Coolier - 新生・東方創想話

3.14159

2019/09/28 17:19:52
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 蓮子の携帯端末は着信があると円周率を奏でる。
 0から9までの数字を音階に当て嵌め、例えば0=ド、1=レ、2=ミ……というようにして音楽を作り出していた。それらは全てヴァイオリンで演奏され、美しい音色をしていたけれど奇妙なものだった。
 着信音が鳴るのを私は一度しか聞いたことがない。連絡先を交換して確認のために鳴らしたあの一度だけ。大学構内に響いたヴァイオリンのメロディは誰も着信音だとは思わなかったようで、廊下に居た学生が不思議そうな顔をしていたのを覚えている。
 数字は美しい。
 そもそも音階の始まりも数字が導き出した。だから音楽が美しいのだって、当たり前なのだ。蓮子は私にそう説明した。

「なんでその美しい音楽を着信音にしてるの」
「永遠に鳴らし続けられるからよ」

 円周率はπという記号で全てを表されるが、未だに3.141592653589……と続いていく数字の果ては見つかっていない。
 果てのない音楽だからといって、電話を掛けてきた相手が彼女を根気強く待つことが出来なければ、音楽は途中で止まってしまう。
 そのことを指摘すると、蓮子は端末の光を帯びた顔をこちらも見ずに聞いた。

「ならメリーは何桁目まで鳴らしてくれる?」

 もう何桁目まで鳴らしたんだろう。
 あの時の質問に答えるにはぴったりの状況だ。待ち合わせの時間は一時間も過ぎていた。蓮子が待ち合わせに遅れるのはよくあることだけど、一時間も遅れたことなんて今までなかったのに。
 来た時は明るかった空もすっかり暗くなって、夏の緊張感のない空気が肌にまとわりついている。
 私はしばらくカフェで待って、最初の待ち合わせ場所に戻ってみた。当然のように蓮子は居らず、無駄足を踏んだ。諦めて電話を切ってしまおうとした時、夜道の向こうに聞き覚えのある曲が聞こえてきた。

「……蓮子?」

 思い出した。
 そうだ。この曲は蓮子の携帯端末の着信音だった。3.1415926535897932384626……果てのない美しい数字の音色。完璧な音楽。
 音を頼りに進んでいくと、黒い影が見えた。古風な黒帽子。ひねくれたような髪の毛が肩で揺れている。蓮子だ。後ろを向いている。彼女は立ち止まることなく携帯端末を取り出すと操作した。
 耳元の無機質な音が切り替わった。

「……もしもしメリー?」
「もしもし。貴女いつまで待たせ……」
「ごめん、悪気はないのよ」

 悪気はないなんて、それはちゃんと待ち合わせ場所を目指して歩いて欲しいものだわ。蓮子の後をつけながら怒鳴り付けないように気を付けた。
 今貴女の後ろにいるの、と言っても良かったけれど、素直に言う程私は性格が良くなかった。

「……なにしてたの」
「大学に用があったの。教授に呼び出されて」

 なんと言っていいのか分からなかった。嘘なのか本当なのかも分からない。しばらくの間二人とも黙り込んで沈黙の時間が続いた。

「まだ待ち合わせ場所にいる?」
「いるわけないわ」
「そう、良かった。今夜は行けなくなったの」
「もう来ないの?」
「それとも、まだ待てる?」

 試すような言葉に私はたじろいて立ち止まった。前を歩いている蓮子の背中を見るが、なんの変わりもなく歩き続けている。
 まるであの時みたいだわ。蓮子に同じような声のトーンで「何桁目まで鳴らしてくれる?」と聞かれたあの時みたい。少し時間は経ったものの、答えを出しても私達の関係は浅い。

「待てないわよ」
「そうよね」

 冷たく言った私に蓮子は相槌を打った。
 前を歩く蓮子が急に角を曲がり、私は慌てて小走りした。気付かれないように角でスピードを落として角を覗き、あれ、と思った。
 蓮子が消えていた。
 角を曲がるとしばらく歩かなければ角はないし、蓮子が入りそうな建物もない。走ってきたから辿り着くのにそう長くも掛からなかったはず。呆然として、雑音のように聞こえる音にはっとした。携帯端末を耳に当てる。

「……リー、メリー?聞こえてる?」
「ごめんなさい……聞いてなかったわ」
「また明日ね、って言ったのよ」
「ああ、そうね……また明日」

 そのまま通話は終了した。


 ○


 私達の共通の講義はほんの少しだった。
 薄暗い講義室に二人で並んで座っているのは夢の中にいるかのような浮遊感がある。そもそも蓮子は共通の講義を特に重要視しておらず、なんのために出席しているのかも分からない。今回の講義内容は昔の通信についてが主な内容だ。
 蓮子の広げたノートにペンのインクが打ち付けられていく。眠いのか目も口もぴったりと閉じていた。
 私はペンのノックをリズミカルに鳴らしてみた。111。21212。1111。
 蓮子の目がゆっくりと開く。

「なに、メリー」

 周りの学生が納得したように視線を散らす。学生の間ではたまに流行るコミュニケーションの一つである。私達は小声で話を続けた。

「貴女、魔法でも使えるの?」
「え」

 突飛な質問に蓮子はすっかり目が覚めた様子で私を見つめた。静かな驚きの音が広がるのがよく分かって、今までの浮遊感の正体が掴めそうな気がした。そう、私達はまるで海の底にいるみたいだった。
 教授がこちらを見、蓮子は素早く顔をノートに落として聞いてきた。

「……なんでそんな話になったの?」

 私は話すのを躊躇った。聞きたかったのは、昨日蓮子が私の目の前で消えて見せたことについてだった。でも、そのことを話すには私が彼女をつけていたことを話さなければならない。
 教授の言ったことをメモして、私は1を鳴らした。

「……昨日、貴女と電話する前にたまたま見つけたのよ。貴女が一人で夜道を歩いてるのを」
「そんな、つけてたの」
「成り行きよ。誤解しないで。それで……貴女は角を曲がっていきなり消えた。魔法でも使ったかのようにね」
「そこまで見てたのね」

 蓮子は気味悪げに言った。私は何も弁解しなかった。黙って、優等生のように座っていた。私が悪いのは勿論だけど、蓮子も悪いんだから。
 私は無意識に隣の蓮子を覗いた。彼女は口調のわりに気味の悪い微笑みをしていた。よく見つけたね、とでも言いたげな顔だ。

「見ちゃいけなかった?」
「いいえ、別にいいわよ」
「ねぇ、どうやって消えたの?」
「このことに関してメリーに一つ言っておかなければならないわ。私は意図的に消えたわけじゃないってね」
「無意識的に消えたっていうの?」
「違う。消えたように見えただけってことよ」
「偶然?」

 蓮子は微笑んで答えなかった。その後の講義は珍しく蓮子が生き生きと取り組んでいて、私は中々集中出来なかった。
 蓮子は講義が終わるまで口を開かなかった。終わると同時に、彼女は自分勝手に言う。頬に朱を差して楽しんでいるのがよく分かる。

「真相が知りたいのならまたあの場所へ来てよ。今夜こそ冒険に相応しいと思わない?」

 そういえば、今日は満月だった。


 ○


 秘封倶楽部の活動は昼夜何処でも構わず行うことが出来たけれど、夜の活動は別段に胸が踊る。決して褒められることはしていないので、夜の方が都合もいい。日が暮れたあたりで玄関の鍵を閉める行為は背徳的だ。
 待ち合わせ場所に着くと既に蓮子が待っていた。私の姿を認めると、何も言わずに歩きだす。後ろ姿が一定のリズムで揺れ、なにやら鼻歌も聞こえる。夜を歩いた。
 さん、いちよんいち……頭の中で響く音と蓮子の機嫌のいい声が重なる。果てのない音楽だった。

「それ……円周率の音楽よね」

 私が声を掛けると蓮子は振り向いて頷いた。

「したっけ、着信音の話」
「ええ、してたわよ」
「果てのない数字。果てのない音楽。ロマンがあるでしょう?」
「着信音にするには欠陥ものだけど」
「メリーに情趣はないの?」

 蓮子は呆れたように言った。彼女が特に記憶していないということは、私も忘れるべきだったかもしれない。あの質問もどうもあまり気分が良くない。
 昨夜蓮子が消えた場所まではそれほど掛からずに着いた。改めて辺りを観察してみたけれど、特筆するようなことはない。

「一つ謝らなければならないことがあるわ」

 蓮子は振り返って話した。

「昨日、教授から呼び出されて大学にいたと言ったけどあれ嘘なの。ごめん」

 言われて、ああ、やっぱり。とすぐに思った。確信めいた予感を持っていたわけでもないのに。私は短く「別にいいわよ」と言った。責めるまででなくてももう少し言いたいことはあったのに、表面的な答えしか出てこない。
 蓮子はにっこりと笑った。

「メリーならそう言ってくれると思った」
「私をどんな人だと思ってるのよ」
「謝れば許してくれるでしょ」
「状況によるわね」

 蓮子はカバンから紙を取り出した。怪訝な顔をしていると蓮子は宥めるようにこちらを見る。そして紙を見せてきた。どうやら掲示板のコピーらしい。

「掲示板のログからある情報を抜き取ってきたの。目の前で人が消えたっていう情報をね」
「それって……」
「言いたいことは分かるわ」

 まさに昨夜蓮子が消えた状況と同じ。

「それで私は境界の裂け目がある可能性を期待したんだけど、昨日メリーに会う前に気になって一人でその場所を見に行ったら、ある共通点があった」
「共通点?」
「そう。そして、この場所も例に漏れずそれは存在していたわ」
「何があったの?」

 そこで蓮子は右足で地面を鳴らした。1、1、1。意識していなかったけど、その足元にはマンホールが存在していた。鉄製の丸いものである。当たり前に存在していて、目に入っても無いものとして扱ってしまうもの。

「マンホール?」
「そう、マンホール。彼らはこの中に消えたと思われるわ。境界の裂け目は見える?」
「……いえ」
「なら、現実的に言うとこの可能性が高いというわけよ」
「貴女が消えたのもマンホールに入ったからなの?」
「ええ。魔法が使えれば良かったけど」

 蓮子は面白くなさそうに言った。「でも偶然メリーが目撃していたのは面白かったわね」
 今度は悪戯が上手くいったというように笑う。確かに情趣がない。人が消えた謎のトリックがマンホールだなんて。でもなんとなく納得した。私はそれで満足した。

「マンホールをどうやって開けたの?」
「簡単よ。マンホールオープナーを使ったの」
「当然のように言わないでくれる?」
「常識よ」
「……それにしても」
「何?」
「どうして消えた人たちはマンホールの中になんて入ったのかしらね」
「確かに、そうね」

 蓮子はそのことについては考えていなかったようで、目を大きくして手を打った。私は元よりそのことが気になっていた。蓮子自身は彼らが消えた謎を暴くためにマンホールに入ったけど、彼らに蓮子のような理由があるとは思えない。
 考えていると蓮子と視線がぶつかる。

「……」

 見つめ合い、お互いの考えていることがよく分かった。
 ふっと目に掛かった前髪を吹いて、蓮子は口を開く。私も口を開いた。

「中に入ってみない?」

 同時だった。
 蓮子が満足げに笑い、私も自然と笑顔がこぼれる。蓮子はカバンの中からトライアングルのような形をした道具を取り出した。これがマンホールオープナーというらしい。この時代に前衛的でない道具だ。
 蓮子はそれを慣れたように使い、マンホールを開けた。道にぽっかりと空いた穴は見慣れない不思議だ。

「さぁ、下水道探検と行きましょうか」
「秘封倶楽部には少し泥臭くない?蓮子」

 私がそう返すと、蓮子は少し驚いたような顔をした。そして、楽しそうに笑う。

「都会人にはそう見える?メリー」
「そうね。でも、それでもいいわ」

 気分が昂ってそう言った。

 ○


 23、93、51。水の音がする。
 錆び付いた鉄梯子を降りると、コンクリートで固められた道が月明かりで照らされて見えた。水も反射し、ひんやりとした雰囲気に私は息を飲んだ。
 蓮子が降りるとマンホールは閉められ、真っ暗になった。頭から光が降り、蓮子が携帯端末で照らして辺りを見ていた。私も遅れて端末の電源をつける。

「なんで彼らは下水道に入ったと思う?」
「さあね。下水道に何かあったと考えるのが自然だけど」

 私は曖昧に答えた。

「メリー、こんな都市伝説を知ってる?アメリカのニューヨークで飼われてたワニの話。飼えなくなったんでトイレに流したそうなんだけど、下水道で生きてたの。しかも、日に当たらないから白くなってたそうよ」
「そんなことありえるの?」
「ま、多分事実ではないでしょうけど。この下水道にも何かいるかもしれないわ」
「なにかって?」

 私を追い越して先を歩いていた蓮子が振り向いた。一緒に携帯端末の光がこちらを向いて、私は思わず目を細める。ぼんやりした輪郭がかろうじてそこに人がいるのだと教えてくれた。影が揺れる。

「それは──」

 光の角度が変わり、私は反射的に目を閉じ、ゆっくりと開けた。手に持っていた携帯端末で暗闇を照らし、一気に海面から頭を出したような気分に襲われた。
 蓮子がいない。
 急に水のにおいが鼻につくようになった。さっきまで気が付かなかったけど、この下水道は生活排水などではなく雨水が流れているらしい。においが、つんと鼻を刺すこの感覚が現実味を帯びている。

「……蓮子、どこ行ったの?」

 蓮子が消えたのは二度目だった。
 けれど一度目と違い、今回はきっとからくりはない。ここは既にマンホールの中で、マンホールはおろか隠れられる所なんて何処にもないのだから。
 とすると、彼女が消えたのは何か力が働いたと考えるのが自然かもしれない。
 私は立ち止まって彼女がいた一点を睨み付けていたけれど、息をついて歩き始めた。本来、秘封倶楽部の活動とはこういうものだったのだ。泥臭いなんてものではない。時代遅れなら、どうして私たちのいるこの世界は秘密だらけなのかしら。
 携帯端末で遠くまでは照らせない。焦らずに歩き、周囲を確認していく。マンホールの中に消えた彼らがなんのためにここに来たのかも調べなくてはならない。
 一人の下水道は気味が悪い。
 途中で何度か地上へ帰るためのマンホールを見つけた。なんとか開けられないかと試してみたが、パラパラと砂が落ちてくるだけで重くてびくともしなかった。マンホールオープナーは蓮子が持っているので、蓮子を見つけないと私は一生下水道に閉じ込められたままだということだ。ぞっとしない。
 思いついて、蓮子に電話を掛けてみた。呼び出し音が続く。不安だった。落ち着かず、歩き続けてみる。
 2525521293
 カンと空洞音が響いた。今までと質の違う足音は、どうやら地面の素材が違うらしいことを表している。足を引きずって確かめるようになぞった。
 そこには、マンホールがあった。


 ○


 3.1415926535897932384626……


 ○


 その時、円周率が鳴った。私は微かな音を聞いた。蓮子の着信音だ。
 手にきつく握っていた携帯端末は未だに彼女の携帯端末を鳴らしていた。私はかがみこみ、マンホールに触れた。鉄の冷たい感触が心地よい。恐る恐る、頭を近づけ、耳をマンホールにつける。確かに、あの音楽が聞こえる。
 同時に携帯端末を耳に当て、私は待った。しばらくして、ぷつりと音が切り替わる。

「2194912104754574415561」

 いきなり数字の羅列が流れ始めたので私は面食らう。けれど、確かに蓮子の声だった。何を意味しているのか、私には理解出来ない。マンホールから体を離し、座り込む。

「01413241424515513204」
「蓮子?なにいってるか分からないわ」
「……メリー、だから講義は真面目に受けるべきなのよ」
「……どういうこと?」

 蓮子がきちんと日本語を喋ったことに安堵した。このまま数字しか喋らないかと思ったから。でも、私はある一つの考えが浮かんでいた。彼女の「講義は真面目に受けるべき」という言葉。私はなんとか記憶を辿った。
 蓮子の息を吸い込む音で、覚悟した。

「422152616272432104137143441293440475127161211493552104」
「……」
「340324438554」

 最後は短かった。
 私は息をつき、マンホールを見つめた。全てを完璧に理解するのはとてもじゃないけど無理だった。
 蓮子が伝えたのは、おそらくこの世界の、この時代のことだった。かつて秘密を暴こうとしたものは私たちの他にいた。彼らは、地下に消えた。秘密を求めて。彼らは、今もここにいる。そして、私たちを求めてはいない。

「一つ、聞いていい?」
「なにかしら」
「なんで数字なの?」
「これが一番彼らに理解されないからよ」
「私にも理解されないと考えなかったの?」
「でも、これしかなかったわ」

 考えなかったわけではないということね。私はそのために苦労したのだけど。ツーカーで分かり合えるような仲じゃないんだから、出たとこ勝負のようなことはしないでほしい。でも、私は諦めた。彼女にそれを求めるのは間違ってる。

「いいわ、もう。蓮子、上を見て。マンホールがあるわ。それで上がってこれる?」
「ほんとだ。凄いわメリー」
「……大丈夫そうね」

 蓮子ののんきな声に私は通話を終了した。間もなく足元のマンホールがカタカタ音を立て、蓮子が顔を出した。
 手を貸してやり、引っ張り出す。蓮子はマンホールを閉めほっと息をついたようだった。その後さっき見つけた地上に繋がるマンホールに戻り、私たちはマンホールをこじ開けた。

「ああー!地上!帰ってきた!」

 先に出た蓮子が歓声を上げる。梯子に手を掛けて見上げた空は朝の始まりを告げていて、一晩中下水道の中にいたのかと思うと今更ながら寿命の縮まる思いがした。
 地上に顔を出すと蓮子が手を貸して引っ張り上げてくれた。なんとか地上に足をつける。辺りを見渡すと、ここは住宅街の隅にあるマンホールらしい。道の真ん中じゃなくて良かった。

「朝帰りね」
「流石に眠いわ。早く帰って寝よう」
「大学は?」
「休む。まさかメリーは行くの?」

 私はまさか、と言った。歩き続けて精神的にも疲弊した状態で講義に出たとしても、すぐに眠ってしまう。
 マンホールをしっかりと閉め、私たちは駅のある方向へ歩き始めた。

「ねぇメリー」
「なに?」
「今回の活動は有意義だったじゃない?ここにはまだ秘密が埋まってる。地下深くにね。これからはそういうことを見つけにいきましょう」
「それって、今までと同じじゃない」
「今まではただの霊能者サークルだったでしょ」
「これからだってそうよ」

 私はあくびを噛み殺しながら言った。そう、私たちがただの霊能者サークルであることに変わりはないもの。


「あ、蓮子、そういえば」
「なに?」
「あのことだけど」
「……あのこと、ね」
「私、ずっとは待ってられないわ。けど、鳴らしてる限り見つけてはあげる」

 蓮子は複雑そうな表情をしてみせたけど、すぐに眠たそうに瞼を落として頷いた。

「そういうことよ」
「そういうことか」

ひとなつ
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コメント



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1.100サク_ウマ削除
暗号ネタすごいなというか、こういう小ネタを本筋にしっかり絡めてくるの見事だなと思います。不気味さと綺麗さの程よく調和した良い作品でした。
2.90奇声を発する程度の能力削除
面白くお見事でした
3.100イド削除
文書の綺麗さに惚れ惚れします。良かったです
4.90南条削除
面白かったです
暗号でやり取りする蓮子達がよかったです
ただちょっとまだまだ謎が残っている気がして消化不良なところもありました
結局先人たちも蓮子たちのように秘密を探して自分からマンホールに入っていったんでしょうか
秘封倶楽部みたいな連中がたくさんいる街なんでしょうかね
5.100ヘンプ削除
記号はわからずじまいでしたが……ふたりの交流がこれからあるのかと思うとなんだかわくわくしました。
6.100封筒おとした削除
101100100100111 101100100001001 1001011101100010 111011001111101 11000001000100 1000101001100110 11000001111111 11000001100000 11000001101000 110000000011101 11000001000100 11000001111110 11000001010111 11000001011111