Coolier - 新生・東方創想話

紫苑の茶碗×針妙丸の茶碗

2019/09/25 22:51:01
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私は、博麗神社の洗い場で運命に出会った。
漆塗りの美しい光沢に、金の模様。
水に濡れて艶やかな照りを返すその姿。
同じ茶碗とは思えない程上品な彼女は、こちらに気がついたのか、器に溜まった水を僅かに溢した。

私も同じように水を溢そうとするが、器の端々が欠けているせいで、僅かに溢すなんて上品な事は出来ず。
色々な場所から水滴を落とすことになり、失敗した恥ずかしさに隠れたくなった。
ところが彼女は私のそんな姿がお気に召したのか、入ってきた風に乗せて幾滴もの水滴を表面に走らせる。

私のような見窄らしい茶碗のどこに、彼女は興味を惹かれたのだろうか。
距離にして茶碗一つ分。
近くも遠くも無い距離で、私はポタリポタリと楽しげに水滴を走らせる彼女に合わせ、漏れ出すような無様な溢し方で水滴を落とした。

ふと、浮遊感。
傾けられたせいで器の水が全て流し穴へと落ちていき、やがて壊さないような優しい手つきで表面を撫で洗われた。
この後は、他の茶碗と違っていつも日向で干されるものだが、何故か今日は違う。

逆さまに置かれた私の上に、先程の彼女が置かれたのだ。
未だ互いに濡れた身で、カチと小さな音を立てて触れた彼女のなんと軽い事だろう。
きっと材質が違うのだろう。
そう思い彼女を見ると、そこで初めて彼女の器を知った。

つるりと凹凸一つない表面に、ムラ無く一面に広がる紅の色。
地の色の私などとは比べモノにならない彼女は、またも面白がるように水滴を私に落としてきた。
彼女の体に触れた水滴が、私の体を走っていく。
その行為の背徳感に、私は興奮してしまった。

触れているせいか、そんな事を気取られるのも恥ずかしく。
割れてしまいそうな羞恥の中で、カタリと彼女が小さくズリ落ちた。
咄嗟に表面のザラザラで掴むと、凹凸一つ無かった彼女の器に小さな小さな傷が付き、引っかかるようにして止まる。

彼女は傷が出来たにも関わらず、喜ぶように水滴を一筋流した。

気がつけば、互いの体はもうどこも濡れていない。
乾ききった体は、いつもより暖かく。

再度、浮遊感。
茶箪笥に仕舞われた私の隣には、なんの偶然か彼女がいた。
ほんの微かに触れるか触れないかの距離で、私と彼女は並ぶ。

彼女の器についた小さな小さな傷は、私達しか知らない大きな大きな秘密なのだ。
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コメント



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1.60名前が無い程度の能力削除
発想力を評価します
2.20名前が無い程度の能力削除
雰囲気は良い気がする
7.100電柱.削除
色んな人がいますね
人じゃないですね、茶碗ですね
8.100ルミ海苔削除
なんでこんなに官能的なのか分かりませんでした。
面白かったです。
9.100南条削除
なんだこれは
なんなのだ
どういうことなのだ
10.100ヘンプ削除
とてもよかったです!
ひたむきで好きでした。
11.100やまじゅん削除
これはとてもえっちですよ。
茶碗でこんなにもえっちなら当人、特に紫苑が凄そうな気がします。
とても良かったです。
13.70名前が無い程度の能力削除
えっちだな……
14.100終身削除
茶碗×茶碗は知らない世界すぎましたレベルが高すぎる… 全く動けないままなのに文句一つ言わずに受け入れる器の大きさとめちゃくちゃ豊かな感性を持っていたのがなんかちょっと意地らしいと思いました