Coolier - 新生・東方創想話

金色のイチョウ

2019/07/04 14:24:40
最終更新
サイズ
2.03KB
ページ数
1
閲覧数
1143
評価数
10/16
POINT
1100
Rate
13.24

分類タグ

ヘンプさんは、キャラ「秋穣子」、お題「金色」で何か書きます。
#東方SSシンプルお題ったー
https://t.co/nZK2HcGnLc


「金色?」
 私は素っ頓狂な声が出た。
「はい、そうです。いつも金色に例えられるものとかでなく、穣子様の中で金色だと思うものを教えて欲しいのです」
 紅葉の、食欲の秋となり私たち秋姉妹の季節になった。私を信仰する人達の挨拶回りをしていたら一人の女性がそう問うてきたのだ。
「金色、ねえ?」
 独り言を言いながら私は考える。
 さつまいもはいつも金色に例えられる……これじゃないでしょう。この人は普遍的に例えられるようなことを望んでいる訳では無い。

「穣子様……? すみません、無茶なことを言いました」
 私が悩んでいる所を見て気が引いたのか質問を取り下げる女性。
 礼をして引き下がろうとしている所で私は金色に纏わるものを思い出した。
「あ、ちょっと待って」
 私は引き止める。
「思いついたのよ。金色に例えられるものを」
「本当ですか?」
 にっこりと笑って話す。
「ええ。それはねイチョウよ。あの黄色は私にとって金色よ」
 答えを聞いた女性は喜んでいた。
「ふふ、穣子様らしい答えですね。ありがとうございました」
 満足したのか礼をして去っていった。

 ……危なかった。口を滑らせてはいけないことを言おうとしていた。
 金色はさつまいもの他はイチョウになるけれども。
 イチョウは姉さんのものだ。私に出来ないことをする姉さんはとても尊敬する。
 普段は敵視しているような言動を取るけれども。私は豊穣の神。作物を実らせることが出来る。紅葉や、イチョウのように美しく染めることは出来ない。
 それが何より尊敬するのである。

「……危なかった」

「何が危なかったのかしら? 穣子?」

「はわっ!? 姉さん!?」
 後ろから声をかけられて驚く。
「もう、驚きすぎよ」
 その言葉で私は後ろを向いた。
 一仕事を終えてきた姉さんはいつもより綺麗な、何より紅い姉さんの紅葉は私をいくらでも魅了する。
 気が付いたら姉さんに見とれていた。

「……子? 穣子?」

「はっ。姉さん、なに?」

「ボーッとしているようだったから」
「ううん。なんでもないよ。姉さんは綺麗ね」
「いきなりね。私の妹はどうかしたのかしら?」

 ……言いたいことは色々あるのかもしれないけれど。
「なんでもないよ。そのままの姉さんでいてね」
「本当に何なのよ穣子〜」
 うりゃうりゃと姉さんにくすぐられて私は大きな声で笑った。
「ふふ、穣子は恥ずかしがり屋ね」
「姉さんに言われたくないな……」
ヘンプ
[email protected]
簡易評価

点数のボタンをクリックしコメントなしで評価します。

コメント



0.200簡易評価
1.90奇声を発する程度の能力削除
良い雰囲気でした
2.90大豆まめ削除
仲良い秋姉妹可愛い…
ほっこりしました
3.100評価する程度の能力削除
めっちゃ尊い秋姉妹でした
グリウサで元気にやってたみたいでホントに嬉しいです
7.100モブ削除
甘いです。ありがとうございました。
8.100上条怜祇削除
いい姉妹愛だと思いました
9.90南条削除
姉リスペクトな穣子が尊かったです
12.100いいね! ゆっくりmiyaさん削除
一番最初に見たのがこの作品
13.100終身削除
嫉妬になりきらないくらいの小さくかわいらしい羨望が等身大でよかったと思います
近いようで遠い姉妹が微笑ましく、歯痒くもあり距離感の黄金比だったと思います
15.30bnvrflghlq削除
Muchas gracias. ?Como puedo iniciar sesion?
16.100名前が無い程度の能力削除
秋姉妹のほのぼのとした雰囲気がとても良かったです。