Coolier - 新生・東方創想話

極東踊々夢

2005/12/10 22:21:37
最終更新
サイズ
36.88KB
ページ数
1
閲覧数
1518
評価数
24/135
POINT
6870
Rate
10.14

分類タグ


※この物語には、あなたの東方世界観を完膚なきまでに狂わせてしまいそうな
成分が多量に含まれております、ご覧になる場合は、医者(特に精神科医)に相談し
用法、容量を守って正しくお読みください――。(大人一日2stage 子供一日1stage)










「春ですよー! 春が来ますよー!」
「・・・そーなのかー?」
「頭が春な人が沢山来ますよー! あまり来て欲しくない春が来ますよー!」
「そーなのかー!」





    Stage 1

      白銀のロードローラー





「寒いわねぇ・・・もっと着込んでくるべきだったかしら」
白銀に光る山を一人のメイドが進み行く
「それなら、あたいがもっと寒くしてあげようか?」
メイドの前に現るは、湖上の妖精 チルノ、ここ雪山だけどね
「あなたはとっととお家に帰って冷凍みかんでもつついてなさい」
「そういうあんたこそ、とっとと犬小屋にでも帰ったらどう?」
「・・・言ってくれるわね、妖精風情が」
「チルノよ、チ・ル・ノ、そういうあんたも人間風情」
ふとその名前を聞いた瞬間、メイドの動きが固まった

「・・・・・・・・・・・・今、チルノって言ったかしら?」
「そうだよ、あたいがチルノさ」



   BOSS BATTLE

     暴虐で凄惨なメイド

         Izayoi Sakuya



「え?え?え? あたいがプレイヤーサイド!?」
「インディスクリミネイトォ!」
「みぎゃぁぁぁ!」
「殺人ドールッ!」
「ぎゃぴーー!」
「プライベートスクウェアッ!!」
「たーすーけーてぇー!」





「あら、今誰か叫ばなかった?」
「こんな真冬の雪山で叫ぶなんて、無謀もいいとこだぜ」
そして雪山に人影がもう二つ、ご存知巫女と魔法使い
「まあ、遭難はしたくないわね」

「そうなんかー」
突如現るは冬の精霊 レティ・ホワイトロック

「寒いぜ・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・ブフッ!」
「うけた!?」
「ごめん、くだらなすぎて・・・」


その時、ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・と、山の上の方から妙な音が・・・


「・・・・・・ほら、霊夢が笑うから嫌な音が聞こえてきたぜ」
「本当ね、白い波がこちらに・・・ああ、海に行きたい」
「現実逃避しちゃだめよ、逃げると死ぬわ!」
「「逃げないと死ぬんだよ!!」」


冬の雪山を3人が駆け下りて行く、背後に迫るは白い大壁
「振り向くな! 振り向くと死ぬぞ!!」
「安心なさい、振り向かなくても死ねるわ」
「不吉なこといってんじゃないわよデブ妖怪!」
「だ、誰がデブよ! この貧乳ズ!」
「「誰が貧乳だぁぁぁぁぁ!!」
罵り合いながらも全速力で突っ走る
しかし、それでも白い壁は凄い勢いで迫ってきていた

「まずいぜ、これは本当にまずいぜ!」
「魔理沙、マスタースパークでどーんとやっちゃって!」
「間に合わなかったら私が死ぬぜー!」
「たすけてぇぇぇぇぇぇー!!」
「「「チルノ!?」」」

不意を打ってなんと真後ろから飛び出てくるチルノ

「メイドがー!雪崩がー!」
「チルノ、意外と足が速いのね」
「え? 何で皆飛んでないの?」



「「「・・・・・・あ」」」



時すでに遅し、4人を今にも飲み込まんと覆いかぶさってくるはアバランチ
よく目を凝らせば、その波の上に乗っていたのは・・・・・・メイド長



「 ロ ー ド ロ ー ラ ー だ っ ! 」



 それは違うだろ(by魔理沙)










「ま、このぐらいやればあの氷精もくたばってるわね」
サク・・・サク・・・と、メイドが一人雪崩の後を歩く
「でもこの程度の妖怪が冬を長引かせてるわけはないし・・・次の黒幕を探ぶっ!」
いきなり脚が止まり、頭から雪につんのめる
「っは~・・・私がこけるなんて、木の枝かしら?」
そういって足元を見る、すると両足首を掴む謎の手が

「本気で・・・死ぬかと思ったぜ」
「くらいボムしなければ危なかったわよ・・・」
「そ、その声は霊夢に魔理沙!?」
雪の中から手だけ出して二人が喋る、日中の雪山のホラー
「お前もこの冷たさを味わえ!」
「腋が、腋が冷たいのよ!」
「や、やめて、引き込まないで!」



「いやぁぁぁ! 冷たいぃぃぃぃぃぃ・・・・・・」





ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・                 ぷぎゅぅ










  ― 極東踊々夢

      金色と変態と門番と 踊り狂うは春の花 ―










「あああああ、寒い寒い寒い寒い寒い」
「腋が冷たい腋が冷たい腋がぁ・・・」
「おおおお嬢様まままま・・・おじょじょさままがわらららってららっしゃるるる・・・」
雪の中から首だけ出して寒さに凍える人間達
「あなた達こんな所で何やってるの?」
その少し上で、一匹の猫妖怪がじーっと観察していた
「・・・・・・凍えてるのよ」
「ふーん・・・・・・じゃっ!」
「まま待ちなささいいい!」
飛び去ろうとした猫妖怪をメイドが呼び止めた
「・・・・・・ママタタタタタビビビ・・・あああるわわよよよお・・・」
「(ピクッ)」
「というわけで私らを助けると・・・いいことがあるかも知れないぜ?」
「(ピクピクッ)」


そしてこの空白で約2秒

「イエッサー! ただいまより救助活動に入らせていただきますっ!」





    Stage 2

      マヨヒガ強奪作戦





「はー・・・暖まるわぁ」
「やっぱ冬はコタツだぜ」
「そもそもあなた達が私を引きずり込まなければ三人とも普通に出れてたんじゃない・・・」
「まぁまぁ、過ぎたことは水に流そうぜ」
「そもそもあなたが雪崩に起こさなければこんなことにはならなかったのよ」
「過ぎたことは水に流しましょう」
マヨヒガのこたつで毛布に包まりながら暖まる、一見ほのぼのとして見えるが

ガッ!ガガッ!(ちょっと、ここは私の縄張りよ!)
ゲシゲシゲシ!(堅いこと言うなって、私だって寒いんだ!)
ドスドスドス!(こら、何気に私の領域まで足を伸ばすんじゃないわよ!)

コタツの中では壮絶な三国志が繰り広げられていた。


「お待たせー、橙特製、魚たっぷり鍋だよー!」
障子の戸をがらりと開けて、猫妖怪が入ってくる
「お、おお、これはおいしそうだぜ(霊夢め、コタツの半分を占拠してやがる)」
「へー、あなた、料理結構上手なのね(魔理沙、ここは共同戦線でいくわよ!)」
「おいしそうね、よだれが出てきちゃいそう(な!? 二人がかりなんて卑怯よ!)」
「えへへー、そうかなー♪(なんかコタツの中が騒がしいなぁ・・・)」


「うー、暖まるぜー」
「やっぱり冬は鍋よね」
「うう、熱い・・・猫舌が恨めしい・・・」
ガツガツと鍋に貪りつく三人、そしてそれを横からジーっと見てる猫妖怪
「あのぅ・・・・・・マタタビ・・・・・・」
「アツアツアツ・・・ほふ? ふぁ、ふぉうね、わふれふぇふぁわ」
猫妖怪の視線に気づくと、どこからとも無くマタタビを取り出して放り投げる
「ふにゃ~♪」
マタタビに飛びつき、幸せそうな顔でごろごろと酔っ払う、いやもう実に幸せそう、憎いぐらい

「ふぉふぉろふぇふぁふふぁ」
「ふぁふぃ?」
「ふぁんでまふぁふぁふぃふぁんふぁ、ふぉっふぇふぁんふぁ?」
「・・・ふぃみふふぉ」
「・・・ふぁふや、ふぁなふぁ、もふぃふぁしふぇ、ふぇふぉずふぃ?」
「・・・・・・・・・・・・ふぉーよ」
食べながら喋るなと、読む側の気持ち考えろと、つかなんで会話が成立するんだ

「ぷはー、美味かったぜ」
「魚なんか食べたの何年ぶりかしら」
「あなた、どういう生活してるのよ・・・」
三人ともお腹一杯になりながら、どさっと後ろに寝転がる、コタツの中はいまだに三国志
「んー、そういえば・・・ここってマヨヒガなのよね」
「それがどうかしたのか?」
「確かマヨヒガのものを持ち帰れば、幸せになれるって・・・」
「それ、私も聞いたことあるわ」
「幸せ・・・かぁ・・・・・・」





『ケヒヒヒヒ、今日もお賽銭が一杯よー!』

『あら魔理沙、今日も来てくれたのね・・・お茶にする? それともご飯? それとも・・・』

『咲夜さん・・・もう、もう我慢できません! 私・・・初めて出会った時から咲夜さんのことが――』





「「「ウヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘ」」」
あまりにも不気味な笑い声に猫妖怪の背中がビクッと反応する
だが悲しいかな、それは幸せではなく願望である

「(やる?)」
「(やろうぜ)」
「(やりましょう、是非とも)」
アイコンタクトで意思の疎通を一瞬で済ませる三人、こういう所が人間の恐ろしいところである、え、違う?


「橙ちゃ~ん」
「ふにゃぁ?」
相変わらず酔っ払っている猫妖怪にメイド長がこっそり近づく
その腕に抱えられたは超大量のマタタビ

ドササササササササササササササササササ!

「ふにゃぁぁー・・・・・・・・・・・・」
大量の弾幕・・・もとい大量のマタタビに押しつぶされる猫妖怪、きっと幸せだろう
「幻想郷中の猫が集まってきそうなほどの量だな」
「まったくね、さすが猫好き、猫マニアの中の猫マニア、猫の女王」
「なんか納得いかないわね」
事実ではあるけど・・・と思いながら、ふてくされるメイド長
「ま、なんにせよ」
「やりますか」
「やりましょう、絶対に」



広いマヨヒガを紅白と黒白とメイドが駆けずり回る
「茶碗!お箸!掛け軸!壷!全部持ち帰ればウハウハよー!」
「霊夢、このちゃぶ台はどうする!」
「私の腋に突っ込んで!」
「腋!? あなたどこにしまって・・・」
「どんなにでかい荷物もこのとーり! 制限無しに無限に収納だぜ!」
「霊夢の腋ってどうなってるのよ・・・・・・」
「それはこの私にもわからないぜ」
「いいから急ぐ! 猫が起きる前に片っ端から強奪うのよ!」
「「サーイエッサー!」」

「引き出しなんか開けてられないわ! タンスごといただく!」
「すべての畳という畳を引っぺがせー!」
「・・・・・・(この猫ちゃん、どうにかして奪えないかしら・・・)」
「よし、次は外の蔵よ!」
「どうせなら蔵ごと盗んじまおうぜ!」
「え、さすがにそれはあなたの腋でも・・・って、入るのっ!?」



「よし、次はこの部屋よ!」

ピシャッ! と勢いよく障子が開かれる

「グ~・・・Zzz・・・スピー・・・」

ピシャッ! と勢いよく障子が閉められる

「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
障子を閉めた体勢のまま、不動のままで約10秒
「私は、何も、見なかった」
「ああ、布団を放り出して衣服が乱れていてほとんどスッパの状態で寝ている女なんて見なかったぜ」
「ええ、ボディラインで負けたなんて、私はそんなこと見もしなかったし感じもしなかったわ」
何か見てはいけないものを見てしまったのか、彼女らは何かを気にしながら(特に胸のあたり)振り返った
「・・・・・・・・・・・・行きましょ、もうここに用は無いわ」
「・・・・・・・・・・・・そうだな」
「・・・・・・・・・・・・グスン」
そして後には何も無いマヨヒガだけが残った・・・


その5分ほど後だろうか、九つの尾を持つ狐妖怪が扉をがらっと開けて帰ってきた
「ただいまー、チェーン! おいしい魚取ってき・・・・・・なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
「うへへへえへへへええへへへ・・・・・・」
「こ、この声は橙! ど、どこにいるんだ橙! ああ! だ、大丈夫か橙!」
声のした方向に憑依荼吉尼天を発動しながら突貫し、マタタビに埋もれた橙を助け出す
「えへへえへ・・・・・・藍様、私が思いまするにフェルマーの最終定理とは相対性理論によって
スーパーカミオカンデが質量欠損し、それによって発生する隙間世界のエリザベス・テイラーであり・・・」
「賢くなってるー!? というかこれは賢いのか!?」
「よって宇宙創生とNASAの因果関係はにんにくとナマハゲの進化論によるメロンパンでして・・・」
「橙! しっかりしろ橙! チェエエエエエエエエエエエエエエーーーーーーーーン!!」

マヨヒガに悲痛な叫びが木霊した――





    Stage 3

      Alising





「冷えるのは、あなたの春度が足りないからじゃなくて?」

「こんな殺伐とした夜がいいのかしら?」

「他人の心配する位なら自分の心配したら?」


「・・・・・・よし、練習はこんなものでいいわね」
何の練習か分からないが、とにかく練習しているのは七色の人形使い アリス・マーガトロイド
「今日は私の、アリスとしての二度目のデビュー・・・見ててください、お母様」
右こぶしをぐっと握り締め、なぜか空を見上げながら涙を流す、アホ毛相手に

「さて、時間的にそろそろここを通るはず・・・・・・」
時間を計算しながら、周りに浮かんでいる人形の最終チェックを行う
この下準備が強さを保つ秘訣とか
「上海OK、蓬莱OK、グランギニョル・・・・・・は置いといてと、次は・・・・・・あれ?」
アリスの真後ろにアリスと同じぐらいの大きさの人形が一体
「・・・・・・こんな人形持ってきてたかしら?」
人形をじーっと見ながら記憶を思い返す

「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」

「コンパロコンパロ~、毒よ集まれ~」
「え? 喋っ・・・ぶべらっ!」
突如周囲を取り囲んだ毒を吸い、アリスの体から力が抜ける
「わーい、やったよスーさん、不意打ち成功だよ~」
「コフッ!ゴフッ!・・・ハァハァ・・・あんた一体何なのよ・・・」
「私? 私は人形、だけどもうすぐ人形じゃなくなるの、ね、スーさん」
人形は喋りながら倒れたアリスの周りをゆっくりと歩く

「どういう・・・ことよ」
「もうすぐ私はアリス・マーガトロイドになるの、そうだよね? スーさん」
大きな人形は自分の左肩に乗っている小さな人形に語りかける、しかし返事は無い
「ふざけないで・・・アリスは私よ!」
力を振り絞って立ち上がり、人形を睨む
「わあ、凄いわ、まだ動けるなんて」
「この程度の毒で私を倒そうなんて、100年早いわ!」


「毒パーンチ」
「ぐべっ!」
「毒キーック」
「おぶっ!」
「アルゼンチンドックブリーカー!」
「ごばぁっ!」
しかし、圧倒的力量差の前に、成す術なくぼこられるのであった

「つ・・・強い、強すぎる・・・」
「この人弱いねスーさん」
「くぅ・・・・・・」
全身に重傷を負い、もはや指一本動かすこともかなわぬアリスへ、人形が歩を進めていく
「それじゃ、さようなら~、アリス」
地に伏したアリスの正面にしゃがみ、その無機質な手をゆっくりとかざす
「コンパロコンパロ~、毒よ集まれ~」
アリスの周りに毒が集まり、意識を深い深い闇の奥へと誘ってゆく

「・・・・・・魔理・・・沙・・・私・・・・・・駄目だった・・・よ・・・・・・」
脳裏に浮かぶは魔理沙の姿、それは走馬灯なのか



『おいおい、アリス、そいつは私が狙ってた物だぜ』

『・・・え? 本当にくれるのか? 後で返せといっても返さないぜ?』

『あ・・・、アリス、その、なんだ、この前のお礼といっちゃ何だが・・・』

『アリス・・・駄目だって、こんな所じゃ・・・・・・あっ・・・』



「イィィィヤァッッハアアアアア!!」
「きゃああああ!?」
途端、アリスの体から膨れ上がった魔力が溢れ出す
「ハァ・・・ハァ・・・魔理沙のために、薔薇色の未来のために! 私は! 負けない!」
「あわわ、やばいよスーさん、どう見ても危ないよ(いろんな意味で)スーさん!」
「ふぅはははぁ・・・魔理沙ぁ・・・こいつを倒したら、すぐに会いにいくわ・・・・・・(ジュルリ」
アリスの目がキュピーンと光り輝き、口からはよだれが垂れる
「邪魔するものは・・・・・・全殺しっ!」
途端アリスの右腕に莫大な魔力が集い、形を成しはじめた

「欲望のぉぉぉ・・・・・・シェルブリッドォォォ!!」

形を変えた右腕と共に爆発的な勢いで人形へと突進する
「す、スーさんどうしよう、こんなの食らったら壊れちゃ・・・いやー!」
「真ん前からぶっ飛ばぁすっ!!」


メメタァッ!!


一瞬の閃光と奇妙な衝突音の後、立っていたのは一人の人形使いだけだった
「・・・ハァ・・・・・・終わったわ・・・何もかも・・・」
ふぅっと一息つき、足元のそれに目を見やる
「人形ね・・・結局、なんだったのかしら」
吹き飛んだ人形の頭だけが静かに、無機質にそこにあった
「・・・・・・コン・・・パロ・・・コンパ・・・ロ・・・」
「まだ動いてる!?」
「みン・・・な・・・・・・アツま・・・レ・・・」
しかしその言葉を最後に人形の目から光のようなものが消えてゆく

「・・・・・・何なのよもう」
人形の謎の発言、アリスになるとはどういうことか、色んな憶測がアリスの頭を飛び交う
しかし、もう一度ふぅっと一息つくと、再度魔力を自分の体に溜め始めた
「どうやら、色々と考えてる暇はなさそうね」

ザッザッザッと足音が近づいてくる、一人ではない、十人・・・百人、否、千体
「私以上の人形使いがいるってことかしら・・・一度お目にかかりたいわね」
膨大な数の人形達がアリスを取り囲む、スーさんスーさん大合唱は実にやかましい
「・・・・・・・・・・・・」
周囲を取り囲んだ人形を見渡し、目を瞑る、そしてゆっくりと口を開いた

「諸君、私は魔理沙が好きだ―――」

次の瞬間、魔法少女は全てを滅殺する七色の閃光となった・・・。











「う・・・なんか寒いぜ」
空を軽快に飛んでいた魔理沙に奇妙な寒気がはしる
「冬なんだから当然よ」
「いや、なんか違うんだ、こう・・・足先から頭のてっぺんまで毛虫が這いずり回ったような寒気がして・・・」
「雲の中だからじゃない?」
「うーん・・・何なんだろうな・・・気味が悪い」
訳が分からずに首をかしげる
「あなた達、もうすぐ雲を抜けるわよ」
メイド長が二人に声を掛ける、上を向くと光が見え始めていた





    Stage 4

      雲の上の幻奏決壊





雲を抜けると、眼前に広がるはただただ巨大な結界
「大きな結界ね・・・何を隠しているのかしら」
「・・・・・・魔道書!」
「猫よ! 猫に決まってる!」
「あんた達の頭にはそれしかないのか」
「無いぜ」
「無いわ」
「・・・聞いた私が馬鹿だった」
呆れながらも結界を見上げる
「桜の花びらっぽいはこの結界の向こうから来てるみたいだけど・・・」

「「「私達の演奏を聴けー!」」」
不意を打つ様に彼女達の真上から、騒霊三姉妹が突如現れた
「「「断る!」」」
が、一喝された

「ヒック・・・ヒック・・・やっぱり時代は私達なんか求めてないんだな・・・」
「くじけちゃ駄目よ姉さん、私達を必要としてくれる所はきっとあるわ」
「そうよ姉さん、こういう時は音楽で説得すればいいのよ」
器用に空中でいじける長女と器用になだめる次女三女

「どっちかっていうと私は三味線が好きね、津軽の」
「私はギターかしら、やっぱりメイドといえばロッ・・・コフン」
「私は・・・ピアノだな」
「「嘘ね」」
「・・・・・・どーせどーせ私なんか・・・(いじいじ」

「とにかくっ、私達の演奏を聴けぇー!!」
ひょんなやり取りの間に気を取り直した三姉妹が演奏を奏ではじめた

「では、お手並み拝見と」
「いくぜ」
「楽しみね」

~~~♪ ~♪ ~~♪
軽快な演奏と共に放たれた弾幕を軽やかに交わす・・・・・・実にレアな光景だ
「なかなかいい曲じゃない」
「弾幕のほうはちょっと物足りないがな」
「お嬢様にも聞かせてあげたいわね」

~ギ~~♪ ~~ボ~♪ ベン~~♪
「ギ?」
「ボ?」
「ベン?」
微妙に音程をはずした音が流れ、彼女達に嫌な予感が降り注ぐ

~~~ギャリボビボガギゴビョンリゲギギベバブギガミョガ!!
「ぎゃー! 耳が! 耳がー!」
「ジャイ○ンの歌よりひでぇ!!」
「前言撤回ぃぃ!!」

「(ああ、あんなに大声を張り上げて喜んでくれている!)」
「(姉さん!リリカ!ラストスパートよ!)」
「(OK!任せて~!)」

ギャバボビボバゴリゴベ(中略)ギャギゴガギバー!!


・・・・・・そして演奏がやみ、風の音が場を支配する
「終わった・・・」
「ああ、三人とも血の涙を流してまで喜んでくれてるわ」
「私達の演奏どうでした~?」


 ― 夢想封印 散 ―
 ― ノンディレクショナル ―
 ― パーフェクトスクウェア ―



「ああ・・・なんて過激なおひねり・・・」
「今日の雲上公演は大成功ね・・・」
「これ・・・本当におひねり?」
散々集中攻撃を受けながらもなお原型を保つ騒霊三姉妹
「こんなに酷い演奏は初めて聴いたわよ・・・」
そんな彼女らに霊夢からきっつぃ一言
「ガーン!」
「ゴーン!」
「ゲーン!」
「・・・その様子だと薄々自覚してたっぽいな」
呆れた顔で落ち込んでるのか落ち込んでないのか分からない三姉妹を見つめる
「まったく・・・、そのヴァイオリンを貸しなさい、本当の音楽というものを聞かせてあげるわ」
そう言うと、メイド長が返答も聞かずにヴァイオリンを取り上げた
「へー、咲夜がヴァイオリンを弾けるなんてね」
「これは意外だぜ、さすがは完全で瀟洒なメイド」
「ふん、よーく聴きなさい、そこの騒霊達もよ!」
「へーい」
「はーい」
「ほーい」





ギャリガゴギゴギゴゲガリガリギギギグゲゴガゴゴゲギガギゲー!!!
「ブルトゥスお前もかーっ!」
「し○かちゃんよりひでぇっ!!」
「めるぽぉぉぉぉぉぉ!!」
「メルランが錯乱したー!」
「なんかもう目茶苦茶ーーー!!!」



雲の上で収拾がつかなくなっている頃、雲の下では――

「さあどうした? まだ部隊の半数が吹き飛んだだけだぞ、かかってこい!
 弾幕を出せ!!体を変形させろ!! パーツを再構成して立ち上がれ!! 毒を集めて反撃しろ!!
 さあ戦いはこれからだお楽しみはこれからだ!! HURRY! HURRYHURRY!! HURRYHURRYHURRY!!!!」

アリスがどこかの吸血鬼のお嬢様とは比べ物にならないぐらいやばいモードに入っていた





    Stage 5

      中華人民共和国の中心で愛を叫んだら公安が(ry





 ― 眠符 消音結界 ―
 ― 魔砲 ファイナルスパーク ―

すべての音が消し去られた空間で、巨大な閃光が騒音の元を吹き飛ばす
「はぁ・・・はぁ・・・まさかこんな所でこの符が役に立つなんてね・・・」
「うええ・・・嫌な音を聴きすぎて気持ちが悪いぜ・・・」
幻想郷惨劇ランキングトップ10にノミネートされそうなほどの大惨劇の中
残機0というかもはやマイナスの状態で耐えしのいだ二人
「騒霊も騒音メイド長も吹き飛ばしたことだし、後はこの結界だな・・・うっぷ」
「つわり?」
「洒落にもならんことをさらっとした顔で言うな」
妙なやりとりをしながらも巨大な結界のすぐそばにまで近寄る
「どれ・・・オンパッキャラマド・・・」
「駄目よ魔理沙、そんなもので開くような結界じゃないわ」
「んん? ならどうするんだ?」
「まぁ、見てなさい」

魔理沙を下がらせると、結界の正面に立ち、お払い棒を構える
そして、お払い棒で結界を二度叩き、すうっと息を吸った

「宅配便でーす!!」
「・・・・・・それで空いたら私は泣くぜ」
「はーい」
「開いたぁ!?」
巨大な門を内側から開いたのは白い髪の庭師
「はっ! しまった、罠か!」
「遅い!」
庭師が急いで門を閉めようとするが、巫女がお払い棒や体の一部を門の隙間に捻じ込んで閉めさせない
「くぬ・・・押し売りはお断りですっ!」
「そんな事言・わ・ず・に~・・・いまならマヨヒガ直送の茶碗セットが月々3000円の12回払いでお得ケヒ~っ!」
「い・り・ま・せ・ん~!」
「畳とかタンスとかも付くケヒよーっ!」
「いりませんってばぁぁぁ~・・・」
「洗剤と紅魔館スカーレッツ対魔法の森ウィザーズの観戦チケットも付けるケヒー!」
「う、前者はともかく後者は魅力的・・・っていやいや!」
「その一瞬の隙が命取りケヒーッ!」
「ああ! しまった!」
長き攻防の果てについに開かれる異変の元凶への門
「さぁ、さぁさぁさぁ! マヨヒガ家財セット一式を買うケヒーッ!」
「ひぃぃ! 今月金欠で苦しいんです! どうかお見逃しをー!」
「金が無いのなら内臓を売ってでも作るケヒー!」
「いい加減にしろ」
「あだっ」
魔理沙が箒を思いっきり脳天に叩き付けて正気に戻す、やけに手馴れているのは気のせいか

「はぁ・・・助かりました・・・」
「いやいや、お礼は春を返してくれれば十分だぜ」
「ああ、それなら・・・・・・って、あなた達は何者っ!?」
庭師が剣を構え、殺気を放つ、それに応えるように霊夢達も戦闘態勢に入った
「巫女よ」
「魔法使いだぜ」
「嘘をつくなっ!」





「・・・ねぇ魔理沙、そんなに私の衣装って変かしら・・・」
「・・・・・・私だってどう見てもスタンダートな魔法使いのはずなんだが・・・」
「あ・・・その、えーと・・・ごめんなさい」

 ~仕切りなおし~

「あなた達のなけなしの春、幽々子様のためにすべて頂く!」
「折角集めた春を渡すつもりなどあるわけも無いぜ」
「あの世で死んでも、あの世に逝くのかしら」
白玉楼へと続く階段で今ようやくまともな弾幕勝負の幕が開ける――

と、次の瞬間ガチーンという音と共に、庭師が手に持っていた剣ごと何かに貼り付けになった
「腋から取り出しましたは巨大な陰陽玉型磁石ー、どんな刃物もすいすい接着、これは便利ー」
「え、あ、な、卑怯者ぉぉぉー!」
本当にまともな勝負が始まると思った人はここで脱落です

「く、剣が離れない・・・あ、私を無視して行くな! 待て! 待ってってば! 待ってくださーい! 待ってよー!」
後ろから何か聞こえるが、二人は完全に無視して階段の上へと飛んでいった
「うわぁぁぁぁん! 覚えてろぉぉぉぉーーー!!」

「霊夢、よくあんな都合のいいもの持ってたな」
「神社によく来る吸血鬼のお供対策よ、無駄だったけどね」
メイド長曰く、対策済だそうで


「さて、いよいよ目的地が見えてきたわ」
階段を飛び続けて幾数分、先に見えるは白玉楼の門
「はいはーい、二人ともそこまで! ここから先は通っちゃ駄目よー」
階段にどこかで聴いた声が響き渡る、そして門の前に立ち塞がるは・・・・・・中国
「げ、厄介な奴が・・・って、なんでここにいるんだ?」
「確かあなたは紅魔館の門番じゃなかった・・・?」

ヒュルリーと一陣の風が互いの間を通り抜ける

「ちょっとした都合がありまして・・・・・・」
目の幅一杯の涙を流しながら呟く中国
「まー、新しい就職先が見つかってよかったじゃないか」
「そうよ、頑張りなさい」
「はい! ありがとうござ・・・って、私が門番辞めることになった原因はあなた達じゃないですかっ!」
「あれ? そうだっけ?」
「・・・あー、そんなこともあったわね」
あなた達は鬼ですか

「とにかく、ここは通すわけには行きません!」
「仕方ないわね・・・力ずくで通らせてもらうわ、行くのよ魔理沙!」
「私かよ!」
「お・ね・が・い(はぁと」
「一分で吹っ飛ばしてくるぜ!」
「(ケヒヒ、利用するだけ利用したら魔理沙なんかポイよ)」
間違いなく片方は鬼でした

「それじゃ、愛しの霊夢の為にそこをどいてもらうぜ」
「ふ、今の私は烈海王より強い!」
「そうかい・・・ならいくぜ!」

 ― 恋符 マスタースパーク ―

「その程度の技!」

 ― 防守 我慢 ―

「・・・・・・それは有りなのか?」
「・・・どこからどう見ても有りじゃないですか」
閃光が通り抜けた後も、なお門の前に無傷で立ち続ける門番
「しょうがない、出力を上げるぜ?」
「耐え切ってみせる!」



 ― 恋心 ダブルスパーク ―

 ― 気守 超・我慢 ―





 ― 魔砲 ファイナルスパーク ―

 ― 心守 辛・我慢 ―





 ― 魔砲 ファイナルマスタースパーク ―

 ― 死守 痩・我慢 ―















 ― 得竜 シャインスパーク ―

 ― 異論 さすがにそれは反則だと思 ―





数度に渡るの大爆発の後、残されたのは巨大なクレーターのみ
「・・・まさかこの私に奥の手まで出させるなんてな」
「中国・・・貴方の名前は一生忘れないわ・・・」
胸の前で十字を切る、つか霊夢、あんた神道
「私の名前は中国じゃなぁぁぁぁぁい!」
その時、すっかり消し飛んだと思われた中国がクレーターのど真ん中から飛び出してきた
「な!?」
「嘘・・・・・・」
あまりの事に、驚きが隠せない二人

「「中国って名前じゃなかったの(か)!?」」



「いいんですいいんです・・・どうせ私の名前なんて誰も覚えてくれないんですから・・・いじいじ」
クレーターの中心に座り込み、地面にのの字を書き続ける門番
「しかし私の最強の技でも倒れないなんてな・・・・・・使用料高いのに」
「さすがは幻想郷我慢大会 夏・冬 五十連覇中の怪物なだけはあるわね」
「中国脅威論って奴だな」
「魔理沙、さすがにそれは苦しいわ」

「見つけたぞ侵入者ぁぁぁぁっ!!」
その時、突然の叫び声と共に、庭師が階段の下からものすごい勢いで駆け上がってきた
「うお、さっきの庭師!」
「あの磁石から逃れたっていうの!?」
その会話の合間にも、庭師はもの凄い速度で間を詰めてくる
「その胴・・・一振りで叩き斬る!」

 ― 未来永劫斬 ―

「そうはさせないわ」

 ― 殺人ドール ―

「何!?」
目の前に突如現れたナイフの壁、寸での所でかわす庭師
「咲夜、遅かったわね」
「まったくだぜ」
「博麗大結界まで吹き飛ばしておいてよく言うわよ」
そして再度三人が白玉楼に集った

「って、落ち込んでる場合じゃなーい!」
「ちっ、門番も復活したか!」
「あれあなたの部下だったんでしょ、何とか・・・・・・咲夜?」
そこには門番を見つめたまま微動だにしないメイド長の姿があった


「美鈴・・・・・・?」
「ここは通・・・・・・咲夜さん!?」
「ずっと・・・ずっと探してたのよ! 美鈴!」
「ど、どうして咲夜さんがここに・・・」


「中国って美鈴って名前だったのか・・・」
「どっちを向いている! あなた達の相手は私だっ!」
「そうね・・・そろそろ、決着を付けなきゃね」


「あの日あなたがチルノに連れ去られたって聞いて・・・心配していたのよ」
「そ、それは違います! あの日私は・・・私は自分から辞めたんです!」
「美鈴!? どうして!? 一緒に紅魔館を守るって約束したじゃない!」
「私は・・・私は紅魔館には必要無いんです・・・侵入者も止められない門番なんて価値が無いんです!」


「あなた達のなけなしの春・・・お嬢様の悲願の為に、ここで渡してもらう!」
「半分の幽霊、春の本当の居場所はここじゃない、自然に抗おうとしても無駄なだけ」
「まったくだ、いい加減返してもらうぜ、春をな」


「どうして、どうしてそんな事を言うの! あなたがいなかったら私はどうすればいいのよ!」
「咲夜さん・・・咲夜さんにはお嬢様達がいるじゃないですか! 私には何も無いんです!
 お嬢様のお役に立てる能力も、皆を守る力も、何も無いんですよ!」
「美鈴・・・・・・美鈴の・・・・・・・・・・・・鹿・・・・・・美鈴の馬鹿ぁぁぁぁぁ!!」
「へぶぅっ!? ・・・い、いきなり何・・・を・・・・・・・・・・・・咲夜・・・さん?」


「たとえ自然を敵にまわそうとも・・・お嬢様の為に・・・幽々子様の為に!」
「何を言っても無駄ね・・・、手加減はしないわ、幻想郷を乱した罪は重いわよ」
「お前みたいな奴嫌いじゃないんだがな・・・・・・もっと別な形で会いたかったぜ」


「美鈴の馬鹿馬鹿馬鹿ぁ! ・・・・・・戻って・・・きてよ・・・美鈴が私を拾ってくれたから私は生きているのに・・・
 美鈴が私を励ましてくれたから・・・頑張れたのに・・・・・・私を・・・私を置いていかないでっ・・・・・・美鈴・・・・・・!」
「咲夜さん・・・・・・だけど・・・だけど戻ってもお嬢様がなんて言うか・・・・・・もう紅魔館に私の居場所なんて・・・」
「居場所なんて・・・無かったら作ってあげる・・・あの時あなたが・・・一人だった私にしてくれたように・・・
 お嬢様にとってあなたが必要なくても、私が必要としてあげる! ・・・今度は、今度は私が美鈴を守る番だから!」
「咲夜・・・さん・・・・・・咲夜さぁぁん!」
「美鈴・・・メイリーーン!!」


「妖怪が鍛えたこ・・・この楼観剣・・・に・・・斬れぬものなど・・・殆ど無ぃ・・・」
「その楼観剣とやらで・・・博麗の巫女を斬ること・・・ができ・・・る・・・かしら?」
「あー、その、なんだ、うん、えーと・・・・・・邪魔にならないようにあっちでやらないか?」
「そ、そうですね」
「そうね・・・」














そして場所を移すは白玉楼の庭、桜が舞い散る中に対立する二人と一人
「妖怪が鍛えたこの楼観剣に、斬れぬものなど殆ど無い!」
妖夢が霊夢の目の前へと神速で踏み込み、上段から一気に剣を振り下ろす
「くっ・・・残念ね、博麗神社のお払い棒も、特別製なのよ」
両手で構えたお払い棒で楼観剣の一撃を受け止め、膠着状態となる
「敵は霊夢だけじゃないぜ!」
「横かっ!」
魔理沙の魔力を込めた箒の一撃を横っ飛びで回避し、体勢を立て直す
「なら・・・二人ともまとめて叩き斬るまで!」
楼観剣を右手に、白楼剣を左手に、二刀流こそ魂魄流剣術の真価
「はぁぁぁぁぁっ!!」
二人相手に一切臆することなく突進し、高速の剣捌きを見舞う
「さっきより・・・速い!」
「っと! 私は接近戦はそんなに・・・」
霊夢はお払い棒に、魔理沙は箒に魔力をこめ、猛攻を弾き続ける
「より速く・・・より鋭く!」
言葉どおりに、だんだんと妖夢の剣閃がより切れ味を増してゆく
「これじゃ箒が持たないぜ!」
「私のお払い棒だって・・・・・・っ!?」
その時、ほんのごくわずかに霊夢が体を崩した、地に散った桜の花びらの所為か
「もらったぁっ!」
隙を逃すはずも無く、妖夢が一太刀の下に切り捨てんと剣を振りかぶる
「(やられるっ!?)」

「あっ!?」
その瞬間、魔理沙が中空を指差した
「え?」
「チェストォッ!!」
「へぶあぁっ!!」
釣られて振り向いた妖夢に容赦無く箒の一撃をお見舞いする
「・・・ふぅ、さすがは魔理沙ね、ナイスアシスト」
「いやぁ、今のは本気で危なかったな」
「お、おのれっ・・・! だが二度と同じ手は食わないっ!」
妖夢は吹き飛ばされながらも態勢を立て直し、再度剣を構えなおす
「・・・気の抜けない相手ね」
「まったくだぜ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
さっきまでとは違い、今度は時間をかけながらじりじりと距離を詰めてくる
「(近い・・・弾幕を打とうとすればその瞬間・・・斬られる)」
さすがにこれ以上近づかれるのを躊躇ってか、霊夢達もゆっくりと下がる
しかし、近づけないと分かると庭師は一気に剣に妖力を集中させた
「すでに・・・・・・私の剣の射程内だっ!」

 ― 断命剣 迷津慈航「あっ!?」
「え?」
「牙突・棒式!!」
「みぶろっ!?」
またしても振り向いてしまった妖夢をお払い棒が突き飛ばす
「言った側からまた油断・・・馬鹿は死ななきゃ直らない」
「いや、半分死んでるぜ」
「お、おのれ・・・卑怯な、もっと正々堂々と戦えっ!」
地に伏したまま、霊夢達に向かって叫ぶ
「正々堂々~? 何を言ってるの、敵の隙を突いてこその戦いというものでしょ、自分の未熟を呪いなさい」
すでにかなりのダメージを負った妖夢に精神的にも大ダメージを与える霊夢、やっぱ鬼だ
「く・・・くぬぬぬぬ・・・・・・うあああああああ!」
だが妖夢も最後の力を振り絞って剣を構え直す

「「あっ!」」
「え?」
「「ダブルゲキガンフレアァァッ!!」」
「みょぉぉぉぉぉぉぉぉん・・・・・・・・・」


白玉楼庭師兼剣術指南役 魂魄妖夢 散る――





「さて、これからが本番ね・・・」
新しいお払い棒を腋から取り出し、白玉楼へと向ける巫女
「ああ、そして最後だぜ」
帽子を被りなおし、キッと屋敷を見据える魔法使い
「私達二人でどうにかできるかしら」
「さぁな、やるしかないぜ・・・ところで霊夢」
「何?」
「幽霊って・・・アンデッドの種類に含まれるよな?」
「・・・それがどうしたの?」





    FINAL STAGE

      隔離神社 欲求巫女

      境の世に妖の亡骸

      賽銭箱には万の札をたてまつれ
           我が住む屋に帰りたければ





パチパチ・・・・・・
「・・・・・・う」
パチパチ・・・・・・
「・・・この音は・・・?」
妙な音に、倒れていた庭師が目を覚ます
「う・・・あれ?」
気が付くと全身をロープでぐるぐる巻きにされていて、身動きが取れない
「あ・・・そうか、私は・・・」
パチパチ・・・・・・
「この音は・・・なんだ?」
自分の真後ろから聞こえてくる音に、何とか体を捻りながら振り返る

ゴオオオオオオ・・・・・・

そしてその目に映ったものは、真っ赤に燃え盛る白玉楼だった
「わー・・・きれーい・・・」


「じゃなああああああああああああああああああああああい!!!!!」




「はっはっは、燃えろ燃えろー!」
「燃やすのよ! 燃やし尽くすのよ!」
もちろん放火犯はこの二人である
「なにをするきさまらー!」
庭師が尺取虫のような動きで二人の下へと駆け?寄る
「お祓いよ」
「祓うなぁぁ!」
しれっと答える巫女
「アンデッドは火に弱いしな」
「アンデッド言うなぁっ!」
しれっと言い放つ魔法使い
その時、彼女達の近くの部分がついに崩れだした
「うおっと、危ない」
「さー、全部燃やすわよー」
「うひぃぃぃ!!」
さっと回避してさらに火の手を強めようとする二人と必死に逃げ回る庭師


「ああ・・・幽々子様・・・」
離れた場所で、燃えゆく白玉楼を眺め続ける庭師
「申し訳ありません、私がもっと強くあれば・・・私が・・・うう・・・」
膝が地をつき、庭師の目から大粒の涙がこぼれる
「何をしておる!!」
その時、謎の声が彼女を一喝した
「・・・! この声は・・・師匠!?」
すると、パラリと縛っていたロープが地に落ちる
「自ら膝をつくなど、勝負を捨てた者のすることぞぉ! 立て! 立ってみせい!」
いつの間にか彼女の背後に一人の老人が立っていた
「は、はい! 師匠!」
立ち上がり、向き合う二人


「妖夢よ・・・流派、魂魄流は!」

「庭師の風よ!」

「乾坤!」

「一擲!」

「一刀!」

「両断!」

「見よ! 白玉楼は!」

「紅く燃えているっ!」










「(って、それじゃ駄目なんですって! もうボケたんですか!?)」
「(はっはっは、こりゃうっかりしとったわい、ではさらばじゃ!)」
「(え、ちょ、師匠? 師匠ー!? 一体あなたは何をしに来たんですかー!)」

そして後に残されるは半人前一人であった




「うわぁ・・・なんか派手にやってますねー」
「霊夢達は何がしたいのかしら」
どっかの師匠と弟子がアジアごっこをしていた頃、メイドと門番がようやく白玉楼にご到着
ちなみに遅れた理由とか、着衣が少し乱れている理由とか、気にするとナイフ(サクッ

「あら、遅かったわね」
「仲直りはすんだのか?」
「ええ、おかげさまで」
「このたびはご迷惑をおかけしました・・・」
かけてないかけてない

「幽々子様ぁー!!」
再開を果たした4人の真横を通り抜け、庭師が燃え盛る白玉楼へと突入していく
「・・・・・・あの庭師、度胸あるわね」
「もし紅魔館が燃えてたらやっぱり咲夜も助けに行くのか?」
「うちのお嬢様は燃やされたぐらいじゃ死なないわよ」
「・・・・・・そうですね」



「幽々子様ー! ご無事ですかー! 返事をしてくださーい!」
落ちてくる瓦礫を切り捨てながら、燃え盛る白玉楼を駆けていく
「幽ー々ー子ー様ー!」
「・・・・・・・・・・・・むー・・・」
その時、かすかに主の声が耳へと入る
「幽々子様!?」
「・・・よー・・・・・・たー・・・」

「幽々子様! ここですか!? 」
声のする方向へ当社比140%増しでかけ進み、最後の扉を切り捨てる
「よーむ、お腹空いたー!」
そこには、燃え盛る白玉楼のど真ん中で茶碗を軽快なリズムで叩く亡霊の姿があった
「なにやってるんですか幽々子様ぁぁぁぁぁっ!!!」
「お昼ご飯待ってるのよ~・・・早く~」
「はい、ただいま・・・って違ーう!!」
「えー??」
「屋敷が燃えてるんですよ!? もうすぐ崩れそうなんですよ!?」
「よくあることよ」
「よくあるんですか!?」
「妖忌がいた頃は1年に8回ぐらいはあったわ、犯人は全部妖忌だったけど」
「師匠ー!? あんた本当に何やってんですかー!」
「というわけでお昼ごはんまだー?」
「そんなことより先に逃げてくださいよ! も、もう時間がー!」
「慌てたってどうにもならないわ、こういうときは腹ごしらえが一番、まだまだあなたも修行が足りないわよ?」
「ええっ!? で、でも・・・修行とは関係ない・・・ような・・・」
「関係あるわ、とにかくあなたは修行不足、わかったらもっと精進なさい、体も心も、ついでに胸もね」





      プツンッ





「あら? 今の音は何かしら?」
「・・・・・・人に散々苦労させて春を集めさせてよぉ・・・」
「妖・・・夢?」
「肝心の主は白玉楼が燃え盛っているのに茶碗叩いてやがってよぉ・・・」
「ど、どうしたの妖夢!?」
「言うに事欠いて修行不足だ・・・? 一人じゃ何も出来ない婆が何言ってやがる・・・」
「(ち、違う・・・これは妖夢じゃない! 私の妖夢はこんなこと言わない!)
あまりにも様子が激変した庭師に、思わず恐怖を感じ取る死人嬢

「・・・・・・私のこの手が光って唸る!」
「そ、その技は!?」
「主を殴れと轟き叫ぶ!!」
「嫌ぁ! 落ち着いて! 落ち着いて妖夢! 私が悪かったからっ!!」
「食らえ! 憎悪と! 怒りと! 憎しみをぉ!
 ソウルフィンガァァァッ! ソォォォォォドッ!!」
「愛と悲しみはどこにいったのよぉぉぉー・・・・・」





所変わって外では

「美鈴・・・あなたまた胸が大きくなったんじゃない?」
「え、以前と変わってないですよ? あっ・・・そ、そんなに揉まないでくださいよぅ」
何かやってるメイドと門番、本当に何をやってるんだ
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
それを横目で見つめる巫女と魔の者
「・・・・・・魔理沙・・・あなたまだ胸が大きくならないのね」
「え、そういう霊夢だって以前と変わってないぜ? あっ・・・こら、そんなに撫でるな」


「・・・・・・むなしいわね」
「・・・・・・むなしいぜ」

ズドォォォンッ!! と、そんな変なやりとりをしていた所に突如轟音、以下略
「なんだなんだ!?」
空高く巻き上がった噴煙から、落ちてくるは死人嬢

ヒュルルルルルル・・・・・・ぽてっ・・・ぽてっぽてっ・・・ぽよん

「なんか効果音おかしくないか?」
「そっちにツッコんでどうするのよ・・・あなたがここの主ね?」
ゴムマリのように跳ねて止まった死人嬢へ、巫女がお払い棒を突きつける
「うう・・・は、春を、春を返すから助けて~・・・」
顔を上げるや否や、泣きながら懇願してくる死人嬢
「ちょっと、どういうことかしら? ここまで来ていきなりそれは無いんじゃないの?」
突如の降参宣言に、メイドが言葉を投げかける
「一体何があったんだ?」
魔理沙がそう言い終えた瞬間、白玉楼からさらに大きな爆発が起こった


「・・・・・・魂魄妖夢・・・超状態(※)だっ!!」 ※ハイパーモードとも言う

爆炎の中から姿を現したのは、全身を金色に輝かせた庭師、非常に目によろしくない
「な、なによあれっ!?」
「ちょっとからかっただけなのよー!」
「と、とにかくこれはやばい臭いがプンプンするぜ・・・逃げるか?」
「それしか無いわね、ウチのお嬢様でも勝てそうに無いもの、むしろ一方的虐殺よ」

戦略的撤退が全員の頭に浮かび始めた頃、突如白玉楼の門(があった場所)が異常なオーラを帯び始めた

「こうなりゃ善は急げだ! 早く階段の方・・・・・・に・・・・・・」
門へと向かおうとした五人を待ち受けるのは、もはや人形使いとか言ってられなくなった少女の姿だった
「魔~理~沙~・・・うふうふふうふうふうふうふうふうふ・・・・・・」
「うわぁ!? ア、アリス!?」
「ちょっと魔理沙、あんたの知り合いなの!?」
「い、いや! 違う! 私の知ってるアリスはあんなにどす黒くて目が光ってたりはしない!」
「魔理沙ぁ・・・・・・愛したいほど殺してるっ!!」
「やっぱアリスだぁぁぁぁ!!」

 ― 反魂蝶 九分九厘咲 ―

「ひぃっ! なんか馬鹿でかい桜が弾幕を撒き散らしてきてますっ!」
「綺麗な弾幕ね・・・・・・ケヒヒヒ」
「あらあら、皆の頭に溜まった春が開花を促進させたのかしらね・・・うふふふ」
「急いでお花見セット用意しないと、またお嬢様に怒られるわ・・・」
「ははは、ついでにフランも連れてきてやれよ」
「ちょ、何皆さん現実逃避してるんですかぁぁ! 起きてください! 目を覚ましてくださーい!」
そんなやりとりの最中にも今にも食いかからんと距離を詰めてくる庭師と変態

「(くっ、皆さんがこんな状態じゃまともに戦えるのは私だけ・・・)」
絶望的状況にただ一人、生への道を模索する門番
「(今の私に残された道はふたつにひとつ――玉砕か特攻(※)――デッド・オア・アライブ!!」

※結果的にどちらとも死にます

「亡霊よ! 光になれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
「魔理沙ぁぁ! あなたの手も足も目も耳も鼻も口も何もかもが私のものよぉぉぉぉっ!!」

金色の庭師と黒色の変態がついに彼女達へ牙を振り下ろす、そこにあるのは絶対なる死
しかし、次の瞬間そこには信じられない光景が広がった

「う・・・ああああああ!!」
両者の攻撃を美鈴が真っ正面から受け止めたのだ
「幻想郷の皆っ! 私に・・・力をっ!」
相手の攻撃を弾き返し、二人の懐へと潜り込んで両の腕で二人を食い止める
「私は・・・・・・私はっ! 負けないっ!!」
すでに最初に受け止めた時に体は限界を超えていただろう
しかしそれでも全身の気を捻り出し、爆発させ、押し返す・・・その先にあるのは、荒れ狂う西行妖



『咲夜さん・・・あなたと会えて嬉しかった――』





舞い散る桜の花びらの中を、弾幕の嵐の中を、紅い閃光が駆け抜けていく
進む先には黒染めの桜、共に連れるは狂いし魔人と金色夜叉
決して戻れぬ道なき道を、ただひたすらに突き進む、その先に希望があると信じて
故に希望は掴まれるのであり、そしてそれは勝利となった

命を懸けて戦った女の名は紅 美鈴、紅魔館の門を守り続けた誇り高き門番
だが、彼女の名前が歴史に刻まれることは、決して無い


そして冥界を覆う光の中で、リン、リン、と鈴の音が遠く遠く響いていた――。






            終劇




魂魄 妖夢  全治二ヶ月 退院後、幽々子様の真面目な変貌ぶりに号泣
アリス・M  全治四ヶ月 入院中、魔界に速達で返品される
紅 美鈴    全治三時間 復帰後、暖かい部屋とおいしい食事を獲得

というわけで極東シリーズ第二段です・・・・・・謝りますから弾幕を打たな(ゲフッ
全編シリアス全開で書いてた筈なのに今読み返したらどう見てもギャグオンリーです
ありがとうございました。 でもやっぱり、美鈴と妖忌と藍はいいですね、位置付けが

※一部指摘による内容修正しました、今回はこんなに壊れてますが
次回の永(ゴフン)ではキュパーな展開になりますので・・・(多分
幻想と空想の混ぜ人
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.4860簡易評価
4.50名前が無い程度の能力削除
白銀のロードローラーに吹いた。後で私のオフィスに。
9.90名前を消された程度の能力削除
美鈴一番ダメージ大きそうなのに3時間で全快ですか!?
美鈴の驚異的な回復の早さはもはや暗黙の了解ですかねw
 
全体的な感想としては、かなりグダグダ感があったと思います。
ですが、私はこういうのはかなり好きなので問題ないです。
10.80名前が無い程度の能力削除
重箱の隅をつつくようなことですが「アンデット」ではなく「アンデッド」ですね。それは兎も角アリスの壊れっぷりが素敵です
14.70名前が無い程度の能力削除
>「諸君、私は魔理沙が好きだ―――」

なにその固有結界が発動しそうな魔術言語は(^^;
アリスヤヴァイけどかわいいよ!!1!1うぇ!wwwww
21.100月影蓮哉削除
もはや何も語るまい、お主、見事であった(誰?
スクライドやらナデシコやらGガンやらゲッターやら。
こういうぶっ壊れ系は大好きです。

アンデッドと聞けば、某仮面騎手・剣を思い浮かべたり。
幽々子様はカードによって封印(ぇ
23.100まっぴー削除
大馬鹿が来るぞ、大馬鹿が来るぞ!
こいつはいい、全部ぶち壊れだ

もう笑ったところを述べるだけでコメント超過になりそうなので。
この一言で勘弁してください。
26.100空欄削除
どう見ても脳内西行妖満開です。
本当にありがとう御座いました。
27.70どこかの誰か削除
愛の三面ボス二人に乾杯。振り替えりゃ、人間には怪我人がいないのねぇ…。
28.70変身D削除
美鈴化け物過ぎ(w
全編とても面白かったですが、最後までギャグなオチだったらなーとちょっと思ったり(^^;;;
35.70まんぼう削除
レッツゲキガンガ~スリ~♪
色々ネタが入っていて良い感じでした。
まあ、これは蛇足なんですが、紫と会うのって幽々子の後じゃ?w
46.100SETH削除
で、自殺には成功したのか?
48.70名前が無い程度の能力削除
美鈴愛されてるなあ・・・・。
54.無評価空想と幻想の混ぜ人削除
いろいろなメッセージありがとうございます。
ネタ元を知らないと楽しめないネタが多いですが
なんにせよ勢いとノリが私のすべてです
構成なんか考えな(ry

>まんぼう氏
大丈夫です、彼女達はただ障子を開けて閉めただけですから・・・フフフ

>変身D氏
とてもギャグで締めれる展開には持っていけませんでしたorz

さて、次回作ではあの二人が主人公! stage1を書いて正直激しく後悔中!
57.100名前が無い程度の能力削除
もう笑うしかないw
アリスガンガレ
65.70名乗る名前は奪われた。削除
ディスプレイがプリンまみれになっちゃったじゃないか。
70.60ぎちょふ削除
大人は汚いよなチ○ッピー
72.80葎灰削除
真・ゲッターネタの流れが素敵だった。そりゃ反則だよ
73.100名前が無い程度の能力削除
吹きましたw
地獄シングなアリスは最高でした!
次回作に激しく期待です!!
74.80シュウ削除
最初から最後まで笑いっぱなしでした。
― 得竜 シャインスパーク ―
― 異論 さすがにそれは反則だと思 ―
では、ちょっと噴出しましたよ

75.80ry削除
ラストわらた(ぇ
79.100Singo削除
スパロボネタが多いですね。
だからこそ大好きです(笑
109.100名前が無い程度の能力削除
ステージのタイトルがwwwwwwww
110.70名前が無い程度の能力削除
何良い話ぽくなってるんだよ!
113.100名前が無い程度の能力削除
美鈴チート過ぎるww
133.100名前が無い程度の能力削除
「さすがにそれは反則だと思」で吹いたwww

腹筋崩壊 全治5分