 木乃伊だよ?」

成る程、それはぞっとしない。

「……大丈夫、少し尋ね事をするだけですから。それに」

「それに?」

「吸血鬼の館なら、わたしの職場ですから」

遠野の屋敷。
三咲町の丘の上に鎮座するそれは、街の人々の羨望の対象になっている。曰く、豪邸。曰く、金持ちの住居。…同じか。
ところが現実はそう単純かつ美しいものではない。わたしの仕える志貴さまを中心に、想いを寄せる妹に吸血姫にシスター(≠姉妹。修道女の人だ)の描く五角関係が渦巻く素敵なお屋敷だ。
……誰ですか今『四角関係だろ?』とか言った人。主の傍らに佇み、主に最も近い人間をお忘れですか?
ともかく、愛と友情と策謀と暴力と嫉妬が混ざり合い、時に取り違えられたりするあの屋敷よりも危険な場所などそうそう無いだろうと思う。
ちなみに、吸血鬼の館と言うのは文字通り―――

「しょうがないわね、あたしも付き合ってあげるわ。門番とは知らない仲じゃないし」

諦めた様に嘆息すると、彼女はもう一度手を差し伸べてきた。
―――『心が温かい人は手も暖かい』『心が温かい人は手が冷たい』。
巷にはこの二つの説が流布しており、どちらが元なのかは判断しかねる。
けれど、今は後者が正しいのではないかと思う。

◇:遠野秋葉

「そうか、気の毒に。外の人間に干渉するなと、皆が再三注意したのにな……」

ワビとサビ、そんな言葉が脳裏に浮かぶ、風雅な和風建築。
洋館に住むわたしにとって、囲炉裏を囲みながらの雑談と言うのは新鮮だった。

山の中で倒れていたわたしを見つけると、この人――慧音さんは、わたしを自宅に上げてくれたのだ。
そこで事情を話すと、どうやら下手人に心当たりがあるらしい様子。
どうも、自分にも責任の一端があると感じている様だった。

「済んでしまった事は仕方がありません。それはともかく、有難うございました」

深く礼をしながら言う。
慧音さんは手をひらひらと振って「構わんよ」と言った。
そしてお茶を淹れに行き、すぐに帰ってきた。
どちらが話し始めるか探っているような、心地よい緊張感に包まれる。

「さて、一つ聞きたいことが有るんだがいいかな?」

「わたしも一つ有りますが、どうぞお先に」

む、と慧音さんが顔を顰める。
そして数瞬。慧音さんは大きく嘆息し、やれやれと頭を振った。

「化かし合いは止めよう。如何にも、私は半妖だ」

「奇遇ですね。わたしも人では無いモノの血が混じっています」

「そうか。実に奇遇だ」

「全くです」

二人共、少しだけ笑った。
日本茶の味はあまり慣れないものだったけれど、そう悪くはない。

「ところで、何時から気付いていたんだ?」

何でもないように慧音さんは言う。
だからわたしは、「初見で」と短く答えた。
何が可笑しいやら、彼女は先程よりも大きく笑った。

「そうか、類は友を呼ぶか。失礼ながら、詳しく話を聞いてみたいのだが」

嫌で無ければな、と慧音さんは付け足した。
わたしにとっては幼少期の内に決着させた問題だ。似た境遇の人に話すくらい訳はない。

それから、熱に浮かされた様に一気に話した。
人でありながら人以上の力を求めた遠野の業。
妖と交わる事で自身の力を高めた反面、いつその血に食われるか解らない愚かな一族の話。

話が終わると、慧音さんは「私の番か」と呟き、訥々と話し始めた。

力に囚われたわけでも人間に絶望したわけでもなく。
ただ単純に、一対の妖怪と人間が愛し合っただけの話。

代を重ねるたびに血が薄れていく遠野の人間と違い、この人の血の半分は直接的に妖怪だ。
ならば、わたしなんかよりも遥かに辛い生を送っているはず。

なのに、少し羨ましかった。
馬鹿げた妄念に取り憑かれた一族の末裔としてではなく、ただ純粋な愛の結晶として生まれてくるということが。
語り終えた慧音さんは、どこかむすっとした顔をしていた。

「………む。ついつい舌が滑ってしまったか。普段はもう少し寡黙なつもりなんだが」

「それは―――」

「『奇遇ですね』、だろう?」

わたしたちは笑い合った。
………うん、たまには日本茶の味も悪くは無い。

◇:霧雨魔理沙

もうすぐ神社で花見が催される。
私は飛行速度と顔の広さを買われ、宴会の幹事を任されている。
しばらく顔を見ていない連中も、今回の花見には参加するらしい。誰にともなくそう聞いた。
これは噂に過ぎないのだが、いつかの花の異変で関わった死神と閻魔も来るとか。あの閻魔のこと、酔っ払ったら説教して回るのだろう。そして割を食うのがあの死神か。
もしもあの自動人形が来たらどうなるかな、とも考えてみる。―――桜吹雪の下で舞い踊る一体のヒトガタ。

「うむ、絵になるな―――おや?」

きぃん、と箒の先端を返して緊急停止。
香霖堂で見た『でろりあん』とやらを意識した停止法だ。見た目かっこいいので、最近は専らこうやって止まることにしている。
無論、前に人が居るときには遠慮なく風圧の餌食にする心構えだ。門番とか。

「………女の子、か。まだ幼い」

森の小道、その脇に倒れていたのは黒いコートの少女だ。
年齢的には自分よりも四つは下だろうか。
捨て子ではないだろう。大方、道に迷った挙句に行き倒れたか。

「ま、見捨てておく訳には行かんな」

独言して、少女を小脇に抱える。
人間一人分の重さが加わり、箒のバランス維持が少し難しくなった。

「あんまり長くは持たないか。―――じゃあ、飛ばすぜ」

そして加速。
行き先はもちろん、森の家。







「ただいま、っと」

玄関を開けて中に入る。
整理された廊下には無駄な物がなく整然としていて、『帰ってきたんだなあ』という安らぎに満たされる。
やはり、ここは良い。落ち着くことこの上ない。

「―――って、何勝手なモノローグしてんのよあんたは」

「おお家主殿。済まないがちょいと急用でな、勝手に入らせてもらった」

勝手知ったる他人の家。
廊下の奥から現れた家主ことアリス・マーガトロイドは、突然の私の訪問にご機嫌斜めだった。

「急用って、その子?」

「ああ。森でキノコ狩りをしてる時にな」

椅子に座って眠る少女を一瞥する。と、途端にアリスの表情が硬くなった。

「………攫ったの?」

『シャ、シャンハーイ!?』『ホ、ホラーイ!?』

「失敬な。気を失ってるみたいだから保護したんだよ」

「何だ、そうなの」

てっきり館のペドメイドの病気が移ったかと思ったわ、なんて笑顔で言うアリス。

「陰口とは感心しないな。噂をすれば影が、って言葉もある」

しかも時を止めて迫ってくるので始末が悪い。
アリスは見捨てて囮にするとして、私の速さでも奴を撒く事はできまい。何しろ時を止めるのだから。

「そうね、『お嬢様は約五百歳なんだからロリでもペドでもないわ!むしろ熟女』とか言い出したりして」

「止してくれ。今度はレミリアがキレちまう」

あはははは、と二人して笑う。
乾いた響きになるのは、脳裏に不夜城レッドが浮かんでいる故か。

「で、何で私のところに? 自分の家に連れていけば良いじゃない」

ごく当然のように質問された。
だがしかし、その問いに対する答えは既に準備してある。

「ところでアリス、私の家に泊まれっつったら泊まれるか?」

………おい、何故そこで固まる?

「む、難しい質問ね………。年頃の二人が同じ屋根の下、っていうのは倫理的にどうか……」

でも誤解しないでね私個人としてはあなたの言う通りにするのもやぶさかでは無いのよ、と超絶的な早口で言い放つアリス。イングヴェイもびっくりのスピードだ。
いや、最近ではインペリテリと言うべきか? 全く、カイ・ハンセンも遠くに成りにけり、だ。

「あー、何言ってるのか分からんがお泊りには意欲的なんだな。一考しておく。ところでアリス、さっきの発言の力点は『私の』ではなくて『家』そのものにあるんだが」

「魔理沙の自宅………ねぇ。―――あ」

露骨に顔を顰めるアリス。
いつか私の家に大掃除をしに来てくれた時のことが頭をよぎったのだろう。
止してくれと再三忠告したのに、それを遠慮と解釈したのかアリスは「魔理沙は私が居ないと駄目なんだから、もう」と半ば強引に押し入ってきたのだ。
善意で協力してくれた友人を悪く言う気はないが、とりあえずアリスが居ても何も戦局は好転しなかった。
いやむしろ犠牲者が二倍になったあたり悪転したと言うべきか。

「つまりはそういうことさ。幼い女の子だ、調度の雪崩に巻き込まれれば無事じゃ済まない」

「いや、成人だろうが不死だろうが無事じゃ済まないわよあの瓦礫は」

何しろ魔術的に危険な物も混じってるもの、と付け足すアリス。
確かに、瓦礫に埋まって「こりゃやべぇかな?」とか暢気に思っていたら、見なれない護符やら罠やらが発動して驚いた。
まあ見なれないのは忘れていたからで、集めてきたのは紛れも無く私だが。
部屋に入れる前に鑑定してもらいなさいよ、と霊夢に言われてはいるがどうにも億劫だ。
それに、氏素性の知れないものにこそロマンがあると思う。

「ま、そーいうことさ。じゃあ頼んだぜー」

踵を返して玄関へ向かう。
……と。

「おいおい、確かに私も無責任な頼みだとは思うがな」

アリスがしっかりと私の服を握っていた。
顔を真っ赤にしてぷるぷる震えていて、一見すると爆発寸前のようだ。

「まあ、その、なんだ。まさかあの貧乏神社に連れていくわけにも―――」

「私の家で保護する事に異論は無いわ」

「そうか? いや助かる。流石はアリス、お前に任せておけば安心だな」

「でも無責任だわ。あなたにはこの子を拾った責任がある」

「………だが、さっきも言ったように私の家はだな」

「だから!」

「だから?」

「だ、だからね………?」

だから何だ? と聞くのが憚られるほどに、決意を秘めたアリスの顔。
その覚悟を前にして、私が何か口を挟むなどということができようか。
双方黙ったまま、しばらくの時が過ぎ―――

「い、言うわよ」

「ああ。どんと来い」

「……あなたが私の家に泊まればいいじゃない」

「ゑ? いやそれは構わんが、どうしてまた」

何か重大発言でも飛び出すかと思ったが。ていうか話がかなりジャンプしなかったか今?

「何よ、文句でも?」

「異存はない。しかし疑問は残る」

「いいの! あぁもう、あの子も起きちゃったじゃない!」

いやいや、それは世間じゃ『逆ギレ』って言うんだぜ?
どう考えてもお前の大声が原因だ、アリス。

「じゃ、そうと決まったら色々用意するものもあるわね。魔理沙、洋食派? 和食派?」

「どっちでも。……しかし何だな、人生何が起こるか分からんな」

「何言ってるのよ。あ、あんまり部屋の物に触らないでね。あと人形も」

まあいいさ。
アリスが喜んでいるし、これは間違った選択じゃないはずだ。
じゃ、手始めにこの子から事情聴取を取らなきゃな。

◇:アルクェイド・ブリュンスタッド

「―――神社?」

視界の彼方、頭だけしかまだ見えない真っ赤な鳥居。
昨年、志貴と一緒に行った夏祭りでも同じようなモノを見た。
ところで、志貴が言うには寺と神社は違う物らしい。宗教色の薄い日本では、どちらだろうと『私達』には関係の無い事だが。
いや、神道にも仏教にも西洋の吸血鬼の話はないから、たとえ宗教色が濃かろうと同じか。

階段を登る。
夏祭りの時も同じように階段を登ったが、あの時のような高揚感は無い。
むしろ、そこらに散りばめられた防護符の存在が私を苛立たせる。
『魔除け』だと? そんなに私を笑い死にさせたいのか。
無論、蜘蛛の巣を払うよりも容易く蹴散らす。

階段を登りきった。
竹箒を握って……いや、傍に置いて「あー、だるー」とか言いながらだらけている巫女が目に入った。

「―――貴女、怪しい奴を見かけなかった?」

「強いて言うなら目の前に」

巫女は胡散臭そうな目つきで私を見ながら言った。なるほど、道理ではある。
ちなみに私の殺気はスルーですかそうですか。

「質問を変えるわ。空間の転移、及びそれに類する能力の持ち主を知らない?」

「知ってるわよ、一人だけ。残念ながらここにはいないけど」

それは巧くない。
シエルはどうでも良いとして、志貴に琥珀に翡翠、ついでに妹の所在を掴まねばならないのだ。
下手人が居ればとっちめて吐かせ、然る後に八つ裂きにするつもりだったのだが。
ちなみに、レンはああ見えてしっかりしているから大丈夫だろう。伊達に八百年生きてない。

「貴女、八雲紫を探してんのね? なら少しここで待ってなさい、そのうち来るから」

「悠長なことは言ってられないのよ」

「そうなの? 良かったら事情を話してくれない?」

そう言うと、巫女は「お茶淹れてくるわ。出涸らしは五十回目から味が深くなるの」と意味不明な独り言を残して家の中に消えた。
庭の一角、まだ掃除されていない部分は後回しか。いや下手したら永遠に?
まあ雨が降れば同じ事だろう……か? 疑問が残る。

「………なんか、調子狂うわ」

司祭だの修道女だの悪魔祓いだの、宗教的な奴は私をみるなり『化け物』と喚きたてるのが常だった。
まさかこの私が人間に見えた道理は無いだろう。あの巫女は、分かった上で今なお暢気にお茶を淹れているというのか。

「全く、女版志貴ってとこかしらね」

一人ごちて、縁側に腰を下ろす。―――この神社は結界の境にあるらしい。
つまりはあの巫女も、境界に位置する者なのだろうか。
どこかの、根っからの殺人鬼でありながら殺しを生理的に嫌う少年の様に。

◇:シエル

「こっ、これは例の―――!?」

香霖堂は常に閑古鳥が鳴いている。
外の世界だと死活問題らしいが、幻想郷では別に大した問題じゃない。いざとなれば物乞いでも生きていける所だ。妖怪に襲われるリスクはあるが。
ここでは、商品に対して対価を支払うという文化自体があまりない。
ビバ強奪、一生返さなけりゃあツケでも問題ないんだぜ……? とでも言いたげな様子で、皆嬉々として商品をパクっていく。
なればこそ、こうして商品を集めるのは、半ば道楽と成ってしまった感がある。

「間違い無い、この十字架は……! ああもう、今すぐには使えないのがもどかしいっ……!」

そんなわけで、商品を手にとって喜んでくれる人がいればとても嬉しい。
今日初めて―――今が夕方なのは気にするまい――のお客は、青い髪をした眼鏡の女性だ。
記憶違いが無ければ、初対面だろうと思う。

「ああ、『最強の個人兵器』を肉眼で確認できるなんて! 威力は第七聖典程じゃないでしょうけど、リーチと範囲にはかなり光るモノが有りそうですよ!」

そうか、そんなに珍しいものだったんだあの十字架。
僕の能力では『殺害する程度の能力』としか分からず、そのシンプルな方向性に寒気を感じたものだが。

「ねえ、良いんですか本当に貰っても!? ああもう、コレさえあれば憎いあんちきしょうもイッパツですよ」

「うん、構わないよ。そのままじゃ動作しないみたいだし、どうせなら使える人が持ってた方がいいだろう」

僕から見ればただのインテリアだし、機械文化の発達していない幻想郷ではそもそも扱える人すら居ないだろう。
あと、何がイッパツなのかは敢えて聞かない。

「いやぁ本当にありがとうございます。嬉しすぎて今にも火力演習しちゃいそうです」

「そっか、それは良かった。でも店には攻撃しないでね」

「もちろん。標的は一億と二千年前から決まってますから」

じゃああんたは何歳だ? と聞いてみたいことこの上ないが、女性に年齢を聞くのは憚られる。
躊躇せずあの兵器を選ぶ人だしなあ。下手したら蜂の巣か、ひょっとするとミンチかも。

「ええと、何かお返しをするべきなんでしょうが、生憎道に迷っている最中でして」

「そうなのか。ちょっと待ってて」

さらさらと紙に地図を書く。
ここからだと少し遠いが、まあ、何とかなるか。
書き終えた地図を彼女に渡す。

「これは?」

「ちょっとした知り合いの館でね。『香霖堂の紹介だ』と門番の娘に言えば、寝床と食事くらいは提供してくれると思う」

尤も、強硬突破は自殺行為だけどね。と付け加えた。

「何から何までお世話になります」

「良いって事さ。あと、館が駄目そうだったらここに来てくれてもいい」

「ええ、その時は宜しく」

いつまでも手を振って、彼女を見送った。
……心の中で、館の誰かが気を利かせてくれないかなぁと思ったのは内緒の話。

◇:遠野志貴

後頭部の柔らかい感触に目が覚める。

―――薄っすらと目を開けると、目の前には桃色の髪の少女の顔が。
なるほど、俺は膝枕をされているのか。

「――――――っ!」

一瞬で飛びすさる。
やったぜ親父、今の反応速度はアンタを越えた。多分。
と、少女は顔を曇らせ、俯いてしまった。何だか罪悪感。

「えーっと、状況が読めないんだけど」

「………あなたは、死んでしまった」

………え?
何だそれ。君は今何て言った?

「だから、あなたは死んでしまったのよ。その額のものが何よりの証拠」

はい、と手鏡を渡される。
なるほど、俺の額には白い三角巾が。赤いドリームキャスト印が良いセンスだ。

「死は等しく訪れるもの。とはいえ、皆が皆静かな死を迎えられるわけじゃない」

「え―――そんな―――」

「あなたがどんな最期を迎えたのかは分からない。覚えていないという事は、きっと突然の死だったのでしょう」

「………………」

「その無念を晴らす事はできない。そう、誰にもできない。だけど、生前の思いを回願することはできる」

少女はゆったりと微笑んで、言った。

「それがここ、冥界の役目。魂が一時の癒しを得る場所。―――さあ、何でも好きな事を話して頂戴」

一陣の風が吹く。
少女の背後で、桜の花びらが音を立てて散った。

「その前に一つ、いいかな?」

「ええ、何かしら?」

す、と少女の背後を指差す。

「―――そこで刀を構えてる女の子、誰?」

「――――――え」

ぎぎぎ、と緩慢な動作で振り向く少女。
その視線の先には、薄く微笑みながら二刀を振りかざす少女の姿が。

「ゆーゆーこーさーまー?」

桃色の少女は明らかにうろたえている。
例えるなら、自分の企みが秋葉に看破されてしまった瞬間の琥珀さん、と。

「は、早かったわね妖夢。紫を呼びに行ったんだし、もう少し掛かるかしらと踏んでたのだけれど」

「それは残念。紫様は諸事情で来られないそうなので、主が悪さをしないようにと早めに帰宅した次第です」

ゆらり、と踏みこんで刀少女は襟を極めた。

「ちょっ、許して妖夢これはほんの出来心」

「はいはいはいはい言い訳は今じっくりと聞きますから。あ、貴方は少し待ってて下さいね」

そのまま力一杯連行してゆく。まるでドナドナだ。そんな瞳で俺を見ないでくれ。
二人の影は障子の向こうへ消えていった。
ばたん、と障子が閉められる。
直後、恐ろしいまでの怒号が響いてきた。
二人の影だけが障子に映る。片や怒髪天、片や正座。

『何考えてんですか! それとも何も考えてないんですか!?』

『だってたまにはこう冥界の主としての威厳? みたいなのを出すべきかなって』

丸聞こえだ。

『心意気は買いますが方向性が絶望的に間違ってます!』

『そんな、なら貴女はどうしろっていうのよ。正しい方向性ってものを示して頂戴!」

『とりあえず間食夜食、贅沢と怠惰と寝坊も辞めて、「冥界の主たるもの、魂の成仏を願いながら慎ましやかな生活を過ごすだけで充分です」とかいうのを口癖にする』

『い、いきなりE難度じゃない……。もっとこう、身近な事からコツコツと♪ みたいなのは無いの?』

『身近どころか、間食は幽々子様の形成要素の一つと化している感すら有りますが?』

『なっ………! しょうがないじゃない、食べるもの食べないと出るとこ出ないのよ。妖夢はそうやって節制節制うるさいから胸がそんな洗濯い』

ひゅん、と樋音が鳴る。
一拍送れて、びしゃりと障子に走るは血の川。
チン、という鍔鳴りと共に、一つの影が崩れ落ちる。
障子を開けて「お待たせしました」と微笑む少女の笑顔は、これ以上ないくらいに晴れ渡っていた。

俺は思う。
どこをどう間違えて、こんな人外魔境に迷い込んでしまったのだろう―――?

◇:琥珀

目が覚めると、そこは竹林でした。
なぁんて、某神隠し風のモノローグを入れてみます。あ、そういえばわたし神隠しに遭ったんでしたっけ。
どんな時でも面白そうなことがあれば、率先して飛びこむのが芸人魂。
尤も、策士たるもの安全な物陰から事態を掌握するのが最善手ではあるんですけど。

「まぁ、虎穴に入らずんば何とやら、ですか。………にしても、立派な竹ですねぇ」

殊に、この表面の張りなんて素晴らしい。
高さもびっくり、上を見上げるとパースが掛かって収束してしまうほどです。
ぺちぺちと叩きながら、竹筒でご飯を炊くのも趣があるなぁ、なんて思いました。
と、そこへ、

「こんにちわ、竹取の翁。何をお探し?」

謎のウサ耳少女が登場です。
黒髪に紅い瞳、ふわふわのウサ耳が素敵ですね。

「いえ、ちょっと見知らぬ穴に落ちてしまって」

「あら、私は帽子も懐中時計も持ってないけど?」

「それは残念」

虎穴と思いきやウサギの穴でした。にしては落下量が少ないですけど。
彼女とわたしは笑います。笑顔が年相応な感じでお姉さんはとてもきゅんきゅん☆ です。
だがしかし、油断は禁物ですよ。なんか彼女、わたしと同じニオイがしますから。

「それじゃあ私はこの辺で。女王様を待たせると怖いのよ」

言い残して、少女は走り出します。
わたしは黙って後を追います。
だって、ウサギさんに道案内なんか頼むのは無粋でしょう?
(美)少女は黙って後を追うものです。あれ? 何で括弧付き?

程なくして、大きなお屋敷に辿り着きました。
少女の道案内は的確です。時々悪戯っぽく姿を消してしまったりもしましたが、結局はちゃんと案内してくれました。

「おーい、たっだーいまー!」

扉を勢い良く開けるウサ耳少女。
と、開いた扉の向こうには、今まさに空を飛んでいるブレザーへたれウサ耳少女の姿が!

ああ、駄目ですよブレ子さん(仮名)。ミニスカでドロップキックなんて。

ビバ桃色。
鼻血を噴出しそうですがグッと堪えます。
もんどり打って倒れた二人は、そのままグラウンドに以降してしまいました。
兎によるキャットファイトはブレ子さん(仮名)の勝利で幕を閉じたようです。

「ったく、てゐは外回りに出すとすぐ怠けるんだから……。っと、お客さんですか?」

ブレ子さん(仮名)は、黒髪少女の首を極めたまま問いかけてきました。
何やら不穏な音がめりめりめりめりと頚椎あたりから聞こえてきますが、それはそれで。

「ええ、琥珀と申します。実は迷子になってしまって」

「そうですか。ちょっと待ってくださいね」

慌てた様子で黒髪少女を物陰に引きずっていくブレ子さん(仮名)。
その仕草がどうにも嗜虐心を刺激するから困ります。
ちなみに、わたしには物陰からの『ごきり』なんていう嫌な音など聞こえませんでした。

「ふう。じゃあ案内しますね」

どうやら、わたしはお客様扱いのようです。
使用人をやっていると、こういう体験は新鮮で、否応にも胸が高まります。
さあ、いざゆかん永遠亭(表札に書いてありました)。
それにしてもブレ子さん(仮名)、やり遂げた表情ですねぇ。

廊下がとても長いですね。
そんなことを言ったら、ブレ子さん(仮称)は顔を輝かせて「できるだけ多くの部屋を作るための配慮なんです。姫様は兎の名前を覚えないけど、みんなを大切に思ってるんです!」なんて言ってくれた。
そういう無防備な仕草にお姉さんはきゅんきゅん☆ です。
良く分かりませんが、ここにはお姫様がいるのでしょうかね?

ところで、ここは兎さんのお屋敷なんでしょうか。
そう聞くと彼女は、「正確には違いますけど、まあ人口の9割9分9厘が兎ですね」と答えました。
兎なのに人口とはこれいかに?

そんな益体も無い質疑応答をしていると、何やら趣の違う部屋に連れてこられました。
今までのお部屋が廊下の両脇の襖に直結した物ばかりでしたから、廊下の突き当たりにまるでエリア51のような金属製の扉が見えたときには本当に驚きましたよ。
ブレ子さん(仮称)は嬉しげな様子でどうぞどうぞと先を促します。見せたいものでもあるのでしょうか?

扉の向こうは、紛れも無い化学実験室。
その奥に佇む銀髪の女性が、この部屋の主なのでしょうか。

「師匠! お客さんをお連れしました!」

紅い眼を細め、元気一杯にブレ子さん(仮称)は言いました。
ああもうだからそういう態度を見ると滅茶苦茶に苛めたくなるじゃないですか……!
なんて思っても、そこは遠野家の使用人。本音を隠せない人間には(遠野家に住むのは)難しい。

銀髪の女性は柔らかく微笑みます。
その胸の狂気もとい凶器がいささか気になりますが、気にしたら負けです。
でも、正直狂ってると思います。遠近法的に。

「初めまして、琥珀と申します。道に迷っていたところをてゐさんに案内され、そして……彼女がお屋敷に上げてくださいました」

ブレ子さん(仮称)の本名がわからないので、代名詞でカバーします。
それを聞いたブレ子さん、慌てた様子で「す、すいません! 私、鈴仙・優曇華院・イナバと申しますっ!」と早口で言いました。
だからそういう仕草が嗜虐心を以下略。

「こちらこそ初めまして。永遠亭の薬師をやっている、八意永琳です」

ふと、銀髪の女性と眼が合いました。
わたしには理解(わかる)、この女性は紛れも無い同類です。
ニヤリと微笑む彼女に応えて、わたしは本来のモードにギアチェンジします。

「鈴仙さんは、いつもこのような調子で?」

ハッとしたように師匠を見る鈴仙さん。
ああもうその縋りつくような眼が諸悪の根源だと理解していないんですね貴女は。
永琳さんは一つ嘆息して、

「ええ。でもまあ、任期はあと少しだから」

「ええっ!? 何ですかそれ、初耳ですよっ!?」

突如明かされる衝撃の新事実。
師匠とのあの暖かい日々も、所詮は期間限定品だったのです! みたいな。

「なるほど、そうして短期間に助手を交換して、最も適正のある者を選定するわけですか」

「そうそう。何しろ、弟子を希望する兎って多いのよ」

「じゃ、じゃあ私が今まで弟子だったのは………」

聞きたくないけど聞かなきゃならない。
悲壮な決意を背負った鈴仙さんの質問に、

「ああ、単に古株だから」

うわぁ、威力でかっ。
鈴仙さん、真っ白な灰になっちゃいましたよ。耳のへたれ度も5割増です。

「う…嘘………」

ああもう全くその眼が以下略。

「「うん、嘘」」

「へ?」

ああ、固まったっていうのはこういう状態の事を言うんですね。
半径十cmの時間が根こそぎ止まっています。

「し、師匠! それに琥珀さんまで!」

「あら鈴仙、忘れたの? 貴女の瞳は人を狂気に走らせるのよ」

「そうなんですか? だったら悪いのは鈴仙さんになりますよね」

「そ、そんな……。大体、師匠には効かないでしょう!?」

「どうかしらね。いつも貴女の傍にいるもの、実は普段から狂気に取りつかれているのかも」

「あ、それなら納得」

「どういう意味よ!」

目前でチョークを極める師弟が微笑ましいです。
あの構え、永琳さんから鈴仙さんに受け継がれたチョークなのでしょうか。てっきり薬の師弟かと思っていましたが、実は間接技の師弟なのかも知れません。
鈴仙さん、愛されてますねぇ。

………それはそうと、永琳さん。そろそろ解かないと不味くはないですかね?

追記。

確かに場を選ぶべきだったし、都合の良すぎる展開はどうかな、と見直してみて改めて思います。
やるなら開き直って知らない人でも読めるようにすべきでしたし、注意書きを重ねすぎて偉そうに成っているのも事実です。
それと、確かにテーマ性の無いクロスは「混ぜてみただけ」の域を出られませんでした。
書いていて「月姫でやる意味はあるのか?」という疑問を感じたとき、立ち止まって考える必要があったのでしょう。

ちなみに削除はしません。
安易なクロスがどうなるか? という好例だと思いますし、「うわ何こいつ馬鹿じゃね?」と言った感じで反面教師に成れたら良いな、と思うからです。
その時に本文が<削除しました>では意味が無いと思いますし、逃げだとも思います。

ここで終わりますが、感想意見その他は引き続きお願いします。
受け入れて血肉としたいと思いますので。
索々
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コメント



0.1100簡易評価
5.無評価名前が無い程度の能力削除
他作品とのクロス物。
いろいろと扱いにくい素材だと思います。
起、とあるのでまだまだ続くと思いますので採点は完結を待ってからにしたいと思います。
頑張ってください。
13.無評価名乗らない削除
>幻想郷全土を巻き込んだ大騒動
場のノリで馬鹿騒ぎして雪崩を起こすのは別にいいが、しかし巻き込んだ責任と後始末はしっかりと。

出来れば他所でやれ。
14.100削除
ここまでは大満足。
武内御大じゃありませんがヒッスィーちゃんの動向が一番気になったり。
咲夜さんとメイド対決とかやらされそう。レミ様に。

あとえーりんこはっきーコンビが恐ろしすぎる件
15.-30名前が無い程度の能力削除
クロスオーバーが悪いというわけではありませんが
人称の変化や、ある程度の予備知識がないと…というのは
16.-30名前が無い程度の能力削除
クロスオーバー云々以前に小説として体を成していない。
この程度の技術で難しい作品同士を掛け合わせたところで結果は見えている。
やるからにはちゃんと「完結」させてくださいね?
17.-20名前が無い程度の能力削除
混ぜたくて混ぜてみたって感じしかしない
20.-20名前が無い程度の能力削除
クロスオーバーはそれだけで敷居が高くなります
後編頑張ってください。
21.-30名前が無い程度の能力削除
とりあえず、紫の行動に凄まじい違和感を感じましたね
『普通の人間』ならまだしも、明らかに外れている連中を大勢、しかも様々な場所へ転移
他にも色々とありますが長くなるので省略
早い話がクロスSSをしたいなら読み手が納得できる展開でクロスしてください
強引な展開で無理やりクロスされても、楽しむ以前に読む気すら無くなります
22.-30名前が無い程度の能力削除
まだ話の中の一つのネタとして出す分には良いんだが
キャラ登場させるとどうなるかは前にあった通りだ
25.50名前が無い程度の能力削除
中々面白いけど、創想話は排他的だから投稿する場所を考えた方が良いような気がする
26.-30名前が無い程度の能力削除
後編頑張ってください。
29.無評価名前が無い程度の能力削除
まあ、あれだ。
「紫の戯れでした、チャンチャン」という程度のオチは喰い飽きているので、参考までに。
あと、キャラを増やすとその分だけ書かないと終わらないので、ある程度覚悟した方がよろしいかと。
難度が高い分、奇麗にまとめれられれば素晴らしいものになるとは思います。
完結目指して頑張ってください。
30.30名前が無い程度の能力削除
 普通におもしろかったよ? とくに東方キャラ同士の会話が良かったと思いました。 「これは良い作品ですね」ということで。 先が読めない分、続編が楽しみとも思います。がんばってください。
31.無評価名前が無い程度の能力削除
『月姫』ってなに?
32.-30名前が無い程度の能力削除
痛いモノを全て混ぜてしまったって感じ……
混ぜるな危険!
その表記見えないかッ!
33.100SSを見る程度の能力削除
明らかに世界観が違う『月姫』とのクロスオーバーとしては
面白いと思います。
今のところ70点ですが、クロスオーバーでのマイナスもあるので
30点プラスです。
34.無評価名前が無い程度の能力削除
『○○を読んでいないと』系統の注意書きはたいていの場合
反感を増幅するだけだと思いますよ。
文章の内容そのものよりも、作者の態度に反感が集まることもあります。
37.無評価名前が無い程度の能力削除
内容が薄い。

冗談にならない事実はともかく、あまり偉そうな態度を取るものではないと思いますよ。
東方ファンの共用スペースで自己満足のための自慰行為を見せつけられては、どう反応すればいいのか悩んでしまいます。
『月姫とのクロスオーバー』なんて安易な逃げ(現時点では)を打たないで下さい。
また索々氏の面白いSSが読みたいです。
38.50名前が無い程度の能力削除
面白いと思いましたけど…
-30とかつける程酷いですかね?
41.無評価名前が無い程度の名前削除
クロスオーバー自体を責めはしないけど、一気に大量に濃いものを投下しすぎではないだろうか?
事前知識がないと判らないキャラを、これだけ大量に投入すると解けあわせるのが困難になるかと思います。
夢のタッグみたいなテイストは嫌いではないですが……後半に期待という事で今回はフリーレス。
42.80東京狼削除
 月姫を知っている事が前提だけど中々面白い。 アンバー・てゐの詐欺師対決、暗黒翡翠流対完璧メイド‥‥Etc 色々展開できそうです。
 続編に期待
44.-30名前が無い程度の能力削除
東方に則した内容を書いてほしいですね。
ハッキリ言って楽しめませんでした、他所でやって下さい。
45.60アティラリ削除
月姫はあまり詳しくは無いけれど
とりあえずクロス云々は置いといて、話としては悪くないと思う。
続編物っぽいので最終的な評価は書き終わってみないと分かりませんから、頑張ってください
46.-10名前が無い程度の能力削除
月姫キャラが出しゃばらない事だけを願うばかりです。
47.無評価名前が無い程度の能力削除
月姫のクロス前にもあったんだよなぁ・・
やっぱり反感買ってましたが
50.70J.Y削除
正直それなりに面白いと思う。
月姫クロス気に入らないからマイナス点ってのは流石にアレかと
52.70名前が無い程度の能力削除
んー……マイナス入るほどヒドイ作品だとは思えないなぁ
失礼だが稀有な大作ってワケでもないと思うけど

思うに、クロスオーバーだからマイナス入れようって人いるんじゃないかな
もしくは流れでマイナス入れようって人が。まぁ、感想なんて個人個人で
差があると思うし、つまらないならつまらないんだろうけど、コレは少し目に余る

内容も今のところ月姫キャラが東方を食いつぶしてるってワケでもない
それにまだ出だしだし、マイナス入れるには早すぎるんじゃないのかな?
56.70名前が無い程度の能力削除
クロスオーバーとして現時点ではそんなに悪い出来ではないと思います
むしろ面白いです でもマイナス点を入れられるの仕方がないのかな、と
クロスオーバーは厳しく見られる物ですし

あとがきに感銘を受けました

59.80名前が無い程度の能力削除
東方と月姫の絡みは雰囲気的に難しいかな、と思っていましたが
現時点では違和感なく楽しめました。
続編にも期待しています。
62.50名前が無い程度の能力削除
ぼろくそに言われるほどに酷いものとは思えないし、クロスオーバーってだけで拒否反応起こしてる人多すぎ。
まぁ、クロスオーバーやるなら巣を作ってやったほうがいいとは思うがね。

あと、↓x4の人、U-1系って最強主人公で蹂躙ってやつだから使い方間違ってるぞ
63.50名前が無い程度の能力削除
悪くはないと思いますよ。
これで完結すれば文句はないです。
64.40名無し参拝客削除
後半に続いて!
蓬莱人に続いて、死ににくい人間を得た妹様がどういう反応を得るのか・・
66.70aki削除
まず一つ。読む人を選ぶ作品だなと。
クロス物を読んだことはなかったのですが、月姫という名前に惹かれてふらふらと。
私見ですが、物語の出だしが月姫サイドからというのがまた拍車を掛けているのかもしれません。

でも、キャラ同士の組み合わせも良いと思うし、読んでいて面白かったです。
ばら撒かれた月姫キャラがどんな風に動いていくのか楽しみです。
頑張ってください。
71.無評価あがが削除
型月は知らねーから、書き出しの瞬間から読む気が失せた。

読む前から極端に人を選びすぎるってのは、読み物としてどーかと思うぞ。
72.無評価あがが削除
↓すまん、「読み物としてどーかと……」
の直前に「汎用スペースに挙げる」を挿入してくれ。
73.-30削除
今後は月姫キャラの登場をもう少し控えてみては如何でしょう?
不快感を示される方も居ると思われますので
74.-30名前が無い程度の能力削除
前書き後書きまで含んで一つの作品だと思っていますのでこの点数で。
無駄に騒動の種を振りまくことはないでしょうに。

>前書き
ここは基本的に東方ファンが集まる場所なので、別ジャンルの
>知らないとやってられません
な物を出すのはどうかと思いますが。
それならば型月コミュニティでやるべきでしょう。
といいますか現在正規の手段では入手困難で18禁な月姫の布教して、
ネットで調べるのも禁止して現物をプレイしろとは、いったい何がしたいんですか?

>安易なクロスがどうなるか? という好例だと思いますし、
>「うわ何こいつ馬鹿じゃね?」と言った感じで反面教師に成れたら良いな
自己陶酔しないでください
75.無評価索々削除
重ね重ね、不快感を感じた人には申し訳ない。
少しでも面白いと思ってくれた人には両手いっぱいの感謝を。
でも、続きはちょっと書けそうにないです。
ここで少し立ち止まって、今までに落としてきたものを確認しなければ。

ちなみに、まえがきは消しません。最大の問題点だと思うので。
あとがきは現在の考えと大幅に剥離したため、消去してしまいました。ごめんなさい。

自分の過ちは、
・無礼な前書き
・安易な紫の利用
・傲慢なあとがき
の三つが主だと思っています。
他の部分で不快に思われた方がいましたら、それは純粋な力不足です。申し訳ない。
ともかくこの三つは作品の出来不出来以前に不味いものでした。
読み手を蔑ろにした時点で、物書きとして致命的です。
紫の利用は特に。
あれほど型月で「困った時のゼルレッチ」を嫌っていた筈だったのに。

>自己陶酔しないでください
自己陶酔はしていません。
馴れ合いが少なく点数評価制の創想話では、往々にして「過去作は点数の高い作品しか見ない」という状況が発生するものと思っています。
昔からの常連さんなら全ての作品に目を通しているかも知れませんが、俺含め新参は評価や評判の高い作品を選びやすいのではないでしょうか。
そうすると嫌われ易いクロス物は読まれにくい訳で、土壌を理解せずこうして安易に投下する馬鹿が出てくる訳です。
創想話を汚したと言われればその通りだと認めます。
だからこそ、反面教師にでもしなければ何の意味も無い物に成り下がってしまうのではないでしょうか。

ちなみに、まえがきに関しては本当に申し訳ないです。
出回っている量の殆どがコピーですし。違法流通を促進してどうする。
77.無評価名前が無い程度の能力削除
個人的にクロス物については肯定も否定もしませんが、
やはりここが東方主体である以上、それを望まない方も当然いる訳でして。
書き手、読み手共に痛みを伴ったのであれば、それを癒す作品を投下される事を
期待します。作品としては良い出来だと私は思いますので、どうか頑張って下さい。
78.-20名前が無い程度の能力削除
型月は特に好き嫌いが激しくわかれるものなので、使い方が難しい。
加えてここは東方。
どうしても型月と東方絡めたいのなら、月姫キャラの出番だけといわずキャラを限定するなどしたほうがいいでしょう。
特に戦闘は絶対に厳禁。
どっちが勝っても、負けた方のファンには不愉快でしかない。
もしもそんなことを考えているのなら止めた方がいいです。

話を作り直すか、消すかしたほうがいいでしょうね。
79.無評価てきさすまっく参拾弐型削除
どんなことがあっても「消せ」などと書くべきではない。
コメントの多くが規約を無視している。
81.無評価削除
>でも、続きはちょっと書けそうにないです。
「ここで」が抜けてるものと思いたい。
Arcadia(http://mai-net.ath.cx/)こちらの型月投稿板で是非続けてほしい。

続きが気になって夜も眠れないからお昼寝しちゃう!
82.50ムク削除
 読んだ直後に頭に浮かんだこと「もう終わり?続きが気になる」。
 東方と月姫のクロスとかかれてますが、むしろそれぞれの二次設定とかの影響が強そうでそこに賛否をかもす結果になったんじゃ。
 でもご本人も真面目にクロスものというジャンルに向き合ってるわけで文句の入れ所はありません。入れてますが。
 そして今後の課題はSSとSSを重ねたようなこの物語がどんな形で帰結するかにつきるのではないでしょうか。起承転結がなければ駄作と呼ばれる以前の問題ですから。そのときこそ100点の評価を入れさせてください。
 
83.無評価名前が無い程度の能力削除
別にクロス物でも偶には良いと思いますが、

>未プレイの人はできるだけ月姫やろうぜ?

今では入手困難な作品で一体、どうしろと? 
プレミアがついている高価な中古品を買えと?
そして未プレイの人は見るな?

あまりにも無茶苦茶です。
84.-10名前が無い程度の能力削除
あーっと…一人称間違ってませんでしょうか…チルノとか…
もうすこし原作やりこんだほうがいいかもしれません…少なくとも藍とかはそういう行動を起こしそうな気がしません。
85.無評価世界爺削除
 視点が散逸しすぎていて話の流れが読みづらいですね。
 後は主従の関係とキャラクタに対する印象への違和感。
 それの他は、クロスの理由付けが弱いことでしょうか。

 実際なところ、クロスオーバーは決して実現することのない競演によってさらにキャラクタや世界の魅力を引き出すためにあるべきだと思っているので、そういう意味ではまだ『読んで楽しめる』段階には程遠いと思います。読んでいて特に不快感は覚えませんでしたが、一連の流れを楽しんでいくことはできませんでした。
 クロスならではの小ネタは面白かったのですが、それに終始するのであればまずは話の幹をしっかりと煮詰めていくことをお勧めしたいです。小ネタは清涼剤としての役割を持つのであって、頻繁に出すとその分効果も薄れてしまいますから。なによりこの尺であれば必要はありません。キャラクタの描写や話の本筋を丁寧に書いていけば事足りると思います。とくに丁寧という点においては、地の文の量が少なすぎると思います。ぶっちゃけて言えば薄っぺらい。多少の省略は問題ないと思いますが、それに頼ってキャラクタの性格や背景を読者任せにしすぎるのはクロスさせる作品を知らない人にとってマイナスにしかなりません。
 後は、キャラクタについてもっと理解を深めてから書くべきだったと思います。ギャグとしてみるならともかく、主従関係が正直微妙なのと、キャラクタの別のキャラクタに対して抱いている印象がおかしいです。とくに魔理沙の「ペドメイド」辺りは、一番違和感を受けています。二次設定についてはそうかも知れませんが、本当にキャラの魅力を書き出していきたいならその後付けされた設定を「捨てる」ことこそ肝要です。
 ただ、クロスオーバーにおいて最大のマイナス要因、というか処刑対象である「踏み台」と「U-1」は完全にクリアしていますので、今後次第ではまだ面白くなる作品だと思っています。なによりまだ導入ですし、汚名の返上はまだ可能ですよ。
 続き、楽しみにしています。
86.無評価名前が溶解削除
とりあえずこれは月姫知らない人にとってどうなのかってところなんだと思うけど。
少なくともここまで読む人を限定するのは別のところでやって欲しいな。
87.無評価索々削除
小ネタ詰め合わせの域を出られなかったと。
「導入部だから」なんて言い訳は通りませんね。そもそも最初で惹きこめずにどこを読んで貰うというのか。
続きが気にならない連作ってどうなんだ。
キャラの理解が浅い、というのはその通り。

もう何度目だか知れないけども、不快になってしまった人には謝りたい。
ファンSSで読み手を不快にさせるのは原作者さんを不快にさせるのの次に駄目なことだと思いますし。
もう一度原点から出発しなおしたい(多分、コレの続編ではなく)と思うので、その時が来たらまた宜しくお願いします。
91.60夜鏡削除
素直に面白いと思いましたねぇ、私は。新月譚とかネットで知った知識が主で、月姫本編はプレイしてませんが。
東方と月姫のキャラの掛け合う組み合わせにニヤリとさせられましたね。特に永琳さんと琥珀さんとか。まぁ、キャラの行動に対する違和感等は、個人の価値観によるので合わない方は仕方がないのでしょうけど。
ただ、あの前書きで気分を害する方が多いであろうということは、コメント欄を見れば明らか。それに「事前知識が必要」と冒頭にあるのであれば、キャラに関する説明を文章内で行う必要性は薄いかと。
あとは「東方」のコミュニティである以上、月姫のキャラを主役に置いた書き方には少々賛同しかねます。
お話そのものは中々楽しめる内容だとは思いますが。
<p>
個人的な印象なのですが、
クロスオーバー物だからと言って安易に批判しすぎなのでは?別にクロスSSが規約で禁止されているわけでもいですし。クロスオーバーが嫌い、もしくは元ネタを知らないのであれば読まなければいい。と私は考えています。個人的にですが。
なんというか、作品に対する否定的な印象を「批判」という形で発散しているように思えてなりません。
では、長文失礼しました。
93.70名前が無い程度の能力削除
拒否反応多いなあ。みんな読み終わってから点数入れてるのか?
まだ『起』の段階で断定の感想が多すぎるような…これって四話構成の読み物なのでは?

いまいち主観が月姫キャラによっている点が気になるといえばなるけど…
これって仕方ないところもあるんじゃあ。まさか舞台を逆にするわけにもいかないだろうし…
両作品を知っている自分としては続きがどうなるのかは気になる。
十分面白くなりそうだとは思うんだがなあ。

まあ、所々気になる場所があったのも事実だし、
もう少し練りこんでから改めて書くのも悪くないと思う。

最後にかなり風呂敷が大きくなりそうですが…たたむのは大変ですよ。
94.70名前が無い程度の能力削除
クロスになるだけで規約を無視したこの反応。その程度の腕とか消せとか。掌を返したかのような反応に、この方の以前の作品の評価を見た直後だったので軽くショックを受けました。

物書きにとって、書いた作品の評価が厳しいのはためになることですが、それ以外のことについてまで厳しすぎるのは、どうなんでしょう。
可哀想に、この方これ以降作品発表していませんよ。もっと続きが読みたかったです。

内容については楽しめました。発想が斬新なのと、それがちゃんと生きていると思います。いくつか「…ん?」と思った場所もありましたが、その事についてはこれまでのレスが語っているのでここでは割愛を。

今までかなりの作品を読んできましたが、個人的に続きが気になる作品のベスト5にランクインしました。作者さん、いつかこれを読み返す時が来たら続きを期待している読み手もいるということ、思い出してください。