Coolier - 新生・東方創想話

誘い下手な人

2019/04/20 23:34:49
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「慧音、デートしよう!」

 唐突にそう言われたのは寺子屋帰りのこと。
「……えっ、良いけれども」
 さすがに驚いたので反応が遅れた。妹紅からそんなことを言われるなんて思ってもいなかったから。
「それじゃ、明日の朝に慧音の家に迎えに来るから!」
 そんなウキウキとした声で妹紅はさっさと帰ってしまった。
 ……明日どうすればいいんだろうか。

 ~*~*~

 いつもの服を着た。さすがに出かけるような洒落たものなど生憎様持っていないのだ。

「おーい、慧音ー? 迎えに来たよー?」

 外から声がしたので私は出る。
「おはよう、妹紅」
「おはよう、慧音」
 あいさつしか出来なくてなんかむず痒い。デートって妹紅はなにをしようと思っているんだろうか。
「さ、行こっか」
 そう言いながら妹紅は私の手を引いた。

 ***

 ……着いたのは竹林だった。妹紅の家に着いた。そして何やら妹紅は着いたと同時に何かを取りに行っていた。
「はい、これ」
「これ、は?」
 渡されたものに驚愕しか出なかった。
「え、さすがに分かるでしょ? 背負い籠とスコップだけど」
 私はそれを受け取りながら話す。
「……なあ妹紅? 何をするんだ?」
 なんか物凄く嫌な予感がしてきた。
「何って……タケノコ取りだけど?」
 そんな気はしていた。嬉しそうな妹紅に水を指すのは嫌だったので何も言わずに籠を背負った。
「うーん? どうしたの慧音?」
「なんでもないぞ。さ、どこに行って取るんだ?」
 ちょっと……所ではないが残念だと思った。

 ~*~*~

 慧音と一緒にタケノコを取り始めた。この時期はよく取れるので何をしてもいいのでよく取りに行く。慧音に手伝ってもらおうと思ったから誘ったんだけど……
 なんか、残念そうにしているのが気になる。私、なにか言ったのかな。
 そんなことを思いつつ、二人で取っているとガサガサとうさぎたちが永遠亭の方に行ったのを見た。
 なんだろうか?よく分からないけれど慧音といる方がいいから行かないけれども。

「うわぁぁ!?」

 よそ見をしていたら慧音の悲鳴が聞こえた。
「慧音? どうしたの……?!」
 悲鳴のした方向を見ると落とし穴があるではないか。こりゃ、てゐのやつじゃないか。よりによってなんでこんな所に。
「大丈夫か!?」
 私はスコップを放り投げて落とし穴の底を見る。
「あ、ああ。少し足を捻っただけだよ。大丈夫」
「足を捻った? ちょっと待ってて、そっち行くから」
 私は飛んでゆっくりと穴の中に入っていく。
 思った以上掘ってあるな?十五尺くらいあるんじゃないかこれ。少し暗かったので人差し指で炎を灯す。
「慧音、大丈夫か?」
「左足が痛いが……大丈夫」
「歩けそう?」
「まだ無理だ……」
 ちょっと苦しそうなので、私は慧音をお姫様抱っこする。
「わ、わっ、いきなり何するんだ!」
「何をするって言われても……痛そうだからさ。運ぼうと思って。飛ぶから気をつけてよ」
 そう言って私は上に行く。地上に出るとうさぎたちがいっぱいるではないか。なんだこれ。
「なんでうさぎたちが……?」
 慧音も頭を捻っている。私に言われても分からない。
「とりあえず慧音、永遠亭行くよ」
「そこまでじゃないのに。大丈夫だって」
 慧音が渋る。もう、なんで体を大切にしてくれないんだ。
「慧音が無理するからダメ」
「いやだから……」
「問答無用! ほら行くよ!」
 慧音の否定の声を無視しながら私は永遠亭まで飛んでいく。その間、なぜかいたうさぎたちはどこかに散っていた。

 ***

 私も慧音の診察に着いて行った。
「捻挫ね。治せるもの出しておくから」
 永琳にそう言われる。なんであんな所に落とし穴があったのだろうか。普段なら作らなさそうな所なのに。
「なあ永琳。なんでてゐのやつタケノコがよく生えた所に落とし穴を掘ったんだ?」
「あの子のことは分からないわよ。本人に聞いてちょうだいな」
 はぐらかされた。でもまあ、本人を探すか。

 慧音の肩を抱いて診察室から出ると鈴仙とてゐがいた。
「慧音先生、椅子どうぞ」
 廊下だが、和室に入って座るよりはいい。
「ありがとう鈴仙」
 慧音は座っていた。
 てゐの方を見るといつも通りでなんか少し腹が立った。
「おい、てゐなんであんな所に落とし穴なんか掘ったんだ」
 落ちた詳細を言うとてゐはキョトンとしていた。
「なんでそんな所に作る必要があるんだい? わたしゃそんな所に作った覚えなんてないぞ? しかもそんなに深くは掘らないよ。ウチの誰かが作ったんじゃないかね」
 ちゃんとしていないことについては嘘をつかないのはてゐである。自分に不利益なことを言っても無駄だということを知っているからだ。
「確かにそうね……私がだいたい落ちる穴って、十五尺も無いわよ? 怪我しない程度でてゐは掘るから」
 ふむ。そうなのか。
「やーい、落ちること前提の鈴仙〜」
 おお、すごい煽り。そうしててゐは逃げていった。
「このー!! あっ、気を付けて帰ってくださいね。待てー! てゐー! あいたぁ!?」
 ガシャーンと上からタライが落ちてきていてとても痛そうだと思った。
「はは、元気で何より」
 落ちた当人はこうだし。とりあえず家に戻ろうかな。

 慧音をおんぶして永遠亭を出るとてゐの子分二人とうさぎたちがいた。二人は気を落としたような感じでいた。
「どうしたんた?」
 私は声をかける。ひとりがいきなりおじぎをした。
「ごめんなさい! ボクが悪いんです!」
「え、なんだいきなり」
隣にいたのが話す。
「あの穴を掘ろうって言ったのはこの人で……それでてゐさんに褒めてもらおうと思ってみんなで掘ってたら物凄く深くなっちゃったから誰も落ちないだろうと鷹を括って塞いでいたの……けど慧音先生落ちて怪我したってみんなが見たって言うから……」
「本当にごめんなさい!」
 二人が謝っている。私は分からなくてワタワタしてしまう。
「妹紅降ろしてくれないか? ちょっとそこにある大きな石に腰掛けるから」
「ああ、分かった」
 言われた通りに降ろす。そうして慧音は話し出した。
「二人は悪いことをしたと言う自覚はあるんだな?」
「はい」「はい……」
 慧音は怒る時は怒る。教育者として、しっかりしないといけないと言っていた。
「それなら落とし穴を掘る時はてゐに聞いてからするという事を約束してくれ。これから怪我人を出さないようにだ」
「はい!」「はい……!」
「それじゃあ最後だ。二人ともこっちに寄ってくれ」
 ……あ。後の展開は分かった。
 ゴチン! ゴチン!
 やはり、慧音は二人に頭突きをしていた。
「〜〜っ!?」「〜いたっ〜〜!?」
 ああ、痛そうだ。慧音の頭突きは特別だからな。
「この痛みを受けたくなかったらもう二度としないこと。私みたいな怪我人を増やさない為にももう二度としないことを誓うな?」
「誓います……」「は、はいぃ……」
「よし、ならいい。それじゃあ私たちは帰るから。てゐによろしくな」
 その言葉を聞いて私はもう一度慧音をおんぶした。
「慧音先生、ありがとうございました!」
「ありがとうございましたー!」
 その言葉を聞きつつ私たちは家に帰った。

 ***

「結局デート上手くいかなかったね」
 私は座る慧音に話しかける。
「なあ……妹紅。デートの意味知ってるか?」
 ん?なぜそんなことを?
「なにかダメなとこほでもあった……?」
 え、うそ、悪いことしてたかな……

「あのな、デートと言うのは好きあったものが一緒に会うものなんた。いわゆる逢引に近いものだぞ。目を忍ぶ訳では無いから少し意味は違うが」

 …………え?

「……うそ、デートって手伝ってもらうことだと思ってた……えっ、慧音ごめんね……!?」

「いいやいいんだ。間違ってたなら直せばいいし、次はちゃんと誘ってくれればいいから」

 うう。慧音ごめん……
 そしてデートの意味を間違えて教えた輝夜をシメる。決定だ。

 そして次は恥じないように慧音を喜ばせるために頑張るんだ!
その後、輝夜様は殺されまくったそうな。
ヘンプ
henpu.doku@gmail.com
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コメント



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1.90奇声を発する程度の能力削除
微笑ましい感じで良かったです
2.100名前が無い程度の能力削除
ウキウキでタケノコ掘りに誘ってくる妹紅いいなぁ
3.100終身削除
慧音と妹紅はもちろん、他のみんなもそれぞれキャラが立っていていい感じに主張していて賑やかな感じがしました 言葉だけじゃなくて鉄拳制裁で教育する慧音先生すき
4.100サク_ウマ削除
要所要所で笑かされたので100点です
5.80雪月楓削除
オチがよい