Coolier - 新生・東方創想話

幻想一弾幕遊戯(1)

2006/04/20 10:26:04
最終更新
サイズ
16.32KB
ページ数
1
閲覧数
417
評価数
0/24
POINT
900
Rate
7.40
ある日の事。

文々。新聞の記者こと射命丸 文は悩んでいた。
ひたすらに。

「困りました。遂にネタのストックがつきてしまいました…」

だそうだ。
文の脳裏を駆け巡る嫌な流れ。

ネタが無い→新聞が書けない→発行部数が伸びない→読者が減る→他の天狗に負ける。



「ま、拙いです!何とか、何とかしなくては!」


今すぐにでもネタを集めに飛び立とうとした瞬間、何かを思い出した。
あれは、数日前香霖堂で見た外の世界の書物に載っていたものだ。


世界中の猛者達を集め、天下一の強者を決める。
その名も天下一○道会。


「そうです!ネタが無ければ作るまで!」


文は立ち上がる。
幻想郷の暇人の為に。
力を持て余している人の為に。
そして何より自分の新聞のネタの為に。







その日、幻想郷に号外が配られた。
内容は以下の通り。

─幻想一弾幕遊戯のお知らせ。
 近日、幻想郷で幻想一弾幕遊戯を開きます。
 腕に自信のある妖怪、人間達は是非ご参加ください。
 日時、場所、詳しいルールなどは後日また号外を配ります。







──二週間後。

主催者射命丸 文。
スポンサー八雲 紫の名の下に、幻想一弾幕遊戯が開かれる事になった。
因みに、紫がスポンサーになった経緯は、


『どうです、最強クラスと呼ばれるスキマ妖怪の紫さんも参戦してみては』
『面倒くさいわ~。それだったら藍や橙を出させる~』
『ううーん…紫さんが出れば面白くなると思ったのですが…』
『そうだ、どうせならスポンサーしてあげましょうか』
『本当ですか!?実は資金とか賞品とか場所とか困ってたんですよー』


と言う事である。
どう言う事だ。






「えー、本日はお日柄もよく絶好の弾幕日和となりましたー」

どこから取り出したのか─勿論紫のスキマ─拡声器らしきものを使っている文。
会場も勿論紫がちょいちょいと境界を弄って作り出したわけであるが。
何と言うか、スポンサーとしてはこれ以上ない力の持ち主である。

「ルールは先日発行した新聞に載せてあった通りですー。
 2vs2のトーナメント方式でー、相手をリング外に落とすか戦闘不能にしたペアの勝ちとしますー。
 因みに一試合に持ち込むことの出来るスペルカードは一人三枚までですので良くお考えくださいー」

拡声器の所為で無意味に声がエコーする。
聞き辛いと言えば聞き辛い。

「それでトーナメント表についてですがー。
 思いの外参加者が多かった為ー、事前に紫さんと相談してある程度ふるいに掛けておきましたー」

会場からブーイングの声が聞こえてきた。
当たり前と言えば当たり前である。
因みにふるいに掛けられた者達については紫から直接変な手紙が届いたらしい。

「見てよこれー」

リグルが懐から手紙を取り出した。

「それ私も持ってるー」

同じ様にルーミアも懐から取り出した。

そこには『1ボスお断り』と書かれていた。


「そーなのかー」
「そーなのかーじゃないよ!?」

あんまりと言えばあんまりである。

「ではー、選手宣誓をミスティアさんに行ってもらいますー」

嫌な予感がした。

「あー、ん、んん。こほん。われわれ~♪せんしゅいちどうは~♪」
「「「歌うなーー!!」」」

どこからか弾幕が飛んでいった。









溜息を吐きながらトーナメント表に目を通しているレミリア。
どうやら本人はあまり乗り気ではなかったようだ。

「良いじゃないですかお嬢様。たまにはこういうことも」
「でもねぇ…精々楽しみって言ったら霊夢と当たるかどうかだわ」

ぶつぶつ言いながらトーナメント表を流し読みしていく。


一回戦組み合わせ
紅魔組1(レミリア・S&十六夜 咲夜)
vs
式神組(八雲 藍&橙)

冥界組(西行寺 幽々子&魂魄 妖夢)
vs
因幡組(鈴仙・U・イナバ&因幡 てゐ)

魔法組(霧雨 魔理沙&アリス・M)
vs
紅魔組2(フランドール・S&パチュリー・K)

月人組(蓬莱山 輝夜&八意 永琳)
vs
蓬莱組(藤原 妹紅&上白沢 慧音)


「思ったより少ないですねぇ」

一緒に見ていた咲夜が呟いた。

「大方あのスキマがふるい落としたんでしょ……ってあれ」

何かに気付いてもう一度上から読み直すレミリア。
名前が無い。霊夢の。
というか選手宣誓したミスティアも無い。
彼女は何の為に出てきたのだろうか。

「霊夢が出てないじゃない!どうなってんのよ!!」
「まぁ彼女も相当な面倒臭がり屋ですからねぇ……」
「しかも割りと見知った顔しか居ないじゃない」
「そりゃぁまぁ……」

文句を言い始めたレミリア。
最早こうなってはまともに戦うつもりは無くなるだろう。

因みに吸血鬼であるレミリアやフランを配慮して会場は屋内になっている。
簡単に言えばドームみたいな感じである。

「もう帰ろうかしら…」
「そ、そんな!お嬢様折角いらしたんですし」
「だってこの面子の実力なんて大体分かって……ん?」

トーナメント表をその辺に放ろうとした時、何かに気付いた。
組み合わせの下の方。優勝賞品欄。


優勝賞金10万円。及び『博麗 霊夢1日利用権』。



瞬時に、意味も無く未来のヴィジョンが見えた(気がした


『やっ、ちょっ!レミリア…そこだめぇ』
『何言ってるの、こんなのまだまだ序の口よ。これからもっと凄くなるんだから』
『そ、そんな……これ以上凄くなったら表に載せれないじゃない…』
『ふふふ、今夜は紅い蜜月。永くて楽しい夜になりそうね』


とか、何とか。


「…………ふ…ふふ…」
「お嬢様…?」

トーナメント表を握り締めた手がぷるぷる震えている。
少し心配になって顔を覗き込もうとしたが

「(性的な意味で)不夜城レッドオォォォオ!!!!」
「お、お嬢様!?」
「咲夜、出るからには優勝狙うわよ!全力で支援しなさい!!」
「は、はぁ……お嬢様がそう言うのであれば……」
「一回戦は所詮妖怪の式とその式。私達の敵じゃないわ!」






─閑話休題。







「さぁー、何だかんだで始まってしまいました幻想一弾幕遊戯!
 司会は伝統の幻想ブン屋こと私射命丸 文とー」
「優勝賞品兼巫女こと、博麗 霊夢でお送りするわー」
「棒読みですね。霊夢さん」
「不覚だったわ、美味しい話には裏があるってのは分かってたつもりなのに」

美味しい話。
お賽銭箱に十万円投入するかわりに幻想一弾幕遊戯を手伝って欲しい。
手伝って欲しい→優勝賞品の一つになって欲しい。
流石にそこまでは読めていなかったらしい。
というか例え読めていてもお金に目が眩んでいたので仕様が無い。

普段賽銭箱に全くお金が入らない身としては、十万円はまるで天からの授かり物の如く。
神は居た。
神社の巫女やっていて良かった。
思った矢先に蹴落とされた。

「ゲストはスポンサー兼神隠しの主犯こと八雲 紫さんですー」
「どうもー。いやぁ、霊夢もとんだ貧乏クジ引いたわねー」

けらけらとおばちゃん臭い手の動きで。

「大方紫の案なんでしょ?」
「よく分かったわね。こうでもしないとどこぞの吸血鬼はやる気出さないじゃない」

どこぞの吸血鬼=レミリア。
彼女が今クシャミをしていたかどうかは定かではない。

「さて、では早速始めましょうー。最初の対戦カードはー」

ばっ、とマイクらしきものを霊夢の前に差し出す。

「え?あぁ……紅魔組、永遠に紅い幼き月ことレミリア・スカーレットとー…」

ぞくりと、物凄い悪寒が走った気がした。
霊夢だけではない。どうやら文も、観客も感じ取ったようだ。

妙に邪な気を。

「ふふ……ふふふふふ」

思いっきり、レミリアが見ていた。

「帰っても良い?」
「ダメに決まってます」

笑顔で即答。

「本当に貧乏クジだわ……。えーと、その従者のメイド長、十六夜 咲夜ー」

次いで咲夜が入ってくる。
ちょっと困った顔をしている。
恐らく、暴走したレミリアに対してだろう。

「思った以上に効果あったわねー」
「そうね。紫、夢想封印ぶち当てても良い?」
「ダメに決まってるじゃなーい」

否定の意味も無く既にスペルが発動している。
が、着弾することも無くスキマに吸い込まれて何処かに消えてしまったが。

「チッ……ええーと、対するは式神組、妖怪の式八雲 藍とその式橙ー」

続いてリングに藍と橙が入ってくる。
が、あまりの邪気に既に橙は腰が引けてる。

「あーあ、初戦で紅魔組に当たったのは拙かったわね~」

人事の様に紫が言ったが、実際本人にとっては人事である。

「ところで、審判は誰なのよ?」

最もな疑問を霊夢が投げた。

「ふふん、このスキマ妖怪八雲 紫に抜かり等ないわ。
 幻想郷一正確で確かな審判を呼んであるわ」

随分と真剣な表情だったので、思わず霊夢も生唾を飲み込んだ。
幻想郷一正確で確かな審判。そんな人が居ただろうか。

「楽園の最高裁判長にして幻想一正確で確かな審判を下す、四季映姫・ヤマザナドゥよ!」
「ええー!?」

と、声を上げたのは霊夢だけではなかった。
というか、彼女を知っている関係者はほぼ全員似たような声を上げた。

「た、確かに白黒つける点では幻想一かもしれないけど!」
「ふふ、抜かりないって言ったでしょう?
 実はね、部下の『怠慢と勤勉の境界』をちょっと弄って上げたら喜んでついてきたのよ」

それは良いのか。






─それはさておき。






「それでは、第一試合紅魔組対式神組!開始!」

閻魔の卒塔婆で合図が落とされる。
もしかすると本人は結構乗り気なのかもしれない。

「橙、大丈夫だ。私の言った通りにやれば勝ち目はあるよ」
「で、でも藍様ー…あの吸血鬼の何かのゲージ絶対振り切れてますよぅ」

確かに。

「咲夜」
「は、はい」

くい、と親指で式神達を指した。
分かりやすいように言えば、『殺れ』である。

「はぁ……。ごめんなさいね、貴方達に別に恨みがあるわけではないけれど」

そう言うや否や、懐からスペルカードを取り出した。

「おおーーっと、十六夜選手、早くもスペルカードを使ってしまうのか!?」
「あのメイド、短期勝負に出るつもりね。まぁ妥当と言えば妥当だわ」

実況席がうるさい。
咲夜は純粋にそう思った。

「─幻符・殺人ドール!」

数十本のナイフがばら撒かれる。
そして、一本のナイフが動いたのを合図に、追従するように他のナイフも従っていく。
狙いは、式神二匹。

「やれやれ、仕方ない」

怯える橙を後に、藍が出る。
先頭の一本のナイフを素早く掴み、己が武器とする。
そのナイフで迫り来るナイフを次々と払い落としていく。

相手のメイドが化け物染みた攻撃をしかけるのならば、この狐も化け物染みた防御をする。
まぁ、化け物と言えば化け物には違いないのだが。

「藍様危ない!」

橙の声に振り向くと、目の前までレミリアの爪が迫っていた。
本当に、この吸血鬼は殺る気全開のようだ。

「チィッ!」

顔を僅かに逸らし避ける。
駆け抜けたレミリアの軌道には紅弾が。
そして疎かにしていた背後からは次のナイフが迫る。

「狐狸妖怪レーザー!」

被弾する間際、弾幕を焼き払い無理矢理道を作る。
避けたかと思った、がどうやら無駄なことだったらしい。

「紅符、スカーレットマイスタ!!」
「しまっ」

道の無い藍にそれを避ける術は無かった。
被弾し、紅い爆発が起きて吹き飛ばされる。

「藍様ぁ!」

橙が藍の下に駆け出そうとする。した。
が、妙な衝撃の後、足が地面から浮き上がる。

「え?」

咲夜の掌底が確実に懐に入っていた。
何が起きたのかも分からず、鈍い痛みを感じ吹き飛ばされる。
リングからはじき出され、地面に体を打ち付けそうになったが何とか踏みとどまった。

「っげほ…あ、あぶな「いわよ」

既に上に咲夜がいた。

「終わりね」
「くっ……韋駄天飛翔ッ!」

咲夜の打ち降ろしが放たれるより早くスペルカードを発動させる。
が、所詮は緊急回避。リングに何とか戻ったものの、迫るレミリアに気付かなかった。

「今度こそ終わりよ」
「──!?ぎゃんっ!」

体重を乗せた─そんなに重くないが─裏拳を直撃させる。
吹き飛ばされた橙は今度こそ地面に体を打ちつけた。

それを見て、映姫は卒塔婆を高く上げる。

「勝者、紅魔──」
「ちょっと待て」

ふらふらと藍が立ち上がった。

「勝利条件は戦闘不能、もしくは場外だろ?私はまだ戦える」

とは言ったものの大きな外傷が無いにせよ既にボロボロである。
2対1でこの状況では、勝敗は火を見るより明らかである。

「往生際が悪いわね、狐」
「往生際が悪いんでね、犬」

次の瞬間、咲夜のナイフと藍のクナイが火花を散らしていた。

「見た感じで物を言うなって言ったでしょ」
「橙をあんな目に合わせられたのに大人しく引き下がれるものか」

ナイフを弾き、手首のスナップを利かせてそのままクナイを投げる。
いとも容易くそれを弾かれるが、囮に過ぎない。
直後、ばら撒くように狐火を展開する。

「喰らえ!」

咲夜目掛けて狐火が迫る。
それは、目標に直撃し会場全員の視界を覆った。

凍った世界、狐の後にゆったりと降り立つ。

「時符・プライベートスクウェア」

凍った世界は、再び動き始める。

「っ!?」
「─傷魂・ソウルスカルプチュア!!」

最後の一枚を発動させ、藍を切り刻んだ。
紅い血を流し、倒れた藍にはもう起き上がる力は無かった。

「こほん…改めまして、勝者、紅魔組!」

今度こそ勝者宣言がされた。









救護室(の様なもの)
出場者が出場者だけあって、紅魔館のメイドやら永遠亭の兎やらが怪我人の手当てをしている。
勿論、藍もそこでベットに横たわっているわけだが。

「藍様…大丈夫ですか?」
「あぁ、心配ないよ。これくらい二、三日激しい運動しなければ治るさ」

普通の人間ならそんなすぐに治りそうな傷ではない。
が、生憎彼女は人間ではない。化け狐で式神だ。

「ごめんなさい…私、藍様が付いてたのに何にも出来なくて……」
「いいんだよ、橙。相手が悪かったんだ。そして」

紫様が意地悪すぎたんだ、と言おうとしたが止めた。
案外そこら辺で傍受している可能性があるからだ。

「兎に角、そんなに悔やむことはないよ」
「いえ!必ず強くなって藍様を心配させないようになります!」

握り拳を作ってそういった。

「そ、それに……藍様はいつも私の事心配してばかりだから…。
 強くなって藍様が安心して私を使えるようになりたいんです」

あまりの健気さに鼻血が出た。

「わーー!?ら、藍様!?」
「い、いかん。もしかしたら鼻を打っていたのかもしれない」

誤魔化した。
誤魔化したら橙は信じ込んだ。

「だ、誰かー!藍様が、藍様がーー!」








─暫くお待ちください。








「式神組の敗因は何だと思いますか、主の紫さん」

文がマイクを向ける。

「そうねぇ。メイドの時を操る程度の能力と吸血鬼の運命を操る程度の能力が厄介だったのね。
 そして、あの吸血鬼の邪念の後押しがきっと物凄かったのよ。橙何も出来なかったし」

きっぱりと言う。

「霊夢さんはどう思います?」
「右に同じ」
「やる気無いですね」
「ないわよ」

きっぱりと言う。

「では、続いての対戦カードは!」

マイクを差し出す。

「えーと、冥界からやって来た無限の胃袋の持ち主西行寺 幽々子。
 そして庭を整える程度の能力の持ち主魂魄 妖「獄界剣・二百由旬の一閃!!」

霊夢の頬を風が駆け抜けた(ような感じだった

「言い直せ、そこな紅白。剣術を扱う程度の能力だと」
「あー、はいはい。剣術を扱う程度の能力の妖夢さん」

若干、ぶっきらぼうに。

「因みに、今のはスペルカード一枚消費とカウントしておきます」
「みょん!?」

すかさず映姫が。
あんまりと言えばあんまりである。

「あらあら、妖夢は安い挑発に乗りやすくてダメねぇ」
「幽々子様だってあんな言われ方してたんですよ!?」
「事実じゃない」

開き直っている。

「対するは永遠亭の兎二匹。狂気を操る月の兎、鈴仙・優曇華院・イナバと、
 我が博麗神社に賽銭が入らない原因を作る憎き兎、因幡 てゐ」

私情を持ち込みすぎである。
というかただの逆恨みである。

「あんなこと言われてるよ、てゐ」
「うさささささささ」

笑っているらしい。








─少女祈祷中...









「それでは第二試合、冥界組対因幡組!始め!」

さっきと微妙に違うが閻魔の卒塔婆が振り下ろされた。

「先手必勝!波符・赤眼催眠!」

開口一番スペルカードを使う辺り、此方も短期勝負に持ち込むつもりのようだ。

「妖夢、眼を合わせないようにするのよ」
「で、ですが幽々子様!それだと狙いが」
「あなたは妖忌に何を教わったの?こういうときの戦い方くらい教わったでしょう?」

それを聞いて妖夢はハッとした。
どうやら、何かを思い出したらしい。

「そ、そうでした!」
「眼を見ず、他の部分を良くかんさt「心の眼を開くんですね!」



「はい?」

暫く幽々子が呆然としていた。

「任せてください幽々子様!冥界一硬い盾を御見せいたします!」

本当に眼を瞑ったまま突っ込んでいった。

「うわわ、そんなのアリ!?」
「任せなさい、鈴仙!」

鈴仙の前に立ち、兎弾を数発放った。

すぐさま、妖夢はそれを叩き切った。

「私の兎弾ーーーーーー!!?」
「よ、妖夢!いつのまにそんなことが!!」

幽々子の問いかけに妖夢は立ち止まり答えた。

「半身が見てるんです。もっとも、狂気には侵されてますが」
「ええーー!?アリなの!?」

というより、結局狂気に侵されるのならば眼を閉じていてもいなくても変わらないのでは。
と、会場にいたほぼ全員がそう思ったが口には出さなかった。

「一気に決めます!幽明求聞持聡明の法!」

半身が妖夢の姿へと変化する。
こうなると2vs2というより3vs2の様にも見えるが。

「く、まずい……!」
「妖怪が鍛えたこの刀、楼観剣に斬れぬ物など!」

背後に物凄い殺気を感じて慌てて振り向いた妖夢。
思いっきり、半身に刀を振り下ろされた。

「う、うわー!なんで!?」
「思いっきり狂気の影響受けてるうさ」

訂正しておこう。2vs1+αである。

「よし、今のうちにあっちを倒すわよ!」
「合点承知うさ!」

自分自身と戦ってる妖夢を無視し、幽々子に突撃する兎二匹。

「月眼!月兎遠隔催眠術!!」
「脱兎、フラスターエスケープ!」

歪みながら迫る弾丸及び跳ね回る兎弾の強襲。
流石の幽々子ももう駄目か、と思われたが。

「願はくば 花の下にて 春死なむ」

ばっ、と巨大な扇を広げる。

「死符・ギャストリドリーム」

死蝶の群れが迎え撃った。

「さ、さすが西行寺家の姫!一筋縄じゃいかないわね」
「そんなことより鈴仙、あとスペルカード一枚うさ」
「あ、そうだった」

妖夢はというと、未だ狂気に侵されたままの半身と死闘を繰り広げている。
言うまでも無くぐだぐだである。

「来ないならこっちから行くわよ」

袖から一枚のスペルカードが覗く。

「華霊・スワローテイルバタフライ」

暢気に立っていた二匹の兎に蝶の群れが迫る。

「う、うわわっ!」

慌てて飛び上がる鈴仙。てゐは走って逃げている模様。
もっとも、蝶の群れを振り切れていないが。

「仕方ない、こうなったら最後の一枚を」

取り出した最後のスペルカード。
発動しようと掲げた瞬間、目の前を風が横切った。

「奥義─、西行春風斬」

すっぱりとスペルカードが真っ二つになった。

「あーーーーーーーー!!アリなの!?」
「アリです。スペルカードによってスペルカードを妨害したので白です」

閻魔はいつも無常だ。
鈴仙はそう実感した。

そして、峰打ちで叩き落された。
てゐに至っては結局逃げ切れず被弾したという。

「勝者、冥界組!」

こうしてよく分からないうちに第二試合が終わった。
初めまして。
初めましての作品がこんなのでごめんなさい。
むしろ○○組って意外と考えれないんですね。難しい。

正直、不夜城お嬢様が書きたかったんです。ごめんなさい。

最後まで読んでいただけたら幸いです。
コーエン
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.900簡易評価
7.無評価削除
>幻想卿、英姫

急がず焦らず、1行ずつちゃんと変換していけば誤字脱字って結構減りますよ。
8.無評価コーエン削除
>鱸様
修正しました。
ご指摘ありがとうございます。