Coolier - 新生・東方創想話

小鈴死亡後そして阿求

2019/08/03 21:15:51
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肥えた若い女性がヨレヨレと鈴奈庵を訪問している。
自分の体重を支えられなくなった時の為に杖も所持して。
肥えた若い女性は雨の日以外この様な鈴奈庵通いが日課である。

時は10年以上前に遡る。
小鈴が深夜になっても帰って来ず,数少ない友人の家や稗田の娘に聞くも全く動向は掴めなかった。
両親は大急ぎで博麗の巫女に捜索を依頼した。
嫌な予感を感じた巫女は大急ぎで,風祝・新聞記者の天狗・そして魔法使いに捜索の協力を直ぐに依頼した。



巫女は感を頼りに妖怪の森へ行ったが,最悪な結果を迎えていた
小鈴は左側の胸から腹にかけて三分の一ほど横から食い破られ即死であった。
恐らく,妖怪に対する好奇心故に森に入ったのでろう。
血痕を見るに逃げた様子は無く,着衣の乱れやブーツの足跡がそれまで歩いていた物と変わらなかった。
自分で気づく間も無く,痛みも感じずに死んでいったのであろう。
傷一つも無い顔は好奇心旺盛で楽しそうなままで有った,その二点だけが幸せかもしれない。


妖怪が潜んでいる可能性が有る以上,巫女は常に襲撃に警戒しなければならない。
早急に遺体の収容を行うことも無闇に出来ないことが困った。
しかし,ここから離れてしまっては妖怪が森の奥に遺体を引きずりこみ骨も残らず食べられてしまうだろう。
仲間の助けが必要だ。
空に向かい大声で射命丸文の名を呼び続けた。
「耳と目の良い」射命丸は直ぐに降りてきて,事態を飲み込んだ。
この新聞記者さえ顔を歪めている。
相手はどんな妖怪か知れない,すぐに,風祝・命蓮寺の和尚・魔法使い・紅魔館のメイド・白玉楼の剣士を連れてくるように依頼した。
もう一点,この事は家族に修復不可能な衝撃を与える可能性が大きいことから,頼むからしばらく経つまで記事にしないでくれ,と強く懇願した。
厚顔無恥な記事を書くこの天狗も神妙な,どこか呆然とした顔をしながら同意した。


呼び出された6人を含め7人で,周囲を守りながら,遺体をどう運び出すか検討した。
命蓮寺の和尚が言った「自分の専門は供養だ」と。
和尚は一旦その場を離れ,命蓮寺の面々を連れ,棺桶も持ってきた。
棺は分限者でも滅多に使用しない最高級品だ。
和尚が言うには,貸本屋は人里や,人間に対して無害な妖怪に文化を与え続けた。
しかも貸本屋のタダの一人娘という事では無く,直接客と接し,見合った本を薦め,相談にも乗っていた。
この行為に対する最大限の礼だと言った。

顔と下半身以外,酷く損傷した小鈴を棺に入れ,死化粧するのは容易では無い。
丁寧に扱わないと既に飛び出した内臓が更に飛び出して地面に落ちてしまう。
そうなっては遺体が不自然な格好となるであろう。
誰かが一つ提案をした。食い破れられた部分にさらしを強く巻いてこれ以上内臓が飛び出さないようにしようと。
早速実行に移した。

死化粧を行う前に,血を拭い全身を拭いた。
相談の結果,死化粧は行わない事とした。
若い少女にしても綺麗な肌をしている。
必要ならば青くなった時にすれば良い。

ここまでの処置で,まだ十分暖かい事に気づいた。
血も茶色くならず,また完全に固くならず,糸を引いているが,まだヌメリ気があった。
つまり死んでからそれほど時間は経ってないと言うことだ。

つまり,食われた為に帰宅出来なかった訳ではなく。
帰らなかった疑いが濃厚である。
何か妖怪の仕業か?
或いは迷って昼の間に抜け出せなかったのか?
しかし,この小娘の事だ。
何れにせよ,妖怪の活動する夜になっても平然と歩いてたのは事実であろう。

とりあえず妖怪のことは後で処理を付ける。
この森には人が食われた事を明記し,絶対に人が入らないように警告をする。
これは射命丸に頼もう。

皆で相談した結果,翌朝早くに鈴奈庵に報告に行くこととした。
遺体は敢えてその翌日に引き渡す。
丸一日時間を置くのは,少しでも両親の落ち着きを取り戻させる事が一つ。
この間に,小鈴が好きだった市松模様の着物とエプロン,袴等々が酷く血で汚れており引き裂かれていた。
それらの新しい服を鈴奈庵から貰い全て私達で交換する。
両親には到底やらせるせること出来ない。

そして,全てが綺麗な状況で両親に引き渡す。
可愛い一人娘が凄惨な死に方をしたのだ,狼狽するのも目に見えてる。
酷い動揺から,何が起きたか分から無い状況となり,一人娘の最期の姿の記憶も葬式の記憶も残らなくなる可能性が有るのは酷だ。


ところで少々暑いので遺体が痛むのは確実だ。
葬儀までに匂いが発生したり,色が変わり始めるのは問題である。
冷やさなければならない。
紅魔館のメイドに依頼して,氷の妖精を拉致することにした。

氷の妖精を連れてくる前に,まだ暖かい小鈴の柔らかい唇に全員がキスをした。
その後,「最強のあたいが何で」とメイドに髪を鷲掴みにされ,叫んでいる氷の妖精が連れてこられた。
さすがのバカ妖精でも棺桶と中にいる貸本屋の娘を見ると,現状を把握し涙を流した。
涙を貯めながら氷の妖精が「パーフェクトフリーズ」と言いながら制御しつつ,10度程度に冷やし続けた。

翌朝,子鈴の両親に,博麗の巫女・風祝・命蓮寺の和尚が詳細は敢えて語らず,最悪の事態になってしまった事だけを伝えた。
私達は長い時間,深々と頭を下げつつも,母親の悲痛な叫び声が聞こえ続けた。
父親は我慢しているのだか,嗚咽を漏らしながら泣いている,腰も抜けているようだ。
母親は狼狽している。やはり可愛い一人娘だ。父親の方が衝撃が大きいようだった。
暫くして「新しい服をお召しあげたいので,好きだった市松模様の着物と袴などを頂けないでしょうか?」
「どうかお願いします,経帷子など着せたくない生前の小鈴ちゃんのままお別れをしたいのです。」
と言った所,子鈴の両親は一体どういう死に方をしたのだか大体予想がついた様である。


もう一箇所伝えなければならないが気が滅入る。
発狂するかも知れないからだ。
稗田亭に向かうと,普段接触の無い3人が訪れたことに阿求は困惑していた。
「お茶の用意をすると」言い,離れた途端,
稗田家の使用人に,小声かつ素早く事の成り行きを伝え,常に監視しておくことを忠告した。

一杯目のお茶が終わった後である。
普段の小鈴の話し・思い出話・良いところ・悪いところなど長い事話した。

二杯目のお茶を頂いた後,寿命が短い阿求と小鈴のこれからを聞いた。
小鈴の死を見たくないから,自分が先に死ぬことが嬉しいとまで。
とても楽しそうだった。

さて一通りの話が終わり,三杯目茶を淹れてくれた
そして,事前に申し合わせた通り,お茶を一気に飲み干すと三人で目を合わせた。
二人は下を向いたままで,博麗の巫女が小鈴が亡くなった事のみを伝えた。
具体的な事は一切言わなく,ともかく死亡したことと明日遺体が鈴奈庵に運ばれ,夜に通夜が開かれることだけを伝えた。
この三人は決して冗談を言わないことをしっている。

阿求は金切り声を上げながら泣き叫んだ。三人は何も言わず深々と礼だけをして出ていった。
途中,使用人たちに再び注意を促した。
阿求が落ち着くまで最低数十日後まで掛かるので,向こうから声を掛けるまで決して何も声を掛けないようにとも。


子鈴の遺体は,経帷子では無く,いつもお気に入りの市松模様の着物とエプロン,袴とブーツであった。
棺桶の中に入っていなければ,幸せそうに寝ているだけの様だった。
阿求は小鈴の両親よりも取り乱してる。
友達の少ない娘の最高の親友が押さえられるまで取り乱している姿を見ているのは余りにも辛かった。
小鈴の両親は剃刀を手に,小鈴の髪を片手一杯遺髪として切り取った。
また,遺爪も同じ箱に入れ阿求に渡した。
また愛用のメガネも手渡しした。
「稗田阿求さんが持てば小鈴も喜ぶ」と。
阿求は泣き腫らしたが,落ち着きを取り戻した。

命蓮寺に葬られることとなったが,更に遺髪を少々切り取り,鈴奈庵の庭に埋葬し,小さな祠のような墓が作られた。
分限者でも使うことは滅多に無い棺を贈ってくれた和尚・娘の遺体を回収してくれた博麗の巫女含めて7名。
遺体を保ってくれた氷の妖精。
子鈴の両親は無念ながらも,最大の配慮に対してた巫女と風祝・妖怪たちに涙を流した。

命蓮寺に埋葬に行く前のこと。
阿求は冷たく・硬くなった小鈴の唇に何分もキスをした,そして自らの髪飾りを棺に入れた。
そして,遺髪のお礼と,その場で小鈴の遺髪を切った剃刀で自らの髪を切り棺にを入れた。
遺髪のお礼とも言うべき量を。
そして,幻想郷縁起を書くのに愛用していた筆を入れた。

遺爪は故人の切った爪なのだが,阿求は遺爪を頂けた最大限のお礼として,爪を棺に入れようとした。
そしていかなる理由であっても小鈴を守れなかった自らへの罰としても,その場で爪を切るわけではなく次々と剥がし始めた。
すごい勢いで爪を剥がしても痛さすら感じない様子で,何が起きたか分からず,呆気にとられ最初止めら入るものは居なかったが,周りが取り押さえた。
しかし既に剥がされた爪は5本以上は棺に入れられた。

命蓮寺の本居家の墓へ埋葬し土を掛けている際,皆泣いていたが,阿求はだけは立つこともままならず,座りながらその作業を泣き腫らしながら見ていた。
「あと10年チョット」で私は死ねたのに…
小鈴よりも早く死ねたのに,何で…
人は愛するものよりも短く行きたいと思うものなの…


埋葬と読経が終わり帰宅の際も,腰の立たず,最早どこを見ているのか分からない阿求を霊夢他数名が屋敷に連れて行った。

古い慣習を持っていることから四十九日だけではなく,昔ながらの七日に一度,計七回の四十九日まで行われた
その都度,阿求は参加しているが,霊夢の背中に乗せられ,襷で固定されながら空を飛び移動していた。
阿求は葬式以来お茶以外何も口に出来なかった。

一周忌の際に,博麗の巫女から死について全ての詳細を伝えられたが,黙って涙が出るだけで狼狽はしなかった。
小鈴の父親から,小鈴が使っていた予備のメガネと筆記具,鈴の髪飾りが渡された。
「見ていると悲しくなる,阿求ちゃんが持っていた方が幸せだろう」との事であった。

そして七回忌を迎える頃,阿求は自らの体重を支えられなくなるほど太っていた。
かつて三回忌の頃までガリガリに痩せて,骸骨が服を着て歩いて居るような状況だった,のにも関わらずだ。

しかし,幻想郷縁起を書くのは自分の義務であり,分限者の家に住み何不自由無い生活を送っているのはその対価だ。
手が震えながらも書き続けた

三回忌の頃から変わり始めた。
子鈴の両親から「貰ってくれ,目の前に有ると悲しくなる」といった理由で,
市松模様の服・袴・蓄音機・椅子・机・布団・さらしから月経帯までも…。
小鈴に関するありとあらゆる遺品が送られれてきた
両親としては,かわいい一人娘の遺品を見ることさえ辛いのだろう

阿求に与えたのは「捨てるよりは大切にしてくれる人に」という或る意味厄介払いだったのかも知れない
服と布団には懐かしい小鈴の匂いが染み付き,泣き出した。
鈴奈庵に出向いた,以前来たのはいつだか不明である。
受付に座っているはずの小鈴が居ないところを見たくはない。
思い出したくないことから使いの者を出していた。
小鈴の遺品を頂いたことのお礼を渡した。
紙包に入った高級茶と筆,そして中身が分からないように紙で包んだ相当な現金,
恐らく鈴奈庵数年分の売上より多いだろう。

小鈴の父は大急ぎで,返却に来た。
しかし,「子鈴の遺品はこれよりも価値がある」と言い返却を意地でも固辞した。
「小鈴を守れなかった罪も有る,いずれこの罰を受けたい」とも。

そしてこの事を聞いた博麗の巫女が,小鈴が生前最期に着ていた血染めの服を持ってきた。
阿求は喜びながら貰った。
貧乏巫女に駄賃を渡すと非常に喜んだ。

小鈴の遺品を部屋中に飾る。
悲しいが,自信が出てきたが辛いことには変わらない。
時には使用済みの月経帯の匂いすら嗅ぐ。

ようやく人並みに食べられると思いきや,今度は過食になった。
裕福な稗田家では,数人分の食事が増えたところで何も問題は無い。
幻想郷縁起を汚さないように隣の机に山程持った白米や茶漬け漬物が常備され。
別方向の机には小鈴の遺品が並べられている。

今では鈴奈庵にも何とか行けるし,遺髪を納めた墓参りにも行ける。
ようやく幸せを見つけたのかも知れない。
幻想郷縁起も自分の知る限りは書き尽くした。
そう思いながら子鈴を思い受けべまた食べる。

憐憫な顔をしながら始終
「小鈴,地獄で100年閻魔様に仕えなければ行けないから転生しても会えないわね」
とうそぶいていた。


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そして時は来た。
幻想郷縁起の著者稗田阿求は,ある程度予定されていた寿命で亡くなった。

そして地獄で閻魔様に挨拶し
亡者の叫び声を聞きながら,悲しい気分で仕事を続けた。

そんな中で聞いたような叫び声がした。
まるで小鈴のようだと思って見ると。

全裸で有るが,かつて共に遊んだ時の姿のままの小鈴であった。

地獄で再会,嬉しいのだか,悲しいのだか。
しかもこちらは地獄の執行人側で小鈴は落とされた側。

事態が掴めないまま呆然としていると,鬼から色々聞いた。
そりゃ地獄に落ちても無理はないが余りにも可愛そうと思った。

どうしても助けたくて獄卒に事情や救出方法を聞くと
「あの姉ちゃん全く反省してないからダメ,逆に言えば罪は極めて軽いから反省すれば助ける」と。
小鈴は「助けて」だの「痛い,苦しい」だの
罪を犯したならば「ゴメンナサイ」と言うのが当然で,せいぜい「許して」でしょ。

反省促すために,話しかけて良いか閻魔様に聞いてみよう。
しかし,遺体にまでキスをして,月経帯の匂いまで嗅いだ大親友。
それが全裸で悲鳴を上げながら苦しんでる姿を見るのも興奮する。
稗田阿求は初めて女で有ることの快感を得,実感した瞬間だった。
妖怪に食われた人間とその家族・親友はどうなるかを書きたかったのです
幻想郷では妖怪に殺されることは或る意味自然災害のような物だと個人的には思ってますので,その後の対応はどうなるのだろう?と思いました

指摘にも有った通り一人称と三人称が混ざっております
霊夢パートは霊夢の一人称で進め,阿求パートは三人称で書きましたが
一部ゴジャ混ぜになっている状況です(自分が未熟なため)

名蓮寺は命蓮寺に書き直しました
ご指摘有難うございます
あおくろ
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コメント



0.10簡易評価
1.90モブ削除
多分、名蓮寺ではなく命蓮寺かと思います。
一人称と三人称がまざったあやふやとした感覚が、掴みどころなく面白く感じました。
2.90奇声を発する程度の能力削除
面白く良かったです
3.90ヘンプ削除
阿求が狂っていく過程がとても周りからはつらいさまがまざまざと感じました。
4.80ルミ海苔削除
独特な句読点の使い方ですね。

グロテスクな良いお話でした。
5.100南条削除
とても面白かったです
正直キャラの反応とかによくわからないところが多々あったのですが、淡々と進んでいく展開に違和感をかき消すほどの迫力がありました。
鬼気迫るものを感じました。
素晴らしかったです。
7.無評価名前が無い程度の能力削除
キャラクターを内臓飛び出させて平然と殺すし、小鈴が死んでるのに阿求から駄賃貰って大喜びの霊夢とか……
これだけキャラクターを凌辱している作品に否定のひとつもつかないコメント欄が信じられない。
8.無評価名前が無い程度の能力削除
文章は悪くないと思います
ただ、妖怪に殺された人間のその後を書きたいのか、阿求と小鈴の関係性を書きたいのか、よく分かりませんでした
どっちかに絞ったほうがもっとすっきりするかと思います。個人的な感想ですがこのままだと小鈴たちがただの村人Aとその親友に思えてしまって勿体ないです