Coolier - 新生・東方創想話

月虹

2020/01/10 22:52:23
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 夜の絵の具を塗りたくった空に、ぽっかり白い穴が空いていた。
 普段なら小糠星も負けじと輝いているのだけれど、どうも今夜ばかりは眩い白の穴に飲まれているようで、妖怪の目でもなかなか見つけられない。
 よく見ると、洞のような白も暈されたように少しだけ縁が欠けていた。
 十六夜月と、呼ぶらしい。

 「咲夜さんだ……」
 「あら、呼びました?」

 思わぬ返答にどきりとして振り向くと、そこには彼女が立っていた。

 『十六夜咲夜』
 その名を与えたのは、レミリアお嬢様だった。
 時を止める彼女の能力とかけて、主人の望月のような栄華を動かぬものとするように、との願いを込めて。
 ちなみになんで十五夜じゃないんですかと聞くと『そこはちょっと主に譲ってもらおうと思って、語感もいいし』と適当なことを仰っていた。

 閑話休題

「どうしたんですか、咲夜さん」
「あと半刻もしたらお嬢様と妹様が起きて来られる時間だから、その前に少し見回りにね。主に貴女の仕事ぶりの」

 当の本人は対空監視に精を出していたみたいだけど、と付け加えられた。
 痛いところだ。

 「あはは……あんまり月が綺麗だったものですから」

 言うと、咲夜さんもつられて空を見る。

 「本当……ここまで輝いて見えるのは珍しいわね」
 「でしょう?十五夜の次だから十六夜っていうらしいんですよ。だから咲夜さんみたいだなあって」
 「成る程、先刻のはそういうこと」

 納得したあと、ややあって咲夜さんが続ける。

 「私が月なら、貴女は虹かしら」

 虹、か。
 確かに私は虹の七色を好んで使うし、人当たりがいいとかなんとかで太陽みたいやら虹のようだとかはお世辞でよく言われる。
 妖怪としては思うところがない訳でもないけれど、あまり悪い気もしない。
 ただ一つ不満をあげるとすれば

 「そうなると月と一緒には見られませんね」
 「あら、月にも虹は架かるのよ。知らない?」

 咲夜さんは常識であるかのように言うが、初耳だった。
 どうしてそう妙な知識が豊富なんだろう。

 「勿論、とても稀らしいけれど」

 いつも通り凛とした顔だけれど、少しだけはにかんで

 「だからこそ月に架かる虹ということでいいんじゃないかしら。無二ということで」

 またこのひとは冗談みたいに歯の浮くようなことを言う。
 嬉しいけれど。
 至極嬉しいけれど。

 「それだったら私、太陽でもいいです」
 「あら、つれないのね」
 「あれ、知らないんですか咲夜さん。だって-」

 月を照らせるのはあの星だけだから。
明けましておめでとうございます。

どうも、二作目です。
色々と触発されて甘めのを書こうとしたんですが
やっぱり僕にはまだまだむずかしいですね。

ともあれ掌篇ですが楽しんでいただければ幸いです。
レッドウッド
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コメント



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2.90奇声を発する程度の能力削除
雰囲気が良く素晴らしかったです
4.100電柱.削除
とても言葉選びが繊細で良い空気感でした。
ふとした一幕のような感じが良かったです。
5.100ヘンプ削除
かわいい……かわいい……
美鈴が健気でとても良かったです。
6.90名前が無い程度の能力削除
綺麗。
7.90名前が無い程度の能力削除
良いめーさくでした。
8.100平田削除
めーさくがつまっていました。
10.80ペプチド削除
面白かったです。
チョコレートのように激甘という訳ではないですけど、
私はこのぐらいの距離感のほうが好物です。


12.80名前が無い程度の能力削除
短いながらいい雰囲気。とある夜の一幕としてもいい
15.100終身削除
2人の会話に小粋なユーモアがあってこういうテンポの良いやり取り見るとなんだか憧れがあります 月の形だとか虹だとか例えもやり取りにとてもハマっていてお洒落なこういう夜にぴったりのやり取りなんだろうなと思いました