Coolier - 新生・東方創想話

上海の人の形(後編)

2006/05/17 08:22:48
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 昔、陽の当たるピクニックテーブルの上で、アリスが言っていた。

『全ての生命は、試行錯誤という過程なのよ』

 人形達しかいない場での発言だった。
 その時は、自分の位置の裏づけにしかならなかった言葉に、今、別の見方があったことに気付く。
 種で見るか、個で見るかで、これほど違う言葉は無いなと思う。

 アリスの真意は今でも不明だ。
 どちらでもいい、気付いた奴が選べというよりは、気付くための言葉なのかもしれない。

 空は相変わらず青かったが、陽は山の方へ近付きつつあった。
 悪ガキどもの黒い羽は、森からも道からも少し逸れて、ただっ広い草原の上を飛んでいる。
 巣を近くにした、蜂の飛行に似ていた。

「おい、お前ら、ちょっといいか?」

 当たると厄介なので、遠くから声をかける。
 全然気付いてくれない。

「おいってば!」

 少しボリュームを上げたら、気の弱そうな一人の動きが止まった。

「どうした?」
「変な声、しなかった?」
「してねえよ、気のせいだろ」
「おい、気のせいじゃないっての!」
「あ、ほら、これ」

 私は腕を組んで、仁王立ちしていた。
 ドレスと頭の大きなリボンが春風に揺れるなか、私は腕を組んで三人を見下ろしていた。
 いや、立つ地面なんて、ないんだけどさ。

「なぁ、どこから声してるんだ?」
「他に仲間呼んでたっけ? お前呼んだ?」
「呼んでないよ?」
「上だよ、上! いい加減、気づけよな!」

 すっかり存在忘れられてるな、私。
 時間開き過ぎたのは、私のせいでもあるのだけど、せっかく勢いに乗ってるのに苦しい。

「人形?」
「もしかして、さっきの奴じゃない?」
「ええと、誰が喋ってるの?」
「私だよ。真っ赤なドレスもチャーミングな蓬莱人形様だ」

 ぐっと親指立てて、自分に向ける。
 やっぱりというか、当然というか、かなり引かれた。

「うっえ!?」
「マジ、呪われてるよこいつ!」
「お、おい、これ喋ってる!」
「ごちゃごちゃ五月蝿いな。現実を受け入れろ。私は喋るんだ」

 流暢に会話する人形に、恐怖と興味の混じったどよめきが収まらない。
 確かに珍しいものだとは思うが、こんな所で躓いているわけにはいかないと大声を上げた。

「シャラップ!」
「な、何だよ、何でお前、喋るとそんなに強気なんだよ、今までで何してた?」
「事情が色々あったのだ。こっちにも」
「……?」
「それで、お前等、私達に何か忘れてないか?」
「は?」
「ごめんなさい、だよ。あれだけやって何も無しってのは、世の中嘗めすぎてない?」
「いきなり、何いってんだ、こいつ」
「人形が喋る方が、世の中嘗めてるっての」
「言えてる」

 三人が笑い出す、予想通りの反応でこっちまで可笑しくなる。
 どこまでも自分達が優位だと確信してやがる。
 果たして、その余裕が何秒もつかな。

「お前らがやったのは、轢き逃げ未遂だ」
「轢き逃げ?」
「何言ってんの、当たってないだろ?」
「それが未遂なんだよ。事故を回避してやったのは誰だと思っている。あのままだと上海が潰れてるところだ、少しは反省してみせろ」
「人形一体くらい、どうだっていうのさ」
「人形にだって尊厳はあるんだよ」
「人形に? そんなもんあるのかよ? 単なる物のくせに」
「百歩譲って人権はないね。じゃあ、物としよう、誰かの所有物だ」
「は、自分で物って認めてやんの」
「それが、誰の所有物だか解るか?」
「誰のだよ?」
「森の魔女のだよ」

 アリスの名は効果があった。
 今までの、余裕の笑みとも取れる表情が、一様に曇ってくる。

「上海を壊したら、森の魔女が黙っちゃいない。百を越える人形がお前等を昼夜なく追い掛け回すぞ」
「何言ってんだ、たかが人形一体じゃねえか」
「そうだ、おおげさなんだよ」
「魔女のくせにみみっちいぞ」
「おい、器物破損って知ってるか? 本人は商売したりしないけど、アリスが作る人形は、大変に高価なんだ」

 実際の値段なんて知らないが、高いのは確かだろう。
 右手を顎に当てて、高圧的な笑みを浮かべて、嘲るように言ってやった。

「上海一体でそうだな、お前なら半年は食える」

 何もかもはったりだったが、子供のお頭には丁度良かった。
 上海は、奴等の頭の中で、想像できる範囲の、高価なものに化けてくれたらしい。

「で、でも、人形は壊してないし、レーザー当てたのだってお前じゃないか」
「だから謝罪の一言くらいないのかって、言っているのだ。お礼を言われても良いくらいだぞ。それに林檎は実際に三つも壊れた。人形と同じで、林檎もア

リスに所有権がいってるんだよ、お前らは森の魔女の林檎を潰しておいて逆切れか?」
「知るかっ、そんなの! おい、相手にするな、気色が悪い!」
「……り、林檎だってお前のレーザーが」
「二つの林檎は私が飛ばした、あれを私の林檎と仮定してやろう。それで、残る一つは誰が壊したのかね……?」

 リーダー格を睨む。
 奴に反省の色は見えない、理不尽な喧嘩に顔が燃えていた。

「林檎一つでしつけえんだよ!」
「何? 謝るか?」
「潰れかけて、どうせ食えなかっただろうが!」
「まだ、食える部分はあった」
「詭弁だ!」
「ガキが難しい言葉使うなよ。あれは上海が頑張って稼いだ林檎だ、とても重いものだったのだ。そこは絶対に退くつもりは無い」
「弁償なんて絶対にしねえぞ!?」
「理解できてないね。上海に謝れ。最初から選択肢は一つしか提示していないよ」

 反論しようと、リーダーは口は開くのだが、単発的で幼稚な罵声しか飛ばなかった。
 他の二人は、昼間からお化けにでも出会ったという感じで、黒い羽を背中で小さくさせていた。

「なぁ、いこうぜ……こんなの相手にするなよ」

 一番冷静そうな小天狗が、ガキ大将を肘で突付く。
 気弱そうな奴は二人の顔色を窺っている。
 しばらく、無言で睨み合った。

「ばーか、おままごとの相手なんてしてやらねえよ」

 それが精一杯考えた、奴の捨て台詞だったらしい。
 小天狗は背中を向け、気弱そうな奴が確保してた鞠を引っ手繰ると、ゆっくりと私から離れ始めた。
 私はその背中を睨み続けた。三対の黒い羽が私を馬鹿にするように小刻みに動く。

 謝る言葉は、まだ出ていない。
 だったら、目的を果たしてはいない。
 そうは思うけど、離れていく三人を止める言葉が出ない。

 ……悔しいが、どこかでほっとしていた。
 ここが限界ラインで、これ以上は過ぎた望みなのは頭で理解している。
 どんな言葉を並べても、身体はまだ震えていたし、天狗の実力は嫌ほど知っていた。
 アリスのいない私では、一人として太刀打ち出来る相手ではない。事実だ。

 それを相手に、十分な戦果を得た。
 言い負かし、追い返し、局地的な勝利を得ることが出来た。
 もっと早く戦闘になってもおかしくなかったのを、私の意地で追い返した。
 今までから考えたら、凄い前進に思える。
 ……そうだ。
 ここで、満足しておいた方がいい。
 これ以上は、勇気じゃなくて無謀だ。
 曲げたわけじゃないし、逃げたわけでもないんだ。
 我を張って戦闘になってしまえば、壊れた私を運ぶのは上海だろう?
 上海だって、アリスだって、壊れた私なんて見たくないだろうし、大変な手間もかけてしまう。
 それに、この戦闘に、上海が巻き込まれでもしたら大変な――。

 違う。
 上海に下がってもらっているのは、私の都合だ。
 巻き込まれたら、じゃない、巻き込まれないように下がってもらったんだ。
 こんな言い訳は絶対に通らない。

 ――いつまで、人のせいにするんだ?

「……三人とも、ちょっと待て、まだ帰るには早い」

 低い声で、呼びかけていた。

 小天狗達は止まった。
 肩越しにちらりと背後の私を一瞥した。
 私の言葉が続かないのをみて、鼻で笑ってまた私から離れていく。
 頭に言葉はあった。
 それを、声に出すまでの壁が大きい。
 私が真っ白な頭に思い浮かべたのは、潰れた三つの林檎だった。
 上海がどうして林檎を求めたのかを、強く思い出して、自分に言い聞かせた。

『ホーライ、元気にナッタ?』

 忘れるな、私が落としてしまった、三つの林檎は。

『ホーライの、ホーライの』

 私を元気にさせるために、あいつが流してきた無形の涙だ!

「最近のガキは、親の目がないと、ごめんなさいも言えないのか!?」

「……なんて言った?」

 三人の小天狗が振り返る。
 ガキ大将だけでなく、皆の目に敵意が戻っていた。
 奴らにも、天狗の誇りがある。
 親の名を出せば気に入らないだろうし、そこで退くほど馬鹿じゃない。

「お前なんか、すぐ壊せるんだぞ?」

 吐かれた言葉に、ゆとりは感じられなかった。
 壊すという、言葉は嘘でないと解った。
 今でも、胸に恐怖はある。
 しかし、恐怖よりも、想いが勝ってくれた。
 私はそれを誇り、胸を張って前を向く、微塵の後悔もいらない。

「学習しなよ」
「あ?」
「お前等はさっきまで、三対一で人形如きに口で負けるなんて思ってもいなかったはずだ」

 敵意の視線はナイフのように、私の身体を刺した。

「謝らないかぎり、私に付き合ってもらうよ。また同じ結果になるかもな」
「……こいつ、本当に壊していいか?」
「でも、高いんじゃないの?」
「証拠なんて残らないよ」

 上海から遠く離れているのを、確認する。
 この位置なら地上にたたきつけられても、巻き込む事は無い、

「上海に謝れ。叩きつけた林檎の価値も、上海の命の価値も、お前らが考えてるよりずっと重い!」
「うるせぇな……!」
「そうか、分からないガキだ。どうやら、きっつい、お仕置きが必要だな!」

 喋り終わると同時に、空気に動きがあった。
 喧嘩開始の合図は、無言で飛んで来た鋭い大弾だった。

 天狗烈風弾。
 人形一つ、これで終わったつもりだったのだろう。
 だから、奴らは勝利を確信してたし、同時にその後は隙だらけだった。
 相手には残念だが、私はこれが初見ではない、それどころか数段速いのを知っている。
 完全に見切っていた攻撃を、前に出ながら頬で掠って避けて、一番近い奴に全速力で頭突きを入れた。

「ぎゃっ!?」

 顎を逸らして、小天狗は落下していく。
 まず、一人。
 希望通りの電撃戦に持ち込めた。
 混乱する天狗達が戦闘態勢に入る前に、私はその場で回転し、次の標的に飛び出す。
 迎撃が間に合わず、飛んできたのは小粒の散弾だった、十分な回転がそれらを弾き飛ばし、私は二人目の天狗の背中に取り付く。

「さぁ、反省しろ悪ガキ!」

 慌てて振り返る天狗のほっぺに、カウンター気味のドロップキックを食らわす。
 青痣にはなっただろうか、二人目も、飛行を維持できず落下していった。
 場の流れは、私に向いている。
 嘘のように、ズムーズにいっていることを、名も知らぬ戦いの神に感謝した。
 残る一人、憎きガキ大将目掛けて飛び出すまで、一人目の天狗が土に落ちるまでの時間もかかっていない。
 懐の剣を取り出す、こいつを頭に振り下ろす音が私達の勝利の鐘だ、このまま……!

「羽虫が……! 調子に乗りやがって!」

 どうやら、私だけじゃなかった。
 奴も懐から武器を取っていた。
 天狗の葉団扇が、横に振られ、圧倒的な風の力の前に、私の視界が歪んだ。
 最高に加速に乗っていたはずなのに、網戸にしがみ付いた虫のように引っぺがされて、空に投げ出される。
 体勢を崩した所に、奴の第二陣が上から襲った。
 吹き荒ぶ風は、私を垂直に取らえ、猛スピードで私を地面へと運んでいった。

「――ガハッ!」

 腹から叩き付けられ、土にバウンドしてる間は意識が飛んだ。
 それでも剣は離してなかった。
 嵐の中、私は剣を地面に突き刺し、それを支えにして、膝立ちになる。
 風の猛威が、身体をばらばらにしようと、押さえ込んでくる。
 皮膚が割れ、ドレスが千切れ、リボンが飛んだ。
 立てた剣は土を削り、硬い大地に裂け目が広がる。
 追い込まれた。
 奇襲は届かず天狗の態勢は整い、二度と勝機がやってきそうな状況じゃない。
 しかし、私に剣の柄を離すつもりは絶対に無かった。
 倒れない私を見て、ますます風は唸りを上げる。
 私は土煙の中で目を開き、覆いかぶさるように、剣の傍に寄った。
 離さない、このまま倒れた方が楽だとしても、倒れる結末しか残されてなかったとしても。
 ここで逃げれば繰り返しだ、また、あいつを泣かせちまう。
 結果を残すんだ、自分に生まれた価値を試すんだ、勝てた負けたじゃない形を示せ、上海に、私に。

 身体は警告を出し続けていた。
 被害は甚大で、各部位が私にエラーを叫び、撤退を命じる。
 逃げる気は無いが、耐えてるだけで、全く動けないのは悔しい。
 まだ、あいつにだけ、拳が届いていない。
 もう、届きそうもない。
 せっかくなら、一発ぶん殴ってやりたかった……。

 意識が薄らいでいく。
 鈴蘭の毒で喘いでいる時よりは、ずっと楽な落ち方だった。
 諦めたくはないが、私に残された自由は目ぐらいだった。
 何かチャンスはないかと、ろくな視界じゃない地上に目を這わせたが、煙以外に何も無く、天狗達の姿さえ無かった。
 落ちていなかったか、もう上がったか、とにかく大した傷ではなかったのだろう。
 また自分の下に目を戻そうとして、小さな黄色に目が止まった。

「お前……」

 上海がいた。
 風と煙の中で、青い目が真っ直ぐに私を見ていた。
 姿が小さく見えるほど遠く離れた場所で、上海は両手で籠を抱いて立っていた。
 私の言ったとおり、手出しをしないで、籠を守っていた。
 約束守ってくれてるんだな……。
 ごめんな、お前、優しいから辛いだろうな。
 でも、手を出さないでくれよ……。
 危ないからな……。

 ごめん――。

「シャンハァァァーーイ!!!」

 聞こえたのは声ではなく、耳を貫く音波だった。
 草原を駆け、菜の花を揺らし、土煙を掻き分け、風を挫き、私の耳へと届いた音は大きかった。
 上海の目は真っ直ぐだった、歌うように大きく開いていた口が閉じられる。
 音は身体の中で反響し、上海の気持ちを私に伝えた。
 これは……ウォークライだ。
 上海の、ウォークライだ。
 戦いに臨むリトルレギオンに捧げる、上海の鬨の声だ。

 震えた。
 嬉しかった。
 倒れる未来なんてあいつは見ていない。
 約束通り、あいつは手を出さなかったけど。
 その声で、私の戦いは、私達のドールズウォーに変わった。

 切り裂くような風が少しだけ弱まる。
 首が折れそうな風圧の中、上を向いて、天狗の位置を目で捉える。
 間接が軋む、だがそれ以上に、闘志に身体が震えていた。

「……飛んでみるか?」

 皹の入った手に力が戻った。
 ぼろぼろだった身体に、毒の心臓が最後の力を送り込んだ。
 砂に苦しむ間接も、笑っている膝も、破れかけた羽も、全てがイエスと言っていた。
 飛べ。
 聞こえたろう。
 突きたてろ、剣を。
 迷い無き、一寸法師の針が、鬼だって穿つなら。
 曇り無き、リトルレギオンの剣が、天狗に届かぬはずがない!

「頼むぜ、相棒っ!」

 刀身が埋まった剣を引き抜く。
 曲がっても折れてもいなかった。
 私の酷い有様に比べ、こいつは本当にいけてる奴だ。
 伊達にアリスが用意した剣じゃない。

 空は混乱が続いていた。
 その間、土煙が私を隠してくれた。
 剣を片手に持ち替える、一度きり、片道切符の特攻飛行。
 左手にイメージしたレーザーは最大出力。
 背中の羽は生まれてから今までで最高の加速を。
 一瞬の瞬発力にかける為に、腰は落とした。
 エネルギー充電120%。
 大地を蹴る、レーザーを放つ、その二つを推進力に空に出る。
 煙の膜を突き破り、青い空に出た私を、天狗達が驚愕の表情で見下ろした。
 大砲と化した人形に、御仕置きを完了させていた二人は、悲鳴を上げながら道を開ける。

「やめろよっ! な、何をそんなに怒ってんだよ……!」

 風の中を、烈風弾が飛んでくる。
 避ける気は無かった、避けていては届かないと解っていた。

「お前は、いい加減壊れろよぉ!」

 ニ発、三発、四発目が肩を掠り、五発目は左腕に直撃した。
 球体関節の下から腕を持っていかれる。
 左手はくれてやる。
 必要ない。
 剣は右手だ。
 尚も速度を緩めない私に、小天狗は焦りの表情を浮かべた。
 横一列に赤い弾を並べると、一直線に私を狙って降ってこさせた。
 背中の羽が切り裂かれた、透明な羽は音も無く散っていった。

「ど、どうだ!?」

 笑ってやる。
 既に羽はいらない。
 奴の狙いを解った上で、私は持っていかせた。
 軌道を修正する必要はない。加速は完了している。もう逃げられる距離じゃない。
 お前が逃げなかった時点で、勝負は決した!

「やだ、やだよ……やめ……!」

 ガキ大将の顔が崩れた。
 何も出来てなかった、無防備な姿だった。
 負けたことが無いのだろう、勝ち続けてきたのだろう。
 羨ましいご身分だ。

「さぁ、林檎の重さを教えてやる!」
「ひぃぃい!!」

 ここまで近付いても、風のバリアも防御の構えもなかった。
 今なら額に剣を振り下ろせば、失神くらいはさせられる。
 私は右手を大きく振り上げた。
 迷いは無い、その為に飛んだのだから。
 上海の想い、私の想い、人形の尊厳をその額に打ち込む!

 ……だが、直前で剣は止まった。

「ご……ごめんなさい……」
「おい、反則だぜ、そういうの」
「ごめんなさい! 林檎壊してごめんなさいっ!」

 謝ってるのは奴じゃなかった。
 一番気の弱そうな奴が、間に飛び込んで来ていた。
 飛び込んで頭を抱えて震えていた。
 友達の為に泣いていた。
 助けが来るなんて、こいつも思ってなかったのだろう。
 その顔を見て驚いていたガキ大将も、やがて、わんわんと泣き始めた。
 謝りながら、涙を流した。
 ごめんなさいって、涙を。

「……いい友達持ってんな、お前」

 天狗という格が剥がれ落ちた、二人の子供が泣いていた。
 目の周りに皺を寄せて、家から閉め出された子供みたいに、必死で泣いて懇願していた。
 私は剣を投げ出した。
 目的は果たした。
 こいつを殴るより、良い結果になった。
 随分長い道だったが、ようやく満足する答えが聞けた。

「なぁ……」
「ごめんなさいっ……林檎壊して……ごめんな……さい……!」
「大切だったんだからな、林檎だけじゃなくて、お前が脅かした命も」
「知らなかった……言えなかった……! ごめん、ごめんなさい、本当に……ごめんなさいっ……!」
「強いからって、弱い奴を蔑ろにするなよ?」
「うん……! うん……!」

 身体を空に放り投げた。
 千切れた羽では、ここが限界だった。

「私はいい、上海に、下にいる上海人形に、お前は謝って来い」

 自由落下で、下に落ちていく。
 もう、飛べもしない。
 今、どんな格好だろうと、身体に手を当てた。
 頭のリボンは無かった。
 胸のリボンも無かった。
 左手も吹き飛んだ。
 泥だらけの頬には大きな傷が入っている。
 赤いドレスは破けて、下から皮膚を覗かせていた。
 やれ、無茶の代償は大きい。

 落ちていく。
 空に抜けていく。
 意識が抜けていく……身体の毒と一緒に……。
 私を地上で待っているのは、死か、消滅か。

「私はもっといい友達をもってるけどな……」

 呟きは遅すぎて、グラスアイが映す世界には、もう何も無かった。

――――

 天国に着いたなと思った。
 地面が柔らかくて、目を閉じていても辺りは眩しかった。
 こんな感触、初めてだ。

「……イ……」

 頑張れば、人形も天国に行けるのだな。
 いい時代になったなぁ……。
 アリスにも教えてやりたかったなぁ……。

「シャン……ハイ?」
「……?」
「シャンハイ!」
「おわっ!? お、お前、膝枕なんかするなよ!?」

 重い瞼を持上げたら、間近に上海の顔があった。
 顔を真っ赤にして立ち上がろうとしたが、仰向けになっていた頭が、膝の上でころんと横向きになっただけだった。
 おや? と思う。
 左側が頼りない。
 左手が無くなっていた。
 それでバランスを崩したらしい。

「お前が助けてくれたのか?」

 上海は首を縦に振った。
 そうか、私は生きているのか。
 生きるというか……こういう意識はもう戻らないと覚悟していた。
 毒は抜け落ち、穴も塞がって、毒の心臓は原動力を失くしたはずなのに。
 これで綺麗に幕を閉じると思っていたが、まだ、好きに動けるとは少々意外だった。

「むぅ、だからって膝枕はないだろー?」

 右手に頼って身体を起こす。
 赤ん坊になったみたいに、身体が不自由で、動きも不自然だった。
 転ばないように立ち上がり、少し歩いて上海と離れる。
 私の服の泥や埃は落ちていた、上海が払っていてくれたらしい。
 汚れは落ちても、身体は酷い有様だ。
 私と目の前の人形が同じ作りだといって、信じてくれる人はいるだろうか。

 しかし、ここは……と思って首を回した。
 背の高い、黄色い花に囲まれている、ぼんやりとした世界だった。
 目に入っていた砂を落とし、次に目を開くと、光の中の植物が何だか解った。
 これは、菜の花の群れだ。

「シャンハイ!」

 上海が籠を両手に抱えてやってきていた。
 籠の上には、熟れた林檎が三つ、ピラミッド上に並んでいた。
 潰れたはずの三つの林檎に、まるで時間が戻ったような錯覚を覚える。

「お前、これ?」

 上海は黙って、籠を私に近づけた。
 林檎と林檎の間に、一枚の紙切れが挟んであった。
 私はそれを摘み上げた。

『リンゴ、べんしょうします』

「そうか、あいつらが……」
「シャンハイ」

 一人、一個ずつ買ってきたのかと思うと、案外、愛らしい連中に思えてきた。
 これなら、上海に聞かなくても、上海にも謝ってくれたのは間違いなかった。
 大金星だ。

 時間の経過が良く解らなくて、空を見た。
 空はまだ青かったが、稜線の辺りが赤く染まっていた。
 そうすると、私は、結構寝ていたらしい。
 その間、上海はずっと私を見ていてくれたのか。
 上海の顔を見たが、もう泣いてはいなかった。
 お礼を言おうとして、別の事に気が付いた。

「あ、やばっ! そろそろ戻らないとアリスが――ぶべっ!?」

 道端に派手にこけた。
 そうだ、飛べないんだった。
 上海が慌てて駆け寄ってくる。
 ごめん、ごめん、と謝るが、飛べないのはずいぶん情けなかった。
 どうやって戻ろうかと考える。
 上海に籠と私の両方を運んでもらうのは、無茶だろう。

「お前だけ、先に戻るか?」

 上海は首を振った。
 それ以上、言うのは私も止めた。
 ホーライと一緒がイイ、なんてまた言い出されたら、恥ずかしくて真っ赤になってしまう。

「じゃあさ、歩く私に合わせることになるけど、いいか?」

 上海は強く頷いた。
 頷いて、籠を取りに走って戻る。
 いやいや、お前は飛んでいいんだって。

 上海の姿に笑いながら、私は不思議に思っていた。
 記憶はどんどん薄くなるが、頭は非常にはっきりしている。
 毒の心臓はまだ動いているらしい。
 何かやり残したことが、私にあったのかな?
 記憶を掘り返していくにつれ、薄らぼんやりとした記憶の底に突き当たる。

『シャンハイナンテ、大キライ』

 あ、と声が漏れた。
 ずっと昔の台詞だ、確か上海の誕生日の出来事だった。
 アリスと魔理沙から、上海に大きなリボンが与えられた。
 今まで、私だけの大きなリボンだったのに、上海にも同じ物を与えられたのが嫌だった。
 あの頃は、上海との差が激しかったから、私が上海に勝つ部分が一つでも欲しかったのだと思う。
 そんな逆恨みで、取り返しのつかない言葉を口にしてしまった。
 ここで思い出すということは、これが、私に残った最後の毒なのか……。

 籠を持って上海が戻ってくる。
 目を細めてる姿は、目一杯喜びを表現していると解った。
 この笑顔を壊すのは辛かったが、いつまで動けるか解らない。
 今のうちに謝っておこうと、私は口を開いた。

「ええと、上海……どうしたんだ、それ?」

 謝ろうとしたが、上海に変化があったので、そちらを訊くのが先かなと修正した。
 上海の髪に、かんざしのように、菜の花が挿してあった。
 金の髪に黄色という目立たない配色だったが、中々に素敵に思われた。

「へぇ、似合ってるじゃないか」

 素直に誉めたのだが、上海はそれには特に表情を変えず、私を手招きする。
 私が近付くと、上海は籠の中の菜の花を取って背伸びをした。
 私の髪に手が触れる、優しく髪を梳かれるようにして、すっと花が吸い込まれた。

「お、おお?」
「かんざし」
「あ、ああ、似合ってるかな?」
「にあってる、キレイ」

 こんな姿で、綺麗も何もないのだが、言葉にされると嬉しかった。
 上海の方は本当に綺麗だった。
 アリスは天使だって作れるんだなと思った。

「おそろいだね」
「え?」
「ホーライといっしょ!」

 上海が嬉しさを振りまいて、飛び跳ねる。
 いっしょ、という言葉を、最近、上海から頻繁に聞いている。
 上海の嬉しさの奥に、必死さが見え隠れしているような変な気持ちがした。
 あれ、そういえば、またこいつ、人形言葉から人語になってるな。
 うーん……。

『人形コトバはダメ、大切なコトなの』

 これも、大切なことなのか?
 おそろいが、いっしょであるということが?
 リボンも、かんざしも、その為の物で、容姿が一緒であるという事が大切なのか?
 良く解らないな、上海が望むなら、それでもいいけど。

 ……それは少し変だ。

 本当に最初の頃は、そうではなかった。
 私達は近づけるまでもなく、同じように扱われていた。
 同じ服を着て、同じように仕事をこなし、時間が空けば、一緒になって蝶を追いかけたり、花を摘んだりしていた。
 近付こうとしだしたのは、私が離れていこうとしてたからだ。
 それを繋ぎとめる為に、上海が選んだ方法が、私と同じ形だったんだ。
 そっくりなリボンを欲しがり、菜の花を二人で分けたのも、上海は昔の状態に憧憬を憶えていたからだ。

 私は間違っていた。
 謝りの言葉なんて、上海は欲しがっていない。
 上海が欲しがってる答えが、解った。
 手を繋いでいた頃の記憶を、取り戻した。
 それは私が欲していたものに、等しかった。
 思い出したよ、ごめんなさいなんかより、もっといい言葉があったじゃないか。

「上海、かんざし……ありがとう!」

 アクアマリンの瞳が輝いた。
 一瞬、それは涙に見えたが、悲しいものではなかった。
 上海はもっと目を細めて、私の胸に飛び込んできた。
 受け止める手が一本足らない。
 ふらついて、花畑に尻餅をつく。

「ばっか、くすぐったいって、犬みたいだなお前」
「シャンハーイ」
「開き直るなよなー、怪我人は慎重に扱って欲しいなー」
「シャンハイ、シャンハイ」

 上海は鼻から顔を、私の胸にこすり付ける。
 自分が私に受け入れられたのを、敏感に察知したのだろう。
 子供は素直で羨ましいが、私も嬉しいからお前とおんなじだ。

 毒は全て抜けた。
 上海は人形言葉に戻った。
 世界の色が変わっていく。
 菜の花畑は、幼少期に見た何処かの菜の花と一緒になっていた。
 変わっていない、世界は何も。
 突然、思い出したように上海が走り出して、白い棒のような物を持ってきたが、それは私の右腕だった。

「あ、探しておいてくれたのか。なんか自分の腕が離れてるってシュールだな……」
「シャンハイ……」
「ありがとう。たぶん、新しい腕になると思うけど、家に持って帰ろう」
「シャンハイ」

 私が手を伸ばすと、上海は首を振った。
 置いて帰るのかなと思ったら、上海は襟首をぎゅいと伸ばすと、そこから腕を突っ込んで腹に落とした。
 この収納スペースはどうだ、と言わんばかりに、上海はお腹を叩いた。

「妊婦さんみたいだぞ」
「シャンハーイ」

 上海が、両手を前に組んで、お腹を上下に撫でる。
 こんなのにノッてくるとは、上海も成長したものだ。
 私が笑ってやると、上海も微笑んだ。

「帰ろうか。私達の家へ」
「シャンハイ!」

 上海が籠を運んでくる。
 籠の取っ手を二人で分け合って、私が右手、上海は左手で、しっかりと籠を持った。
 良い持ち方だと思ったのに、いざ、持ってみると籠が大きすぎることに気が付いた。
 この持ち方だと、籠を地面で引き摺ってしまう。
 試行錯誤の末、上海と私は少し距離を取り手を伸ばし、籠の底が地面からすれすれのところをキープした。
 林檎の安定が怪しいが、これで進むことにする。

 太陽の花畑を両側に分かれ、私達はゆっくりと歩き始めた。
 懐かしさと、眩しさに、目を細める。
 片手が切り落とされていて、良かったのかも知れない。
 もう少しで、右目を擦ってしまうところだったから。

「シャンハイ?」
「大丈夫だ。こんなに晴れてるのに、涙なんて出るわけないだろ」

 力が薄れていっていた。
 調子の悪い時計のように、両足のリズムが合わない。
 籠を上海一人で運んだ方が早いのだろうけど、持って貰おうとは思わなかった。
 上海が望んだからじゃない、私がそうしたかったから、我侭を通した。

 夜中になるかもしれないな。
 アリスはなんて言うだろう。
 どうやって、怒るだろう。
 私を直すより、新しい人形を作ることを選ぶだろうか。
 私に人形作りのことは解らないが、こうも酷いと、その方が簡単に思われる。
 そうなると、上海が泣くだろうから、嫌だな……。

 森が近付いてくる。
 風に揺れる葉が、子守唄に聞こえてくる。
 上手く動かない身体を、辛抱強く前に運んだ。
 暗くなると、森の匂いがきつくなった。
 無言だったが、寂しくは無かった。
 籠で手を繋いでいるんだと思うと、睡魔に抵抗するような、嫌な感覚は消えた。
 夢を見ているようだった。
 暗いトンネルの向こうに、アリスが点けた光が待ってると信じて、私達は歩いた。
 幕はそこで下りる。

 二人が、無事、家に着いたら。
 一緒に玄関まで走って。
 あいつが好きだったように。
 私が好きだったように。

 玄関のドアを……二人で開けるんだ……。

―――――

「アリス、こりゃ一体何の真似だ?」

 白塗りの壁に箒を立てかけて振り向いた、黒白の第一声がそれだった。
 私は疲れていたので、ピクニックテーブルに突っ伏して無視したが、魔理沙が見ても解らんと詰め寄るので、天日干しだと答えてやった。

「天日干しって……これ、全部か?」
「ざっとニ百ね」
「これだけの人形を、お前一人で外に出したのか?」
「まさか。おいで、上海、蓬莱」

 開いていた窓から二つの人形が飛び出して、小鳥の声が煩い朝の森にやってくる。
 私の右肩辺りに来て、そこで滞空してお辞儀をした。

「おおっ、上海。いつも可愛いなぁ」
「シャンハーイ」
「あ、蓬莱も直ってるじゃないか! いやー、良かったな!」
「徹夜明けなんだから、静かにしてくれるかしら?」
「徹夜明けで紅茶を楽しもうとしてるお前が異常だぜ。なあ、上海」

 私は含み笑いをしながらティーカップを寄せ、顔を少し持上げて口の中を湿らす程度に紅茶を啜った。
 魔理沙はシャンハイの声の方へ手を寄せて、上機嫌に人形の頭を撫でている。

「朝から、ダメな顔してるな、アリス」
「ダメな顔、というのを具体的に問い詰めたいところだけど、そんな気力も今日は無いわね」
「言ってるじゃないか」
「さすがの私も、あの状態から蓬莱を直すのには骨を折ったわ……」
「それなのに、天日干しまでやったのか?」
「天日干しは、上海の提案なのよ。蓬莱人形復活祝いに。ま、そろそろ湿気を抜かないといけなかったから、丁度良かったということにしておいて」

 私と魔理沙は、庭の方へ顔を向けた。
 広げたシートの上からはみ出して、庭中に広がっている、夥しい数の人形、人形、人形。
 くるぶしの辺りまで髪を伸ばした、グランギニョルもその中にいた。

「グランギニョルは久しぶりだな」
「そうね……どうする? 紅茶いるの?」
「もちろん。クッキーは出るのか?」
「急に図々しくなったわね」
「わりぃ、図々しくするのを今まで忘れてた」

 クッキーぐらい取ってきてやるかと、上半身を起こしたが、起きてみてだるかったので、両肘で頬杖をつくに留まった。
 朝の光は、妖怪を眠くさせる。

「紅茶オンリーに決まりました」
「霊夢並にだらけてるな」
「失礼ね。あれはもっと酷いでしょう」
「上海を見ろよ。こんなに清々しいぜ?」
「ああ、魔理沙。それ、上海じゃなくて蓬莱だから」

 何を言うんだよ、と魔理沙はすぐに反論したが、疑問に満ちた視線を下に向けた。
 手の下で、蓬莱は笑っていた。
 笑ってから、するりと手をすり抜け、相棒の上海と合流する。
 上海と蓬莱の二人が、ピクニックテーブルの上でハイタッチを決めた。

「シャンハーイ!」
「ホラーイ!」
「だ、騙された!?」
「馬鹿な奴」
「だって、シャンハイって言ってたじゃないか」
「それを騙されたって言うんでしょう?」

 しかし、むしろ可笑しいと魔理沙は笑った。
 ティーポッドから、少しだけ冷めた紅茶を、自分のカップに注ぐ。
 一口飲んでから、魔理沙は口を開いた。

「ダージリンだな」
「カンヤム・カンニャムよ」
「解るか、そんな珍妙な葉っぱ」
「だったら黙って飲めばいいのに」
「……なぁ、蓬莱、どうしたんだ?」
「何が?」
「あいつ、変わっただろ。間違われても逃げなかったし、それどころかそれを逆手に取られてしまった」
「あの子も経験を生かして、試行錯誤してきたんでしょ」
「やっぱり変わったよ」
「いいえ、元に戻っただけ」
「ふぅむ……結局、あの実験はどうだったんだ?」
「辛うじて大成功、というところかしら?」
「何だそりゃ」
「あれはもういいでしょう。別の方法を探すわ、無理矢理な自律じゃなくても、アプローチの方法は他にもある」
「次は何をするんだ?」
「それを、これから考えるのよ」
「何だそりゃ」

 呆れ半分、期待半分の目を、魔理沙は私に向けた。
 私は頬杖をついたまま、遠い記憶に思いを馳せていた。

『試行錯誤の過程?』
『そうよ、アリスちゃん。目的があって人形を作っているのでしょう?』

「ふぅ……」
「また、ニ割り増しにダメな顔になったな。何か悩みでもあるのか?」
「悩みなんて無いわよ。創り手の感傷にひたってみただけ」
「ふーん、創り手のね」
「別にあなたに話しても、仕方のないことよ」

 先に釘を打っておく。
 根掘り葉掘り赤裸々な過去話をさせられてしまった、失敗談があったから。
 だけど、こいつは何も訊いてこなかった。
 上海と蓬莱の姿を探す。
 他の人形達と一緒になって、絵本を広げていた。

「読めるのか、あれ?」
「さあ、絵を楽しんでるだけかも」

 会話が止まる。
 小鳥の囀りと、紅茶を啜る音だけが残った。

「言いたいんだろ?」

 もう、流れただろと思っていたら、絶妙なタイミングで魔理沙が切り出した。
 本当に、いい性格してると思う。

「あなたの暇潰しに付き合わせる気?」
「どうせ今から寝る気だったんだろ。寝る前の口の運動には丁度いいぜ」
「聞いたこと無いわ。どこから出てきたのよ、その運動」
「寝ると喋られないから、私はいつもやってるが。例えば今みたいに」
「魔理沙が寝てどうする……」

 身体は疲れきっていても、頭はそうではなかった。
 気が向いたから、適当に話をしてやることにする。

「……神綺様がね」
「おう」
「全ての生命は、試行錯誤の過程だっていうのよ」
「いきなり、解らん」
「生命ってのを神の視点から見ると、あ、創り手の視点と言い換えた方がいいかな……環境に適応した生物を生み出す為に、次の発展を目指すために、前より強靭な羽を作ってみたり、前より大きな頭にしてみたりするわけじゃない? 大きな流れで見れば、それは創り手側の試行錯誤の段階であって、そしてそれに終わりは無い、と神綺様は言いたかったわけね」
「良く解らんが、続けていいぞ」
「あ、ちょっと前後が逆になっちゃった。私、この話を、人形が失敗続きで弱ってる時に聞かされたのよ。神綺様にしてみれば、私を慰める言葉だったんだと思うんだけど」
「慰める? どうしてだ?」
「試行錯誤に成功も失敗も付き物なのだから、そんなの、いちいち気にしなくても良い。ということなのよ」
「作られる側には無責任な話だな」
「そう。私もそう思って、かなりの大喧嘩をしてしまったのよね。人形達との向き合い方もそうだけど、創り手の視点ってのは、私から見た人形達だけじゃなくて、神綺様から見た私もそうじゃないの。腹が立つでしょ?」
「ああ」
「それって、私があの人にとって、試行錯誤の一部だっていうことじゃない?」
「そうだな」

 魔理沙が紅茶に手を伸ばしたので、私も話を一旦区切り紅茶を飲む。
 ソーサーにカップを置く時に音を立ててしまって、自分が興奮気味なのに気が付いた。
 もしかして、魔理沙はそれに気付いていて、さりげなく私を止めたのかも知れない。
 考えすぎか。

「お前は、神と妖怪という関係じゃなくて、母と子という一対一の関係でありたかったんだな」
「いきなり、恥ずかしいこと、言わないでくれるかしら」

 その通りなのが悔しいが……。

「それで、私。今まで以上に人形に時間を割いて、一人一人に細かな命令と、リカバリーのためのアドバイスをしていったのよ」
「ずいぶんな熱意だぜ。それは喧嘩のせいか、人形のためか?」
「どちらもね」
「うん」
「だけど、結果として私が目指す自律とは、遠くなってしまったわ」
「どうして?」
「私以外の刺激から全く反応しなくなってしまったのよ。つまり命令を聞いてるだけになる。それ以外は何があっても反応しない」
「なるほど。転んだ子にずっと手を差し伸べていては、成長が無いってことか」
「それが解ってて、神綺様は私に言ったんでしょうけどね」
「神は偉大ってわけだな」
「実際に偉大だわ。分野は違うけど、創り手としての経験も技術も比肩すべきものがない方よ」
「で、お前は、そのアドバイスに従ったのか?」
「ええ、自律人形の研究は大いに進んだわ。最小限の時間で自律を促して、最大限に研究に没頭できたからね」
「良かったな」
「でも、神綺様の台詞には納得いかなかった」
「粘るな、お前も」
「試行錯誤の段階って事は、私の経験を元にして、いつか私より優れたものが必ず生まれる。いや、既にそいつは生まれているかもしれない」
「自分の存在価値はどこにあるの? ってやつか?」
「その通り」

 話を一旦止めて、最後まで頭の中で組み立てる。
 机の下で靴をばたばた鳴らしてる魔理沙が、我慢できなくて先に口を開いた。

「その口振りじゃ、既に答えは出ているんだろ?」
「魔理沙は、アロワナって魚を知ってるかしら?」
「はあ?」
「大丈夫よ、ちゃんと答えに繋がるから」
「知ってはいるが……図鑑でしか見たことが無いな。幻想郷にもいるのか?」
「そんなにレアな魚じゃないから、何処かにいると思うけどね。ま、これは外の世界のアロワナの話なんだけど」
「そいつがどうした?」
「アロワナは、一億年以上同じ姿を保っているのよ。つまり進化に取り残された魚ってわけ」
「何でまた、そんな事になったんだ?」
「棲んでる川にライバルがいなかったの。みんな海に出て行っちゃったから、進化する必要がなくなった」
「ライバル無しで、餌が豊富だったってことか?」
「大きな口を開けて泳いでれば、勝手に餌が入ってくるのよ」
「そいつは楽だな」
「ところが、大海原で他の魚と生存競争をし、進化に進化を重ねて来た現代種が、アロワナのいる密林の川に戻ってきた」
「ほう、大変だ」
「旋回速度、スピードの切れ、持続力、何を取ってもアロワナに勝てるところは無い。一億という歳月は魚の身体の作りそのものを変えてしまった。無駄にでかく、そのくせとろいアロワナは、海の魚に餌を奪われてしまって大弱り。特に雨季になって川の水位が上がると、餌にしてる小魚が逃げる場所が多くなって、おこぼれすら貰えなくなる。このままだと100%淘汰されるわね。魔理沙なら、どうするかしら?」
「お? クイズか? よし」
「あまり引っ張るつもりもないから、先に答えを言うと、アロワナは川じゃなくて、頭上に目を付けたのよ」
「引っ張れよ……いや、頭上だって?」
「頭上の森よ、川の上の木々の昆虫」
「どうやって川魚に、川の外の昆虫を取れってんだ」
「アロワナは空に跳ねたの。巨体をくねらす姿からスネークジャンプといって、水面直下から助走なしに1メートルも跳ねるのよ」
「そんな事が出来るのか?」
「やってみて出来たのよ。一億年かけた進化と淘汰という戦争の結果を、お腹が空いたという個人的な欲望が覆した瞬間よ」
「へぇ、凄いじゃないか」

 魔理沙の表情は、明るかった。
 その顔は感心というよりは興味なのだろう。
 
「長々と話したけど、全ての生命は試行錯誤の過程ってのは、つまり、そういう事よ」
「アロワナの話がか?」
「この話、マクロな視点で見れば、変化は必ずしも進歩とは限らないという摂理。一億年だろうが過程は過程で、完全が無い限り生命に上も下もないの。これが、神綺様が言いたかった、大きな視点での見方よ。魚の石頭で一億年が跳べるのに、百年、二百年程度の進化の差で、私達が才能の順列を決め付けるなんて、非常に馬鹿馬鹿しいってわけよ」
「大きな視点って言い方は、小さな視点があるからだな?」
「マクロな視点が神なら、ミクロな視点は個人でしょう。個人で見れば、ただ、お腹が空いたアロワナがジャンプしたってだけ。誰だって生きるのに必死なわけで、そこに種だの神の意向だの考えてるわけではない。全ての生命は生きるという試行錯誤の過程。これが、神綺様が言いたかった、小きな視点での見方」
「なるほどな、お前が考えた、お前より優れてる奴がって考えは、完全に的外れだったわけだ」
「まあ、良く考えなくても、私より優れた魔法使いなんて、存在しなかったわ」
「目の前にしてよく言うぜ」

 厚顔というわけではない、魔理沙の顔は爽やかな自信に満ち溢れていた。
 このくらいで聞いてくれるから、話す方も心地が良い。

「それを踏まえて、蓬莱の首吊りと、上海の泣き真似だけどね」
「あれも能力を越えた、あいつらの試行錯誤の形なんだな?」
「やだ、ちょっと人の話を取らないでよ、どこまで引っ張ってきたと思ってるのよ」
「なに、さっきのお返しだぜ」
「大人気ないわ。感動的なオチまで用意してあげてたのに」
「感動的ねぇ……そういや、上海、泣き真似しなくなったな?」
「目的があって泣いていて、結果が出て泣き止んだのよ。あの子達は創り手の意思を越えて、前に進んでいるわ」
「寂しくないか?」
「とんでもない、研究が進んで嬉しいじゃないの」
「嬉しいのは、そこじゃないだろ」

 どこだろう、と自問してみる。
 私の嬉しさ、とは何だろうと。
 そうやって考えていると、魔理沙がテーブルに身を乗り出して、私の額を人差し指で弾いた。 

「いたっ、な、何するのよ」
「いい顔になった、三割り増しに男前になったぜ」
「それは女性を誉める台詞じゃないわ」
「綺麗に変換しとけよ」
「……バカ」
「ま、生きるにおいて大事なのは懸命さだな。そこには上も下も無いってことだ」
「上手く纏めたわね」
「要するに、余計な事で悩まず、がむしゃらに生きろってことだろ?」
「合ってるけど、間違ってるわ」
「霊夢あたりが嫌いそうなフレーズだな。がむしゃらに生きろ、って」
「また、霊夢?」
「何でお前が不快な顔をするんだよ?」
「別に……」

 沈黙が続く。
 興味がある話題は饒舌でも、それが終わると途端に話に困ってしまう。
 別に魔理沙を心配してじゃないが、喋りまくった後の沈黙は、どうにも居心地悪い。

「さて、良い話だったぜ、ごちそーさん」
「帰るの?」
「眠たいしな」
「そう」

 魔理沙は箒が立てかけてある壁に歩き出した。
 やっぱり帰るんだ。
 まあ、騒がしいのが減ってくれたら、過ごしやすくなるけど……。
 いいか、私も寝るか――。

「ちょ、ちょっと待った、あなた何処に行く気?」
「お前の家の中に決まってるだろうが」
「決まるなよ!? 何で私の家なのよ、箒に乗ってあなたの家に帰りなさいよ」
「眠い。それは面倒だ。だからソファー借りるぜ」
「私だってこれから寝るんだから、あんたみたいなのがいると大迷惑なの。ゴーホーム!」
「その辺は魔法使いのよしみで勘弁してやる」
「それは私の台詞でしょう!?」
「え、いいのか?」
「私の台詞だけど、私は言わないわよって、あー、もう!」

 魔理沙の歩みが止まらない。
 飲みかけの紅茶を放置して、私は魔理沙を追いかける。
 勝手知られた私のお家、魔理沙は一直線で目的に向かい、帽子を脱いだら足を組んで、応接セットに寝そべった。
 玄関開けてから、二十秒で就寝体勢だ。

「あ、自分で起きるからいいぜ?」
「言われなくても起こさないわよ!」
「そうか、じゃあ、お休み」
「そうじゃなくて、寝るなって、こら、寝る前提で話を進めるな! 起きろー!」

 叫んだ。
 叫んだけど、魔理沙はもう寝ていた。
 タヌキ寝入り以外に考えられない。
 私は、傍にあったピンクのクッションを取って、魔理沙の顔面に割と本気で投げつけたが、やっぱりブロックされた。

「気が利くな、アリス」

 薄目を開けてそう呟くと、掴んだクッションを頭の下に挟んで、魔理沙は本格的に寝息を立て始めた。
 寝る子は育つというが、人の家でこうも安眠できる奴が信じられない。

「っとに……あー、いいわよ、いいわよ、そんなことしなくて」

 上海と蓬莱が毛布をもってきて、魔理沙の上へかけていた。
 必要ないと静止命令を出したのに、毛布の皺まで伸ばしている。

「誰がそこまでしろって……はぁ……」
「シャンハーイ?」
「わ、私は別に喜んでないわよ!」
「ホラーイ」
「うるさい! あんた達は、他の人形達と外で遊んできなさい。私は寝るから、しばらく邪魔しないで」

 開いたままの窓を指差す。
 蓬莱と上海は顔を寄せ合い、ひそひそとナイショ話をしていたが、行動が決まったのか私にお辞儀を残して、外へ飛び出していった。
 二人に任せたのは心配だが、これも良い実験になるかもしれない。

「一つだけ、聞いていいか? アリス」
「何だ、起きてたの?」
「蓬莱を直した理由を、私に教えてくれ」
「残念ね。その理由は、あなたが既に喋っているわ」
「……?」

 魔理沙は薄目を開けた。
 私の顔を覗いて、しかし、表情では答えが解りそうにないのが解ったら、顔に手を当てて自分で考え始めた。
 十秒くらいだろうか、小さく頷いて、そして目を瞑った。

「見直したぜ」

 返事はしなかった。
 それは、魔理沙の寝言にしておいた。

 自室に戻る。
 人形のいないガランとした棚は、身体の一部をなくしたような寂しさを感じる。
 服を着たままベッドに飛び込み、仰向けに身を委ねた。

「……私が作ったんだから、私しかいないじゃないの」

 無残な人形を見たのは、一度や二度ではない。
 蓬莱や上海だけ特別なのかと言われると、全否定は出来ない。
 だが、あの時は、蓬莱の横で私を見上げる人形の瞳に、私は在りし日の私を見たのだ。
 私が望んだように、あの子達もそれを望んでいるかもしれない。
 そう思ったら、無我夢中で直していた。

 人も妖怪も、何も持って生まれてこない。
 手の平は世界を拒絶するように硬く閉じられている。
 そこに、最初の与えられる価値が、親というぬくもりだ。
 初めは、それを追いかけて手を開くのに、最後になって私が手を離したら、悲しいじゃないの。

『おはよう、アリスちゃん』
 
 生まれた時から、私が求める答えは出ていた。
 創り手として、創られた者として、その答えを伝えていきたい。
 あの人がくれた気持ちを、生涯忘れたくないから。

『――私が、あなたのママよ』

 そよぐカーテンの隙間から庭を見ると、人形達が一斉に空に上がっていく途中だった。
 先頭には、蓬莱と上海が、そして、その頭には菜の花が光っていた。
 上手くやりなさいよ、と呟く。
 努力した結果には応えてあげるわ……。

 机の上の写真立てに目をやって、おやすみ、母さん、と言ったら、私は目を閉じて眠った。
つまり、アリスの遺伝で蓬莱もツンデレ。

長々とお付き合いいただき、本当に有難うございました。

(アロワナの参考:ダーウィンが来た! 第一回の放送)
はむすた
[email protected]
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コメント



0.10770簡易評価
5.80じょにーず削除
みんな かわいいよ
11.80翔菜削除
最初の方、「ツンデレの子はツンデレとでも言いたそうだなおい」
と思いながら読んでたらメッセージでまさにその通りだと知って思わずニヤケながら親指立てた。
16.80名前が無い程度の能力削除
ホラーイ
23.80白毛玉削除
蓬莱かわいかった b
34.100名無し削除
上海と蓬莱が頭の中で踊ってる…
38.100nofix削除
全体でだれるところが無く、わくわくしながら前後編一気に読めました。
楽しかったです。gj!
40.100ちょこ削除
かあいいぃよ、かあいいよぉぉ
おにんぎょうさん、かあいいよぉぉ
43.100詩織削除
感動した。
50.80変身D削除
デレ状態になったツンデレの真の破壊力にやられました……蓬莱可愛いよ蓬莱(w
序盤の蓬莱の扱いにちょっとムッと来ましたが、後半でどうでも良くなりました。良かったです(礼
54.100アシュフォード削除
序盤の蓬莱人形の扱いでアリスの株価が大暴落しちまいました。でも、蓬莱株は急上昇です。
最後まで読んだのにアリスの株価はもとには戻りませんでした。何故だ?
64.100名無し妖怪削除
はむすた氏の話にはいつも脱帽していますよ。
皆の可愛さがリアルに伝わってきました。
66.70名前が無い程度の能力削除
一万年前からツンデレ。一億と二千年後もツンデレ。
74.100名前が無い程度の能力削除
アロワナはつい「そうきたか」と思ってしまった。
ところで、蓬莱はツンデレっていうより途中はどことなく魔理沙っぽいような気もしたんですけど、どないでしょ
78.90名前が無い程度の能力削除
楽しく読ませてもらいました、蓬莱に花束渡したいたい気分です。

ただ、前半の上海と蓬莱を見ていて、某きのこ兄弟を連想してしました。
そしてふと考えてみると、魔理沙とアリスもそれに似てると思ったり。
もちろん上海と魔理沙が赤いお兄さんで、蓬莱とアリスは緑の弟さん。
アリスは公式でも『言わば妖怪版魔理沙である』と紹介されているぐらいですし。

だから。蓬莱の気持ちはアリスにもよく分かるはずなのに……? と思ってしまいました。
まあ最後は幸せになれたので良かったですけどね。
81.100名前が無い程度の能力削除
何この最高のコンビ
蓬莱かわいいよ蓬莱
97.100名前が無い程度の能力削除
不覚にも泣き申した。
101.100無銘削除
蓬莱最高、最高蓬莱
ああ、もちろん上海もアリスも魔理沙も!
105.90MK削除
GJ 蓬莱も上海も皆最高!
107.90ぐい井戸・御簾田削除
神のカリスマに…やられたっ!!
109.100加勢旅人削除
純粋ってイイ
110.100跳ね狐削除
綺麗なお話、どうも有り難うです。
120.70名前が無い程度の能力削除
毒蓬莱に惚れた!
126.100削除
何たる破壊力かッ…!

いや、言うこともありません。脱帽です。
131.100名前が無い程度の能力削除
悩むぐらいなら神綺すら否定。
悩むより研究などの行動。
疲労していても、ライバルに紅茶を出す余裕。
鋭い進化への考察。
自分には、とても公式に近いアリスに感じました。

主人公のホラーイとヒロインのシャンハーイは、言わずもがな可愛かったです。
135.100煌庫削除
イイ話だっ gj!
140.100名前が無い程度の能力削除
最高だお( ^ω^)
146.100名前が無い程度の能力削除
とりあえず前編の上海の筆談で泣いて
そして後編で蓬莱株急上昇、ついでにまた泣く
149.100HR削除
きました。
150.90転石削除
流石は蓬莱さんだ。 小天狗だってなんともないぜ。 蓬莱さん最高。
152.100名前が無い程度の能力削除
感動して、涙が止まりません。すばらしい物語を、有難うございます。
157.100油揚げ削除
いい話だー。色々と考えさせられることが多いですね。
158.100名前が無い程度の能力削除
うーん、いい話だ。
160.80Mya削除
 いかん、神綺様の魅力にめろめろです。話も丁寧に纏まっていて面白かったです。
166.100名前が無い程度の能力削除
はむすたさんの作品をいまさらながら読み漁っている俺が来ましたよ。
しかしどれもこれも神レベルでもwktkが止まらないですよーウキウキ。

しかし後半一気に空気を読まずに魔理沙に萌えた俺は今から首吊りしてきますね。
167.100名前が無い程度の能力削除
なんて素敵な作品だ
169.100名前が無い程度の能力削除
すばらしすぎて鼻血出ちゃう
171.70T.A削除
蓬莱人形可愛かったです。
……もちろん内容もよかったです。
182.90名前が無い程度の能力削除
ホラーイ
184.90名前が無い程度の能力削除
首つりホラーイの裏にそんな悲劇が!
191.100名前が無い程度の能力削除
蓬莱も上海もアリスも大好き。
とても温かいお話でした。
書いてくれてありがとう。
193.90BBL削除
蓬莱が天狗に立ち向かう際に頭の中で
ロマサガ3のラスボス戦のBGMが流れたのは内緒。

蓬莱が男らしすぎる!
194.90須達龍也削除
ないす、ツンデレ!
197.100名前が無い程度の能力削除
感動した。
200.100J削除
最高です。前編の最後で泣いてしまいました。

前編であることを忘れていて、続きがあることに気がついて喜んでしまう自分がいたり。

蓬莱と上海、二人の仲は不滅ですね。
202.100れーね削除
蓬莱超可愛い。欲しい(爆)。
205.100名前が無い程度の能力削除
上海と蓬莱でギャグの作品読もうと思って過去の作品を漁ってたら、個人的に東方ギャグもの最高峰のはむすたさんのがあったから…そのつもりで読んだら腹筋じゃなくて涙腺が崩壊した。なんだこれ。
206.無評価かんなび削除
感想を書くのは初めてだけど、読んだのは3回目
そして3回とも泣いてしまった。
良い作品をありがとう
207.100名前が無い程度の能力削除
良い作品に出会えた幸せ感に浸っています。
前編を読んだ限りでは、アリスもう少し蓬莱へのケアをしてあげてって思っていましたが、後編読んですっきりしました。
アリスの行動は、多干渉を排した母の愛だったんですね。

上海のヒロインっぷりと蓬莱の男前っぷりも素晴らしかった。
良い物語を作ってくれてありがとうと言いたい気持ちです。
211.100名前が無い程度の能力削除
読むのは何回目か忘れたけど、遅まきながら感想を。



この作品がとても好きです。蓬莱の熱さには、涙腺が緩んでしまいました。

良き作品と巡りあえた幸運に感謝を。

213.100名前が無い程度の能力削除
シャンハーイ!
214.100名前が無い程度の能力削除
言葉はもいらないですね。
216.100名前が無い程度の能力削除
ホラーイに涙腺持ってかれました。
220.100名前が無い程度の能力削除
もう何度読んだだろうと思いながらやはり心に染み渡るこの作品。
さらに207氏のコメントが完全に盲点だった。更に理解が深まりました。
やはり、この点数以外には考えられないと思います。
226.100名前が無い程度の能力削除
いまさらながら、この作品に感動しました。
文章が短いのに的確に伝えたいことを表わしていて、セリフの切れにもセンスの良さを感じます。もう敵いません。
魔理沙とアリスの会話も洒落ていて面白かったです。
はむすたさんがこの作品に注いだ知力と愛は凄まじいと思いました。
これから他の著作も読んでみたいと思います。
ありがとうございました。
238.100名前が無い程度の能力削除
涙腺崩壊(´;ω;`)ブワッ
239.100名前が無い程度の能力削除
たまにでいいから・・・蓬莱のことも思いだしてあげてください・・・・。
240.100名前が無い程度の能力削除
蓬莱を嫁に下さい!
241.100名前が無い程度の能力削除
ホラーイの兄貴!!
242.100名前が無い程度の能力削除
脱帽
244.100削除
よかったな蓬莱。
お兄ちゃんも嬉しいよ。
252.100名前が無い程度の能力削除
iine
253.100名前が無い程度の能力削除
最高でした!
254.100名前が無い程度の能力削除
少し切なくて、けれども素晴らしかった
256.100名前が無い程度の能力削除
定期的に読みに来てしまう。
やはり何度見ても感動できる作品ですね
258.100名前が無い程度の能力削除
後半の〆方うますぎ泣けた
266.100名前が無い程度の能力削除
しかしなんてこいつら知的な会話を繰り広げやがる
話を全て理解した上でさっきのお返しだぜとか言っちゃう余裕のやりとり
それにしても上海かわいい、
蓬莱かっこいい。
267.無評価名前が無い程度の能力削除
あ、でも上海と間違えてなんだホーライかってのはグサッときますね、
そこアリスいけませんわ、
268.100名前が無い程度の能力削除
良かった!今までこの作品知らなかったのが勿体無いくらい
269.90名前が無い程度の能力削除
ホーライ男らしいwシャンハイはかわいい
270.100名前が無い程度の能力削除
蓬莱が格好よかったし、上海が良い子すぎました。
この二人の関係、かなり好きです。
284.100名前が無い程度の能力削除
前半は蓬莱と上海にぐっと感情移入して、二人の切なくも暖かいやり取りに感動しました。
小天狗たちとの喧嘩もずっと熱いシーンが続いて面白かったし、喧嘩以上に、戦いを覚悟し挑もうとする蓬莱の熱い感情がつたわってきて良かったです。
喧嘩後のやり取りでまた暖かい気持ちになり、前半のラストからここまで涙をこらえる場面の連続でした。
最後まできれいにまとまっていて、蓬莱のかっこよさと上海の健気さが存分につたわってくる作品で、この作品を作ってくれた作者さんには感謝の気持ちでいっぱいです。
291.無評価名前が無い程度の能力削除
どーでもいいけど公式で言われてるのは『アリスは妖怪版霊夢』な。