Coolier - 新生・東方創想話

モーマンタイ庭師ちゃん

2019/08/14 10:02:59
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 八百屋の店主は一目惚れというものに心の底から憧れていた。いつそうなったのかは自分でも分かっていない。貸本屋でよく読む小説のせいかもしれない。飯を食いながら、風呂に入りながら、なにか作業をしている時はいつもボーッとしながら自分が一目惚れに落ちる瞬間を想像する。ふんわりと甘いものなのだろうか。雷のような衝撃的ものなのだろうか。自分でもやめようと思っていたが癖になるとついついやめられない。酷いときには時々店番をしている時にもこんな心理に陥ってしまい、勘定を間違えてしまうことも度々あった。

 ある日のこと、男が店番をしているとき一人の奇妙な少女が。絹のようなやわらかそうな銀髪にそれと対比させてるような、目立つ緑色の洋服。背丈は普通だがどうにも鋭い雰囲気を纏っているような、じっと見ていると殺されそうなそんな見た目と雰囲気がどこか男を不安にさせた。男の手に嫌な汗がじんわりと滲み、体の中心から夜に一人で墓場を横切るようなゾクゾクとしたものがこみ上げる。しかしこの男、日ごろから常に桃色ばかり考えているせいで何を思ったのかこれを小説で読んだ恋心と勘違いしてしまう。どうしよう声を掛けようか、そんなことを考えているうちに彼女はお礼をいって去ってしまった。わざと勘定間違えて話題を作るべきだったか…… そんなことが一瞬頭をよぎったが、また明日来てくれるだろうとすぐに明るい気分になりその日は幸せな気分で過ごしたのだった。

 しかし、次に日もその次の日も彼女はやってこない。畜生と思い、男の心には初めて出会った時の自分にふつふつと殺意が湧き始める。それに答えるかのようにして勘違いの歪んだ恋心は日に日に増大していった。そして初めて少女にあってから一週間心の重みに耐えきれなくなり、何とか名前だけでも突き止めてやろうとその辺の事情に詳しそうな博麗の巫女に男は聞きに行った。長い石段をえっさほいさと汗だくになって登り切り、閑散としている境内を男は見渡す。出かけているのだろうかと思った瞬間、頭上で声がしたと同時に、まるで天女かのようにストンと男の前に着地する。まるで妖怪ではないか。逃げ出そうとも考えた男だったが、執着心の方がわずかに勝ち、警戒しつつも事情を話す。しかし流石は博麗の巫女、修羅場をなんども超えているせいか直感も人間離れしている。この男と少女を近づけるとよくないことが起こると瞬時に悟ると分からないの一点張り。しかし男のお礼はするからという一言で総崩れ。男は一週間分の売り上げと引き換えに名前から住んでるところ、性格など彼女の知っているありとあらゆることを引き出させることに成功した。

 巫女の情報から男は一晩で妖夢ちゃん人里徘徊マップを作成する。そして店の面に急病につき休みと看板を掲げるとさっそく茶屋に入りびたり、今か今かと待ち始める。ここの団子が彼女の主の好物らしく毎日買いに来るらしい。そしてやはり少女はやってきた。

「好きだあああああ妖夢ちゃんんんんんんんんん」

 突然大声で叫びだす男と気持ち悪がって回れ右をし全速力で走りだす少女。去り際に残した死ねと言う一言が男の精神を抉った。男は壊れた。一瞬の出来事である。ヘヘヘと笑いながら男は幽鬼のような顔でひたすら訳もなく歩き狂った。首でもくくってやるぞ。餓死してやるぞ。自害してやるぞ。野を超え山超え谷を越え、もう気力も使い果てて倒れそうになったその時である。夕暮れ時にちょっとそこのあなたと男を呼び止める声が。男が振り向くと青い髪、青い洋服に緑色の大きな鞄という格好の奇妙な少女が心配そうな顔をしてちょこんと立っており、傾いた日が彼女の影を大きく伸ばしていた。しかし例の少女とは違って纏っている雰囲気は全くの別。迎えられてるようななんとも暖かいような感じであった。話を聞いいてみるとくとどうやらその少女は河童で、困ってそうだから力になりたいという。男はそこでとある噂を思い出す。河童というものは技術力がとても高く、人知を超えた道具を作り出す能力を持っていると。男は泣きながら自分の失恋談を話す。その少女も例に漏れず河童特有の精神構造の持ち主でこの男を大いに憐れみ自分が力になるから三日間だけ待っていてと言って、男に妙な機械を頭にかざした。気が付くと男は自分の八百屋の前で寝ていたのだった。

 そして三日後、男がいつものように店番をしていると河童の少女がニコニコしながら店にやってきた。男は大喜びで早速河童の言葉に耳を傾ける。河童曰く一度既成事実を作ってしまえばいいとのことでこの八百屋を性交しないと出られない家に改造するという。男は大喜びで八百屋の胡瓜をありったけ河童に持たせて地面に頭をこすりつけて河童の少女の靴に接吻しだす。河童の少女は顔を赤らめて男に一時間どこか散歩でもするといいと言って男を八百屋から追い出した。さて、男は晴れやかな青空のような澄み切った気分で飛んでいる野鳥などを眺めながら散歩をし、銀髪の少女をどうやって店に誘い出すか思案を巡らす。そして男は彼女の主がとてつもない大食らいであることを博麗の巫女が言っていたこと思い出し早速作戦を練り上げた。

「はあ、幽々子様の昼食どうしようか…… おいしそうに食べてくれるのは嬉しいのだけれど、修行の時間が……」

 妖夢が人里を歩いているとなにやら八百屋の前に看板が。見てみると大食いの主を持った従者さんだけ野菜を無料でさし上げます、店の奥に上がってくださいとの文字が。妖夢はこれを見て大喜び。なんて私は運がいい。こんな難しい条件を突破できるのは私ぐらいのものだろう。妖夢は大喜びで八百屋に入ると奥の部屋へと靴を脱ぎニコニコしながら上がり込んだのだった。

 部屋に入ったが中は何故か薄暗い。奥に窓があるようだが何故か台風でもないのに雨戸が下りている。するとスルスルと妖夢の背後で音が鳴り、扉が閉まった。慌てて出ようとするが何故か開かない。こんな扉切り潰してやろうと剣を振ったが一向に歯が立たない。そのまま十分が経過する。何か特殊な結界でも貼ってあるのだろうか、妖夢は自分の非力さに薄暗い気持ちになる。そんなとき部屋の奥で声がする。見るとこの前団子屋で見かけた危ない人間ではないか。その人間はドロッとした視線を妖夢に向けるとゆっくりと口を開いた。

「いいかい、妖夢ちゃん。ここはね僕と交わらないと出られない部屋なんだ。さあ服を脱いでこちらへおいで、布団はきちんと敷いたし、部屋も暗くしてある。準備は完璧さ」

 妖夢は初めこの言葉の意味が全く理解できず、何回も頭の中で反芻した。自分の解釈に間違いは無いか。こいつは何を言っているのか。そして気づいたときには胃の中のものを全部畳に吐き出していた。目から涙が、体が何故か震えだす。私はこんなにも非力だったのか。私はどうすればいいのだろうか。頭に靄がかかったように全く思考がまとまらない。気が付いた時には目の前の人間の体は狂ったように滅茶苦茶になり部屋中にぶち撒かれ、吐瀉物と死体の入り混じった臭いが部屋中に充満していた。



「ねえ妖夢、最近少し変わったかしら。何か大人っぽくなったような……」

西行寺幽々子は茶碗を片手に首をかしげながら少しだけ嬉しそうに尋ねる。

「そうですか? まあ最近地獄のような目に会いましたからね。でも幽々子様と日頃から接しているお陰で何とか突破できたんですよ。やはり慣れというものは大事ですね。その点においてはあまり抵抗がありませんでしたから……」

そう言って銀髪の少女は少し寂しく笑うのだった。
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コメント



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1.100名前が無い程度の能力削除
誰も救われてないのに読後のスッキリ感がすごい
2.10名前が無い程度の能力削除
ちょっと、これはどうなんだろう?
3.10名前が無い程度の能力削除
男=作者さんですか?
4.90名前が無い程度の能力削除
いいんじゃないでしょうか
5.90ばかのひ削除
怒涛の文章、すごく良かったです
6.90奇声を発する程度の能力削除
面白かったです
8.100モブ削除
このテンポの良さよ。面白かったです
9.100ヘンプ削除
落ちが大好き!!!!
10.100電柱.削除
面白かったです
11.100南条削除
読んでいてとても面白かったです
すごく何もかもがうまくったような気がしました
これぞ妖夢ちゃんでした
12.100名前が無い程度の能力削除
変に気取る事もなく、最後までキモいおっさんを貫いたおっさんに敬礼
13.10名前が無い程度の能力削除
妖夢に強姦未遂したオリキャラキモ男のssなんてよく投稿しようと思いましたね