Coolier - 新生・東方創想話

兎は如何様な夢を見る

2020/05/16 15:59:49
最終更新
サイズ
152.03KB
ページ数
14
閲覧数
7440
評価数
10/11
POINT
1050
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17.92

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 兎は如何様な夢を見る (了)
お付き合いいただきありがとうございました。
今度はもう少し短い作品にしたいと思っています。
いさしろ通
http://twitter.com/Pon__Vinegar
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コメント



0.50簡易評価
1.100終身削除
は、初投稿!?熱量がとにかくすごかったと思います 鈴瑚がただ1人だけで生きのびようとしていた時、地上に降りるまで何度か重ねていた周りに対する見方の変化だったりや気づきだったり、そして色々と葛藤しながら答えを出さなくちゃいけない決心に一つ一つ重みがあって不思議と心に残ってどれも印象的でした 玉兎の鈴瑚にとっての夢の捉え方だったり兎が炎に飛び込んでいく場面だったりが繋がっていってどんどん大きな部分になってくるのがとても好きです 読み進めていくうちに何度も何度も心を動かされてどうしようもなかったです
2.100奇声を発する程度の能力削除
大作でとても面白かったです
読んで行く内に引き込まれて行きました
3.100名前が無い程度の能力削除
生き延びたいという正気だからこそ生まれる苦悩がひしひしと伝わってきました。火の中に飛び込む行為も穢れて生きるための一つの在り方なのかなと思いました。非常に面白かったです。
ホント戦争は地獄だぜ!
4.100名前が無い程度の能力削除
めちゃくちゃ面白かったです
射命丸との最後の会話に心が打たれました
この作品に出会えたことがとてもうれしいです
5.100名前が無い程度の能力削除
鈴瑚の過去編は作者によってさまざまな解釈があっておもしろいですね
特に兎が呑気な理由が 夢でつらい感情を抑制されているためと言うのが なるほどそう言う解釈か! と感心しました
その設定を活かして鈴瑚と清蘭の関係を掘りさげる手腕も見事です
なんだか兎たちの月での立場は 1984年の市民のように抑圧されていて 作者さんの考える月の雰囲気がとてもこのみでした
自作をたのしみにしています
6.100サク_ウマ削除
「さあ なにみて はねる 『跳ね玉兎』?」これで合ってますかしら。
月の狂気に当てられたが如き清蘭の様子から、バッドエンドとは行かないまでも、後味の悪い結末を予期していたのですが、けれどそこからの急激な正常化を説得力を持たせながら描き切ったのを見て、非常に唸らされました。素晴らしいと思います。
読み応えのある作品でした。良かったです。
7.100名前が無い程度の能力削除
素晴らしいあおりんごでした。
作品の内容もさることながら、文章構成が大変読みやすく作られており長文にも関わらずしっかりと読むことが出来ました。
二人の関係性も説得力のある内容で描けており、それによって戦禍の中再開するシーンでしっかり感動することが出来ました。鈴瑚の境遇と、団子を食べている理由、そして本当の好物になった過程も独自設定ながらしっくりくる内容で良かったです。
結局のところ幻想郷は平和で、広く受け入れている、という原作のテイストも生かされており、最後は皆合わせて幸せになれる終わり方で本当に素晴らしい結末だと感じました。
有難う御座いました。次回もそそわに投稿して頂けたら有難いなーと思います。
8.100名前が無い程度の能力削除
とても面白かったです
あおりんごの波動……!
10.100転箸 笑削除
凄まじい。読みきった時には疲れてしまいました。
鈴瑚も鈴瑚で、どことなく狂ってるように感じました。私だけかもしれませんが。
そして何より、清蘭の狂い方と慟哭。見事でした。玉兎の有り様、見れば見るほど悲しくなってしまいます。
11.100水十九石削除
この話はなんと言っても、精神を保つ為に催眠を掛けねばやってられないという世界構造の惨さに対して、抗っては見て見ぬ様に目を背く鈴瑚と、真っ向から立ち向かおうとして折れてそれでも夢物語を見ずにはいられない清蘭の対称性が凄く丁寧に表現されていた様でした。

団子を作るという訓練生時代のエピソードも、本当に清蘭の性格の良さが現れていて心温まって。だからこそ、その同期が次々と命を落として逃亡兵も出てしまって自分がのうのうと生きているという事実は耐えられなかったのだろうな、とも。
一人一人亡くなった同期との思い出も死因も鈴瑚は淡々と語るだけなのに、その視線の先の清蘭はと思うと彼女を無闇に責める事は出来ません。

鈴瑚もサグメからの呼び出しで気重になっては、清蘭という特大の爆弾の存在を背負いつつも逃げの着地点を描こうと必死で動いてでも叶わず。こうして転換点の前線基地への襲撃へと至る訳ですが、キュリオシティの起動と言い天魔との対峙と言い、この時点までは鈴瑚の抱く生の渇望自体が今あるその体では無く月における価値としての玉兎が前提に置かれていて。
その思考の行先が最初に語られた帝釈天のウサギの逸話の様に、生に這い蹲る玉兎が身を捨てて死地に向かってでも炎の中に飛び込んで清蘭の元へ向かおうと、体を動かすまでの葛藤に走馬灯。
そもそも何かを持っていないと生きていけない玉兎の社会構造との対比でありながらも、私を殺して公に徹していた玉兎が友情という私情で動き始めているというのは美しいと言い表す他ありませんでした。

作中での変遷を見るなら、清蘭の笑顔が一番良い味を出していたように思えます。
序盤の夢の中で見た狂気でも鈴仙への殺意の歪みでも無く、最後に鈴瑚と水を掛け合って心から笑い合えているその姿。夢を見なきゃやってられないのではなく、まさしく描いた夢に似た幻想世界に地に足付けて楽しめているというのは、心から清蘭が救われたのだという事を端的に表していて感服の余りです。

また、鈴瑚を取り巻くアイテムとしての団子も清蘭の笑顔と同じく作中でその意味を変化させていった物の一つの様に感じました。
思い出、自分の立場への苦悩、食べなければならないという束縛感の象徴でしたが、地上でその地の妖怪や清蘭と鍋を囲む事によってゆっくりと氷解させて、それに次いで彼女目線で長らく見ていなかった清蘭の餅搗きを心から楽しむ事によってそれらが打破されていったのが良かったです。
また、月でのそれらを断ち切って今後団子屋を開くのだな、と思うと吹っ切れる事の出来たその姿を手放しで喜ぶ事すら出来そうで。二度と戻らぬ道と知っていながらも、月に向かって跳ね続けていて欲しいものですね。

サグメ、文、久侘歌という羽持ちキャラの行動も良い塩梅で、独特の月観で跳ねる玉兎達を更に彩ってくれていた様でした。紺珠伝本編から地上に根座すまでの話として何の忌憚も無く純粋に楽しめました。ありがとうございました。団子含めてご馳走様です。