Coolier - 新生・東方創想話

ワインは何に例えられる?

2019/06/01 22:55:05
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 月が綺麗な夜だ。ことり、とグラスに注いだ瓶を咲夜は机に置いた。
「どうぞ、お客様?」
 ずる賢くこちらを見てウィンクしている。私はグラスのワインを見ながら言うのだ。
「咲夜、それ嫌がらせか?」
「だってねえ、魔理沙。侵入者を排除しようとしたらお嬢様が止めるんですもの。何を考えていらっしゃるのか」
 グラスを手に取り、ワインの色を楽しみながら問いかける。
「どう思ったんだ? レミリアがそう言ったのが」
「あら、それを聞くのね。とても野暮だわ」
「私は野暮なことも聞きたいんでね」
 大袈裟に困惑するような動作をしながら笑う咲夜。
「それはお嬢様の思いのままに。私たちは従者は知りませんわ」
「……ほんっとお前はずる賢いな。知っていそうなことすら客人に言わずに惑わすんだから」
「あら。光栄ですわ? ふふふ」
 そう笑って部屋から出ていった。

「本当に賢いよな。しかしこのワイン……甘口か?」
 ちびちびと楽しんで飲む。レミリア遅いな。

「ワインはキリストの血に例えられる。パンはキリストの肉体。この二つは聖体と呼ばれる。さあ、魔理沙。貴女は神に項垂れるのかしら?」
 後ろの空いている扉からコツコツと歩いてくる音が聞こえる。

「なんのことかな。私の前に神なんていないよ。そう言われたとて神なんていないんだから項垂れることも無いさ」
 キシシと後ろを向いて笑うのだ。私の後ろに立つレミリアはニイと笑っている。

「はは、やっぱりお前は面白い。なんと言うのか楽しみだったが、まさか『神がいない』とはな!」

「厳密に言えばキリストがいない、だけどな。私はそいつを知らん。あったことも無いやつに信仰するほど賢くもないんでな」
 そんなことを言って私は前を向く。レミリアは私の前の席に座った。
「今日止めておいて良かった。くだらないことを話したかったものでな」
「それするならパチュリーにでもしとけよ。私は何もしないぞ」
 予想外のことを言われたので保険を言っておく。
「パチェは聞いてくれないんでな。垂れ流すだけだ……ああ、月が良いな」
「まあそうだな。なぜお前はキリストの例えを出した?」
「ふむ。そうだな、ワインを出したものだからな。唐突に思い出したからだ」
 いつの間にか出されていたワインを口に含んでいる。
 いやー、咲夜早いな。時間止めて一瞬で置いて行きやがった。
「唐突すぎだろ。しかもレミリア、お前悪魔なのによくキリストとか言うよな?」
「まあ、特に何も無いからな。話とか聞くのは好きだからな」
「それをパチュリーから聞くんだろ?」
「そうそう」
 ははは。二人で笑う。

「あんたたち。何笑っているのよ」
「おやパチェ。来ないんじゃ無かったのかい」
 くすくす、と笑いながらレミリアは言う。
「何か噂されてると思ったら……まさにされていたじゃない」
「いつも通りなんじゃないのか」
「魔理沙が言うな」
 パチュリーに速攻、突っ込まれた。早い。

「それで何だったかしら。キリスト?」
「そうそうキリスト。ワインとパンの話さ」
「ああ、あれね。そんなことをレミィが話すなんて珍しいわね」
 二人の話は進む。
「あ、パチェもワイン飲む?」
「甘口かしら? それなら頂くわ」
「甘口ですよ。パチュリー様どうぞ」
 いきなり咲夜、出てくるなよ。
「あら、咲夜。ありがとうね」
 あれー私がいる意味。まあいいか。酒は楽しく飲むに限る。
「はっはは、飲むの楽しいなあ〜」
「魔理沙、程々にしときなさいよ」
「分かってる分かってる」
 まあ、羽目外して明日やばいかもしれないけどな!
ワインを飲みながら書いた。
美味しいっすね。
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コメント



0.70簡易評価
1.90奇声を発する程度の能力削除
雰囲気が面白くて良かったです
2.10名前が無い程度の能力削除
世界一有名な宗教をただ否定するだけでお話になってない。
3.90評価する程度の能力削除
ザ紅魔館って感じがして良かったです
欲を言えばもう少し長くてもよかったのと、文体に変化が欲しかったです…が、ワイン飲みながらとの事なので高めの点数で
5.90モブ削除
少し、オチが弱いとは思います。みんなが何も言わずに飲酒するあたりが、実に紅魔館です
6.100メイ=ヨトーホ=グミン削除
最初から最後まで安心して見れる感じがいいですね 会話も小粋で教養のある作りで紅魔館のひとときにぴったりな感じがしました
8.80むらう削除
わちゃわちゃしていてよいですね
9.90南条削除
彼女らのお互いのことをわかっている感がよかったです