Coolier - 新生・東方創想話

スプリングファーム参 vol.3 ~春全開だよ変態集合~

2006/04/25 10:54:27
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 ~四月末


パンパンパンと、幻想郷の空に色取り取りの花火が打ちあがる
舞台は、紅魔湖側チルノドーム、リリーブリーダーの祖「チルノ」を記念として立てられたドームである

そして今日この日この会場にて、毎年恒例の大規模な大会が開かれるのだ



『春恒例! ビッグファームだよ全員弾幕の開催を宣言しますっ!!』
『Whoooooooooooooooooooooooooooooooooooooo!!』

観客の歓声が会場を越え、湖を越え、魔法の森を越えて、遠き博麗神社まで響き渡る
普段はどこに隠してあるのかといわんばかりの巨大なドーム型会場に
一切の間なくぎちぎちに詰まった観客達、紫の這い出る隙間も無いとは正にこの事だ

『それでは、第一試合、因幡ファーム 対 白沢ファーム・・・・・・因幡ファームの入場です!!』
『ウーサ耳!ウーサ耳!ウーサ耳!ウーサ耳!』

観客の微妙な合唱と吹き上がる白煙に包まれ、ゆっくりと人影が姿を現す

『因幡ファーム! メイィィンコマンダァァァー!! 因幡ぁぁぁぁ! てぇぇぇいぃぃぃぃぃぃ!!』
『テウィー!』
『詐欺師ー!』
『金返せー!』
「はん、聞こえないウサねー! ウササササー!」
『貧乳ー(ボソ)』
「ブッ殺す!!」

『てゐブリーダー落ち着いてください! 観客席に杵を投げ込むのはやめてください!
 えー・・・それでは続きまして、サァブコマンダァァァ! 鈴仙・優曇華院・イナバぁぁぁぁぁ!!』
『プレザァァァァァァ!』
『縞パーーーン!!』
『ざ・や・く! ざ・や・く!』
「(くっ・・・平常心平常心・・・! ここで心を乱したら負けだ!)」
『逃走兵ー(ボソ)』
「うわぁぁぁん! どちくしょおおおおおお!!」

『鈴仙ブリーダー、試合時間までには帰ってきてくださいね、それではリリー達の入場です!』

妖夢の声に応じてもう一度巨大な白煙が上がり、リリー達が扉から勢いよく会場へと飛び出してゆく
白い衣服に身を包んだ妖精が広い会場全てに春を知らせるように華麗に、優雅に飛び回る

そしてその中にただ一匹の、赤い羽根、炎の翼を携えたリリーへ、観客の視線が自然と注がれた





「それじゃ整列するウサー、無駄に魔力を消費しないようにするウサよー!」
『春っ!』

会場の西方に、初めての集団弾幕訓練を開始した時のようにリリー達が整然と集う
だがその表情はすでに春の妖精の物ではない、それは戦士の顔だった

「ね、ねぇ・・・てゐ・・・」
「ん? どうしたウサか?」

いつの間にかベレー帽を被っていたてゐに、妹紅がこっそりと話しかける

「これから戦う白沢ファームって・・・慧音のとこだよね?」
「そうウサよ?」

何かに怯えている妹紅と、?と言ふ顔のてゐが見つめ合う事約二十秒

「・・・・・・・・・あ」

ようやく気づいたか、因幡てゐ(偽者説有)

「やっぱり忘れていやがったー!!」
「まずいウサ! どうするウサ! 慧音に見られたら大変な事になるウサー!」
「ど、どっか隠れる所、隠れる所は!」
「そんな場所無いウサよ! あああ一体どうすればいいウサー!」

『続いて、対戦相手の・・・』

「時間が無いウサッ! どうするウサー!」
「cavedはもう嫌だー!!」

色んな意味でパニックに陥り、てんやわんやと忙しく動き回る妹紅とてゐ
しかしその時、二人の頭に突如謎の声が響いた

「(落ち着きなさい・・・)」

「・・・い、今の声は誰ウサ?」
「え? あ・・・鈴仙・・・じゃ無いよね?」

「(これを・・・使いなさい・・・)」

声と共に、ひゅんひゅんひゅん・・・ばさっ! と、突如二人の前に謎の物体が投げ込まれる
それを拾い上げた二人の顔に、驚愕の表情が走った

「こ、この丈夫な布地・・・!」
「どれだけ引っ張っても千切れない強固な縫合・・・!」

『これは・・・ジーンズ!!』

「・・・・・・・・・で、もんぺ愛好家の私にこれを着ろって?」
「早く着るウサよ! cavedとどっちがいいウサ!」
「そうだった! 早く着替え・・・ってここで着替えるの!?」
「そこは任せるウサ! リリー達、壁を作るウサよー!!」
『春ー!!』

てゐの号令でリリー達が妹紅の周りへと集まり、お椀型の壁を形成する
勿論リリー達は外を向いているので、プライバシーの面でも大丈夫である
しかしそんな彼女達に最大のピンチが訪れる、突如謎の人影が高速で飛来してきたのだ!

「幼女の生着替えっ! シャッタァァァチャァァァァァァンス!!」
「ちぃっ! 抜け目が無いウサねこの変態記者!」

てゐがどこからか取り出した杵が唸り、文を粉砕せんと襲い掛かる
しかし文も幻想郷最速を誇る烏天狗、一瞬で方向を変えてスレスレの所で回避し、空中へと舞い上がった

「くっ! 報道の自由を邪魔しないでください!」
「そういう事はまともな記事を書いてからいうウサよ!」
「書いてるじゃないですか! レミリアの寝顔コーナーとか! 霊夢の腋コーナーとか!」
「それのどこがまともウサか!!」
「一日の平均発行部数二千部! この数値がまともだという事を証明せずに何が証明かっ!」
「売る方も売る方なら買う方も買う方ウサー! とにかくここは通さないウサよ!」
「通さないというならば、あなたごと吹き飛ばすまで!!」
「やれるものならやってみるウサ!」

突如ドームが暗くなったかと思うと両者の背景に雷鳴が走り、カットインが入る
文はその身体に今まで以上の風を纏い、てゐは百屯と書かれた杵を今にも振り被らんと構えていた

「行きますよ! 風神閃光ッ!コルボーカタパルト!!」
「コルボーは何語ウサーッ!?」
「あ、着替え終わったよー」
「ええっ!! こんなタイミングで!?」
「おっと、戦いの途中に余所見は宜しく無いウサね」
「はっ! しまっ・・・・・・」

全てが遅かった、遅すぎたのだ、すでに射命丸文の眼前には、視界の全てを多い尽くす杵の木目
妹紅に気を取られなければ、否、てゐと言い争わなければ、否、最初から望遠レンズで隙間――


カッキーーーン!!


鴉の身体は華麗に宙へと舞った、それは優雅に中空を飛び続け、綺麗な放物線を描きながら
紫のでかでかとした顔と、<ヤコム>と言う文字が描かれた巨大な看板に頭から・・・突き刺さった


「はっ!」
「白玉楼でお昼ごはんを食べてる最中にいきなりどうしたの紫?」
「い、今何か唇に淡い感触が・・・」
「紫・・・?」
「・・・なんでもないわ、気のせいね・・・それよりも幽々子、カップヌードルは生で食べる物じゃないわよ?」
「えっ!?」





『では騒ぎも収まったようなので大会を進行いたします』

「うー、このジーンズ、何故かサイズがぴったりなんだけど・・・」
「後は髪型でも適当に変えれば多分ばれないウサ」
「ん~・・・多分ってところが微妙だけど・・・」

てゐの一言でめんどくさそうに両手で前髪をかき上げ、リリーホワイト付属の帽子の中へとしまう
しかしこれが少々面倒な事態を招く事になるとは妹紅も予想だにしなかった

「ボーイッシュ・・・」
「・・・・・・は?」

ちなみに現在のてゐの頭の中にはこんな計算式が成り立っている
野性味溢れる本体+ジーンズ+かき上げた髪=ど真ん中ストレート

「マッハスイングウサァァァァァ!!」
「うわっ! 突然の発情期っ!?」

「(これを使いなさい・・・)」

「ハッ!? また謎の声の人!」

謎の声に導かれて顔を上げれば、その視線の先にはこちらに飛んでくる謎のパネルが

「キャーッチ! って、何だこれ?」
「十人でも百人でも産むウサよーっ!」
「うわわっ!!」

一足飛びで飛び掛ってきたてゐを防ぐように、キャッチしたパネルを突き出す妹紅
実はこの時、妹紅が持っていたのはパネルの裏側だった、そしててゐが視界の全てで見る事になった前面には・・・

<僕の胸に飛び込んでおいで、子猫ちゃん・・・>

というメッセージと共に、バラを咥えたこーりんの写真が載っていた

「しおしおしおしおしおしおしおしお・・・・・・」
「あ、てゐがしぼんでいく・・・」

勿論、こんな効果があれば、裏側にいた妹紅も見てみたくなるのは自然の理
十秒後には二人仲良くしおしおになっている姿があったのも、必然の理であった



『いい加減に進行しますよっ! 白沢ファーム! メイィィンコマンダァァァー!!』

「ああっ! しぼんでいる場合じゃないウサ!」
「ちょ、ちょっとまって、リザレクションでも回復しきれない!」

『朝倉ぁぁぁぁぁ! 理香ぁぁぁ子ぉぉぉぉ!!』

「な、なんだってウサー!?」
「え? あんなの人里にいたっけ?」
「昔はいたウサ」
「ああ、かぁ・・・」
「・・・夢を見ていた頃ウサよ・・・」

ふと二人の目が虚空を見つめる、長生きな二人だからこそわかる単語

「で、どんな奴なの」
「元祖アリスみたいな奴ウサ」
「いや、そういう事じゃなくて」
「えーとウサね・・・確かメカリリーで大会に参戦したのはいいウサけども」
「メ、メカリリー?」
「つい規定を超える改造をしてしまってブリーダー協会から追放されたとかウサ」
「か、かいぞー?」
「そのとーり!!」
『わっ?!』

突如二人の目の前にテレポートでもしたかのように移動してきた朝倉理香子
めんどいから以後朝倉もしくは元祖アリスっぽい人で

「だが追放されていた間、私は必死にメカリリーの育成法を極め続けてきたのよ!」
「って、結局慧音はどこいったの?」
「おかしいウサね、てっきりメインコマンダーは慧音だと思っていたウサ・・・」
「そして今年、ついに復帰が認められ私はこの場に・・・って聞けコラァ!」

『それでは続きまして、サァブコマンダァァァ! 上白沢ぁぁぁ! 慧!音ぇぇぇぇぇ!!』

「なんとっ! サブで来たウサか!」
「ひそかな希望も断たれたー!」
「お願いだから聞いてよ・・・無重力独楽あげるから・・・」

『・・・ここで緊急の情報が入りました、慧音選手は現在行方不明との事です』

「ありがとう神様っ!」
「神と聞『帰れ』










『試合開始三分前です』

「全員、開始と同時に全力で弾幕を張るウサ、津波幕でいくウサよ」
『了解春っ!』
「もこりーはとにかく相手を撃破するウサ、数で勝ってしまえば後は勢いで何とかなるウサよ」
「オーケー、とにかく残ったのをしとめればいいわけね」

『試合開始一分前です』

「全員配置に付いたウサかー!」
『春ーー!』

半径二百米はあろうかという広大なバトルフィールドに、因幡、白沢、両ファームのリリー達が一斉に陣取る
フェンス上の指揮官席からメガホン片手に最後のチェックを行うてゐ、だがその隣に副指揮官の姿はなかった

「一人で指揮するのはちょっと厳しいウサね・・・ま、それは相手も一緒ウサけど・・・」

対面の指揮官席には、白衣を身に纏ったサイエンティスト、朝倉の姿があった
そして距離を無視するかのように二人の視線が衝突し、火花を散らす

『十秒前!』

「(この勝負、必ず勝つウサ!)」

『五秒前!』

「(この雰囲気・・・川中島を思い出すなぁ・・・)」

『三秒前!』

「(ロボ、チガウ、メカ、デス・・・HALー)」

『一秒前!』

「(見ててください夢美お姉さま・・・私は勝ちます!)」



『リリィィィィホァァイトオオォォォォォゥ!! レァディィィィィ・・・・・・ゴオォゥッ!!』



「双翼の陣! 津波幕放てウサーーー!!」
『春ぅー!!』

号令で一斉に左右に因幡隊のリリー達が広がり、その両腕に魔力を纏い始める
そしてその魔力が一定のレベルに達した瞬間、その両手から赤青の弾幕が一斉に放射された

バララララララララララララララッ!!

リリー達の放った弾幕が広がり、重なり合い、巨大な壁となって襲い掛かる
弾幕結界を髣髴とさせるような恐怖の波が地を抉り、空気を切り裂いて突き進む

「開始直後に逃げ道ごと封鎖する広範囲無差別攻撃・・・あまりにも定石! あまりにも稚拙!」

パァン! パパパパパバババババドドドドドドドドドドドド!!!

放たれた弾幕がフェンスから発せられる結界に衝突し、破裂音から轟音へと姿を変えていく
一気に湧き上がる魔力煙にフィールドの半分以上が覆われ、全ての者の視界を塞いだ

「やったウサか!?」

フェンスから身を乗り出してフィールドを見渡すてゐ
盛大に湧き上がった魔力煙を見て、内心にほのかな笑みが浮かぶ
しかしその直後、大量の弾幕によって魔力煙が真っ二つに切り裂かれた

「ななっ!? 全員両翼に回避ウサー!!」

てゐの一瞬の判断とすばやい号令によってリリー達が二手に分かれる
そして少し前までリリー達の大部分が陣取っていた場所を、まるで魔砲のように密集した弾幕が通り過ぎた

「最右翼のリリー隊は牽制程度に敵左翼リリーを引き付けなさい!
 残りのリリー達は敵右翼リリーを総攻撃! 一匹も逃すな!!」
『イエス春!』

魔力煙が弾幕によって消し飛び、白沢隊のリリー達の姿が露になる

「しまった! こっちの作戦を読まれていたウサかっ!?」
「笑止千万ね! 定石中の定石の手段に何が作戦よ!」

てゐの視界に現れたのは、リリー達を地上から空中まで階段状に配置し一箇所に集中させた陣
その名も <春壇> リリー達を一箇所に集めるため、自然と敵の攻撃も集中するが
前方四十五度の範囲に対しての攻撃力と防御力は最強とも言われている陣である

「なーんて、敵の言う事を信じちゃいけないウサよ?」
「むっ!?」

完全に裏をかかれたはずのてゐの表情がにやりと歪み、その目が妖しく光る
何か見落としたのかと朝倉も必死にフィールドを見渡すが何も無い、いや、気づけない

「おっらぁぁぁぁぁ!!」
「嘘!? 中央突破っ!?」

ソレにようやく気づき、信じられないと驚愕の表情を浮かべる朝倉、その視点の先には
ズドドドドドンと響く轟音の中、白沢隊が最初に放った弾幕を隠れ蓑にしながら突き抜けてくる妹紅
すでに左右に散った因幡隊のリリーへと矛先を向けていた白沢隊は、完全に虚を突かれる格好となった

「いっけぇぇ! ハルヤマヴォルケイノォォォ!!」
「くっ、まだ大人ですらないというのにその戦闘力・・・! リカリーー!!」
「イエス、マスター!」

妹紅から放たれた弾幕が噴出された溶岩のように白沢隊のリリーを飲み込む
弾幕そのものはさほど強力では無かったが、それでも十数匹のリリーが次々と墜落してゆく

「よし、続けてもう一撃・・・」

キュイン・・・ガゴンッ!!

突如脳天に衝突音が響き、更なる追撃を仕掛けんとした妹紅の視界が暗転する
次の瞬間には身体ごと上下逆さまになっていたが、すぐに姿勢を建て直して攻撃が飛んできた方向を見あげた
その先には、全身に淡い色で輝く妙な機具を装着した一匹のリリー

「ロボリリー七号 リカリー、マイリマスHAL」
「うー・・・そういうのは攻撃をする前に言うもんじゃないか・・・?」
「アイ・レーザー!」
「うわちっ!!」

リカリーの目の役割を果たしてそうな機具からノーモーションかつ即射で放たれたレーザーを
何とか髪の毛が焦げた程度で回避し、すぐに炎の翼を広げて反撃の態勢へと移る、が・・・

キュイン! キュン!!

「うわった!」

勢いつけようとした妹紅の前髪を、謎の物体が掠めてゆく
照明に照らされた物体はそのままリカリーの手元へヒュンヒュンと収まった

「・・・なにそれ、歯車?」
「イエス、ギア」

リカリーは手元に戻ったギアを腕に装着した発射口のような機具に再度装着し
腕を妹紅の方向ではなく、斜め前方へ向けて再度打ち出す
しかし打ち出されたギアは回り込むように妹紅の方へと向きを変え、その血肉を抉らんと迫ってきた

「なるほど、さっきの一撃もこれね・・・いよっと」
「HAL!?」

しかし妹紅は身体を後ろにそらして軽く回避し、直後にガン!という音が響かせる
その音の元は片肘と片膝、なんと挟み込むようにギアを叩いて無理矢理停止させたのだ

「あいててて、痺れるぅー・・・・・・んー、こういうのは使ってもいいのかな?」
「HALゥゥ・・・」

左腕をぶんぶんと振りながら右手に掴んだギアをじろじろ眺める妹紅
その様子をリカリーは悔しそうな表情で見つめ続ける

「んじゃ、こっちからも行くよ?」

ぽいっとギアを投げ捨て、そのまま手に魔力を込め始める
途端、機具で覆われていないリカリーの口元に笑みがこぼれた

「ホーミング!」
「えっ・・・!?」

右の脇腹に響く衝撃、拉げる骨の音、口から漏れる紅
激痛に体勢が崩れ、視界が歪む

「かはっ・・・くっ・・・!」

投げ捨てたギアが突如最加速し、妹紅の身体を抉る
その勢いのまま妹紅の身体を弾き飛ばし、そのまま向きを買えてリカリーの手元へと戻っていく

「こん・・・のぉぉっ!!」

叫び、痛みをこらえ、崩れた体勢のまま背で炎を爆発させて、リカリーへと高速で接近する妹紅
その狙いはギアが手元に戻る前に叩く事だろう、しかしそれすらも相手の手の内であった

キュインッ!

決定的なダメージを負わせるには遠い距離、かといって放たれた攻撃を見切る事も叶わぬ距離
そんな距離でリカリーが自ら体勢を崩したかと思うと、その背後には高速で飛来するもう一つのギアが

「(しまっ――)」

鈍い鈍い衝撃が、胸元へと響いた――。



「はぁはぁ・・・ごめん、戻ってくるのが遅れ・・・」

指揮官席に息を切らしながら駆け込んでくる鈴仙
フェンス際まで辿り着き、顔を上げたその先に映ったものは

「・・・もこりーーーーー!!」

真っ逆さまに地へと落ちてゆく妹紅の姿だった

「ウサッ!?」
『春!?』

精神的支柱であった存在の墜落、それによって一気に広がる動揺
動揺が乱れを生み、乱れが隙を生む、そして隙が戦況を一気に覆していく

「よくやったわリカリー! 全部隊敵陣に突撃! 乱戦に持ち込みなさい!」
「総員陣形を組みなおすウサ! 態勢を立て直すウサよー!」

朝倉の号令で白沢隊のリリー達が一斉に因幡隊のリリーへと襲い掛かった
妹紅の墜落で隙が生まれたリリー達は、若さもあいまって正常な判断が出来ずに慌てるばかり

「は、春ー!」
「きゃーん春ー!」

赤と青の弾幕に飲み込まれ、次々と落ちてゆくリリー達
てゐの指揮で因幡隊が統制を取り戻した時には、すでに相手と倍以上の数の差をつけられていた

「うぬ~・・・全員そのまま外壁をなぞる様に高速で飛び回るウサ!」
『春ーっ!』

てゐが選んだ策は苦肉の策、とにかく全力で飛び回って敵の攻撃をかわし続け
偏差射撃をしながらとにかく粘り続ける戦法であった
体力の消耗が激しく、例え上手くいったところで相手との戦力比が何とか縮む程度であり
相手の指揮の隙を突くか、逆転の要素がなければ結局はジリ貧となってしまうのだが・・・

「(まだ・・・戦いは終わって無いウサよ!)」

それでもてゐの目は、しっかりと先を、そして勝利を見据えていた

「小癪な真似を・・・リカリー!」
『HALッ!』

朝倉の声にリカリーが応える、しかしその声は一つではなく二つ
全身を機具で固めたリリーが一匹と、服の左腕の裾に見えない程度にギアの発射機具を装着し
それ以外の外見は只のリリーと何も変わらないのが一匹
他のリリー達の中に紛れ続け、妹紅の一瞬の隙を突いてギアを叩き込んだもう一匹のリカリーである

「二人とも相手の陣をギアで引っ掻き回しなさい!」
『イエスHAL!』

号令を受けて二匹が因幡隊の方へと向かい、そのまま一定の距離を保ちながら飛び続ける
そしてギアを装着した腕を、兵装するリリー達へと向けたその時

ズドォンッ!!

「HAL!?」

ギアを発射しようとしたその瞬間、突如リカリーを爆風が襲った
煙で視界を覆われて何も見えない状況となり混乱に陥るリカリー
それでも何とか羽ばたいて煙から抜け出し、相棒の姿を探しはじめる

「リカリーワン! 大丈夫HAL!?」

直後に相棒の姿は視界に映った、全身の機具から煙を上げ、力無く落ちていく姿の相棒が・・・

「リカ・・・リー・・・?」
「もう一匹」
「HA、HALッ!」

声のした方向に即座に振り向くリカリー、その先には間違いなく地に倒れ伏したはずの妹紅の姿
先ほど弾を放ったであろう左手を前に突き出した態勢のまま、こちらを見据えている
さらに肩の上に掲げている右腕の先には、直径が一米はある巨大な火炎球が太陽のように燃え盛っていた



「そんな・・・リカリィーーー!!」

爆炎に包まれ、また一匹リリーが地へと落ちてゆき、朝倉の悲鳴にも似た叫びがフィールド中に響き渡った
因幡隊の支柱の復活と白沢隊の支柱の離脱、そうしてまたも両軍の立場は逆転する


そして白沢隊の最後のリリーがゆっくりと落ちていったとき、勝負は決着した

『因幡ファーム対白沢ファーム、結果は27対0で因幡ファームの勝利です!!』

「やったウサー! 勝ったウサー!」
「ああ、これで決勝戦だー!」

勝者は抱き合い喜び

「なんて反則的な強さなのよ・・・・・・あなたの名前は覚えたわよ、もこりー・・・この屈辱はきっと返す!」

敗者は歯を食いしばり、涙を溜めて戦場を後にする

「ふはぁ・・・もう少し長く気絶してたら負けてたかもねぇ・・・」
「春ー!」
「もこりー凄い春ー!」
「勝った春! 勝った春ー!」
「わわっ! 一斉に飛び掛ってこな・・・ふにょぁっ!」

戦いを終えた戦士達は英雄の元へと集まり、讃え

「ガガ・・・次ハ、キット勝ツ・・・HAL・・・」
「ほいほい、リカリーさん今運びますから動かないでねー」

戦場を去る戦士は、また次の戦いへと決意を新たに・・・。










「あ、鈴仙、もこりー、ここウサよー!」
「ごめんごめーん、リリー達の治療が意外と掛かっちゃって!」

フィールドをぐるりと囲む観客席、その一部分に他の席からは隔てられた所がある
出場者専用観戦席と書かれているが、別になんの捻りも無くその通り

「あれ? もこりーもんぺに戻しちゃったウサか?」
「ああ、やっぱりこれじゃないと落ち着かなくて」
「チッ」
「・・・今舌打ちしなかった?」
「気のせいウサー」

専用の観客席に座る三人、その周りにズラーッと集まるリリー達
一応リリー用の座席も用意されているのだが、これは彼女達がリリーに慕われてる理由に他ならない

「次はいよいよ門番ファームが出てくるね」
「門番ファームかー、慧音の話を聞いた事あるんだけど、相当強いんだっけ?」
「・・・半端じゃ無いウサよ」

鈴仙が話を切り出し、妹紅が疑問を唱えた途端、二人の目が厳しくなる
いま妹紅の前にいるのは永遠亭の兎達ではなく、勝利を見据えるブリーダーである

「集団戦はそれほど得意ではないけど、それを補って余りある抜群に優れた個々の戦闘力・・・」
「毎年行われるこの大会で未だに全勝無敗、名実共にビッグファームの中で最強」
「ようするに桁違いに強いってこと?」
「強いウサね・・・参加していない白玉以外の全てのファームが、門番ファームに勝つことを目標にしているウサ」
「まー、本来なら私達なんか只の通過点みたいな存在だったけど、今年は・・・」
「ん?」

てゐと鈴仙の視線が妹紅へと注がれる

「今年こそは、ねえ?」
「今年こそは、ウサ!」
「あうー、あんまり期待しないでよ、さっきも落とされちゃったし」
「ふふふふ、何回落とされても残ったリリーたちが復活までの時間を稼げば・・・」
「鈴仙、顔が怖い、どっかの吸血鬼みたいに怖い」
「というわけで百人抜き頑張ってウサ!」
「無理!」





『それでは、第二試合、門番ファーム 対 メイドファーム・・・・・・門番ファームの入場です!!』
『ウォオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

「うわっ、凄い歓声!」
「美鈴さんの生足の人気凄いからねー」
「鈴仙も縞パンを見せれば人気で・・・冗談ウサよ、だから笑顔で指をこめかみに当てるのは勘弁してほしいウサ」

プシュゥゥゥゥゥゥゥ! と煙が上がり、観客達の歓声がぴたりと止む
歓声を溜めて、溜めて、さらに溜めて、そして爆発の時が来るまで音一つ立てずに待ち続ける

『門番ファーム! メイィィンコマンダァァァー!! 紅! めぇぇぇぇい! りぃぃぃぃぃぃぃぃん!!』
『ウォオオオオオォォォォ・・・・・・・・・・・・ザワ・・・ザワザワ』

鳴り響くはずの歓声、しかし歓声はすぐに止み、観客達の戸惑いの声が彼方此方から湧き上がった
それもそのはず、姿を現した美鈴は、まるで戦場から帰還したばかりのようにみすぼらしい姿だったのだ


「はぁっ・・・はぁっ・・・」

やられた、皆やられてしまった
共に勝利を誓った部下達も、嫌味を言いにきたメイド達も
数百匹のリリー達も、警備主任の藍さんまで・・・
早く、早く伝えなければ、急がないととてつもない数の犠牲者が!

「皆っ! 早く逃げてーーーーー!!」

ドズンッ!

「うああっ・・・! ああ・・・あ・・・・・・」

貫か・・・れ・・・た? 駄目・・・力が・・・入らない・・・
早く・・・・・・逃げて・・・・・・あいつ・・・から・・・・・・


そしてゆっくりと、美鈴を貫いたソレが引き抜かれていく
美鈴の身体がドサリと地に倒れる音が響き、全ての観客達の目にソレが露わになった

『あなたは・・・慧音・・・さん・・・』
「ああ・・・一杯だ、沢山いるぞ・・・穴がこんなにも!」
『・・・に、逃げてください! 早く! 警備員の方は急い――』

ドズン!!

「でっ・・・うあ・・・そん・・・な・・・・・・いつの間に・・・後ろに・・・」
「ああ、いいな・・・この感触はっ!」
「うあっ・・・・・・あ・・・・・・はふぅん・・・」

また一人、ソレの、角の・・・cavedの被害者が生まれた
恐らく妖夢は大人への階段を一歩上った事だろう、悪い意味で
そしてその光景を見届けた観客達は、あまりの恐怖に我先にと出口へ殺到した

「逃がすものか! 全員掘る!!」
「うおおおお!! させるかぁぁぁぁ!!」
「ぬうっ!?」

逃げ惑う観客を睨み、更なる獲物を仕留めんと地を飛び立った慧音に
しかし突如金色の狐が飛び掛り、慧音を弾き飛ばした

「お前は藍! 三回も掘られてまだ動けるというのか!」
「橙の! 橙の仇を討つまで私は倒れないっ!!」
「ハークタクククク! あの黒猫は悲鳴は中々良かったぞ!」
「き、貴様ぁっ! 橙の後ろを! 後ろを返せーー!!」
「遅いな・・・食らえっ! 爆裂ホーン!!」
「うああああああああっ!!」



「もこりー! 奴がこっちに気づく前に早くリリー達に紛れて逃げるウサ!」
「え、でもてゐと鈴仙は!?」
「ここは何とか食い止めるから、もこりーは逃げて!」
「そうウサ! ここは私達に任せるウサよ!」

「そうか・・・そういえば、まだお前達を掘った事は無かったな」

「ウサッ!?」
「ひゃ・・・!」

二人の身体が強張る、後ろから響く声、伝わってくる威圧感、絶対的な恐怖
その姿を間近で見たリリー達は次々と気絶し、倒れ、夢の世界へと逃避してゆく

「苦しまぬよう・・・一撃で葬ってくれよう!」
「慧音ーー! やめてーーー!!」
「っ!? 妹紅・・・!」

精一杯の叫び声をあげる妹紅、そして二人の視線がついに合わさった
涙目で見つめ続ける妹紅と、目を見開き、呆然とする慧音

「もうやめてよ、いつもの慧音に戻ってよ・・・!」
「妹紅・・・妹紅なのか・・・?」
「なんで・・・なんで慧音がこんな事・・・」
「ああ・・・・・・嘘だ、信じられない、まさか、まさかこんな事が・・・」

慧音が一歩、二歩と恐る恐る妹紅へと歩み寄る
一歩ずつ歩み寄るたびに、慧音の顔が優しく、嬉しげな表情へと変わってゆく

「本当に妹紅なのか・・・?」
「そうだよ・・・慧音」
「・・・・・・妹紅・・・・・・」










「 ナ ン テ ス テ キ ナ ス ガ タ ナ ン ダ 」










「(オーケー、予想はしてたけど畜生糞ったれこれも全部輝夜のせいだバーカバーカウワァァァァァァン)」
「ホーン・・・スピン!」
「(うわ、角が回り始めたよ、一体いつこんな隠し芸みたいなの習得したんだか、これも全部輝夜のせいだ)」
「ターゲットロック・・・・・・caaaaaaaved!!」
「(後ろでなんか物騒な声が聞こえるなぁ、これも全部輝夜のせいだ何もかも輝夜のせいだ・・・助けて誰か)」

ガキィィィィン!!

「・・・・・・・・・・・・・・・あれ?」
「ぬぅっ!?」

妹紅の後方で鳴り響く金属同士の衝突音
全てを諦め、それでも尚且つ救いを求めた妹紅の後ろに、その者は現れた

「もこりーの後ろは私が・・・守る!」
「さ、咲夜っ!?」

振り返るとそこには両手に構えたナイフで角を真正面から受け止めるメイド長の姿
キキキキとナイフと角が競り合い、甲高い音と共に両者が弾きあうように離れる

「妹紅を掘りたければ私を倒す事ね!」
「邪魔をするか貧乳が!」
「黙れ牛乳!」
「何だとパッドめ!」

ガキンガキンと弾きあう音を響かせながら戦いの舞台を
観客席からフィールドへと移していく、あとに残されたものは見守るのみ

「ほほう、中々やる・・・だが踏み込みが甘い!」
「なっ!?」

キィーンと慧音の角によって咲夜のナイフが弾かれて宙を舞う

「くっ・・・それならば」

咲夜はふぅっと軽く息を吐き、その瞳を紅く光らせる
次の瞬間には全てが停止した世界が広がる、全ての時が止まった彼女だけの世界、ザ・ワールド

「このまま後ろを!」
「おや、私の後ろを取るつもりなのか?」
「なっ!?」

だがその世界はあっさりと崩される
それどころかいつの間にか慧音が咲夜の後ろを取っていた

「残念だったな、お前が時を止めたという歴史を・・・私が食べた」
「そんな・・・ことが!」
「本当はお前の取った行動全てを無かった事にも出来るが・・・それは面白くない」
「(なんて事・・・力量差がありすぎる!)」

咲夜がその手に構えなおしたナイフが、するりと手を抜け、地面に突き刺さる
恐らくこれ程の力の差を感じたのは過去に一度きり
紅い月がより紅く映える満月の夜に、初めてレミリアと相対した時だけだった

「諦めたか・・・それでいい、無駄に抵抗しない方が利口だ」
「(ごめんなさいもこりー、私ではあなたの力にはなれなかった・・・)」


そんな状況になれば、勿論慌てふためくのは兎達三人

「そんな、咲夜でも歯が立たないなんて!」
「も、もこりー! 早く耳を貸すウサ!」
「え? まさかまたアレを!?」
「いいから早く貸すウサー!!」

・・・ヒソヒソ・・・ええっ!・・・やるウサ・・・ボソボソ・・・もうやけ・・・ヒショヒショ・・・


「苦しまぬよう・・・一突きで掘ってくれよう!」
「咲夜おねーーたーーん!!」
「もこりーちゃん!?」
「愛してるよ! 負けないでーーー!」
「一点集中! エベレストホーン!!」


ガキィィィィィィィン!!


「・・・なっ!?」
「愛・・・してる? 今・・・間違いなく・・・愛してるって言ったわよ・・・ね?」
「わ、私の角を括約筋で受け止めただと!!」
「ふ・・・ふふふ・・・ふふふふふ! ファーッファッファッファッファ!!」
「こ、このっ、うぅっ・・・ぬ、抜けない!?」
「・・・愛! その健やかにして甘美なる響き! 身体中から力が溢れてくるわ・・・これが! 愛!」

多分愛とは別の影響でブッシュァァァァァ! と鼻血を豪快に噴出しながら豪快に仁王立ちする咲夜
色んな意味で寝起きのゆかりんより凄まじい

「(押しても引いてもびくともしない・・・なんという筋力だ!)」
「ふふ、もう諦めなさい慧音、私とあなたでは格が違う」
「くっ・・・!」
「愛の無い者に愛に満ちた私を越える事は出来ない・・・これで決着よ!」

咲夜が下半身全体に力を込め、反転するように腰を捻ると
慧音の角がまるで発泡スチロールで出来ていたかのようにあっさりと砕け折れる

「こ、金剛石すら貫く私の角がーっ!!」
「愛の前には金剛石など、バズーカで貫かれたハココアよりも脆い!!」
「おおおおのれっ! 右の角が折られてもまだ左の角がある!」
「ふっ・・・左だろうが上だろうが下だろうが関係ないわ! 食らいなさい! 私ともこりーの愛技!」


 ― 愛符 春愛の新婚殺人鬼 ―


「ぐはぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

どこからか桜吹雪が舞い、会場を桜色の春が覆いつくす
桜の花に包まれながら、まるでスローモーションのようにゆっくりと慧音が地に倒れる
その姿を尻目に、咲夜を目を瞑り顔を天井のライトへと向けながら愛をかみ締めていた

「・・・愛の力は無敵よ」



「やっっっったウサー!!」
「やったやったー!」
「助かったーー!」
『春ーー!』

手を取り合い喜び合う因幡組、だが彼女らは気づいていない
自分達がどれほどの所業を犯したのかと・・・

「ふふふふふ・・・もこりーちゃぁん・・・」
「ひょっ!?」

妹紅の全身を凄まじいほどの悪寒が駆け巡る、振り向くとその先のフィールドには
はるか遠くから一目でわかるほどの変態オーラを発するメイドの姿があった

「あなたの愛、しっかり受け取ったわよ・・・」
「や、やばっ・・・」

強き者は、さらに強き者によって打ち倒される

「愛してるという事はもう何もしてをいいという事・・・」
「やばいウサ、何かゆっくり歩いてるように見えて凄まじい速度でこっちに迫ってきてるウサ!」

そう、凄まじい変態は、より凄まじい変態によって駆逐されるのだ

「つまりその胸にほお擦りもその太ももを舐め回してもベッドの中で二人きりで永遠の愛を誓っても
 共にスッパになってビーチで追いかけっこをしても共に墓の下で熱く燃え滾ってもいいと言う事っ!!」
『誰か助けてぇぇぇぇぇ!!』

「(これを使いなさい・・・)」

「ああ! また謎の声の人!」
「また何か飛んできたウサー!」
「と、とにかくコレを使うしかない!」

「もこりーーーーーーーーーーー!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

とても言葉では表現できない表情で襲い来る咲夜に
飛来した謎の物体を掴み、確認する間も無く突きつける
では、その飛来した物質が何だったのか、ヒントになる言葉を一つだけ



  れみりあ、うー



「はっ! 紅茶を飲んだらいきなり眠くなって突如目を覚ましたここはどこ!?」
「もこっ・・・・・・・・・・・・」
「・・・さ、咲夜? 鼻から下が余す所なく真っ赤なんだけどそれはいいとして一体何があったの?」
「お嬢様・・・ソレに書かれた言葉、信じてもよろしいのですね?」
「ソレ?」

ふとレミリアは自分にプラカードがかけられていた事に気づく
そこにはレミリアの筆跡を完全にトレースした文字でこう書いてあった

『親愛なる咲夜へ、もうメチャクチャに愛して!』

「・・・・・・性質の悪い冗談ね」
「嫌ですわ、そう照れないでくださいな、ファファファファファファ!」
「い、いや! やめなさい・・・落ち着きなさい咲夜!」
「落ち着いてます、今私の頭の中では如何にお嬢様を愛するかでエンドルフィン爆発ファーッファッファ!!」
「ひにゃぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





「よし、今の間に逃げるウサよ」
「え、あれ放っといてもいいの?」
「私達でどうにかできる相手ウサか?」
「さようならレミリア、あなたのことは一生忘れないよ」
「意外とドライなんだねもこりー・・・」










春恒例! ビッグファームだよ全員弾幕 結果発表

 優勝  因幡ファーム
 準優勝 白沢ファーム
 棄権  門番ファーム、メイドファーム

 最優秀選手 十六夜咲夜
 最不幸選手 レミリア・スカーレット

なおこの大会が、毎年恒例! 春全開だよ変態集合、と陰で呼ばれている事は
いつも初戦で敗退する因幡達は知らない、知る由も無い
これにて<序章>~メイド長と歴史食い~ 終幕
次回より<第二章> ~まだ思いつかない~ 開幕

というか散々慧音が壊れてるなぁ・・・
次回から良い意味で大活躍させますので許してくださいorz


<おまけ>
 メカリリー 属性「機械」 ☆☆☆☆
 発見者 北白河 ちゆり
 実は機具を装着すればどんなリリーでもなることが出来るぞ!
 その機具を作る人は限られているけどねっ!
幻想と空想の混ぜ人
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コメント



0.2230簡易評価
3.無評価名前が無い程度の能力削除
先生、澄ではなく橙ではないかと思います!
8.80どっかの牛っぽいの削除
やば・・・
笑いすぎで腹が・・・
つうか結局慧音のリリー出てねえ!
9.無評価名前が無い程度の能力削除
普通の壊れ系になってしまって、せっかくのリリーファームという設定が活かせてないのがもったいない
10.無評価てきさすまっく参拾弐型削除
うーん、ちょっとパワーダウンかな?
前回までのようなほのぼのの中にごっつい落ちがあるようなのを期待します。
17.無評価幻想と空想の混ぜ人削除
むーん・・・何せリリーの戦闘シーンを真面目に書いてしまったので
リリーのギャグバトルシーンを書けなくなったのです・・・(´・ω・`)
最後の壊れ騒ぎは序章三部作のオチとして書きました

いえ、変態二人に収拾つけないと次章に悪影響がでることが脳内東方世界で実証さ(ry
26.50変身D削除
けーねの暴走がやりすぎだった感が微妙に……
各所に散りばめられた変態小ネタ自体は今回も良かったです(w
33.70名前が無い程度の能力削除
>バズーカで貫かれたハココア
ついでにキャノンを喰らったカルドブラッキオも入れてくれ。
34.無評価名前が無い程度の能力削除
正直ダレてる感が否めません
44.80名前なんか無い程度の能力削除
もこりー悲惨だあww
51.80名前が無い程度の能力削除
けーね先生はっちゃけすぎww
60.100名前が無い程度の能力削除
やっぱりゲーム化したら楽しいって絶対。