Coolier - 新生・東方創想話

指先に蘇る思い出

2006/03/29 06:10:54
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 このお話は、作品集27の拙作、『漆黒の協奏曲 龍の再臨』のほぼ純然とした続編(?)です。
 なので、そちらを見てからだと、より一層の空腹をお約束します。ただ、今回は空腹分が少なめなので問題ないかもしれません。
 ご了解頂けた方は、いざゆかん。






 ここは、幻想郷のどこかにあると言われている赤提灯。
 昭和の風景が残るそこに、どこかで見たことのあるような二人組が肩を寄せて座り、酒を酌み交わしている。
「しかし、驚いたわね」
 店主のミスティアに「おでんー」と注文してから、彼女は言う。
「何がかしら?」
 その隣に座る女は、口に奇妙な形の笑みを浮かべながら返す。
「なんとか丸新聞、のことよ」
「ああ、あれね。あのゴシップ捏造機」
 どこからともなく「ゴシップって言うなー! そんな大人修正してやるー!」という叫び声が聞こえてきたような気がしたが、気のせいなので気にしない。二人は、手にした熱燗を傾ける。
「ふふふ……。まさか、かつて、この世界で四天王と呼ばれたファイターを二人も、ことごとく倒してくれるとは、ね」
「……まぁ、そうね。って、四天王?」
「ええ、あなたは知らないの?
 てっきり、あなたのことだから、この世界のことにも詳しいと思っていたけれど」
「おでんお待ちー」
「わーい♪」
 何やら意味深で思わせぶりな話し方をしておきながら、熱々ほかほかのおでんが出てきた途端、子供のような笑顔になる女。頭の上にひょこんと飛び出たアホ毛が、感情を示すためなのか、ふりふりと揺れているのがかわいくもあり不気味でもあり。
「四天王……ねぇ」
 ふぅん、と女の顔に浮かんだ笑みが深くなる。
「それで?」
「そろそろ、この私の出番かなと思ったわけでね」
「なるほど」
「あ、店主、あっちのお酒、燗にして」
「あいよー」
 食うか喋るかどっちかにしろ、と内心では思うのだが、一応、口には出さない。
「確かに、彼女は伝説とまで言われたファイターよ。しかしね、まだ年若い」
「この世界に年齢は関係ないのではないかしら? 経験が全てだと思うけれど」
「若くして様々な経験を積む。素晴らしい事ね。私も、それには思い出もあるからよくわかる。
 でもね、出すぎた杭は叩かれなくてはならないのよ」
 くくく、と笑う彼女。
 しかし、口許に卵の黄身をくっつけたままそんな事していてもいまいちカリスマというか威厳が足りなかったりするのだが。
「……それで? あなたはどうしたいの?」
「あなたはどうしたい? これは異な事を。
 あなたがここに呼んだのでしょう? この私を。そして、ここに私を呼んだ以上、次に私がどうするか、あなたはわかっていたはず。
 ……全く、策士ね」
「あら、そうかしら」
「ええ、そうよ。
 でも、まぁ、別に構わないわ。同じ地位に列せられた二人が苦渋をなめさせられたのだもの。戦士として、そして強敵(と書いてともと読む)として、私も彼女に挑もうかと思ってね」
 ばさっ、と広げられた新聞。
 その一面には、ある女の姿がでかでかと映し出されている。
「ふふふ……。かつて、あの食神山すら制覇したと言われる伝説の龍……相手にとって不足はないわ」
「お燗、お待ちー」
「わーい♪」
「……おーい」
 色々ツッコミ入れたいのだが、とりあえず、その一言しか出てこなかった。
「いやぁ、今夜は冷えますねぇ。こう寒いと、うちらも冬眠を考えたくなりますよ~」
「そうよねぇ。ほんと、寒すぎるわぁ。
 あ、店主。おでんのはんぺん追加」
「あいよー」
「……で、えっと……」
「四天王の最後の一人。その姿も名前も知らないけれど、それが出てくる余地はないわ。この私が、龍を天から引きずり落とす!」
 ぐぐっ、と拳を握りしめ、
「はんぺんお待ちー」
「わーい♪」
「……何なのよ、あんたは」
 もう色々やけくそ気味にツッコミする彼女だった。


 レストランサービス『紅魔館』。相変わらずの大盛況ぶりに、厨房はいつでもてんてこ舞い。新人のメイド達は皿を割るわ、玄人のメイド達も自分の料理に納得がいかず、「キッチンファイトだこの野郎!」となぜか味方相手に啖呵切るわと、ある意味、カオス状態。それを黙らせるためにメイド長のナイフは日増しに飛ぶ数が増え、最近では『ナイフ一本でどれだけ効率的に対象を沈黙させるか』を研究している日々らしい。
 まぁ、それはともあれとして。
「そろそろ飽きてきたわね」
 そんなことをほけっと言ってくれたのは、紅魔館の主、レミリア・スカーレット。
 やった! と内心、ガッツポーズを作るのはメイド長の十六夜咲夜。なお、顔はいつものメイドスマイル。
「そうですか。では、そろそろ、廃業を……」
「何言ってるのよ」
「え?」
「わたしが飽きてきたと言ったのは、この料理サービスよ」
「……え、ええ。ですから……」
「メニューが足りないわ」
「……はい?」
 さすがに、こればっかりは聞き逃せなかった。
 思わず問い返す咲夜を、『本当に頭の悪い子ね』と言わんばかりの目で見てくるレミリア。
「つまりね」
 そうして、ぴっとしたり顔で指を一本立てる。
「メニューが足りないの。これでは、わたしが満足しないわ」
「いえ……その……メニューが足りない、って……」
 自慢――にも何にもならないのだろう、多分。少なくとも、咲夜の中では――ではないが、この紅魔館の料理数は他に類を見ないほどである。以前は、基本的に洋食、ちょっと気が向いたらイタリアンなど、趣向を凝らしていたのだが、昨今ではどこかの『伝説の龍』とまで呼ばれた料理人のせいでメニューが膨大な数に増え、メイド達を泣かせまくっている。しかも彼女は味に妥協しないものだから、「こんなもの作れません! 何とかしてください、メイド長!」と泣きつかれて困っているのだ。
 まぁ、それはともあれ、そう言う理由もあって、今現在、紅魔館のメニューは、優に十冊を超えるほどの数を有している。一冊のメニューの中に、料理の数は数十種類。実に数百種類もの料理が軒を連ねる『レストラン』なのである。ここは。ずーっと昔は『吸血鬼の館』だったのになー、と青空を見てぼやいたことがあるのは内緒だ。
「本当に察しの悪い子ね。
 わたしが言いたいのは、既存の、ありきたりのメニューばかりで面白みがないと言っているのよ。ほら、よく、世間では言うじゃない。『創作料理』って」
「ああ……」
 なるほど、そういうことか。
 内心では納得するのだが、本心は『お願いだからよけいな仕事増やさないでください』だったりする。
「咲夜の創作料理、食べてみたいわね」
 じーっと、見上げてくる彼女。
 その純粋な視線にはくらっとくる。しかし、咲夜は忘れない。と言うか、見逃さない。その『純粋な少女の瞳』の裏側で、ちろちろと漂っている『うふふ。これを言ったら咲夜はどれくらい困るかしら、ああ楽しみ』という小悪魔の目は。
「まぁ……そのお気持ちはわからなくもありませんが。しかしですね、お嬢様。創作料理というのは、個人のスキルによるところが多いんです。美鈴がそんな料理を作ったら誰一人、それを再現できなくて、結局、レストランは廃業ですよ?」
「あら、そうなの? 情けないわね」
「いや……まぁ……」
 返す言葉もありません、と口にはするが、本音は『それくらい察してくださいお願いします』だったりする。
「まぁ、それなら仕方ないわね」
「あ、はい。ありがとう……」
「じゃ、全員、美鈴について練習しなさい」
「……はい?」
「それから、咲夜。あなたも美鈴と……何だったかしら、キッチンファイト? それをやって、お互い、腕を高めるといいわ。聞いた限りでは、あなた、クッキングファイターとしては、腕前は上の中ほどということじゃない」
「……い、一体、誰がそんなことを……」
「はいこれ」
 差し出されるのは『文々。新聞』。一体、いつからうちのお嬢様はこんなゴシップを読むようになったんだ、と思いつつ、指し示される一文に目をやる。

『本紙が独自調査を行ったところ、現在、幻想郷にてクッキングファイターとして登録されているのは千を越えている。そのうち、様々な観点から判断したランキングが、以下のランク付けである。料理人諸君には、この猛者達を上回るべく、修行をして欲しい』

 という書き出しから始まったそれの、ちょうど星三つのところに咲夜の名前があった。星五つは、これまで美鈴が破ってきた猛者達だ。
「……」
「情けない。仮にもわたしの従者でしょう? いつでも頂点であれ、とはわたしが教えたことのはずだけど」
「……はい……申しわけありません……」
 とりあえず、謝っておく。
 無論、内心では『知りませんよそんなこと!!』だったりするのだが。
「というわけで、これからメニューを増やすわよ。頑張りなさい」
「………………………………はい」
 もうやだ、ここで働くの。
 何かもう、色んな意味で全てを投げ出したくなった咲夜だった。

「そういうわけで、あなた達には料理の特訓を受けてもらうことになったわ」
『ええー!?』
「今、ええー、って言ったの、前に出なさい。容赦なく切腹と介錯と刺殺と、どれがいい?」
『すんませんでした!』
 何か目が怖い。
 このメイド長はマジだ! 本気と書いてマジだ! 今ここで逆らったら、俺たちに明日はない!
 そんな視線を交わすメイド達。
 ちなみに、集められたのは、優に百人突破。
「これはお嬢様の意思よ。文句がある人は、不夜城レッドくらいは突破できる実力を身につけてから文句を言いなさい」
 んなスペル突破できる奴は、幻想郷に果たしてどれくらいいるというのか。
「さて。
 これからあなた達に学んでもらうのは、創作料理についての心構えと技術よ」
「あの……メイド長、創作料理と言われても、具体的には……」
「オリジナリティあふれる料理であればそれでいいわ」
「あ、じゃあ、家庭料理とかでもいいですか?」
「私、お母さんに作ってもらったオムレツが大好きだったんですよー」
「私はミートパイかしら」
「あら、わたしなんてパエリア作れるのよ」
「えー? すごーい」
「しゃらーっぷ!」
 かかかかかかっ! という乾いた音と共に無数のナイフがメイド達のスカートを床に縫いつける。
「家庭料理というのはいい観点ね。そう言う『お袋の味』とか『一家秘伝の味』とか、そう言うのも創作料理としてランクが高いわ」
「……失礼ですけど、メイド長には……」
「……操りドー……」
「すいません失言でした忘れてくださいごめんなさい死ぬのはいやです!」
 全力平謝りする、まだ若いメイド。彼女を見て、先輩メイド達が『あなたの勇気は忘れない』とつぶやいたり、『あの子かわいいわね、うふふふ』という視線を送ったりするものがいるのだが、まぁ、それもともあれとして。
「そういうわけだから、そうした味を、我がレストラン『紅魔館』のメニューに載せるだけの味として昇華させてもらうわ」
「……いつからレストランになったの?」
「お黙り」
 すこーん、という音と共に、よけいな一言つぶやいたメイドの眉間にナイフが突き立った。ちなみに刃先が丸めてあるため、刺さることはないのだが、やっぱり痛いものは痛い。ごろごろ転がって悶絶する彼女は見なかったことにして、咲夜は言葉を続ける。
「料理の技術について、わからないことがあったら先輩、もしくは私、あるいは美鈴に聞きなさい」
「……そう言えば、美鈴さまは?」
「美鈴なら、午後の注文に向けて、すでに料理の製作に入っているわ。
 ……あの子もすっかり、門番じゃなくて厨房が似合うようになったわねぇ」
「……あの、メイド長。お気を落とさず……」
「門番隊の人たちは、『美鈴隊長、栄転おめでとうございます!』って涙流してたわよね……」
「正直、いい迷惑よ……」
「でも、お嬢様の決定には逆らえない……」
「逆らったらまずナイフだもんね……」
「何か文句あるの?」
『い、いいえ、何も!』
 じろりという擬音つきでにらんでくる咲夜に、メイド一同、そろって顔を引きつらせてぷるぷると首を横に振る。
「まぁ、美鈴は、本業門番、副業料理人だから別にいいのよ」
「最近は逆転しているような気もしますが……」
「いいのよ」
「……はい」
 熊ですら睨み殺せそうな視線を受けて、すごすごとツッコミを入れたメイドが引き下がる。
「では、各自、解散。料理の方は、出来たら他人に味見をしてもらって、合格をもらったら、私か美鈴の所に持ってくるように。それで問題なければお嬢様にも食べてもらって、その後、メニューに載せるから」
『……はぁい』
「返事は!?」
『はいっ! わかりました!』
 まぁ、やる気がないのもわかる。っていうか、痛いほどによくわかる。
 しかし、これはレミリアの決定なのだ。この館の中において、力関係は『レミリア>>>>越えられない壁>>>>>>>その他諸々』なのである。悔しい話だが、彼女に逆らうことが出来るものなど誰一人としていないのが現実なのだ。
 現実なんだから仕方ないじゃない!
 だしだしっ、と演壇踏みつけて、色んな意味でのやるせなさに咲夜は涙する。
「で、その~……メイド長。一つ、質問があるんですが」
「何?」
「その……料理の練習って、いつやればいいんですか? 朝から晩まで、注文がびっしり……」
「勤務の合間を縫って、よ」
「……マジで?」
「マジ」
「……はい」
「頑張れ」
 ぽん、と彼女の肩を叩いて、咲夜。
 そして思わず、天を見上げてつぶやく。
 ――私たちが何をした、と。


 さて、そんなこんなで紅魔館がにぎわい(?)を見せていた頃、とんとん、と丁寧にそれの扉を叩く人影があった。後ろには、彼女をエスコートしてきたと思われる門番隊の面々がいたりする。ぎぎぃっ、と重たい音を立てて扉が開かれる。
「あの、何かご用でしょうか?」
「美鈴さん、いらっしゃいます?」
「あ、その……ただいま、営業時間でして。メイド長含め、料理スタッフには取り次ぎが……」
「お取り次ぎをお願い」
「いえ、あの、ですから……」
「してくれないと、色々すごいわよ?」
 何がすごいというのか。
 とりあえず、背中でぱたぱたはためく翼やぴこぴこ頭の上で揺れるアホ毛に、色んな意味で畏怖を覚えた彼女は『そ、それでは中に』と来客を案内する。入り口のそばにある応接室に彼女を通し、メイドは一人、足早にキッチンへ。
「あの~……」
「二十二番の注文、上がりました!」
「二十五番、完成です!」
「ちょっと、十七番は!?」
「十二番もまだですよ!?」
「担当、何やってるの!」
「うえーん、材料が切れてましたー!」
「ちぃっ! 即刻、材料の買い出しに走りなさい! 猶予は五分!」
「ええっ!? 全速力で飛ばしても十分は……!」
「死ぬほど気合い入れて飛びなさい!」
「はっ、はいぃ!」
「出来上がった注文、配達に参ります!」
「各員、決して料理を乱さないように! それは私たちの魂です!」
『はいっ! お姉さま!』
「……えーっと」
 どうしよう。
 彼女は入り口で、完璧に中に入りあぐねていた。
 まさに、中は修羅場。〆切間際の漫画家だってこれほど忙しく、鬼気迫る状況にはないだろう。広い厨房は、所狭しとメイド達が走り回り、その合間を縫って、何やら声をかけたら殺られる的な雰囲気で注文と関係ない料理を作っているもの達がいる一方、咲夜などは普段の三倍どころではない速度で歩き回って指示を下したり料理を作ったり、大忙しだ。
「あら、どうしたの?」
 ちょうどその時、調理スタッフの一人がこちらに気づいてくれた。
「あ、あの、お姉さま」
「はい?」
 なぜか、紅魔館では、敬愛する先輩に対しては『お姉さま』と言うのが流行っているらしい。図書館の中にあるとある本が原因と言われているらしいのだが、詳しいことは不明である。
「その……お客様が、美鈴さまにお取り次ぎを、と」
「……誰?」
「さあ……」
「わかったわ。少し待っていて」
「はい」
 ぽ~っと頬を赤らめながら、彼女の背中を見送るメイドが一人。
 ややしばらくして、美鈴と、ついでに咲夜もやってきた。
「お客さんですか?」
「は、はい」
「なぜ追い返さなかったの?」
「その……何か怖いんです……。主に頭が……」
『……?』
 頭が怖い。つまり、顔が怖いと言うことだろうか。
 紅魔館の名だたるメイド達と言っても、精神面では幼いものもいる。そう言ったものならば、たとえばいかにも『や』のつく人が来たら怖くて中に通してしまっても責められるものではない。咲夜はそう考え、美鈴は考えが追いつかなくて頭の上に『?』マークを浮かべている。
「まぁ……通してしまったものは仕方がないわね。行くわよ」
「はい」
「あなた達、私たちが帰ってくるまでに、現在の注文の三十番まで、完璧に仕上げておきなさい!」
『イエス・マム!』
「さあ、行きましょうか」
「……あの、いつから紅魔館って軍隊になったんですか?」
「お黙り」
 やるせない表情を浮かべてつぶやく咲夜に、さすがに言い返すことが出来なかった。
 三人は廊下を足早に歩き、応接室へのドアを開く。
「つまりね、そも、物質の固定原理というものは――」
「あの~……美鈴さまをお連れしました……」
「た、助かったぁ~……」
 その客の相手をさせられていたのだろう。げっそりとなったメイドが泣きながら転がり出てくる。何やら、よくわからない単語をもってものすごい難しいことを講釈していたとわかる女性が、こちらを振り返る。
「来たわね」
「誰よあなた」
 何やら不敵な笑みを浮かべる相手に、咲夜の口調も乱れてしまう。っていうか、大体の予想は出来ているのだ。
「初めまして、お嬢さん」
「ええ……まぁ、初めましてではありますけれど」
 ちらりと隣の美鈴を見れば、彼女は息を飲み、戦慄している。
 やっぱりこの展開か。
 はぁ、とため息。
「それで? 新しく、美鈴への挑戦のお申し込みですか? それでしたら、こちらの申込用紙にお名前とご住所を……」
「って、ちょっと待ってちょっと待って。何その手続き。何でシステム化されてるの?」
「だって、最近多いので。
 先日の一件以降、どこぞのデバガメ烏によって噂が幻想郷中に知れ渡ってしまいまして。美鈴を倒して名を挙げるという勘違いのバカ野郎が増えていますの。なので、名簿を作って、暇が出来たら適当に相手をしてあげるという方針を採用してございます」
「うわものすごいやっつけ仕事」
「えーっと、順番は、あと三十人ほどお待ちになって頂きますので、一ヶ月ほどお待ちになってくださいな」
「一ヶ月!?」
 慌てて咲夜の手からそれをひったくる女。
 名簿には、ぎっしりと人の名前が書かれていた。見たことのない名前ばっかりだが。
「この前は……何だったかしら。ああ、そうそう、素手で熊を倒してそれを料理する料理人とかいうのが挑戦してきたけれど、私が、パチュリー様が召喚した魔法生物を撃破して料理をしたのを見たら、顔を青くして逃げていったかしら」
「……それって食べられるものなの?」
「ええ。パチュリー様曰く、『美味しいわよ? 見た目はグロいけど』でしたので」
「あれは美味しいお料理でした……。白身魚の風味が生きた、素晴らしい味で……。ああ、思い出しただけでもよだれが……」
「……まぁ、元が何なのかは知らない方がいいけれど」
 ぼそりとつぶやく咲夜。隣で夢見がちな瞳をしている彼女には聞こえないくらい、小さな声で。
「まぁ、そういうわけですので。
 ですから、ここのところにお名前とご住所と連絡手段を……」
「って、そうじゃなくて!」
 ばしいっ、と名簿を床に叩きつけて憤慨する。それを示すのか、ぱたぱたと忙しなく羽が動き回り、
「私の名前は神綺! かの有名な、『料理の修羅』にて四天王の名を頂いた女よ! ついでに言えば魔界神! 偉いのよ!」
「何よそれ」
 というか、『魔界神』という言葉の方が重々しいような気がするのだが、『ついで』でいいのか、あんたは、と内心でツッコミを入れる。女――神綺はというと、にやりと笑いながら、ふふん、と言わんばかりの口調で告げる。
「あら、あなた知らないの? まぁ、星三つ程度の人間では、ねぇ?」
 かちんと来る発言だった。
 んな訳のわからないもんに登録されていたことや、内心、そんな評価はどうでもいいと思ってはいたのだが、こうして真っ向から挑発されるようなことを言われれば頭に来るようである。それなりに。
「『料理の修羅』とは、キッチンファイトにて上位を収めた人間のみがネームリスト入りを許される、まさにこの世界の頂点を極めた料理人達の名簿リストの事よ。
 あの風見幽香、そして魅魔も、そこに名前が刻まれているわ」
「……あっそ」
 やっぱり幻想郷って広いなぁ、と思いつつ、で? と先を促す。
「そして、その中で上位四人には四天王の称号が与えられる! そのうちの一人が、この私というわけよ!」
「じゃあ、残りの三人は?」
「当然、幽香と魅魔。でも、後一人は私も知らないのよね。名前も隠されていたし、顔も見たことがないわ」
「あら? 美鈴は違うの?」
「……確かに、かつて、そのお誘いが来たことはあります。しかし、その頃の私は修行中の身。身に余る栄誉でしたので辞退させて頂いたんです」
「審査員達も、あなたの謙虚さには驚いたようね。でも、それは私たちにとっては侮辱にしか過ぎないわ。四天王は常に入れ替わるもの。もしもあなたがそこに入るとしたら、私たちのうち、誰かが格下げされる……その事実に戦々恐々としながら、しかし、あなたの確かな腕を知って楽しみにもしていたというのに!」
「それは……!」
「……ごめん、ちょっとお水持ってきてもらっていい?」
「あ、はい。かしこまりました」
 展開に、徐々について行けなくなってくる。それから逃げるのと、ついでに気持ちを落ち着けるためにつぶやく咲夜に、メイドの一人は『色々大変だなぁ』と思いながら頭を下げてすたすたと歩いていった。
「私たちにすら攻略できなかった食神山! あそこを制覇したあなたは、あの時点では、私たちの誰よりも実力が上だった! しかし、あなたは、私たちと同じ地位に立つことをよしとしなかった! それは、貪欲なまでに頂点を求める私たちにとって何よりも屈辱! 故に、私たちはあなたを倒すべく、料理の腕を磨き……!
 だが、ある時を境に、ぷっつりと消息も途絶えたわね。あなたは」
「……っ!」
「大方、勝負から逃げようとしたのでしょうが……笑止!」
「ち、違います! 私は……! 私は、戦うための料理が嫌になっただけです! 私が作るのは、たくさんの人に『美味しい』と笑ってもらうためのもの! 格付けとか、勝負とか、そんな手段に使うものじゃありません!」
「甘い! 甘い甘い甘い! 砂糖の一万倍は甘いわ!
 確かにそうであっても、勝敗の手段としてそれが使われている以上、挑まれれば応えるのは必然! それをしないあなたは、ただの臆病者よ!」
「くっ……! それは……!」
「そして今、あなたは伝説の龍として蘇り、数多の勝負をくぐり抜けてきた! 否定はさせないわ! あなたの中に眠る、熱き料理人魂は勝負を嫌がってはいない……むしろ、勝負を挑まれてこそ、さらにそれを呑み込んで燃えさかることを!!」
「あ、お水ありがとう。あなた、本当に気が利くわね」
「はい……えへへ……」
 自分たちの間に見えない壁を作って、そこから向こうは別世界なんだと自分に言い聞かせ、咲夜はコップの水を一口で飲み干した。
「勝負よ、美鈴! あなたにキッチンファイトを申し込む!」
「……くぅっ……!」
「さあ、受けるの!? それとも逃げるの!? どっちなの!」
「それは……!」
「その勝負、受けて立つわ」
 そして、やっぱりというか何というか。
「お、お嬢様……!」
 いつもいつもいいタイミングで現れるレミリアの一言で全てが決定される。咲夜は『あー、やっぱりなー』と冷めた視線でそれを見つめていたりもするのだが。
「美鈴に限らず、紅魔館で働くもの達に対して挑まれた勝負は、すなわち、わたしに対して挑まれたことと一緒だもの。
 このレミリア、勝負を挑まれてそれを拒否して逃げるほど、臆病な女ではなくてよ」
「ふふっ、賢いお嬢ちゃんね」
「うふふ。そうかしら。ほめてくれてありがとう。
 勝負については、いつも通り、こちらから場所を指定させてもらうわ。日時もね」
「ええ」
「じゃ。場所は紅魔館、そして日時は一週間後の……そうね、午後の二時からでどうかしら。ちょうどその時間帯は、みんなの休憩時間でもあることだし。
 レストランの方も、当日休んでも、誰にも文句は言わせないわ」
 どうかしら、という視線を咲夜に注いでくる。「素晴らしいですわ、お嬢様」と勝手に口が動いた。
 満足したようにうなずくレミリアは、びしっと神綺を指さす。
「この勝負、決して負けなくてよ」
「それはこちらも同じ事」
「ふふっ。いい勝負をしましょう」
「ええ」
 そして両者、がっしりと握手。当事者であるはずの美鈴は半分以上、置いてけぼりだ。
「料理の内容は?」
「私の得意料理……思い出の味、でいかが?」
「……うっそー」
「ちょっと、そこのメイド! 今、『うっそー』って言ったわね!?」
 誰だって言いたくなるだろう。
 いきなり他人の家に乗り込んできて、ものすんげー熱い展開繰り広げた奴が『思い出の味』などと言い出したら。
 っていうか、目の前の相手のみならず、美鈴に挑む奴らほど『思い出の味』や『家庭料理』という言葉が似合わない奴らはいないのだ。
「思い出の味……それは素晴らしいわね。
 じゃあ、いつも通り、審査をしてくれるのは霊夢と魔理沙……あと、咲夜に出てもらおうかしら」
「へっ? 私もですか?」
「何か文句でもあるの?」
「い、いいえ……何も」
「そうやって指定してくれるのはありがたいわね」
「彼女たちの情報に関しては、こちらから、つてを使って調べておくわ。研究の方は、そちらに任せる。よろしくて?」
 ええ、とうなずく神綺。
 何が何でもフェアプレイにこだわるレミリアの姿は、ある意味、吸血鬼らしい高潔な姿だった。しかし、咲夜は思う。『もうどうでもいいから、よけいな火種を増やさないでください』と。本当に、この主の自分勝手なゴーイングマイウェイなところと楽しいことと自分が判断したら、際限なく火をたいていく姿勢はどうにかならないものだろうか。一度、本気で人生相談でも受けてみようかな、と咲夜は思った。
「それでは、勝負の日、楽しみにしているわね」
「こちらこそ。
 美鈴、それではごきげんよう」
「……はい。神綺さん。あなたとは一度も勝負したことがなかった……この私の歴史が、あなたの勝負を拒まない……それを知っての挑戦、見事です」
「ふふっ」
「ですが、挑まれた以上は負けることは出来ません……。
 先の私の姿勢には反しますが、決して、あなたに勝利はないことを知っておいてください」
「ええ。肝に銘じておくわ」
 その特徴的な後ろ姿が、メイドに案内されて一同の視界から消える。
 そうして、レミリアが言う。
「それじゃ、咲夜。あとよろしく」
「って、やっぱり私なんですか!?」
 いつも通り、苦労を背負い込まされるのはこの人で決まりのようだった。


 さて、そういうわけで、いつも通りのメンツが招集される。
「やー、今日はどんなものが食えるのか、今から楽しみじゃないか。なぁ、霊夢?」
「……まぁ、ねー。
 っていうか、あんた、前回は堂々と美鈴さんと敵対しておいて、よくもまぁ……」
「何を言ってるんだ。昨日の敵は今日の友。そして、罪を憎んで人を憎まず、だぜ」
「それってさ、別の言い方すると『自分勝手』ってことよね」
 なかなか辛辣な霊夢のツッコミに、あっはっは、と笑ってそれを流す魔理沙。ただし、ほっぺたにつつっと汗が流れているのを忘れてはいけない。
 一同が招集を受けたのは、いつも通りの紅魔館の大食堂。ただし、ついさっき見たところ、入り口の所のプレートに『料理会場』(バトルフィールドと読む)と書かれていたような気がしたのは気のせいだろうか。
 気のせいなんだろう、うん。きっとそうだ。そうに違いない。私が決めた、今決めた。
「今日は、何か人数少ないのね」
「そうだな」
 いつもなら、その会場には、『司会』と『解説』以外にプレートが複数置かれていたのだが、今回はたった一つだけ。さて、どんな審査員……っていうか、料理の猛者が現れるのかと、内心、ちょっぴり楽しみにしている霊夢の前で扉が開く。現れたのは咲夜。その彼女は、何だか色々やるせない表情で『審査員』と書かれたプレートの置かれている席に座る。
「今回はお前か」
「……言わないで」
「……まぁ、ほら。元気出しなさいよ、ね?」
「ううっ……霊夢、何か今回、初めてあなたがいい人に思えたわ……」
「待てこら」
「そろったようね」
 さりげないことをさらりと言い放つ咲夜に対して、霊夢が即座に針弾投げようとしたところでレミリアが現れる。その後ろには、やっぱりフランドールの姿。
「ごっはん~、ごっはん~、美味しいご飯におててあわせていただきます~♪」
 何だか、新しい歌を歌っている。どうやら、何個かバージョンがあるらしい。
「ああ、全員そろったぜ」
「そう。
 でも、少し待っていてちょうだい」
「あの……お嬢様。私もここにいないとダメですか?」
「ダメ♪」
「……霊夢。ものすごい笑顔よ」
「ものすごい笑顔ねぇ」
 本気で楽しそうに言ってくれるレミリアに、沈鬱にため息をつく咲夜。
「クッキー、ケーキ~、チョコレート~。あま~いお菓子に美味しいジュース~。みんな一杯、幸せ一杯、お腹も一杯~♪」
「こら、フラン。テーブルについたら歌を歌うのはやめなさい」
「はーい」
 横から姉のお叱りを受けて、素直に返事をすると、ちょこんと椅子の上で礼儀正しくファイター達を待つフランドール。
 ややしばらくして、ドアが重たい音を立てて開いた。
 その向こうに現れるのは、以前の龍の衣装ではなく、普段の格好の美鈴と――。
「げっ、今度は神綺?」
「ああ、何かどこかで見たことのあるアホ毛だな」
「アホ毛で人を判断するなっ!」
 全くである。
 ツッコミ入れてから、こほんと咳払いをして、神綺が美鈴に先立って会場へと歩いていく。
「それでは、各員、用意は調ったわね?」
 レミリアが立ち上がり、一同を睥睨する。
 いつなりとも、という視線を返してくるのが三人。どうでもいいから早く終わらせろ、な視線を向けてくるのが二人。美味しいものを早く食べたい、と期待の眼差しを向けてくるのが一人。
「それでは!
 これより、思い出の味バトルを開始するわ!」
『キッチンファイトっ!』
「れでぃーごー」
「霊夢、お前、もっと気合いを入れて叫べよ。
 こうするんだ。よく聞いてろ!
 レェェェェェディィィィィィッ!! ゴォォォォォォォッ!!」
「わー、魔理沙、かっこいー」
 魔理沙の宣言を受けて、料理人二人の手が翻る。
「はぁ……。私、何で紅魔館で働いてるのかしら……」
「気にしちゃダメよ、咲夜さん。気にしたら負けなのよ。っていうか、むしろ、気にしたら負けかなと思っている、なのよ」
「……よくわからないわよ」
 本当によくわからない発言だった。
 まぁ、それはさておき、今回の戦いの趣旨であるが。
「審査員達の思い出の味を作る、か。
 ふふっ……なかなか興味深い内容だぜ。咲夜がこの前、私の家に来たのはそう言う理由だったのか」
「ええ……まぁね」
 横目で、料理人達を眺めつつ、咲夜。美鈴は早速、フライパンなどの用意を始め、神綺は対照的に食材の吟味から始めている。どちらとも、その目つきには一切の隙がない。わずかでも、より素晴らしいものを。ぎらぎらと、飢えた狼のように目が輝いているのだ。
「だが、これは難しいぜ。思い出の味という奴は、舌を通して脳に刻まれた記憶だ。その記憶を、一分の隙もなく完璧に再現しなければ、決して『思い出の味』とはならない。料理人の腕と共に、私たちの記憶に訴えかける味が求められるって事だ……。
 かつては伝説の龍とまで言われ、畏れられた美鈴と、魔界を、その手にした料理器具で作ったとまで言われる神綺……。この勝負、楽しみだぜ」
「……んなもんで作られたのか、あの世界は」
 やな世界もあったもんである。
 しかし、たとえばフライパンで、あの世界が創られたのだとしたら、神綺の腕前というのが色んな意味でものすごいものだと思えてきてしまうのはなぜだろう。
「美味しい匂い。いい匂い~。おなかすいた~おなかすいた~」
「こら。大人しくしてなさい」
「ぶぅ。お姉さまのけちー」
 ぱたぱたと羽を動かして催促するフランドールを横からたしなめるレミリア。もちろん、ぷっく~っとほっぺた膨らまして妹は姉をにらんだりもする。……のだが、その顔のかわいさと来たら、写真に撮影してアルバムに入れておきたいほどだった。もちろん、全然怖くない。
「……しかし、確かに見事ね」
 神綺が料理に入った。翻る包丁。踊る指先。そして、次から次へと姿を変えていく食材達。あるものは美しく、またあるものは歪に。しかしながら、元の姿を全くそのままに留めているのが素晴らしいところである。
「そうだろう? 何せ、神綺はかつて、四天王とまで言われた腕前の持ち主だ。悔しいが、私の腕前じゃ、まだまだあいつにはかなわない。それに対抗する美鈴もまた、同じ。咲夜、お前も料理人ならよく見ておくといいぜ。勉強になる」
「……まぁ、ね」
 こういう場の状況というものはさておいて、二人の作っているもの、そして、それを創るために動いているものというのは、本当に参考になる。鮮やかに最適な器具をつかみ取り、素早く最高の食材を吟味し、取り出し、調理する。
 それらを丁寧に、しかし迅速に彩り、操り、形をなしていく様は、まさに彼女が憧れる料理人。
「……そう言えば、コックさんっていうのも女の子の夢よねぇ」
「咲夜さん。鯖読み過ぎ」
「……この場で弾幕バトルやってもいいのよ」
「事実じゃない」
「そうねぇ。少なくとも、咲夜の年齢は……」
「わーっ! わーっ!」
「あれ? 咲夜。顔が真っ赤だよ?」
 よけいなこと言おうとしたレミリアの口を塞ぐ咲夜。一瞬でそこに移動したのを見ると時間を止めて移動したのだろう。何するのよ、と叫ぶレミリアに『ごめんなさい』と頭を下げつつ、『それを言ったら許さない』という目を向ける咲夜の器用さには、なかなかに頭が下がるなぁ、と霊夢は思った。
「おおっ、見たか、霊夢!」
「何を?」
「今の神綺の手つきだよ! あれはかつて、一度だけ、他人の目に見せたことのあるあいつの必殺技の一つだ!」
「……料理で必殺技ってどういうことよ」
「食材の味を最大限に引き出すために、その食材そのものに魔力をかけて力を活性化させ、それが食べる人間にとって毒にならない間に魔力そのものを取り出すことで、引き出された最高の味だけが残る技術だ!
 くぅっ! 私も、あの技をマスターしようと思って特訓してるんだが……なかなか……!」
 それって、実はかなり物騒な技なのでは?
 そう思ってツッコミを入れたかったが、何か魔理沙が妙に感動しているのでよけいなことは慎むようにする。無駄に水を差す必要もないし、第一、んなことしたって無駄だとわかっているからだ。
「全くもう。いいじゃない、年齢くらい。わたしなんて五百歳って公言してるのよ?」
「お嬢様はそれでいいかもしれませんけど! 私にとっては致命的です!」
「何で? だって、あなたが今いくつかなんて、そんなこと知りたいと思っている……」
「わーっ! わーっ! わーっ!」
「ふがー!」
「あははは、咲夜とお姉さま、おもしろーい」
 何だかコントみたいなことを二人がやっている間にも料理は進む。火の音、手の音、包丁の音、食材の音。耳に鮮やかに響くそうしたメロディと重なって、食堂全体に漂うこの香り。この素晴らしい匂いを何と表現したらいいだろうか。その中にいるだけで天上の幸せと快楽を感じてしまうほど。やばい薬をやって、最高にトリップしているときの感覚というのは、もしかしたらこんな感じではないだろうか。
 それほどまでに気持ちがいい。どんどんお腹が空いてくる。
 こういう場所に呼ばれた時はやる気など全く起こらないのだが、美味しそうな匂いが漂ってくれば嫌でもお腹が空くし、それにレミリアに言われて昼ご飯は食べていないのだ。だから、容赦なく、思考はそちらにシフトしていく。
「何っ! 美鈴のあの包丁さばき……! かつて、『伝説の龍』の名称を得るにふさわしいとされた包丁術『ドラゴンおろし』!? まさか、それをこの目で見る日が来るなんて……!」
「……あー、えっと……」
 横で、やたら熱い事をのたまっている魔理沙に、さて何と言ってやろうかと思って頬をかく。
「だから! あなたの年齢くらいどうだっていいでしょう! 今時、それを気にしている男なんていやしないし、第一、あなたの相手は美鈴でしょうが!」
「何でそうなるんですか!?」
「お黙りなさい! というわけで、咲夜の年齢は……!」
「わ――――――っ!!」
「むぐー!」
「おなかくるしー!」
 何だか、場が混沌としてくる。
 いっつもこんな感じよねぇ、とぼやく霊夢の瞳は、ここではないどこかへと向いていたのは言うまでもないだろう。

 そういうわけで、料理が完成する。
 今回の料理の趣旨は『思い出の味』。そういうわけで、審査員達に出される料理は、各々、違ったものだ。
 まずは、霊夢。
「……これは……」
「おはぎ、だな」
 周りをあんこで包まれた、和菓子の定番。それが一つずつ、小皿の上に載せられてテーブルの上に置かれている。あんこの段階から手作りで作られ、中央の餅米部分を覆うように彩りよく、そして食べるに最適なサイズに作られたそれは、甘いもの好きの女の子が多いこの場では否応なしに光り輝く代物だ。あずきの色を残しつつも、ぐっと形よく整えられ、少し箸を入れてみれば、中からはふっくらとした米と一緒に甘い香りが漂ってくる。
「……そう言えば、そんな話をしたっけ」
「自信はあります」
「どうぞ、お食べなさい」
「あー、えっと……それじゃ、いただきます」
 とりあえず、まず手に取るのは神綺のもの。
 それをぱくりと口にして……。
「あ……」
 思わず、脳裏に蘇る、あの日の思い出。
「……そう言えば、私、このおはぎが好きだったっけ……。よく、お母さんに頼んで作ってもらった……」
 そして、続いて美鈴のものを。
「……っ」
「……霊夢?」
「ああ……うん。ごめん……」
 思わず、頬を涙が伝う。
「この素朴な甘さ……。お母さんの、手作りのあんこ……。お茶の時には必ず出てきて、『あなたの分よ』って、お母さん、自分のも私に……。この味を出したくて、一生懸命、特訓して……。
 うぅっ……」
「あ、あの霊夢が……!」
「な、泣いているっ……!」
 まさか、あの霊夢の涙を、こんな間近で見ることがあろうとは。
 戦慄する魔理沙と咲夜。その気持ち、わからんでもなかった。
「お姉さま、これ美味しいね」
「そうね。
 ああ、ほら、フラン。お口があんこまみれよ」
「えへへ……ごめんなさーい」
 そんな、過去の思い出と邂逅する霊夢そっちのけでほのぼのとおはぎを口にするスカーレット姉妹。なお、彼女たちは主催者と言うことで全員分の料理を食べられる特権つきである。
 さて。
 続けて、次なる料理の登場である。
「さて、次は私だな。私の審査は厳しいぜ」
 ハンカチで目元をぬぐう霊夢を横目で見つつ、魔理沙の視線は目の前のものに向く。
 次なるお題は、おみそ汁。
「……どれ」
 最初に手に取るのは、やはり神綺のものだった。
 口につけた、その最初の一口で、思わず呼吸が出来なくなる。
「こっ……これはっ……!」
「……魔理沙?」
 怪訝な顔をする咲夜。魔理沙は即座に美鈴のものにも手を伸ばし、それを口にする。
 口の中に広がる、あの味。
「……これは……」
「どうしたのよ」
「これは……私が、初めて魅魔さまに作ったみそ汁だ……」
「……マジ?」
「あの頃……私はまだ、駆け出しのファイターで……魅魔さまの元で修行を積んでいた時だった……。何にもわからない……料理の『り』の字すら知らない私に、魅魔さまは、時に厳しく、時に優しく料理を教えてくれたんだ……。
 そして、ある時、私は魅魔さまに内緒で、こっそりとみそ汁を作ってみた……。ひどいものだったな……何せ、本当に料理のイロハを覚えたばかりの頃だったから……。それなのに、魅魔さまは、これを『美味しい』って言ってくれて……『私の教え方も捨てたもんじゃないね』って……。
 ……懐かしいぜ」
「ちょっと味は濃いめかしら」
「でも、何か優しい味」
「おはぎの甘さもちょうどよかったものね」
 過去のあの日を語る魔理沙の言葉に重なって、レミリア達の声も聞こえてくる。
「このみその味……そして、中に入れられた具の味……。みその量は、水の量と比べて少し多め、みその内容は白みそ……。そして、中の具材のねぎの炒め方から何から……全てがあの日のままだ……。
 私はあれ以来、特訓に特訓を重ね、今の実力を手に入れた……。だけど、やっぱり大切なのは、あの日の心構え……初心なんだな……。
 ただ、純粋に、誰かに『美味しい』と言ってもらうために作った料理……ふふっ……忘れていたぜ、あの時の素直な気持ちを……」
 帽子を深めにかぶり直す魔理沙。そのさりげない仕草は、頬を伝う雫を悟られないためのものなのか。
「えーっと……」
 視線を上げない魔理沙は無視する形で、いよいよ咲夜の番だ。
 目の前に置かれているのはサンドイッチが二つ。中に挟まっているのは、オーソドックスなハムと野菜である。
「それじゃ」
 今までの流れを無視することは出来ず、神綺のものから口にする。
「これは……!」
 まさか!? 
 彼女の見開かれた目はそれを物語り、美鈴のものに、続けて手を伸ばす。
「……嘘……そんな……」
「どうやら、この反応を見る限りでは……」
「……ええ」
 二人の料理人の視線が絡む。
「これは……私が初めて、この紅魔館で作ったサンドイッチ……」
「あら、本当。懐かしいわね」
「ほえ? そうなの? お姉さま」
「そうよ。……って、はしたない。一口で食べるんじゃないの」
「え~?」
 ぺちん、と手を軽く叩かれてフランドールが頬を膨らませる。
「記憶の中にうっすらとしか残っていなかった、塩気の強くて、美味しくなかった、あのサンドイッチ……。具材の内容も、まだ先輩メイドの見よう見まねに過ぎなくて、何が美味しいのか、どうすれば美味しくなるのか、それもわからず、手探りで作り上げた……。どうして、それがここに……」
「咲夜さんの記憶が、舌が、それを私たちに教えてくれたんです」
「味覚は記憶と直結するわ。頭の中に存在する思考回路は、ふとしたきっかけで活性化するほどの力を備えていながら、しかし、実体を伴わない虚実的な存在でもあるの。常に使われていなければたやすく衰えてしまうそれは、しかし、なくなってしまうわけではない。決してその存在を無体的なものにせず、常に実体的な有体物として存在はしているものの、感覚という刺激がもたらされなければ、それが再び目を開けることはない。
 だが、それ故に、一度刺激を受けてしまえば眠っていた存在は、それまで蓄えていた時間と力を最大限に発揮して魂に訴えかける。結果、舌から走るその想いは脳に至り、体中を駆けめぐり、あの日、あの時、あの場所のことを思い出させてくれるのよ」
「……そう」
 しんみりとした口調で咲夜がうなずいた。
 勝負は、どうなってしまうのだろうか。
 皆、静まりかえっている。この料理によって与えられた『刺激』が、過去の自分を蘇らせる。あの時の、あの日の、あの瞬間に思いを馳せ、ただ、頬に涙を伝わせる。
 それは、『それ』を知らないものから見れば滑稽なものなのだろう。しかし、『それ』を知っているものから見れば、それは決して何物にも代え難い大切なもの。忘れてはならない、大切な大切な『絆』の瞬間なのだ。
「……ふぅん。この思い出の味は、その記憶を想起させるにふさわしい存在を求められる。それほどまでの味を作るのは、さぞ大変で、それを出来るのは私だけだと思っていたけれど」
「ええ。『ドリーマー』の称号を得る神綺さん……あなたの得意料理ですよね、相手の記憶に訴えるのは」
「そうよ。だから、私は下調べを欠かさない。たとえどんな料理であろうとも、審査に当たるもの達は、過去、それを食べたことがある。そして、新鮮な感動を覚えたことがあるはずよ。どんなに老練な人生を送ってきた老人であってもそれは同じ事。
 そこに訴えることが出来る料理を作れれば、私の勝利は揺るがない。
 ……どうやら、この時点では決着はつかないようね。仕方ないわ、また新しい……」
「いいえ。勝負はここでつけます」
 美鈴はそう言いきると、新たに自分の厨房スペースから何かを取り出してくる。
「……これは?」
「どうぞ」
「私に?」
 無言で、美鈴はうなずいた。
 美鈴の出してきたものは小皿の上に載った卵焼き。これがどうしたのだ、と笑いながら、神綺はそれを箸で口に運ぶ。
 刹那。
「なっ……!?」
「神綺さん、あなたは忘れているようですね。
 私たち、料理人というものが、何者であるか」
「あ……ああ……これは……」
「私たち、料理人は、確かに料理を作るものです。ですが、その実体は、何のことはない、皆さんと同じく、料理を味わうための『お客様』に過ぎないんです。私にとって、私自身もまた、私の料理の客である。だからこそ、私は私が満足できないものは作りません。それは客を冒涜する行為だからです。
 そして、神綺さん。私の料理の客は、ここにいる皆さんだけではない。あなたもまた、私にとって、最高の『お客様』です」
「これ……は……。この、砂糖の味が強すぎて……それなのに、ふっくらとした柔らかさと卵の味がそれをフォローしてくれる、本当に……手作りの味は……!」
「アリスさんから聞きました」
 ぱんぱん、とレミリアが手を二回、叩く。するとドアが開いて、メイド達に案内されたアリスが姿を現す。
「あの~……なんかいきなり連れてこられて。一体何が……って……」
「これは……! これ……はっ……!」
「そう。それはかつて、アリスさんが、あなたに作ってあげていた卵焼き……。遠い昔から、ずっと――あなたと共に過ごした時間の中で、その想いを込めて作り続けていた、あなたにとっての、優しい絆の味。それを私は、そしてあなたの記憶は、こうして創り上げた」
「し、神綺さま!? 何で神綺さまがここにっ……!」
「うわ~~~~~ん、アリスちゃ~ん!」
「むぎゅぅっ!?」
 いきなり泣きながら神綺がアリスに向かって突進し、容赦なくその体を抱きしめる。
「ごめんね、ごめんね、ごめんね~! アリスちゃんをたった一人でこっちの世界に来させてしまって、本当にごめんねぇ~! お母さんを許して~!」
「ちょ、ちょっと神綺さま! どうしたんですかぁ!?」
「いいの、いいのよ! 何にも言わなくていいの!
 今夜は、ママが美味しいご飯をたくさん作ってあげる! アリスちゃんのために、ママが心を込めてお料理を作ってあげるからねぇ~!」
「ま、ママって、ちょっと……!?」
「美鈴。あれは何?」
「少し、つてを使って調べてみたんです。神綺さんの昔……そう、遠い遠い昔の記憶を」
 それは、たとえ今現在、『最高』の称号を与えられたものであっても味わうであろう感動を再現した味。
 あのアリスによって神綺に渡された、思い出の宝物。
 ちなみに『つてって何よ』という無粋なツッコミはしないのがお約束だ。
「うぇぇぇ~ん!」
「……もう。泣かないでくださいよ、神綺さま。
 ……って、この状況は何なのよ、一体」
「まあ」
 レミリアが、つと、席を立ち上がる。
「今回の勝負は引き分けでいいかしら?」
 勝負にならなそうだしね、と笑う。
 確かに、審査員一同、皆、言葉少なに目の前の食事に思いを馳せ、神綺に至っては涙腺崩壊してダメ人間状態になってしまっている。これで勝負を続けようとしても無駄なことだろう。
「料理人って、結構、かっこいいのね。わたしも料理を学ぼうかしら」
「あ、フランもするー! フランも、美味しいご飯作るー!」
「はい。かしこまりました。では、その時には、不肖、この私、紅美鈴が御指南させて頂きますね」
 などと、和やかに場の幕が下ろされていく。
 今回の勝負、美鈴にとっては『引き分け』でもいい勝負である。しかし、その勝負全てを見届けたレミリアは思う。
 やはり、今回も、美鈴の勝利は揺るがないのだ、と。



「あれから大変だったのよ」
 それから数日後のことである。
 博麗神社を訪れたアリスは、相変わらずのお茶飲み巫女に愚痴をつぶやく。
「神綺さまったら、もう『アリスちゃん』ばっかりで。ご飯を作るわ、お掃除するわ、お風呂に一緒に入ろうとするわ、挙げ句、ベッドにまで潜り込んできて」
「そりゃ大変だわ」
「『ママはもう帰るけど、ご飯、一杯作っておいたからね。ちゃんとお腹一杯、食べるのよ』って。別れ際にまでそれよ?
 おかげで、うちの冷蔵庫も冷凍庫も食べ物で一杯。どうしようかしら。あれ」
「いい話じゃないか」
 ふわりと空から舞い降りてくる影が一つ。
 すたっ、と華麗に箒の上から地面に着地する魔理沙の言葉に、まぁね、とアリスは肩をすくめる。
「しかし、思い出の味、か。いいもんだなぁ」
「何よ、魔理沙らしくもない」
「そうそう」
「うるさい。私だって女だ。過去に思いを馳せ、郷愁に浸ることだってあるんだぜ」
「郷愁、ねぇ」
 二人、顔を見合わせる。
「それじゃ、その郷愁に浸っている魔理沙に、今日は晩ご飯を作ってもらいましょうか」
「それはいいわね」
「おいおい、勘弁してくれよ。私はまだ修行中の身だぜ?」
「それなら、私たちが審査してあげるわ」
「そうよ、魔理沙。神綺さまとどっちが美味しいか、私が確認してあげる」
「たまらないな」
 空を見上げれば青空が広がっていた。
 自分の気持ちを全て代弁してくれるようなそれを見て、魔理沙は目を細める。
 ま、いいか。
 彼女はそう結論づけて「んじゃ、お茶の一つもごちそうしてくれるよな?」と霊夢にウインクを送って「お賽銭を入れたらね」と容赦ない反撃を受けたのだった。


「ねぇ、美鈴」
「はい?」
「……ありがとう」
「ほえ?」
「私……忘れていたわ。あの時の自分を……。ただ、右も左もわからないまま、ここにやってきた、あの頃のことを。
 あの時から、あなたはここで働いていた……私にとって、あなたも、そしてメイドのみんなも、みんなが先輩だったのに、今では……ね。
 ……私は少し、傲慢になっていたのかもしれない。それを、あなたは教えてくれた……」
「あ……」
 ありがとう、の言葉と共に。
「この前の、お・れ・い」

「……どうしよう?」
「ドア、開けるわけにもいかないわよね……」
 困惑するメイド達。
 もうそろそろ、レストランサービスのために厨房に火を入れないといけないのに、そこの最高責任者が、二人そろって朝からお楽しみなのだ。
 さすがに、呼びにきたはいいものの、まさかそんなことしてるなんて思わなかった。ここでドアを開けば、その段階で『お前悪者』と言われても文句言えない状態になるのは言うまでもない。
「……メイド長達が来るまで、私たちで何とかごまかす?」
「それしかないよね……」
 ため息混じりに、メイド達は踵を返した。そろそろ、本当に調理を始めないとレミリアがキレるのだ。
 ――少しだけ、耳を澄ませば。

『あっ、ちょ……美鈴……やっ……』
『うふふ……咲夜さんが悪いんですよ。私……ほら……』
『あんっ……やっ……ああ……』
『気持ちいいですよね……?』
『うん……気持ちいい……。ああ、だから、もっと……んっ……』

「よく考えてみればさ」
「何?」
「人間のメイド長と妖怪の美鈴さまじゃ、体力の基礎が違うのよね」
「そーよね」
 お幸せに、と。
 彼女たちは、そろって内心で同じ事を思い浮かべたのだった。


『あー、咲夜さん、やっぱり結構、凝ってますねー。肩なんてがちがちですよ』
『仕方ないじゃない。日々の苦労があるんだから……ああ~、そこそこ~……』
 ちなみに、やっていることは、日頃の労苦をねぎらうためのマッサージだったりするのだが。美鈴の奥義『気功マッサージ』の威力は、四十肩五十肩で肩が上がらないもの、腰と膝の痛みで歩くことすら辛いものに夢と希望を与えてきたのだ。もちろん、肩こりなんて何のその。


『やっ……ちょっ……いたっ……! 痛いっ……!』
『ふふふ。そうですか? それじゃ……』
『やぁーっ……! いたぁ~……!』

 なお、最近では足つぼマッサージにも凝っているらしかった。


『あ、ここが悪いみたいですね。えいっ』
『いだーっ! いだだだだっ! 痛い痛い痛いたいたいたい痛いーっ!』
『ああ~、こっちも、だいぶ悪いみたいですね~。もう、咲夜さん、無理しちゃダメですよー』
『痛いーっ! 痛いってーっ! ちょ……めーりん、やめてーっ!』
『それ』
『ぎぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁっ!!』


 紅魔館に響く、決して瀟洒とは言えない断末魔の悲鳴。それはきっと、咲夜と美鈴の絆……なんだろう。うん、多分。




 なお、さらに後日談。
「アリスちゃーん! ママ、来たわよー!」
「またですか、神綺さまー!?」
「さあ、ママの手料理、今日も味わってね!」
「……あははは」
『シャンハーイ』
『ホラーイ』
 それからしばらくの間、毎日のように自分の家を訪ねてくる神綺にアリスは疲れた顔で、もはや笑うことしかできない日々を送ることになるのだった。
 肩をぽんぽんと叩いて慰めてくれる上海人形と蓬莱人形が、妙に愛しく思えた瞬間だったと、後に彼女は述懐す。
「あら、アリスちゃん! ベッドの下にこんな本隠して!」
「わーっ! やめて神綺さまー!」
「じゃ、『ママ』って呼んで♪」
「う……うぅ……。ま、ママ、やめてぇ……」
「きゃーっ! ママってさいこー!」
「……引っ越ししようかな」

 終わり
そして、炎の料理人シリーズ第五弾となりました。
あと二つほどで終わります。それまで、どうぞ、おつきあいをお願い致します。
ついでに神綺さまがダメな人になってますが、まぁ、いいよね? 別にいいよね? と言うか、お母さんだし、いいよね?

相変わらず、バカ一です。
haruka
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コメント



0.3450簡易評価
5.70おやつ削除
神はチャーハンをこぼさない……っ!!
いや、普通に面白かったです。
旧作熱が上がってる今、非常にツボでございました。
6.70銀の夢削除
懐かしい味、か……
今ではもう私には決して何があっても食べられないもの、それを求めるとしたらやはり自身の記憶を掘り起こすしかないのでしょうか。
思い出を大事に、幻想郷の彼女らには日々の幸せあれ。
それにしてもダメお母さんな神綺さま可愛いよところでアリスベッドの下に何隠してたんだw
8.100SETH削除
お おかーさーーーーん!!
9.70名前が無い程度の能力削除
ママ...アリスはいじりやすくて可愛いなぁw
18.90名前が無い程度の能力削除
そうだなぁ・・・
今はおぼろげにしか覚えていない味がもう一度戻ってきたら、確かに泣くな
19.100竜造寺削除
神社]- ̄≧、……もう二度と作ってもらえない味。良いものですょね、思い出は。辛さや悲しさがまだぶり返しますが、何か大切なコト思い出しました。ありがとうございますナ
28.80名前が無い程度の能力削除
このシリーズを読むとお腹が減るから困る
31.100ちょこ削除
く、空腹時に読んでしまったから余計におなかが………orz
は、腹へ…った……(パタリ
33.60名前が無い程度の能力削除
前々から気になってたんですが
霊夢が咲夜を名前で呼ぶときは『咲夜』ですよ
少なくとも公式では
34.100削除
四天王最後の一人・・・正体不明・・・まさか・・・? いや、心に留めておこう。
35.無評価名前が無い程度の能力削除
クッキングファイター人口千人以上って……
弾幕が、幻想郷で最もポピュラーな対決手段の座を奪われる日も近い、か?
そして、咲夜さんが紅魔館を辞職しちゃう日もそう遠くないのでは、とか思っちゃいます。忠誠心薄れてきてますよ、レミリア様。
68.100時空や空間を翔る程度の能力削除
いやいや・・・・・・・
誰にでも心にあるソウルフード
大切にしたいですね。
81.100名前が無い程度の能力削除
美鈴の思い出の料理が気になるなぁ