Coolier - 新生・東方創想話

計画的な死、またはネクローシス

2019/04/30 00:13:25
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 アポトーシス、とはよく言ったものだ。
 幻想郷をひとつの人間の身体に見立てれば、計画的な死は沢山あることだろう。
 つまらん。とてもつまらん。
 外から迷い込んでくる人間は勝手に死んでいくが、幻想郷の里の人間は計画的に死んでいるところがあるだろう。里の守護者にでも言えば弾幕を放たれそうだが。

 八雲紫はやはりつまらん。八雲がつまらんと言うよりも幻想郷の計画的な死がつまらん。それだけである。

 幻想郷を人間の身体に見立てているが、異変が病気で、日常茶飯事にある事が消化機関などであり、里の人間が妖怪に襲われるのがアポトーシス。
 ふむ、この考えは悪くはないか。

「レミィ、私の隣で何を考えているのかしら?」

 パタンと本を閉じたパチェは私に問いかけてくる。

「ん、ああ、すまないパチェ」

「謝るくらいなら説明して欲しいのだけれど。いきなり隣に来てから黙り込むんだもの」

「ああ……そうだな……ふむ。パチェは幻想郷をひとつの身体に例えた時にアポトーシスはあると思うか?」

「アポトーシス? ネクローシスじゃなくて?」

 少し驚いた顔なのか、怪訝そうな顔をしている。
 ちなみにネクローシスは壊死のことだ。

「ああ、アポトーシスだよ。群生をとても良い状態に保つために管理された自殺の事さ」

 ふむ。とパチェは少し考えている。

「まあ。有り得るわね。レミィがどう考えているのかは分からないけども……」

「ありがとう、少し外に出てくるよ」

「まあ、良いけれど。いってらっしゃいな」

 その言葉を聞くと私はバサリと飛び去った。


 ***


 今日は上弦の月か。欠けた月というのも良いものだ。
 当てもなく飛び回る。散歩だ散歩。

 ふと飛んでいると視線を感じた。空中からの視線。どう考えても人間の視線ではないし、周りに妖怪も居ないことを確認済みだ。
 視線を感じた方にグングニルを思い切り投げた。

「あらあら。吸血鬼のあいさつはとても野蛮ね?」

 声と同時に出てきたスキマによって異次元に飛んだグングニル。本人は身体を半分ほどスキマから出している。

「八雲紫か。何の用だ。私は特に何もしていないのだが?」

 そう言うと私の後ろの森にドカーンと大きな音がした。おそらくグングニルが飛ばされたんだろう。

「まあまあ、そんなに斜に構えないでくださいな」

「ハッ、お前の前は斜に構えなければやってられないよ」

「あらあら……」

 クスクスと不敵に笑う八雲。

「本題は?」

 ろくな事がないのでさっさと終わらせたい。

「特にありませんわ。少し話したいと思っただけですもの」

「面倒くさいな。何故お前は回りくどい」

「それを問われても答える術はありませんわ」

「……面倒くさいぞ」

 ガリガリと頭を掻くしか出来ないではないか。特に話すこともないので無言が続く。
 ああ、こんなことになるなら外に出るのではなかったな。

「時に。幻想郷に壊死はあると思いで?」

 こいつ、絶対に覗き見していたな。まあいい、話に付き合うとするか。

「あるだろうよ。どこかが死ぬのはある事だ。その結論しかお前は持っていないから、被害を減らしたいから、アポトーシスを起こすんだろう?」

 ネクローシス、壊死なぞ、多くの細胞を持っていれば起こりうることだろう。
 何かに染まり、そして死んでいく。そんなことはよくある事だ。

「あら、見透かしたように言うのですね」

「見透かしたも何も私はこれしか知らん。お前もそうだから私に話を振るんだろう?」

 今日のこいつはとにかく面倒くさい。一人で考えとけ。

「まあいいですわ……またお会いしましょう」

 半分ほど出していた身体をスキマに落としたのかいなくなった。なんだったんだあいつは。とりあえず、紅魔館に帰ろうか。


 ***


 さっさと帰っては夜明けが近づいて来ていたので寝るに限る。
 話したことを忘れてやろう……

 そんなことを思いつつ私は就寝するのだ。

 アポトーシスはいつでも起こっているだろうよ……
どこかで起こり得ること。

以下Wikipedia様からの引用
アポトーシス、アポプトーシス (apoptosis) とは、多細胞生物の体を構成する細胞の死に方の一種で、個体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされる、管理・調節された細胞の自殺すなわちプログラムされた細胞死のこと。

壊死(えし)またはネクローシス(英: Necrosis、ギリシア語のνέκρωσις〔死〕由来)とは、自己融解によって生物の組織の一部分が死んでいく様、または死んだ細胞の痕跡のことである。
ヘンプ
henpu.doku@gmail.com
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コメント



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1.100終身名誉東方愚民削除
ひと昔前の小説みたいな感じで難解なところもありましたがテーマがしっかりと取られていて
流れがとても面白い感じでした
2.90奇声を発する程度の能力削除
しっかりした雰囲気で面白かったです
4.100ひとなつ削除
幻想郷を人に例えるのいいですね
この話結構好きです
5.100モブ削除
この「知ったことではない」感じが好きです
6.100南条削除
面白かったです
隠れ里を維持するためには必要なことなのだとおもいました
7.100サク_ウマ削除
なかなか雰囲気が良かったです。知能派レミリアは良い
8.90小野秋隆削除
面白かったです。