Coolier - 新生・東方創想話

居酒屋ミスチー [第3話】

2019/12/03 00:05:22
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今は冬、人里を歩けば少しずつイルミネーションがぽつぽつと
夜空に美しい星のように光る、その中いそいそと買い出しを
済ませ、今日はちょっぴり遅れて営業中

「妹紅さん、今日は珍しいものが手に入りましたよ」
「うん?珍しいもの?」
ドン、まな板の上に置かれたのは、幻想郷では手に入れることが
できないはずの鯛だった、ピチピチとまな板の上で踊っている
鱗には光沢のある新鮮そのものだった
「うへぇ…これまた凄いもの手に入れたな」
「まぁ、入手先は明かせませんが私の友人からいただきました
とても美味しい魚ですよ?」
ガラッ、これまたいいタイミングでお客が来店してきた、誰だろう
と、思っていると流石の女将もギョッとしてしまった、と同時に
少しばかり焦りを感じる
月の頭脳こと八意永琳とそのお姫様蓬莱山輝夜だった
「んな!?輝夜てめぇなんでこんなところに!?」
「あら?妹紅、最近見かけないと思ったらここにいたのね」
喧嘩が始まってしまうかと思われたが意外にもお姫様がなぜか
妙に落ち着いている、謎だったがその謎はすぐに解けた
「お姫様、行きたがっていたお店ですので騒ぎは起こさないでくださいね?」
「わかっているわ、妹紅私は喧嘩をしにきたわけじゃないの、この店の評判を聞いて嗜みにきたのよ」
「お、おぉ…そうか…」
なるほど、お姫様はこのちっぽけな居酒屋に飲みにきたのか
しかしお姫様ほどの方がどのような評判を聞いて来店されたのか
なんならどのような評判を聞いて月のお姫様がわざわざ足を運んで
来たのかは気にはなるが、おもてなしをするのが礼儀
いつも以上に気合が入る。

女将は頭の三角巾を縛り直し、棚から木箱を取り出した
比較的小さめだが中には何かが入っている、女将はゆっくりと
箱を開けるとそこには綺麗に保存された包丁が出てきた
その包丁を箱から取り出しサッと水で流した
水で濡れた包丁は艶のある包丁へと生まれ変わり、喜んでいるようだ
その包丁は鯛のエラに静かに差し込まれ鯛の捌きが始まった
「まるで職人のよう、手つきに迷いがないわ」
月の頭脳が褒める、その言葉もよそにせっせと捌いていく
一匹の鯛から内臓、エラが取り出されたが容姿は生きている時と
変わらず、今にも動き出しそうなほどであった
その鯛は鍋に入れられ調味料と同時に落し蓋で蓋をされ
コトコトと煮込まれていく、その間調味料の豊かな香りが
香ってくる、お姫様はその香りに食欲を掻き立てられる
待つ時間もこれもまた一つの楽しみだ
「味を落とさず閉じ込めた『鯛の煮付け』です」

いざ、目の前に置かれるとその迫力に圧倒される
珍しい海鮮、さらに外の世界でも高価で取引させる鯛
この魚を家庭的な調理法、煮付けで仕上げてしまった
活け造り等豪華なものをさらに豪華にする料理法もあるが
日頃から食べ慣れている料理法の方が口に合いハズレがない
コトッ、遅れて冷やが出された、冷やという名前なのに
少しぬるいのはお酒の味を最大限に引き出すためだ
お姫様はゆっくりと箸で腹をつついた、腹は柔らかく裂け
旨味の湯気が立ち上がる肉厚な身が出てきた
その肉厚な身は出し汁の味が染みている、うまく煮付け
られている証拠、しかし鯛ならではの味や歯ざわりは確かだった
噛むたびに甘辛い出汁がしみ、肉厚な身は柔らかく深い味わいだった
出汁の風味になった舌に冷やが入る、さらりとしとても飲みやすく
鯛の味わいを一層引き立てていった
「この魚は骨周り、特に目玉の周りが美味しいですよ」
「骨?骨ってどこの骨?」
「ここのことです、通称カマといわれるそうです
目の周りの骨にくっついている身、うまく取り出せず
やっとの思いで取り出した身は他の部位には負けないほど
しっかり味が付いている
目の周りにはプルプルとしたものが付いている、そのプルプルは
少しは生臭いがこちらも味が深く、大人の味と言ったところか
そしてまた冷やを一口飲む、変に選ぶより和食には日本酒を
合わせるのが良いのだろう

気付けば鯛も冷やも綺麗にいただいていた、鯛は余るところがなく
綺麗に魚の形を保ったまま骨だけになっていた
冷やは一滴残らず飲み干していた
お姫様は驚いていた、何千年、何万年と生きていたが
これほど食事を楽しんだのは久しぶりだった
食事を楽しんだお姫様と月の頭脳は店を後にした、お姫様は
今日の食事をとても褒めていた

「今度は私が鯛を持って行こうかしら」
どもども火油です!
今回のストーリーは豪華ゲストが来店されました!
次回はどうなるのかな?
火油
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コメント



0.110簡易評価
1.80名前が無い程度の能力削除
今回も美味しそうでしたね。
鯛のカマはたべたことないですが、ブリのカマなら食べたことあります。身が沢山あって食べ応えありましたねー。
3.90奇声を発する程度の能力削除
美味しそうでした
6.100南条削除
面白かったです
輝夜が満足するレベルでがっつりさばけるミスティアがすごいと思いました
今回もおいしそうでした
7.100モブ削除
やっぱり美味しい食事は万国共通で剣よりも強いのでしょうね。お腹がすきました。面白かったです。
8.100終身削除
ミスティアの腕ももちろんそうなんですけど元月人の2人が鯛を目の前で血やら内臓やら処理しているのを見ても不快にならないのは馴染んでるなあという感じがしてここの居酒屋の空気はとても良さそうだなと思いました